JP2004288604A - 直流リレー - Google Patents

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啓之 今西
Mutsumi Ito
睦 伊藤
Akinobu Yoshimura
明展 吉村
Takeshi Ariyoshi
剛 有吉
Tamio Tsurita
民男 釣田
Yasuhiko Nishi
康彦 西
Akira Fukuda
晃 福田
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Abstract

【課題】簡易な構造で、小型化できながら短時間で直流高電圧を遮断できる直流リレーを提供する。
【解決手段】本発明の直流リレーは互いに開閉する接点を有する接点対を複数対具え、接点は、入力接点21と、出力接点22と、前記両接点の間に配設されて2つの接触部23aを有する少なくとも一つの中間接点23と、導通時に、入力接点21、中間接点23、出力接点22を順次直列につなぐ複数個の連結接点31を具えている。接点の開閉方向一方側に入力接点21と出力接点22と中間接点23とを配置し、接点の開閉方向他方側に連結接点31を配置している。本発明は、開閉する接点を具える接点対を複数対具えるようにして、これら接点を直列に接続することにより、接点間にかかる電圧を分圧してアークを短時間で消弧させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、直流電流のリレーに関するものである。特に、簡易な構造にて確実に直流電流を遮断できる直流リレーに関するものである。
近年、環境問題からハイブリッド自動車や燃料電池自動車のような高電圧(約300V)の自動車が開発されてきている。これらの自動車は、直流高電圧の主電池と高電圧回路からなる制御回路を具えている。また、主電池は直流高電圧であるので、事故時などには電池を制御回路から切り離す必要があり、電池と制御回路との間にはメカニカル接点の直流リレーを具える。
これらリレーは、直流高電圧を遮断するときに発生するアークが非常に大きくなることから、遮断速度が非常に遅く、短時間で遮断するのは非常に難しい。
そこで、従来では、水素などの冷却効果の大きい気体をアーク発生部に封入してアークの発生を抑える構造(例えば特許文献1参照。)がある。
特開平9−320411号公報
しかし、従来の直流リレーにおいて、特許文献1に示すように、水素などの気体でアークの発生を抑制する構造とする場合には、気体をケース内に完全に密閉できるケース構造を必要とする。この場合、ケースはアークによる耐熱性が必要となって高価なもの(例えばセラミックなど)となる。気密性および耐熱性を上げるためには、ケースの厚みを大きくとる必要があり、ケースの形状が大きくなる問題もある。また、耐熱性が得られない場合には、廃車までメンテナンスをせずに気密性を維持することは非常に困難となる。
このように、水素などの気体を封入する場合には、気体が封入された状態を長期間保持するために大型化が要求され、さらに構造も複雑となる。その結果、自動車という限られたスペースに搭載する機器において性能を落とすことなく小型化を実現することは非常に困難であった。
従って、本発明は、簡易な構造で、小型化できながら短時間で直流高電圧を遮断できる直流リレーを提供することを目的とする。
本発明は、開閉する接点を具える接点対を複数対具えるようにして、これら接点を直列に接続することにより、接点間にかかる電圧を分圧してアークを短時間で消弧させて上記目的を達成する。
即ち、本発明は、互いに開閉する接点を具える接点対を複数対具え、接点は、入力接点と、出力接点と、前記両接点の間に配設されて2つの接触部を有する少なくとも一つの中間接点と、導通時に、入力接点、中間接点、出力接点を順次直列につなぐ複数個の連結接点を具えていることを特徴としている。
入力接点、中間接点、出力接点を順次直列につなぐ具体的手段としては、一つには、接点の開閉方向一方側に入力接点と出力接点と中間接点とを配置し、接点の開閉方向他方側に連結接点を配置して、例えば連結接点を直線的に開閉動作させて、各接点を直列に接続可能にする手段がある。
連結接点を直線移動して開閉する可動接点とする場合、入力接点、出力接点、中間接点は固定接点としたり可動接点としてもよい。入力接点、出力接点、中間接点を可動接点とする場合には、これらの接点も直線移動させる。この場合、連結接点を固定接点としてもよい。
他の一つの手段としては、入力接点と、出力接点と、中間接点を固定接点とし、連結接点を可動接点とする。そして、連結接点は、異なる固定接点に接触させる2つの接触部を有し、2つの接触部の中間点を中心に各接触部が揺動するように連結接点を回転可能とする。さらに、連結接点は、2つの接触部を揺動方向の互いに異なる面に設けるとともに、これらの接触部に対向するように固定接点の接触部を配置する。そして、連結接点の回転動作により、連結接点の接触部を各固定接点に対して接触または非接触状態にできるようにする。
入力接点と出力接点には、外部端子が接続される。そして、中間接点の2つの接触部は、異なる連結接点のそれぞれに接触させる。中間接点は、例えば、U字状、]状(コの字状)、平板状に形成することができる。U字状、コの字状にする場合には、U字またはコの字の両端部の端面が接触部となり、平板状の場合には、平板の長さ方向両端部がそれぞれ接触部となり、これら接触部を連結接点に接触させるようにする。
連結接点は、中間接点の数よりも一つ多く具える。各連結接点は、接点接触時(導通時)において、入力接点と中間接点の一つの接触部とを一つの連結接点で連結し、出力接点と中間接点の一つの接触部とを他の一つの連結接点で連結する。そして、中間接点が複数ある場合には、二つの連結接点を、入力接点と中間接点とを連結するためと、出力接点と中間接点とを連結するために用い、隣合う中間接点の隣合う接触部同士を他の連結接点で連結する。これら連結接点により、入力接点と中間接点と出力接点とが、導通時に直列に接続される。
連結接点は、例えば、U字状や、コの字状や、平板状や、S字状に形成することができる。連結接点等を開閉方向に直線的に駆動させる場合は、連結接点は、U字状、コの字状、平板状とすることが好ましい。U字状、コの字状の場合には、突出状の両端面を接点の接触面とする。平板状とする場合には、平板の平面に入力接点等の一方側の接点2つを接触させる。
また、連結接点を各接触部が揺動するように回転可能とする場合には、連結接点は、S字状、長方形状の平板状とすることが好ましい。S字状の場合には、突出状の両端面を接点の接触面とする。平板状とする場合には、平板の一方の平面における長手方向一端部に一つの固定接点を接触させる接触部を一つ設け、他方の平面における長手方向他端部に他の異なる固定接点を接触させる接触部を一つ設ける。
さらに、揺動タイプの連結接点には、2つの接触部の中間点である平板の長手方向中間部において、平板の長手方向と直交し、平板の平面と平行するように回転軸を固定する。この回転軸を回転させることにより、回転軸を中心として連結接点の各接触部が揺動するようになっている。回転軸は、連結接点に対して絶縁されており、回転軸そのものを絶縁材料で形成してもよいし、回転軸を絶縁部材を介して連結接点に接続するようにしてもよい。
そして、回転軸に支持されている連結接点の各接触部に対応させて、入力固定接点、中間固定接点、出力固定接点を配設する。中間固定接点の2つの接触部を、隣り合う連結接点の接触部にそれぞれ接触させることにより、2つの連結接点が中間固定接点を介して連結される。
連結接点が揺動タイプのものでは、導通時には、連結接点を回転軸を介して一方向に回転駆動させることにより、全ての連結接点を入力接点と中間接点と出力接点とに接触させ、全ての接点を直列に接続することができる。遮断時には、連結接点を他方向に回転駆動させることにより、全ての連結接点を固定接点から離隔させて、全ての接点を非接触にすることができる。
本発明は、接点開閉動作が直進タイプの接点でも、また揺動タイプの接点でも導通時において、入力接点、連結接点、中間接点、連結接点、出力接点の順に、各接点を直列に接続できるようにしている。
本発明によれば、各接点を接触させた状態のときは、入力接点から電流が流れると、連結接点、中間接点、連結接点を通過して電流が出力接点まで流れる。そして、各接点を離隔させると、全ての接点が非接触状態となり、対向している接点の間にアークが発生するが、各接点を直列に接続させているので、遮断電圧を分圧して、アークの消弧が行える。
