JP2004290778A - 汚泥の嫌気性処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚泥の粘度を低下させ、さらに、有機固形物及び溶解性の難分解有機物の低分子化を促進させることで、嫌気性細菌による分解過程を短縮し、より効率よく短期間で汚泥中の有機固形物を分解、液化し、汚泥中に含まれている有機物をガス化することで汚泥の発生量を減容し、メタンガスの発生を促進させることができる汚泥の嫌気性処理方法を提供すること。
【解決手段】汚泥の嫌気性消化において、余剰汚泥に前処理として粘度低下処理を施し、これに加水分解酵素を添加することにより、ガス発生量を増加させるとともに、発生汚泥の減容化を図る。
【選択図】 図1
【解決手段】汚泥の嫌気性消化において、余剰汚泥に前処理として粘度低下処理を施し、これに加水分解酵素を添加することにより、ガス発生量を増加させるとともに、発生汚泥の減容化を図る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の嫌気性処理方法、特に新設又は既に稼働している大規模処理施設において、下水や産業排水等の有機性汚水(以下、「下水」という。)を活性汚泥により生物処理するシステムで、より効率よく短期間で汚泥中の有機固形物を分解、液化し、汚泥中に含まれている有機物をガス化することにより嫌気性消化槽の小型化を可能とし、排出する消化汚泥の減容化、及びメタンガスの発生を促進させるようにした汚泥の嫌気性処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水や産業排水等の有機性汚水を活性汚泥により処理するシステムにおいて、特に、大規模排水処理施設では、発生した汚泥を嫌気性消化槽を用いて嫌気性消化することにより、嫌気性細菌の働きにより汚泥中の有機固形物を液化、ガス化して、汚泥発生量を1/3〜1/5に減容させるとともに、汚泥中の病原性生物をほとんど死滅させて衛生的に安全に処理し、かつ、消化に伴って発生したメタンガスを消化槽の加温や発電などに有効利用するようにしている。
ところで、大規模処理場で発生する汚泥には初沈汚泥と余剰汚泥とがあり、繊維質を主体とする初沈汚泥に比べ、微生物主体の余剰汚泥は、微生物の細胞壁は強固で、消化率及びメタン収率が低いため、この消化率及びメタン収率の向上が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の汚泥の嫌気性消化処理法においては、大規模排水処理施設に設置された消化槽で、汚泥中の有機固形物を加水分解し、汚泥中の有機物を低分子化、ガス化する過程を、すべて嫌気性細菌の働きに依存しているため、特に、余剰汚泥は微生物が主体であり、微生物の細胞壁は強固で容易には分解せず、その液化過程及びガス化過程に、約30日間という長い期間を要し、その間汚泥を滞留させておくための嫌気性消化槽の規模も必然的に過大になり、建設費が嵩むとともに、処理場用としての広大な用地を確保しにくいことなどから、大規模排水処理施設においても消化槽を採用することが困難で、採択している施設はごく一部に限られ、また、嫌気性消化液はまだ残留有機物濃度が高く、さらに二次処理の必要があるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の嫌気性消化処理方法の有する問題点に鑑み、汚泥の粘度を低下させ、さらに、有機固形物及び溶解性の難分解有機物の低分子化を促進させることで、嫌気性細菌による分解過程を短縮し、より効率よく短期間で汚泥中の有機固形物を分解、液化し、汚泥中に含まれている有機物をガス化することで汚泥の発生量を減容し、メタンガスの発生を促進させることができる汚泥の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の嫌気性処理方法は、汚泥の嫌気性消化において、余剰汚泥に前処理として粘度低下処理を施し、これに加水分解酵素を添加することにより、ガス発生量を増加させるとともに、発生汚泥の減容化を図るようにしたことを特徴とする。
【0006】
上記の構成からなる本発明の汚泥の嫌気性処理方法は、嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施しているため、主体とする微生物の細胞壁が強固で容易には分解しない余剰汚泥であっても、細菌細胞壁を人為的に破砕することができるので、粘性物質を分解し粘度を低下させることが容易にでき、さらに加水分解酵素を添加することで、前処理により破砕された細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物を低分子化することができ、嫌気性細菌及びメタン細菌によって分解され易い状態に転換させられるから、嫌気性消化を短時間で行うことができるようになる。
また、難分解性の有機固形物や、溶解性の難分解性有機物も低分子化することができるので、通常の嫌気性消化に比べ、排出する消化汚泥の減容化を図ることができ、かつメタンガス発生量を増加させることができる。
【0007】
この場合、余剰汚泥の粘度低下処理として、酸を添加した後、加熱処理を施すようにすることができる。
【0008】
