JP2004290305A - ハサミ - Google Patents
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Abstract
【課題】ハサミを操作する手の動きと直結した繊細で滑らかなタッチで動刃と静刃とを動かすことができ、優れた使用感を得ることができるハサミを提供する。
【解決手段】動刃2と静刃3とに穿孔された貫通孔20、30をそれぞれ重ね合わせ、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4が静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めジネ5によって枢着されてなり、ユニバーサルボルト4のジョイント部4aが、重ね合わせた動刃2と静刃3との境界部分に位置するようになされたハサミ1である。
【選択図】 図2
【解決手段】動刃2と静刃3とに穿孔された貫通孔20、30をそれぞれ重ね合わせ、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4が静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めジネ5によって枢着されてなり、ユニバーサルボルト4のジョイント部4aが、重ね合わせた動刃2と静刃3との境界部分に位置するようになされたハサミ1である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハサミに関するものであり、例えば、洋バサミ、金切りバサミ、園芸バサミ、理美容用バサミなど、種々のハサミに利用される。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ハサミを使用する場合、ハサミを構成する二枚の刃の把手部分に指を入れて操作することで、支持ピンを中心に二枚の刃の刃線先が擦れ合って刃と刃との間に挟持した被切断物を切断することができるようになされている。
【0003】
この場合、刃は、刃を開いた状態では、支持ピン寄りの基端部側の刃線が摺動密着した状態となり、刃を閉じた状態では、刃先部側の刃線が摺動密着した状態となるように、少なくとも刃線部分が湾曲するようになされており、使用状態に応じて撓むこととなる。したがって、これらの刃を枢着している支持ピンと止めネジとの間には、刃の撓みに抗して応力が加わることとなる。
【0004】
このように刃が撓んだり、この刃の撓みに抗して支持ピンと止めネジとの間に応力が加わり続けると、ハサミは、刃線部分の湾曲が緩くなったり、支持ピンと止めネジとの枢着具合が緩くなったりして、被切断物の切れ味が変わってくることとなる。
【0005】
そこで、従来より、このようなハサミの支持ピンと止めネジとの枢着具合を調整できるようにすることで、被切断物の切れ味が変わらないようにすることが行われている(例えば、実用新案文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
実開昭54−175682号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のハサミの場合、支持ピンと止めネジとの枢着具合を調整することができるので使用感が低下しないように調整することはできるが、支持ピン自体は、二枚の刃に穿孔された貫通孔を貫通する棒状のものであるため、使用感自体を改善することはできない。
【0008】
そのため、重ね合わせた二枚の刃の間に滑動板などを設けることで使用感を改善することが提案されているが、三次元的に動こうとする二枚の刃を、貫通孔を貫通する棒状の支持ピンで規制してしまうので、手の動きと刃とが一体化した繊細で滑らかな使用感が得られない。
【0009】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、優れた使用感を得ることができるハサミを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のハサミは、二枚の刃に穿孔された貫通孔をそれぞれ重ね合わせ、一方の刃の貫通孔から挿通したユニバーサルボルトが他方の刃の貫通孔を貫通した位置で止めジネによって枢着されてなり、ユニバーサルボルトのジョイント部が、重ね合わせた一方の刃と他方の刃との境界部分に位置するようになされたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明に係るハサミ1の全体構成の概略を示し、図2は同ハサミ1の要部断面を示している。
【0013】
すなわち、このハサミ1は、動刃2と静刃3とに穿孔された貫通孔20、30をそれぞれ重ね合わせ、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4を、静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めネジ5によって枢着したものであって、ユニバーサルボルト4のジョイント部4aが、動刃2と静刃3との境界部分に位置するようになされている。
