JP2004288730A - ダイボンド用接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体チップと電極部材との固着にあたり、安定した固着強度を与え、固着後の信頼性に優れ、作業性及び生産性にも優れるといった特性を維持し、かつ、接着時の熱処理の低温化及び短時間化を可能にするダイボンド用接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置を提供すること。
【解決手段】以下の一般式(1):
【化1】
(式中、R1 は官能液状ゴム残基を表し、R2 及びR3 はジイソシアネート残基を表し、R4 及びR5 はモノイソシアネート残基を表し、m及びnは1以上の整数であり、mとnの和は2〜100である)
で表されるポリカルボジイミドからなるダイボンド用接着フィルム、及び該ダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着してなる半導体装置。
【選択図】 なし
【解決手段】以下の一般式(1):
【化1】
(式中、R1 は官能液状ゴム残基を表し、R2 及びR3 はジイソシアネート残基を表し、R4 及びR5 はモノイソシアネート残基を表し、m及びnは1以上の整数であり、mとnの和は2〜100である)
で表されるポリカルボジイミドからなるダイボンド用接着フィルム、及び該ダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着してなる半導体装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップと電極部材の固着材料である、ダイボンド用接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の製造過程においてリードフレームや電極部材への半導体チップの固着にフィルム状のダイアタッチ材を用いる方法の開発が行われている。このようなダイアタッチ材の例として、接着時の熱処理を従来の銀ペーストと同様の温度で行うことのできる、ポリイミド樹脂を含有したダイボンド用接着フィルムが示されている(特許文献1)。しかし、半導体チップ及び電極部材へのダメージをさらに減少させるためには、接着時の熱処理のより一層の低温化が望まれる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−228697号公報(〔0004〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体チップと電極部材との固着にあたり、安定した固着強度を与え、固着後の信頼性に優れ、作業性及び生産性にも優れるといった特性を維持し、かつ、接着時の熱処理の低温化及び短時間化を可能にするダイボンド用接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の一般式(1):
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、R1 は官能液状ゴム残基を表し、R2 及びR3 はジイソシアネート残基を表し、R4 及びR5 はモノイソシアネート残基を表し、m及びnは1以上の整数であり、mとnの和は2〜100である)
で表されるポリカルボジイミドからなるダイボンド用接着フィルム、及び該ダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着してなる半導体装置に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドからなることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドは、官能液状ゴムとジイソシアネートとによるポリアミド化、ポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネート及びジイソシアネート同士のカルボジイミド化並びにモノイソシアネートによるポリカルボジイミドの末端封鎖により得られる。
【0010】
前記一般式(1)中、R1 は、原料として用いられる官能液状ゴムの残基を、R2 及びR3 は、原料として用いられるジイソシアネートの残基を、R4 及びR5 は、原料として用いられるモノイソシアネートの残基を表す。また、m及びnは1以上の整数であり、mとnはそれぞれ、3〜40であるのが好ましい。また、mとnの和は2〜100であり、好ましくは6〜80である。
【0011】
原料である官能液状ゴムには、両末端にカルボキシル基を有する2官能液状ゴムを用いるのが好ましい。かかる2官能液状ゴムとしては、液状ポリブタジエン(宇部興産製、Hycar CTB (商標)等)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製、Hycar CTBN(商標)等)、液状ポリイソプレン(クラレ製、クラプレンLIR−403(商標)等)、液状水添ポリイソプレン等が挙げられ、これらの変性品を使用することもできる。
【0012】
原料であるジイソシアネート及びモノイソシアネートは芳香族系又は脂肪族系のいずれであってもよく、それぞれ芳香族系又は脂肪族系のものを単独で若しくは両者を共に用いることができる。本発明においては、反応制御の観点から、芳香族系のものが好適に使用される。即ち、ジイソシアネート及びモノイソシアネートの少なくとも一方が芳香族系のものを含むか若しくは芳香族系であるか、又はいずれも芳香族系のものであるのが好ましい。中でも、ジイソシアネートが脂肪族系及び芳香族系のものであり、かつモノイソシアネートが芳香族系のものであるのがより好ましく、ジイソシアネート及びモノイソシアネートのいずれもが芳香族系のものであるのが特に好ましい。
【0013】
芳香族ジイソシアネートとしては、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン等を用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が反応が容易に進行し特に好適に使用できる。なお、これらの芳香族ジイソシアネートは単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4’−ジイソシアネート等を用いることができる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが反応が容易に進行し特に好適に使用できる。なお、これらの脂肪族ジイソシアネートは単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
