JP2004286613A - 方位計測システム - Google Patents
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Abstract
【課題】異常な磁場環境における測定を防止し、計測場所の変更およびオフセット補正の必要性を指示するとともに、超小型、低消費電力を実現すること。
【解決手段】XおよびY軸方向の磁場を検出する二つの磁気センサ11および12からなる磁気検出器1と、X、Y軸方向の磁気情報Hx、Hyからオフセット分を差し引き補正するオフセット補正装置3と、補正された磁気情報をHx、Hyから方位を求める方位算出装置4と、算出された方位その他を表示する表示装置5および前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算してあらかじめ設定された基準レベルと比較して異常磁場の判定をする異常磁場判定装置6とから成る方位計測システム。
【選択図】 図2
【解決手段】XおよびY軸方向の磁場を検出する二つの磁気センサ11および12からなる磁気検出器1と、X、Y軸方向の磁気情報Hx、Hyからオフセット分を差し引き補正するオフセット補正装置3と、補正された磁気情報をHx、Hyから方位を求める方位算出装置4と、算出された方位その他を表示する表示装置5および前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算してあらかじめ設定された基準レベルと比較して異常磁場の判定をする異常磁場判定装置6とから成る方位計測システム。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地球磁場をX,Yの2方向成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置から成り、時計、携帯電話、自動車などの携帯機器、移動機器用の磁気コンパスその他に適用することが出来る方位計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種の方位計あるいは電子方位計は、地磁気の水平方向成分を互いに直交するX軸およびY軸の二つの磁気センサでそれぞれの軸成分を検出しベクトル演算により方位を求めている。
【0003】
このような方位計測手段では方位計測を行う場所の地磁気が他の磁場によって乱され、不適切な磁場環境で計測する結果、計測した方位に誤差が混入することが多い。
このような地磁気の乱れは鉄を主体とする磁性体あるいは電磁機器の近傍で生じる。すなわち磁性体あるいは電磁機器は大小さまざまな磁場を発するので、その場所周辺の磁場方向が変わってしまうことになり、誤った方位計測結果をもたらす原因となる。
また通常、方位計測を行う人はこのような磁場の乱れがあるか否かを知ることができないので、誤差の混入に気づかず計測結果を信頼して誤ったナビゲーションをしてしまうおそれがある。
【0004】
これに対して従来の磁気方位計測システムは、ユーザーが、スイッチ部の異常磁気検出スイッチを操作すると、その後にユーザーが電子方位計を一回転させることによって得られた磁気検出器のデータである正弦波の最大値および最小値と、あらかじめ記憶しておいた正常な磁場におけるデータである最大値および最小値とを比較して、許容範囲外であれば磁気の状態が正常でないと判定して、スピーカより音で警報を発するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−312575号公報(第4頁、第1図ないし第8図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとく地磁気を乱す要因は磁性体あるいは電磁機器が発する磁場であり、その例は数多くある。例えば建造物の鉄骨、鉄柱、エレベータ、モータ、コンピュータさらに戸外の電柱、信号機、電車、船、自動車、自転車などがある。通常これらの近傍は地磁気が乱されており、その度合いはそれらの磁場の強さによって様々であり一概には定まらないが、それらから距離を隔てれば距離に反比例して影響が少なくなる。
【0007】
近年、電話をはじめとする携帯機器に方位測定システムを内蔵し地図との併用によって、目的地へナビゲートするニーズが多くなってきた。特に市街地では建物、電柱、信号機、交通手段などにより随所に磁場の乱れがあると考えられ、方位計測場所が変わる度に、つねに磁場環境の変化を考慮する必要がある。
【0008】
地磁気をもとにする方位計測装置には地磁気の乱れ度合いと共に方位計測結果に混入する誤差が連続的に増加する性質がある。したがって上記従来の磁気方位計測システムにおいては、正常な磁場と判定される場合でも磁気検出器のデータが正常と異常との境に近いときには前記許容範囲が大きいと方位計測結果には、かなりの誤差が混入してくると思われる。これを方位計測者が知らずに全面的に信頼すると誤ったナビゲーションをしてしまうおそれがある。一方、前記許容範囲を小さくすると異常な磁場であるとの警報が頻繁に出て実用性が小となるという問題がある。
【0009】
またユーザーである方位計測者は、常に磁場環境の適否を確認しなければならないという意識を持っている必要があり、方位計測者がその操作を忘れると磁場環境が異常であってもこれを報知する機能は発揮されない。
【0010】
