JP2005036264A - 電気接点及びこれを用いたブレーカー - Google Patents
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Abstract
【課題】毒性に問題の無いCdフリーのAg合金からなり、トレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性とが適正に制御され、特に定格電流10A以上、遮断電流1.5KV以上のブレーカーや、定格電流35A以上の電磁開閉器に有用な電気接点を提供する。
【解決手段】Snを1〜9質量%含み、不純物としてのCdが1質量%未満であるAg合金からなり、少なくとも接点表面部において中央層1と中央層1より硬度が高い外周層2とを有し、中央層1の平均硬度がマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、且つ接点表面における全表面積に対し外周層2の表面積が32.7〜96.0%の範囲にある。外周層2の厚みは平均で5μm以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】Snを1〜9質量%含み、不純物としてのCdが1質量%未満であるAg合金からなり、少なくとも接点表面部において中央層1と中央層1より硬度が高い外周層2とを有し、中央層1の平均硬度がマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、且つ接点表面における全表面積に対し外周層2の表面積が32.7〜96.0%の範囲にある。外周層2の厚みは平均で5μm以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として配線遮断器、ノーヒューズブレーカー、漏電遮断器、サーキットブレーカー、安全ブレーカー、分電盤用ブレーカー(以下、これらをまとめて単にブレーカーと言う)や、リレー、電磁開閉器に有用な電気接点、並びにこの電気接点を用いたブレーカー等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーカーや、負荷の高い電磁開閉器、例えば定格35A以上の電磁開閉器などに用いる電気接点の材料には、従来からCd、Sn、Inなどの酸化物が分散したAg合金が広く使われてきた。特に、Cd酸化物が分散したAg合金は、この種の電気接点に最適であり、広く使用されている。
【0003】
しかしながら、Cd化合物には毒性の問題があるため、これに代わる電気接点材料の開発が望まれている。例えば、Sn、Inなどの酸化物が分散した、いわゆるCdフリーのAg合金からなる接点材料の開発が近年になって強く望まれるようになり、数多くの材料が開発され、数多くの電気機器に使われるようになっている。
【0004】
CdフリーのAg合金からなる電気接点は、温度特性が重視される比較的低負荷の電気機器や、接触抵抗を問題とする軽負荷の開閉器等には適している。しかし、温度特性と共に、定格電流が10A以上を要求されるブレーカー用の電気接点として用いる場合には、Cd入りのものに比べその性能が劣っているのが現状である。例えば、定格電流が10A以上、遮断電流が1.5KA以上のブレーカーの多くが、現在でもCdを10質量%以上含有した電気接点を使っており、他方CdフリーのAg合金からなる電気接点は、主に軽負荷の電磁開閉器などに一部使われているに過ぎない。
【0005】
ブレーカー用の電気接点に要求される特性には、(1)耐溶着特性、(2)初期段階での温度特性、(3)耐久試験後の温度特性、(4)短絡試験後の絶縁特性、(5)耐消耗特性などが挙げられる。これらの特性を同じ化学組成・微細組織の単一材料で確認すると、例えば(1)と(2)のようにトレードオフの関係にある特性が存在する。従って、一つの材料からなる電気接点を用いる場合には、トレードオフの関係にある片方の要求特性を犠牲にする必要があった。
【0006】
CdフリーのAg合金からなる電気接点において、ブレーカー向けのCd入り電気接点にとって代わるために必要な、レベルアップしなければならない特性は、第一に耐溶着特性であり、第二はこれとトレードオフの関係にある温度特性である。また、ブレーカーは比較的高い定格電流・遮断容量の領域で安定して使えることが重要であり、そのためには耐消耗特性や遮断特性についてもある程度のレベルまで改善する必要がある。
【0007】
ブレーカー用の電気接点に要求される特性のうち、例えば耐溶着特性を例に挙げた場合、従来から提唱されているCdを含まないCdフリーの電気接点は、Cdを含むCd系接点に比べて非常に低い特性しか持っていなかった。Cdフリーの接点は、例えば、動作のごく初期の段階において溶着が起こりやすく、接点そのものの耐消耗性も悪いため接点の消耗も進行しやすい欠点があった。
【0008】
電磁開閉器の評価においても同様であり、例えば定格の10倍の電流を投入して遮断試験を行うと、Cdフリーの接点は接点の消耗が激しく、十分な特性を得るには至っていない。耐溶着特性を改善する目的でSn酸化物などの濃度を高めた場合、耐溶着特性は改善されることはあっても、これとトレードオフの関係にある温度特性の改善は行えなかった。即ち、Sn濃度を高くすると、温度特性は逆に劣化してしまうため、両特性を同時に満足することはできなかった。
【0009】
一方、特開平10−188710号公報には、二層構造の複合電気接点が開示されている。この電気接点は、定格電流が100A以下のブレーカーを対象としたものである。二つの層は、主に耐溶着特性に優れた外周層と、主に温度特性に優れた中央層とで構成されるが、両層とも主としてCd、Snの酸化物が分散したAg合金からなる。
【0010】
この電気接点では、中央層と外周層の硬度と、接点表面での両層の表面積比率とを制御することによって、主に耐溶着特性と温度特性とを適正レベルに調整することができる。しかしながら、この電気接点は多量のCdを含むため、毒性の問題が残っている。尚、この電気接点の硬度は、マイクロビッカース基準で外周層が135mHv以上、中央層が135mHv未満である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−188710号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、毒性の問題が無いCdフリーのAg合金からなり、トレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性とが適正に制御された電気接点、特に定格電流10A以上、遮断電流1.5KV以上のブレーカーや、定格電流35A以上の電磁開閉器に有用な電気接点を提供すること、及びこの電気接点を用いたブレーカーや電磁開閉器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する電気接点は、Snを1〜9質量%含み、不純物としてのCdが1質量%未満であるAg合金からなり、少なくとも接点表面部において中央層と該中央層より硬度が高い外周層とを有し、中央層の平均硬度がJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、且つ接点表面の全表面積に対する外周層の表面積が32.7〜96.0%の範囲にあることを特徴とする。
【0014】
上記本発明の電気接点は、Sn以外の添加成分として、In、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、Zn、Te、Cr、Pbの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0015】
また、上記本発明の電気接点では、前記外周層の平均硬度が170mHv以上であることがこのましく、前記外周層の平均硬度が190mHv以上であることが更に好ましい。また、前記中央層の平均硬度は160mHv以上であることが好ましい。
【0016】
更に、上記本発明の電気接点においては、前記外周層の厚みが平均で5μm以上であることが好ましい。
【0017】
本発明は、また、上記本発明の電気接点を用いたことを特徴とするブレーカーを提供し、更には、上記本発明の電気接点を用いたことを特徴とする電磁開閉器を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明における電気接点の化学組成は、Snを1〜9質量%含むAg合金からなり、Cdは不可避不純物として含まれる場合でも1質量%未満であって、Cdフリーの電気接点である。Snの含有量を1〜9質量%とするのは、1質量%未満では接点の耐溶着特性が劣化し、9質量%を超えると接点の製造が困難になるからである。Snの含有量は、好ましくは2〜7質量%である。尚、Cdフリーの観点から、Cdの含有量は0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。また、実質的にCdを含まなくても良い。
【0019】
本発明の電気接点は、上記基本成分のAgとSnに加え、In、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、Zn、Te、Cr、Pbの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことができる。特にInは、1〜9質量%が含有させると接点の製造が行いやすくなるが、この範囲を外れた組成では接点の製造が困難になり、更に9質量%を超えると、Snの含有量にもよるが、耐溶着特性が劣化する。Inの含有量は、好ましくは3〜7質量%である。尚、これらのSnやInなどの成分は、後述する成分も含めて、通常はAgマトリックス中に化合物として、特に酸化物の形態で分散される。
【0020】
その他の添加成分の望ましい含有量は、質量%単位で、Sbは0.05〜2%、Caは0.03〜0.3%、Biは0.01〜1%、Niは0.02〜1.5%、Coは0.02〜0.5%、Znは0.02〜8.5%、及びPb、Te、Crは何れも0.05〜5%である。これらの各成分元素を含む場合、その含有量が上記の範囲外になると、ブレーカーの種類によっては耐溶着特性や温度特性が低下することがあり、また上記範囲の上限を超えるとブレーカーの種類によっては生産性が低下することがある。
【0021】
尚、上記した以外の元素であっても、本発明の目的の範囲内であれば、微量含むことができる。このような元素として、例えば、同じく質量%単位で、Ce、Li、Cr、Li、Sr、Ti、Te、Mn、AlF3、CrF3、CaF3はいずれも5%以下、Ge及びGaは3%以下、Siは0.5%以下、Fe及びMgは0.8%以下の範囲で、それぞれ含むことができる。
【0022】
上記化学組成を有するCdフリーの電気接点について、要求される特性を満たす条件を細かく調査分析した。通常では、耐溶着特性の改善のためにSn濃度を高くするが、その場合にはトレードオフの関係にある温度特性を劣化させてしまう。そこで、本願発明者らは、他の因子について詳しくその影響を調べた。その結果、接点表面の平均硬度がJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上と高いこと、特に接点表面部における外周部の硬度が高く、中央部は外周部よりも硬度を低く設定することにより、接点に要求される耐溶着特性と、望ましい温度特性とを同時に満たし得ることが判明した。この接点表面部における中央部と外周部の硬度の制御によって、通常はトレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性が同時に改善され、且つ接点に必要な諸特性が得られることは、CdフリーのAg合金系接点に特有のものであり、Cd系接点の場合には見られなかった特長である。
【0023】
即ち、本発明の電気接点においては、少なくとも接点表面部に外周層と中央層とを有し、その中層層の平均硬度はJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、この中央層の硬度よりも外周層の硬度が高く制御されている必要がある。接点表面部における平均硬度をマイクロビッカース基準で少なくとも135mHvとするのは、これ未満の硬度レベルでは接点の耐溶着特性や温度特性が低下するからである。また、接点表面部の硬度は、高ければ高い程好ましい。具体的には、外周層の平均硬度は170mHv以上が好ましく、190mHv以上が更に好ましい。尚、中央層の平均硬度に関しては、160mHv以上であることが好ましい。マイクロビッカース硬度は、10g又は25gの荷重で測定することが望ましい。
【0024】
図1及び図2に、このような中央層1と外周層2を有する電気接点の代表例を示す。図1の電気接点では、中央層1の周りを取り囲むように、接点の表面部から反対側の裏面部まで外周層2が設けてある。また、図2は、接点の表面部側にのみリング状の外周層2が存在する例である。図1及び図2の電気接点とも、中央層1の硬度よりも外周層2の硬度が高く設定される。
【0025】
中央層と外周層の硬度を制御する方法としては、中央層と外周層の化学組成を変える方法がある。例えば、外周層中のSnの含有量を中央層よりも多くすることが最も簡単であり、これにより外周層の硬度を中央層よりも確実に高くすることができる。ただし、本発明においては、中央層と外周層の化学組成が同じであって、外周層の硬度が中央層よりも高い場合も含まれる。このように、中層層と外周層の化学組成が同一でありながら硬度レベルが異なるのは、それぞれの微細組織が制御されているからである。このような微細組織の制御による硬度の制御方法については、後述する接点の製造方法に関連して詳しく説明する。
【0026】
また、本発明のCdフリーの電気接点において、上記した耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得るためには、接点表面における全表面積に対する外周層の表面積が32.7〜96.0%の範囲内にあることが必要である。例えば、接点表面側からみた図3を用いて具体的に説明すると、外周層2の表面積(点々を付した部分)をS2及び中央層1の表面積をS1としたとき、全表面積S1+S2に対する外周層2の表面積S2の割合、即ちS2/(S1+S2)を32.7〜96.0%の範囲内に制御する。
【0027】
この接点表面での外周層2の表面積S2が全表面積の32.7%未満では、外周層2の硬度を中央層1よりも高く制御したとしても、耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得ることができない。逆に、外周層2の表面積S2が全表面積の96.0%を超えると、中央層を接点の中央に形成しにくいことが多く、量産技術上の問題となることが多くなるため好ましくない。
【0028】
また、2重構造をなす中央層と外周層のうち、外周層の厚みは平均で5μm以上とすることが好ましい。外周層の厚みが5μm未満では、中央層よりも硬度を高めた外周層の効果が低減し、耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得ることが難しくなるからである。
【0029】
本発明の電気接点は、用途に応じて、例えばブレーカーに組み込むためには、台金等の他の部材と接続する必要がある。その場合には、台金等の他の部材との接続を容易にするため、例えば図4及び図5に示すように、図1及び図2の接点の表面部側とは反対側の裏面に、純Ag、ロウ材などの金属からなる薄い接続層3を設けることができる。尚、この接続層3は、通常この種の目的で配設される金属層と同じような形態であればよい。
【0030】
電気接点と台金等の他の部材との接合は、通常は上記のごとく接続層を介して行うが、電気接点となるAg合金を台金等の上に直接生成させるか、若しくは台金と一体に成形することもできる。ブレーカーに組み込むための台金は、通常のCu又はCu合金の台金であってよいが、特にビス形状をしたCu又はCu合金の台金が好ましい。
【0031】
ブレーカー用の電気接点として、本発明の電気接点を台金に接合した例を図6〜図9に示す。図6は図1の接点を台金4に直接接合した例であり、図7は接続層3を介して図1の接点を台金4に接合した例である。また、図8は図2の接点を台金4に直接接合した例であり、図9は接続層3を介して図2の接点を台金4に接続した例である。
【0032】
次に、本発明の電気接点の製造方法について説明する。外周層と中央層を複合させる方法について種々検討した結果、蒸着法、減圧中での溶射法、粉末の焼結法、酸洗浄・焼鈍後の嵌め合わせ法、外周層となるべき板と中央層となるべき板を打ち抜きにより成形する方法、HIP、押出方法、押出と酸化とを組合わせた方法、外周層と中央層を別個に作製した後鍛造で接点形状に成形する方法のいずれも、採用し得ることが判った。この外にも、外周層と中央層を別個に作製した後、ミクロな溶接で接合する方法、焼き嵌め、冷やし嵌め、メッキ等の方法によっても、同様に製造可能である。
【0033】
中央層と外周層の硬度の制御については、既に述べたように化学組成を変える方法があるが、同じ化学組成であっても、製造方法やその条件を変えることによって硬度の制御が可能である。例えば、中央層を溶解法で形成し、外周層を溶射法や蒸着法で形成すれば、結晶粒の大きさ、合金元素の分布状態や拡散速度が変わるため、これに応じて酸化した際の酸化物の大きさや分布が変化し、同じ化学組成でも外周層の硬度が高くなる。また、硬度は加工と熱処理の条件によっても変化する。例えば、押出加工すると線材の表面にのみ変形加工歪みが集中する傾向があり、これを適切な条件で熱処理又は酸化すると、外周部のみが硬い線材となる。従って、このようにして得た線材を円盤状に切断したり、ヘッダーと呼ばれる方法で切断した後、Cuと一体成形することにより、中央層より外周層の硬度が高い接点材料を得ることができる。
【0034】
尚、製造方法の如何にかかわらず、既に述べてきたように硬度と配置形態を管理した外周層と中央層を有し、化学組成を最適化することによって、初めて本発明の意図する性能を有する電気接点が得られる。従って、単に中層層と外周層の2層を組合わせれば良いと言うものではない。例えば、導電性の良い層と、硬度の高い層を組合わせた接点(特開昭62−97213公報参照)や、耐消耗性と耐溶着性を有する導電体と、短絡電流においてアークの切れが良好な導電体を組合わせた接点(特開昭58−189913公報参照)等では、本発明の目的を達成することはできない。
【0035】
また、本発明は、Cdフリー接点の性能向上を目指し、Cd系接点に劣らない性能を有するCdフリーの接点の開発を行ったものであり、従来のCd系接点とは異なる。Cd系の接点は、CdOが持つ昇華現象を利用し、昇華の際の吸熱現象を利用してアーク熱を奪うことにより遮断性能の向上を目指したものである。従って、Cd元素のこの特長を利用するため、従来のCd系接点にはCdが10質量%以上も添加されている。しかし、Cd系接点は性能的に優れているが、環境問題があることは既に述べたとおりである。
【0036】
従って、既に述べた特開平10−188710号公報記載の電気接点ように、中央層と外周層に異なる性質を持つ材料を複合化させた構造を有するものであっても、根本的にCd系接点である点で本発明のCdフリー接点とは異なる。しかも、本発明のCdフリー接点では、外周層の硬度を中央層より高くするだけでなく、中央層と外周層の硬度を共に135mHv以上とすることにより、耐溶着性と同時に、温度特性を改良し得る点に特徴がある。これにより、近年環境面で注目の高まってきたCdフリー接点について、長らくCd系接点に比べて劣っていた性能を改良し、ブレーカーや電磁開閉器への応用展開を図ることが可能となったものである。
【0037】
尚、一般に、内部酸化した接点には表面から内部に向かっての緩やかな濃度勾配が見られるが、本発明の中央層と外周層の2層構造は、この内部酸化に見られる一般的な濃度勾配を示すものだけではない。例えば、接点の表面部近くにおいてのみ外周層を形成する場合において、外周層と中央層との境界面に数μm幅の連続的な硬度や組織の変化が認められることがある。しかし、外周層と中央層とは、このような境界部だけでなく、例えば光学顕微鏡等による組織観察において明らかに異なる組織と、マイクロビッカースにおける硬度の違いを呈するものである。
【0038】
ただし、電気接点は工業製品であり、またどの様な接点も化学組成や組織、硬度等に多少のバラツキや変化は見られるものであるから、本発明の電気接点においても、外周層及び中央層のそれぞれに化学組成、組織、硬度等の若干のバラツキがあってもかまわない。例えば、中央層内のごく一部分に硬度が135mHv未満の部分が若干混在していたとしても、中央層の平均硬度が135mHv以上であれば良い。また、外周層の硬度についても、同様に平均硬度として本発明の要件を満たしていれば良い。尚、平均硬度とは、中央層又は外周層の表面の複数箇所、例えば30点で測定した値の算術平均値である。
【0039】
【実施例】
以下に示す方法ア〜クのいずれかにより、中央層と外周層の2層構造からなる電気接点を製造した。ただし、電気接点の形状は、直径6mm×厚み1.5mmの円盤形、又は縦7mm×横8mm×厚み1.2mmの矩形とした。また、各電気接点を構成する中央層と外周層は、下記表1に示す組成の中央層と、下記表2に示す組成の外周層とから、それぞれ選択して組合わせた。尚、中央層及び外周層を構成する合金中における不純物元素のCd濃度は0質量%であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
(方法ア)
表面部外周に沿って深さ0.8mmの環状凹部を設けた中央層を溶解法にて作製し、その凹部以外の表面部をマスキングした後、凹部にAr+H2雰囲気中での減圧プラズマ溶射法により合金粉末を溶射して外周層を形成し、図2の構造の接点を得た。溶射原料にはプレアロイ粉末を用い、粉末粒径はサブミクロンから2μmまでとした。フィード用のキャリアーガスにはArを用いた。また、溶射に際しては、溶射ガンの先端を自動制御にて揺動させて均一溶射層の形成をはかると共に、サブストレイトになる中央層と溶射層(外周層)の密着性を高める目的で、サブストレイトをプラズマ炎に曝して加熱後に溶射を行った。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0043】
(方法イ)
裏面に10%の厚みを持つ純Ag層を有し、表面部外周に沿って深さ50μmの環状凹部を設けた中央層を溶解法により、溶解、鋳造、純Ag層圧着、及び圧延の工程で作製し、その凹部に、外周層の化学組成を有するターゲットを用いたマグネトロンスパッター法により外周層を蒸着して、図5の構造の接点を得た。基材である中央層の温度はSnの再蒸発を防止するために200℃に保持し、Ar雰囲気の圧力は数Torr〜数十Torrに保った。また、基材である中央層と蒸着層である外周層との密着性を良くするために、中央層の表面は高周波により発生したイオンにより予めクリーニングを施した。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0044】
(方法ウ)
Ag合金チップを溶解、圧延、打ち抜き加工にて作製し、酸化して、裏面に厚み10%の純Ag層を有する中央層とした。この中央層の外側に、外周部となる酸化後のAg合金粉を配置し、加圧成形した後、真空雰囲気中にて融点下30Kで焼結した。得られた複合合金チップにコイニング施し、次に約650℃で焼鈍して、図4の構造の接点を得た。
【0045】
(方法エ)
中央層となるAg合金部材を酸性溶液に浸け、表面の汚れを除去して清浄にした後、焼鈍して合金部材を軟らかくした。このAg合金部材の周りに、別途作製した外周層を嵌め合わせた後、更に焼鈍して拡散により一体化した後、酸化して、図1の構造の接点を得た。
【0046】
(方法オ)
酸化したAg合金粉を成形して、中央層となるべき円柱部材を作製した。この円柱部材の周囲に、酸化したAg合金粉を成形して別途作製した外周層となるべき円筒部材を張り合わせ、円柱ビレットを作製した。この円柱ビレットを800℃×2hの条件でAr雰囲気中にて加熱し、熱間での押出加工により円柱とした後、この円柱の長手方向と垂直な方向に切断して、図1の円盤状とした。その裏面に円盤厚みの1/10の純Ag層を張り合わせた後、再度酸化してから、Cuビスと張り合わせて、図7の構造の接点を得た。
【0047】
(方法カ)
上記方法オと同様にして作製した円柱ビレットを、押出加工した後、更に伸線及び酸化し、Cu線と共にヘッダー加工して、図6の構造の接点を得た。
【0048】
(方法キ)
中央層となるべき円柱部材を、溶解したAg合金を鋳造して作製した。その後この円柱部材を800℃×2hの条件でAr雰囲気中にて加熱し、熱間で押出加工を行った後、この線材を更に伸線及び酸化した。この酸化は400℃で行い、2時間後に750℃の高温で酸化を行った。その後、ヘッダー加工によりCuと一体化させ、図8の構造の接点を得た。
【0049】
(方法ク)
中央層となるべき棒材を作製し、その周囲に外周層となるべき円筒材を張り合わせた後、ミクロ溶接により気密とした。その後、700℃×1800kg/mm2×2hの条件でArガス中にて熱間静水圧成形(HIP)を行い、2層構造の棒材を得た。この棒材を長手方向に垂直な方向に切断した後、裏面に純Ag層を張り合わせて、図7の構造の接点を得た。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0050】
上記方法ア〜クのいずれかを用い、上記表1の中央層と表2の外周層をそれぞれ選択して組合わせることによって、下記表3に示す各接点を製造した。得られた各接点について、その特性を下記のごとく評価して、得られた結果を表4に示した。その際、Cuビス部をつけた場合には、接点を加熱・加圧によりCuビス部に直接接合するか、又は厚みの10%の純Agからなる接続層を介してCuビス部に接合した。
【0051】
【表3】
【0052】
接点の特性評価として、短絡試験による耐溶着性、初期温度測定、耐久試験後の温度特性、短絡試験後の温度特性をそれぞれ評価した。尚、短絡試験は、定格100A以下のブレーカーにて、220V、5kAの遮断電流で実施した。耐久試験は定格電流にて5000回の開閉試験を行い、試験後に端子部の温度を定格電流の通電状態において100分間測定し、その最高温度を求めた。評価結果はブレーカーによって異なるため、最も優れたものを5、使用可能なものを3、最も劣るものを1とし、5段階で評価して表4に示した。
【0053】
同様に、400AF定格の電磁開閉器にて、4000Aの遮断試験を行うと共に、2400Aにて閉又は400Aで開の動作で、10万回の開閉試験を行った。遮断試験及び開閉試験のそれぞれにおいて、試験後の接点の消耗状態を観察し、接点の厚みの半分以上が存在する場合には○、1/2〜1/3の間に近い場合には△、1/3未満の場合には×として、表4に表示した。
【0054】
【表4】
【0055】
これらの試験の結果から分るように、本発明に係わる試料1〜12の各電気接点は、Cdフリー接点でありながら、温度特性と耐溶着特性が共に優れている。しかし、試料13〜15に示す各比較例では、温度特性又は耐溶着特性の評価に2以下のものがあり、実用上使用できないことが分る。尚、試料6と試料7においてCd濃度が0.005質量%、0.1質量%、及び0.7質量%の各接点を作製し、上記と同様の評価を行ったが、いずれも表4に示す試料6及び試料7の特性と同じであった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、毒性に問題の無いCdフリーのAg合金からなり、トレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性とが共に優れた電気接点を提供することができる。また、この電気接点を用いることにより、毒性の問題が無く且つ特性にも優れた、定格電流10A以上、遮断電流1.5KV以上のブレーカーや、定格電流35A以上の電磁開閉器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気接点の具体例を示す断面図である。
【図2】本発明の電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図3】本発明の電気接点の外周部の表面積割合を説明するための概略の正面図である。
【図4】本発明の接続層を設けた電気接点の具体例を示す断面図である。
【図5】本発明の接続層を設けた電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図6】本発明に係わる台金付の電気接点の具体例を示す断面図である。
【図7】本発明に係わる台金付の電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図8】本発明に係わる台金付の電気接点の別の具体例を示す断面図である。
【図9】本発明に係わる台金付の電気接点の更に別の具体例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中央層
2 外周層
3 接続層
4 台金
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として配線遮断器、ノーヒューズブレーカー、漏電遮断器、サーキットブレーカー、安全ブレーカー、分電盤用ブレーカー(以下、これらをまとめて単にブレーカーと言う)や、リレー、電磁開閉器に有用な電気接点、並びにこの電気接点を用いたブレーカー等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーカーや、負荷の高い電磁開閉器、例えば定格35A以上の電磁開閉器などに用いる電気接点の材料には、従来からCd、Sn、Inなどの酸化物が分散したAg合金が広く使われてきた。特に、Cd酸化物が分散したAg合金は、この種の電気接点に最適であり、広く使用されている。
【0003】
しかしながら、Cd化合物には毒性の問題があるため、これに代わる電気接点材料の開発が望まれている。例えば、Sn、Inなどの酸化物が分散した、いわゆるCdフリーのAg合金からなる接点材料の開発が近年になって強く望まれるようになり、数多くの材料が開発され、数多くの電気機器に使われるようになっている。
【0004】
CdフリーのAg合金からなる電気接点は、温度特性が重視される比較的低負荷の電気機器や、接触抵抗を問題とする軽負荷の開閉器等には適している。しかし、温度特性と共に、定格電流が10A以上を要求されるブレーカー用の電気接点として用いる場合には、Cd入りのものに比べその性能が劣っているのが現状である。例えば、定格電流が10A以上、遮断電流が1.5KA以上のブレーカーの多くが、現在でもCdを10質量%以上含有した電気接点を使っており、他方CdフリーのAg合金からなる電気接点は、主に軽負荷の電磁開閉器などに一部使われているに過ぎない。
【0005】
ブレーカー用の電気接点に要求される特性には、(1)耐溶着特性、(2)初期段階での温度特性、(3)耐久試験後の温度特性、(4)短絡試験後の絶縁特性、(5)耐消耗特性などが挙げられる。これらの特性を同じ化学組成・微細組織の単一材料で確認すると、例えば(1)と(2)のようにトレードオフの関係にある特性が存在する。従って、一つの材料からなる電気接点を用いる場合には、トレードオフの関係にある片方の要求特性を犠牲にする必要があった。
【0006】
CdフリーのAg合金からなる電気接点において、ブレーカー向けのCd入り電気接点にとって代わるために必要な、レベルアップしなければならない特性は、第一に耐溶着特性であり、第二はこれとトレードオフの関係にある温度特性である。また、ブレーカーは比較的高い定格電流・遮断容量の領域で安定して使えることが重要であり、そのためには耐消耗特性や遮断特性についてもある程度のレベルまで改善する必要がある。
【0007】
ブレーカー用の電気接点に要求される特性のうち、例えば耐溶着特性を例に挙げた場合、従来から提唱されているCdを含まないCdフリーの電気接点は、Cdを含むCd系接点に比べて非常に低い特性しか持っていなかった。Cdフリーの接点は、例えば、動作のごく初期の段階において溶着が起こりやすく、接点そのものの耐消耗性も悪いため接点の消耗も進行しやすい欠点があった。
【0008】
電磁開閉器の評価においても同様であり、例えば定格の10倍の電流を投入して遮断試験を行うと、Cdフリーの接点は接点の消耗が激しく、十分な特性を得るには至っていない。耐溶着特性を改善する目的でSn酸化物などの濃度を高めた場合、耐溶着特性は改善されることはあっても、これとトレードオフの関係にある温度特性の改善は行えなかった。即ち、Sn濃度を高くすると、温度特性は逆に劣化してしまうため、両特性を同時に満足することはできなかった。
【0009】
一方、特開平10−188710号公報には、二層構造の複合電気接点が開示されている。この電気接点は、定格電流が100A以下のブレーカーを対象としたものである。二つの層は、主に耐溶着特性に優れた外周層と、主に温度特性に優れた中央層とで構成されるが、両層とも主としてCd、Snの酸化物が分散したAg合金からなる。
【0010】
この電気接点では、中央層と外周層の硬度と、接点表面での両層の表面積比率とを制御することによって、主に耐溶着特性と温度特性とを適正レベルに調整することができる。しかしながら、この電気接点は多量のCdを含むため、毒性の問題が残っている。尚、この電気接点の硬度は、マイクロビッカース基準で外周層が135mHv以上、中央層が135mHv未満である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−188710号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、毒性の問題が無いCdフリーのAg合金からなり、トレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性とが適正に制御された電気接点、特に定格電流10A以上、遮断電流1.5KV以上のブレーカーや、定格電流35A以上の電磁開閉器に有用な電気接点を提供すること、及びこの電気接点を用いたブレーカーや電磁開閉器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する電気接点は、Snを1〜9質量%含み、不純物としてのCdが1質量%未満であるAg合金からなり、少なくとも接点表面部において中央層と該中央層より硬度が高い外周層とを有し、中央層の平均硬度がJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、且つ接点表面の全表面積に対する外周層の表面積が32.7〜96.0%の範囲にあることを特徴とする。
【0014】
上記本発明の電気接点は、Sn以外の添加成分として、In、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、Zn、Te、Cr、Pbの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0015】
また、上記本発明の電気接点では、前記外周層の平均硬度が170mHv以上であることがこのましく、前記外周層の平均硬度が190mHv以上であることが更に好ましい。また、前記中央層の平均硬度は160mHv以上であることが好ましい。
【0016】
更に、上記本発明の電気接点においては、前記外周層の厚みが平均で5μm以上であることが好ましい。
【0017】
本発明は、また、上記本発明の電気接点を用いたことを特徴とするブレーカーを提供し、更には、上記本発明の電気接点を用いたことを特徴とする電磁開閉器を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明における電気接点の化学組成は、Snを1〜9質量%含むAg合金からなり、Cdは不可避不純物として含まれる場合でも1質量%未満であって、Cdフリーの電気接点である。Snの含有量を1〜9質量%とするのは、1質量%未満では接点の耐溶着特性が劣化し、9質量%を超えると接点の製造が困難になるからである。Snの含有量は、好ましくは2〜7質量%である。尚、Cdフリーの観点から、Cdの含有量は0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。また、実質的にCdを含まなくても良い。
【0019】
本発明の電気接点は、上記基本成分のAgとSnに加え、In、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、Zn、Te、Cr、Pbの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことができる。特にInは、1〜9質量%が含有させると接点の製造が行いやすくなるが、この範囲を外れた組成では接点の製造が困難になり、更に9質量%を超えると、Snの含有量にもよるが、耐溶着特性が劣化する。Inの含有量は、好ましくは3〜7質量%である。尚、これらのSnやInなどの成分は、後述する成分も含めて、通常はAgマトリックス中に化合物として、特に酸化物の形態で分散される。
【0020】
その他の添加成分の望ましい含有量は、質量%単位で、Sbは0.05〜2%、Caは0.03〜0.3%、Biは0.01〜1%、Niは0.02〜1.5%、Coは0.02〜0.5%、Znは0.02〜8.5%、及びPb、Te、Crは何れも0.05〜5%である。これらの各成分元素を含む場合、その含有量が上記の範囲外になると、ブレーカーの種類によっては耐溶着特性や温度特性が低下することがあり、また上記範囲の上限を超えるとブレーカーの種類によっては生産性が低下することがある。
【0021】
尚、上記した以外の元素であっても、本発明の目的の範囲内であれば、微量含むことができる。このような元素として、例えば、同じく質量%単位で、Ce、Li、Cr、Li、Sr、Ti、Te、Mn、AlF3、CrF3、CaF3はいずれも5%以下、Ge及びGaは3%以下、Siは0.5%以下、Fe及びMgは0.8%以下の範囲で、それぞれ含むことができる。
【0022】
上記化学組成を有するCdフリーの電気接点について、要求される特性を満たす条件を細かく調査分析した。通常では、耐溶着特性の改善のためにSn濃度を高くするが、その場合にはトレードオフの関係にある温度特性を劣化させてしまう。そこで、本願発明者らは、他の因子について詳しくその影響を調べた。その結果、接点表面の平均硬度がJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上と高いこと、特に接点表面部における外周部の硬度が高く、中央部は外周部よりも硬度を低く設定することにより、接点に要求される耐溶着特性と、望ましい温度特性とを同時に満たし得ることが判明した。この接点表面部における中央部と外周部の硬度の制御によって、通常はトレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性が同時に改善され、且つ接点に必要な諸特性が得られることは、CdフリーのAg合金系接点に特有のものであり、Cd系接点の場合には見られなかった特長である。
【0023】
即ち、本発明の電気接点においては、少なくとも接点表面部に外周層と中央層とを有し、その中層層の平均硬度はJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、この中央層の硬度よりも外周層の硬度が高く制御されている必要がある。接点表面部における平均硬度をマイクロビッカース基準で少なくとも135mHvとするのは、これ未満の硬度レベルでは接点の耐溶着特性や温度特性が低下するからである。また、接点表面部の硬度は、高ければ高い程好ましい。具体的には、外周層の平均硬度は170mHv以上が好ましく、190mHv以上が更に好ましい。尚、中央層の平均硬度に関しては、160mHv以上であることが好ましい。マイクロビッカース硬度は、10g又は25gの荷重で測定することが望ましい。
【0024】
図1及び図2に、このような中央層1と外周層2を有する電気接点の代表例を示す。図1の電気接点では、中央層1の周りを取り囲むように、接点の表面部から反対側の裏面部まで外周層2が設けてある。また、図2は、接点の表面部側にのみリング状の外周層2が存在する例である。図1及び図2の電気接点とも、中央層1の硬度よりも外周層2の硬度が高く設定される。
【0025】
中央層と外周層の硬度を制御する方法としては、中央層と外周層の化学組成を変える方法がある。例えば、外周層中のSnの含有量を中央層よりも多くすることが最も簡単であり、これにより外周層の硬度を中央層よりも確実に高くすることができる。ただし、本発明においては、中央層と外周層の化学組成が同じであって、外周層の硬度が中央層よりも高い場合も含まれる。このように、中層層と外周層の化学組成が同一でありながら硬度レベルが異なるのは、それぞれの微細組織が制御されているからである。このような微細組織の制御による硬度の制御方法については、後述する接点の製造方法に関連して詳しく説明する。
【0026】
また、本発明のCdフリーの電気接点において、上記した耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得るためには、接点表面における全表面積に対する外周層の表面積が32.7〜96.0%の範囲内にあることが必要である。例えば、接点表面側からみた図3を用いて具体的に説明すると、外周層2の表面積(点々を付した部分)をS2及び中央層1の表面積をS1としたとき、全表面積S1+S2に対する外周層2の表面積S2の割合、即ちS2/(S1+S2)を32.7〜96.0%の範囲内に制御する。
【0027】
この接点表面での外周層2の表面積S2が全表面積の32.7%未満では、外周層2の硬度を中央層1よりも高く制御したとしても、耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得ることができない。逆に、外周層2の表面積S2が全表面積の96.0%を超えると、中央層を接点の中央に形成しにくいことが多く、量産技術上の問題となることが多くなるため好ましくない。
【0028】
また、2重構造をなす中央層と外周層のうち、外周層の厚みは平均で5μm以上とすることが好ましい。外周層の厚みが5μm未満では、中央層よりも硬度を高めた外周層の効果が低減し、耐溶着特性や温度特性などの優れた特性を得ることが難しくなるからである。
【0029】
本発明の電気接点は、用途に応じて、例えばブレーカーに組み込むためには、台金等の他の部材と接続する必要がある。その場合には、台金等の他の部材との接続を容易にするため、例えば図4及び図5に示すように、図1及び図2の接点の表面部側とは反対側の裏面に、純Ag、ロウ材などの金属からなる薄い接続層3を設けることができる。尚、この接続層3は、通常この種の目的で配設される金属層と同じような形態であればよい。
【0030】
電気接点と台金等の他の部材との接合は、通常は上記のごとく接続層を介して行うが、電気接点となるAg合金を台金等の上に直接生成させるか、若しくは台金と一体に成形することもできる。ブレーカーに組み込むための台金は、通常のCu又はCu合金の台金であってよいが、特にビス形状をしたCu又はCu合金の台金が好ましい。
【0031】
ブレーカー用の電気接点として、本発明の電気接点を台金に接合した例を図6〜図9に示す。図6は図1の接点を台金4に直接接合した例であり、図7は接続層3を介して図1の接点を台金4に接合した例である。また、図8は図2の接点を台金4に直接接合した例であり、図9は接続層3を介して図2の接点を台金4に接続した例である。
【0032】
次に、本発明の電気接点の製造方法について説明する。外周層と中央層を複合させる方法について種々検討した結果、蒸着法、減圧中での溶射法、粉末の焼結法、酸洗浄・焼鈍後の嵌め合わせ法、外周層となるべき板と中央層となるべき板を打ち抜きにより成形する方法、HIP、押出方法、押出と酸化とを組合わせた方法、外周層と中央層を別個に作製した後鍛造で接点形状に成形する方法のいずれも、採用し得ることが判った。この外にも、外周層と中央層を別個に作製した後、ミクロな溶接で接合する方法、焼き嵌め、冷やし嵌め、メッキ等の方法によっても、同様に製造可能である。
【0033】
中央層と外周層の硬度の制御については、既に述べたように化学組成を変える方法があるが、同じ化学組成であっても、製造方法やその条件を変えることによって硬度の制御が可能である。例えば、中央層を溶解法で形成し、外周層を溶射法や蒸着法で形成すれば、結晶粒の大きさ、合金元素の分布状態や拡散速度が変わるため、これに応じて酸化した際の酸化物の大きさや分布が変化し、同じ化学組成でも外周層の硬度が高くなる。また、硬度は加工と熱処理の条件によっても変化する。例えば、押出加工すると線材の表面にのみ変形加工歪みが集中する傾向があり、これを適切な条件で熱処理又は酸化すると、外周部のみが硬い線材となる。従って、このようにして得た線材を円盤状に切断したり、ヘッダーと呼ばれる方法で切断した後、Cuと一体成形することにより、中央層より外周層の硬度が高い接点材料を得ることができる。
【0034】
尚、製造方法の如何にかかわらず、既に述べてきたように硬度と配置形態を管理した外周層と中央層を有し、化学組成を最適化することによって、初めて本発明の意図する性能を有する電気接点が得られる。従って、単に中層層と外周層の2層を組合わせれば良いと言うものではない。例えば、導電性の良い層と、硬度の高い層を組合わせた接点(特開昭62−97213公報参照)や、耐消耗性と耐溶着性を有する導電体と、短絡電流においてアークの切れが良好な導電体を組合わせた接点(特開昭58−189913公報参照)等では、本発明の目的を達成することはできない。
【0035】
また、本発明は、Cdフリー接点の性能向上を目指し、Cd系接点に劣らない性能を有するCdフリーの接点の開発を行ったものであり、従来のCd系接点とは異なる。Cd系の接点は、CdOが持つ昇華現象を利用し、昇華の際の吸熱現象を利用してアーク熱を奪うことにより遮断性能の向上を目指したものである。従って、Cd元素のこの特長を利用するため、従来のCd系接点にはCdが10質量%以上も添加されている。しかし、Cd系接点は性能的に優れているが、環境問題があることは既に述べたとおりである。
【0036】
従って、既に述べた特開平10−188710号公報記載の電気接点ように、中央層と外周層に異なる性質を持つ材料を複合化させた構造を有するものであっても、根本的にCd系接点である点で本発明のCdフリー接点とは異なる。しかも、本発明のCdフリー接点では、外周層の硬度を中央層より高くするだけでなく、中央層と外周層の硬度を共に135mHv以上とすることにより、耐溶着性と同時に、温度特性を改良し得る点に特徴がある。これにより、近年環境面で注目の高まってきたCdフリー接点について、長らくCd系接点に比べて劣っていた性能を改良し、ブレーカーや電磁開閉器への応用展開を図ることが可能となったものである。
【0037】
尚、一般に、内部酸化した接点には表面から内部に向かっての緩やかな濃度勾配が見られるが、本発明の中央層と外周層の2層構造は、この内部酸化に見られる一般的な濃度勾配を示すものだけではない。例えば、接点の表面部近くにおいてのみ外周層を形成する場合において、外周層と中央層との境界面に数μm幅の連続的な硬度や組織の変化が認められることがある。しかし、外周層と中央層とは、このような境界部だけでなく、例えば光学顕微鏡等による組織観察において明らかに異なる組織と、マイクロビッカースにおける硬度の違いを呈するものである。
【0038】
ただし、電気接点は工業製品であり、またどの様な接点も化学組成や組織、硬度等に多少のバラツキや変化は見られるものであるから、本発明の電気接点においても、外周層及び中央層のそれぞれに化学組成、組織、硬度等の若干のバラツキがあってもかまわない。例えば、中央層内のごく一部分に硬度が135mHv未満の部分が若干混在していたとしても、中央層の平均硬度が135mHv以上であれば良い。また、外周層の硬度についても、同様に平均硬度として本発明の要件を満たしていれば良い。尚、平均硬度とは、中央層又は外周層の表面の複数箇所、例えば30点で測定した値の算術平均値である。
【0039】
【実施例】
以下に示す方法ア〜クのいずれかにより、中央層と外周層の2層構造からなる電気接点を製造した。ただし、電気接点の形状は、直径6mm×厚み1.5mmの円盤形、又は縦7mm×横8mm×厚み1.2mmの矩形とした。また、各電気接点を構成する中央層と外周層は、下記表1に示す組成の中央層と、下記表2に示す組成の外周層とから、それぞれ選択して組合わせた。尚、中央層及び外周層を構成する合金中における不純物元素のCd濃度は0質量%であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
(方法ア)
表面部外周に沿って深さ0.8mmの環状凹部を設けた中央層を溶解法にて作製し、その凹部以外の表面部をマスキングした後、凹部にAr+H2雰囲気中での減圧プラズマ溶射法により合金粉末を溶射して外周層を形成し、図2の構造の接点を得た。溶射原料にはプレアロイ粉末を用い、粉末粒径はサブミクロンから2μmまでとした。フィード用のキャリアーガスにはArを用いた。また、溶射に際しては、溶射ガンの先端を自動制御にて揺動させて均一溶射層の形成をはかると共に、サブストレイトになる中央層と溶射層(外周層)の密着性を高める目的で、サブストレイトをプラズマ炎に曝して加熱後に溶射を行った。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0043】
(方法イ)
裏面に10%の厚みを持つ純Ag層を有し、表面部外周に沿って深さ50μmの環状凹部を設けた中央層を溶解法により、溶解、鋳造、純Ag層圧着、及び圧延の工程で作製し、その凹部に、外周層の化学組成を有するターゲットを用いたマグネトロンスパッター法により外周層を蒸着して、図5の構造の接点を得た。基材である中央層の温度はSnの再蒸発を防止するために200℃に保持し、Ar雰囲気の圧力は数Torr〜数十Torrに保った。また、基材である中央層と蒸着層である外周層との密着性を良くするために、中央層の表面は高周波により発生したイオンにより予めクリーニングを施した。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0044】
(方法ウ)
Ag合金チップを溶解、圧延、打ち抜き加工にて作製し、酸化して、裏面に厚み10%の純Ag層を有する中央層とした。この中央層の外側に、外周部となる酸化後のAg合金粉を配置し、加圧成形した後、真空雰囲気中にて融点下30Kで焼結した。得られた複合合金チップにコイニング施し、次に約650℃で焼鈍して、図4の構造の接点を得た。
【0045】
(方法エ)
中央層となるAg合金部材を酸性溶液に浸け、表面の汚れを除去して清浄にした後、焼鈍して合金部材を軟らかくした。このAg合金部材の周りに、別途作製した外周層を嵌め合わせた後、更に焼鈍して拡散により一体化した後、酸化して、図1の構造の接点を得た。
【0046】
(方法オ)
酸化したAg合金粉を成形して、中央層となるべき円柱部材を作製した。この円柱部材の周囲に、酸化したAg合金粉を成形して別途作製した外周層となるべき円筒部材を張り合わせ、円柱ビレットを作製した。この円柱ビレットを800℃×2hの条件でAr雰囲気中にて加熱し、熱間での押出加工により円柱とした後、この円柱の長手方向と垂直な方向に切断して、図1の円盤状とした。その裏面に円盤厚みの1/10の純Ag層を張り合わせた後、再度酸化してから、Cuビスと張り合わせて、図7の構造の接点を得た。
【0047】
(方法カ)
上記方法オと同様にして作製した円柱ビレットを、押出加工した後、更に伸線及び酸化し、Cu線と共にヘッダー加工して、図6の構造の接点を得た。
【0048】
(方法キ)
中央層となるべき円柱部材を、溶解したAg合金を鋳造して作製した。その後この円柱部材を800℃×2hの条件でAr雰囲気中にて加熱し、熱間で押出加工を行った後、この線材を更に伸線及び酸化した。この酸化は400℃で行い、2時間後に750℃の高温で酸化を行った。その後、ヘッダー加工によりCuと一体化させ、図8の構造の接点を得た。
【0049】
(方法ク)
中央層となるべき棒材を作製し、その周囲に外周層となるべき円筒材を張り合わせた後、ミクロ溶接により気密とした。その後、700℃×1800kg/mm2×2hの条件でArガス中にて熱間静水圧成形(HIP)を行い、2層構造の棒材を得た。この棒材を長手方向に垂直な方向に切断した後、裏面に純Ag層を張り合わせて、図7の構造の接点を得た。得られた複合接点を酸素雰囲気中で酸化した。
【0050】
上記方法ア〜クのいずれかを用い、上記表1の中央層と表2の外周層をそれぞれ選択して組合わせることによって、下記表3に示す各接点を製造した。得られた各接点について、その特性を下記のごとく評価して、得られた結果を表4に示した。その際、Cuビス部をつけた場合には、接点を加熱・加圧によりCuビス部に直接接合するか、又は厚みの10%の純Agからなる接続層を介してCuビス部に接合した。
【0051】
【表3】
【0052】
接点の特性評価として、短絡試験による耐溶着性、初期温度測定、耐久試験後の温度特性、短絡試験後の温度特性をそれぞれ評価した。尚、短絡試験は、定格100A以下のブレーカーにて、220V、5kAの遮断電流で実施した。耐久試験は定格電流にて5000回の開閉試験を行い、試験後に端子部の温度を定格電流の通電状態において100分間測定し、その最高温度を求めた。評価結果はブレーカーによって異なるため、最も優れたものを5、使用可能なものを3、最も劣るものを1とし、5段階で評価して表4に示した。
【0053】
同様に、400AF定格の電磁開閉器にて、4000Aの遮断試験を行うと共に、2400Aにて閉又は400Aで開の動作で、10万回の開閉試験を行った。遮断試験及び開閉試験のそれぞれにおいて、試験後の接点の消耗状態を観察し、接点の厚みの半分以上が存在する場合には○、1/2〜1/3の間に近い場合には△、1/3未満の場合には×として、表4に表示した。
【0054】
【表4】
【0055】
これらの試験の結果から分るように、本発明に係わる試料1〜12の各電気接点は、Cdフリー接点でありながら、温度特性と耐溶着特性が共に優れている。しかし、試料13〜15に示す各比較例では、温度特性又は耐溶着特性の評価に2以下のものがあり、実用上使用できないことが分る。尚、試料6と試料7においてCd濃度が0.005質量%、0.1質量%、及び0.7質量%の各接点を作製し、上記と同様の評価を行ったが、いずれも表4に示す試料6及び試料7の特性と同じであった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、毒性に問題の無いCdフリーのAg合金からなり、トレードオフの関係にある耐溶着特性と温度特性とが共に優れた電気接点を提供することができる。また、この電気接点を用いることにより、毒性の問題が無く且つ特性にも優れた、定格電流10A以上、遮断電流1.5KV以上のブレーカーや、定格電流35A以上の電磁開閉器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気接点の具体例を示す断面図である。
【図2】本発明の電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図3】本発明の電気接点の外周部の表面積割合を説明するための概略の正面図である。
【図4】本発明の接続層を設けた電気接点の具体例を示す断面図である。
【図5】本発明の接続層を設けた電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図6】本発明に係わる台金付の電気接点の具体例を示す断面図である。
【図7】本発明に係わる台金付の電気接点の他の具体例を示す断面図である。
【図8】本発明に係わる台金付の電気接点の別の具体例を示す断面図である。
【図9】本発明に係わる台金付の電気接点の更に別の具体例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中央層
2 外周層
3 接続層
4 台金
Claims (9)
- Snを1〜9質量%含み、不純物としてのCdが1質量%未満であるAg合金からなり、少なくとも接点表面部において中央層と該中央層より硬度が高い外周層とを有し、中央層の平均硬度がJISに規定されるマイクロビッカース基準で135mHv以上であり、且つ接点表面の全表面積に対する外周層の表面積が32.7〜96.0%の範囲にあることを特徴とする電気接点。
- Sn以外の添加成分として、In、Sb、Ca、Bi、Ni、Co、Zn、Te、Cr、Pbの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気接点。
- 前記外周層の平均硬度が170mHv以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気接点。
- 前記外周層の平均硬度が190mHv以上であることを特徴とする、請求項3に記載の電気接点。
- 前記中央層の平均硬度が160mHv以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気接点。
- 前記外周層の厚みが平均で5μm以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電気接点。
- ビス形状をしたCu又はCu合金の台金上に形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気接点。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電気接点を用いたことを特徴とするブレーカー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電気接点を用いたことを特徴とする電磁開閉器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009030098A (ja) * | 2007-07-26 | 2009-02-12 | Mitsubishi Material Cmi Kk | 銀−酸化物系電気接点材料 |
US8448538B2 (en) | 2008-12-04 | 2013-05-28 | Hyundai Motor Company | Parking brake lever apparatus |
CN103489701A (zh) * | 2013-10-15 | 2014-01-01 | 中国振华电子集团宇光电工有限公司(国营第七七一厂) | 一种多性能触头 |
CN107794389A (zh) * | 2017-10-20 | 2018-03-13 | 温州宏丰电工合金股份有限公司 | 一种银氧化锡氧化铟电接触材料及其制备方法 |
-
2003
- 2003-07-18 JP JP2003198891A patent/JP2005036264A/ja active Pending
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