JP2004289420A - ミキサ回路 - Google Patents

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Shigetaka Suzuki
重孝 鈴木
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Abstract

【課題】FET15、15からなる第1及び第2ミキサ6、6に局部発振信号を供給する際、FET15、15のドレインにフェーズノイズを生じることなしに回路構成の簡素化及び消費電力の低減化を達成するミキサ回路を提供する。
【解決手段】第1高周波信号と第1局部発振信号とを周波数混合して第1周波数混合信号を発生する第1FET15と、第2高周波信号と第2局部発振信号とを周波数混合して第2周波数混合信号を発生する第2FET15と、一つの局部発振器4とを備え、第1及び第2局部発振信号は、一つの局部発振器4の局部発振信号を分波器4で分波して得られたもので、周波数が同一であり、位相が略180°異なるものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミキサ回路に係り、特に、衛星放送を受信する2出力ダウンコンバータ等に用いられ、受信した高周波信号と局部発振信号とを混合して中間周波数信号を形成するミキシング素子に電界効果トランジスタ(以下、これをFETという)を用いたミキサ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放送衛星から送信された放送電波を受信し、その受信信号を2つのBS受信機に供給する際にブロックコンバータが用いられる。
【0003】
図4は、かかる既知のブロックコンバータの要部構成を示すブロック図であって、一例として、特開平10−100506号に開示のものである。
【0004】
図4に示されるように、このブロックコンバータは、アンテナ(図示なし)で受信した衛星放送電波を分波して得られた左旋偏波信号(L信号、以下、これを第1高周波信号という)が供給される第1入力端子31と、同じく右旋偏波信号(R信号、以下、これを第2高周波信号という)が供給される第2入力端子31と、第1高周波信号を増幅する第1低雑音増幅器32と、第2高周波信号を増幅する第2低雑音増幅器32と、増幅した第1高周波信号の中の不要成分を除去する第1帯域通過フィルタ33と、増幅した第2高周波信号の中の不要成分を除去する第2帯域通過フィルタ33と、局部発振信号を発生する1つの局部発振器34と、増幅した第1高周波信号と局部発振信号とを周波数混合し、第1中間周波信号を発生する第1ミキサ35と、増幅した第2高周波信号と局部発振信号とを周波数混合し、第2中間周波信号を発生する第2ミキサ35と、第1及び第2入力端36、36と第1及び第2出力端37、37を有する信号切替回路38と、第1中間周波信号増幅器39と、第2中間周波信号増幅器39と、第1出力端子40と、第2出力端子40とからなる。この場合、1つの局部発振器34と第1ミキサ35と第2ミキサ35とからなる回路部分がミキサ回路を構成している。
【0005】
また、信号切替回路38は、第1及び第2入力端36、36と第1及び第2出力端37、37との間が選択的に接続され、接続されたときに信号伝送経路が形成されるもので、信号伝送経路の形成状態に対応した種々の信号伝送状態が得られる。例えば、第1入力端36と第1出力端37とが接続され、第2入力端36と第2出力端37とが接続されると、第1入力端36に供給された第1中間周波信号が第1出力端37に供給され、第2入力端36に供給された第2中間周波信号が第2出力端37に供給される。また、第1入力端36と第2出力端37とが接続され、第2入力端36と第1出力端37とが接続されると、第1中間周波信号が第2出力端37に供給され、第2中間周波信号が第1出力端37に供給される。さらに、第1入力端36と第1出力端37とが接続され、同時に、第2入力端36と第1出力端37とが接続されると、第1中間周波信号と第2中間周波信号がともに第1出力端37に供給される。同じように、第1入力端36と第2出力端37とが接続され、同時に、第2入力端36と第2出力端37とが接続されると、第1中間周波信号と第2中間周波信号がともに第2出力端37に供給される。このように、信号切替回路38の信号伝送経路を選択切替えることにより、第1中間周波信号及び第2中間周波信号をそれぞれ単独に、または、第1中間周波信号と第2中間周波信号の混合信号を第1出力端37及び/または第2出力端37から導出させることが可能になる。
【0006】
なお、前記の場合、第1高周波信号が左旋偏波信号(L信号)であり、第2高周波信号が右旋偏波信号(R信号)である例であるが、第1高周波信号が水平偏波信号(H信号)であり、第2高周波信号が垂直偏波信号(V信号)であっても同じような動作が行われる。
