しかしながら、このような要望書等による変更が頻発した場合、その都度ごとに、上述の如きプログラマー等による作業が発生してしまうという問題点がある。特に、仮に些細な変更であっても一般ユーザでは自分で変更作業を行なうことは殆どできない。また、各変更作業の際に、プログラマー等であっても、膨大な行数のプログラムから該当個所を探し出して修正しなければならず、一般に時間と労力が必要であり、且つ修正ミスの入り込む余地も大きい。
更に、このようなプログラムの書き換えやコンパイルを頻繁に繰り返すと、その分だけ、変更したソースコード中にエラーが発生しやすいという問題点もある。また、コンパイルの都度に、テストを行う必要もあり、且つテストの結果としてエラーがでても、プログラムにミスがあるのかテストデータにミスがあるかも特定に時間がかかるものである。
加えて、ネットワークにセンター装置や多数の端末装置が収容されている環境下では、このようなアプリケーションプログラムの変更は、端末装置毎に行わねばならないため、頻繁な変更は煩雑な作業となり易い。
従って本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、例えば記録データ参照用や記録データ入力用のアプリケーションプログラムにより表やリスト等の中に表示出力される項目数や項目の種類或いは項目タイトルなど、端末装置で実行されるアプリケーションプログラムの実行結果を、センター装置側で管理・制御可能であり、しかも比較的容易にしてそのようなアプリケーションプログラムの実行結果を変更可能なデータ処理システム及び方法、並びにコンピュータをそのようなデータ処理システムとして機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
本発明のデータ処理システムは上記課題を解決するために、通信手段を介して相互に接続されたセンター装置と一又は複数の端末装置とを備えたデータ処理システムであって、(i)前記センター装置は、前記端末装置で実行されるアプリケーションプログラムで引用される可変パラメータデータを定義する定義データを所定の表示形態に基づき入力する定義データ入力手段と、前記入力された定義データを、前記パラメータデータに変換する変換手段と、前記変換されたパラメータデータをパラメータテーブルの一部としてデータベースに格納する格納手段とを備え、(ii)前記端末装置は、前記データベースに格納されたパラメータテーブルを、前記通信手段を介して前記端末装置に読み込む読み込み手段と、前記読み込まれたパラメータテーブル中のパラメータデータを引用して、前記アプリケーションプログラムを実行する実行手段と、該実行手段による前記アプリケーションプログラムの実行結果を所定フォーマットで表示する端末側表示手段とを備える。
本発明のデータ処理システムによれば、センター装置において、定義データ入力手段によって、端末装置で実行される、例えば記録データの参照用や入力用などのアプリケーションプログラムで引用される可変パラメータデータを定義する定義データを、所定の表示形態に基づき入力する。ここに「所定の表示形態」とは、テキスト表示、アイコン表示又は記号表示或いは画像表示などにより、プログラマー等の専門家以外の担当操作者であっても、視覚的に理解可能な或いは日本語として読むことが可能な表示形態とされる。言い換えれば、「0」及び「1」の羅列であるデジタルデータ配列や、機械語、C言語等の特殊言語による表示は避ける。いずれにせよ、定義データは、パラメータデータと比べて、人間から見て、より理解し易い形式のデータとされる。続いて、この入力された定義データを、変換手段によって、パラメータデータに変換する。ここで変換されたパラメータデータとしては、プログラマー等の専門家以外の担当操作者では解読が困難な、「0」及び「1」の羅列であるデジタルデータ配列や、機械語、C言語等の特殊言語によるものであっても構わない。いずれにせよ、パラメータデータは、定義データと比べて、人間から見て、より理解し易い形式のデータであって、コンピュータ処理に、より適した形式のデータとされる。そして、この変換されたパラメータデータを、格納手段によって、パラメータテーブルの一部としてデータベースに格納する。これに対し、端末装置において、読み込み手段によって、データベースに格納されたパラメータテーブルを、通信手段を介して端末装置に読み込む。続いて、この読み込まれたパラメータテーブル中のパラメータデータを引用して、読み込み手段によって、アプリケーションプログラムを実行する。その後、この実行手段によるアプリケーションプログラムの実行結果を、端末側表示手段によって所定フォーマットで表示する。