これにより、余剰汚泥に酸を添加し加熱処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を分解し、容易に粘度を低下させることができる。
【0009】
また、この場合、余剰汚泥の粘度低下処理として、超音波処理を施すようにすることができる。
【0010】
これにより、嫌気性消化の前処理として、余剰汚泥に超音波処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を容易に分解し粘度を低下させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の嫌気性処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
以下、本発明の汚泥の嫌気性処理方法を、図1に示す大規模下水処理場に適用した場合のフローに基づいて説明する。
【0013】
産業排水等の有機性汚水や一般家庭から排出される下水は、大規模等の排水処理施設に設置された最終沈殿池1に導かれる。この最終沈殿池1では、流入する下水を重力にて固液沈降分離するようになっている。最終沈殿池1の槽底内に沈殿分離された固形分は、余剰汚泥としてこの最終沈殿池1の底部に接続された移送管20を介して引抜ポンプ19により引き抜かれ、汚泥貯留槽12に貯留される。また、この場合、一次消化槽9への汚泥投入量を減らし汚泥貯留槽12の必要容量を少なくするとともに、一次消化槽9の有機物負荷を適当にするため、余剰汚泥を濃縮機(図示省略)により濃縮してから汚泥貯留槽12に送ることが望ましい。
この汚泥貯留槽12に貯留された余剰汚泥は、その後ポンプ14により引き抜かれ、移送管21を介して次の酸加熱処理槽2に送られる。
【0014】
酸加熱処理槽2には、濃硫酸タンク6内に貯留された濃硫酸の適量を、ポンプ15、薬液配管22を介して添加するように構成する。
なお、この酸加熱処理槽2に添加供給する濃硫酸の量は、酸加熱処理槽2に投入される汚泥量1m3に対し、濃硫酸1L〜10L、好ましくは3Lを、前記ポンプ15、薬液配管22により添加するようにする。ここで、添加する酸は、濃硫酸の他に、塩酸、硫酸等、水処理系に悪影響を及ぼさない酸性溶液であれば特に限定するものではない。
また、酸加熱処理槽2内部には、該酸加熱処理槽2内に供給された余剰汚泥を適温に加温するためのヒータ13と、モータ等の駆動装置31、駆動軸32及び攪拌板33とからなる攪拌機3とを設置する。これにより、この酸加熱処理槽2の余剰汚泥を、ヒータ13と攪拌機3とにより加温するようにするが、この加温温度は、60℃〜100℃、好ましくは約80℃に、かつ均一温度となるよう加温するようにする。この場合、酸加熱処理槽2は、高温となった汚泥の熱を外部に逃がさないよう断熱することができる。
この酸加熱処理槽2にて酸添加後の均一に加温する加熱処理時間は、10分〜3時間程、好ましくは1時間以上滞留させるようにして行う。
【0015】
なお、この場合、酸加熱処理槽2内にて行う余剰汚泥の前処理として、図示省略したが、超音波処理にて行うこともできる。この超音波にて処理を行った場合、この超音波の周波数は、10〜80kHz、好ましくは15〜30kHz、投入エネルギーはg−TS当り10〜50kJ、好ましくは15〜30kJがよい。
また、超音波処理を行う場合、後段のpH調整槽4は不要となり、酵素処理槽5へ直接汚泥を流入させることができる。
【0016】
このようにして酸加熱処理槽2内にて酸加熱処理された余剰汚泥を、次にpH調整槽4に供給する。このpH調整槽4においては、別設した苛性ソーダ(NaOH)タンク7から薬液配管23、ポンプ16を介して、余剰汚泥量に対応して適量の苛性ソーダを添加する。これにより、余剰汚泥はpH調整槽4にて中和されるようにする。
pH調整槽4にて添加苛性ソーダにより中和された余剰汚泥は、次に酵素処理糟5に送られる。この酵素処理糟5においては、別設した酵素貯留槽8に貯留した酵素を添加し酵素処理を行う。この添加酵素の量は、苛性ソーダと同じく、酵素処理糟5内に供給される余剰汚泥量に適したもので、適正な酵素処理が行えるようにしてその量を定めるものとする。この酵素供給用配管26にはバルブ17を備え、供給酵素量の調節を行えるようにする。
また、酵素処理槽5内は、酵素の至適温度に保持するのが好ましく、酵素処理槽5は必要によりヒータ等で加熱する。これにより酵素処理槽5に流入してくる汚泥の温度が使用する酵素の至適温度以上の場合は酸加熱処理槽2に移送される汚泥と熱交換するのも有効である。
また、酵素処理槽5内で1〜24時間、好ましくは2時間以上滞留させ、酵素処理を行うのが望ましい。なお、この酵素処理槽5を設けずに後段の一次消化槽9に直接酵素を添加してもよい。
【0017】
酵素処理糟5において酵素処理を行った余剰汚泥を、次に一次消化槽9に流入管24を介して供給するようにする。この一次消化槽9には、攪拌機3と同様に構成したモータ等の駆動装置、駆動軸及び攪拌板とからなる攪拌装置11を配設し、この一次消化槽9に供給された酵素処理後の余剰汚泥を攪拌しつつ、一次消化を行うようにする。
また、一時消化槽内に消化効率向上とスカム発生の予防を目的として攪拌装置11が設置されている場合は、酵素処理槽5を設けず、酵素を一次消化槽9で添加してもよく、その際には攪拌装置11の攪拌作用により酵素による有機物の低分子化が促進される。