原料であるジイソシアネートとしては、用いられる全ジイソシアネート中、芳香族ジイソシアネートが、好ましくは10モル%以上(上限は100モル%)含まれるものが好適である。当該ジイソシアネートとしては、前記好適なものを用いるのが望ましい。
【0016】
原料として用いられるジイソシアネートは、液状ゴム1モルに対して、2モル以上が好ましく、4〜80モルがより好ましく、4〜20モルが特に好ましい。ジイソシアネートは、反応初期、中期、末期又は全般にわたり、モノイソシアネートを反応溶液中に加えることにより行うことができる。
【0017】
本発明において用いられるモノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート等が挙げられる。これらのモノイソシアネートは単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
モノイソシアネートとしては、モノイソシアネート同士間での反応が生じず、かつ効率よくポリカルボジイミドの末端封鎖が進行するという観点から、芳香族モノイソシアネートが好適に使用され、1−ナフチルイソシアネートがより好適に使用される。
【0019】
末端封鎖に使用されるモノイソシアネートは、使用するジイソシアネート成分100モルに対して1〜50モルの範囲で用いるのが好ましい。ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を1モル以上で用いると、得られるポリカルボジイミドの分子量が大きくなりすぎたり架橋反応が生ずることがないため、例えば、ポリカルボジイミド溶液の粘度の上昇ないし当該溶液の固化が生じたり、当該溶液の保存安定性の低下が生ずることがないので好ましい。また、ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を50モル以下で用いると、ポリカルボジイミド溶液の粘度が適度であり、例えば、当該溶液の塗布乾燥によるフィルム成型において良好な成膜を行うことができるので好ましい。モノイソシアネートをジイソシアネート成分に対し前記範囲で用いて末端封鎖したポリカルボジイミドの溶液は、特に保存安定性に優れる。
【0020】
本発明において、ポリカルボジイミドの製造は、所定の溶媒中、原料として用いる官能液状ゴムとジイソシアネートとを反応させてポリアミド化させ、次いで、カルボジイミド化触媒の存在下、生成したポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネートとの縮合反応、及びジイソシアネート同士の縮合反応によりカルボジイミド化を行い、モノイソシアネートにより末端封鎖することにより行うことが好ましい。
【0021】
官能液状ゴムとジイソシアネートによるポリアミド化の反応温度は、通常、0〜120℃であり、好ましくは20〜100℃である。また、反応時間は、1分〜5時間程度が好ましく、反応の終点は、官能液状ゴム由来のカルボキシル基の消滅により確認することができる。
【0022】
ポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネートとの縮合反応の反応温度は、通常、40〜150℃であり、好ましくは50〜140℃である。
【0023】
ジイソシアネート同士の縮合反応の反応温度としては、通常、0〜150℃であり、好ましくは10〜120℃である。
【0024】
原料のジイソシアネートに脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとを併用する場合は低温で縮合反応させるのが好ましい。反応温度としては、0〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとの縮合反応が充分に進行するので好ましい。
【0025】
脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとからなるポリカルボジイミドに対し、反応溶液中に過剰に存在する芳香族ジイソシアネートを、さらに反応させることを所望する場合、反応温度は40〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、任意の溶媒を用いて反応を円滑に進行させることができるので好ましい。
【0026】
反応溶液中のジイソシアネート濃度は5〜80重量%であるのが好適である。ジイソシアネート濃度がかかる範囲内にあれば、カルボジイミド化が充分に進行し、また、反応の制御が容易であるので好ましい。
【0027】
モノイソシアネートによる末端封鎖は、ジイソシアネートのカルボジイミド化の初期、中期、末期又は全般にわたり、モノイソシアネートを反応溶液中に加えることにより行うことができる。当該モノイソシアネートとしては芳香族モノイソシアネートが好ましい。
【0028】
カルボジイミド化触媒としては、公知のリン系触媒がいずれも好適に用いられる。例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシド、或いはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドが挙げられる。
【0029】
ポリカルボジイミドの製造に用いられる溶媒(有機溶媒)としては、公知のものが使用される。具体的には、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの溶媒は、得られたポリカルボジイミドを溶解する場合にも用いられる。
【0030】
なお、反応の終点は、赤外分光分析(IR測定)によるカルボジイミド構造(N=C=N)由来の吸収(2140cm−1)の観測及びイソシアネート由来の吸収(2280cm−1)の消失により確認することができる。
【0031】
カルボジイミド化反応の終了後、通常、ポリカルボジイミドは溶液として得られるが、さらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン等の貧溶媒に得られた溶液を投入し、ポリカルボジイミドを沈澱として析出させ、未反応のモノマーや触媒を取り除いてもよい。