本発明では、接点数を増やして各接点を直列に接続し、遮断時に遮断電圧を分圧することにより、短時間で電圧を遮断することができる。その結果、消弧ガスを封止する気密構造が不要となり、安価に直流リレーを製造することができる。また、接点を直列に接続するようにして電圧を分圧するようにしているので、接点間にかかる電圧を下げることでアーク電流による接点の損傷を抑制することができる。
さらに、本発明は接点の開閉動作を直線的に行う場合には、全ての接点を同一直線上に配列させることが好ましい。具体的には、図1に示すように、入力接点、中間接点、出力接点を同一直線上に配置するとともに、この線上で、入力接点、中間接点、出力接点と例えば上下に重なるように複数の連結接点を配置して、平面視同一線上となるようにする。
このとき、各接点に他方の接点と接触させる接触部を形成し、接触部の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することが好ましい。
接触部の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くするとは、接触面の形状を例えば楕円状、長円状、長方形状などに形成し、接触面の短軸方向が接点の配列方向となるようにすることをいう。
複数の接点を同一線上に配置させる場合、接点の数が増えるとリレー全体が配列方向に大きくなってしまう可能性がある。特に、直流リレーにおいては、可動接点を動かすためにソレノイドを用いることが多く、このソレノイドの大きさは、既製品を用いる場合には、大きさが決められてしまうことから、接点は、このソレノイドの横断面積からはみ出さないようにすることが好ましい。
そこで、接触部の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することにより、接点の接触面の大きさを十分確保できながらリレーの接点配列方向への長さの増大を最小限に抑えることができる。
複数の接点を一列に配列させた状態でソレノイドを用いる場合には、接点配列方向と直交する方向には、ソレノイドの横断面の面積内に有効スペースが生じる。本発明では、この有効スペースに向けて接触面を伸ばし、配列方向の長さ短くすることにより、リレー全体の体積を減らすことができる。
ここで、接点の開閉動作を行うには、種々の駆動源を利用できる。回転系駆動源ではモータが、直動系駆動源ではソレノイドやシリンダが利用できる。回転系駆動源を用いる場合は、回転運動を往復運動に変換する変換機構を介して接点を駆動させる。また、直動系駆動源を用いる場合には、直動系駆動源を接点に連結して接点を駆動させる。
本発明では、接点の開閉を直進により行う場合、開閉する一対の接点のうち、一方を可動接点、他方を固定接点としても良いし、双方を可動接点として開閉するように構成してもよい。
さらに、接点が直進タイプで全ての接点を可動接点とする場合には、全ての接点の駆動を同時に行う必要がある。このタイミングをとる具体的な手段としては、例えば、タイマー手段を用いたものが挙げられる。つまり、タイマーを用いて可動接点を駆動させる駆動信号を出力する。
また、接点直進タイプの直流リレーの場合、接点間に生ずるアークを磁石の磁界で所定の方向に引き伸ばすようにしてもよい。
また、直流リレーに揺動タイプの連結接点を用いる場合には、連結接点を回転させて、接触部を揺動させることにより接点の離隔を行うようにしているので、各固定接点と連結接点とを接触させている状態から、連結接点全体を接点開閉方向に直線的に移動させることなく接点の離隔を行える。その結果、接点直進タイプよりも接点離隔のための可動接点の移動量を確保する必要がなくなり直流リレーの小型化が図れる。
また、連結接点に設ける回転軸は、駆動源を用いて正逆回転可能に回転させる。駆動源としては、モータ(例えばステッピングモータ)やソレノイドが挙げられる。これらモータやソレノイドを用いることにより、連結接点の接触部の揺動動作を簡単に行うことができる。
さらに、1本の回転軸に複数の連結接点を設ける場合には、複数の連結接点の回転駆動による各接点の接触・開放タイミングを同期させることができ、複数接点による接点間電圧の分圧効果を最大限に引き出せる。しかも、1本の回転軸で複数の連結接点を回転駆動させることができるので、駆動源や回転軸の数をできるだけ少なくすることができ、部品点数の削減が可能になる。
また、前記駆動源の駆動力は、駆動伝達機構を介して回転軸に伝達するようにしてもよい。駆動伝達機構としては、ギヤやリンク機構が挙げられる。
また、特に駆動源としてモータを用いる場合、モータの駆動力を、駆動伝達機構を介して回転軸に伝達することが好ましい。駆動伝達機構を用いることにより、モータを回転軸の一端側に設けることなく、回転軸と平行する位置、例えば各固定接点の下方に設けることができる。その結果、リレー全体として横方向長さの小型化が可能になる。特に、駆動伝達機構としてギヤを用いる場合には、ギヤの選択によりさらに高速に接点を駆動できる。
また、前記駆動源としてソレノイドを用いる場合には、回転軸と直交する方向にソレノイドの駆動軸を設けることができるので、ソレノイドの駆動軸を回転軸の長手方向中間部に接続することができる。
その結果、モータを回転軸の一端側に設ける場合に比べてリレー全体として横方向長さの小型化が可能になる。さらに、また、モータを用いる場合、駆動伝達機構を用いて横方向長さの小型化を図るが、ソレノイドを用いる場合には、ギヤなどを用いることなく、横方向長さの小型化が可能になるので、それだけ部品点数の削減が図れる。
さらに、連結接点を揺動させるタイプの直流リレーにおいても、遮断時に固定接点と連結接点との間に発生するアークを歪曲させる磁石を設けることができる。この場合、磁石は、異なる極が対向するように回転軸と平行に配設することが好ましい。そして、二つの磁石の間に回転軸および固定接点、連結接点が配設される。
このように磁石を配設することにより、揺動タイプの可動接点を用いる場合でも、遮断電圧を分圧させるとともに、発生したアークをローレンツ力で吹き飛ばし、周囲へ拡散させることにより、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。しかも、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、従来のような遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要はなくなる。
また、磁石を異なる極が対向するように回転軸と平行に配設する場合には、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合、アークが干渉し合ってしまうので、隣合う連結接点の間に、アークの干渉を防止する絶縁体を設けることが好ましい。
さらに、遮断時に固定接点と連結接点との間に発生するアークを歪曲させる磁石は、異なる極が同じ側に向き、かつ、隣合う連結接点の間で、回転軸に対して直交するように配設するようにしてもよい。このとき、2つの磁石は、回転軸を挟むように配設され、磁石の一方には、中間固定接点を嵌め込む切欠部を形成する。
このように磁石を配設した場合、各接点は直列に接続されているので、電流は図12に示すように三次元的に上下、前後、左右に流れる。その結果、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力によってアークは、図12に示すように、連結接点の回転軸と交差する方向に伸びるように歪曲する。
揺動タイプの連結接点でこのように磁石を設ける場合も、遮断電圧を分圧させるとともに、磁石によるアークの吹き飛ばしで、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
また、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、従来のような遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要もなくなる。
さらに、アークの引き伸ばし方向が、回転軸と交差する方向となるので、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、回転軸と交差する方向にアークが引き伸ばされる。そのため、逆電流が生じても、アーク同士が繋がってしまうことがなく、逆電流にも十分対応することができる。さらに、隣合う連結接点の間に磁石を置くことにより、リレーの小型化を図ることができる。
さらに、固定接点や可動接点の接触部は、Snを1〜9質量%含み、Inを1〜9質量%含む化学組成のAg合金からなり、表面部の第一層と内部の第二層とを有し、第一層のマイクロビッカース硬度が190以上、第二層のマイクロビッカース硬度が130以下であり、第一層の厚みが、10〜360μmの範囲内にあるように形成することが好ましい。
Snの含有量を1〜9質量%とするのは、1質量%未満では、接点の耐溶着特性が低下し、9質量%を超えると接点の温度特性が低下するからである。好ましくは、2〜7質量%である。
ここで、耐溶着特性とは、接点が切れない状態、特に接点がくっついたまま離れない溶着の起こりにくさをいう。また、温度特性とは、通電時の接点の温度上昇の度合いをいい、温度特性が良いとは、通電により接点の温度が上昇しにくく、リレーに接続されるケーブルや機器に熱的な影響を与えにくいことをいう。
また、Inの含有量を1〜9質量%とするのは、この範囲外の含有量の場合には接点の温度特性が低下するからであり、さらに、9質量%を超えると、Snの含有量にもよるが、耐溶着特性が低下するからである。好ましくは、3〜7質量%である。
第一層の硬度(通常5g荷重負荷)をマイクロビッカース硬度で190以上にするのは、このレベル未満になると、耐溶着特性や温度特性が低下するからであり、第二層の硬度をマイクロビッカース硬度で130以下にするのは、このレベルを超えると、接点が脆弱化して耐摩耗性が低下するからである。
第一層の硬度は240以上、第二層のそれは120以下であるのが望ましい。なお、本発明での硬度は、接点の表面に垂直な断面上の第一層および第二層のそれぞれの域内における任意の地点でマイクロビッカース硬度にて確認したものである。本発明の接点では、第一層、第二層それぞれの層内に硬度分布があっても構わない。
また、通常第一層から第二層にかけて境目に硬度落差(マイクロビッカース硬度で60以上)があり、この境目には両層の中間の硬度を有する(すなわちその硬度が、第一層の下限硬度未満かつ第二層の上限硬度を超える範囲内にある)領域(以下中間部という。)がある。
第一層の厚みは、10〜360μmとする。下限未満では、耐溶着特性や温度特性が低下し、上限を超えると接点の温度特性が低下するからである。好ましくは30〜120μmである。また、第一層と第二層を有する接点部は、中間部のあるものも含まれるが、その場合の中間部の厚みは200μm以下であるのが望ましい。200μmを超えると接点の温度特性が低下しやすくなる。好ましくは100μm以下である。
前記接点部には、上記基本成分に加え、さらに、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、ZnおよびPbの群から選ばれた少なくとも1種の元素が、従成分として含まれていてもよい。通常、これらの成分の大部分は、Agマトリックス中に化合物、特に酸化物の形態で分散される。
但し、個々の成分によって望ましい分散量範囲が異なる。例えば、いずれも元素換算された質量%単位で0.05〜2(Sb)、0.03〜0.3(Ca)、0.01〜1(Bi)、0.02〜1.5(Ni)、0.02〜0.5(Co)、0.02〜8.5(Zn)、0.05〜5(Pb)である。なお、括弧内は対象元素である。以上の各成分種において、その量が上記の範囲外になると、直流リレーの種類によっては温度特性が低下することがあり、特に上限を超えるとリレーの種類によっては同時に耐溶着特性も低下することがある。
通常は、以上の従成分が接点の性能に若干影響を及ぼすが、これ以外の成分としては、例えば以下のものが挙げられる。これらはいずれも本発明の目的の範囲内で微量に含まれても構わない。なお成分によって望ましい含有量が異なるが、括弧内数値のうち元素記号で表示されたものは、元素換算された質量%単位で、分子式で表示のものは、同分子換算された質量%単位で表したその許容上限値である。Ce(5)、Li(5)、Cr(5)、Sr(5)、Ti(5)、Te(5)、Mn(5)、AlF3(5)、CrF3(5)およびCaF2(5)、Ge(3)およびGa(3)、Si(0.5)、Fe(0.1)およびMg(0.1)。
第一層および第二層を有する接点部を作製する方法としては、溶解・鋳造法、粉末冶金法などが挙げられる。
例えば、溶解・鋳造法では、以下の手順がある。まず第一層および第二層それぞれの化学組成となるように溶解・鋳造されたインゴットを作り、これらを粗く圧延した後、二種の圧延材を熱間圧着する。その際、またはその後、必要により上記した純Agなどの薄い接続層を圧着する。
これをさらに圧延して所定の厚みの板状に形成した後、打ち抜き、またはさらに成形し、最終形状に近いサイズのAg合金素材とし、さらに、この素材を内部酸化(後酸化法)してSn、Inなどの金属成分を酸化物に転換する。
なお、溶解・鋳造に先立ち成分元素の酸化物以外の化合物を含ませることもできる。また、必要に応じて、圧延以降に適宜熱処理や形状を調整する工程などを入れる。この場合、熱処理条件の工夫によって、各層の微細組織を意識的に制御して材料特性やそのレベルなどを変えることができる。
また、粉末冶金法で接触部を作る場合は、例えば、予めSnやInなどの粉末とAgの粉末とを二種の所定組成にて配合・混合した後、熱処理して内部酸化(前酸化法)させ、得られた二種の粉末を型内に積層・充填して圧縮成形しプリフォームとする。なお、SnやInなどの粉末とAgの粉末とは、他の化合物も一緒に混合してもよい。
そして、このプリフォームには熱間押し出し、熱間・冷間ロール圧延、熱間鍛造など各種の塑性加工が適用できる。さらに上記した鋳造法と同様に、必要に応じて圧延以降に熱処理や形状を調整する工程などを入れる。熱処理条件の工夫によって各層の所望の特性制御が可能になる。
また、第二層の素材のみを上記に準じた溶解・鋳造法や粉末冶金法の手順で作成した後、第一層を、溶射、CVDなどによる厚膜形成、スクリーン印刷などによる厚膜印刷、塗布後焼付けなど様々な手段によって形成してもよい。さらに、第一層を構成する合金板と第二層を構成する合金板との接合には、例えば熱間静水圧成形法による拡散接合、熱間押し出しなど種々の手段が適用できる。また、熱処理を施すことによって、各層の微細組織を意識的に制御して、所望の特性を得ることもできる。
さらに、本発明リレーでは、接点部を形成するAg合金素材を上記の条件の範囲内にあり、第一層と第二層とが同じ化学組成であるものも含まれる。第一層と第二層とを同じ化学組成にする場合、後述する手段により両層の硬度レベルを異なるようにする。
例えば第一層だけを急熱・急冷し、第一層の残留応力を第二層のそれより大きくする方法、表面の第一層だけにショットブラスト加工を施して加工硬化する方法がある。
また、Ag合金板に熱間圧延や冷間圧延に加え熱処理を施す、いわゆるサーモメカニカルプロセッシング(熱加工処理)を行った後、内部酸化を行って、第一層に第二層より微細な針状の酸化物粒子を析出させ、表面の硬度を高める方法がある。また、第一層および第二層のAg合金板を圧延加工や熱間圧着する際に第一層と第二層の鍛錬加工比を変えて行う方法もある。
さらに、接触部の素材は、上記条件の範囲内にあり、しかも第一層中のSnの含有量が第二層のそれと同じか、またはそれよりも多いものも含まれる。これによって、第二層の硬度よりも第一層の硬度の方が、ほぼ確実に高くなる。
前記接触部は、溶解・鋳造法や、粉末冶金法などにより形成するが、このとき、第一層および第二層を内部酸化させることが好ましい。内部酸化法には、後酸化法と前酸化法とがある。
後酸化法とは、合金の状態で最終接点形状に仕上げるか、その近くまで成形した後に、内部酸化をする方法である。
前酸化法とは、合金の粉末または粒を内部酸化させておいて、これらを成形、圧縮・焼結する方法である。
以上説明したように、本発明直流リレーによれば、次の効果を奏することができる。
各接点を、直列に接続される複数で構成することで、直列複数接点を作り出し、電圧を分圧することでアークの発生を抑制して、短時間での遮断を実現することができる。その結果、消弧ガスを封止する気密構造とする必要がなくなり、安価に直流リレーを製造することができる。