また、流入管24を介して一次消化槽9に流入した汚泥は加温され、34〜36℃の中温消化温度範囲、又は50〜53℃の高温消化温度範囲に保持される。
【0018】
このように一次消化槽9内で一定期間滞留した汚泥は、ポンプ18、移送管25によりこの一次消化槽9と別設した二次消化槽10に移送され、二次消化槽10において沈降分離される。通常の嫌気性消化においては、発生汚泥量が1/3〜1/5程度になると一般に言われているが、さらに酸加熱処理による汚泥可溶化効果、酵素添加による有機物の低分子化に伴うメタンガス発生効率向上効果などによりさらに20%〜50%程度発生汚泥量を削減できる。
また、汚泥中の固形有機物は、その大部分がガス化するので二次消化槽10に沈殿する汚泥は有機物含有量が少なく、高濃度にリンを含んだ汚泥を回収できる。この汚泥の回収は、二次消化槽10の底部に汚泥引抜管27を配管し、汚泥を排出するようにする。
なお、この一次消化槽9と二次消化槽10の上部には、ガス回収配管28を接続し、一次消化槽9、二次消化槽10内で発生するメタンガスを回収するようにし、これを燃料として利用できるようにする。
【0019】
なお、図1に示すフローは、余剰汚泥単独もしくは初沈汚泥と混合した状態のいずれにも適応可能であるが、余剰汚泥単独で使用するのが望ましい。
また、2段消化に即した一例を示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0020】
以下、作用について説明する。
嫌気性消化過程は、2段階に大きく分けることができる。第1段階は、酸生成菌とよばれる細菌グループの酵素作用(主として加水分解作用、脱アミノ作用)によって汚泥中の炭水化物、脂肪、タンパク質などが低級脂肪酸、アルデヒド及びアルコールなどの低分子有機物にまで分解される液化過程と、第2段階は、主として第1段階で生成された低級脂肪酸がメタン細菌によってメタンと炭酸ガスに分解されるガス化過程とである。
嫌気性消化の好適温度は、約34〜36℃の中温消化と、約50〜53℃の高温消化に区別され、高温消化はガス発生量の増大や消化日数の短縮などの利点を有するが、温度変化に敏感であることや、熱源の問題から不利である。そのため、一般には、発生ガスを燃料にして、中温消化の好適温度である35℃前後に加温される。しかし、このような嫌気性消化に好適な条件のもとにおいても消化日数は30日程度要するのが普通であり、それだけ消化槽の規模も大きくなっていた。
また、嫌気性消化過程のすべてを嫌気性細菌に依存しているため、メタンガスと炭酸ガスにまで分解されずに残った溶解性の有機物が存在しさらに二次処理の必要があった。
【0021】
また、大規模処理場で発生する汚泥には初沈汚泥と余剰汚泥があり、ここで繊維質を主体とする初沈汚泥に比べ、微生物主体の余剰汚泥は、消化率及びメタン収率が低く、エネルギー回収を目的とした性能向上には消化率及びメタン収率の向上が重要である。
そこで、本発明では、余剰汚泥の嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施す。この前処理の粘度低下処理として、酸を添加し加熱処理を行う方法と、又は超音波処理を行う方法とがある。このように粘度低下処理を施した後、酵素処理を行うことで人為的に液化を促進することができ、消化日数を短縮し、メタンガス発生量を増加させることができる。そのため、消化槽の前段に前処理工程を設け、余剰汚泥が前処理工程に流入できるようにする。
【0022】
前処理工程に流入した汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁は、酸を添加した後、加熱処理を行うことにより、又は超音波処理を行うことにより、汚泥中の細菌細胞壁は破砕され、細菌細胞内の原形質が細胞外へ流出する。同時に粘性物質も分解され汚泥の粘度が低下する。
酸加熱処理槽の後段にpH調整槽を設け、酸加熱処理を行った汚泥は、pH調整槽4で苛性ソーダを添加し中和処理した後、酵素処理槽で所定の温度にした汚泥に酵素を添加すると、酸加熱処理により破砕された細菌細胞壁などの汚泥中の有機物が酵素の働きにより、容易に低分子化され、溶解性の難分解有機物も適量添加される酵素の働きにより低分子化することができる。
【0023】
また、酸加熱処理により粘度が低下しているため、酵素の基質との接触回数が増え、さらに有機物の低分子化が促進される。そのため消化槽では汚泥中の有機物を分解、低分子化する液化過程が不要となる、あるいはごく短時間で済むため、嫌気性消化過程そのものも短時間で済む。
また、液化過程で作用する酸生成菌の負荷が前処理により小さくなっているため、その分さらに有機物の分解、低分子化の促進が期待できる。汚泥中の有機物の低分子化が促進されることにより排出汚泥量が減少し、またメタンガスの発生量も増加するため、消化槽の加温やガス発電などに有効に利用できる。
【0024】