ここで特に、センター装置側における定義データの入力作業は、前述した従来例の如くアプリケーションプログラムのソースコードに対して変更を加える作業と比べて容易である。そして、プログラマーやシステムエンジニアレベルの技能がなくても、センター装置を操作するユーザ等によって、当該アプリケーションプログラムによる実行結果に変更を加えることができるので、実用上大変便利である。
以上の結果、センター装置の側で、定義データの入力によって、パラメータテーブルを変更或いは新規に作成すれば、アプリケーションプログラム自体に変更を施さなくても、当該アプリケーションプログラムの実行結果を比較的容易に変更できる。更に、このようなパラメータテーブルの変更を頻繁に繰り返したとしても、アプリケーションプログラムのソースコードを変更しないので、エラーが発生し難いという利点が得られ、コンパイルの都度にテストを行う必要も殆どなくなるという大きな利点が得られる。
加えて、ネットワークにセンター装置や多数の端末装置が収容されている環境下でも、このようなアプリケーションプログラムの実行結果の変更は、センター装置側から一つのパラメータテーブルについて統括的に行えば足りるので、一層便利である。加えて、システムの開発、保守のコストは低く、また、データの変更、追加は迅速に行うことが可能となるものである。
尚、本発明に係るアプリケーションプログラムでは、端末装置への定義データの読み込みは、データ数を可変形式として行ってもよい。これにより、定義データの総数が増えた場合でも、そのままのアプリケーションプログラムで対応可能となる。
本発明のデータ処理システムの一態様では、前記センター装置は、前記定義データの入力を促す入力用画面を、前記所定の表示形態で表示するセンター側表示手段を更に備える。
この態様によれば、センター装置において、センター側表示手段に表示された定義データの入力を促す入力用画面を見ながら、定義データを確実且つ容易に入力できる。これにより、端末装置側におけるアプリケーションプログラムの実行結果を比較的容易に変更できる。
本発明のデータ処理システムの他の態様では、前記実行手段は、前記読み込まれたパラメータテーブル中のパラメータデータを反映した表又はリストを表示するための表示データを生成し、前記端末側表示手段は、前記表示データに基づいて前記表又はリストを表示する。
この態様によれば、端末装置において、実行手段により、パラメータデータを反映した表又はリストを表示するための表示データが生成され、これに基づいて、端末側表示手段により表又はリストが表示される。従って、センター装置側における定義データを入力することによって、アプリケーションプログラムに変更を加えることなく、端末装置側で表示される、表やリストの表示内容を比較的簡単に変更できる。
この表又はリストに係る態様では、前記実行手段は、前記読み込まれたパラメータテーブル中のパラメータデータにより前記表又はリストにおける項目数及び項目タイトルの少なくとも一方を規定してもよい。
このように構成すれば、センター装置側における定義データを入力することによって、端末装置側で表示される、表やリストにおける項目数及び項目タイトルを比較的簡単に変更できる。
上述した表又はリストに係る態様では、前記端末装置は、前記表又はリストにおける各欄内で記録データを新規入力、変更又は消去する記録データ入力手段を更に備えてもよい。
このように構成すれば、端末装置では、記録データ入力手段によって、表示された表又はリストにおける各欄内で、記録データを新規入力、変更又は消去できる。そして、このような入力欄或いは入力フォーマットや入力方式、入力候補などを、アプリケーションプログラムに変更を加えることなく変更できるので、実用上大変便利である。
この場合、前記端末装置は、前記新規入力、変更又は消去された記録データを、前記通信手段を介して送信する送信手段を更に備え、前記センター装置は、前記送信された記録データを、前記通信手段を介して受信する受信手段を更に備え、前記格納手段は、前記受信された記録データを、前記データベースに更に格納するように構成してもよい。
このように構成すれば、新規入力等された記録データを、通信手段を介して、センター装置における格納手段によって、データベースに更に格納する。従って、所望のアプリケーションプログラムの実行により端末装置で入力された記録データを、センター装置によって統括的に管理できるので、大変便利である。