接点の開閉方向一方側に入力接点と出力接点と中間接点とを配置し、接点の開閉方向他方側に連結接点を配置する場合には、接点の開閉方向一方を開閉方向に直進させて開閉するだけでリレーの遮断が行える。
また、接点を開閉方向に直進させて開閉する場合、全ての接点を同一直線上に配列させるとともに、接触部の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することにより、接点の接触面の大きさを十分確保できながらリレーの接点配列方向への長さの増大を最小限に抑えることができる。
また、接点直進タイプの直流リレーの場合、接点間に生ずるアークを磁石の磁界で所定の方向に引き伸ばすようにすると、遮断する際に、接点間に発生するアークを磁石によるローレンツ力で外側に引き伸ばすことができ、アーク消弧時間を短縮することができる。
本発明では、複数の接点対により遮断電圧を分圧させるとともに、磁石によるアークの吹き飛ばしを行うことにより、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
さらに、連結接点を2つの接触部の中間点を中心に各接触部が揺動するように連結接点を回転可能とする場合には、連結接点を回転させて、接触部を揺動させることにより接点の通電・離隔を行える。
そして、各固定接点と連結接点とを接触させている状態から、連結接点全体を接点開閉方向に移動させることなく接点の離隔を行える。その結果、従来のように接点離隔のための可動接点の移動量を確保する必要がなくなり直流リレーの小型化が図れる。
さらに、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成することにより、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
図1および図2は本発明の第1実施形態にかかるリレーの基本構成を示す概略構成図であって、図1は、接点が接触の状態を示し、図2は接点が非接触の状態を示す。また、図3および図4は、第1実施形態に係るリレーの具体的な構成を示す図であって、図3は縦断面図、図4は図3におけるX−X断面図である。
本発明リレーは、図3に示すように、ケーシング1内に、複数の固定接点2と複数の可動接点3と接点駆動機構4とを具える。
固定接点2は、図3に示すように、外部端子が接続される入力接点21と、出力接点22と、これら接点21,22の間に配設される1つの中間接点23とを具えている。
入力接点21と出力接点22は、可動接点3と接触させる接触部21a,22aを一つと端子接続部21b,22bとを具えている。端子接続部21b,22bは、ケーシング1外に突出させた状態となっている。
中間接点23は、断面U字状またはコの字状をしており、U字の両端側に可動接点3と接触させる接触部23aが形成されている。入力接点21、出力接点22、中間接点23は、図示していないが、ネジなどによりケーシング1内に固定されている。
可動接点3は、固定接点2における入力接点21の接触部21aと中間接点23の一方の接触部23aとを接触させ、出力接点22の接触部22aと中間接点23の一方の接触部23aとを接触させる連結接点31を2つ具えている。
連結接点31は、平面部を有する支持部31bと、2つの接触部31aとを具える。接触部31aは、支持部31bの平面部に固定されており、入力接点21の接触部21a、出力接点22の接触部22a、中間接点23の接触部23aのいずれかに接触させる。
さらに、入力接点21と中間接点23と出力接点22と連結接点31とを同一直線上に位置されるようにケーシング1内に配置させる。具体的には、固定接点2と可動接点3を重ね合わした状態で、一方の接点の非接触面側から見てそれぞれの接点が同一直線上に配置されるようにする。
このように各接点を配置して、図1に示すように、各接点の接触部を接触させることにより、各接点は、入力接点21から、一方の連結接点31、中間接点23、他方の連結接点31、出力接点22へと直列に接続される。
しかも、入力接点21の接触部21aと、出力接点22の接触部22aと、中間接点23の接触部23aと、連結接点31の接触部31aとは、Snを1〜9質量%含み、Inを1〜9質量%含む化学組成のAg合金からなり、表面部の第一層と内部の第二層とを有し、第一層のマイクロビッカース硬度が190以上、第二層のマイクロビッカース硬度が130以下であり、第一層の厚みが、10〜360μmの範囲内にある材料で形成している。さらに各接触部は、チップ状態で後酸化法により内部酸化させている。例えば、チップを4気圧(405.3kPa)の酸素雰囲気中750℃で170時間保持する。
なお、以下に示す第2実施形態から第8実施形態も各接点の接触部は、第1実施形態と同じ材料で形成している。
しかも、入力接点21の接触部21aと、出力接点22の接触部22aと、中間接点23の接触部23aと、連結接点31の接触部31aとは、他方の接触部と接触させる接触面の形状を長円状に形成している(例えば、連結接点31の接触部31aについて図4に示す。)。各接触部は、接触面の長円の短軸方向が各接点の配列方向となるように設ける。各接触部は、接触面が長円状の円柱金属ブロックを用いている。
そして、連結接点31は、接点駆動機構4により接点開閉方向に往復移動させるようになっている。接点駆動機構4により接点間を開閉して、連結接点31を、入力接点21と出力接点22と中間接点23に対して、接触または非接触状態にする。
接点駆動機構4について具体的に説明する。接点駆動機構4は、支持部材41と、2つの第1ばね42と、1つの第2ばね43と、ソレノイド44を具える。
支持部材41は、連結接点31の支持部31bに一端側が固定される支持軸31cを挿通可能に支持する。なお、支持軸31cの他端側にはフランジ部31dを設けている。
第1ばね42は、支持部材41と支持部31bとの間に配設され、かつ、支持軸31cが挿通される。第2ばね43は、支持部材41とケーシング1との間に配設され、支持部材41を接点開方向に付勢する。
ソレノイド44は、支持部材41を接点開閉方向に往復動作させるものであり、支持部材41に一端が固定される駆動軸44aと、駆動軸44aを接点開閉方向に往復動作させる軸作動部44bとを有する。駆動軸44aは、支持部材41の中間位置において一端側が固定され、他端側が軸作動部44bに設ける挿入穴(図示せず)に挿入される。
軸作動部44bは、電流が流れてオン状態のときに、駆動軸44aを挿入穴から突出する方向(接点閉方向)に移動させるようになっている。即ち、軸作動部44bがオン状態のときには、駆動軸44aを第2ばね43のばね力に抗して固定接点2に向けて(接点閉方向)移動させて、可動接点3を固定接点2に接触させる。そして、軸作動部44bがオフ状態のときには、図3に示すように、駆動軸44aを、第2ばね43のばね力により固定接点2から離れる方向(接点開方向)に移動させる。
そして、ソレノイド44の駆動軸44aの動きに伴って支持部材41が往復動作する。支持部材41が接点閉方向に移動したときは、支持部材41により第1ばね42を介して連結接点31の支持部31bが固定接点2側に押されて2つの連結接点31の接触部31aが固定接点2の接触部21a,22a,23aに同時に接触する。
また、支持部材41が接点開方向に移動したときは、支持部材41により支持軸31のフランジ部31dを介して連結接点31の支持部31bが引き戻される。そして2つの連結接点31の接触部31aが固定接点2の接触部21a,22a,23aから同時に離れる。このように接点駆動機構4により、可動接点3を固定接点2に対して開閉するようになっている。
そして、入力接点21の端子接続部21bに端子(図示せず)を介して直流電源が接続されて、各接点が接触・離隔することで通電・遮断を行う。
本実施形態では、ケーシング1内に3つの板状の永久磁石7を具えている。永久磁石7は、入力接点21および出力接点22の非中間接点側の2箇所と、中間接点23の2つの接触部23aの間で連結接点31の間となる1箇所に配設している。
さらに永久磁石7は、図2に示すように、一方の極(例えばN極)が同じ側に位置するように同一直線上に配置される。これら永久磁石7により、固定接点2と可動接点3との間に磁界をかけるようにしている。この永久磁石7の磁界により、接点の遮断時、各接点の間に生じるアーク100が、ローレンツ力を受けて引き伸ばされ歪曲するようになっている。
また、本実施形態では接点通電時において、入力接点21から電流を流し、連結接点31、中間接点23、連結接点31、そして、出力接点22へと直列に電流が流れる。そして、図2に示す状態では、左から右に磁力線が向かうように永久磁石7を配置している。そのため、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力は、図2において前に向かう力と後に向かう力とが交互に生じ、接点遮断時に発生したアーク100が前後に交互に歪曲するようになっている。
次に、接点の通電・遮断について説明する。接点間を閉じて通電させる場合、可動接点3を閉動作させて可動接点3と固定接点2とを接触させて導通をとる(図1の状態)。
また、両接点間を開いて遮断する場合は、可動接点3の開動作により、可動接点3と固定接点2との間が離隔されて遮断が行われる(図2の状態)。この遮断時においては、固定接点2と可動接点3との間にアーク100が発生するが、このアーク100は、永久磁石7の磁界により前記した方向に歪曲する。
そして、本実施形態では、多数の接点を直列に接続させているので、遮断電圧を分圧して、アークの消弧が行え、短時間で電圧を遮断することができる。その結果、接点周辺を気密構造にする必要なく、しかも、アーク100の引き伸ばし量を大きくとることなく、アーク100を消弧させることができるので、非常にコンパクトな直流リレーを実現できる。さらに、各接点を直列に配置して遮断電圧を分圧するので、接点の耐久性向上を実現できる。
さらに、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、短絡時に大電流が流れても、接点が溶着することなく接点を確実に遮断することができる。
また、本発明では、複数の接点対により遮断電圧を分圧させるとともに、磁石7によるアークの吹き飛ばしを行うことにより、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
このように、電圧を分圧させながら、磁石7によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、本発明では、電圧遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要はなく、さらに、使用する磁石の磁力も従来よりも小さくでき磁石も小型化できる。
さらに、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合、アークは、対向する接触部に向かって引き伸ばされることとなり、アーク同士が繋がってしまうという問題が生ずる。
しかしながら、本実施形態に係る直流リレーでは、アーク100の引き伸ばし方向が、接点配列方向と交差する方向でしかも交互に異なるので、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、接点配列方向と交差する方向にアークが引き伸ばされる。そのため、逆電流が生じても、アーク同士が繋がってしまうことがなく、逆電流にも十分対応することができる。
さらに、リレーに例えばソレノイドを用いる場合には、接点配列方向と直交する方向には、前記したように有効スペースが生じることから、この有効スペースをアーク引き伸ばし用スペースとして利用することができるので、アークスペースを別途確保する必要が無くなる。
さらに、本実施形態では、図3および図4に示すように、入力接点21と中間接点23の間、および、出力接点22と中間接点23の間に絶縁部11を設けている。絶縁部11は、ケーシング1の一部で板状に形成している。絶縁部11により、接点接触時に、隣合う接点の間の絶縁を行う。
なお、本実施形態では、一方を固定接点としたが、接点の双方を可動接点としてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5および図6は本実施形態にかかるリレーの基本構成を示す概略構成図であって、図5は、接点が接触した状態を示し、図6は接点が非接触の状態を示す。
本実施形態の直流リレーは、図5および図6に示すように、固定接点となる入力接点21と、出力接点22と、中間接点23と、可動接点となる連結接点31とを具えている。
入力接点21と出力接点22には外部端子が接続される。これら接点21,22の間に中間接点23を具えている。
入力接点21と出力接点22は、連結接点31と接触させる接触部21a,22aを一つと端子接続部21b,22bとを具えている。
中間接点23は、長尺な平板状をしており、長手方向両端側を連結接点31と接触させる接触部23aとしている。
連結接点31は、長方形の平板状をしており、本実施形態では、図5および図6に示すように、連結接点31を2つ具えている。一方の連結接点31は、入力接点21の接触部21aと中間接点23の一方の接触部23aとを連結可能とする。他方の連結接点31は、出力接点22の接触部22aと中間接点23の一方の接触部23aとを連結可能とする。
連結接点31は、平板の長手方向一端部における一方の平面部に接触部31aを一つ、長手方向他端部における他方の平面部に接触部31aを一つ設けている。これら、接触部31aに異なる固定接点を接触させる。
さらに、連結接点31は、2つの接触部31aの中間点を中心として各接触部31aが揺動するように回転可能になっている。
具体的には、連結接点31の平板の長手方向中央部に、この長手方向と直交し、平板の平面と平行するように回転軸45が貫通状で固定されている。さらに、一本の回転軸45に、2つの連結接点31が固定された状態となっている。回転軸45は、合成樹脂などの絶縁材料で形成してもよいし、また、金属材料で形成してもよい。金属材料を用いる場合には、連結接点31との接続部において絶縁部材を介して連結接点31と絶縁されるように回転軸45を固定する。この回転軸45を回転させることにより、回転軸45を中心として2つの連結接点31の各接触部31aが同期して揺動するようになっている。
そして、図5および図6に示すように、連結接点31の各接触部31aに対応させるように、入力接点21、中間接点23、出力接点22を配設する。図5および図6では、各連結接点31の上方に入力接点21と出力接点22とが配設され、各連結接点31の下方に中間接点23が配設される。
中間接点23は、その長手方向が回転軸45と平行するように配設されている。中間接点23の2つの接触部23aを、隣り合う連結接点31の接触部31aにそれぞれ接触させて、2つの連結接点31と一つの中間接点23とを連結する。各連結接点31に中間接点23が接触されている状態のとき、入力接点21と出力接点22も連結接点31に接触するようになっている(図5の状態)。
そして、図5の状態から回転軸45を回転駆動させて連結接点31を所定角度回転させることにより、連結接点31の接触部31aが入力接点21、中間接点23、出力接点22から同時に離隔するようになっている(図6の状態)。
第2実施形態では、連結接点31を正逆回転させることにより、連結接点31の接触部31aが回転軸45を中心として揺動することになる。このように連結接点31を回転させて、連結接点31の接触部31aを入力接点21、中間接点23、出力接点22に接触させたり、または非接触にさせるようにしている。
図5に示すように各接点を接触させることにより、各接点は、入力接点21から、一方の連結接点31、中間接点23、他方の連結接点31、出力接点22へと直列に接続することができる。
次に、接点の通電・遮断について説明する。接点間を閉じて通電させる場合、連結接点31を一方の方向に回転駆動させることにより、全ての連結接点31を入力接点21と中間接点23と出力接点22とに接触させて連結して導通をとる(図5の状態)。
また、両接点間を開いて遮断する場合は、連結接点31を逆回転駆動させることにより、全ての連結接点31を各固定接点から離隔させて、連結接点31の接触部31aを各固定接点に対して非接触にして、遮断が行われる(図6の状態)。
本実施形態では、多数の接点を直列に接続させているので、遮断電圧を分圧して、アークの消弧が行え、短時間で電圧を遮断することができる。
その結果、接点周辺を気密構造にする必要なく、しかも、アーク100の引き伸ばし量を大きくとることなく、アーク100を消弧させることができるので、非常にコンパクトな直流リレーを実現できる。さらに、各接点を直列に配置して遮断電圧を分圧するので、接点の耐久性向上を実現できる。
さらに、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着することなく確実に遮断することができる。
また、連結接点31を回転させて、接触部31aを揺動させることにより接触部31aの離隔を行うようにしているので、各固定接点と連結接点31とを接触させている状態から、連結接点31の全体を接点開閉方向に移動させることなく接触部31aの離隔を行える。その結果、第1実施形態のように接点離隔のための可動接点の移動量を確保する必要がなくなりさらなる直流リレーの小型化が図れる。
(第3実施形態)
また、連結接点31を揺動させる場合、連結接点31に接続される回転軸45を駆動させるため、図7に示す第3実施形態のように、駆動源としてモータ51を用いるようにしてもよい。
第3実施形態では、モータ51は、回転軸45の軸方向一端側に、図示していないが駆動軸を介して直列に接続する。モータ51は、回転角の制御が容易なステッピングモータとすることが好ましい。このように、駆動源としてモータ51を用いることにより、連結接点31の接触部31aの揺動動作を簡単に行うことができる。
第3実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
また、駆動源としてモータ51を用いる場合、モータ51を回転軸45の軸端部に接続すると、モータ51を配設するスペース分だけ、リレー全体が横方向に大きくなる。そこで、図8に示す第4実施形態のように構成してもよい。
(第4実施形態)
図8に示す第4実施形態は、モータ51の駆動力を駆動伝達機構であるギヤ61a,61bを介して回転軸45に伝達するようにしている。この場合、モータ51の駆動軸52に第1ギヤ61aを設け、回転軸45の一端部に第2ギヤ61bを設ける。
そして、これら第1ギヤ61aと第2ギヤ61bの歯を噛み合わせることにより、第1ギヤ61a、第2ギヤ61bを介してモータ51の駆動力が回転軸45に伝達されるようになっている。ギヤ61a,61bを用いることにより、モータ51を回転軸45の一端側に設けるのではなく、連結接点31および各固定接点の下方に配置することができるようになる。
その結果、第3実施形態に比べてリレー全体として横方向長さの小型化が可能になる。また、ギヤ61a,61bを用いる場合には、第1ギヤ61aおよび第2ギヤ61bの歯数の選択によりさらに高速に連結接点31を駆動できる。
第4実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
(第5実施形態)
また、リレー全体として横方向長さの小型化を図るため、図9に示す第5実施形態のように、モータ51の駆動力を駆動伝達機構であるリンク機構62を介して回転軸45に伝達するようにしてもよい。
この場合、モータ51の駆動軸52に第1リンク部材62aの長手方向一端部を固定し、回転軸45の一端部に第2リンク部材62bの長手方向一端部を固定する。そして、第1リンク部材62aおよび第2リンク部材62bの長手方向他端部を第3リンク部材62cで連結する。
第5実施形態の直流リレーは、モータ51を回転させることにより、第1リンク部材62aが回転し、第1リンク部材62aと連結される第3リンク部材62cが図9において上下に動く。そして、この第3リンク部材62cの上下運動により第2リンク部材62bが回転して回転軸45が回転するようになっている。リンク機構62を用いる場合も、モータ51を連結接点31および各固定接点の下方に配置することができるのでさらなるリレー全体の小型化が図れる。
第5実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
(第6実施形態)
また、連結接点31に設ける回転軸45を正逆回転させる駆動源として、図10に示す第6実施形態のように、ソレノイド53を用いてもよい。
ソレノイド53を用いる場合、まず、回転軸45における2つの連結接点31の間に、駆動伝達機構となる長尺な動力変換部材63が取り付けられている。動力変換部材63は、長尺板状をしており、長手方向一端側を回転軸45に固定し、長手方向他端側にソレノイド53の駆動軸53aを連結している。動力変換部材63により、ソレノイド53による上下運動が回転運動に変換されながら、ソレノイド53の駆動力が回転軸45に伝達される。
ソレノイド53は、動力変換部材63に連結される駆動軸53aと、駆動軸53aを接点開閉方向に往復動作させる軸作動部53bとを有する。
動力変換部材63への駆動軸53aの連結は、動力変換部材63に駆動軸53aを遊嵌させる孔を形成し、この孔に駆動軸53aを挿通させて上端部を動力変換部材63の孔から突出させた状態にする。
さらに、駆動軸53aが孔から抜けないように、駆動軸53aに抜け止め(図示せず。)を固定する。この抜け止めは、動力変換部材63を挟むようにして駆動軸53aの二箇所に固定する。動力変換部材63の孔の大きさは、動力変換部材63を揺動させるときに、孔に挿入されている駆動軸53aによって揺動動作に支障をきたさない大きさとしている。
そして、ソレノイド53の駆動により駆動軸53aが上下に移動すると、動力変換部材63の駆動軸53aとの連結側が、回転軸45を中心に上下方向に揺動する。動力変換部材63が固定されている回転軸45が動力変換部材63の動きに合わせて所定の角度だけ回転する。回転軸45の回転により連結接点31が所定の角度だけ正逆回転する。
第6実施形態では、ソレノイド53を用いることにより、連結接点31の接触部31aの揺動動作を簡単に行うことができる。さらに、本実施形態では、二つの連結接点31の間に設ける回転軸45にソレノイド53の駆動軸53aを接続するので、第3実施形態のモータの場合に比べてリレー全体として横方向への小型化が可能になる。
モータを用いる場合、ギヤやリンク機構を用いて横方向への小型化を図るが、ソレノイドを用いる場合には、ギヤなどを用いることなく、横方向への小型化可能になるので、それだけ部品点数の削減が図れる。
第6実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
(第7実施形態)
さらに、図11に示す第7実施形態のように、遮断時に各固定接点と連結接点31との間に発生するアーク100を歪曲させる磁石7を設けるようにすることが好ましい。
第7実施形態では、異なる極が対向するように回転軸45と平行させて、長方形状の板状の磁石7を配設する。さらに、2枚の磁石7の間に、入力接点21、中間接点23、出力接点22、そして、連結接点31を配設する。
図11に示す第7実施形態では接点通電時において、入力接点21から電流を流し、連結接点31、中間接点23、連結接点31、そして、出力接点22へと直列に電流が流れる。そして、図11に示す状態では、後ろから前に磁力線が向かうように磁石7を配置している。
そのため、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力は、図11において、入力接点21側は左方向に向かい、出力接点22側は、右方向に向かう力が生じ、接点遮断時に発生したアーク100が左右に歪曲するようになっている。
このように2枚の磁石7を配設することにより、遮断電圧を分圧させるとともに、発生したアーク100をローレンツ力で所定の方向に吹き飛ばし、周囲へ拡散させることにより、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
また、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、本発明では、従来のような遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要はなくなる。
さらに、接点周辺を気密構造にする必要なく、しかも、アークの引き伸ばし量を大きくとることなく、アークを消弧させることができるので、非常にコンパクトな直流リレーを実現できる。さらに、各接点を直列に配置して遮断電圧を分圧するので、接点の耐久性向上を実現できる。
また、第7実施形態の場合、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合、フレミングの左手の法則により、アークが干渉し合ってしまうので、隣合う連結接点31の間に、アークの干渉を防止する絶縁体(図示せず)を設けることが好ましい。
第7実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
(第8実施形態)
また、図12および図13に示す第8実施形態に示すように磁石7(71,72)を配設するようにしてもよい。第8実施形態では、異なる極が同じ側に向き、かつ、隣合う連結接点31の間で、回転軸45に対して直交するように二枚の磁石71,72を配設している。
第8実施形態では、図13に示すように、磁石71,72は長方形状の板状のものを2枚用いている。これら磁石71,72のうち、一方の磁石71は、中間接点23を嵌めるように切欠部71aが形成されている。他方の磁石72には、切欠部が形成されていない。
これらの磁石71,72は、それぞれの平面部が同一平面上に位置するように配置するとともに、同一平面側の極が異なるように配置している。さらに、磁石71,72の平面部が回転軸45と直交し、かつ、2枚の磁石71,72で回転軸45を挟み込むようにこれら磁石71,72を配設している。
このように磁石71,72を配設することにより、各接点が直列に接続されているとき、電流は図12に示すように三次元的に上下、前後、左右に流れる。その結果、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力によってアークは、図12に示すように、回転軸45と直交する方向に伸びるように歪曲する。
第8実施形態においても、磁石71,72を設けることにより、遮断電圧を分圧させるとともに、磁石によるアークの吹き飛ばしで、アークの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
また、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、従来のような遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要もなくなる。
また、第8実施形態では、前記したようにアークが回転軸45と直交する方向に歪曲するので、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合でも、回転軸と交差する方向にアークが引き伸ばされる。
そのため、逆電流が生じても、アーク同士が繋がってしまうことがなく、逆電流にも十分対応することができる。さらに、隣合う連結接点の間に磁石を置くことにより、リレーの小型化を図ることができる。
第8実施形態も、接点の接触部を耐溶着特性に優れた材料で形成しているので、リレーの短絡時に大電流が流れても接点が溶着せずに確実に遮断することができる。
また、以上の第2実施形態から第8実施形態では、1本の回転軸45に複数の連結接点31を設けているので、複数の連結接点31の回転駆動による各連結接点31の接触・開放タイミングを同期させることができる。その結果、1本の回転軸45で複数の連結接点31を回転駆動させることができるので、駆動源や回転軸45の数を最小限にすることができ、部品点数の削減が可能になる。
前記した第1実施形態に係る構造の直流リレーについて、各接点の接触部に表1に示す「化学組成」欄に示す第一層と第二層の二種の化学組成のAg合金を用いたものを作製した。これらのAg合金は、まず、第一層と第二層の二種の化学組成のAg合金を溶解・鋳造してインゴットを作製した。これらをそれぞれ粗加工した後、第一層と第二層のインゴットを重ね合わせ、アルゴン雰囲気中850℃で熱間ロールによって熱間圧着し、二層のAg合金からなる複合素材を作製した。
得られた複合素材を熱間圧着と同じ条件下で予備加熱した後、最終的に全体の厚みの1/10の厚みとなるように薄い純Ag板を第一層とは反対側の第二層の面に熱間圧着した。その後、さらに冷間圧延してフープ状素材とし、これを打ち抜いて、幅6mm、長さ8mm、厚み2.5mmの形状1と、幅と長さが6mm、厚みが2mmの形状2の二つの形状の複合接点チップを作製した。
得られたチップを4気圧(405.3kPa)の酸素雰囲気中750℃で170時間保持(内部酸化)して複合接点試片とした。得られた試片の第一層の厚みは表1の通りであり、Ag層の厚みは、各チップ厚みのほぼ1/10であった。
上記第一層の厚みは、接点の中心を通り表面に垂直な断面試片を用いて、例えば、以下のようにして確認することができる。まず、表面付近の試片面上で表面に水平な方向に等間隔に5箇所の起点を設定する。次いで、これら各々の点から表面に垂直な(厚み)方向に表面から順次ほぼ等間隔に硬度を確認し、5本の硬度曲線(折れ線グラフ)をつくる。
そして、ある起点において、硬度レベルが190である水平線とこの曲線との交点をとり、表面からこの交点までの水平距離をその起点での第一層の厚みとする。以下、残り4箇所の起点についてもその起点での第一層の厚みをとり、得られた5つのデータの算術平均値を第一層の厚みとしてもよい。第二層の厚みも同様にして測定することができる。
このとき、硬度レベルが130である水平線との交点をとり、表面からこの交点までの水平距離をある起点における第二層の厚みとするとよい。そして、中間層を具える場合、硬度レベルが190である水平線との交点と、硬度レベルが130である水平線との交点間の水平距離をある起点における中間層の厚みとするとよい。本例では、上記の手順にて第一層の厚みを測定した。
Figure 2004288604
なお、表中の試料番号に*を付したものは比較例である。試料11から試料18のその他の成分Sb、Ni、Biの量は、何れも0.2質量%である。また、試料19から試料27の第一層・第二層の化学組成は、何れも同じであり、その他の成分とその量は、両層とも質量%単位でSb、Co、Znが何れも0.2である。
試料28のその他の成分とその量は、質量%単位でSb、Pb、Ni、Bi、Co、Znが何れも0.1、Caが0.2である。試料29のその他の成分とその量は、質量%単位でSb、Ni、Ca、Bi、Co、Znが何れも0.1、Pbが0.5である。試料30から試料32のその他の成分とその量は、質量%単位でNi、Znが何れも0.2である。なお、第一層・第二層の化学組成は、表に記載された成分以外の残部は、Agおよび不可避的不純物からなる。
なお、表1で試料1から試料10は、SnおよびInの量を変化させて各層の硬度を制御した試料群である。試料11から試料18は、SnおよびInの量を変えるとともに、これら以外のその他の成分をさらに添加した試料群である。試料19から試料27は、第一層の厚みを変化させた試料群である。
また試料28から試料34は、第一層・第二層の両層が同じ化学組成のものである。これらのものでは、以下のようにして第一層の硬度を制御した。まず試料28から試料33は、第一層の圧延加工断面積比を第二層の50%増しとするとともに、第一層素材の圧延加工途中において同素材を真空中、450℃で30分間焼鈍を行い、さらに、内部酸化後に♯120のアルミナビーズによって第一層表面に投射圧3kgf/cm2(294kPa)で3分間ショットブラスト加工を加えた。
試料34は、圧延加工途中の焼鈍温度と時間をそれぞれ750℃、5時間とした以外は以上の試料と同じ条件で作製したものである。なお、表1には記載しないが、試料33と試料34ではそれぞれ厚みが190μm、230μmの中間部が形成されていた。
なお、試料35は、第一層のSnやInの酸化物の量を第二層よりも少なくして、第一層の硬度を第二層の硬度よりも低くしたものであって、表1に記載の化学組成の第一層と第二層のAg合金を溶解鋳造後、熱間圧着・圧延した後、これを上記と同じ条件にて内部酸化したものである。
また、試料36は、表1に記載の化学組成の第一層と第二層のAg合金を溶解鋳造後、互いの二層の合わせ面上に水平な一方向に1mmピッチで幅1mm、深さ0.5mmの凹凸を形成して、その部分で凹部と凸部とを互いに噛み合わせた状態で熱間圧着し、その後圧延し、さらにそれを上記と同じ条件にて内部酸化したものである。
以上の方法で作製した各試料の硬度の第一層の厚みは、前述の手順にて確認した。以上の結果を表1に示した。なお、表には記載されていないが、試料33、試料34以外の試料の中間部の厚みは、何れも100μm未満であった。
次いで形状1の電気接点チップを図1に示す可動接点の本体部に、形状2の電気接点チップを固定接点の本体部に銀ロウ付けして接触部を形成した。その後、定格AC30Aフレームおよび50Aフレームの二種の直流リレーに固定した。このようなリレーを各試料番号の複合接点チップ対毎に各5台用意した。まず各試料の全てのアッセンブリーを使って、定格電流を100分間通電してこの通電時の温度を測定することにより初期の温度特性を確認した。
次に、220V負荷状態で、30Aフレームの場合は、1.5kAの遮断電流で、50Aフレームの場合は5kAの遮断電流で、各々1台ずつのアッセンブリーを使って遮断試験を行い、耐溶着特性を確認した。
遮断試験後の温度特性は、その後引き続いて定格電流を100分間通電し、この通電時の温度を測定することにより遮断試験後の温度特性を確認した。過負荷試験は、初期温度特性を確認したアッセンブリーを使い、30Aフレーム、50Aフレームとも同定格電流の5倍の電流を流した状態で5秒間隔で開閉を50回繰り返し、その後上記初期確認時と同じ条件で通電時の温度を測定することにより過負荷試験後の温度特性を確認した。
耐久試験は、初期温度特性を確認したアッセンブリーを使い、30Aフレーム、50Aフレームとも同定格電流を流した状態で、5秒間隔で開閉を6000回繰り返し、その後上記初期確認時と同じ条件で通電時の温度を測定することにより耐久試験後の温度特性を確認した。
なお、これらの一連の試験での評価は、温度特性については30A・50A両フレームの機種別の結果を総合して5段階評価し、耐溶着特性については、溶着するかしないかで評価した。
温度特性の5段階評価は、通電時の温度上昇が50℃以下を5、50℃超60℃以下を4、60℃超70℃以下を3、70℃超80℃以下を2、80℃以上を1とした。これらの評価は、表1の試料番号に対応させて表2に示した。なお、表2において、比較例の試料番号には*を付している。
Figure 2004288604
以上の結果から以下のことがわかる。
(1)第一層、第二層ともSnを1〜9質量%、Inを1〜9質量%の範囲内に制御し、第一層のマイクロビッカース硬度を190以上、第二層のマイクロビッカース硬度を130以下とし、さらに、第一層の厚みを10〜360μmの範囲内に制御した本発明の接点を用いたリレーは、上記総合評価において十分実用可能な範囲内にある。一方、本発明範囲外の接点を用いたリレーは、総合評価において実用レベルに達していない。
(2)SnおよびInに加えSbやNiなどの成分を少量含んだ場合でも、同様のことが言える。
(3)比較例となる試料1、試料10、試料18、試料31、試料32、試料35および試料36の接点チップは、硬度レベルが本発明の範囲外となり、これらの接点チップを組み込んだ直流リレーは、ともに一部の特性を除き総合的に実用レベルの性能が得られなかった。
本発明リレーは、ハイブリッド自動車などの高電圧(約300V)の自動車における高電圧回路をON・OFFするためのリレーとして利用する場合、本発明のリレーはコンパクトであるため、限られたスペースの有効利用ができる。
本発明リレーの第1実施形態を示す概略構成図で接点が接触している通電時の状態を示す。 本発明リレーの第1実施形態を示す概略構成図で接点が非接触の遮断時の状態を示す。 本発明リレーの第1実施形態に係る具体的な構成を示す図であって、縦断面図を示す。 本発明リレーの第1実施形態に係る具体的な構成を示す図であって、図3におけるX−X線断面図を示す。 本発明リレーの第2実施形態を示す概略構成図で接点が接触している通電時の状態を示す。 本発明リレーの第2実施形態を示す概略構成図で接点が非接触の遮断時の状態を示す。 本発明リレーの第3実施形態を示す概略構成図で連結接点と回転軸と駆動源(モータ)を示す。 本発明リレーの第4実施形態を示す概略構成図で連結接点と回転軸と駆動源(モータ)と駆動伝達機構(ギヤ)を示す。 本発明リレーの第5実施形態を示す概略構成図で連結接点と回転軸と駆動源(モータ)と駆動伝達機構(リンク機構)を示す。 本発明リレーの第6実施形態を示す概略構成図で連結接点と回転軸と駆動源(ソレノイド)と駆動伝達機構を示す。 本発明リレーの第7実施形態を示す概略構成図で第2実施形態の構成に磁石を具えた状態を示す。 本発明リレーの第8実施形態を示す概略構成図で第2実施形態の構成に磁石を具えた状態を示す。 第8実施形態に用いる磁石の平面図を示す。
符号の説明
1 ケーシング 11 絶縁部
2 固定接点
21 入力接点 21a 接触部 21b 端子接続部
22 出力接点 22a 接触部 22b 端子接続部
23 中間接点 23a 接触部
3 可動接点
31 連結接点
31a 接触部 31b 支持部 31c 支持軸 31d フランジ部
4 接点駆動機構
41 支持部材 42 第1ばね 43 第2ばね
44 ソレノイド 44a 駆動軸 44b 軸作動部
45 回転軸
51 モータ(駆動源)
52 駆動軸
53 ソレノイド(駆動源) 53a 駆動軸 53b 軸作動部
61a,61b ギヤ(駆動伝達機構)
62 リンク機構(駆動伝達機構)
63 動力変換部材
7(71,72) 磁石

Claims (14)

  1. 互いに開閉する接点を有する接点対を複数対具え、
    接点は、入力接点と、出力接点と、前記両接点の間に配設されて2つの接触部を有する少なくとも一つの中間接点と、導通時に、入力接点、中間接点、出力接点を順次直列につなぐ複数個の連結接点を具えていることを特徴とする直流リレー。
  2. 接点の開閉方向一方側に入力接点と出力接点と中間接点とを配置し、接点の開閉方向他方側に連結接点を配置していることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
  3. 全ての接点を同一直線上に配列させるとともに、
    各接点に他方の接点と接触させる接触部を形成し、接触部の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成していることを特徴とする請求項2に記載の直流リレー。
  4. 遮断時に、前記各接点の間に生じるアークを磁界により歪曲させる磁石を具えることを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載の直流リレー。
  5. 入力接点と、出力接点と、中間接点が固定接点であり、連結接点が可動接点であって、
    連結接点は、異なる固定接点に接触させる2つの接触部を有し、2つの接触部の中間点を中心に各接触部が揺動するように連結接点を回転可能とし、2つの接触部を揺動方向の互いに異なる面に設けて、連結接点の回転動作により、連結接点の接触部を各固定接点に対して接触または非接触状態にすることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
  6. 連結接点の回転中心に連結接点と絶縁されて設けられる回転軸と、この回転軸を正逆回転可能に駆動させる駆動源とを具えていることを特徴とする請求項5に記載の直流リレー。
  7. 駆動源がモータであることを特徴とする請求項6に記載の直流リレー。
  8. 駆動源がソレノイドであることを特徴とする請求項6に記載の直流リレー。
  9. 駆動源の駆動力を回転軸に伝達する駆動伝達機構を具えていることを特徴とする請求項6に記載の直流リレー。
  10. 駆動伝達機構がギヤであることを特徴とする請求項9に記載の直流リレー。
  11. 駆動伝達機構がリンク機構であることを特徴とする請求項9に記載の直流リレー。
  12. 遮断時に固定接点と連結接点との間に発生するアークを歪曲させる磁石を、異なる極が対向するように回転軸と平行に配設していることを特徴とする請求項5から請求項11の何れかに記載の直流リレー。
  13. 遮断時に固定接点と連結接点との間に発生するアークを歪曲させる磁石を、異なる極が同じ側に向き、かつ、隣合う連結接点の間で、回転軸に対して直交するように配設していることを特徴とする請求項5から請求項11の何れかに記載の直流リレー。
  14. 接点の接触部は、Snを1〜9質量%含み、Inを1〜9質量%含む化学組成のAg合金からなり、表面部の第一層と内部の第二層とを有し、第一層のマイクロビッカース硬度が190以上、第二層のマイクロビッカース硬度が130以下であり、第一層の厚みが、10〜360μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の直流リレー。
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