【0032】
また、一旦、沈澱として回収されたポリカルボジイミドの溶液を調製するには、当該沈澱を所定の操作により洗浄し、乾燥を行い、再度有機溶媒に溶解する。このような操作を行うことにより、ポリカルボジイミド溶液の保存安定性を向上させることができる。
【0033】
さらに、ポリカルボジイミド溶液中に副生成物が含まれる場合には、例えば、適当な吸着剤を用い、副生成物を吸着除去して、精製してもよい。吸着剤としては、例えば、アルミナゲル、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、活性酸化マグネシウム、活性ボーキサイト、フラースアース、活性白土、分子ふるいカーボン等が挙げられ、それらの吸着剤は単独で若しくは2種以上を併用することができる。
【0034】
以上より、本発明におけるポリカルボジイミドが得られる。接着フィルムを構成するポリカルボジイミドとしては、低温かつ短時間で熱処理を行うという観点から、主鎖構造が芳香族及び脂肪族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものが好適であり、主鎖構造が芳香族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものがさらに好適である。
【0035】
具体的には、ポリカルボジイミドとしては、前記一般式(1)のR2 及びR3 で表されるジイソシアネート残基の総量において、10モル%以上(上限は100モル%)が芳香族ジイソシアネート残基であるものが好ましく、前記一般式(1)のR4 及びR5 で表されるモノイソシアネート残基が芳香族モノイソシアネート残基であるものが好ましい。また、該芳香族ジイソシアネート残基としては、トリレンジイソシアネート残基、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート残基及びナフタレンジイソシアネート残基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ナフタレンジイソシアネート残基がより好ましく、該芳香族モノイソシアネート残基としては、1−ナフチルイソシアネート残基が好ましい。
【0036】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、例えば、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドをトルエン、シクロヘキサノン等の溶媒に溶解させた溶液を、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の公知の方法により、離型性表面を有する支持体の上に塗布し、加熱乾燥させて、製膜することにより得られる。
【0037】
前記支持体としては、金属箔、プラスチックフィルム等の絶縁性フィルム等が挙げられる。これらの支持体は、それぞれ単独で用いてもよく、また両者を2層以上積層した2層基材を用いてもよい。このような2層基材としては、例えば銅/ポリイミドの2層基材等が挙げられる。
【0038】
支持体上に塗布したポリカルボジイミド溶液の加熱乾燥は、ポリカルボジイミドの硬化反応をあまり進行させずに乾燥させるよう、溶媒の除去が可能な程度の温度、時間で行うことが好ましい。具体的な加熱乾燥の温度としては、20〜350℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、70〜200℃が特に好ましい。また、時間は、30秒〜30分が好ましく、1〜10分がより好ましく、2〜5分が特に好ましい。
【0039】
接着フィルムを製造する際には、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を図るために、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化ケイ素等のセラミック、カーボン等の種々の無機粉末を必要に応じて、1種又は2種以上を配合してもよい。
【0040】
さらに、本発明の接着フィルムには、無機充填剤、表面平滑性を出すための平滑剤、脱泡剤、接着力を向上させるシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等の各種添加剤が、フィルムの加工性、耐熱性を損なわない範囲で適宜配合されていてもよい。これら添加剤の配合量は、ポリカルボジイミド100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、0.2〜50重量部がより好ましい。
【0041】
本発明のダイボンド用接着フィルムの厚さは、1〜200μm程度が好ましい。またフィルムの形状や大きさは、リードフレームや半導体チップ等、被着体に応じて適宜に選択することができる。
【0042】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、リール等に長尺状態に巻回したリボン状で用いるのが取扱いが容易であり好ましく、また支持体上に製膜した接着フィルムは、使用時に支持体から剥離して使用されるのが一般的である。
【0043】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、被着体の種類、接着時の荷重等によって異なるが、比較的低温、かつ短時間で被着体に固着させることができる。その固着強度は安定しており、固着後の信頼性も高いことから、本発明の接着フィルムは、半導体装置における半導体チップと電極部材との固着にも好適に用いることができる。
【0044】
従って、本発明においては、さらに本発明のダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着させた半導体装置が提供される。半導体チップと電極部材との固着は、例えば、本発明の接着フィルムをダイシング装置上に固定し、シリコンウェハの片面を接着フィルムに20〜100℃にて仮接着して固定した後、ダイシング装置により、接着フィルムが仮接着されたシリコンウェハを切断して、接着剤を保持した半導体チップを得、接着剤が仮接着された半導体チップを電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に載せて加熱し、接着剤層中のポリカルボジイミドを硬化させることにより、行うことができる。また、別の手段として、接着フィルムをカッター等適宜の手段により所定の寸法(長さや形状等)に切断し、形成した切断片を電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に仮接着し、その上に半導体チップを載せて加熱する方法であってもよい。