この場合更に、前記読み込み手段は、前記データベースに格納された記録データを、前記通信手段を介して前記端末装置に更に読み込み、前記実行手段は、前記アプリケーションプログラムを実行して、前記読み込まれた記録データを所定フォーマットで表示するための表示データを生成するように構成してもよい。
このように構成すれば、一旦データベースに格納された記録データを、再度、同一又は異なる端末装置が、通信手段を介して読み込む。その後、この読み込まれた表示データを、実行手段によって表示するので、記録データの効率的利用が図られる。
上述した表又はリストに係る態様では、前記端末装置は、前記表示された表又はリスト中の少なくとも一部を選択候補データとして、それらのうち一つのデータを選択する選択手段を更に備えてもよい。
このように構成すれば、端末装置では、端末側表示装置に表示された表又はリスト中の少なくとも一部を選択候補データとして、選択手段によってそれらのうち一つのデータを選択する。この際、アプリケーションプログラムに対して変更を加えることなく、選択候補データを変更でき、便利である。
本発明のデータ処理システムの他の態様では、前記アプリケーションプログラムは、前記センター装置から前記通信手段を介して提供され、前記実行手段は、該提供されるアプリケーションプログラムを実行するためのブラウザを有する。
この態様によれば、アプリケーションプログラムは、センター装置から通信手段を介して提供される。そして、実行手段は、ブラウザによって、この提供されるアプリケーションプログラムを実行する。よって、端末装置における処理負担は低くて済み、端末装置を簡易に構成しつつセンター装置における処理能力を適宜高めれば、本発明のデータ処理システムを構築できる。
本発明のデータ処理システムの他の態様では、前記アプリケーションプログラムは、記録データの参照用又は入力用のプログラムを含む。
この態様によれば、端末装置では、実行手段によりアプリケーションプログラムを実行すれば、記録データの参照や入力を実行可能となる。そして特に、このアプリケーションプログラム自体に変更を加えることなく、センター装置側で定義データを入力・変更することで、記録データの参照や入力に係る項目数や項目タイトルなどを変更できる。
本発明のデータ処理システムの他の態様では、前記端末装置で参照又は入力される記録データは、前記データベースに格納され、前記データベースに格納されたパラメータテーブル及び記録データは、複数の前記端末装置間で共用される。
この態様によれば、複数の端末装置で参照又は入力される記録データは、データベースに統括的に格納され、更にこのデータベースに格納されたパラメータテーブル及び記録データは、複数の端末装置間で共用される。従って、一つのパラメータテーブルや一つの記録データを極めて効率的に利用でき、パラメータテーブルの変更によるアプリケーションプログラムの実行結果の変更を、効率的に行える。例えば、従来の如く、個々の端末装置に格納されたアプリケーションプログラムに対してソースコードの変更処理を行わないで済むので、大変便利である。
尚、以上説明した本発明のデータ処理システムでは、センター装置と端末装置とは、ケーブル、LAN(Local Are Network)、専用回線、一般回線、電話回線、有線、無線などの各種の通信手段により相互に接続されている。従って、企業等の敷地内における狭いエリアでの利用も可能であり、端末装置を遠隔地に設置して用いることも可能となる。
本発明のデータ処理方法は上記課題を解決するために、通信手段を介して相互に接続されたセンター装置と一又は複数の端末装置とを備えたデータ処理システムにおけるデータ処理方法であって、(i)前記センター装置において、前記端末装置で実行されるアプリケーションプログラムで引用される可変パラメータデータを定義する定義データを所定の表示形態に基づき入力する定義データ入力工程と、前記入力された定義データを、前記パラメータデータに変換する変換工程と、前記変換されたパラメータデータをパラメータテーブルの一部としてデータベースに格納する格納工程とを備え、(ii)前記端末装置において、前記データベースに格納されたパラメータテーブルを、前記通信手段を介して前記端末装置に読み込む読み込み工程と、前記読み込まれたパラメータテーブル中のパラメータデータを引用して、前記アプリケーションプログラムを実行する実行工程と、該実行工程による前記アプリケーションプログラムの実行結果を所定フォーマットで表示する端末側表示工程とを備える。