ここで使用する酵素は、加水分解酵素のなかで、タンパク質分解酵素及び細菌の細胞壁を分解するグルカナーゼ系の酵素が有効である。特に有効な酵素を出す起源微生物として、タンパク質分解酵素では、Aspergillus niger、Aspergillus saitoi、Aspergillus oryzae、Aspergillus melleus、Penicillium duponti、Rhizopus niveus、Rhizopus delemar、Bacillus subtilis、Bacillus stearothermophilus、Bacillus lichenifbmis、Bacillus thermoproteolyticus、Streptomyces griseus、Papaya carica、糸状菌などがある。
また、有効なグルカナーゼ系の酵素を出す起源微生物として、Pseudomonas sp.、Aspergillus niger、Aspergillus sp.、Rhizoctonia salani、Humicola insolens、Trichoderma、Arthrobacter sp.などがある。
これら起源の酵素剤を用いることが有効である。
産業用に用いられる市販のタンパク質分解酵素では、洛東化成工業(株)のエンチロンFA CONC、大和化成(株)のプロチンP、プロチンAY、三共(株)のコクラーゼP、阪急バイオインダストリー(株)のオリエンターゼ20A、オリエンターゼ90N、新日本化学工業(株)のスミチームAP、スミチームLPL、スミチームLP、スミチームMP、スミチームCP、ヤクルト薬品工(株)のアロアーゼAP−10などがあげられる。また、市販のグルカナーゼ系酵素では、大和化成(株)のツニカーゼFM、ノボザイム社のビスコザイム、天野エンザイム(株)のYL−NLアマノなどがあげられ、これらの製品及びその成分が類似しているものを用いることが有効である。
【0025】
このようにして余剰汚泥の嫌気性消化の前処理として、酸加熱処理又は超音波処理を施し、さらに酵素処理を行うことで、通常の嫌気性消化法では分解できない、又は分解に長期間を要する細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物も人為的に低分子化できるので、従来は一次消化槽で分解していた汚泥中の固形有機物及び溶解性の有機物は減少し、一次消化槽でもメタン細菌によるガス化が生じるので消化日数を短縮できる。
また、固形有機物の大半が分解、ガス化されるため、二次消化槽から排出する汚泥固形物の量は減少し、従来法の20%〜50%程度削減でき、また低分子化された有機物量が増大しているのでメタンガス発生量も従来法と比較して20%〜80%程度増加する。
【0026】
さらに本発明では、嫌気性消化の前処理として酵素処理を行うにあたり汚泥温度を約50℃に保持し、また、メタンガス発生量の増加及び嫌気性消化期間の短縮による消化槽の小型化が可能となる。したがって従来法に比べ、消化槽の加温に利用可能なメタンガスを多量に得ることができ、容量的にも比較的少ない熱量で槽内全体を昇温できるから50〜53℃の温度範囲が最適とされる高温消化に適用するのに有利である。
高温消化を用いることで中温消化が主流の従来法に比べ、さらに消化期間を短縮でき、ガス発生量が増加する。したがって、大規模処理場において、消化槽の更新や新設に好適な技術として採用することができる。
【0027】
以上、本発明の汚泥の嫌気性処理方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0028】
【発明の効果】
本発明の汚泥の嫌気性処理方法によれば、嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施しているため、主体とする微生物の細胞壁が強固で容易には分解しない余剰汚泥であっても、細菌細胞壁を人為的に破砕することができるので、粘性物質を分解し粘度を低下させることが容易にでき、さらに加水分解酵素を添加することで、前処理により破砕された細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物を低分子化することができ、嫌気性細菌及びメタン細菌によって分解され易い状態に転換させられるから、嫌気性消化を短時間で行うことができるようになる。
また、難分解性の有機固形物や、溶解性の難分解性有機物も低分子化することができるので、通常の嫌気性消化に比べ、排出する消化汚泥の減容化を図ることができ、かつメタンガス発生量を増加させることができる。
【0029】
また、余剰汚泥に酸を添加し加熱処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を分解し、容易に粘度を低下させることができる。
【0030】
また、嫌気性消化の前処理として、余剰汚泥に超音波処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を容易に分解し粘度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による汚泥の嫌気性処理方法を実施するための水処理設備のフロー図である。
【符号の説明】
1 最終沈殿池
2 酸加熱処理槽
3 攪拌機
31 駆動装置
32 駆動軸
33 攪拌板
4 pH調整槽
5 酵素処理槽
6 濃硫酸タンク
7 苛性ソーダタンク
8 酵素貯留槽
9 一次消化槽
10 二次消化槽
11 攪拌装置
12 汚泥貯留槽
13 ヒータ
14 ポンプ
15 ポンプ
16 ポンプ
17 バルブ
18 ポンプ
19 ポンプ