【0045】
なお、加熱手段は特に限定されず、例えば、ヒーター、超音波、紫外線等、公知の手段を用いることができる。また、加熱温度や時間は、被着体にかける荷重等により異なるが、加熱温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1秒〜30分、より好ましくは1秒〜1分である。
【0046】
固着させた半導体チップと電極部材は、接着フィルム中のポリカルボジイミドを完全に硬化させるため、さらに、120〜175℃程度の温度で、1〜5時間程度加熱することが好ましい。半導体チップの周囲を、エポキシ樹脂等の樹脂により封止する場合には、この加熱処理を、封止用樹脂成型後の硬化と同時に行ってもよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
なお、以下において、合成反応は全て窒素気流下で行った。IR測定は、FT/IR−230(日本分光製)を用いて行った。
【0049】
実施例1
攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(異性体混合物:三井武田ケミカル製T−80)を10.5g(60mmol)、ナフタレンジイソシアネートを15.0g(60mmol)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製Hycar CTBN1300X13 )を86.1g(27.3mmol)、トルエンを232g入れ、50℃で1時間攪拌した。
【0050】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを8.32g(49.2mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.46g(2.4mmol)添加し、攪拌しながら100℃に昇温し、2時間保持した。
【0051】
反応の進行はIR測定により確認した。具体的にはイソシアネートのN=C=O伸縮振動(2280cm−1)の吸収の減少とカルボジイミドのN=C=N伸縮振動(2140cm−1)の吸収の増加を観測した。また、結合部分のアミド基のC=O伸縮振動(1695cm−1)の吸収を観測した。IR測定にて反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することにより、ポリカルボジイミド溶液を得た。なお、前記一般式(1)におけるn及びmは、それぞれ7〜30で分布していた。
【0052】
次いで、ポリカルボジイミド溶液を剥離剤(フッ素化シリコーン)で処理したポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータ(厚さ50μm)〔三菱化学ポリエステルフィルム(株)製〕の上に塗布した。これを、130℃にて1分間加熱した後、150℃で1分間加熱し、セパレータを外して、接着フィルム(厚さ50μm)を得た。
【0053】
実施例2
攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを34.5g(138mmol)、ナフタレンジイソシアネートを9.7g(46mmol)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製Hycar CTBN1300X13 )を39.01g(12.4mmol)、トルエンを296g入れ、50℃で1時間攪拌した。
【0054】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを3.40g(20.1mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.39g(2.01mmol)添加し、攪拌しながら100℃に昇温し、さらに2時間保持した。
【0055】
実施例1と同様にして、IR測定により反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することにより、ポリカルボジイミド溶液を得た。なお、前記一般式(1)におけるnは4〜13で、mは12〜39で分布していた。
【0056】
次いで、ポリカルボジイミド溶液を用い、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0057】
比較例1
攪拌装置、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンを41g(0.1モル)、ジメチルアセトアミドを150g入れ、攪拌した。2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41g(0.1モル)を少量ずつ添加した。室温で3時間反応させたのち、キシレン30gを添加し、N2 ガスを吹き込みながら150℃に加熱し、水と共にキシレンを共沸除去した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採取し、乾燥させて、ポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂100重量部に対してジメチルアセトアミド300重量部を添加してワニスとし、このワニスをポリエステルフィルム上に30〜50μmの厚さで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、接着フィルムを得た。
【0058】
試験例
実施例1、2及び比較例1で得られた接着フィルムを、4mm四方の大きさに切断し、これを4mm四方の半導体チップと銀メッキ付リードフレームの間に挟み、表1に示す条件で加熱圧着したのち、プッシュプルゲージを用いてせん断接着力を測定した。なお、比較例1の接着フィルムについては、(a)及び(b)の2通りの条件下で試みたが、実施例と同じ条件(a)下では接着が不可能であった。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