本発明のデータ処理方法によれば、上述した本発明のデータ処理システムの場合と同様に、端末装置で実行されるアプリケーションプログラムの実行結果を、センター装置側で管理・制御できる。しかも比較的容易にして、そのようなアプリケーションプログラムの実行結果を変更できる。
尚、本発明のデータ処理方法は、上述した本発明のデータ処理システムにおける各種態様と同様の各種態様とすることも可能である。
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを、上述した本発明のデータ処理システム(但し、その各態様も含む)に備えられる前記センター装置及び前記端末装置のうち少なくとも一方として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを通信手段を介してダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明のデータ処理システムに備えられるセンター装置及び端末装置のうち少なくとも一方を、比較的簡単に構築できる。より具体的には、当該コンピュータプログラムによって、コンピュータを、センター装置を構成する定義データ入力手段、格納手段等として夫々機能させたり、端末装置を構成する読み込み手段、実行手段、端末側表示手段等として夫々機能させたりできる。
本発明の他のデータ処理システムは上記課題を解決するために、アプリケーションプログラムで引用される可変パラメータデータを定義する定義データを所定の表示形態に基づき入力する定義データ入力手段と、前記入力された定義データを、前記パラメータデータに変換する変換手段と、前記変換されたパラメータデータをパラメータテーブルの一部としてデータベースに格納する格納手段と、前記データベースに格納されたパラメータテーブル中のパラメータデータを引用して、前記アプリケーションプログラムを実行する実行手段と、該実行手段による前記アプリケーションプログラムの実行結果を所定フォーマットで表示する表示手段とを備える。
本発明の他のデータ処理システムによれば、通信手段を介することなく上述したセンター装置と端末装置とがスタンドアローン型として一体形成されている。このため、主に通信手段を介してセンター装置側で統括的にデータの管理や処理等を行うことによる利益は失われるが、その他の利益は、なお相応に得られる。
尚、本発明の他のデータ処理システムは、上述した本発明のデータ処理システムにおける各種態様と同様の各種態様とすることも可能である。
本発明の他のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを、上述した本発明の他のデータ処理システムとして機能させる。
本発明の他のコンピュータプログラムによれば、当該他のコンピュータプログラムを格納する記録媒体から、当該他のコンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該他のコンピュータプログラムをダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の他のデータ処理システムを、比較的簡単に構築できる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
以上詳細に説明したように本発明によれば、パラメータテーブルを変更或いは新規に作成することで、アプリケーションプログラム自体に変更を施さなくても、当該アプリケーションプログラムの実行結果を比較的容易に変更でき、例えば、係る実行により出力や入力される記録データの種類や表示形式を容易に変更できる。更に、アプリケーションプログラムのソースコードを変更しないので、エラーが発生し難く、コンパイルやテストの手間も大幅に省ける。しかも、プログラム知識のない担当操作者によっても、パラメータテーブルの変更を比較的容易に行える。更にまた、ネットワークにセンター装置や多数の端末装置が収容されている環境下で、パラメータテーブルを統括的に保守管理でき、一層便利である。加えて、システムの開発や保守のコストを低減するのも容易である。
本発明の実施形態について図1〜図10を参照して説明する。ここでは病院の事例について述べるが、本発明の適用はこれに限ることは無く、データを管理するセンター装置とこのデータを利用する端末装置からなり、端末装置で実行されるアプリケーションプログラムの実行結果を、センター装置側で統括的に管理・制御するシステムにおいて好適に用いることができる。