【0007】
ところで、既知のブロックコンバータにおいては、装置の小型化や製造コストの低減のために、構成部品点数を削減し、消費電力を低減することが行われており、具体的に、第1及び第2ミキサ35、35と1つの局部発振器34に、それぞれ本来低消費電力素子であるFETを用いたものが知られている。
【0008】
図5は、既知のこの種のミキサ回路、すなわち第1及び第2ミキサ35、35と1つの局部発振器34の具体的構成の一例を示す回路図である。
【0009】
なお、図5において、図4に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0010】
図5に示されるように、第1ミキサ35は、第1高周波信号入力端41と、第1中間周波信号出力端42と、FET43と、結合コンデンサ44、45と、バッファ抵抗46と、バイアス抵抗47と、局部発振信号入力端48と、ゲートバイアス電圧入力端49とからなる。第2ミキサ35は、第2高周波信号入力端41と、第1中間周波信号出力端42と、FET43と、結合コンデンサ44、45と、バッファ抵抗46と、バイアス抵抗47と、局部発振信号入力端48と、ゲートバイアス電圧入力端49からなる。また、局部発振器34は、局部発振信号出力端50と、FET51と、発振回路部52と、ドレイン負荷インピーダンス53と、ドレイン電圧供給端54とからなる。
【0011】
そして、局部発振器34は、FET51がゲートに接続された発振回路部52の回路定数に対応した周波数の局部発振信号を発生し、その局部発振信号をFET51のドレインから局部発振信号出力端50を通して局部発振信号入力端48及び局部発振信号入力端48に供給する。また、第1ミキサ35は、第1高周波信号が第1高周波信号入力端41から結合コンデンサ44を通してFET43のゲートに供給され、局部発振信号が局部発振信号入力端48からバッファ抵抗46を通してFET43のドレインに供給され、FET43において第1高周波信号と局部発振信号が周波数混合され、そのドレインに得られた第1中間周波信号が結合コンデンサ45を通して第1中間周波信号出力端42に供給される。同様に、第2ミキサ35は、第2高周波信号が第2高周波信号入力端41から結合コンデンサ44を通してFET43のゲートに供給され、局部発振信号が局部発振信号入力端48からバッファ抵抗46を通してFET43のドレインに供給され、FET43において第2高周波信号と局部発振信号が周波数混合され、そのドレインに得られた第2中間周波信号が結合コンデンサ45を通して第2中間周波信号出力端42に供給される。
【0012】
次いで、図6は、第1及び第2ミキサ35、35において、ドレインに局部発振信号だけを供給したときのFET43、43の動作点の変動状態の一例を示す特性図である。
【0013】
図6において、横軸はFET43、43のドレイン・ソース電圧(VDS)であり、縦軸はそのドレイン電流(I)であって、曲線AはFET43、43のドレイン・ソース間の電圧−電流特性曲線を表すものであり、信号LはFET43、43のドレインに供給された局部発振信号を表すものである。
【0014】
図6に示されるように、FET43、43は、ドレインに供給されるドレイン電圧VDS、すなわち局部発振信号Lの振幅値により、ドレイン電流Iが周期的にオンまたは略オフ状態になるもので、局部発振信号Lの正方向振幅値が大きくなると、その大きさに応じてドレイン電流Iが増大し、局部発振信号Lの正方向振幅値が小さくなると、その程度に応じてドレイン電流Iが減少する。このとき、FET43においては、ゲートに供給された第1高周波信号とドレインに供給された局部発振信号Lとが周波数混合され、ドレインに第1中間周波信号が形成され、同様に、FET43においては、ゲートに供給された第2高周波信号とドレインに供給された局部発振信号Lとが周波数混合され、ドレインに第2中間周波信号が形成される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知の第1及び第2ミキサ35、35は、それぞれミキシング素子としてFET43、43が用いられ、FET43、43のドレインに局部発振信号Lだけを供給する構成が採用されているので、第1及び第2ミキサ35、35の全体の回路構成が簡素化され、第1及び第2ミキサ35、35を含むブロックコンバータが小型化できるとともに、FET43、43の消費電力が低減され、ブロックコンバータが低消費電力特性を有するという利点がある。
【0016】