【0014】
動刃2の接合面21には、貫通孔20の周囲に凹溝部22が形成されている。この凹溝部22は、円形状となされており、その深さは、動刃2の把持部23から刃先部24に向けて連続的に徐々に深くなるように形成されている。動刃2の刃線部25は、把持部23から刃先部24に向かうに従って接合面21の方向に若干湾曲するように形成されている。動刃2の外面(接合面20の背面)側には、ユニバーサルボルト4の頭部材41が納まる凹部26が形成されている。
【0015】
静刃3の接合面31にも、貫通孔30の周囲に凹溝部32が形成されている。この凹溝部32は、上記動刃2の凹溝部22と同様に、円形状となされており、その深さは、静刃3の把持部33から刃先部34に向けて連続的に徐々に深くなるように形成されている。貫通孔30のうち、静刃3の外面(接合面30の背面)側は、四角筒状に形成された支持孔30aが形成されている。静刃3の刃線部35は、把持部33から刃先部34に向かうに従って接合面31の方向に若干湾曲するように形成されている。
【0016】
ユニバーサルボルト4は、頭部材41と軸部材42とから構成されている。
【0017】
頭部材41は、ボルト頭から若干軸部が延設された断面略ハット型に形成されており、その中心部には、底部が略半円球状となされた凹部41aが形成され、その凹部41aの底部には、挿通孔41bが穿孔されている。
【0018】
軸部材42は、略半円球状の凹部41aに合致する直径の略球体状に形成された球体部42aから、ネジ軸部42bが延設されて形成されている。ネジ軸部42bの途中には、静刃3の貫通孔30の支持孔30aと合致する四角柱状の角軸部42cが形成されている。この角軸部42cは、頭部材41の挿通孔41bを通過するが、ネジ軸部42bの外径よりも大きくなるように、その外形状が決定されている。この各軸部42cの形状は、静刃3の貫通孔30の支持孔30aと合致する形状であれば、特に四角柱状に限定されのものではなく、六角柱状、その他の多角柱状に形成されたものであってもよい。ただし、その場合、静刃3の貫通孔30の支持孔30aも、各軸部42cに合致する多角筒状に形成しておく必要がある。
【0019】
このユニバーサルボルト4は、頭部材41の孔41bに軸部材42のネジ軸部42bを挿通させて、この軸部材42の球体部42aを頭部材41の凹部41aに嵌め込んだ状態にすることで、この球体部42aと凹部41aとによってジョイント部4aを形成するようになされている。このジョイント部4aによってユニバーサルボルト4は、球体部42aの約1/3が、凹部41aの孔41bから露出して頭部材41に対して軸部材42が自由に回転または傾くことができるようになされている。
【0020】
また、ユニバーサルボルト4は、動刃2の外面側から貫通孔20に挿通して動刃2の凹部26に頭部材41を収めた状態でジョイント部4aが接合面21に位置するようになされている。
【0021】
止めネジ5は、ユニバーサルボルト4の軸部材42のネジ軸部42bと螺合するようになされたもので、その外周面には、止めネジ5を指で容易に螺合できるようにローレット加工された滑り止め部51が形成されている。また、この螺合状態でユニバーサルボルト4の頭部材41と対向することとなる止ネジ5の内面側には、爪歯車52が周設されている。
【0022】
このハサミ1は、動刃2と静刃3との相対峙する接合面21、31の凹溝部22、32間に、この凹溝部22、32間に合致する滑動板6を挟持した状態で介し、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4を、静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めネジ5によって枢着して組み立てられる。この際、止めネジ5と静刃3との間には、弧状板バネ7が設けられる。
【0023】
この弧状板バネ7は、は、ユニバーサルボルト4を挿通する挿通孔71が設けられ、その一端部には、係止片72が突設され、静刃3の外側に設けた係止孔36に挿入係止するようになされている。そして、止めネジ5の螺合によって、弧状に反った弧状板バネ7が徐々に板状に延ばされ、この際発生する弾力によって、滑動板6を両面から挟持する凹溝部22と凹溝部32とを介して上記動刃2の接合面21と静刃3の接合面31との回動抵抗を決定するようになされている。すなわち、止めネジ5を固く螺合して弧状板バネ7による弾性力が強く働くようにすることで、動刃2の静刃3に対する回動が重くなる。また、止めネジ5を緩く螺合して弧状板バネ7による弾性力が弱く働くようにすることで、動刃2の静刃3に対する回動は軽くなる。この回動抵抗の調節は、止めネジ5の螺合具合を、使用者の好みに合わせて適当に調節することで容易に行うことができる。また、図3に示すように、この際調節した止めネジ5が緩まないように、弧状板バネ7に突起部73が突設され、この突起部73が止めネジ5の爪歯車52と噛合するようになされている。これにより、止めネジ5は、間欠的に回動するようになされている。弧状板バネ7の挿通孔71の近傍には、厚み方向に凹凸となる補強部74を形成してもよい。この場合、弧状板バネ7自身の持つ弾性力が挿通孔71の近傍で高まるので、止めネジ5を螺合させた際に、止めネジ5の爪歯車52と突起部73との噛合状態が止めネジ5の螺合状態に関係なく安定したものとなり、回動抵抗の調節を心地好く行うことができることとなる。