尚、図1は本発明のデータ処理システムの構成を示す図であり、図2はデータ処理システムのブロック構成を示す図である。図3はデータ処理システムの操作の流れを示す図であり、図4はデータ処理システムの端末装置における、データ処理の流れを示すフローチャートである。また、図5はデータ処理システムのセンター装置における、データ入力画面の一例を示す図であり、図6はセンター装置における、パラメータテーブルの一例を示す図である。また、図7はデータ処理システムの端末装置における、データ表示の形態の一例を示す図であり、図8はデータ処理システムの端末装置における、指定項目の詳細表示の形態の一例を示す図である。さらに、図9は、比較例として、データ処理システムの端末装置における、パラメータテーブルを含まないプログラムの一例を示す図であり、図10は本発明のデータ処理システムの端末装置における、パラメータテーブルを含んでなるプログラムの一例を示す図である。
まず、本発明に係わるデータ処理システムの構成は図1に示すように、センター装置11と複数の端末装置15a〜15nとが、ネットワーク23を介して接続されている。そして、端末装置15a〜15nは夫々、センター装置11を構成するデータベース14に格納されている、各患者の患者データなどの記録データや、特に後述する複数のパラメータデータからなるパラメータテーブルを、読み取るように構成されている。
センター装置11は、例えば病院の事務管理部門に設置されていて、患者に関する記録データのデータベース14における保守、管理等を行うように構成されている。そして、本実施形態では特に、端末装置15a〜15nの各々で実行される記録データの参照及び入力用のアプリケーションプログラムが引用するパラメータテーブルについても、データベース14における保守、管理等を行うように構成されている。
一方、端末装置15は、例えば医者の机に設置されていて、データベース14に格納されている患者の記録データを参照でき、また、新規に患者に関する記録データを入力したり、更に入力された記録データを適宜、センター装置11に送信するように構成されている。
また、ネットワーク23は、システムが病院内で構築される場合は専用のLAN(Local Area Network)を設けてもよく、更に外部に出る場合は電話回線等にリンクさせればよい。
図2に示すように、センター装置11は、センター装置11の全体を制御するCPU18、データ入力・操作指示等を入力するキーボード13、データ入力用の画面等を表示する表示装置12、入力された定義データをパラメータデータに変換するパラメータデータ変換部19、及びこれにより変換されたパラメータデータをパラメータテーブルの一部として格納したり、患者データ等の記録データなどを格納するデータベース14を備える。尚、パラメータデータ変換部19は、CPU18内に論理的に構築されてもよい。
また、端末装置15は、端末装置15の全体を制御するCPU20、操作指示等を入力するキーボード17、センター装置11のデータベース14から読み込まれたパラメータテーブル等を格納するパラメータテーブル格納部21、患者データなどの記録データを格納するメモリー22、及び各種データを表示する表示装置16を備える。尚、パラメータテーブル格納部21は、メモリー22の一部から構成されてもよい。
ネットワーク23はセンター装置11と端末装置15との間を結び、装置間のデータの送受に供される。
次に、本発明のデータ処理システムの動作の流れについて説明する。図3に示すようにセンター装置11側に関するものと、端末装置15側に関するものとに分けて説明する。
図3に示すように先ず、センター装置11側において、例えば表示形式、表示項目数、表示項目タイトル等に係る定義データの変更や新規追加を行う場合には、キーボード13から入力された指示をCPU18が受け、表示装置12に、所定フォーマットで、パラメータデータに対応する定義データ入力用の画面を表示させる(ステップ101)。操作担当者はその画面表示に従って定義データを変更或いは新規入力することになる(ステップ102)。その表示画面の一例が図5の記入フォーマット31に示されている。この記入フォーマット31からも分かるように、定義データの入力は、該当項目についてキーボード13から、通常のワープロ或いはパソコン等のキー操作の要領で打ち込めばよく、特段にプログラムに関して専門の知識を有していないものでも容易に入力可能である。また、定義データの種類についても記入フォーマット31上で特に考慮する必要は無い。
