JP2004290865A - 衝撃式造粒機 - Google Patents

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晴久 深谷
Tamio Masai
民雄 正井
Fumio Ikei
文夫 池井
Toshio Nakamura
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Daido Machinery Ltd
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Abstract

【課題】粉砕や細片化などの前加工を要せず、かさ密度が大きく所望の粒径を有する造粒品を得ることができ、微粉の発生も少ない衝撃式造粒機を提供する。
【解決手段】後側板11と中心部に開口部13を有する前側板との間に、複数枚のブレード14を固着したロータ3と、開口部13内に被処理物を供給するホッパと造粒品排出口26をそなえたケーシング4と、ロータ3の外周に対してすきまをおいて配設され、ロータの中心軸に平行な稜線31を有する連続山形面状の打撃面32をそなえた固定衝撃体30と、ロータ3の下部下周に対してすきまをおいて配設され、ロータ3の中心軸の直下位置Qからロータの回転方向に向って前記すきまが拡大する曲率半径で湾曲し、直下位置Qから回転方向側の範囲に多数個の造粒品通過孔41を穿設された湾曲板40と、を具備した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は衝撃式造粒機に関し、さらに詳しくは、空缶などの金属製の被処理物を造粒処理するのに適した衝撃式造粒機に関する。
【0002】
【従来の技術】
コーヒーやジュース等の飲料を収容する缶として、アルミニウム缶やスチール缶が大量に用いられており、使用済みのこれらの空缶を再利用する方法として、アルミニウム缶を細片に粉砕し、高温軟化させたアルミニウム細片に衝撃造粒機により打撚り衝撃を加えて造粒する方法がある(たとえば特許文献1参照。)。またこれと同様な打捻り衝撃を衝撃式造粒機(ハンマークラッシャー)により加えて、アルミニウム細片を粒状のアルミニウムとするアルミニウムラミネートの再生処理方法も提案されている(たとえば特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−53494号公報(第1−3頁、図1)
【特許文献2】
特開平11−92838号公報(第1−2頁、図1)
【0004】
ところが上記特許文献1の方法では、造粒の前工程としてアルミニウム缶を粉砕機により粉砕する必要があるので、工程が複雑で処理費もかさむ。
【0005】
またアルミニウム缶の再生造粒品の用途としては、製鋼工程で用いる脱酸材やアルミショットが、またスチール缶の再生造粒品の用途としては製鋼工程の精錬期における冷却材やキュポラの溶解原料などが挙げられるが、これらの粒体としては、運搬コストや貯留ホッパ容量あるいは使用時における耐酸化性に応じた最適粒体表面積などの点から、かさ密度が大きく且つ所望の粒径(たとえば上記アルミショットの場合一例として10〜20mm)のものが必要であり、また材料の有効利用乃至歩留り向上の点から、造粒時における粒体化されない微粉の発生は極力抑える必要がある。
【0006】
ところが上記特許文献2に記載されているハンマークラッシャーは、本来被処理物を粉砕するための装置であり、固定衝撃体と回転衝撃体(ハンマー)とによる打撃だけではなく、両衝撃体間の狭隘部および回転衝撃体と下部に設けたスクリーンとの間に被処理物を挟んで捻転乃至摩滅により造粒するものであるため、これをアルミニウム缶やスチール缶の造粒に使用した場合、微粉が多量に発生する。また固定衝撃体は1個所に設けられているだけであり、造粒に寄与する衝撃の度合いが小さく捻転が主体となるため、造粒品のかさ密度が小さく、また素材が破断しやすいアルミ缶の場合は直径10〜20mmの粒径の造粒品を得るのは困難であり、反対に素材の延性が高いスチール缶の場合は缶をそのまま投入したのでは大きな塊状品が得られるだけなので、造粒前にシュレッダーなどにより細片化する前工程が必要となる。