また計測場所における磁場環境が異常かどうか判定するためには、ユーザーがスイッチ部の異常磁気検出スイッチを押すことが必要であり、さらにその後電子方位計を一回転させる必要があるため、操作が煩わしいとともに、また即応性に欠けるという問題があった。
【0011】
このような携帯機器の方位計測システムは、非常に正確な方位計測を必要とする使い方からおおざっぱに方角が分かればよいという使い方までが考えられるので、本発明は、上記従来技術の磁気方位計測システムにおける問題点を解決すると共に、誤った利用を回避するため、磁気ベクトルのレベルにもとづいて方位計測を行う場所の磁場環境が適切であるか否かを常に判定し、誤差の含まれる度合いを表示することで方位計測者に誤差を承知させつつある程度の磁場の乱れがあるところでも実用的な使い方をさせるものである。
【0012】
そこで本発明者は、地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して表示するという本発明の技術的思想に着眼し、さらに研究開発を重ねた結果、スイッチを押すというスイッチ操作および方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く、磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことで不適切な磁場環境における測定を防止するとともに計測者に信頼感を与え、かつ超小型、低消費電力を実現するという目的を達成する本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の方位計測システムは、
地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、
前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別する異常磁場判定装置と、
該異常磁場判定装置の判別結果に基づく情報を表示する表示手段を
備えたものである。
【0014】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の方位計測システムは、
前記第1発明において、
前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所における磁場環境が異常か否かを間欠的に判別する
ものである。
【0015】
すなわち本第2発明は、地球磁場をx、yの2方向の水平成分として検出する磁気センサと方位角を演算する方位演算装置と該方位を表示する表示装置からなる方位計測手段において、X、Y各軸の磁気センサの出力Hx、Hyから水平磁気ベクトルの絶対値に相当する大きさHaを Ha=√((Hx)2 +(Hy)2 )から算出し、このHaをあらかじめ定めた基準レベルと比較して所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する異常磁場判定装置と該異常磁場判定装置により判定された領域にしたがって方位計測に関する情報を表示するものである。
【0016】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の方位計測システムは、
前記第2発明において、
前記2つの磁気センサが、2つの感磁素子と切り替えで信号処理する1つの電子回路からなるマグネト・インピーダンス磁気検出器であり、
前記異常磁場判定装置が、前記磁気ベクトルの絶対値と複数の基準レベルとを比較することにより方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要がある状態であるかを判定し、かつその結果を表示する表示手段に出力するものである。
【0017】
すなわち本第3発明は、上記第2発明において、方位計測システムをモバイル機器に組み込むことができるよう超小型に構成するために磁気センサとしてマグネト・インピーダンス磁気検出器を小型化して用い、より信頼度の高い方位測定を可能にするために前記異常磁場判定装置が前記Ha と比較するための基準レベルを複数設けて方位測定する場所の磁場環境を計測して、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要があるかを判定し、かつその結果を表示するなど細かな指示の提供を可能にするものである。
【0018】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の方位計測システムは、
前記第3発明において、
前記2つの磁気センサが、X軸およびY軸の感磁素子であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回したX軸センサおよびY軸センサを互いに直交的に配置した2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器によって構成されている
ものである。