これに対し、前記既知の第1及び第2ミキサ35、35は、FET43、43がそれらのドレインに第1及び第2高周波信号と周波数混合する局部発振信号Lを受ける場合、一つの局部発振器34が発生した局部発振信号Lを略同じ位相状態で受けているため、局部発振器34からFET43、43のドレイン側を見たインピーダンスが局部発振信号Lの振幅値に対応して同じように変動する、すなわち第1FET43のインピーダンスが小さくなるとき、第2FET43のインピーダンスも小さくなり、一方、第1FET43のインピーダンスが大きくなるとき、第2FET43のインピーダンスも大きくなるように変動するようになり、その結果、その変動幅に対応してFET43、43のドレインに供給される局部発振信号Lの周波数が変化し、局部発振信号Lに好ましくないフェーズノイズ(位相雑音)が発生するようになる。この場合、発生するフェーズノイズの度合いは、局部発振信号Lの振幅値が最大になったときに基準位相に対して正方向に最大に移相し、その振幅値が最小になったときに基準位相に対して負方向に最大に移相するもので、このような最大移相時の周波数変化は基準局部発振周波数に対して約±50kHzに相当し、ブロックコンバータの周波数規格が満たされなくなり、何等かの対策が必要になる。
【0017】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、FETからなる2つのミキサに局部発振信号を供給する際、各FETのドレインにフェーズノイズを生じないようにし、回路構成の簡素化及び消費電力の低減化を達成するミキサ回路を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によるミキサ回路は、第1高周波信号と第1局部発振信号とを周波数混合して第1周波数混合信号を発生する第1FETと、第2高周波信号と第2局部発振信号とを周波数混合して第2周波数混合信号を発生する第2FETと、一つの局部発振器とを備え、前記第1及び第2局部発振信号は、前記一つの局部発振器の局部発振信号を分波して得られたもので、周波数が同一であり、位相が略180°異なるものである手段を備える。
【0019】
前記手段によれば、一つの局部発振器から第1FETに供給される第1局部発振信号と第2FETに供給される第2局部発振信号との周波数を同じにし、かつ、それらの位相が略180°異なるようにしたことにより、第1FETのインピーダンスが小さくなるとき、第2FETのインピーダンスが大きくなり、また、第1FETのインピーダンスが大きくなるとき、第2FETのインピーダンスが小さくなって、局部発振器から第1及び第2FETのドレイン側を見たインピーダンスが常時略一定になるので、局部発振信号に不所望なフェーズノイズが発生することを回避し、局部発振周波数の変動の発生を防ぐことができる。
【0020】
また、前記手段によれば、第1及び第2ミキサにFETを用い、かつ、一つの局部発振器を用いているので、回路構成の簡素化及び消費電力の低減化を達成することが可能になる。
【0021】
前記手段における第1及び第2FETは、それぞれ、ゲートに第1及び第2高周波信号が、ドレインに第1及び第2局部発振信号がそれぞれ供給され、第1及び第2FETの動作点は、供給された第1及び第2局部発振信号レベルによって変動するように設定されているものである。
【0022】
このような構成にすれば、第1及び第2FETのドレインへの直流供給回路を省くことができるので、一層、回路構成の簡素化及び消費電力の低減化を達成することが可能になる。
【0023】
前記手段における一つの局部発振器の局部発振信号は、分波する際に、一方の分波信号を移相させずに第1FETに第1局部発振信号として供給し、他方の分波信号を移相させて第2FETに第2局部発振信号として供給するようにしたものである。
【0024】
このような構成にすれば、局部発振信号を分波する際に、分波回路部の構成を単純にすることができるので、回路構成の簡素化の達成に大きく貢献する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明によるミキサ回路を用いたブロックコンバータの要部構成を示すブロック図であって、図4に図示されたブロックコンバータの要部構成に対応するものである。
【0027】
図1に示されるように、このブロックコンバータは、左旋偏波信号(第1高周波信号)が供給される第1入力端子1と、右旋偏波信号(第2高周波信号)が供給される第2入力端子1と、第1高周波信号を増幅する第1低雑音増幅器2と、第2高周波信号を増幅する第2低雑音増幅器2と、増幅した第1高周波信号中の不要成分を除去する第1帯域通過フィルタ3と、増幅した第2高周波信号中の不要成分を除去する第2帯域通過フィルタ3と、局部発振信号を発生する1つの局部発振器4と、局部発振信号を第1局部発振信号と第2局部発振信号に分波する分波器5と、増幅した第1高周波信号と第1局部発振信号とを周波数混合し、第1中間周波信号を発生する第1ミキサ6と、増幅した第2高周波信号と第2局部発振信号とを周波数混合し、第2中間周波信号を発生する第2ミキサ6と、第1入力端7及び第2入力端7と第2出力端8及び第2出力端8と制御端12とを有する信号切替回路9と、第1中間周波信号増幅器10と、第2中間周波信号増幅器10と、第1出力端子11と、第2出力端子11と、図示されないスイッチング制御部に接続された制御端子12からなる。この場合、1つの局部発振器4と分波器5と第1ミキサ6と第2ミキサ6とからなる回路部分がミキサ回路を構成する。