なお、この前工程を省略してハンマークラッシャーにより強引に小塊状品を得ようとすると、さらなる微粉の発生を招くこととなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記従来の問題点にかんがみてされたもので、金属製の被処理物に対して、粉砕や細片化などの前加工を要することなく、かさ密度が大きく所望の粒径を有する造粒品を得ることができ、造粒時の微粉の発生も少量に抑制される衝撃式造粒機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の衝撃式造粒機は、水平回転軸に取付けられ後側板と中心部に開口部を有する前側板との間に、放射状に配置された複数枚のブレードを固着したロータと、前記ロータを収容し前壁部に前記開口部内に被処理物を供給するホッパをそなえ下部に造粒品排出口をそなえたケーシングと、前記ロータの上部および側部外周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸に平行な稜線を有する連続山形面状の打撃面を、ロータ対向側にそなえた固定衝撃体と、前記ロータの下部下周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸の直下位置から該ロータの回転方向に向って前記すきまが拡大する曲率半径で上向きに凹面状に湾曲し、前記直下位置から前記回転方向側の範囲に多数個の造粒品通過孔を穿設された湾曲板と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の衝撃式造粒機は、水平回転軸に取付けられ後側板と中心部に開口部を有する前側板との間に、放射状に配置された複数枚のブレードを固着したロータと、前記ロータを収容し前壁部に前記開口部内に被処理物を供給するホッパをそなえ下部に造粒品排出口をそなえたケーシングと、前記ロータの上部および側部外周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸に平行な稜線を有する連続山形面状の打撃面を、ロータ対向側にそなえた固定衝撃体と、前記ロータの下部下周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸の直下位置から該ロータの回転方向に向って前記すきまが拡大する曲率半径で上向きに凹面状に湾曲した湾曲板と、前記湾曲板の少なくとも一部を開閉駆動して開放駆動時に前記造粒品排出口に連通する排出用開口部を前記湾曲板部に形成し、閉鎖駆動時に前記排出用開口部を閉鎖する湾曲板開閉機構と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ケーシングのホッパ内に被処理物を投入すれば、被処理物はロータの開口部を経てロータ内に供給され、高速回転するブレードによりロータ外周部から該外周のほぼ接線方向に投出され、この投出方向に対向する固定衝撃体の打撃面に衝突して反撥後、ブレードに衝突して再度固定衝撃体に対して投射されることを繰返し、造粒される。これにより、裁断などの前加工をされていない空缶をそのまま被処理物として投入した場合でも、この空缶は先ず固定衝撃体の打撃面、特にその山形形状の稜線部との衝突を繰返すことにより分断され、さらに小片化されて造粒される。そしてロータの外周に対向して多数面存在する固定衝撃体の打撃面とブレード間の繰返衝撃により、かさ密度の大きい造粒品が得られ、また捻転や摩滅を主体とするものではないので、微粉の発生も少量に抑制される。
【0011】
またロータの下部外周に対してすきまをおいて配設された湾曲板は、ロータの回転に伴って下向きに回動してきた半造粒品や造粒前の小片を反転させて再度固定衝撃体部へ誘導して造粒を進行させるものであり、この円滑な反転・誘導のため上記すきまは造粒品の粒径より充分大きな値(たとえば上記すきまが最小となる位置で上記粒径の3〜4倍)に設定され、このため湾曲板とブレード間で造粒品や半造粒品に対して捻転や摩滅作用が生じることは殆どない。また湾曲板はロータの中心軸の直下部からロータ回転方向側にすきまが広がるよう湾曲しているので、上記半造粒品や小片等による上記すきま部の閉塞をおこすことなく上記上方への誘導を確実におこなうことができる。また後述の実施例に示すように、ロータの外周と湾曲板の間の上記すきまの大きさと、ロータの回転速度(および請求項1記載の発明の場合は造粒品通過穴の直径)を変えることによって、得られる造粒品の粒度分布を変化させることができるのである。
【0012】