次に、入力された定義データは、パラメータデータ変換部19によりパラメータデータに変換され(ステップ103)、パラメータテーブルの一部としてデータベース14に格納される(ステップ104)。これは操作担当者が入力しやすい形態の記入フォーマット31に基づいて入力した定義データを、コンピュータが処理するために適したデータフォーマットに変換し、格納しておくものである。
パラメータテーブルの一例として図6に示すものがある。仮に、操作担当者がこのパラメータテーブル32に対して直接変更或いは新規入力を行おうとすれば、その打ち込むデータに対応した入力位置を確認し、入力していく必要があるので、時間がかかり、また入力ミスがおきやすい。しかるに、本実施形態によれば、図5に示したように操作担当者が視覚的に容易に理解可能な定義データの入力用画面を見ながら、当該定義データを入力でき、これに対応するパラメータデータについては、パラメータデータ変換部により自動的に変換されるので便利である。即ち、このようなパラメータテーブルの作成であれば、操作担当者が記入フォーマット31に基づいて、迅速且つ確実に行える。
次に、端末装置15側の動作は、例えば医者が見たい記録データを所定フォーマットで表示するように、或いは入力したい記録データを入力するための所定フォーマットを表示するように、キーボード17から指示を入力する(ステップ105)。
CPU20はこの入力指示に基づき、参照用或いは参照・入力両用のアプリケーションプログラムが引用するパラメータデータを、センター装置11側のデータベース14のパラメータテーブル32から読み込む作業を行う(ステップ106)。同時に、当該見たい記録データが端末装置15側ではなくセンター装置11側のデータベース14に格納されている場合には、これを読み込む作業も並行して或いは相前後して行う。このときネットワーク23を介してセンター装置11側と端末装置15側とでデータの送受が行われる(ステップ107)。
ここで読み込まれたパラメータテーブル(図6参照)は、コンピュータが処理するのに適した形態であり、センター装置11で記入フォーマット31に記入したデータに対応するパラメータデータを引用してコンピュータプログラムが実行される(ステップ108)。これと相前後して、受信したパラメータテーブルは、必要に応じてパラメータテーブル格納部21に格納される。また、受信した記録データは、必要に応じてメモリー22に記憶される(ステップ109)。そして、パラメータテーブルを引用した参照用或いは入力・参照両用のアプリケーションプログラムの実行結果として、記録データが所定フォーマットで表示装置16に表示される(ステップ110)。
端末装置15側の医者は、例えば、参照用のアプリケーションプログラムが、パラメータデータにより項目数や項目タイトル等が規定された表形式の記録データを表示するものであれば、上述した工程を経てセンター装置11側から受信したパラメータテーブルを反映させた形で、記録データを表示する。或いは、参照・入力両用のアプリケーションプログラムが、パラメータデータにより項目数や項目タイトル等が規定されたフォーマットで記録データを参照や入力するためのものであれば、上述した工程を経てセンター装置11側から受信したパラメータテーブルを反映させた形で記録データを入力できる。
次に図4を参照して、端末装置15で実行される、パラメータテーブルを引用するアプリケーションプログラムにおけるパラメータデータの読み込み処理の流れに関し、データタイプがn個あり、それぞれのデータタイプについてm個のパラメータデータがある場合について説明する。データタイプとしては例えば日付タイプ、時刻タイプ、数値タイプ、文字タイプ等がある。前述したようにセンター装置11の操作担当者が定義データを入力した際には、その入力項目に応じて自動的にデータタイプは判別され区別されており、これを変換したパラメータデータについても、データタイプは判別され区別されている。
図4に示すように、まず、データタイプの数とそれぞれのデータ数を初期化する(ステップ201)。次に、最初のデータタイプNを設定し(ステップ202)、データタイプNのパラメータデータの読み込み処理を行う(ステップ203)。次にデータタイプNのデータ数Mを設定し(ステップ204)、パラメータデータの読み込み処理を行う(ステップ205)。読み込まれたパラメータデータを反映したコンピュータプログラムによって、表示用データが生成され(ステップ206)、データタイプNにおけるパラメータデータが全て読み込まれたか否かを判別する(ステップ207)。パラメータデータが全て読み込まれていなければステップ204に戻り、再度パラメータデータの読み込みを行い、全て読み込んだ後、全てのデータタイプについて読み込んだか否かを判別する(ステップ208)。全てのデータタイプについて読み込まれていなければステップ202に戻り、再度そのデータタイプのパラメータデータの読み込みを行い、全て読み込んだ後、表示を行う(ステップ209)。