20 移送管
21 移送管
22 薬液配管
23 薬液配管
24 流入管
25 移送管
26 酵素供給用配管
27 汚泥引抜管
28 ガス回収配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の嫌気性処理方法、特に新設又は既に稼働している大規模処理施設において、下水や産業排水等の有機性汚水(以下、「下水」という。)を活性汚泥により生物処理するシステムで、より効率よく短期間で汚泥中の有機固形物を分解、液化し、汚泥中に含まれている有機物をガス化することにより嫌気性消化槽の小型化を可能とし、排出する消化汚泥の減容化、及びメタンガスの発生を促進させるようにした汚泥の嫌気性処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水や産業排水等の有機性汚水を活性汚泥により処理するシステムにおいて、特に、大規模排水処理施設では、発生した汚泥を嫌気性消化槽を用いて嫌気性消化することにより、嫌気性細菌の働きにより汚泥中の有機固形物を液化、ガス化して、汚泥発生量を1/3〜1/5に減容させるとともに、汚泥中の病原性生物をほとんど死滅させて衛生的に安全に処理し、かつ、消化に伴って発生したメタンガスを消化槽の加温や発電などに有効利用するようにしている。
ところで、大規模処理場で発生する汚泥には初沈汚泥と余剰汚泥とがあり、繊維質を主体とする初沈汚泥に比べ、微生物主体の余剰汚泥は、微生物の細胞壁は強固で、消化率及びメタン収率が低いため、この消化率及びメタン収率の向上が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の汚泥の嫌気性消化処理法においては、大規模排水処理施設に設置された消化槽で、汚泥中の有機固形物を加水分解し、汚泥中の有機物を低分子化、ガス化する過程を、すべて嫌気性細菌の働きに依存しているため、特に、余剰汚泥は微生物が主体であり、微生物の細胞壁は強固で容易には分解せず、その液化過程及びガス化過程に、約30日間という長い期間を要し、その間汚泥を滞留させておくための嫌気性消化槽の規模も必然的に過大になり、建設費が嵩むとともに、処理場用としての広大な用地を確保しにくいことなどから、大規模排水処理施設においても消化槽を採用することが困難で、採択している施設はごく一部に限られ、また、嫌気性消化液はまだ残留有機物濃度が高く、さらに二次処理の必要があるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の嫌気性消化処理方法の有する問題点に鑑み、汚泥の粘度を低下させ、さらに、有機固形物及び溶解性の難分解有機物の低分子化を促進させることで、嫌気性細菌による分解過程を短縮し、より効率よく短期間で汚泥中の有機固形物を分解、液化し、汚泥中に含まれている有機物をガス化することで汚泥の発生量を減容し、メタンガスの発生を促進させることができる汚泥の嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の嫌気性処理方法は、汚泥の嫌気性消化において、余剰汚泥に前処理として粘度低下処理を施し、これに加水分解酵素を添加することにより、ガス発生量を増加させるとともに、発生汚泥の減容化を図るようにしたことを特徴とする。
【0006】
上記の構成からなる本発明の汚泥の嫌気性処理方法は、嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施しているため、主体とする微生物の細胞壁が強固で容易には分解しない余剰汚泥であっても、細菌細胞壁を人為的に破砕することができるので、粘性物質を分解し粘度を低下させることが容易にでき、さらに加水分解酵素を添加することで、前処理により破砕された細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物を低分子化することができ、嫌気性細菌及びメタン細菌によって分解され易い状態に転換させられるから、嫌気性消化を短時間で行うことができるようになる。
また、難分解性の有機固形物や、溶解性の難分解性有機物も低分子化することができるので、通常の嫌気性消化に比べ、排出する消化汚泥の減容化を図ることができ、かつメタンガス発生量を増加させることができる。
【0007】
この場合、余剰汚泥の粘度低下処理として、酸を添加した後、加熱処理を施すようにすることができる。
【0008】
これにより、余剰汚泥に酸を添加し加熱処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を分解し、容易に粘度を低下させることができる。
【0009】
また、この場合、余剰汚泥の粘度低下処理として、超音波処理を施すようにすることができる。
【0010】
これにより、嫌気性消化の前処理として、余剰汚泥に超音波処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を容易に分解し粘度を低下させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の嫌気性処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
以下、本発明の汚泥の嫌気性処理方法を、図1に示す大規模下水処理場に適用した場合のフローに基づいて説明する。
【0013】
産業排水等の有機性汚水や一般家庭から排出される下水は、大規模等の排水処理施設に設置された最終沈殿池1に導かれる。この最終沈殿池1では、流入する下水を重力にて固液沈降分離するようになっている。最終沈殿池1の槽底内に沈殿分離された固形分は、余剰汚泥としてこの最終沈殿池1の底部に接続された移送管20を介して引抜ポンプ19により引き抜かれ、汚泥貯留槽12に貯留される。また、この場合、一次消化槽9への汚泥投入量を減らし汚泥貯留槽12の必要容量を少なくするとともに、一次消化槽9の有機物負荷を適当にするため、余剰汚泥を濃縮機(図示省略)により濃縮してから汚泥貯留槽12に送ることが望ましい。
この汚泥貯留槽12に貯留された余剰汚泥は、その後ポンプ14により引き抜かれ、移送管21を介して次の酸加熱処理槽2に送られる。
【0014】
酸加熱処理槽2には、濃硫酸タンク6内に貯留された濃硫酸の適量を、ポンプ15、薬液配管22を介して添加するように構成する。
なお、この酸加熱処理槽2に添加供給する濃硫酸の量は、酸加熱処理槽2に投入される汚泥量1m3に対し、濃硫酸1L〜10L、好ましくは3Lを、前記ポンプ15、薬液配管22により添加するようにする。ここで、添加する酸は、濃硫酸の他に、塩酸、硫酸等、水処理系に悪影響を及ぼさない酸性溶液であれば特に限定するものではない。
また、酸加熱処理槽2内部には、該酸加熱処理槽2内に供給された余剰汚泥を適温に加温するためのヒータ13と、モータ等の駆動装置31、駆動軸32及び攪拌板33とからなる攪拌機3とを設置する。これにより、この酸加熱処理槽2の余剰汚泥を、ヒータ13と攪拌機3とにより加温するようにするが、この加温温度は、60℃〜100℃、好ましくは約80℃に、かつ均一温度となるよう加温するようにする。この場合、酸加熱処理槽2は、高温となった汚泥の熱を外部に逃がさないよう断熱することができる。
この酸加熱処理槽2にて酸添加後の均一に加温する加熱処理時間は、10分〜3時間程、好ましくは1時間以上滞留させるようにして行う。
【0015】
なお、この場合、酸加熱処理槽2内にて行う余剰汚泥の前処理として、図示省略したが、超音波処理にて行うこともできる。この超音波にて処理を行った場合、この超音波の周波数は、10〜80kHz、好ましくは15〜30kHz、投入エネルギーはg−TS当り10〜50kJ、好ましくは15〜30kJがよい。
また、超音波処理を行う場合、後段のpH調整槽4は不要となり、酵素処理槽5へ直接汚泥を流入させることができる。
【0016】
このようにして酸加熱処理槽2内にて酸加熱処理された余剰汚泥を、次にpH調整槽4に供給する。このpH調整槽4においては、別設した苛性ソーダ(NaOH)タンク7から薬液配管23、ポンプ16を介して、余剰汚泥量に対応して適量の苛性ソーダを添加する。これにより、余剰汚泥はpH調整槽4にて中和されるようにする。
pH調整槽4にて添加苛性ソーダにより中和された余剰汚泥は、次に酵素処理糟5に送られる。この酵素処理糟5においては、別設した酵素貯留槽8に貯留した酵素を添加し酵素処理を行う。この添加酵素の量は、苛性ソーダと同じく、酵素処理糟5内に供給される余剰汚泥量に適したもので、適正な酵素処理が行えるようにしてその量を定めるものとする。この酵素供給用配管26にはバルブ17を備え、供給酵素量の調節を行えるようにする。
また、酵素処理槽5内は、酵素の至適温度に保持するのが好ましく、酵素処理槽5は必要によりヒータ等で加熱する。これにより酵素処理槽5に流入してくる汚泥の温度が使用する酵素の至適温度以上の場合は酸加熱処理槽2に移送される汚泥と熱交換するのも有効である。
また、酵素処理槽5内で1〜24時間、好ましくは2時間以上滞留させ、酵素処理を行うのが望ましい。なお、この酵素処理槽5を設けずに後段の一次消化槽9に直接酵素を添加してもよい。
【0017】
酵素処理糟5において酵素処理を行った余剰汚泥を、次に一次消化槽9に流入管24を介して供給するようにする。この一次消化槽9には、攪拌機3と同様に構成したモータ等の駆動装置、駆動軸及び攪拌板とからなる攪拌装置11を配設し、この一次消化槽9に供給された酵素処理後の余剰汚泥を攪拌しつつ、一次消化を行うようにする。
また、一時消化槽内に消化効率向上とスカム発生の予防を目的として攪拌装置11が設置されている場合は、酵素処理槽5を設けず、酵素を一次消化槽9で添加してもよく、その際には攪拌装置11の攪拌作用により酵素による有機物の低分子化が促進される。
また、流入管24を介して一次消化槽9に流入した汚泥は加温され、34〜36℃の中温消化温度範囲、又は50〜53℃の高温消化温度範囲に保持される。
【0018】
このように一次消化槽9内で一定期間滞留した汚泥は、ポンプ18、移送管25によりこの一次消化槽9と別設した二次消化槽10に移送され、二次消化槽10において沈降分離される。通常の嫌気性消化においては、発生汚泥量が1/3〜1/5程度になると一般に言われているが、さらに酸加熱処理による汚泥可溶化効果、酵素添加による有機物の低分子化に伴うメタンガス発生効率向上効果などによりさらに20%〜50%程度発生汚泥量を削減できる。