そして請求項1記載の発明においては、湾曲板の造粒品通過穴の径より小径となった造粒品は、この通過穴から下方へ落下しケーシングの造粒品排出口から排出される。このとき上記造粒品通過穴は前記直下位置から前記回転方向側に設けられているので、該通過穴径より小サイズの主として自重の大きい造粒品が造粒品通過穴から排出され、自重が小さい半造粒品や小片などはロータの回転に伴う風圧により上方へ巻上げられ、造粒材料として利用されるので、造粒品以外の排出量は少量に抑制される。
【0013】
また請求項2記載の発明においては、所定量の被処理物を投入後、予め実用試験などにより定めた所定の運転時間後に、湾曲板開閉機構により湾曲板部に排出用開口部を形成させ、ケーシング内の造粒品を主体とする収容物を上記排出用開口部から下方へ排出し、造粒品排出口から排出させる。その後排出用開口部を閉じれば、次のロットの被処理物の造粒をおこなうことができるのである。
【0014】
また請求項1,2に記載の衝撃式造粒機において、請求項3記載の発明のように、前記ロータが、前記ブレードの側面に沿ってロータ外周方向への突出量を調節可能に締結された延長板を具備している構成とすれば、延長板のロータ外周方向への突出量を調節することにより、湾曲板を交換することなくブレード先端部と湾曲板とのすきまを調節して、造粒品の粒度分布を変えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図4に示す第1例により、この発明の実施の形態を説明する。図1において、1は衝撃式造粒機で、基台2上に、ロータ3等の造粒用部材を収容したケーシング4を設けるとともに、ロータ3の回転駆動用の中心軸線が水平方向に延びる水平回転軸5を、基台2に固設した軸受台6に取付けた軸受7,7により回転自在に支持して成る。
【0016】
ロータ3は、円盤状の後側板11と中心部に大径の開口部13を有する穴あき円盤状の前側板12との間に、図2に示すように放射状に配置した複数枚(この例では10枚)の厚板状のブレード14を固着して成る。15はこのブレード14のロータ回転方向側の側面に重ねて取付けられた延長板で、その先端15aのロータ外周方向への突出量を調節できるように、ボルト16により締付固定されており、この突出状態における延長板15の先端15aがロータ3の外周面を構成する。
【0017】
ロータ3の後側板11は水平回転軸5の一端部に固着した取付具8にボルト締めされ、この水平回転軸5の他端部にはベルトプーリ9が取付けられており、図示しないモータによりベルト駆動されて、ロータ3は矢印R方向に高速で回転駆動される。
【0018】
ケーシング4は、基台2に立設した前壁21と後壁22の周囲に形成したフランジ部に、複数枚の蓋板23,24を取付けた異形箱体状を呈し、前壁21には、上向きに開口しロータ3の開口部13内に被処理物を供給するホッパ25が取付けてある。26はケーシング4の下部に設けた造粒品排出口で、27はこの造粒品排出口26に造粒品をガイドするガイド板である。
【0019】
30はロータ3の上部および側部外周に対してすきまをおいて配設された固定衝撃体で、ロータ3の中心軸Pに平行な稜線31を有する連続山形面状の打撃面32を有する。複数個の固定衝撃体30はそれぞれ蓋板23に取付けられ、摩耗状況などに応じて別個に交換可能となっている。そして上記打撃面32の山形面形状は、後述の造粒時に被処理物がロータ外周部から放出されるロータ3の外周接線方向に近い放出方向(図2における矢印F方向)に対して、山形面の一面がほぼ直交するように、選定されている。なおロータ3の側方の図2における左右両側に配置された固定衝撃体30を取付けた2枚の蓋板23は、図3に示すようにアーム33を介して軸34を中心として開閉自在に後壁22部に支持されており、この開放により形成したケーシング開口部は、前記延長板15の取付位置調節や、後述の湾曲板40の交換などの作業に利用される。なおこのケーシング開口部は、図2における左右いずれか一方の側だけに設けてもよいし、前壁21部等に設けてもよい。
【0020】
40はロータ3の下部外周に対してすきまをおいて配置された湾曲板で、ロータ3の外周より大きな曲率半径で金属板を上向き凹面状に湾曲成形して成り、図2に示すようにロータ3の中心軸Pの直下位置Qにおけるロータ外周とのすきまGが最小すきまとなるように、ケーシング4に取付けられている。この最小すきまGは、得ようとする造粒品の直径より充分大きな値(たとえば粒径の3〜4倍)に選定されている。また湾曲板40のケーシング4への取付構造としては、湾曲板40の両縁部を支承する支持板42、湾曲板40の両端部を固定保持する保持部43等が用いられている。
【0021】