【0024】
このようにして構成されるハサミ1は、把手部23、33に指を入れて操作することで、動刃2の刃線部25と静刃の刃線部35とが擦れ合って、これら動刃2と静刃3との間に挟持した被切断物を切断することができる。この際、動刃2の刃線部25と静刃の刃線部35とを湾曲させているので、動刃2と静刃3とを開いた状態では、把手部23、33寄りの刃線部25、35が摺動密着した状態となり、動刃2と静刃3とを閉じた状態では、刃先部24、34、側の刃線25、35が摺動密着した状態となり、動刃2と静刃3との動きに追従してこれら動刃2と静刃3とが撓むこととなる。このように動刃2と静刃3とが撓んでも、その撓みの一部はユニバーサルボルト4のジョイント部4aが自在に傾いて吸収することとなる。したがって、使用者は、ハサミ1を操作する手の動きと直結した繊細で滑らかなタッチで動刃2と静刃3とを動かすことができることとなり、優れた使用感が得られる。
【0025】
なお、ハサミ1の使い心地は、止めネジ5の螺合具合によって、動刃2の凹溝部22および静刃3の凹溝部32間に嵌め込まれた滑動板6との相互の回動抵抗を調節することによって決定される。滑動板6は、潤滑剤(図示省略)を保持することができるように構成されたリング状のものであってもよいし、ベアリング(図示省略)などが内蔵されたものであってもよい。
【0026】
本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4は、頭部材41の孔41bに軸部材42のネジ軸部42bを挿通させて、この軸部材42の球体部42aを頭部材41の凹部41aに嵌め込んだ状態にしているが、この嵌め込んだ後、凹部41aにさらに蓋部材(図示省略)を設けたり、凹部41aを縮径加工したりして、頭部材41aと軸部材42とがバラバラにならないようにしたものであってもよい。
【0027】
また、本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4は、頭部材41と軸部材42とによって構成されているが、図4に示すように、頭部材41の部分を動刃2と一体化した状態であらかじめ構成しておき、実質的に軸部材42に相当する部分だけで構成したものであってもよい。図4において、図2と同部材には同符号を付して説明を省略する。また、ユニバーサルボルト4の頭部材41は、図5(a)および(b)に示すように、筒状の受部411と、この受部材411の一端部に螺合するブッシュ部材412とによって構成されたものであってもよい。受部材411は、他端部側に、切込み部411aが設けられ、軸部材42の球体部42aを圧入することができるように、その内周面に球面状の凹部411bが形成されている。なお、受部材411は、軸部材42の球体部42aをそのまま圧入可能な樹脂製である場合、図5(c)および(d)に示すように、切込み部411aが設けられていなくてもよい。また、図5(e)および(f)に示すように、受部材411の一端部側から軸部材42を挿通して凹部411bと球体部42aとを係合させ、軸部材42の抜け止めとしてブッシュ部材412を螺合するようにしたものであってもよい。図5において、図2と同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0028】
さらに、本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4のジョイント部4aは、凹部41aと球体部42aとによって形成された球関節であるが、このジョイント部4aとしては、頭部材41に対して軸部材42が周囲360度いずれの方向にでも傾くことができれば、特にこのような球関節によるジョイント部4aに限定されるものではなく、例えば、通常のボルトの軸部分のうち、本実施の形態で示すユニバーサルボルト4のジョイント部4aに相当する位置が切断され、これら切断された部分に可撓変形可能な樹脂材料または弾性材料が複合接着されてジョイント部4aを構成するようになされたものであってもよい。
【0029】