以上の結果より、実施例1、2は比較例1に比べ、低温かつ短時間で半導体チップをリードフレームに固定することができ、せん断接着力も大きいことが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、比較的低温、短時間で接着時の熱処理を行うことができ、かつ固着強度の安定性及び固着後の信頼性にも優れることから、半導体装置における半導体チップと電極部材の固着にも好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップと電極部材の固着材料である、ダイボンド用接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の製造過程においてリードフレームや電極部材への半導体チップの固着にフィルム状のダイアタッチ材を用いる方法の開発が行われている。このようなダイアタッチ材の例として、接着時の熱処理を従来の銀ペーストと同様の温度で行うことのできる、ポリイミド樹脂を含有したダイボンド用接着フィルムが示されている(特許文献1)。しかし、半導体チップ及び電極部材へのダメージをさらに減少させるためには、接着時の熱処理のより一層の低温化が望まれる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−228697号公報(〔0004〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体チップと電極部材との固着にあたり、安定した固着強度を与え、固着後の信頼性に優れ、作業性及び生産性にも優れるといった特性を維持し、かつ、接着時の熱処理の低温化及び短時間化を可能にするダイボンド用接着フィルム及び該接着フィルムを用いた半導体装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の一般式(1):
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、R1 は官能液状ゴム残基を表し、R2 及びR3 はジイソシアネート残基を表し、R4 及びR5 はモノイソシアネート残基を表し、m及びnは1以上の整数であり、mとnの和は2〜100である)
で表されるポリカルボジイミドからなるダイボンド用接着フィルム、及び該ダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着してなる半導体装置に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドからなることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドは、官能液状ゴムとジイソシアネートとによるポリアミド化、ポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネート及びジイソシアネート同士のカルボジイミド化並びにモノイソシアネートによるポリカルボジイミドの末端封鎖により得られる。
【0010】
前記一般式(1)中、R1 は、原料として用いられる官能液状ゴムの残基を、R2 及びR3 は、原料として用いられるジイソシアネートの残基を、R4 及びR5 は、原料として用いられるモノイソシアネートの残基を表す。また、m及びnは1以上の整数であり、mとnはそれぞれ、3〜40であるのが好ましい。また、mとnの和は2〜100であり、好ましくは6〜80である。
【0011】
原料である官能液状ゴムには、両末端にカルボキシル基を有する2官能液状ゴムを用いるのが好ましい。かかる2官能液状ゴムとしては、液状ポリブタジエン(宇部興産製、Hycar CTB (商標)等)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製、Hycar CTBN(商標)等)、液状ポリイソプレン(クラレ製、クラプレンLIR−403(商標)等)、液状水添ポリイソプレン等が挙げられ、これらの変性品を使用することもできる。
【0012】
原料であるジイソシアネート及びモノイソシアネートは芳香族系又は脂肪族系のいずれであってもよく、それぞれ芳香族系又は脂肪族系のものを単独で若しくは両者を共に用いることができる。本発明においては、反応制御の観点から、芳香族系のものが好適に使用される。即ち、ジイソシアネート及びモノイソシアネートの少なくとも一方が芳香族系のものを含むか若しくは芳香族系であるか、又はいずれも芳香族系のものであるのが好ましい。中でも、ジイソシアネートが脂肪族系及び芳香族系のものであり、かつモノイソシアネートが芳香族系のものであるのがより好ましく、ジイソシアネート及びモノイソシアネートのいずれもが芳香族系のものであるのが特に好ましい。
【0013】
芳香族ジイソシアネートとしては、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン等を用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が反応が容易に進行し特に好適に使用できる。なお、これらの芳香族ジイソシアネートは単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4’−ジイソシアネート等を用いることができる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが反応が容易に進行し特に好適に使用できる。なお、これらの脂肪族ジイソシアネートは単独で用いても2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
原料であるジイソシアネートとしては、用いられる全ジイソシアネート中、芳香族ジイソシアネートが、好ましくは10モル%以上(上限は100モル%)含まれるものが好適である。当該ジイソシアネートとしては、前記好適なものを用いるのが望ましい。
【0016】
原料として用いられるジイソシアネートは、液状ゴム1モルに対して、2モル以上が好ましく、4〜80モルがより好ましく、4〜20モルが特に好ましい。ジイソシアネートは、反応初期、中期、末期又は全般にわたり、モノイソシアネートを反応溶液中に加えることにより行うことができる。
【0017】