そして上記湾曲板40には、図4に展開図として示すように、上記直下位置Qよりロータ3の回転方向側の範囲に、多数個の造粒品通過孔41を穿設してある。
【0022】
次に上記構成の衝撃式造粒機1を用いて、使用済みの飲料用缶である空缶を被処理物として造粒をおこなう造粒方法を説明する。先ず空缶は造粒前に、造粒品としての要求仕様により、あるいは材質軟化のために、必要に応じて加熱処理をおこなっておく。たとえばスチール缶で溶鋼精錬時の冷却材用の造粒品を造粒する場合は、溶鋼の品質低下を招く塗料や付着物を除去するために、またアルミ缶は製缶により加工硬化した缶体を軟化させるため、および塗料や付着物を除去するために、それぞれロータリーキルンなどで加熱処理をおこなう。
【0023】
造粒にあたっては、ホッパ25内に被処理物である空缶Wを投入すれば、空缶Wは開口部13からロータ3内に供給され、高速回転しているロータ3によりロータ外周方向に遠心力で駆動されるとともにブレード14およびこれと一体の延長板15により回転駆動されて、図2に矢印Fで示すようにロータ3の外周接線方向に近い方向に高速で放出され、固定衝撃体30の上記放出方向に対してほぼ直角面を形成している側の打撃面32に衝突して反撥後に、同一あるいは後続のブレード14(詳しくは延長板15部)により打撃されて固定衝撃体30に向って再度投射され、以下これを繰返す。
【0024】
空缶Wは開口部13からロータ3の中心部内に供給されるので、ケーシング4の上部にホッパや投入口を設ける必要はなく、このため固定衝撃体30は図2に示すようにロータ3の外周側部から上部にわたって多数個設置でき、これによって多数面存在する打撃面32とブレード14間の繰返衝撃により、かさ密度の大きい造粒品が得られる。また丸のままの空缶あるいは廃品回収時に扁平状等に圧縮されただけの空缶Wは、上記の固定衝撃体30への初期の投射時に、打撃面32の稜線31部に打付けられて分断されたのち、衝撃(打撃)の繰返しにより造粒されていくので、造粒に先立って空缶を粉砕したり細片化する必要はない。
【0025】
破断あるいは造粒されつつロータ3の回転方向にケーシング4内を流動する小片や半造粒品は、ロータ3の下側の湾曲板40上をロータ回転方向に駆動されて、ロータ外周と湾曲板40との間のすきま部を通過して反転し、上方の固定衝撃体30側へと供給され、造粒が続行される。このときロータ外周(この例では延長板15の先端15a)と湾曲板40とのすきまは、湾曲板40のロータ3の中心軸Pの直下位置Qからロータ回転方向側に拡がっているので、上記の小片や半造粒品は円滑に上方へ駆動される。
【0026】
繰返衝撃により造粒が進行して湾曲板40の造粒品通過孔41より小径となった造粒品は、該通過孔から落下し造粒品排出口26を経て下方へ排出される。このとき造粒品通過孔41は湾曲板40の直下位置Qよりロータ回転側の範囲に設けられているので、自重の軽い小片や半造粒品は、ロータ3の回転に伴う風圧により巻上げられ、造粒品通過孔41からの落下排出は少量に抑制される。
【0027】
上記のように、衝撃式造粒機1は、被処理物の連続投入により造粒を連続的におこなうのに適しているが、次に図5〜図7に示す第2例の衝撃式造粒機51は、被処理物をバッチ処理により造粒するのに適したものであり、以下この第2例により実施の形態を説明する。この衝撃式造粒機51は、湾曲板60およびその開閉機構部が前記第1例と異なるのみで、その他は第1例と同構成を有するので、図1〜図4と同一部分には同一符号を付して図示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
【0028】
すなわち、湾曲板60には、第1例の湾曲板40における造粒品通過孔41は設けてなく、この代りに図6に示すように湾曲板60の一部を切除して排出用開口部61を設け、この開口部に嵌脱される小湾曲板状の蓋板62を、開閉装置70により矢印Yで示す水平方向に往復駆動される支持用の裏板63上に固設してある。
【0029】
開閉装置70は、図5および図7に示すように、裏板63に先端部を取付けた駆動軸71および2本のガイドロッド72,72を、ケーシング4の蓋板24と一体の支持ブロック73に取付けたガイドブッシュ74,75に挿通させ、基台2の側方に突設したブラケット76上に枢支した電動式のパワーシリンダ77の駆動杆77aの先端を、上記駆動軸71に連結して成る。
【0030】