【0028】
また、信号切替回路9は、前述の信号切替回路38と同様に、第1及び第2入力端7、7と第1及び第2出力端8、8の間が選択的に接続され、接続されたときに信号伝送経路が形成されるもので、信号伝送経路の形成状態に対応した種々の信号伝送状態が得られる。例えば、第1入力端7と第1出力端子8とが接続され、第2入力端7と第2出力端8とが接続されると、第1入力端7に供給された第1中間周波信号が第1出力端8に供給され、第2入力端7に供給された第2中間周波信号が第2出力端8に供給される。また、第1入力端7と第2出力端8とが接続され、第2入力端7と第1出力端8とが接続されると、第1中間周波信号が第2出力端8に供給され、第2中間周波信号が第1出力端8に供給される。さらに、第1入力端7と第1出力端8とが接続され、同時に、第2入力端7と第1出力端8とが接続されると、第1中間周波信号と第2中間周波信号がともに第1出力端8に供給される。同じように、第1入力端7と第2出力端8とが接続され、同時に、第2入力端7と第2出力端8とが接続されると、第1中間周波信号と第2中間周波信号がともに第2出力端8に供給される。このように、信号切替回路9においても、その信号伝送経路を選択切替えることにより、第1中間周波信号及び第2中間周波信号をそれぞれ単独に、または、第1中間周波信号と第2中間周波信号の混合信号を第1出力端8及び/または第2出力端8から導出させることが可能になる。
【0029】
図1に図示のブロックコンバータは、次のように動作する。第1入力端子1に供給された第1高周波信号は、第1低雑音増幅器2で増幅され、第1帯域通過フィルタ3で不要信号成分が除去された後、第1ミキサ6に供給される。また、第2入力端子1に供給された第2高周波信号は、第2低雑音増幅器2で増幅され、第2帯域通過フィルタ3で不要信号成分が除去された後、第2ミキサ6に供給される。このとき、1つの局部発振器4から出力された局部発振信号は、分波器5で分波され、一方が第1局部発振信号として第1ミキサ6に供給され、他方が第2局部発振信号として第2ミキサ6に供給される。第1ミキサ6は、第1高周波信号と第1局部発振信号とを周波数混合して第1中間周波信号を第1入力端7に供給し、第2ミキサ6は、第2高周波信号と第2局部発振信号とを周波数混合して第2中間周波信号を第2入力端7に供給する。
【0030】
信号切替回路9は、スイッチング制御部の制御により、前述のように第1入力端7、第2入力端7と、第1出力端8、第2出力端8とが選択的に接続される。このような接続結果によって、第1中間周波信号及び/または第2中間周波信号が第1中間周波信号増幅器10を通して第1出力端子11に供給されたり、第1中間周波信号及び/または第2中間周波信号が第2中間周波信号増幅器10を通して第2出力端子11に供給されたりする。
【0031】
なお、本例においても、第1高周波信号が左旋偏波信号であり、第2高周波信号が右旋偏波信号であるが、第1高周波信号が水平偏波信号(H信号)であり、第2高周波信号が垂直偏波信号(V信号)であっても同じ動作になる。
【0032】
次に、図2は、図1に図示されたブロックコンバータにおけるミキサ回路の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を表す回路図であって、図5に図示されたミキサ回路に対応するものである。なお、図2において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0033】
図2に示されるように、第1ミキサ6は、第1高周波信号入力端13と、第1中間周波信号出力端14と、第1FET15と、結合コンデンサ16、17と、バッファ抵抗18と、バイアス抵抗19と、局部発振信号入力端20と、ゲートバイアス電圧入力端21とからなる。第2ミキサ6は、第2高周波信号入力端13と、第2中間周波信号出力端14と、第2FET15と、結合コンデンサ16、17と、バッファ抵抗18と、バイアス抵抗19と、局部発振信号入力端20と、ゲートバイアス電圧入力端21とからなる。また、局部発振器4は、FET22と、発振回路部23と、ドレイン負荷インピーダンス24と、局部発振信号出力端25と、ドレイン電圧供給端26とからなる。分波器5は、180°移相器5を含んでいる。
【0034】