本発明において用いられるモノイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート等が挙げられる。これらのモノイソシアネートは単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
モノイソシアネートとしては、モノイソシアネート同士間での反応が生じず、かつ効率よくポリカルボジイミドの末端封鎖が進行するという観点から、芳香族モノイソシアネートが好適に使用され、1−ナフチルイソシアネートがより好適に使用される。
【0019】
末端封鎖に使用されるモノイソシアネートは、使用するジイソシアネート成分100モルに対して1〜50モルの範囲で用いるのが好ましい。ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を1モル以上で用いると、得られるポリカルボジイミドの分子量が大きくなりすぎたり架橋反応が生ずることがないため、例えば、ポリカルボジイミド溶液の粘度の上昇ないし当該溶液の固化が生じたり、当該溶液の保存安定性の低下が生ずることがないので好ましい。また、ジイソシアネート成分100モルに対してモノイソシアネート成分を50モル以下で用いると、ポリカルボジイミド溶液の粘度が適度であり、例えば、当該溶液の塗布乾燥によるフィルム成型において良好な成膜を行うことができるので好ましい。モノイソシアネートをジイソシアネート成分に対し前記範囲で用いて末端封鎖したポリカルボジイミドの溶液は、特に保存安定性に優れる。
【0020】
本発明において、ポリカルボジイミドの製造は、所定の溶媒中、原料として用いる官能液状ゴムとジイソシアネートとを反応させてポリアミド化させ、次いで、カルボジイミド化触媒の存在下、生成したポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネートとの縮合反応、及びジイソシアネート同士の縮合反応によりカルボジイミド化を行い、モノイソシアネートにより末端封鎖することにより行うことが好ましい。
【0021】
官能液状ゴムとジイソシアネートによるポリアミド化の反応温度は、通常、0〜120℃であり、好ましくは20〜100℃である。また、反応時間は、1分〜5時間程度が好ましく、反応の終点は、官能液状ゴム由来のカルボキシル基の消滅により確認することができる。
【0022】
ポリアミド末端のイソシアネート基とジイソシアネートとの縮合反応の反応温度は、通常、40〜150℃であり、好ましくは50〜140℃である。
【0023】
ジイソシアネート同士の縮合反応の反応温度としては、通常、0〜150℃であり、好ましくは10〜120℃である。
【0024】
原料のジイソシアネートに脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとを併用する場合は低温で縮合反応させるのが好ましい。反応温度としては、0〜50℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとの縮合反応が充分に進行するので好ましい。
【0025】
脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートとからなるポリカルボジイミドに対し、反応溶液中に過剰に存在する芳香族ジイソシアネートを、さらに反応させることを所望する場合、反応温度は40〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。反応温度がかかる範囲内であれば、任意の溶媒を用いて反応を円滑に進行させることができるので好ましい。
【0026】
反応溶液中のジイソシアネート濃度は5〜80重量%であるのが好適である。ジイソシアネート濃度がかかる範囲内にあれば、カルボジイミド化が充分に進行し、また、反応の制御が容易であるので好ましい。
【0027】
モノイソシアネートによる末端封鎖は、ジイソシアネートのカルボジイミド化の初期、中期、末期又は全般にわたり、モノイソシアネートを反応溶液中に加えることにより行うことができる。当該モノイソシアネートとしては芳香族モノイソシアネートが好ましい。
【0028】
カルボジイミド化触媒としては、公知のリン系触媒がいずれも好適に用いられる。例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシド、或いはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドが挙げられる。
【0029】
ポリカルボジイミドの製造に用いられる溶媒(有機溶媒)としては、公知のものが使用される。具体的には、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの溶媒は、得られたポリカルボジイミドを溶解する場合にも用いられる。
【0030】
なお、反応の終点は、赤外分光分析(IR測定)によるカルボジイミド構造(N=C=N)由来の吸収(2140cm−1)の観測及びイソシアネート由来の吸収(2280cm−1)の消失により確認することができる。
【0031】
カルボジイミド化反応の終了後、通常、ポリカルボジイミドは溶液として得られるが、さらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン等の貧溶媒に得られた溶液を投入し、ポリカルボジイミドを沈澱として析出させ、未反応のモノマーや触媒を取り除いてもよい。
【0032】
また、一旦、沈澱として回収されたポリカルボジイミドの溶液を調製するには、当該沈澱を所定の操作により洗浄し、乾燥を行い、再度有機溶媒に溶解する。このような操作を行うことにより、ポリカルボジイミド溶液の保存安定性を向上させることができる。
【0033】
さらに、ポリカルボジイミド溶液中に副生成物が含まれる場合には、例えば、適当な吸着剤を用い、副生成物を吸着除去して、精製してもよい。吸着剤としては、例えば、アルミナゲル、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、活性酸化マグネシウム、活性ボーキサイト、フラースアース、活性白土、分子ふるいカーボン等が挙げられ、それらの吸着剤は単独で若しくは2種以上を併用することができる。
【0034】
以上より、本発明におけるポリカルボジイミドが得られる。接着フィルムを構成するポリカルボジイミドとしては、低温かつ短時間で熱処理を行うという観点から、主鎖構造が芳香族及び脂肪族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものが好適であり、主鎖構造が芳香族ジイソシアネートから構成され、かつ末端封鎖が芳香族モノイソシアネートよりなるものがさらに好適である。