【0019】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明の方位計測システムは、地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、異常磁場判定のためにスイッチを押すというスイッチ操作を不要にして即応性が高く、前記異常磁場判定装置が、少なくとも方位計測を開始する時に前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して、方位計測する場所における磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことにより、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0020】
上記構成より成る第2発明の方位計測システムは、前記第1発明において、前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所の磁場環境が異常か否かを間欠的に判別するので、方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く、常に異常な磁場環境にあるかどうかを判別することが出来るとともに、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0021】
上記構成より成る第3発明の方位計測システムは、前記第2発明において、前記2つの磁気センサを構成する前記マグネト・インピーダンス磁気検出器における2つの感磁素子を切り替えて1つの電子回路によって信号処理し、前記異常磁場判定装置が、前記磁気ベクトルの絶対値と複数の基準レベルとを比較することにより、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、少し誤差が含まれる状態であるか、誤差が少し多い状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変える必要がある状態であるかを判定して出力し、かつその結果を表示手段が表示するので、特にスイッチを押すというスイッチ操作および方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く信頼度の高い方位計測を可能にし、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要がある状態であるかを表示するとともに、超小型、低消費電力を可能にするという効果を奏する。
【0022】
上記構成より成る第4発明の方位計測システムは、前記第3発明において、前記2つの磁気センサを構成する2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器におけるX軸およびY軸の感磁素子であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回した互いに直交的に配置されたX軸センサおよびY軸センサによって検出するので、システムの超小型、低消費電力を実現するという効果を奏する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本第1実施形態の方位計測システムは、図2に示されるようにXおよびY軸方向の磁場を検出する二つの磁気センサ11および12からなる磁気検出器1と、前記磁気検出器1からの出力をデジタル変換するA/ D変換器2と、電源が投入されている時の磁場判定を行うタイミングに同期してタイミング出力を出力するタイミング装置3と、X、Y軸方向の磁気情報Hx、Hyから方位を求める方位算出装置4と、算出された方位その他を表示する表示装置5および前記タイミング出力に同期して前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算してあらかじめ設定された基準レベルと比較して異常磁場の判定をする異常磁場判定装置6とから成るものである。
【0025】
本発明者の研究によると、方位計測を行う地点の磁場強さに基づいて、方位計測するときの誤差の大きさを概略推定することができることを突き止めた。次に方位計測システムが実用的に使用される磁場環境について、第1図を用いて説明する。
【0026】
図1は、横方向に磁場の強さを表した棒グラフであり、左端が0ガウスであり、右方向へ行くほど磁場が強くなることを表している。たとえば日本国内での地磁気の水平ベクトル成分は図1においてQ1すなわち2百数十mG (ミリガウス)からQ2すなわち3百数十mGの範囲内である。
【0027】
2つの磁気センサの出力から求めた磁気ベクトルの絶対値HaがQ1よりも小となるときは、たとえばエレベータの中のように磁性体に囲まれるようなときであり、Q1よりも数値が小さくなるにしたがって方位計測誤差が大きくなる。また、前記Haの値がQ2よりも大なるときは周辺に磁石のように大きな磁場を発するものが存在するときであり、Q2より大きな数値になるにしたがって方位計測における誤差が大きくなる。
【0028】
本発明者の系統的実験によると、図1に示されるように磁場の強さをQ1より小の領域をQ5<Q3<Q1のごとく段階的に表し、またQ2よりも大の領域を同様にQ2<Q4<Q6で表すと方位計測誤差と磁場強さの関係を実用上以下のように分類することができた。
(1)方位計測誤差がほとんど無い領域はQ1≦Ha≦Q2である。
(2)誤差が大きな問題とはならない領域はQ3≦Ha<Q1、Q2<Ha≦Q4である。
(3)誤差が目立つ領域はQ5≦Ha<Q3、Q4<Ha≦Q6である。
(4)誤差が大きく計測場所を変更する必要がある領域はHa<Q5、Q6<Haである。
【0029】
この研究結果より本発明者は、上記のごとく2つの磁気センサの出力から求めた磁気ベクトルの絶対値Haが、上記のどの領域(レベル領域)にあるかを判定し、その結果を方位計測者に表示することで不適切な磁場環境で計測を行ったり、誤った方位結果を信頼して間違った方向へ進むようなトラブルを防止できると共に方位誤差の混入度合いを承知させることで、実用的に利用できる範囲を広げることができるとの結論に至った。また前記磁気ベクトルの絶対値Haの判定は、方位計測と並行して行うことができるので、特に従来のようにスイッチを操作したり方位計測システムを1回転させたりする必要がなく即応性も高い。
【0030】
本第1実施形態においては、上述の本発明者の実験および研究結果に基づくもので、前記磁気検出器1からの出力をデジタル変換するA/ D変換器2を備えている。
【0031】
電源が投入されている間の磁場判定を行うタイミングに同期してタイミング出力を出力するタイミング装置3について、以下に述べる。
電源スイッチSが投入されるとコンデンサCおよび抵抗Rからなる微分回路31とOR(オア)回路32により所定幅を持ったタイミングパルスが、直ちに前記異常磁場判定装置6の制御端子P1に印加される。このタイミングパルスにより前記異常磁場判定装置6が起動して方位計測場所の磁場の状態を判定する。
【0032】
方位計測が行われている時の間欠的異常磁場判定は、パルスジェネレータ(PG)33が、所定のパルス幅と周期をもつパルス発振器であり、電源スイッチSが投入されている間は所定の周期でパルスがOR回路32を介して前記異常磁場判定装置6の制御端子P1に印加される。このパルスが印加されるごとに異常磁場判定装置6が起動され方位計測を行う場所の磁場の状態を判定する。
【0033】
前記方位演算装置4は、前記A/D変換された磁気情報Hx、Hyから方位を算出する。前記異常磁場判定装置6は、前記A/D変換された磁気情報Hx、Hyにもとづいて後述するように前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算し、この結果とあらかじめ設定された図1に示されるレベルQ5およびQ6とを比較するものである。
【0034】
前記表示装置5は、前記方位算出装置4によって算出された方位を表示するとともに、前記異常磁場判定装置6の判定結果を表示するものである。
【0035】
本第1実施形態における方位計測は、デジタル変換された磁気情報Hx、Hyが、一般に工場出荷時にX、Y軸それぞれに対応するオフセットを持たないように調整されているので、以下の数1にしたがい前記方位算出装置4によって方位φが求められる。ここでφは磁北とY軸とのなす角度である。
【数1】
【0036】
ここで求められた方位情報φは、前記表示装置5により方位計測者が視認しやすいように、たとえば図3のaのごとくの矢印の図柄で方位が表示される。図3のハッチングした矢印方向が方位を表す例である。
【0037】
前記異常磁場判定装置6は、ソフトウエアにより構成され、前記タイミング装置3から出力されるタイミング出力に同期して、図4に示されるフローチャートに示される制御手順で実行される。
すなわちステップ41において、磁場ベクトルの絶対値Haを数2で算出する。
【数2】
【0038】
次にこのHaは、図4に示されるステップ42およびステップ43の判別機能により、大きな磁場の乱れであるレベルのQ5およびQ6と比較される。
Q5≦HaかつHa≦Q6の場合はステップ44において、方位の表示を行う。一方Ha<Q5あるいはHa>Q6の場合は異常磁場の状態でありステップ45において、” 場所を変えてください” という文字を表示する。図3における符号bにその表示の一例を示す。
【0039】
上記構成より成る本第1実施形態の方位計測システムは、上述の従来における異常磁場判定のためにスイッチを押すというスイッチ操作の後、正弦波の最大値および最小値と、あらかじめ記憶しておいた正常な磁場におけるデータである最大値および最小値とを比較して、許容範囲外かどうかを判断するために電子方位計を一回転させる回転操作を不要にして、即応性が高という効果を奏する。
【0040】
また本第1実施形態の方位計測システムは、前記異常磁場判定装置が、少なくとも方位計測を開始する時に前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して、方位計測する場所における磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことにより、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0041】
さらに本第1実施形態の方位計測システムは、前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所の磁場環境が異常か否かを間欠的に判別するので、常にすなわち定期的に異常な磁場環境にあるかどうかを判別することが出来るとともに、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0042】
また本第1実施形態の方位計測システムは、異常磁場判定装置6の作用により不適切な磁場環境のときに方位計測をする場所を変えるように計測者に表示をするので間違った方位計測を防止することが出来るという効果を奏する。
【0043】
さらに本第1実施形態は、上述のごとく大きな磁場の乱れのある場所での方位計測を防止する表示を行うので、間違った方位計測を防止するという効果を奏するものである。
【0044】
(第2実施形態)
本第2実施形態の方位計測システムは、モバイル機器に内蔵することを目的とした高精度の方位計測システムに関するものであり、モバイル機器では限られたスペースに収納できるように超小型の方位計測システムに作り上げ、さらに電池の消耗を抑制するために、低消費電力のシステムとする工夫をしたもので、図5および図6に示されるように上述の第1実施形態における前記磁気検出器1と前記異常磁場判定装置6および表示装置5に変更を加えたので、相違点を中心に以下説明する。
【0045】
本第2実施実施形態においては、磁気検出器1を超小型の磁気検出器として実現するために、小型化しても地磁気を安定かつ精度よく検出できる高感度のマグネト・インピーダンス磁気検出器をX軸、Y軸それぞれに2次元的に配置するとともに電子回路をともにIC化し、さらに低消費電力化をはかるため前記二つのマグネト・インピーダンス磁気検出器を常時通電とはせずX、Y交互に間欠的に駆動する構成とした。
【0046】
本第2実施形態において異常磁場判定装置および方位演算装置の判定および演算機能は、コンピュータのソフトウエアで行う。したがって異常磁場の判定は、コンピュータのタイマー機能を利用して、あらかじめ設定したソフトウエア処理により所定の周期で間欠的に行われる。
【0047】
前記磁気検出器1としては図5に示される2軸のマグネト・インピーダンス磁気検出器120を用いる。該2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器120はX軸の感磁素子として周囲に検出コイル102を巻回したアモルファスワイヤ101からなるX軸センサ111およびY軸の感磁素子として周囲に検出コイル104を巻回したアモルファスワイヤ103からなるY軸センサ112を互いに直交的に配置し、IC化された電子回路105と組み合わせ、さらに電極106を持った3mm×4mmのパッケージ107に収蔵している。
【0048】
次にこの2軸のマグネト・インピーダンス磁気検出器120の作用について、図6に示される電子ブロック回路を用いて説明する。
【0049】
マグネト・インピーダンス磁気検出器は、アモルファスワイヤにパルス電流が印加されたときに周囲に巻回したコイルの両端に前記アモルファスワイヤの周辺磁場に対応した電圧が出力される。図6においてパルスジェネレータPGは所定の位相に設定された二つのパルスを一組として発振する2相発振器であり、切り換え信号端子P5がロジックレベルの” 1” のときは出力端子P1、P2から、そしてP5端子がロジックレベルの” 0” のときは出力端子P3、P4から前記二つのパルスを出力する。
【0050】
P5の信号は外部のコンピュータから印加されるものであるが、本第2実施形態においては、” 1” の期間が30ms(ミリ秒)で、繰返し周期が100ms程度としている。このP5の電圧波形を、図7のP5に表す。
【0051】
また、P5が” 1” のときにはP1からパルス電流が、X軸センサであるアモルファスワイヤ101に印加される。またP2からは所定の位相だけ遅れたパルスが、アナログスイッチSxの制御端子に印加される。本第2実施形態において、このP1、P2のパルス周波数は、0.5MHz、パルス幅は数十ns(ナノ秒)である。この電圧波形を図7のP1,P2に表す。
【0052】
アナログスイッチSxとコンデンサCおよびこれに接続されている増幅器Aは、サンプルホールド回路を形成しており、前記P2のパルスがロジックレベルの1の瞬間だけアナログスイッチSxは閉となり、前記アモルファスワイヤ101に巻回された検出コイル102の誘起電圧すなわちX軸方向の磁場に対応する信号が前記コンデンサに印加されるとともに、出力端子P6から出力される。
【0053】
この検出した磁場に対応する出力信号は、アナログスイッチが再び閉となるまで、すなわちP1,P2の周波数である0.5MHzの逆数の2μs(マイクロ秒)ごとに更新され、この状態が30ms間続く。このX軸方向の磁場信号波形をP6のXに表す。また、前記P5端子が、30ms後にロジックレベルの” 0” となると、前記二つのパルスは前記出力端子P3,P4から30ms間出力される。このX軸方向の磁場信号波形を図7のP3,P4に表す。
【0054】
P3端子は前記アモルファスワイヤ103に接続されており、P4はアナログスイッチSyの制御端子に接続されている。アナログスイッチSyとコンデンサCおよびこれに接続されている増幅器Aは、もうひとつのサンプルホールド回路を形成しており、P4がロジックレベルの” 1” の瞬間だけアモルファスワイヤ103のY軸方向の磁場に対応する検出コイル104の誘起電圧が前記コンデンサCに印加されるとともに出力端子P6から出力される。このY軸方向の磁場信号波形を図7のP6にYで表す。
【0055】
すなわち端子P5の外部信号が” 1” 、” 0” に交互に繰り返すとこれに対応して前記出力端子P6からはX軸、Y軸交互に各軸方向の磁場に対応する信号が出力される。なお図7において磁場に対応するX,Y各軸の信号がともに30ms間続いた後のほぼ40msは休止期間である。
【0056】