また、汚泥中の固形有機物は、その大部分がガス化するので二次消化槽10に沈殿する汚泥は有機物含有量が少なく、高濃度にリンを含んだ汚泥を回収できる。この汚泥の回収は、二次消化槽10の底部に汚泥引抜管27を配管し、汚泥を排出するようにする。
なお、この一次消化槽9と二次消化槽10の上部には、ガス回収配管28を接続し、一次消化槽9、二次消化槽10内で発生するメタンガスを回収するようにし、これを燃料として利用できるようにする。
【0019】
なお、図1に示すフローは、余剰汚泥単独もしくは初沈汚泥と混合した状態のいずれにも適応可能であるが、余剰汚泥単独で使用するのが望ましい。
また、2段消化に即した一例を示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0020】
以下、作用について説明する。
嫌気性消化過程は、2段階に大きく分けることができる。第1段階は、酸生成菌とよばれる細菌グループの酵素作用(主として加水分解作用、脱アミノ作用)によって汚泥中の炭水化物、脂肪、タンパク質などが低級脂肪酸、アルデヒド及びアルコールなどの低分子有機物にまで分解される液化過程と、第2段階は、主として第1段階で生成された低級脂肪酸がメタン細菌によってメタンと炭酸ガスに分解されるガス化過程とである。
嫌気性消化の好適温度は、約34〜36℃の中温消化と、約50〜53℃の高温消化に区別され、高温消化はガス発生量の増大や消化日数の短縮などの利点を有するが、温度変化に敏感であることや、熱源の問題から不利である。そのため、一般には、発生ガスを燃料にして、中温消化の好適温度である35℃前後に加温される。しかし、このような嫌気性消化に好適な条件のもとにおいても消化日数は30日程度要するのが普通であり、それだけ消化槽の規模も大きくなっていた。
また、嫌気性消化過程のすべてを嫌気性細菌に依存しているため、メタンガスと炭酸ガスにまで分解されずに残った溶解性の有機物が存在しさらに二次処理の必要があった。
【0021】
また、大規模処理場で発生する汚泥には初沈汚泥と余剰汚泥があり、ここで繊維質を主体とする初沈汚泥に比べ、微生物主体の余剰汚泥は、消化率及びメタン収率が低く、エネルギー回収を目的とした性能向上には消化率及びメタン収率の向上が重要である。
そこで、本発明では、余剰汚泥の嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施す。この前処理の粘度低下処理として、酸を添加し加熱処理を行う方法と、又は超音波処理を行う方法とがある。このように粘度低下処理を施した後、酵素処理を行うことで人為的に液化を促進することができ、消化日数を短縮し、メタンガス発生量を増加させることができる。そのため、消化槽の前段に前処理工程を設け、余剰汚泥が前処理工程に流入できるようにする。
【0022】
前処理工程に流入した汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁は、酸を添加した後、加熱処理を行うことにより、又は超音波処理を行うことにより、汚泥中の細菌細胞壁は破砕され、細菌細胞内の原形質が細胞外へ流出する。同時に粘性物質も分解され汚泥の粘度が低下する。
酸加熱処理槽の後段にpH調整槽を設け、酸加熱処理を行った汚泥は、pH調整槽4で苛性ソーダを添加し中和処理した後、酵素処理槽で所定の温度にした汚泥に酵素を添加すると、酸加熱処理により破砕された細菌細胞壁などの汚泥中の有機物が酵素の働きにより、容易に低分子化され、溶解性の難分解有機物も適量添加される酵素の働きにより低分子化することができる。
【0023】
また、酸加熱処理により粘度が低下しているため、酵素の基質との接触回数が増え、さらに有機物の低分子化が促進される。そのため消化槽では汚泥中の有機物を分解、低分子化する液化過程が不要となる、あるいはごく短時間で済むため、嫌気性消化過程そのものも短時間で済む。
また、液化過程で作用する酸生成菌の負荷が前処理により小さくなっているため、その分さらに有機物の分解、低分子化の促進が期待できる。汚泥中の有機物の低分子化が促進されることにより排出汚泥量が減少し、またメタンガスの発生量も増加するため、消化槽の加温やガス発電などに有効に利用できる。
【0024】
ここで使用する酵素は、加水分解酵素のなかで、タンパク質分解酵素及び細菌の細胞壁を分解するグルカナーゼ系の酵素が有効である。特に有効な酵素を出す起源微生物として、タンパク質分解酵素では、Aspergillus niger、Aspergillus saitoi、Aspergillus oryzae、Aspergillus melleus、Penicillium duponti、Rhizopus niveus、Rhizopus delemar、Bacillus subtilis、Bacillus stearothermophilus、Bacillus lichenifbmis、Bacillus thermoproteolyticus、Streptomyces griseus、Papaya carica、糸状菌などがある。
また、有効なグルカナーゼ系の酵素を出す起源微生物として、Pseudomonas sp.、Aspergillus niger、Aspergillus sp.、Rhizoctonia salani、Humicola insolens、Trichoderma、Arthrobacter sp.などがある。