以上、本発明を理美容用のハサミ1に適用した場合の一実施例について説明したが、本発明はそれ以外の例えば、洋バサミ、金切りバサミ、園芸バサミ等、各種のハサミに適用することができるものである。したがって、本実施の形態で説明したハサミ1の場合、ユニバーサルボルト4と止めネジ5との枢着は、螺合によって行うようになされており、滑動板6や弧状板バネ7によって枢着具合を調整できるようになされているが、適用する他のハサミの種類によっては、螺合以外にも、ユニバーサルボルト4に対して止めネジ5の部分をカシメ止めして枢着具合を調整できないように固定してしまったハサミであってもよいし、滑動板6や弧状板バネ7を使用しないものであってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、ハサミを構成する二枚の刃の枢着に、ユニバーサルボルトと止めネジとを用い、ユニバーサルボルトのジョイント部が、重ね合わせた一方の刃と他方の刃との境界部分に位置するようにしているので、ハサミの使用時に二枚の刃が撓んでも、その撓みの一部はユニバーサルボルトのジョイント部が自在に傾いたりして吸収される。したがって、使用者は、ハサミを操作する手の動きと直結した繊細で滑らかなタッチで二枚の刃を動かすことができることとなり、優れた使用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるハサミの全体構成の概略を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかるハサミの一部を示す部分端面図である。
【図3】(a)および(b)は弧状板バネを示す平面図および側面図である。
【図4】本発明にかかる他の実施の形態におけるハサミの一部を示す部分端面図である。
【図5】(a)ないし(f)は、それぞれ本発明に係るハサミのユニバーサルボルトの他の実施の形態を示す分解断面図および断面図である。
【符号の説明】
1 ハサミ
2 動刃
20 貫通孔
3 静刃
30 貫通孔
4 ユニバーサルボルト
4a ジョイント部
5 止めネジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハサミに関するものであり、例えば、洋バサミ、金切りバサミ、園芸バサミ、理美容用バサミなど、種々のハサミに利用される。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ハサミを使用する場合、ハサミを構成する二枚の刃の把手部分に指を入れて操作することで、支持ピンを中心に二枚の刃の刃線先が擦れ合って刃と刃との間に挟持した被切断物を切断することができるようになされている。
【0003】
この場合、刃は、刃を開いた状態では、支持ピン寄りの基端部側の刃線が摺動密着した状態となり、刃を閉じた状態では、刃先部側の刃線が摺動密着した状態となるように、少なくとも刃線部分が湾曲するようになされており、使用状態に応じて撓むこととなる。したがって、これらの刃を枢着している支持ピンと止めネジとの間には、刃の撓みに抗して応力が加わることとなる。
【0004】
このように刃が撓んだり、この刃の撓みに抗して支持ピンと止めネジとの間に応力が加わり続けると、ハサミは、刃線部分の湾曲が緩くなったり、支持ピンと止めネジとの枢着具合が緩くなったりして、被切断物の切れ味が変わってくることとなる。
【0005】
そこで、従来より、このようなハサミの支持ピンと止めネジとの枢着具合を調整できるようにすることで、被切断物の切れ味が変わらないようにすることが行われている(例えば、実用新案文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
実開昭54−175682号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のハサミの場合、支持ピンと止めネジとの枢着具合を調整することができるので使用感が低下しないように調整することはできるが、支持ピン自体は、二枚の刃に穿孔された貫通孔を貫通する棒状のものであるため、使用感自体を改善することはできない。
【0008】
そのため、重ね合わせた二枚の刃の間に滑動板などを設けることで使用感を改善することが提案されているが、三次元的に動こうとする二枚の刃を、貫通孔を貫通する棒状の支持ピンで規制してしまうので、手の動きと刃とが一体化した繊細で滑らかな使用感が得られない。
【0009】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、優れた使用感を得ることができるハサミを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のハサミは、二枚の刃に穿孔された貫通孔をそれぞれ重ね合わせ、一方の刃の貫通孔から挿通したユニバーサルボルトが他方の刃の貫通孔を貫通した位置で止めジネによって枢着されてなり、ユニバーサルボルトのジョイント部が、重ね合わせた一方の刃と他方の刃との境界部分に位置するようになされたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明に係るハサミ1の全体構成の概略を示し、図2は同ハサミ1の要部断面を示している。