【0035】
具体的には、ポリカルボジイミドとしては、前記一般式(1)のR2 及びR3 で表されるジイソシアネート残基の総量において、10モル%以上(上限は100モル%)が芳香族ジイソシアネート残基であるものが好ましく、前記一般式(1)のR4 及びR5 で表されるモノイソシアネート残基が芳香族モノイソシアネート残基であるものが好ましい。また、該芳香族ジイソシアネート残基としては、トリレンジイソシアネート残基、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート残基及びナフタレンジイソシアネート残基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ナフタレンジイソシアネート残基がより好ましく、該芳香族モノイソシアネート残基としては、1−ナフチルイソシアネート残基が好ましい。
【0036】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、例えば、前記一般式(1)で表されるポリカルボジイミドをトルエン、シクロヘキサノン等の溶媒に溶解させた溶液を、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティング等の公知の方法により、離型性表面を有する支持体の上に塗布し、加熱乾燥させて、製膜することにより得られる。
【0037】
前記支持体としては、金属箔、プラスチックフィルム等の絶縁性フィルム等が挙げられる。これらの支持体は、それぞれ単独で用いてもよく、また両者を2層以上積層した2層基材を用いてもよい。このような2層基材としては、例えば銅/ポリイミドの2層基材等が挙げられる。
【0038】
支持体上に塗布したポリカルボジイミド溶液の加熱乾燥は、ポリカルボジイミドの硬化反応をあまり進行させずに乾燥させるよう、溶媒の除去が可能な程度の温度、時間で行うことが好ましい。具体的な加熱乾燥の温度としては、20〜350℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、70〜200℃が特に好ましい。また、時間は、30秒〜30分が好ましく、1〜10分がより好ましく、2〜5分が特に好ましい。
【0039】
接着フィルムを製造する際には、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を図るために、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化ケイ素等のセラミック、カーボン等の種々の無機粉末を必要に応じて、1種又は2種以上を配合してもよい。
【0040】
さらに、本発明の接着フィルムには、無機充填剤、表面平滑性を出すための平滑剤、脱泡剤、接着力を向上させるシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等の各種添加剤が、フィルムの加工性、耐熱性を損なわない範囲で適宜配合されていてもよい。これら添加剤の配合量は、ポリカルボジイミド100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、0.2〜50重量部がより好ましい。
【0041】
本発明のダイボンド用接着フィルムの厚さは、1〜200μm程度が好ましい。またフィルムの形状や大きさは、リードフレームや半導体チップ等、被着体に応じて適宜に選択することができる。
【0042】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、リール等に長尺状態に巻回したリボン状で用いるのが取扱いが容易であり好ましく、また支持体上に製膜した接着フィルムは、使用時に支持体から剥離して使用されるのが一般的である。
【0043】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、被着体の種類、接着時の荷重等によって異なるが、比較的低温、かつ短時間で被着体に固着させることができる。その固着強度は安定しており、固着後の信頼性も高いことから、本発明の接着フィルムは、半導体装置における半導体チップと電極部材との固着にも好適に用いることができる。
【0044】
従って、本発明においては、さらに本発明のダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着させた半導体装置が提供される。半導体チップと電極部材との固着は、例えば、本発明の接着フィルムをダイシング装置上に固定し、シリコンウェハの片面を接着フィルムに20〜100℃にて仮接着して固定した後、ダイシング装置により、接着フィルムが仮接着されたシリコンウェハを切断して、接着剤を保持した半導体チップを得、接着剤が仮接着された半導体チップを電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に載せて加熱し、接着剤層中のポリカルボジイミドを硬化させることにより、行うことができる。また、別の手段として、接着フィルムをカッター等適宜の手段により所定の寸法(長さや形状等)に切断し、形成した切断片を電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に仮接着し、その上に半導体チップを載せて加熱する方法であってもよい。
【0045】
なお、加熱手段は特に限定されず、例えば、ヒーター、超音波、紫外線等、公知の手段を用いることができる。また、加熱温度や時間は、被着体にかける荷重等により異なるが、加熱温度は、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1秒〜30分、より好ましくは1秒〜1分である。
【0046】
固着させた半導体チップと電極部材は、接着フィルム中のポリカルボジイミドを完全に硬化させるため、さらに、120〜175℃程度の温度で、1〜5時間程度加熱することが好ましい。半導体チップの周囲を、エポキシ樹脂等の樹脂により封止する場合には、この加熱処理を、封止用樹脂成型後の硬化と同時に行ってもよい。
【0047】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