以上のように、本実施形態では、参照用或いは入力・参照両用のアプリケーションプログラムの一部として、パラメータデータの読み込み処理が行われる。
ステップ204からステップ207までがパラメータデータに係るデータ数を可変形式にしたプログラムルーチンであり、データ数が変化しても対応する。また、ステップ202及びステップ208がパラメータデータに係るデータタイプ数を可変形式にしたプログラムルーチンであり、データタイプ数が変化しても対応する。このように端末装置15のパラメータデータを読み込むプログラムをルーチン化したことにより、センター装置11で入力されたデータタイプの数や、それぞれのデータ数が増えても、全てのデータの読み込みが可能となる。
尚、従来ではデータタイプの数やそれぞれのデータ数が増えた場合、端末装置15のアプリケーションプログラムをその都度に変更しなければならず、その対処や管理に専門的なプログラム知識を有するものが必用であり、また、修正時のミスの発生や、発生したミスがプログラムにあるのかデータの記述にあるのか等、その原因を特定することにおいても時間を必要とするものであった。本発明の他の特徴の一つはこれらの問題点に対して効果的に対処することが可能となることである。
また、この読み込みプログラムを他のシステムに移植する場合、そのシステムのデータ構成に関係なく導入することが可能となる。読み込みプログラムの動作を既知のデータベースで確認しておくことで、移植したシステムで動作が不良であったとしても、その原因はデータの記述側(例えば、パラメータテーブル或いはパラメータデータの記述内容)にあることが分かり、対処が容易となる。また、この読み込みプログラムによりパラメータデータの記述が正しいと確認されたデータベースを移植し、これを読み込みプログラムを作成する場合も、動作不良が生じた場合はプログラムの記述に問題があることが分かり、対処が容易となる。このように本発明の構成をとることでシステム開発の時間が短縮される。
以上説明したように、本発明のデータ処理システムの動作及びプログラム構成により、記録データの形式等についての変更や新規設定の際に、端末装置15における対応を、迅速且つ正確に行うことが可能となる。尚、上述した装置の動作やプログラム構成はその一例であって、同様の作用をする他の方法を用いても良いことは当然である。
図5はセンター装置11での定義データを入力するための入力画面を示す記入フォーマット31の一例であって、多数の項目とそれに関する各種情報欄、及び説明の欄がある。これらの欄に従ってセンター装置11の操作担当者は定義データを変更し、又は新規に追加する。これらの操作は特段のプログラム知識が無くても容易に入力することが可能であると共に操作の内容を視認しながら行うことができる。
例えば転帰の項目の説明の欄の「0:(なし)」(矢印で示す)の部分を「0:(継続中)」、「0:継続中」等に打ちかえることで、要求された定義データの変更が完了する(そして、この定義データが前述のようにパラメータデータに変換され、パラメータテーブルの一部として格納される)。或いは病名区分の欄で「12:ABC」と入力することで、新規の病名データが新規設定される。さらには項目を増やすことも簡単に行うことができる。
図6は図5で示したデータに対するパラメータテーブル32の一例であって、図5の記入フォーマット31に従って入力された定義データをコンピュータによる取り扱いが容易な形態のデータに変換したものである。センター装置11には操作担当者が記入フォーマット31の画面で定義データを入力することで、自動的にパラメータデータに変換するパラメータ変換部19(図2参照)を備える。尚、このようなパラメータ変換部19は、ソフトウエア的に論理構築されてもよい。
図7は記入フォーマット31の「転帰」の項目に対応するパラメータデータに基づく、端末装置15の表示装置16における表示出力の一例である。このうち、図7(a)は、図5で「0:(なし)」と入力されている状態に対応しており、空白の状態である。また、図7(b)は、図5で仮に「0:(継続中)」と入力した状態に対応しており、病名「ABC」の表示はあるが「転帰」の項目は空白である。また、図7(c)は、図5で仮に「0:継続中」と入力した状態に対応しており、病名「ABC」の表示、及び「転帰」は「継続中」と表示されている。