【0013】
すなわち、このハサミ1は、動刃2と静刃3とに穿孔された貫通孔20、30をそれぞれ重ね合わせ、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4を、静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めネジ5によって枢着したものであって、ユニバーサルボルト4のジョイント部4aが、動刃2と静刃3との境界部分に位置するようになされている。
【0014】
動刃2の接合面21には、貫通孔20の周囲に凹溝部22が形成されている。この凹溝部22は、円形状となされており、その深さは、動刃2の把持部23から刃先部24に向けて連続的に徐々に深くなるように形成されている。動刃2の刃線部25は、把持部23から刃先部24に向かうに従って接合面21の方向に若干湾曲するように形成されている。動刃2の外面(接合面20の背面)側には、ユニバーサルボルト4の頭部材41が納まる凹部26が形成されている。
【0015】
静刃3の接合面31にも、貫通孔30の周囲に凹溝部32が形成されている。この凹溝部32は、上記動刃2の凹溝部22と同様に、円形状となされており、その深さは、静刃3の把持部33から刃先部34に向けて連続的に徐々に深くなるように形成されている。貫通孔30のうち、静刃3の外面(接合面30の背面)側は、四角筒状に形成された支持孔30aが形成されている。静刃3の刃線部35は、把持部33から刃先部34に向かうに従って接合面31の方向に若干湾曲するように形成されている。
【0016】
ユニバーサルボルト4は、頭部材41と軸部材42とから構成されている。
【0017】
頭部材41は、ボルト頭から若干軸部が延設された断面略ハット型に形成されており、その中心部には、底部が略半円球状となされた凹部41aが形成され、その凹部41aの底部には、挿通孔41bが穿孔されている。
【0018】
軸部材42は、略半円球状の凹部41aに合致する直径の略球体状に形成された球体部42aから、ネジ軸部42bが延設されて形成されている。ネジ軸部42bの途中には、静刃3の貫通孔30の支持孔30aと合致する四角柱状の角軸部42cが形成されている。この角軸部42cは、頭部材41の挿通孔41bを通過するが、ネジ軸部42bの外径よりも大きくなるように、その外形状が決定されている。この各軸部42cの形状は、静刃3の貫通孔30の支持孔30aと合致する形状であれば、特に四角柱状に限定されのものではなく、六角柱状、その他の多角柱状に形成されたものであってもよい。ただし、その場合、静刃3の貫通孔30の支持孔30aも、各軸部42cに合致する多角筒状に形成しておく必要がある。
【0019】
このユニバーサルボルト4は、頭部材41の孔41bに軸部材42のネジ軸部42bを挿通させて、この軸部材42の球体部42aを頭部材41の凹部41aに嵌め込んだ状態にすることで、この球体部42aと凹部41aとによってジョイント部4aを形成するようになされている。このジョイント部4aによってユニバーサルボルト4は、球体部42aの約1/3が、凹部41aの孔41bから露出して頭部材41に対して軸部材42が自由に回転または傾くことができるようになされている。
【0020】
また、ユニバーサルボルト4は、動刃2の外面側から貫通孔20に挿通して動刃2の凹部26に頭部材41を収めた状態でジョイント部4aが接合面21に位置するようになされている。
【0021】
止めネジ5は、ユニバーサルボルト4の軸部材42のネジ軸部42bと螺合するようになされたもので、その外周面には、止めネジ5を指で容易に螺合できるようにローレット加工された滑り止め部51が形成されている。また、この螺合状態でユニバーサルボルト4の頭部材41と対向することとなる止ネジ5の内面側には、爪歯車52が周設されている。
【0022】
このハサミ1は、動刃2と静刃3との相対峙する接合面21、31の凹溝部22、32間に、この凹溝部22、32間に合致する滑動板6を挟持した状態で介し、動刃2の貫通孔20から挿通したユニバーサルボルト4を、静刃3の貫通孔30を貫通した位置で止めネジ5によって枢着して組み立てられる。この際、止めネジ5と静刃3との間には、弧状板バネ7が設けられる。
【0023】
