JP2004288931A - 多数個取り配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック母基板の機械的強度を維持しつつ各配線基板領域に容易・確実に撓折することができる多数個取り配線基板を提供する。
【解決手段】四角形状の配線基板領域4が縦横に配列形成されたセラミック母基板1の両主面に、配線基板領域4の境界線上に分割溝2を縦横に形成して成る多数個取り配線基板において、分割溝2のうち、セラミック母基板1の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成下多数個取り配線基板である。
【選択図】 図1
【解決手段】四角形状の配線基板領域4が縦横に配列形成されたセラミック母基板1の両主面に、配線基板領域4の境界線上に分割溝2を縦横に形成して成る多数個取り配線基板において、分割溝2のうち、セラミック母基板1の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成下多数個取り配線基板である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品が塔載される配線基板を広面積の母基板中に縦横に多数個配列して成る多数個取り配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品を塔載するために用いられる配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料から成る略四角平板状の絶縁基体の上面に電子部品を塔載するための電子部品塔載部を有し、この電子部品塔載部またはその周辺から絶縁基体の下面にかけて複数の配線導体が配設されて成る。そして、絶縁基体の電子部品搭載部に電子部品を塔載固定するとともに電子部品の電極をボンディングワイヤや半田等の電気的接続手段を介して配線導体に電気的に接続し、必要に応じて電子部品を樹脂や蓋体で気密封止することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
ところで、このような配線基板は近時の電子装置の小型化の要求に伴い、その大きさが数mm角程度の極めて小さなものとなってきており、配線基板の取り扱いを容易とするために、また配線基板および電子装置の製作を効率よくするために1枚の広面積の母基板中から多数個の配線基板を同時集約的に得るようにした、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作されている。
【0004】
このような多数個取り配線基板は、略平板状の母基板の上下の少なくとも一主面に分割溝を縦横に形成し、分割溝によって母基板を多数個の配線基板に区画しておき、分割溝に沿って母基板を撓折することによって個々の配線基板を得ることができる。
【0005】
この場合、前記各分割溝は、通常、母基板を撓折するために印加される曲げ応力を分割溝先端部に効果的に集中させるため、先端角が約20°〜30°程度の鋭いV字状の断面形を有し、母基板を分割溝に沿って撓折することを容易かつ確実なものとしている。また各分割溝は、その深さが母基板の厚みに対して約20〜40%となるように形成され、分割溝形成部位における母基板の機械的強度を適度に低下させることによって切断を容易としている。
【0006】
なお、この多数個取り配線基板は、セラミックグリーンシート積層法によって製作され、具体的には、まず、母基板用のセラミックグリーンシートを準備するとともに、このセラミックグリーンシート上に金属ペーストを印刷塗布して配線用導体を所定パターンに塗布し、次に、前記セラミックグリーンシートの一主面に、V字状の断面を有するブレード(刃)を押圧することにより分割溝を形成して各配線基板となる領域を区画し、最後にこのセラミックグリーンシートを高温で焼成することによって製造される。
【0007】
〔特許文献1〕
特開平11−163193号公報
〔特許文献2〕
特開平7−192960号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の多数個取り配線基板においては、特に高機能化等のために、母基板の厚みが例えば5mm以上と厚くなるに伴い、これに応じてこのような厚い母基板を撓折することを可能とするために分割溝の深さを深くするような場合には、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量も非常に大きくなり、ブレードの押圧・侵入により開裂するセラミックグリーンシートの変形により発生する応力がクラックを発生させ、焼成後の配線基板の分割時に、配線基板にバリや欠け等の不具合を発生させてしまうという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる従来の技術における問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミック母基板の機械的強度や信頼性に優れ、かつ、分割溝に沿って分割する際に、得られた配線基板の側面にバリや欠けが発生することが無い多数個取り配線基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の多数個取り配線基板は、四角形状の配線基板領域が縦横に配列形成されたセラミック母基板の両主面に、前記配線基板領域の境界線上に分割溝を縦横に形成して成る多数個取り配線基板において、前記分割溝のうち、前記セラミック母基板の一方主面に形成されたものは、この一方主面に縦または横のいずれか一方の前記境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成されており、前記セラミック母基板の他方主面に形成されたものは、この他方主面に前記第1の溝状の凹部と直交する方向の前記境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の多数個取り配線基板によれば、分割溝のうち、セラミック母基板の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成するとともに、セラミック母基板の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部と直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成するようにしたことから、分割する領域のセラミック母基板の厚みを薄くすることによって、セラミックグリーンシートに分割溝を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができる。これにより、縦横に配列形成された多数の配線基板領域を各々の配線基板領域に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝を容易に形成することができ、配線基板領域を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多数個取り配線基板について、添付図面に基づき説明する。図1は本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(A)は一方主面の平面図であり、(B)は他方主面の平面図である。また、図2はその部分断面図である。これらの図において、1はセラミック母基板、2は分割溝、3は配線導体である。このセラミック母基板1を分割溝2で縦横に区画し、多数の配線基板領域4をセラミック母基板1中に縦横に配列させることにより多数個取り配線基板が形成される。
【0013】
セラミック母基板1は、平板状の酸化アルミニウム質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・窒化珪素質焼結体・炭化珪素質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して泥漿状のセラミックスラリーとなすとともに、このセラミックスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形技術を採用しシート状となすことによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得て、しかる後、このセラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工により適当な形状とするとともに必要に応じてこれを複数枚積層し、最後にこのセラミックグリーンシートを還元雰囲気中にて約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0014】
またセラミック母基板1は、その上下の両主面に分割溝2が縦横に形成されており、この分割溝2によって多数個の四角形状の配線基板領域4が区画され縦横に配列されている。
【0015】
分割溝2は、多数個取り配線基板のセラミック母基板1をこれに沿って撓折して個々の配線基板領域4をそれぞれの配線基板に分割する際に曲げ応力を集中させる機能を有し、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートの主面に所定の断面形を有するブレード(金属製の刃)を押圧し、所定深さに侵入させることによって形成される。
【0016】
また各配線基板領域4は、その上面中央部に電子部品を塔載する搭載部を有し、この搭載部の周辺から下面にかけてタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属材料から成る配線導体3を有している。
【0017】
配線導体3は、例えばタングステンから成る場合であれば、タングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して得た金属ペーストを、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートの上面に予めスクリーン印刷法等により所定パターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0018】
そして、各搭載部には半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品(図示せず)が塔載されるとともに、配線導体3にはこの電子部品の各電極が、例えばボンディングワイヤや半田バンプ等の電気的接続手段を介して電気的に接続される。
【0019】
そして、搭載部に電子部品を塔載するとともに、この電子部品の各電極を電気的接続手段を介して配線導体3に電気的に接続した後、各配線基板領域4の上面に図示しない蓋体を電子部品を覆うように固着することによって電子部品が気密に封止され、多数個の電子装置が縦横に配列形成されることとなり、分割溝2に沿ってセラミック母基板1を撓折することにより、各配線基板を用いた多数の電子装置が同時集約的に製造されるのである。
【0020】
なお、セラミック母基板1の外側には枠状の捨て代領域5が形成されており、多数個取り配線基板の取扱いを容易なものとしている。
【0021】
本発明の多数個取り配線基板においては、分割溝2のうち、セラミック母基板1の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成されているものとすることが重要である。
【0022】
このように、分割溝2を、溝状の凹部5aまたは5bの底部に形成することにより、セラミック母基板1の厚みが厚い場合でも、分割溝2自体を深く形成することなく、セラミック母基板1の撓折を容易かつ確実とすることができる程度にセラミック母基板1の厚みを薄くすることができる。
【0023】
また、このように分割溝2を、溝状の凹部5aまたは5bの底部に形成する際に、セラミック母基板1の一方主面においては、配線基板領域4の境界線のうち縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面においては、この第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成するようにすることにより、両主面のそれぞれにおいて縦および横に溝状の凹部を形成した場合より、セラミック母基板1の全体としての機械的強度の低下を防ぐことができる。
【0024】
第1および第2の溝状の凹部5a・5bは、セラミック母基板1の外周縁にまで達しないようにしておくことが好ましい。これにより、より一層、セラミック母基板1の機械的強度の低下を防ぐことができる。
【0025】
その結果、分割する部位のセラミック母基板1の厚みだけを薄くすることによって、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートに分割溝2を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができ、各々の配線基板領域4に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝2を容易に形成することができ、配線基板領域4を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【0026】
第1および第2の溝状の凹部5a・5bの幅は、いずれも1mm以内が好ましい。この凹部5a・5bの幅が1mmを超えると、隣接する配線基板領域4同士の間の距離が長くなり、個々の配線基板領域4自体が大きくなるので、これを分割して得られる配線基板の小型化が困難となる。
【0027】
また、第1および第2の溝状の凹部5a・5bの深さは、セラミック母基板1の一方主面と他方主面とで同じ深さとする必要はない。例えば、セラミック母基板1の内部に形成される配線導体の配置等に応じて、一方主面側の第1の溝状の凹部5aと他方主面側の第2の溝状の凹部5bとで一方主面側の第1の溝状の凹部5aの深さを他方主面側の第2の溝状の凹部5bより浅くして、両主面の溝状の凹部5の深さを異ならせても良い。
【0028】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。上述の例では溝状の凹部5a・5bの断面形状は四角形状であったが、配線基板領域4の部品実装領域を広く確保するために、それぞれ主面側の開口を内部よりも狭くした台形状の断面形状であってもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明の多数個取り配線基板によれば、分割溝のうち、セラミック母基板の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成するとともに、セラミック母基板の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部と直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成するようにしたことから、分割する領域のセラミック母基板の厚みを薄くすることによって、セラミックグリーンシートに分割溝を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができる。これにより、縦横に配列形成された多数の配線基板領域を各々の配線基板領域に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝を容易に形成することができ、配線基板領域を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(A)は一方主面の平面図であり、(B)は他方主面の平面図である。
【図2】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・・セラミック母基板
2・・・・分割溝
3・・・・配線導体
4・・・・配線基板領域
5a・・・第1の溝状の凹部
5b・・・第2の溝状の凹部
6・・・・捨て代領域
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品が塔載される配線基板を広面積の母基板中に縦横に多数個配列して成る多数個取り配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品を塔載するために用いられる配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料から成る略四角平板状の絶縁基体の上面に電子部品を塔載するための電子部品塔載部を有し、この電子部品塔載部またはその周辺から絶縁基体の下面にかけて複数の配線導体が配設されて成る。そして、絶縁基体の電子部品搭載部に電子部品を塔載固定するとともに電子部品の電極をボンディングワイヤや半田等の電気的接続手段を介して配線導体に電気的に接続し、必要に応じて電子部品を樹脂や蓋体で気密封止することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
ところで、このような配線基板は近時の電子装置の小型化の要求に伴い、その大きさが数mm角程度の極めて小さなものとなってきており、配線基板の取り扱いを容易とするために、また配線基板および電子装置の製作を効率よくするために1枚の広面積の母基板中から多数個の配線基板を同時集約的に得るようにした、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作されている。
【0004】
このような多数個取り配線基板は、略平板状の母基板の上下の少なくとも一主面に分割溝を縦横に形成し、分割溝によって母基板を多数個の配線基板に区画しておき、分割溝に沿って母基板を撓折することによって個々の配線基板を得ることができる。
【0005】
この場合、前記各分割溝は、通常、母基板を撓折するために印加される曲げ応力を分割溝先端部に効果的に集中させるため、先端角が約20°〜30°程度の鋭いV字状の断面形を有し、母基板を分割溝に沿って撓折することを容易かつ確実なものとしている。また各分割溝は、その深さが母基板の厚みに対して約20〜40%となるように形成され、分割溝形成部位における母基板の機械的強度を適度に低下させることによって切断を容易としている。
【0006】
なお、この多数個取り配線基板は、セラミックグリーンシート積層法によって製作され、具体的には、まず、母基板用のセラミックグリーンシートを準備するとともに、このセラミックグリーンシート上に金属ペーストを印刷塗布して配線用導体を所定パターンに塗布し、次に、前記セラミックグリーンシートの一主面に、V字状の断面を有するブレード(刃)を押圧することにより分割溝を形成して各配線基板となる領域を区画し、最後にこのセラミックグリーンシートを高温で焼成することによって製造される。
【0007】
〔特許文献1〕
特開平11−163193号公報
〔特許文献2〕
特開平7−192960号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の多数個取り配線基板においては、特に高機能化等のために、母基板の厚みが例えば5mm以上と厚くなるに伴い、これに応じてこのような厚い母基板を撓折することを可能とするために分割溝の深さを深くするような場合には、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量も非常に大きくなり、ブレードの押圧・侵入により開裂するセラミックグリーンシートの変形により発生する応力がクラックを発生させ、焼成後の配線基板の分割時に、配線基板にバリや欠け等の不具合を発生させてしまうという問題点があった。
【0009】
本発明はかかる従来の技術における問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミック母基板の機械的強度や信頼性に優れ、かつ、分割溝に沿って分割する際に、得られた配線基板の側面にバリや欠けが発生することが無い多数個取り配線基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の多数個取り配線基板は、四角形状の配線基板領域が縦横に配列形成されたセラミック母基板の両主面に、前記配線基板領域の境界線上に分割溝を縦横に形成して成る多数個取り配線基板において、前記分割溝のうち、前記セラミック母基板の一方主面に形成されたものは、この一方主面に縦または横のいずれか一方の前記境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成されており、前記セラミック母基板の他方主面に形成されたものは、この他方主面に前記第1の溝状の凹部と直交する方向の前記境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の多数個取り配線基板によれば、分割溝のうち、セラミック母基板の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成するとともに、セラミック母基板の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部と直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成するようにしたことから、分割する領域のセラミック母基板の厚みを薄くすることによって、セラミックグリーンシートに分割溝を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができる。これにより、縦横に配列形成された多数の配線基板領域を各々の配線基板領域に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝を容易に形成することができ、配線基板領域を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多数個取り配線基板について、添付図面に基づき説明する。図1は本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(A)は一方主面の平面図であり、(B)は他方主面の平面図である。また、図2はその部分断面図である。これらの図において、1はセラミック母基板、2は分割溝、3は配線導体である。このセラミック母基板1を分割溝2で縦横に区画し、多数の配線基板領域4をセラミック母基板1中に縦横に配列させることにより多数個取り配線基板が形成される。
【0013】
セラミック母基板1は、平板状の酸化アルミニウム質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・窒化珪素質焼結体・炭化珪素質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して泥漿状のセラミックスラリーとなすとともに、このセラミックスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形技術を採用しシート状となすことによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得て、しかる後、このセラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工により適当な形状とするとともに必要に応じてこれを複数枚積層し、最後にこのセラミックグリーンシートを還元雰囲気中にて約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0014】
またセラミック母基板1は、その上下の両主面に分割溝2が縦横に形成されており、この分割溝2によって多数個の四角形状の配線基板領域4が区画され縦横に配列されている。
【0015】
分割溝2は、多数個取り配線基板のセラミック母基板1をこれに沿って撓折して個々の配線基板領域4をそれぞれの配線基板に分割する際に曲げ応力を集中させる機能を有し、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートの主面に所定の断面形を有するブレード(金属製の刃)を押圧し、所定深さに侵入させることによって形成される。
【0016】
また各配線基板領域4は、その上面中央部に電子部品を塔載する搭載部を有し、この搭載部の周辺から下面にかけてタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属材料から成る配線導体3を有している。
【0017】
配線導体3は、例えばタングステンから成る場合であれば、タングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して得た金属ペーストを、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートの上面に予めスクリーン印刷法等により所定パターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0018】
そして、各搭載部には半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品(図示せず)が塔載されるとともに、配線導体3にはこの電子部品の各電極が、例えばボンディングワイヤや半田バンプ等の電気的接続手段を介して電気的に接続される。
【0019】
そして、搭載部に電子部品を塔載するとともに、この電子部品の各電極を電気的接続手段を介して配線導体3に電気的に接続した後、各配線基板領域4の上面に図示しない蓋体を電子部品を覆うように固着することによって電子部品が気密に封止され、多数個の電子装置が縦横に配列形成されることとなり、分割溝2に沿ってセラミック母基板1を撓折することにより、各配線基板を用いた多数の電子装置が同時集約的に製造されるのである。
【0020】
なお、セラミック母基板1の外側には枠状の捨て代領域5が形成されており、多数個取り配線基板の取扱いを容易なものとしている。
【0021】
本発明の多数個取り配線基板においては、分割溝2のうち、セラミック母基板1の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成されているものとすることが重要である。
【0022】
このように、分割溝2を、溝状の凹部5aまたは5bの底部に形成することにより、セラミック母基板1の厚みが厚い場合でも、分割溝2自体を深く形成することなく、セラミック母基板1の撓折を容易かつ確実とすることができる程度にセラミック母基板1の厚みを薄くすることができる。
【0023】
また、このように分割溝2を、溝状の凹部5aまたは5bの底部に形成する際に、セラミック母基板1の一方主面においては、配線基板領域4の境界線のうち縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部5aの底面に形成するとともに、セラミック母基板1の他方主面においては、この第1の溝状の凹部5aと直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部5bの底面に形成するようにすることにより、両主面のそれぞれにおいて縦および横に溝状の凹部を形成した場合より、セラミック母基板1の全体としての機械的強度の低下を防ぐことができる。
【0024】
第1および第2の溝状の凹部5a・5bは、セラミック母基板1の外周縁にまで達しないようにしておくことが好ましい。これにより、より一層、セラミック母基板1の機械的強度の低下を防ぐことができる。
【0025】
その結果、分割する部位のセラミック母基板1の厚みだけを薄くすることによって、セラミック母基板1となるセラミックグリーンシートに分割溝2を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができ、各々の配線基板領域4に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝2を容易に形成することができ、配線基板領域4を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【0026】
第1および第2の溝状の凹部5a・5bの幅は、いずれも1mm以内が好ましい。この凹部5a・5bの幅が1mmを超えると、隣接する配線基板領域4同士の間の距離が長くなり、個々の配線基板領域4自体が大きくなるので、これを分割して得られる配線基板の小型化が困難となる。
【0027】
また、第1および第2の溝状の凹部5a・5bの深さは、セラミック母基板1の一方主面と他方主面とで同じ深さとする必要はない。例えば、セラミック母基板1の内部に形成される配線導体の配置等に応じて、一方主面側の第1の溝状の凹部5aと他方主面側の第2の溝状の凹部5bとで一方主面側の第1の溝状の凹部5aの深さを他方主面側の第2の溝状の凹部5bより浅くして、両主面の溝状の凹部5の深さを異ならせても良い。
【0028】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。上述の例では溝状の凹部5a・5bの断面形状は四角形状であったが、配線基板領域4の部品実装領域を広く確保するために、それぞれ主面側の開口を内部よりも狭くした台形状の断面形状であってもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明の多数個取り配線基板によれば、分割溝のうち、セラミック母基板の一方主面に形成されたものを、この一方主面に縦または横のいずれか一方の境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成するとともに、セラミック母基板の他方主面に形成されたものを、この他方主面に第1の溝状の凹部と直交する方向の境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成するようにしたことから、分割する領域のセラミック母基板の厚みを薄くすることによって、セラミックグリーンシートに分割溝を形成するためにブレードを押圧・侵入させたとき、ブレードの侵入に伴うセラミックグリーンシートの変形量を小さくすることができる。これにより、縦横に配列形成された多数の配線基板領域を各々の配線基板領域に容易・確実に撓折することができるような深さの分割溝を容易に形成することができ、配線基板領域を分割するときに、分割後の配線基板の側面にバリや欠け等の不具合が発生することを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(A)は一方主面の平面図であり、(B)は他方主面の平面図である。
【図2】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・・セラミック母基板
2・・・・分割溝
3・・・・配線導体
4・・・・配線基板領域
5a・・・第1の溝状の凹部
5b・・・第2の溝状の凹部
6・・・・捨て代領域
Claims (1)
- 四角形状の配線基板領域が縦横に配列形成されたセラミック母基板の両主面に、前記配線基板領域の境界線上に分割溝を縦横に形成して成る多数個取り配線基板において、前記分割溝のうち、前記セラミック母基板の一方主面に形成されたものは、該一方主面に縦または横のいずれか一方の前記境界線に沿って形成された第1の溝状の凹部の底面に形成されており、前記セラミック母基板の他方主面に形成されたものは、該他方主面に前記第1の溝状の凹部と直交する方向の前記境界線に沿って形成された第2の溝状の凹部の底面に形成されていることを特徴とする多数個取り配線基板。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003080121A JP2004288931A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 多数個取り配線基板 |
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Publications (1)
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Country | Link |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006128298A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Kyocera Corp | 多数個取り配線基板 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080121A patent/JP2004288931A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006128298A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Kyocera Corp | 多数個取り配線基板 |
JP4549156B2 (ja) * | 2004-10-27 | 2010-09-22 | 京セラ株式会社 | 多数個取り配線基板 |
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