JP2004288388A - 燃料電池用電極およびその製造方法および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池の電池性能を向上させる。
【解決手段】固体高分子電解質膜1に接合される燃料電池用電極2において、前記燃料電池用電極2には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層21、22が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜1に当接する前記触媒層22の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層21の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極。
【選択図】 図1
【解決手段】固体高分子電解質膜1に接合される燃料電池用電極2において、前記燃料電池用電極2には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層21、22が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜1に当接する前記触媒層22の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層21の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池用電極とその製造方法および燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソード(酸化剤極)がホットプレス等により接合されることにより電池の基本である膜・電極接合体が構成される。このアノードおよびカソードは、一般的にはカーボンペーパーなどの導電性多孔質支持層(ガス拡散層部材)の一方面上に多孔質触媒層が設けられた構造である。
【0003】
触媒層は、カーボンブラック等の触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子と高分子電解質を分散媒中に分散させた触媒層用ペーストを使用してシート状に成形することによって形成される。形成された触媒層は、触媒担持粒子を高分子電解質によって被覆された構成要素が集合した状態となっている。触媒担持粒子の高分子電解質よる被覆は、高分子電解質の量などによって触媒担持粒子の全体が被覆される場合も一部だけが被覆される場合もある。燃料電池は、この触媒層で起こる電極反応によって発電する。電極反応は触媒と高分子電解質と反応物質(アノードでは水素、メタノール、ハイドロカーボンなどの燃料、カソードでは酸素)との三相界面で起こる。
【0004】
燃料電池用電極として必要とされる条件の1つは高電流密度で電流を取り出せることである。リン酸型など従来型燃料電池が150〜250mA/cm2において運転されるのに対して、固体高分子電解質形燃料電池ではその約10倍の電流密度で運転できることが求められる。高電流密度での運転を可能にし、かつ運転を長期間安定して行うために、触媒成分の改良や、触媒成分の担持法などが検討され、各種改良案が提案されている。
【0005】
従来技術1として、特許文献1には、担体触媒粒子の凝集体が2つの粒径ピークを有する燃料電池用電極構成原料が開示されている。
【0006】
従来技術2として、特許文献2には、触媒の密度が電解質膜との界面において極大値を有する燃料電池の電極構造が開示されている。
【0007】
従来技術3として、特許文献3には、固体高分子電解質膜に第1触媒層を設け、ガス拡散層に第2触媒層を設け、第1触媒層と第2触媒層とが対向するように積層された燃料電池が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−227716号公報(請求項1)
【0009】
【特許文献2】
特開平9−265992号公報(請求項1)
【0010】
【特許文献3】
特開2001−345110号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術1〜3は、いずれも触媒層内における触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関する検討は記述されていない。すなわち、従来技術1には触媒層に使用される担持触媒粒子の凝集体が2つの粒径分布ピークを有することが記述されているが、触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関することは記述されていない。従来技術2には触媒の密度が電解質膜との界面において極大値を有することが記述されているが、触媒を担持する触媒担体粒子(従来技術2の実施例ではカーボンブラック)の凝集体粒径の空間分布に関する記述はない。従来技術3には第1触媒層と第2触媒層とが対向するように積層されていることが記述されているが、第1触媒層と第2触媒層には同じ触媒担体粒子(従来技術3の実施例ではカーボンブラック)を使用しており、触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関することは記述されていない。
【0012】
一般的にも、触媒担体粒子の粒度(一次粒径)分布や触媒担体粒子の凝集体の粒度(二次粒径)分布を制御して、触媒層内における触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関する詳細な検討はなく、その電極活性等に対する影響も報告されていない。
【0013】
本発明は触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布と電池性能との関係を検討し、高性能な燃料電池を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、固体高分子電解質膜に接合される燃料電池用電極において、前記燃料電池用電極には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜に当接する前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極である。
【0015】
上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0016】
すなわち、燃料電池用電極に複数の触媒層が設けられ、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくされているので、電極反応が起こる膜・電極界面に近い固体高分子電解質膜に当接する触媒層で触媒担体粒子の表面に存在する触媒の比率が高くため高い触媒活性を実現できるとともに、他の触媒層では触媒担体粒子の凝集体平均粒径が大きいので、細孔径を大きくできガスと水の拡散性を向上できる。これにより、ガスと水の拡散性と、高い触媒活性を実現でき、高性能な燃料電池を実現できる。
【0017】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、前記複数の触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が前記固体高分子電解質膜側の前記触媒層ほど小さいかまたは等しいことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極である。
【0018】
上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0019】
すなわち、固体高分子電解質膜に当接する触媒層以外の触媒層でも固体高分子電解質側の触媒層ほど触媒担体粒子の凝集体平均粒径が小さいかまたは等しいすることにより、ガスと水の拡散性をより向上できるので、より電池性能を向上できる効果を奏する。