この弧状板バネ7は、は、ユニバーサルボルト4を挿通する挿通孔71が設けられ、その一端部には、係止片72が突設され、静刃3の外側に設けた係止孔36に挿入係止するようになされている。そして、止めネジ5の螺合によって、弧状に反った弧状板バネ7が徐々に板状に延ばされ、この際発生する弾力によって、滑動板6を両面から挟持する凹溝部22と凹溝部32とを介して上記動刃2の接合面21と静刃3の接合面31との回動抵抗を決定するようになされている。すなわち、止めネジ5を固く螺合して弧状板バネ7による弾性力が強く働くようにすることで、動刃2の静刃3に対する回動が重くなる。また、止めネジ5を緩く螺合して弧状板バネ7による弾性力が弱く働くようにすることで、動刃2の静刃3に対する回動は軽くなる。この回動抵抗の調節は、止めネジ5の螺合具合を、使用者の好みに合わせて適当に調節することで容易に行うことができる。また、図3に示すように、この際調節した止めネジ5が緩まないように、弧状板バネ7に突起部73が突設され、この突起部73が止めネジ5の爪歯車52と噛合するようになされている。これにより、止めネジ5は、間欠的に回動するようになされている。弧状板バネ7の挿通孔71の近傍には、厚み方向に凹凸となる補強部74を形成してもよい。この場合、弧状板バネ7自身の持つ弾性力が挿通孔71の近傍で高まるので、止めネジ5を螺合させた際に、止めネジ5の爪歯車52と突起部73との噛合状態が止めネジ5の螺合状態に関係なく安定したものとなり、回動抵抗の調節を心地好く行うことができることとなる。
【0024】
このようにして構成されるハサミ1は、把手部23、33に指を入れて操作することで、動刃2の刃線部25と静刃の刃線部35とが擦れ合って、これら動刃2と静刃3との間に挟持した被切断物を切断することができる。この際、動刃2の刃線部25と静刃の刃線部35とを湾曲させているので、動刃2と静刃3とを開いた状態では、把手部23、33寄りの刃線部25、35が摺動密着した状態となり、動刃2と静刃3とを閉じた状態では、刃先部24、34、側の刃線25、35が摺動密着した状態となり、動刃2と静刃3との動きに追従してこれら動刃2と静刃3とが撓むこととなる。このように動刃2と静刃3とが撓んでも、その撓みの一部はユニバーサルボルト4のジョイント部4aが自在に傾いて吸収することとなる。したがって、使用者は、ハサミ1を操作する手の動きと直結した繊細で滑らかなタッチで動刃2と静刃3とを動かすことができることとなり、優れた使用感が得られる。
【0025】
なお、ハサミ1の使い心地は、止めネジ5の螺合具合によって、動刃2の凹溝部22および静刃3の凹溝部32間に嵌め込まれた滑動板6との相互の回動抵抗を調節することによって決定される。滑動板6は、潤滑剤(図示省略)を保持することができるように構成されたリング状のものであってもよいし、ベアリング(図示省略)などが内蔵されたものであってもよい。
【0026】
本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4は、頭部材41の孔41bに軸部材42のネジ軸部42bを挿通させて、この軸部材42の球体部42aを頭部材41の凹部41aに嵌め込んだ状態にしているが、この嵌め込んだ後、凹部41aにさらに蓋部材(図示省略)を設けたり、凹部41aを縮径加工したりして、頭部材41aと軸部材42とがバラバラにならないようにしたものであってもよい。
【0027】
また、本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4は、頭部材41と軸部材42とによって構成されているが、図4に示すように、頭部材41の部分を動刃2と一体化した状態であらかじめ構成しておき、実質的に軸部材42に相当する部分だけで構成したものであってもよい。図4において、図2と同部材には同符号を付して説明を省略する。また、ユニバーサルボルト4の頭部材41は、図5(a)および(b)に示すように、筒状の受部411と、この受部材411の一端部に螺合するブッシュ部材412とによって構成されたものであってもよい。受部材411は、他端部側に、切込み部411aが設けられ、軸部材42の球体部42aを圧入することができるように、その内周面に球面状の凹部411bが形成されている。なお、受部材411は、軸部材42の球体部42aをそのまま圧入可能な樹脂製である場合、図5(c)および(d)に示すように、切込み部411aが設けられていなくてもよい。また、図5(e)および(f)に示すように、受部材411の一端部側から軸部材42を挿通して凹部411bと球体部42aとを係合させ、軸部材42の抜け止めとしてブッシュ部材412を螺合するようにしたものであってもよい。図5において、図2と同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0028】
さらに、本実施の形態において、ハサミ1に使用しているユニバーサルボルト4のジョイント部4aは、凹部41aと球体部42aとによって形成された球関節であるが、このジョイント部4aとしては、頭部材41に対して軸部材42が周囲360度いずれの方向にでも傾くことができれば、特にこのような球関節によるジョイント部4aに限定されるものではなく、例えば、通常のボルトの軸部分のうち、本実施の形態で示すユニバーサルボルト4のジョイント部4aに相当する位置が切断され、これら切断された部分に可撓変形可能な樹脂材料または弾性材料が複合接着されてジョイント部4aを構成するようになされたものであってもよい。
【0029】
以上、本発明を理美容用のハサミ1に適用した場合の一実施例について説明したが、本発明はそれ以外の例えば、洋バサミ、金切りバサミ、園芸バサミ等、各種のハサミに適用することができるものである。したがって、本実施の形態で説明したハサミ1の場合、ユニバーサルボルト4と止めネジ5との枢着は、螺合によって行うようになされており、滑動板6や弧状板バネ7によって枢着具合を調整できるようになされているが、適用する他のハサミの種類によっては、螺合以外にも、ユニバーサルボルト4に対して止めネジ5の部分をカシメ止めして枢着具合を調整できないように固定してしまったハサミであってもよいし、滑動板6や弧状板バネ7を使用しないものであってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、ハサミを構成する二枚の刃の枢着に、ユニバーサルボルトと止めネジとを用い、ユニバーサルボルトのジョイント部が、重ね合わせた一方の刃と他方の刃との境界部分に位置するようにしているので、ハサミの使用時に二枚の刃が撓んでも、その撓みの一部はユニバーサルボルトのジョイント部が自在に傾いたりして吸収される。したがって、使用者は、ハサミを操作する手の動きと直結した繊細で滑らかなタッチで二枚の刃を動かすことができることとなり、優れた使用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるハサミの全体構成の概略を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかるハサミの一部を示す部分端面図である。
【図3】(a)および(b)は弧状板バネを示す平面図および側面図である。
【図4】本発明にかかる他の実施の形態におけるハサミの一部を示す部分端面図である。
【図5】(a)ないし(f)は、それぞれ本発明に係るハサミのユニバーサルボルトの他の実施の形態を示す分解断面図および断面図である。
【符号の説明】
1 ハサミ
2 動刃
20 貫通孔
3 静刃
30 貫通孔
4 ユニバーサルボルト
4a ジョイント部
5 止めネジ
Claims (1)
- 二枚の刃に穿孔された貫通孔をそれぞれ重ね合わせ、一方の刃の貫通孔から挿通したユニバーサルボルトが他方の刃の貫通孔を貫通した位置で止めジネによって枢着されてなり、
ユニバーサルボルトのジョイント部が、重ね合わせた一方の刃と他方の刃との境界部分に位置するようになされたことを特徴とするハサミ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084460A JP2004290305A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | ハサミ |
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JP2003084460A JP2004290305A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | ハサミ |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004290305A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200449830Y1 (ko) | 2008-07-03 | 2010-08-12 | 박정주 | 복수날도구용 고정구 |
JP2018079186A (ja) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | 足立工業株式会社 | 理美容鋏 |
JP2021104147A (ja) * | 2019-12-26 | 2021-07-26 | 株式会社刃物屋トギノン | 鋏 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084460A patent/JP2004290305A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200449830Y1 (ko) | 2008-07-03 | 2010-08-12 | 박정주 | 복수날도구용 고정구 |
JP2018079186A (ja) * | 2016-11-18 | 2018-05-24 | 足立工業株式会社 | 理美容鋏 |
JP2021104147A (ja) * | 2019-12-26 | 2021-07-26 | 株式会社刃物屋トギノン | 鋏 |
JP7165407B2 (ja) | 2019-12-26 | 2022-11-04 | 株式会社刃物屋トギノン | 鋏 |
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