上記構成の衝撃式造粒機51による空缶Wの造粒時には、湾曲板60の蓋板62を閉鎖状態として、所定量の空缶Wをホッパ25内に投入し、実機試験などにより予め定めた所定時間だけロータ3を回転駆動して、第1例と同様なロータ3と固定衝撃体30の分断、造粒作用により造粒をおこなったのち、パワーシリンダ77により蓋板62を図5に鎖線Sで示すように開放状態とすれば、ロータ3の回転に伴いケーシング4内の造粒品(半造粒品を一部含む)は、排出用開口部61から短時間で流出し、造粒品排出口26を経て下方へ排出される。
【0031】
その後パワーシリンダ77により蓋板62を閉鎖状態に戻し、次のロットの空缶Wの造粒をおこなえばよい。
【0032】
【実施例】
前記第1例の装置(ロータ3の外径=1180mm,ブレード14の巾=300mm)を用い、500℃の加熱により加工硬化を除去したアルミ缶Wに対して、前記ロータ3の直下位置Qにおけるロータ外周と湾曲板40のすきまG,造粒品通過孔41の直径d,およびロータ回転速度等の造粒条件を変えて、連続造粒をおこなった結果は、下記の通りであった。
[実施例1] 上記すきまG=50mm,造粒品通過孔41の直径d=30mm,ブレードの延長板15先端の周速度V=50m/秒の条件で、粒径3〜10mmの造粒品が81%の割合(排出物全量に対する重量比)で得られ、造粒品のかさ密度は0.71t/mであった。また、粒径10〜20mmの造粒品が9%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.50t/mであった。
[実施例2] 上記すきまG=75mm,造粒品通過孔41の直径d=30mm,ブレードの延長板15先端の周速度V=50m/秒の条件で、粒径3〜10mmの造粒品が65%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.55t/mであった。また、粒径10〜20mmの造粒品が25%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.50t/mであった。
[実施例3] 上記すきまG=50mm,造粒品通過孔41の直径d=30mm,ブレードの延長板15先端の周速度V=40m/秒の条件で、粒径3〜10mmの造粒品が75%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.60t/mであった。また、粒径10〜20mmの造粒品が19%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.48t/mであった。
【0033】
また前記第2例の装置(湾曲板60部のみが異なり、その他は実施例1,2の装置と同じ)を用い、上記と同じアルミ缶に対して処理時間30秒間の造粒をおこなった結果は、下記の通りであった。
[実施例4] 上記すきまG=50mm,ブレードの延長板15先端の周速度V=50m/秒の条件で、粒径3〜10mmの造粒品が63%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.69t/mであった。また、粒径10〜20mmの造粒品が24%の割合で得られ、造粒品のかさ密度は0.60t/mであった。
【0034】
上記の結果から、上記すきまG,ロータ3の回転速度,造粒品通過孔41の直径dなどを変えることにより、造粒品の粒度分布を変えることができることが判る。従って造粒品の要求仕様に応じて上記すきまGその他の条件を選定することにより、所望の粒径を有する造粒品を得ることができるのである。
【0035】
この発明は上記各例に限定されるものではなく、たとえば延長板15は先端部の屈曲のない平板状のものとしてもよいし、被処理品が一定していて前記すきまGの調節が不要な場合などは、延長板15は省略してもよい。また第2例における湾曲板開閉機構としては、たとえば湾曲板を直下位置Q付近で2分割してその一方又は両方を下方へ観音開き又は片開き式に開閉するものなど、各種の構成の排出用開口部および開閉装置を選択できる。また湾曲板40,60の直下位置Qより上流側(ロータ回転方向と反対側)の湾曲形状は、ロータ外周と同心円状としてロータ外周とのすきまを一定としてもよく、またケーシング4の上部を半円筒状とし、これに応じて固定衝撃体30も円弧板状に湾曲させるなど、各部の具体的構成は上記各例以外のものとしてもよい。
【0036】