これら起源の酵素剤を用いることが有効である。
産業用に用いられる市販のタンパク質分解酵素では、洛東化成工業(株)のエンチロンFA CONC、大和化成(株)のプロチンP、プロチンAY、三共(株)のコクラーゼP、阪急バイオインダストリー(株)のオリエンターゼ20A、オリエンターゼ90N、新日本化学工業(株)のスミチームAP、スミチームLPL、スミチームLP、スミチームMP、スミチームCP、ヤクルト薬品工(株)のアロアーゼAP−10などがあげられる。また、市販のグルカナーゼ系酵素では、大和化成(株)のツニカーゼFM、ノボザイム社のビスコザイム、天野エンザイム(株)のYL−NLアマノなどがあげられ、これらの製品及びその成分が類似しているものを用いることが有効である。
【0025】
このようにして余剰汚泥の嫌気性消化の前処理として、酸加熱処理又は超音波処理を施し、さらに酵素処理を行うことで、通常の嫌気性消化法では分解できない、又は分解に長期間を要する細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物も人為的に低分子化できるので、従来は一次消化槽で分解していた汚泥中の固形有機物及び溶解性の有機物は減少し、一次消化槽でもメタン細菌によるガス化が生じるので消化日数を短縮できる。
また、固形有機物の大半が分解、ガス化されるため、二次消化槽から排出する汚泥固形物の量は減少し、従来法の20%〜50%程度削減でき、また低分子化された有機物量が増大しているのでメタンガス発生量も従来法と比較して20%〜80%程度増加する。
【0026】
さらに本発明では、嫌気性消化の前処理として酵素処理を行うにあたり汚泥温度を約50℃に保持し、また、メタンガス発生量の増加及び嫌気性消化期間の短縮による消化槽の小型化が可能となる。したがって従来法に比べ、消化槽の加温に利用可能なメタンガスを多量に得ることができ、容量的にも比較的少ない熱量で槽内全体を昇温できるから50〜53℃の温度範囲が最適とされる高温消化に適用するのに有利である。
高温消化を用いることで中温消化が主流の従来法に比べ、さらに消化期間を短縮でき、ガス発生量が増加する。したがって、大規模処理場において、消化槽の更新や新設に好適な技術として採用することができる。
【0027】
以上、本発明の汚泥の嫌気性処理方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0028】
【発明の効果】
本発明の汚泥の嫌気性処理方法によれば、嫌気性消化の前処理として粘度低下処理を施しているため、主体とする微生物の細胞壁が強固で容易には分解しない余剰汚泥であっても、細菌細胞壁を人為的に破砕することができるので、粘性物質を分解し粘度を低下させることが容易にでき、さらに加水分解酵素を添加することで、前処理により破砕された細菌細胞壁や溶解性の難分解有機物を低分子化することができ、嫌気性細菌及びメタン細菌によって分解され易い状態に転換させられるから、嫌気性消化を短時間で行うことができるようになる。
また、難分解性の有機固形物や、溶解性の難分解性有機物も低分子化することができるので、通常の嫌気性消化に比べ、排出する消化汚泥の減容化を図ることができ、かつメタンガス発生量を増加させることができる。
【0029】
また、余剰汚泥に酸を添加し加熱処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を分解し、容易に粘度を低下させることができる。
【0030】
また、嫌気性消化の前処理として、余剰汚泥に超音波処理を施すことで、汚泥中の有機固形物である細菌細胞壁を人為的に破砕することができ、粘性物質を容易に分解し粘度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による汚泥の嫌気性処理方法を実施するための水処理設備のフロー図である。
【符号の説明】
1 最終沈殿池
2 酸加熱処理槽
3 攪拌機
31 駆動装置
32 駆動軸
33 攪拌板
4 pH調整槽
5 酵素処理槽
6 濃硫酸タンク
7 苛性ソーダタンク
8 酵素貯留槽
9 一次消化槽
10 二次消化槽
11 攪拌装置
12 汚泥貯留槽
13 ヒータ
14 ポンプ
15 ポンプ
16 ポンプ
17 バルブ
18 ポンプ
19 ポンプ
20 移送管
21 移送管
22 薬液配管
23 薬液配管
24 流入管
25 移送管
26 酵素供給用配管
27 汚泥引抜管
28 ガス回収配管
Claims (3)
- 汚泥の嫌気性消化において、余剰汚泥に前処理として粘度低下処理を施し、これに加水分解酵素を添加することにより、ガス発生量を増加させるとともに、発生汚泥の減容化を図るようにしたことを特徴とする汚泥の嫌気性処理方法。
- 余剰汚泥の粘度低下処理として、酸を添加した後、加熱処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の汚泥の嫌気性処理方法。
- 余剰汚泥の粘度低下処理として、超音波処理を施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の汚泥の嫌気性処理方法。
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