本例では()を付けることで表示するか否かを制御している。このように定義データとしては記録されているが表示する必要があるか否かを、センター装置11で容易に制御することが可能である。当然、端末装置15側ではこの表示してない定義データに対応する表示データを表示させる操作を備えていて、例えば医者が必要とすればその操作をすることで見ることができる。
また、図8は端末装置15に読み込まれた「転帰」の項目のデータ一覧である。これは、例えば、「転帰」についての記録データを入力する際のテンプレート上で、ポップアップ表示或いはメニュー表示され、それらのうちの一つをカーソル移動等により選択可能とされるものである。より具体的には、図7(a)に示した「0:(なし)」の状態が図8(a)に対応し、図7(b)又は図7(c)に示した「0:(継続中)」、及び「0:継続中」の状態が図8(b)に対応している。それぞれ全ての項目が読み込まれ、その上部に選択されたデータが表示されている。図8(a)は「なし」が選択されているので図7(a)に示すように表示装置16には表示されない。また、図8(b)は「継続中」が選択されているが、「0:(継続中)」の場合は図7(b)に示すように表示装置16には表示されず、一方、「0:継続中」の場合は図7(c)に示すように表示装置16に表示される。
このように、端末装置15を利用するものに対して不要、或いは邪魔となる表示データの表示をセンター装置11における、パラメータテーブルの内容設定により統括的に制御できる。また、これらの制御を変更しても端末装置15のアプリケーションプログラムの記述を修正する必要は無いことは前述の通りである。
図9は、比較例として、パラメータテーブルを引用しないアプリケーションプログラムの例であり、図10は、本実施形態における端末装置15で実行されるアプリケーションプログラムのうちパラメータデータを読み込む部分の一例である。図9は、図10におけるパラメータデータを読み込む部分と同類の動作を行うプログラム部分である。図9の比較例では取り込む項目について全て列挙しなければならないが、本実施形態に係わるアプリケーションプログラムでは、項目を可変形式で扱い、項目全てを読み込むまでサブルーチンを対応させて、短いプログラムとしている。この構成によると新規データが追加されても、アプリケーションプログラムを修正する必要が無い。これに対し比較例では、アプリケーションプログラムに変更を加える必要がある。また、比較例の場合、このような変更は全ての端末装置15a〜15nに対して行わなければならず、膨大な作業量が発生することとなる。
図9及び図10から分かるように、本実施形態に係るパラメータテーブルを引用するアプリケーションプログラムを端末装置15で実行する方式は、比較例と比べて大変優れている。更に、このようなパラメータテーブルについては、端末装置15側ではなく、センター装置11側で統括的に生成し、更にその生成の際には、プログラム知識のない担当操作者でも入力可能な定義データの入力或いは変更によって行うことができ、これにより自動的にパラメータデータに変換されてパラメータテーブルが生成・更新されるので、システム全体としても大変優れている。
本実施形態によれば、例えば記録データ参照用や記録データ入力用のアプリケーションプログラムによる表やリスト等の表示出力における項目数や項目の種類或いは項目タイトルなどの変更を、アプリケーションプログラムに変更を加えることなく、パラメータテーブルに変更を加えることで行える。
尚、上述した実施形態は、ネットワーク23に収容されたセンター装置11と端末装置15とを含むデータ処理システムからなるが、通信に関連する機能を除くセンター装置11及び端末装置15の各種機能を含む、所謂スタンドアローン型のデータ処理システムとして構築することも可能である。この場合、センター装置11側で複数の通信装置15に対する、統括的なデータ管理や処理等を行うことによる利益は失われる。しかしながら、例えば記録データ参照用や記録データ入力用のアプリケーションプログラムによる表やリスト等の表示出力における項目数や項目の種類或いは項目タイトルなどの変更を、アプリケーションプログラムに変更を加えることなく、パラメータテーブルに変更を加えることで行えるという利益は、なお得られる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うデータ処理システム及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれるものである。