JP2004288809A - 接触型液冷受熱体とそれを備えた電子部品の冷却システム - Google Patents

接触型液冷受熱体とそれを備えた電子部品の冷却システム Download PDF

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愼弥 古賀
Toshisuke Sakai
敏輔 酒井
Masaharu Nojima
正晴 野島
Shiyougo Takeo
升吾 竹尾
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Abstract

【課題】本発明は、受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能な接触型液冷受熱体と電子部品の冷却システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の接触型液冷受熱体は、発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、受熱流路において伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対向する被伝熱側の流路壁面とが、周囲側壁とともに伝熱柱8dで接続され、熱的に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルマン渦等により層流境界層を崩して伝熱効率を上げることができる接触型液冷受熱体と、それを備えた電子部品の冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CPUに代表される電子部品の冷却はヒートシンク等による空気冷却が主流であった。しかし、CPUが高速化し、発熱量が大きくなってきたため、現在、液体冷却が注目されている。この液体冷却で問題となるのは、発熱するCPU等の電子部品からの熱を冷媒に伝える接触型液冷受熱体の伝熱能力である。また、発熱する電子部品を搭載した電子機器も小型化、薄型化が要求され、液体冷却を行う冷却システムの小型化、薄型化に対しても期待が集まっている。
【0003】
このような従来の電子部品の接触型液冷受熱体として(特許文献1)の丸型水冷冷却フィンが開示されている。図8は従来の接触型液冷受熱体の説明図である。図8において、101は丸型蓋ブロック、102は丸型溝ブロック、102aはこの丸型溝ブロック102の段部外周に設けた雄ネジ、102bはこの丸型溝ブロック12に、例えば、NCマシーンのような切削加工機を用いて設けた線状の通水溝である。また、103は、例えばホースを用いて外部からの冷却水を水冷冷却フィン内に通水するためのネジ付きニップルである。この丸型溝ブロック102上に丸型蓋ブロック101を被せてネジ嵌合するとともに、ネジ付ニップル103を丸型溝ブロック102の側壁にネジ込んで、これら101,102,103を組合せ結合することで、丸型水冷冷却フィンを構成したものである。
【0004】
この従来の接触型液冷受熱体は、熱伝導性の良い金属インゴットを削りだし、蛇行する流路を形成したり、フィン(図示しない)を立てたりして受熱している。しかし、基本的には熱伝導性の良い金属を使った点に依存し、伝熱面積が限られている上に、冷媒の流量を増せば熱交換量は増すが大きなポンプが必要となるし、流速が小さければ層流境界層となって熱伝達率が低下する。従って、従来の接触型液冷受熱体と冷却システムは受熱効率が低く、これを少しでも上げようとすると大型化するという矛盾があるし、受熱効率の改善にも限度があるものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−164779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように従来の接触型液冷受熱体は、発熱するCPU等の電子部品からの熱を冷媒に伝える接触型液冷受熱体の伝熱能力に課題を有すものであった。従来の接触型液冷受熱体は、基本的には材料の熱伝導性に依存し、伝熱面積が限られている上に、冷媒の流速を大きくするにも限度があってこのときの伝熱量は小さくなるという本質的な課題を有しているものであった。従って、従来の接触型液冷受熱体と冷却システムは受熱効率が低く、これを少しでも上げようとすると大型化するという矛盾があり、受熱効率の改善にも限度があるものであった。そして、電子機器も小型化、薄型化が要求され、液体冷却を行う冷却システムの小型化、薄型化に対しても期待が集まっている。
【0007】
そこで本発明は、受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能な接触型液冷受熱体を提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能な電子部品の冷却システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の接触型液冷受熱体は、発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、受熱流路において伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対面する被伝熱側の流路壁面とが伝熱柱で連絡され、受熱流路の周囲側壁を介しての熱伝達と共に熱的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、受熱流路において伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対面する被伝熱側の流路壁面とが、伝熱柱で連絡されて熱的に接続されていることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、電子部品から発生する熱を受熱流路の伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。伝熱面積が増加し、そのため受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、伝熱側の流路壁面から受熱流路内に突出する突出体または被伝熱側の流路壁面から受熱流路内に突出する突出体が設けられ、該突出体が対面する流路壁面または対面する突出体と熱的に接続されることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、電子部品から発生する熱を伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱し、突出体によって冷媒と熱交換するため受熱量が格段に増加する。伝熱面積が格段に増加し、そのため受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能となる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、伝熱柱が、伝熱面の中央部に対応して受熱流路内の中央部に設けられていることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、電子部品から発生する熱を伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明において、突出体の径が流路壁面に近づくに従って大きくなるように形成されたことを特徴とする接触型液冷受熱体であり、突出体へ熱量を伝達し易くなり、強度も向上する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2〜請求項4のいずれかの発明において、突出体と伝熱柱が設けられた流路壁面の少なくとも一部に多数の凹部が形成されていることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面の境界層を剥離させ、壁面から冷媒への熱伝達を促進させる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの発明において、伝熱柱が、互いに当接する少なくとも2つの部分から構成され、当接面の周囲がシールされていることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、接触面での熱伝達を助けるグリース等を施しても、これが冷媒中に溶け出すことを防ぐことができる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、伝熱面が設けられた伝熱側構造体と、該伝熱側構造体と組み合わされて内部に受熱流路を形成する被伝熱側構造体から構成され、伝熱側構造体と被伝熱側構造体を組み合わして伝熱柱を当接させたとき、受熱流路の周囲側壁同士は第2のシールを押圧することを特徴とする接触型液冷受熱体であり、伝熱側構造体から被伝熱側構造体への熱伝達を確実に行うことができる。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかの発明において、伝熱側構造体と被伝熱側構造体を組み合わすとき、伝熱柱を支点として弾性力によって周囲側壁が押圧されて第2のシールを挟持することを特徴とする接触形液冷受熱体であり、伝熱側構造体から被伝熱側構造体への熱伝達を確実に行うことができる。
【0019】
請求項9の発明は、発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、受熱流路において伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対向する被伝熱側の流路壁面とが、伝熱柱を介して一体に構成され、熱的に接続されていることを特徴とする接触型液冷受熱体であり、伝熱面の背面側となる受熱流路の流路壁面とそれに対向する天面とが周囲側壁以外で熱的に接続することを特徴とする接触型液冷受熱体であり、電子部品から発生する熱を受熱流路の底面と天井面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【0020】
請求項10の発明は、冷媒を循環するための閉循環路に放熱器とポンプが設けられ、請求項1〜請求項9のいずれかの発明の接触型液冷受熱体が発熱電子部品に接触されて内部の冷媒の熱交換作用で該発熱電子部品から熱を奪い、放熱器から放熱を行うことを特徴とする電子部品の冷却装置であり、電子部品から発生する熱を受熱流路の伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜5を用いて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態1における接触型液冷受熱体とそれを備えた冷却システムについて説明する。図1は本実施の形態1における接触型液冷受熱体を備えた冷却システムの構成図、図2は本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の受熱流路を開放した正面図、図3(a)は図2の接触型液冷受熱体の断面概念図、図3(b)は(a)に示したB部の拡大図、図4は本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の第1の断面概念図、図5は本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の嵌合時の第1の拡大断面概念図、図6は本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の嵌合時の第2の拡大断面概念図、図7は本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の第2の断面概念図である。
【0023】
図1において、1はCPU等の半導体チップやその他の発熱する電子部品、2は電子部品1を実装した基板、3は電子部品1と冷媒とで熱交換を行ない電子部品1を冷却する接触型液冷受熱体、4は冷媒から熱を取り除く放熱体、5は冷媒を貯めておくリザーブタンク、6は冷媒を循環させるポンプ、7はこれらを接続する配管である。
【0024】
実施の形態1の冷却システムは、接触型液冷受熱体3,放熱体4,ポンプ6,リザーブタンク5,配管7と熱の授受を行う冷媒とから構成される。リザーブタンク5内の冷媒は、ポンプ6によって循環され、配管7を通って接触型液冷受熱体3に送られ、触型液冷受熱体3においては電子部品1の熱を奪い、温度上昇して放熱体4に至り、ここで放熱して温度降下し、再びリザーブタンク5へ戻るというサイクルを行う。そしてこのサイクルは繰返し繰返される。なお、この冷却システムにおいては、冷媒を循環させて吸熱し、放熱体4から放熱できれば基本的には足りるから、リザーブタンク5は必要に応じて配設すればよい。これによって十分な冷媒を確保して大きな熱容量で安定した冷却をすることができる。
【0025】
ところで、この冷却システムにおいて電子部品1と接触型液冷受熱体3の伝熱面Aとの間には、シリコングリースなどの高伝熱性で接触面間で空気の層を排除できるペースト状の伝熱促進材を塗布するのが好適である。また、冷媒としては冬場の凍結を防止できるように不凍液がよく、接触型液冷受熱体3を構成する材質としては高熱伝導率を有する銅やアルミニウム等が好適である。実施の形態1の冷却システムでは銅を使用している。そして、電子部品1は半導体チップやその他の発熱部品であるが、これらの電子部品1を正面からみたときの図の中心位置を接触型液冷受熱体3の中心に合わせるのがよい。本実施の形態1においては、以下説明するようにこの位置を合致させ、もっとも大きな熱流束になるようにしている。
【0026】
続いて図2、3において、本実施の形態1における接触型液冷受熱体3の詳細について説明する。8は受熱流路Cとなる凹部をもつ接触型液冷受熱体3を構成する受熱ケーシング、8aは接触型液冷受熱体3に流入する冷媒の流入口、8bは接触型液冷受熱体3から流出する冷媒の流出口、8cは受熱ケーシング8の凹部内底面(本発明の流路壁面)、8dは受熱ケーシング8の中央に突設され電子部品1から受けた熱を天面に伝える伝達柱(本発明の伝熱柱)、8eはネジ孔、9は受熱ケーシング8と対になり凹部内底面8cを覆って内部に受熱流路Cを形成するカバーである。
【0027】
10は受熱ケーシング8の凹部内底面8cから複数本規則正しく配列されて開放面に向けて突設された先細円柱(本発明の突出体)であり、図3(a)(b)のように円錐の先端をカットした栽頭円錐形状をしている。同様に、11はカバー9から複数本規則正しく配列されて凹部内底面8cに向けて突設された先細円柱である。先細円柱10と同様に栽頭円錐形状を有している。また、10aは受熱ケーシング8の凹部内底面8cから四方に立ち上がった凹部側壁面(本発明の周囲側壁)上にそれぞれ形成された複数条で構成される突条リブである。突条リブ10aは先細円柱10の配列ピッチと同一ピッチで突設される。このカバー9と受熱ケーシング8は、それぞれから突設された先細円柱10,11の位置が互いにずれて配置されており、組み立て時双方が接触することなく相互に挿入される。このようにカバー9と受熱ケーシング8が組み合わされ、伝達柱8dと先細円柱10,11が一様に配置された受熱流路Cを構成する。12,12aは受熱ケーシング8とカバー9を組み立てるときシールを行うとともに両者を熱的に接続するための弾性体からなるシール材(本発明のシール)、12bは伝達柱8dの周囲に設けられるシール材(本発明の第2のシール)、13は受熱流路C内の壁面、すなわち伝達柱8dと先細円柱10,11、凹部内底面8c等上に形成されたディンプル(凹部)である。14は受熱ケーシング8とカバー9を一体構造したケーシングである。
【0028】
そこで、受熱ケーシング8とカバー9の形状についてさらに詳細に説明する。実施の形態1の受熱ケーシング8とカバー9の形状は正方形であり、ほぼ正方形の凹部空間が形成されている。この凹部空間内に凹部内底面8cから千鳥配列で先細円柱10と先細円柱11とが多数突設され、各凹部側壁面にも突条リブ10aが先細円柱10と先細円柱11に沿って複数条設けられている。先細円柱10,11の配列は千鳥配列に限らず、正方形配列等、規則的に配列するものであればよい。実施の形態1の配置と大きさの一例を示すと、受熱ケーシング8とカバー9の外形50×50mm、伝達柱8dの直径10mm、先細円柱10,11の直径は根元で1mmである。
【0029】
ところで、正方形の受熱ケーシング8とカバー9の四隅には両者を固定するネジ孔8eが設けられている。接触型液冷受熱体3はこの受熱ケーシング8をカバー9で覆って、ネジ(図示しない)をネジ孔8eに螺合して組み立てられる。組み立てられるとき、図5に示すように受熱ケーシング8とカバー9は互いに平行な状態を保って接近させられ、シール材12を挟持して固定される。このときのシール材12とカバー9の対応位置における距離をA、B、Cとすると、A≦B<Cとするのが望ましい。すなわち、A=0となったときに、カバー9と受熱ケーシング8がシール材12を挟み込むことにより、受熱ケーシング8とカバー9の周囲をシール可能になる。これを(C−B)を限度としてさらに押さえ込むとシール材12の弾力でシール力を増す。B=0になると伝達柱8dはカバー9と接触し、シール材12を介して受熱ケーシング8とカバー9が熱的に接続される。また、さらに押さえ込むとカバー9がその弾性域内で撓み、隅をネジ等で締め込み、その弾性力でカバー9と受熱ケーシング8が確実に熱的に接続される。
【0030】
続いて、図6に示すようなシール材12aを挟んでシールする場合について説明する。図6の場合、カバー9と受熱ケーシング8を挟持する方向に平行な面でシールされるときにはA、BはB<Aとする必要がある。つまり、組み立てられる際にはB=0となり、カバー9と受熱ケーシング8が熱的に接続されさらに隅をネジ等で締め込み、カバー9を受熱ケーシング8に押さえつけるに従ってカバー9が撓み、弾性力によりカバー9と受熱ケーシング8の確実に熱的に接続される。最終的にはA=0となって、カバー9と受熱ケーシング8は組み立てられる。シール材12aはA=0となるまでにカバー9と受熱ケーシング8の隙間に挟み込まれればよい。
【0031】
ところで、図2〜図6に示すように、受熱ケーシング8の肉厚は伝達柱8dを中心にその距離に比例して厚さが薄くなっている。これは、熱の流れを円滑にするためのものである。すなわち、電子部品1から伝熱面Aを介して接触型液冷受熱体3に伝熱した熱は、受熱ケーシング8の凹部内底面8cを水平方向に広がり、カバー9側に向けて突設された多数の先細円柱10に伝達される。一方、伝達柱8dにも熱は伝達し、カバー9との接触面を通ってカバー9に伝わる。カバー9に伝わった熱はカバー9を水平方向に伝導し、受熱ケーシング8と同様に凹部内底面8cに向けて突設された先細円柱11に伝達する。
【0032】
このようにして受熱ケーシング8とカバー9まで伝わった熱は、接触型液冷受熱体3の流入口8aから受熱流路C内に入った冷媒と熱交換される。すなわち、冷媒は、熱が伝わったカバー9、受熱ケーシング8、さらにそれから林立した先細円柱10,11の間を通り抜けながら流出口8bに向って流れる。このとき冷媒は、千鳥配列に並べられた先細円柱10,11の周りを流れ、先細円柱10,11の背面側でカルマン渦またその他の渦度成分を形成する。このカルマン渦は先細円柱10の表面と凹部内底面8cに形成される層流境界層を崩し、熱伝達率が大きい乱流境界層化を促し、先細円柱10,11に伝わった熱を効率よく奪って流出口8bに向う。さらに図3(b)に示したように先細円柱と底面、天井面にディンプル13を設ければ、さらに層流境界層の剥離を促すことができる。このディンプル13は熱交換する表面積を増すという効果もある。
【0033】
なお、凹部内底面8cから伝達柱8dに伝わる熱流束を増加させるために、伝達柱の根元にR部(曲面部)を設けている。すなわち、伝達柱の径が底面と天井面に近づくに従って大きくなるように形成されている。この曲面により伝達柱8dの部分に伝わるときの熱伝導抵抗を低減することができる。半径1.0mm程度のRを設けるのがよいが、R部に代えて面取りであっても先細円柱10,11に伝わる熱を増加させることができる。
【0034】
また、実施の形態1においては、受熱流路C全体で十分に受熱できるようにするために、裏側にCPU等の電子部品1が配置される伝熱面Aの中央部、すなわちこれに対応した凹部内底面8cの中央部(伝達柱8dの位置)の厚みを最も大きくし、中央から離れるにつれて徐々に厚みが減少するようにしている。三次元的に中央部分が厚くなっているために熱伝導に対する熱伝導抵抗が低減し、電子部品1の熱が水平方向にもよく伝わる。また、これを冷媒の流れの方からみると、実施の形態1のように略正方形の対角線の方向に流入口8a、流出口8bを設けた場合、同じ流体抵抗であれば流入口8aと流出口8bを結ぶ対角線上を短絡的に冷媒が流れようとする。この状態であれば対角線上の熱伝達率は向上するが、対角線と離れた部分は熱伝導に寄与せず、受熱流路Cを隅々まで十分に働かせることはできない。しかし実施の形態1のように中央部を徐々に高くし、流路高さを徐々に小さくするとこれに伴って対角線上の流動抵抗が大きくなり、流動抵抗の小さい方向へ回り込み、受熱流路Cの隅々まで冷媒を流すことが可能になる。
【0035】
言い換えれば、凹部内底面8cの中央部の厚みを増せば、中央部の裏面に配置された電子部品1の熱が受熱流路Cの隅々まで伝導し、且つ冷媒も隅々まで流れるために、格段に全体の受熱効率が向上することになる。
【0036】
このとき、十分にスペースが確保できれば、均一に中央部の厚みを増せば水平方向の熱の伝導は向上する。しかし、パソコン、とくにノート型などの薄型のパソコンにおいては、厚み方向寸法が制限されることが多い。従ってこのような場合に用いる冷却装置の場合は、その制限された中で厚みを増すようにして熱の水平方向伝導、流れの均一化を行い、受熱効率を最大限に高めることができる。
【0037】
ところで、伝達柱8dとカバー9との接触面のように接触面の粗さによる熱的な抵抗を減少するために接触面には熱伝導性のよいシリコングリース等を塗布する場合が一般的であるが、伝導柱8dの熱的接続面のように冷媒の流路に接触する場所では冷媒に溶け込み接触面の熱抵抗が徐々に増加し、冷却システムの各所に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、図4のようにOリング等のシール材12bを用い接触面を流路から隔離するように嵌め込めばそれを避けるができる。
【0038】
また、図7に示すようにカバー9と受熱ケーシングをケーシング14とし、伝達柱8dを介して一体化(一体成形)することによって、カバー9と受熱ケーシングの接続する部分の熱抵抗を無くすことができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の接触型液冷受熱体によれば、電子部品から発生する熱を受熱流路の伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。伝熱面積が増加し、そのため受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能となる。
【0040】
突出体が対面する流路壁面または対面する突出体と熱的に接続されるから、電子部品から発生する熱を伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱し、突出体によって冷媒と熱交換するため受熱量が格段に増加する。伝熱面積が格段に増加し、そのため受熱効率が高く、小型化、薄型化が可能となる。
【0041】
伝熱柱が、伝熱面の中央位置と対応した受熱流路内の位置に設けられているから、電子部品から発生する熱を伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【0042】
突出体の径が流路壁面に近づくに従って大きくなるから、突出体へ熱量を伝達し易くなり、強度も向上する。多数の凹部が設けられてるため、伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面の境界層を剥離させ、壁面から冷媒への熱伝達を促進させる。伝熱柱の当接面での熱伝達を助けるグリース等を施しても、これが冷媒中に溶け出すことを防ぐことができる。
【0043】
伝熱側構造体と被伝熱側構造体から構成され、伝熱柱が最初に当接するため、伝熱側構造体から被伝熱側構造体への熱伝達を確実に行うことができる。伝熱柱を支点として弾性力によって周囲が押圧されて固定するため、伝熱側構造体から被伝熱側構造体への熱伝達を確実に行うことができる。
【0044】
伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対向する被伝熱側の流路壁面とが、伝熱柱で一体に構成されるから、電子部品から発生する熱を受熱流路の底面と天井面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【0045】
接触型液冷受熱体が発熱電子部品に接触されての冷媒の熱交換作用で熱を奪い、放熱器から放熱するから、電子部品から発生する熱を受熱流路の伝熱面側の流路壁面と被伝熱側の流路壁面とで積極的に受熱するために伝熱面積が格段に増加し受熱量が格段に増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態1における接触型液冷受熱体を備えた冷却システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の受熱流路を開放した正面図
【図3】(a)図2の接触型液冷受熱体の断面概念図
(b)(a)に示したB部の拡大図
【図4】本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の第1の断面概念図
【図5】本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の嵌合時の第1の拡大断面概念図
【図6】本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の嵌合時の第2の拡大断面概念図
【図7】本発明の実施の形態1における接触型液冷受熱体の第2の断面概念図
【図8】従来の接触型液冷受熱体の説明図
【符号の説明】
1 電子部品
2 基板
3 接触型液冷受熱体
4 放熱体
5 リザーブタンク
6 ポンプ
7 配管
8 受熱ケーシング
8a 流入口
8b 流出口
8c 凹部内底面
8d 伝達柱
8e ネジ孔
9 カバー
10,11 先細円柱
10a 突条リブ
12,12a,12b シール材
13 ディンプル
14 ケーシング
101 丸型蓋ブロック
102 丸型溝ブロック
102a 雄ネジ
102b 通水溝
103 ネジ付きニップル

Claims (10)

  1. 発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、前記受熱流路において前記伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対面する被伝熱側の流路壁面とが、伝熱柱で連絡されて熱的に接続されていることを特徴とする接触型液冷受熱体。
  2. 伝熱側の流路壁面から前記受熱流路内に突出する突出体または前記被伝熱側の流路壁面から前記受熱流路内に突出する突出体が設けられ、該突出体が対面する流路壁面または対面する突出体と熱的に接続されることを特徴とする接触型液冷受熱体。
  3. 前記伝熱柱が、前記伝熱面の中央部に対応して前記受熱流路内の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の接触型液冷受熱体。
  4. 前記突出体の径が前記流路壁面に近づくに従って大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項2または3記載の接触型液冷受熱体。
  5. 前記突出体と前記伝熱柱が設けられた前記流路壁面の少なくとも一部に多数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の接触型液冷受熱体。
  6. 前記伝熱柱が、互いに当接する少なくとも2つの部分から構成され、当接面の周囲がシールされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接触型液冷受熱体。
  7. 前記伝熱面が設けられた伝熱側構造体と、該伝熱側構造体と組み合わされて内部に前記受熱流路を形成する被伝熱側構造体から構成され、前記伝熱側構造体と前記被伝熱側構造体を組み合わして前記伝熱柱を当接させたとき、前記受熱流路の周囲側壁同士は第2のシールを押圧することを特徴とする請求項6記載の接触型液冷受熱体。
  8. 前記伝熱側構造体と前記被伝熱側構造体を組み合わすとき、前記伝熱柱を支点として弾性力によって前記周囲側壁が押圧されて前記第2のシールを挟持することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接触形液冷受熱体。
  9. 発熱する電子部品と伝熱面で接触し、内部に設けられた扁平な受熱流路に冷媒を流して受熱した熱を熱交換できる接触型液冷受熱体であって、前記受熱流路において前記伝熱面の背面側の流路壁面と該流路壁面と対向する被伝熱側の流路壁面とが、伝熱柱を介して一体に構成され、熱的に接続されていることを特徴とする接触型液冷受熱体。
  10. 冷媒を循環するための閉循環路に放熱器とポンプが設けられ、請求項1〜9のいずれかに記載の接触型液冷受熱体が発熱電子部品に接触されて内部の冷媒の熱交換作用で該発熱電子部品から熱を奪い、前記放熱器から放熱を行うことを特徴とする電子部品の冷却装置。
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