なお、以下において、合成反応は全て窒素気流下で行った。IR測定は、FT/IR−230(日本分光製)を用いて行った。
【0049】
実施例1
攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(異性体混合物:三井武田ケミカル製T−80)を10.5g(60mmol)、ナフタレンジイソシアネートを15.0g(60mmol)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製Hycar CTBN1300X13 )を86.1g(27.3mmol)、トルエンを232g入れ、50℃で1時間攪拌した。
【0050】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを8.32g(49.2mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.46g(2.4mmol)添加し、攪拌しながら100℃に昇温し、2時間保持した。
【0051】
反応の進行はIR測定により確認した。具体的にはイソシアネートのN=C=O伸縮振動(2280cm−1)の吸収の減少とカルボジイミドのN=C=N伸縮振動(2140cm−1)の吸収の増加を観測した。また、結合部分のアミド基のC=O伸縮振動(1695cm−1)の吸収を観測した。IR測定にて反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することにより、ポリカルボジイミド溶液を得た。なお、前記一般式(1)におけるn及びmは、それぞれ7〜30で分布していた。
【0052】
次いで、ポリカルボジイミド溶液を剥離剤(フッ素化シリコーン)で処理したポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータ(厚さ50μm)〔三菱化学ポリエステルフィルム(株)製〕の上に塗布した。これを、130℃にて1分間加熱した後、150℃で1分間加熱し、セパレータを外して、接着フィルム(厚さ50μm)を得た。
【0053】
実施例2
攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを34.5g(138mmol)、ナフタレンジイソシアネートを9.7g(46mmol)、液状ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(B.F.Goodrich製Hycar CTBN1300X13 )を39.01g(12.4mmol)、トルエンを296g入れ、50℃で1時間攪拌した。
【0054】
さらに、1−ナフチルイソシアネートを3.40g(20.1mmol)と3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−2−オキシドを0.39g(2.01mmol)添加し、攪拌しながら100℃に昇温し、さらに2時間保持した。
【0055】
実施例1と同様にして、IR測定により反応の終点を確認し、反応液を室温まで冷却することにより、ポリカルボジイミド溶液を得た。なお、前記一般式(1)におけるnは4〜13で、mは12〜39で分布していた。
【0056】
次いで、ポリカルボジイミド溶液を用い、実施例1と同様にして接着フィルムを得た。
【0057】
比較例1
攪拌装置、還流冷却器、温度計を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンを41g(0.1モル)、ジメチルアセトアミドを150g入れ、攪拌した。2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41g(0.1モル)を少量ずつ添加した。室温で3時間反応させたのち、キシレン30gを添加し、N2 ガスを吹き込みながら150℃に加熱し、水と共にキシレンを共沸除去した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採取し、乾燥させて、ポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂100重量部に対してジメチルアセトアミド300重量部を添加してワニスとし、このワニスをポリエステルフィルム上に30〜50μmの厚さで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、接着フィルムを得た。
【0058】
試験例
実施例1、2及び比較例1で得られた接着フィルムを、4mm四方の大きさに切断し、これを4mm四方の半導体チップと銀メッキ付リードフレームの間に挟み、表1に示す条件で加熱圧着したのち、プッシュプルゲージを用いてせん断接着力を測定した。なお、比較例1の接着フィルムについては、(a)及び(b)の2通りの条件下で試みたが、実施例と同じ条件(a)下では接着が不可能であった。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
以上の結果より、実施例1、2は比較例1に比べ、低温かつ短時間で半導体チップをリードフレームに固定することができ、せん断接着力も大きいことが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明のダイボンド用接着フィルムは、比較的低温、短時間で接着時の熱処理を行うことができ、かつ固着強度の安定性及び固着後の信頼性にも優れることから、半導体装置における半導体チップと電極部材の固着にも好適に用いることができる。
Claims (4)
- ジイソシアネート残基が、トリレンジイソシアネート残基、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート残基及びナフタレンジイソシアネート残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート残基である請求項1記載のダイボンド用接着フィルム。
- モノイソシアネート残基が、1−ナフチルイソシアネート残基である請求項1又は2記載のダイボンド用接着フィルム。
- 請求項1〜3いずれか記載のダイボンド用接着フィルムにより半導体チップと電極部材とを固着してなる半導体装置。
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