【0020】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技術的手段と称する。)は、触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第1触媒層を形成する第1工程と、該第1触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さな凝集体平均粒径を有する触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第2触媒層を前記第1触媒層上に形成する第2工程が設けられていることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法である。
【0021】
上記第3の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0022】
すなわち、第1触媒層では触媒担体粒子の凝集体粒径が大きいので、細孔径が大きくガスと水の拡散性が優れ、第2触媒層では触媒担体粒子の凝集体粒径が小さいので、触媒担持粒子の表面に存在する白金触媒の割合が大きく高い触媒活性に優れているので、第1触媒層を固体高分子電解質膜に当接することにより、ガスと水の拡散性と、高い触媒活性を実現でき、高性能な燃料電池を実現できる。
【0023】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技術的手段と称する。)は、前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、前記ガス拡散層部材に形成された前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法である。
【0024】
上記第4の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0025】
すなわち、ガス拡散層部材に第1触媒層を形成後、その上に第2触媒層を形成するので、製造工程が容易であり、製造コストを低減できる。
【0026】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項5において講じた技術的手段(以下、第5の技術的手段と称する。)は、前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、固体高分子電解質膜上に前記第2触媒層を形成したのち前記第1触媒層と前記第2触媒層を対向させて接合し前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法である。
【0027】
上記第5の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0028】
すなわち、固体高分子電解質膜と第2触媒層の接合と、膜・電極接合体の接合を別の工程で行うことができるので、固体高分子電解質膜と第2触媒層の接合に適した接合ができ、より高性能な燃料電池ができる。
【0029】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項6において講じた技術的手段(以下、第6の技術的手段と称する。)は、固体高分子電解質膜の一方面にアノード、他方面にカソードが設けられた燃料電池において、アノード、カソードの少なくとも一方は、請求項1または2に記載の燃料電池用電極、あるいは請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法で製造された燃料電池用電極であることを特徴とする燃料電池である。
【0030】
上記第6の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0031】
すなわち、電池性能を高くできる燃料電池用電極を使用しているので、高性能な燃料電池ができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
触媒担体粒子の凝集体粒径が細かすぎると、細孔径が小さすぎ、反応ガスの供給と余剰な水の排出が円滑に行われず、燃料電池としての特性が損なわれ、取り出せるエネルギー量も減少する。一方、触媒担体粒子の凝集体粒径が大きすぎると、凝集体粒子の表面に存在する触媒が少なくなる。この結果、触媒層に含まれている触媒のうちで電極反応に寄与する触媒の割合である触媒利用率が低下し燃料電池の出力が低下する。また触媒担体粒子の凝集体粒径が大きすぎると、触媒担持粒子を被覆している高分子電解質の厚さが厚くなる。この結果、反応物質が到達できる触媒の量が減少し、触媒利用率が低下するため燃料電池の出力が低下する。
【0033】
本発明者は触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布が電池性能に及ぼす影響を鋭意研究し、高性能な固体高分子型燃料電池が得られる本発明に到達した。
【0034】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は実施例1および実施例2の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図である。この膜・電極接合体10は、固体高分子電解質膜1をカソード2とアノード3で挟持して接合することによって製造される。カソード2、アノード3は燃料電池用電極である。カソード2に燃料を、アノード3に酸素を供給することによって発電される。
【0035】
カソード2は、ガス拡散層部材20、第1触媒層21、第2触媒層22から構成されている。第1触媒層21はガス拡散層部材20の一方面に形成されている。第2触媒層22は、第1触媒層21上に積層されている。カソード2は、第2触媒層22が固体高分子電解質膜1に対向するように、固体高分子電解質膜1と接合されている。アノード3は、ガス拡散層部材30、触媒層31から構成されている。触媒層31はガス拡散層部材30の一方面に形成されている。アノード3は、触媒層31が固体高分子電解質膜1に対向するように、固体高分子電解質膜1と接合されている。
【0036】
(実施例1)
図2は実施例1の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。第1触媒層21、第2触媒層22および触媒層31の触媒担体粒子としてカーボンブラックを、触媒として白金を使用した。触媒担持粒子として、カーボンブラックに白金を40重量%担持させた白金触媒担持カーボン(ジョンソンマッセイ社製:Hispec4000)を使用した。またガス拡散層部材20、30の基材としてガス拡散性と導電性を有するカーボンペーパー(東レ社製:TGP−H−060)(厚さ0.18mm)を使用し、固体高分子電解質膜1として130mm×170mmの大きさのジャパンゴアテックス社製のGORE−SELECT(厚さ45μm)を使用した。
【0037】
白金触媒担持カーボン、水、高分子電解質のアルコール分散液(旭化成社製:Aciplex SS−1080)およびイソプロピルアルコール(以下、IPAと称する)を重量比1:2.1:15:1.9で配合し、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径が10μmなるようにボールミルで分散を行い、第1触媒層用ペーストを製造した。
【0038】
白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA−500)を用いて測定して確認した。具体的には、第1触媒層用ペーストを少量約5cm3のエタノール中に混合後、その液をレーザ回折式粒度分布測定装置のエタノールが入った試料室に投入し、所定濃度に調整して測定した。平均粒径はメジアン径で表している。以下の凝集体平均粒径も同様に測定している。
【0039】
ここでは触媒用ペーストの作製時に凝集体平均粒径を調整しているので、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径を測定している。白金触媒担持カーボンの凝集体は、触媒担体粒子であるカーボンブラックの凝集体に白金触媒が担持されているものであり、カーボンブラックの凝集体に対して白金触媒の大きさははるかに小さく、かつ量も少ないので、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径は触媒担体粒子の凝集体平均粒径とほぼ等しい。白金触媒担持カーボン(触媒担持粒子)の凝集体平均粒径を測定する方が実用的であるといえる。
【0040】
同様に配合し、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径が0.5μmなるようにボールミルで分散を行い、第2触媒層用ペーストを製造した。ボールミルの分散による凝集体平均粒径の調整は、ボールミルの回転数、処理時間によって行った。
【0041】
200mm×250mmの大きさに切り出したカーボンペーパーの片面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン社製:D−1)によって撥水処理したカーボン粉末層を塗布後、乾燥し、撥水処理したガス拡散層部材20を製造した。撥水処理したカーボン粉末層の塗布は、撥水処理したカーボン粉末(カーボン100重量部:PTFE75重量部)と分散剤と増粘剤を水に分散させたカーボンペースト(回転粘度計による粘度:1600mPa・s(20℃、回転速度100回転/sec))を製造し、スクリーン印刷法にて行った。このとき用いたカーボンはボロン変性アセチレンブラックであり、カーボン粉末の凝集体平均粒径は0.5μm以下であった。塗布量は4〜5mg/cm2であった。
【0042】
このガス拡散層部材20のカーボン粉末層上にアプリケーター(ドクターブレード法)を用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.3mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第1触媒層21を形成し、カソード中間部材2aを製造した(カソード2を製造する第1工程)。
【0043】
ガス拡散層部材20と同様に撥水処理したガス拡散層部材30を製造した。このガス拡散層部材30のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層31を形成し、アノード3を製造した。
【0044】
エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂フィルム(以後、ETFEと称する)の片側表面に対して、アプリケーターを用いて第2触媒層用ペーストを白金量0.1mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第2触媒層22を形成した。第2触媒層22を形成したETFEと固体高分子電解質膜1を第2触媒層22を内側にして付き合わせて温度150℃、圧力9.8MPa(100kg/cm2)で1分間保持し、転写(デカール)法によって固体高分子電解質膜1の片面に第2触媒層22を形成し、膜・第2触媒層接合体1aを製造した。
【0045】
こうして製造されたカソード中間部材2a、膜・第2触媒層接合体1a、アノード3を、図2のように、カソード中間部材2aの第1触媒層21と膜・第2触媒層接合体1aの第2触媒層22が対向し、膜・第2触媒層接合体1aの固体高分子電解質膜1とアノード3の触媒層31が対向するように積層して、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体10を製造した。ETFEの片面に第2触媒層22を形成してから膜・電極接合体10を製造までが実施例1のカソード2を製造する第2工程である。
【0046】
(実施例2)
図3は実施例2の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。触媒担体粒子、触媒、触媒担持粒子は実施例1と同様のものを使用し、実施例1と同様に第1触媒層用ペースト、第2触媒層用ペーストを製造した。ガス拡散層部材20、30も実施例1と同様に製造した。
【0047】
ガス拡散層部材20のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.3mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第1触媒層21を形成した(カソード2を製造する第1工程)。この第1触媒層21上に、アプリケーターを用いて第2触媒層用ペーストを白金量0.1mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第2触媒層22を形成し(カソード2を製造する第2工程)、カソード2を製造した。
【0048】
アノード3は、実施例1と同様に、ガス拡散層部材30のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層31を形成し製造した。
【0049】
図3のように、カソード2の第2触媒層22およびアノード3の触媒層31が固体高分子電解質膜1に当接するように、カソード2とアノード3で固体高分子電解質膜1を挟持し、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体10を製造した。
【0050】
(比較例)
図4は比較例の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図である。図5は比較例の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。
【0051】
この膜・電極接合体40は、固体高分子電解質膜5をカソード6とアノード7で挟持して接合することによって製造される。カソード6は、ガス拡散層部材60、触媒層61から構成されている。触媒層61はガス拡散層部材60の一方面に積層されている。カソード6は、触媒層61が固体高分子電解質膜5に対向するように、固体高分子電解質膜5と接合されている。アノード7は、ガス拡散層部材70、触媒層71から構成されている。触媒層71はガス拡散層部材70の一方面に積層されている。アノード7は、触媒層71が固体高分子電解質膜5に対向するように、固体高分子電解質膜5と接合されている。
【0052】
触媒担体粒子、触媒、触媒担持粒子は実施例1と同様のものを使用し、実施例1の第1触媒層用ペーストと同様にして触媒層用ペーストを製造した。ガス拡散層部材60、70も実施例1のガス拡散層部材20と同様に製造した。
【0053】
ガス拡散層部材60のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層61を形成し、カソード6を製造した。同様に、ガス拡散層部材70のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層71を形成し、アノード7を製造した。
【0054】
図5のように、カソード6の触媒層61およびアノード7の触媒層71が固体高分子電解質膜1に当接するように、カソード6とアノード7で固体高分子電解質膜1を挟持し、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体40を製造した。
【0055】
(評価)
実施例1、2および比較例で作製した膜・電極接合体を、それぞれ酸化剤ガス、燃料ガスを供給するガス通路を有するペアのセパレータで挟持して固体高分子電解質形燃料電池単セル100を作製した。
【0056】
図6は実施例の固体高分子電解質形燃料電池単セル100の構造を説明する概略断面図である。固体高分子電解質形燃料電池単セル100は、膜・電極接合体10がセパレータ8と9により挟持されている。
【0057】
セパレータ8には、カソード2に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス通流溝8bが設けられ、酸化剤ガス供給口8aから供給された酸化剤ガスは酸化剤ガス通流溝8bを通って酸化剤ガス排出口8cから排出される。セパレータ9には、アノード3に燃料ガスを供給するための燃料ガス通流溝9bが設けられ、燃料ガス供給口9aから供給された燃料ガスは燃料ガス通流溝9bを流通し燃料ガス排出口9cから排出される。
【0058】
単セル100の温度を78℃とし、カソード2に空気(酸素利用率50%)、アノード3に水素(水素利用率80%)を、それぞれ2気圧で供給した。空気には水蒸気/空気=0.14(モル比)、水素には水蒸気/水素=0.1(モル比)の比率で滴下法により水蒸気を供給して加湿を行った。セパレータ8とセパレータ9の電気端子から発電した電気を取り出し、外部の可変抵抗80で抵抗を変えて電流密度とセル電圧を測定して評価した。比較例も同様に評価した。
【0059】
(評価結果)
図7は実施例1、2および比較例の評価結果を表すグラフ図である。このグラフ図は、各単セルの電流密度とセル電圧の関係を表している。図7から明らかなように、実施例1、2は比較例より高いセル電圧が得られる。電流密度1.0A/cm2においては、セル電圧が比較例に対して実施例1は約80mVおよび実施例2は約45mV高い。
【0060】
第1触媒層21では触媒担体粒子の凝集体粒径が大きいので、細孔径が大きく、高いガス拡散性と生成余剰水の排出性が優れているため、酸化剤ガス通流溝8bに供給された空気は早く第2触媒層22に拡散されるとともに、第2触媒層22からの水蒸気は早く酸化剤ガス通流溝8bに排出される。一方、第2触媒層22では触媒担体粒子の凝集体粒径が小さいので、触媒担持粒子の表面に存在する白金触媒の割合が大きく、高い触媒活性が得られる。こうして実施例1、2では第2触媒層22によって高いガス拡散性と生成余剰水の排出性を実現するとともに、第1触媒層21によって高い触媒活性を実現しているので、高いセル電圧が得られたものである。
【0061】
このように、燃料電池用電極の触媒層を多層化し、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径を他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくすることにより、電極反応が起こる膜・電極界面に近い固体高分子電解質膜に当接する触媒層で高い触媒活性を実現し、他の触媒層でガスと水の拡散性を実現することによって膜・電極界面に反応物質を早く供給でき膜・電極界面での生成水を早く排出できるので、高性能な燃料電池を実現できた。
【0062】
実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が高いセル電圧が得られた。これは実施例1ではカーボンペーパーより平滑な表面を有するETFEシートに触媒層を形成し転写法に第2触媒層を製造するため、実施例1では実施例2より平滑な表面を有する第2触媒層が得られる。このため膜・電極接合体10を製造するときに温度と圧力より固体高分子電解質膜1と第2触媒層22を接合するときに温度と圧力が高くできるので、膜と触媒層の密着性が向上し電池性能が向上したと考えられる。
【0063】
実施例1、2では2層の触媒層で形成したが、3層以上で形成してもよい。3層以上の場合、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくければ、他の触媒層間の凝集体平均粒径の大小関係は適宜選択できる。しかし、固体高分子電解質側の触媒層ほど触媒担体粒子の凝集体平均粒径が小さいかまたは等しい方が、ガスと水の拡散性にとって有利であり、電池性能を向上できる。また多層の触媒層間に明確な界面が存在しなくても、触媒層の厚さ方向に触媒担体粒子の凝集体平均粒径の空間分布が存在する場合も、多層の触媒層が形成されていることと同義であり、この場合には固体高分子電解質膜に当接する部分の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が最小となっていればよい。
【0064】
実施例ではカソードで示したが、アノードにカソード同様の多層触媒層構造を設けてもよい。この場合には、ガスの供給、触媒活性の向上はカソード同様であるが、水蒸気の排出でなく、供給がよくなることによって電池性能が向上する。いずれにせよ、本発明の燃料電池はカソードにもアノードでも触媒層のガスと水の拡散性が向上するとともに触媒活性が向上することによって電池性能を向上できる。特にカソードでは燃料電池の電極反応によって水が生成するので、水の排出性能を向上させることによって、いわゆるフラッディング現象を抑えることができるため、電池性能向上により効果的である。
【0065】
実施例2のように、ガス拡散層部材に第1触媒層を形成後、その上に第2触媒層を形成すれば、製造工程が容易であり、製造コストを低減できる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、固体高分子電解質膜に接合される燃料電池用電極において、前記燃料電池用電極には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜に当接する前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極、または触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第1触媒層を形成する第1工程と、該第1触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さな凝集体平均粒径を有する触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第2触媒層を前記第1触媒層上に形成する第2工程が設けられていることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法であるので、高性能な燃料電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図
【図2】実施例1の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図3】実施例2の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図4】比較例の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図
【図5】比較例の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図6】実施例の固体高分子電解質形燃料電池単セル100の構造を説明する概略断面図
【図7】実施例1、2および比較例の評価結果を表すグラフ図
【符号の説明】
1…固体高分子電解質膜
2…カソード(燃料電池用電極)
3…アノード(燃料電池用電極)
10…膜・電極接合体
21…第1触媒層(触媒層)
22…第2触媒層(触媒層)
20、30…ガス拡散層部材
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池用電極とその製造方法および燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソード(酸化剤極)がホットプレス等により接合されることにより電池の基本である膜・電極接合体が構成される。このアノードおよびカソードは、一般的にはカーボンペーパーなどの導電性多孔質支持層(ガス拡散層部材)の一方面上に多孔質触媒層が設けられた構造である。
【0003】
触媒層は、カーボンブラック等の触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子と高分子電解質を分散媒中に分散させた触媒層用ペーストを使用してシート状に成形することによって形成される。形成された触媒層は、触媒担持粒子を高分子電解質によって被覆された構成要素が集合した状態となっている。触媒担持粒子の高分子電解質よる被覆は、高分子電解質の量などによって触媒担持粒子の全体が被覆される場合も一部だけが被覆される場合もある。燃料電池は、この触媒層で起こる電極反応によって発電する。電極反応は触媒と高分子電解質と反応物質(アノードでは水素、メタノール、ハイドロカーボンなどの燃料、カソードでは酸素)との三相界面で起こる。
【0004】
燃料電池用電極として必要とされる条件の1つは高電流密度で電流を取り出せることである。リン酸型など従来型燃料電池が150〜250mA/cm2において運転されるのに対して、固体高分子電解質形燃料電池ではその約10倍の電流密度で運転できることが求められる。高電流密度での運転を可能にし、かつ運転を長期間安定して行うために、触媒成分の改良や、触媒成分の担持法などが検討され、各種改良案が提案されている。
【0005】
従来技術1として、特許文献1には、担体触媒粒子の凝集体が2つの粒径ピークを有する燃料電池用電極構成原料が開示されている。
【0006】
従来技術2として、特許文献2には、触媒の密度が電解質膜との界面において極大値を有する燃料電池の電極構造が開示されている。
【0007】
従来技術3として、特許文献3には、固体高分子電解質膜に第1触媒層を設け、ガス拡散層に第2触媒層を設け、第1触媒層と第2触媒層とが対向するように積層された燃料電池が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−227716号公報(請求項1)
【0009】
【特許文献2】
特開平9−265992号公報(請求項1)
【0010】
【特許文献3】
特開2001−345110号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術1〜3は、いずれも触媒層内における触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関する検討は記述されていない。すなわち、従来技術1には触媒層に使用される担持触媒粒子の凝集体が2つの粒径分布ピークを有することが記述されているが、触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関することは記述されていない。従来技術2には触媒の密度が電解質膜との界面において極大値を有することが記述されているが、触媒を担持する触媒担体粒子(従来技術2の実施例ではカーボンブラック)の凝集体粒径の空間分布に関する記述はない。従来技術3には第1触媒層と第2触媒層とが対向するように積層されていることが記述されているが、第1触媒層と第2触媒層には同じ触媒担体粒子(従来技術3の実施例ではカーボンブラック)を使用しており、触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関することは記述されていない。
【0012】
一般的にも、触媒担体粒子の粒度(一次粒径)分布や触媒担体粒子の凝集体の粒度(二次粒径)分布を制御して、触媒層内における触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布に関する詳細な検討はなく、その電極活性等に対する影響も報告されていない。
【0013】
本発明は触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布と電池性能との関係を検討し、高性能な燃料電池を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、固体高分子電解質膜に接合される燃料電池用電極において、前記燃料電池用電極には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜に当接する前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極である。
【0015】
上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0016】
すなわち、燃料電池用電極に複数の触媒層が設けられ、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくされているので、電極反応が起こる膜・電極界面に近い固体高分子電解質膜に当接する触媒層で触媒担体粒子の表面に存在する触媒の比率が高くため高い触媒活性を実現できるとともに、他の触媒層では触媒担体粒子の凝集体平均粒径が大きいので、細孔径を大きくできガスと水の拡散性を向上できる。これにより、ガスと水の拡散性と、高い触媒活性を実現でき、高性能な燃料電池を実現できる。
【0017】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、前記複数の触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が前記固体高分子電解質膜側の前記触媒層ほど小さいかまたは等しいことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極である。
【0018】
上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0019】
すなわち、固体高分子電解質膜に当接する触媒層以外の触媒層でも固体高分子電解質側の触媒層ほど触媒担体粒子の凝集体平均粒径が小さいかまたは等しいすることにより、ガスと水の拡散性をより向上できるので、より電池性能を向上できる効果を奏する。
【0020】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技術的手段と称する。)は、触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第1触媒層を形成する第1工程と、該第1触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さな凝集体平均粒径を有する触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第2触媒層を前記第1触媒層上に形成する第2工程が設けられていることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法である。
【0021】
上記第3の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0022】
すなわち、第1触媒層では触媒担体粒子の凝集体粒径が大きいので、細孔径が大きくガスと水の拡散性が優れ、第2触媒層では触媒担体粒子の凝集体粒径が小さいので、触媒担持粒子の表面に存在する白金触媒の割合が大きく高い触媒活性に優れているので、第1触媒層を固体高分子電解質膜に当接することにより、ガスと水の拡散性と、高い触媒活性を実現でき、高性能な燃料電池を実現できる。
【0023】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技術的手段と称する。)は、前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、前記ガス拡散層部材に形成された前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法である。
【0024】
上記第4の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0025】
すなわち、ガス拡散層部材に第1触媒層を形成後、その上に第2触媒層を形成するので、製造工程が容易であり、製造コストを低減できる。
【0026】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項5において講じた技術的手段(以下、第5の技術的手段と称する。)は、前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、固体高分子電解質膜上に前記第2触媒層を形成したのち前記第1触媒層と前記第2触媒層を対向させて接合し前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法である。
【0027】
上記第5の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0028】
すなわち、固体高分子電解質膜と第2触媒層の接合と、膜・電極接合体の接合を別の工程で行うことができるので、固体高分子電解質膜と第2触媒層の接合に適した接合ができ、より高性能な燃料電池ができる。
【0029】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項6において講じた技術的手段(以下、第6の技術的手段と称する。)は、固体高分子電解質膜の一方面にアノード、他方面にカソードが設けられた燃料電池において、アノード、カソードの少なくとも一方は、請求項1または2に記載の燃料電池用電極、あるいは請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法で製造された燃料電池用電極であることを特徴とする燃料電池である。
【0030】
上記第6の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0031】
すなわち、電池性能を高くできる燃料電池用電極を使用しているので、高性能な燃料電池ができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
触媒担体粒子の凝集体粒径が細かすぎると、細孔径が小さすぎ、反応ガスの供給と余剰な水の排出が円滑に行われず、燃料電池としての特性が損なわれ、取り出せるエネルギー量も減少する。一方、触媒担体粒子の凝集体粒径が大きすぎると、凝集体粒子の表面に存在する触媒が少なくなる。この結果、触媒層に含まれている触媒のうちで電極反応に寄与する触媒の割合である触媒利用率が低下し燃料電池の出力が低下する。また触媒担体粒子の凝集体粒径が大きすぎると、触媒担持粒子を被覆している高分子電解質の厚さが厚くなる。この結果、反応物質が到達できる触媒の量が減少し、触媒利用率が低下するため燃料電池の出力が低下する。
【0033】
本発明者は触媒担体粒子の凝集体粒径の空間分布が電池性能に及ぼす影響を鋭意研究し、高性能な固体高分子型燃料電池が得られる本発明に到達した。
【0034】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は実施例1および実施例2の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図である。この膜・電極接合体10は、固体高分子電解質膜1をカソード2とアノード3で挟持して接合することによって製造される。カソード2、アノード3は燃料電池用電極である。カソード2に燃料を、アノード3に酸素を供給することによって発電される。
【0035】
カソード2は、ガス拡散層部材20、第1触媒層21、第2触媒層22から構成されている。第1触媒層21はガス拡散層部材20の一方面に形成されている。第2触媒層22は、第1触媒層21上に積層されている。カソード2は、第2触媒層22が固体高分子電解質膜1に対向するように、固体高分子電解質膜1と接合されている。アノード3は、ガス拡散層部材30、触媒層31から構成されている。触媒層31はガス拡散層部材30の一方面に形成されている。アノード3は、触媒層31が固体高分子電解質膜1に対向するように、固体高分子電解質膜1と接合されている。
【0036】
(実施例1)
図2は実施例1の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。第1触媒層21、第2触媒層22および触媒層31の触媒担体粒子としてカーボンブラックを、触媒として白金を使用した。触媒担持粒子として、カーボンブラックに白金を40重量%担持させた白金触媒担持カーボン(ジョンソンマッセイ社製:Hispec4000)を使用した。またガス拡散層部材20、30の基材としてガス拡散性と導電性を有するカーボンペーパー(東レ社製:TGP−H−060)(厚さ0.18mm)を使用し、固体高分子電解質膜1として130mm×170mmの大きさのジャパンゴアテックス社製のGORE−SELECT(厚さ45μm)を使用した。
【0037】
白金触媒担持カーボン、水、高分子電解質のアルコール分散液(旭化成社製:Aciplex SS−1080)およびイソプロピルアルコール(以下、IPAと称する)を重量比1:2.1:15:1.9で配合し、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径が10μmなるようにボールミルで分散を行い、第1触媒層用ペーストを製造した。
【0038】
白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA−500)を用いて測定して確認した。具体的には、第1触媒層用ペーストを少量約5cm3のエタノール中に混合後、その液をレーザ回折式粒度分布測定装置のエタノールが入った試料室に投入し、所定濃度に調整して測定した。平均粒径はメジアン径で表している。以下の凝集体平均粒径も同様に測定している。
【0039】
ここでは触媒用ペーストの作製時に凝集体平均粒径を調整しているので、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径を測定している。白金触媒担持カーボンの凝集体は、触媒担体粒子であるカーボンブラックの凝集体に白金触媒が担持されているものであり、カーボンブラックの凝集体に対して白金触媒の大きさははるかに小さく、かつ量も少ないので、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径は触媒担体粒子の凝集体平均粒径とほぼ等しい。白金触媒担持カーボン(触媒担持粒子)の凝集体平均粒径を測定する方が実用的であるといえる。
【0040】
同様に配合し、白金触媒担持カーボンの凝集体平均粒径が0.5μmなるようにボールミルで分散を行い、第2触媒層用ペーストを製造した。ボールミルの分散による凝集体平均粒径の調整は、ボールミルの回転数、処理時間によって行った。
【0041】
200mm×250mmの大きさに切り出したカーボンペーパーの片面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン社製:D−1)によって撥水処理したカーボン粉末層を塗布後、乾燥し、撥水処理したガス拡散層部材20を製造した。撥水処理したカーボン粉末層の塗布は、撥水処理したカーボン粉末(カーボン100重量部:PTFE75重量部)と分散剤と増粘剤を水に分散させたカーボンペースト(回転粘度計による粘度:1600mPa・s(20℃、回転速度100回転/sec))を製造し、スクリーン印刷法にて行った。このとき用いたカーボンはボロン変性アセチレンブラックであり、カーボン粉末の凝集体平均粒径は0.5μm以下であった。塗布量は4〜5mg/cm2であった。
【0042】
このガス拡散層部材20のカーボン粉末層上にアプリケーター(ドクターブレード法)を用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.3mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第1触媒層21を形成し、カソード中間部材2aを製造した(カソード2を製造する第1工程)。
【0043】
ガス拡散層部材20と同様に撥水処理したガス拡散層部材30を製造した。このガス拡散層部材30のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層31を形成し、アノード3を製造した。
【0044】
エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂フィルム(以後、ETFEと称する)の片側表面に対して、アプリケーターを用いて第2触媒層用ペーストを白金量0.1mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第2触媒層22を形成した。第2触媒層22を形成したETFEと固体高分子電解質膜1を第2触媒層22を内側にして付き合わせて温度150℃、圧力9.8MPa(100kg/cm2)で1分間保持し、転写(デカール)法によって固体高分子電解質膜1の片面に第2触媒層22を形成し、膜・第2触媒層接合体1aを製造した。
【0045】
こうして製造されたカソード中間部材2a、膜・第2触媒層接合体1a、アノード3を、図2のように、カソード中間部材2aの第1触媒層21と膜・第2触媒層接合体1aの第2触媒層22が対向し、膜・第2触媒層接合体1aの固体高分子電解質膜1とアノード3の触媒層31が対向するように積層して、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体10を製造した。ETFEの片面に第2触媒層22を形成してから膜・電極接合体10を製造までが実施例1のカソード2を製造する第2工程である。
【0046】
(実施例2)
図3は実施例2の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。触媒担体粒子、触媒、触媒担持粒子は実施例1と同様のものを使用し、実施例1と同様に第1触媒層用ペースト、第2触媒層用ペーストを製造した。ガス拡散層部材20、30も実施例1と同様に製造した。
【0047】
ガス拡散層部材20のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.3mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第1触媒層21を形成した(カソード2を製造する第1工程)。この第1触媒層21上に、アプリケーターを用いて第2触媒層用ペーストを白金量0.1mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し第2触媒層22を形成し(カソード2を製造する第2工程)、カソード2を製造した。
【0048】
アノード3は、実施例1と同様に、ガス拡散層部材30のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて第1触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層31を形成し製造した。
【0049】
図3のように、カソード2の第2触媒層22およびアノード3の触媒層31が固体高分子電解質膜1に当接するように、カソード2とアノード3で固体高分子電解質膜1を挟持し、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体10を製造した。
【0050】
(比較例)
図4は比較例の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図である。図5は比較例の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図である。
【0051】
この膜・電極接合体40は、固体高分子電解質膜5をカソード6とアノード7で挟持して接合することによって製造される。カソード6は、ガス拡散層部材60、触媒層61から構成されている。触媒層61はガス拡散層部材60の一方面に積層されている。カソード6は、触媒層61が固体高分子電解質膜5に対向するように、固体高分子電解質膜5と接合されている。アノード7は、ガス拡散層部材70、触媒層71から構成されている。触媒層71はガス拡散層部材70の一方面に積層されている。アノード7は、触媒層71が固体高分子電解質膜5に対向するように、固体高分子電解質膜5と接合されている。
【0052】
触媒担体粒子、触媒、触媒担持粒子は実施例1と同様のものを使用し、実施例1の第1触媒層用ペーストと同様にして触媒層用ペーストを製造した。ガス拡散層部材60、70も実施例1のガス拡散層部材20と同様に製造した。
【0053】
ガス拡散層部材60のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層61を形成し、カソード6を製造した。同様に、ガス拡散層部材70のカーボン粉末層上にアプリケーターを用いて触媒層用ペーストを白金量0.4mg/cm2になるように塗布後、60℃で乾燥し触媒層71を形成し、アノード7を製造した。
【0054】
図5のように、カソード6の触媒層61およびアノード7の触媒層71が固体高分子電解質膜1に当接するように、カソード6とアノード7で固体高分子電解質膜1を挟持し、温度140℃、圧力7.8MPa(80kg/cm2)で3分間保持して、接合を行い、膜・電極接合体40を製造した。
【0055】
(評価)
実施例1、2および比較例で作製した膜・電極接合体を、それぞれ酸化剤ガス、燃料ガスを供給するガス通路を有するペアのセパレータで挟持して固体高分子電解質形燃料電池単セル100を作製した。
【0056】
図6は実施例の固体高分子電解質形燃料電池単セル100の構造を説明する概略断面図である。固体高分子電解質形燃料電池単セル100は、膜・電極接合体10がセパレータ8と9により挟持されている。
【0057】
セパレータ8には、カソード2に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス通流溝8bが設けられ、酸化剤ガス供給口8aから供給された酸化剤ガスは酸化剤ガス通流溝8bを通って酸化剤ガス排出口8cから排出される。セパレータ9には、アノード3に燃料ガスを供給するための燃料ガス通流溝9bが設けられ、燃料ガス供給口9aから供給された燃料ガスは燃料ガス通流溝9bを流通し燃料ガス排出口9cから排出される。
【0058】
単セル100の温度を78℃とし、カソード2に空気(酸素利用率50%)、アノード3に水素(水素利用率80%)を、それぞれ2気圧で供給した。空気には水蒸気/空気=0.14(モル比)、水素には水蒸気/水素=0.1(モル比)の比率で滴下法により水蒸気を供給して加湿を行った。セパレータ8とセパレータ9の電気端子から発電した電気を取り出し、外部の可変抵抗80で抵抗を変えて電流密度とセル電圧を測定して評価した。比較例も同様に評価した。
【0059】
(評価結果)
図7は実施例1、2および比較例の評価結果を表すグラフ図である。このグラフ図は、各単セルの電流密度とセル電圧の関係を表している。図7から明らかなように、実施例1、2は比較例より高いセル電圧が得られる。電流密度1.0A/cm2においては、セル電圧が比較例に対して実施例1は約80mVおよび実施例2は約45mV高い。
【0060】
第1触媒層21では触媒担体粒子の凝集体粒径が大きいので、細孔径が大きく、高いガス拡散性と生成余剰水の排出性が優れているため、酸化剤ガス通流溝8bに供給された空気は早く第2触媒層22に拡散されるとともに、第2触媒層22からの水蒸気は早く酸化剤ガス通流溝8bに排出される。一方、第2触媒層22では触媒担体粒子の凝集体粒径が小さいので、触媒担持粒子の表面に存在する白金触媒の割合が大きく、高い触媒活性が得られる。こうして実施例1、2では第2触媒層22によって高いガス拡散性と生成余剰水の排出性を実現するとともに、第1触媒層21によって高い触媒活性を実現しているので、高いセル電圧が得られたものである。