そして、局部発振器4は、FET22がゲートに接続された発振回路部23の回路定数に対応した周波数の局部発振信号を発生し、その局部発振信号をFET22のドレインから局部発振信号出力端25を通して分波器5に供給する。分波器5は、供給された局部発振信号の一方を第1局部発振信号として直接局部発振信号入力端20に供給し、その他方を180°移相器5で180°移相させ、第1局部発振信号として局部発振信号入力端20に供給する。
【0035】
このとき、第1ミキサ6は、第1高周波信号が第1高周波信号入力端13から結合コンデンサ16を通して第1FET15のゲートに供給され、第1局部発振信号が局部発振信号入力端20からバッファ抵抗18を通して第1FET15のドレインに供給される。第1FET15においては、第1高周波信号と第1局部発振信号が周波数混合され、そのドレインに得られた第1中間周波信号が結合コンデンサ17を通して第1中間周波信号出力端14に供給される。同様に、第2ミキサ6は、第2高周波信号が第2高周波信号入力端13から結合コンデンサ16を通して第2FET15のゲートに供給され、第2局部発振信号が局部発振信号入力端20からバッファ抵抗18を通して第2FET15のドレインに供給される。第2FET15においては、第2高周波信号と第2局部発振信号が周波数混合され、そのドレインに得られた第2中間周波信号が結合コンデンサ17を通して第2中間周波信号出力端14に供給される。
【0036】
ここで、図3は、第1FET15のドレインに第1局部発振信号だけを、第2FET15のドレインに第2局部発振信号だけをそれぞれ供給したときの第1及び第2FET15、15の動作点変動状態の一例を示す特性図であって、図6に図示された特性図に対応するものである。
【0037】
図3において、横軸は第1及び第2FET15、15のドレイン・ソース電圧(VDS)であり、縦軸はそのドレイン電流(I)であって、曲線Aは両FET15、15のドレイン・ソース間の電圧−電流特性曲線を表し、実線Lは第1FET15のドレインに供給された第1局部発振信号、点線Lは第2FET15のドレインに供給された第2局部発振信号を表すものである。
【0038】
図3に示されるように、第1及び第2FET15、15は、既知のこの種の第1及び第2FET43、43と同様に、それぞれドレインに供給されるドレイン電圧VDS、すなわち局部発振信号Lの振幅値により、ドレイン電流Iが周期的にオンになったりまたは略オフ状態になったりする。
【0039】
この場合、第1FET15に供給される第1局部発振信号Lと、第2FET15に供給される第2局部発振信号Lとは、図3に示されるように、その位相が逆相(180°移相状態)になっている。このため、第1FET15においては、第1局部発振信号Lの正方向振幅値が大きくなって、その大きさに応じてドレイン電流Iが増大するとき、第2FET15においては、第2局部発振信号Lの正方向振幅値が小さくなって、その程度に応じてドレイン電流Iが減少するようになり、一方、第1FET15においては、第1局部発振信号Lの正方向振幅値が小さくなって、その程度に応じてドレイン電流Iが減少するとき、第2FET15においては、第2局部発振信号Lの正方向振幅値が大きくなって、その大きさに応じてドレイン電流Iが増大するようになる。
【0040】
このように、第1FET15と第2FET15においては、供給される第1及び第2局部発振信号Lの振幅値と流れるドレイン電流Iの大きさとが互いに逆の状態になるので、局部発振器4から第1FET15及び第2FET15の双方のドレイン側を見たインピーダンスは、第1及び第2局部発振信号Lの振幅値に係わりなく、総合的にその変化が極めて少なくなり、局部発振器4から出力される局部発振信号Lの周波数が変化し、局部発振信号Lに好ましくないフェーズノイズ(位相雑音)が発生するのを回避することができる。
【0041】
なお、前記実施の態様においては、分波器4として、局部発振信号の一方を第1局部発振信号として直接局部発振信号入力端20に供給し、その他方を180°移相器5で180°移相させて局部発振信号入力端20に供給する例を挙げて説明したが、分波器4をこのような簡単な構成にすることは好ましいことであるものの、本発明による分波器4は、このような構成のものに限られず、第1局部発振信号と第2局部発振信号と位相が逆相になる構成のものであれば、どのような構成のもの、例えば、2つの移相器を用いたものであってもよい。
【0042】