また上記の例はアルミ缶の造粒について説明したが、この発明の衝撃式造粒機は、上記アルミ缶やスチール缶などの飲料用缶の他、たとえばアルミサッシの廃材やアルミ鍋やその蓋などから造粒品を得るのにも使用でき、これらの大型の被処理物に対しては、ロータの開口部からブレード間内を通過できるように、予め飲料用缶程度の大きさに粗破砕したものを、ホッパに投入して造粒をおこなえばよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、ロータの中心軸に平行な稜線を有する連続山形面状の打撃面をそなえた固定衝撃体とロータのブレードとに被処理物を繰返衝突させて造粒をおこなうようにしたので、飲料用の空缶などは上記稜線部との衝突により分断され、粉砕や細片化などの前加工を要することなく造粒でき、また被処理品投入口はケーシングの上部に設ける必要はないので、固定衝撃体はロータ外周に対向して多数個配置でき、多数面存在する打撃面とブレード間の繰返衝撃を被処理物に与えることにより、かさ密度の大きい所望の粒径の造粒品を得ることができ、また捻転や摩滅を主体として造粒するものではないので、微粉の発生も少量に抑制できる。
【0038】
また上記の効果に加えて、請求項3記載の発明によれば、延長板のロータ外周方向への突出量を調節することにより、造粒品の粒度分布を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の第1例を示す衝撃式造粒機の部分切断(図2のA−A線断面)正面図である。
【図2】図1のB−B線断面図である。
【図3】図1の矢視C−C部平面図である。
【図4】図2における湾曲板の展開平面図である。
【図5】この発明の実施の形態の第2例を示す図2相当図である。
【図6】図5における湾曲板の斜視図である。
【図7】図5のD−D線拡大断面図である。
【符号の説明】
1…衝撃式造粒機、3…ロータ、4…ケーシング、5…水平回転軸、11…後側板、12…前側板、13…開口部、14…ブレード、15…延長板、21…前壁、22…後壁、25…ホッパ、26…造粒品排出口、30…固定衝撃体、31…稜線、32…打撃面、40…湾曲板、41…造粒品通過孔、51…衝撃式造粒機、60…湾曲板、61…排出用開口部、62…蓋板、70…開閉装置、P…中心軸、Q…直下位置、G…すきま。

Claims (3)

  1. 水平回転軸に取付けられ後側板と中心部に開口部を有する前側板との間に、放射状に配置された複数枚のブレードを固着したロータと、
    前記ロータを収容し前壁部に前記開口部内に被処理物を供給するホッパをそなえ下部に造粒品排出口をそなえたケーシングと、
    前記ロータの上部および側部外周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸に平行な稜線を有する連続山形面状の打撃面を、ロータ対向側にそなえた固定衝撃体と、
    前記ロータの下部下周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸の直下位置から該ロータの回転方向に向って前記すきまが拡大する曲率半径で上向きに凹面状に湾曲し、前記直下位置から前記回転方向側の範囲に多数個の造粒品通過孔を穿設された湾曲板と、
    を具備したことを特徴とする衝撃式造粒機。
  2. 水平回転軸に取付けられ後側板と中心部に開口部を有する前側板との間に、放射状に配置された複数枚のブレードを固着したロータと、
    前記ロータを収容し前壁部に前記開口部内に被処理物を供給するホッパをそなえ下部に造粒品排出口をそなえたケーシングと、
    前記ロータの上部および側部外周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸に平行な稜線を有する連続山形面状の打撃面を、ロータ対向側にそなえた固定衝撃体と、
    前記ロータの下部下周に対してすきまをおいて配設され、前記ロータの中心軸の直下位置から該ロータの回転方向に向って前記すきまが拡大する曲率半径で上向きに凹面状に湾曲した湾曲板と、
    前記湾曲板の少なくとも一部を開閉駆動して開放駆動時に前記造粒品排出口に連通する排出用開口部を前記湾曲板部に形成し、閉鎖駆動時に前記排出用開口部を閉鎖する湾曲板開閉機構と、
    を具備したことを特徴とする衝撃式造粒機。
  3. 前記ロータが、前記ブレードの側面に沿ってロータ外周方向への突出量を調節可能に締結された延長板を具備している請求項1または2記載の衝撃式造粒機。
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