【0061】
このように、燃料電池用電極の触媒層を多層化し、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径を他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくすることにより、電極反応が起こる膜・電極界面に近い固体高分子電解質膜に当接する触媒層で高い触媒活性を実現し、他の触媒層でガスと水の拡散性を実現することによって膜・電極界面に反応物質を早く供給でき膜・電極界面での生成水を早く排出できるので、高性能な燃料電池を実現できた。
【0062】
実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が高いセル電圧が得られた。これは実施例1ではカーボンペーパーより平滑な表面を有するETFEシートに触媒層を形成し転写法に第2触媒層を製造するため、実施例1では実施例2より平滑な表面を有する第2触媒層が得られる。このため膜・電極接合体10を製造するときに温度と圧力より固体高分子電解質膜1と第2触媒層22を接合するときに温度と圧力が高くできるので、膜と触媒層の密着性が向上し電池性能が向上したと考えられる。
【0063】
実施例1、2では2層の触媒層で形成したが、3層以上で形成してもよい。3層以上の場合、固体高分子電解質膜に当接する触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の触媒層の凝集体平均粒径より小さくければ、他の触媒層間の凝集体平均粒径の大小関係は適宜選択できる。しかし、固体高分子電解質側の触媒層ほど触媒担体粒子の凝集体平均粒径が小さいかまたは等しい方が、ガスと水の拡散性にとって有利であり、電池性能を向上できる。また多層の触媒層間に明確な界面が存在しなくても、触媒層の厚さ方向に触媒担体粒子の凝集体平均粒径の空間分布が存在する場合も、多層の触媒層が形成されていることと同義であり、この場合には固体高分子電解質膜に当接する部分の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が最小となっていればよい。
【0064】
実施例ではカソードで示したが、アノードにカソード同様の多層触媒層構造を設けてもよい。この場合には、ガスの供給、触媒活性の向上はカソード同様であるが、水蒸気の排出でなく、供給がよくなることによって電池性能が向上する。いずれにせよ、本発明の燃料電池はカソードにもアノードでも触媒層のガスと水の拡散性が向上するとともに触媒活性が向上することによって電池性能を向上できる。特にカソードでは燃料電池の電極反応によって水が生成するので、水の排出性能を向上させることによって、いわゆるフラッディング現象を抑えることができるため、電池性能向上により効果的である。
【0065】
実施例2のように、ガス拡散層部材に第1触媒層を形成後、その上に第2触媒層を形成すれば、製造工程が容易であり、製造コストを低減できる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、固体高分子電解質膜に接合される燃料電池用電極において、前記燃料電池用電極には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜に当接する前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極、または触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第1触媒層を形成する第1工程と、該第1触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さな凝集体平均粒径を有する触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第2触媒層を前記第1触媒層上に形成する第2工程が設けられていることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法であるので、高性能な燃料電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図
【図2】実施例1の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図3】実施例2の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図4】比較例の固体高分子電解質形燃料電池の膜・電極接合体を説明する説明断面図
【図5】比較例の製造工程を説明するための膜・電極接合体の分解断面図
【図6】実施例の固体高分子電解質形燃料電池単セル100の構造を説明する概略断面図
【図7】実施例1、2および比較例の評価結果を表すグラフ図
【符号の説明】
1…固体高分子電解質膜
2…カソード(燃料電池用電極)
3…アノード(燃料電池用電極)
10…膜・電極接合体
21…第1触媒層(触媒層)
22…第2触媒層(触媒層)
20、30…ガス拡散層部材
Claims (6)
- 固体高分子電解質膜に接合される燃料電池用電極において、前記燃料電池用電極には触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む複数の触媒層が積層して設けられ、前記固体高分子電解質膜に当接する前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が他の前記触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さいことを特徴とする燃料電池用電極。
- 前記複数の触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径が前記固体高分子電解質膜側の前記触媒層ほど小さいかまたは等しいことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極。
- 触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第1触媒層を形成する第1工程と、該第1触媒層の触媒担体粒子の凝集体平均粒径より小さな凝集体平均粒径を有する触媒担体粒子に触媒を担持させた触媒担持粒子を含む第2触媒層を前記第1触媒層上に形成する第2工程が設けられていることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、前記ガス拡散層部材に形成された前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法。
- 前記第1工程において、ガス拡散性と導電性を有するガス拡散層部材に前記第1触媒層を形成し、前記第2工程において、固体高分子電解質膜上に前記第2触媒層を形成したのち前記第1触媒層と前記第2触媒層を対向させて接合し前記第1触媒層上に前記第2触媒層を形成することを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電極の製造方法。
- 固体高分子電解質膜の一方面にアノード、他方面にカソードが設けられた燃料電池において、
アノード、カソードの少なくとも一方は、請求項1または2に記載の燃料電池用電極、あるいは請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法で製造された燃料電池用電極であることを特徴とする燃料電池。
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