また、前記実施の態様においては、第1FET15及び第2FET15のドレインにそれぞれ第1及び第2局部発振信号Lだけを供給し、第1FET15及び第2FET15を動作させる例を挙げて説明したが、本発明によるミキサ回路は、第1FET15及び第2FET15のドレインを直流的にゼロバイアス状態で動作させる例に限られるものでなく、第1及び第2局部発振信号Lとともに比較的低い直流ドレイン電圧を供給するようにしても殆ど同じ機能を発揮させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、一つの局部発振器から第1FETに供給される第1局部発振信号と第2FETに供給される第2局部発振信号との周波数を同じにし、かつ、それらの位相が略180°異なるようにしたことにより、第1FETのインピーダンスが小さくなるとき、第2FETのインピーダンスが大きくなり、また、第1FETのインピーダンスが大きくなるとき、第2FETのインピーダンスが小さくなって、局部発振器から第1及び第2FETのドレイン側を見たインピーダンスが常時略一定になるので、局部発振信号に不所望なフェーズノイズが発生することを回避し、局部発振周波数の変動の発生を防ぐことができるとともに、第1及び第2ミキサにFETを用い、かつ、一つの局部発振器を用いているので、回路構成の簡素化及び消費電力の低減化を達成することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるミキサ回路を用いたブロックコンバータの要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に図示されたブロックコンバータにおけるミキサ回路の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を表す回路図である。
【図3】第1FETのドレインに第1局部発振信号だけを、第2FETのドレインに第2局部発振信号だけをそれぞれ供給したときの第1及び第2FETの動作点変動状態の一例を示す特性図である。
【図4】既知のブロックコンバータの要部構成を示すブロック図である。
【図5】既知のこの種のミキサ回路、すなわち第1及び第2ミキサと1つの局部発振器の具体的構成の一例を示す回路図である。
【図6】第1及び第2ミキサにおいて、ドレインに局部発振信号だけを供給したときのFETの動作点の変動状態の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
第1入力端子
第2入力端子
第1低雑音増幅器
第2低雑音増幅器
第1帯域通過フィルタ
第2帯域通過フィルタ
4 1つの局部発振器
5 分波器
180°移相器
第1ミキサ
第2ミキサ
第1入力端
第2入力端
第2出力端
第2出力端
9 信号切替回路
10 第1中間周波信号増幅器
10 第2中間周波信号増幅器
11 第1出力端子
11 第2出力端子
12 制御端子
12 制御端
13 第1高周波信号入力端
13 、第2高周波信号入力端
14 第1中間周波信号出力端
14 第2中間周波信号出力端
15 第1FET
15 第2FET
16、16、17、17 結合コンデンサ
18、18 バッファ抵抗
19、19 バイアス抵抗
20、20 局部発振信号入力端
21、21 ゲートバイアス電圧入力端
22 FET
23 発振回路部
24 ドレイン負荷インピーダンス
25 局部発振信号出力端25
26 ドレイン電圧供給端

Claims (4)

  1. 第1高周波信号と第1局部発振信号とを周波数混合して第1周波数混合信号を発生する第1FETと、第2高周波信号と第2局部発振信号とを周波数混合して第2周波数混合信号を発生する第2FETと、一つの局部発振器とを備え、前記第1及び第2局部発振信号は、前記一つの局部発振器の局部発振信号を分波して得られたもので、周波数が同一であり、位相が略180°異なるものであることを特徴とするミキサ回路。
  2. 前記第1及び第2FETは、それぞれ、ゲートに前記第1及び第2高周波信号が、ドレインに前記第1及び第2局部発振信号がそれぞれ供給され、第1及び第2FETの動作点は、供給された第1及び第2局部発振信号レベルによって変動するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のミキサ回路。
  3. 前記一つの局部発振器の局部発振信号は、分波する際に、一方の分波信号を移相させずに前記第1FETに第1局部発振信号として供給し、他方の分波信号を移相させて前記第2FETに前記第2局部発振信号として供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のミキサ回路。
  4. 前記第1FET及び前記第2FETそれに前記一つの局部発振器は、供給された第1高周波信号及び第2高周波信号を第1中間周波信号及び第2中間周波信号に周波数変換するブロックコンバータを構成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミキサ回路。
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