次に前記異常磁場判定装置と表示装置について、上述の第1実施形態と異なる点を中心にして説明する。異常磁場判定装置60を図8、表示装置50を図10に示す。
異常磁場判定装置60は、前記A/ D変換器2によりA/ D変換された磁気情報Hx、Hyを入力し磁場ベクトルの絶対値Haを演算しその結果と複数の基準レベルとを比較することで方位計測を行う場所の磁場状況を4つの状態として判定し、表示装置へ出力する。前記磁場ベクトルの絶対値Haと比較する基準レベルは図1におけるQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6に対応し、HaがQ1からQ2の値のときは正常な磁場であり正常に方位計測ができる状態、HaがQ3からQ1およびQ2からQ4の値のときは少し誤差が含まれる状態、HaがQ5からQ3およびQ4からQ6の値のときは誤差が少し多い状態、HaがQ5以下あるいはQ6以上の値のときは異常磁場のため計測場所を変える必要がある状態と判定する。この4つの状態に対応して前記表示装置50は異常磁場判定装置60の判定結果にもとづいて、正常に方位計測ができる状態のときは方位の表示のみを行う。また少々の誤差が含まれる状態のときは” 誤差が少しあります” 、誤差が少し多い状態のときは” 誤差が多くなりました” 、計測場所を変える必要がある状態のときは” 場所を変えてください” という表示をそれぞれの状態に対応して行う。
【0057】
この比較器60の動作は、ソフトウエアによって決定されるので、そのフローチャートを示す図9を用いて説明する。
【0058】
図9におけるステップ61において、磁場ベクトルの絶対値HaはHa=√((Hx)2+( Hy)2) より算出されるがステップ62および63において、Q1≦HaかつHa≦Q2のとき、すなわちQ1≦Ha ≦Q2の場合はステップ64において、方位の表示を行う。
【0059】
一方ステップ62において、Q1≦Haが否定されHa<Q1のときにステップ65において、Q3≦HaのときはQ3≦Ha<Q1でありステップ67において、” 少し誤差があります” の表示を行う。またステップ65において、Q3≦Haが否定されたときにステップ70でQ5≦HaのときはQ5≦Ha<Q3でありステップ68において、” 誤差が多くなりました” という表示を行う。またステップ70において、Q5≦Haが否定されたときはHa<Q5であるのでステップ71で” 場所を変えてください” の表示を行う。
【0060】
またステップ63において、Ha≦Q2が否定されステップ66でHa≦Q4 のときはQ2<Ha≦Q4でありステップ67で” 少し誤差があります” の表示を行う。さらにステップ66でHa≦Q4 が否定されたときにHa≦Q6のときはQ4<Ha≦Q6であるからステップ68において、” 誤差が多くなりました” という表示を行う。さらにステップ69でHa≦Q6が否定されたときはQ6<Haであるのでステップ71において、” 場所を変えてください” の表示を行う。
【0061】
図10は、新たな表示装置50の例であるが、図10では理解の便のため前記すべての状態に対応する表示を示している。
【0062】
なお前記異常磁場判定装置60において用いた比較のための基準レベルのQ1は200mG(ミリガウス)、Q2は370mG、Q3は100mG、Q4は500mG、Q5は50mG、Q6は2000mGである。
【0063】
本第2実施形態の方位計測システムは、磁気センサの出力から求めた水平成分の磁気ベクトルの絶対値にもとづいて方位計測をする場所の磁場が正常か否かを判定し、その結果を方位計測者に表示することで、信頼して方位計測ができるようになるとともに、不適切な磁場環境であることに気づかず方位計測をし誤った方向へ進んでしまうようなトラブルを未然に防止することが可能になるという効果を奏する。
【0064】
また本第2実施形態は、携帯電話、腕時計などモバイル機器に内蔵することを目的とした高精度の方位計測システムであり、モバイル機器では磁化されにくい合成樹脂製のケース内の限られた狭いスペースに収納できるようにするとともに、さらに電池の消耗を抑制するため方位計測システムを超小型に作り上げ、低消費電力のシステムとするため上述の工夫をした結果、それらを実現するという効果を奏する。
【0065】
さらに本第2実施形態は、高精度化をはかるため常に磁場環境にもとづいて方位計測者に使用上の適切な指示を与えることができるシステムとするため上述の工夫をした結果、それらを実現するという効果を奏する。
【0066】
また本第2実施形態は、X軸、Y軸の二つのマグネト・インピーダンス磁気検出器に対して一体的に形成した1つの電子回路との接続を切り換えて使用するようにしたため、回路を小型化するとともに消費電力を低減するという効果を実現するものである。
【0067】
さらに本第2実施形態は、正常に方位計測が出来ていることを表示する態様や、これとは逆に誤差の混入の程度も併せて表示する態様や、あるいは計測場所の変更を促す表示態様を実現することにより、不適切な磁場環境における測定を防止するとともに、計測者に信頼感を与えることができるという効果を奏する。
【0068】
また誤差の混入の程度も併せて表示するため、誤差の混入度合いを承知しながら利用することができるので、実用範囲を広くすることができ、また特にスイッチを操作したり、方位計測システムを一回転させたりする必要がなく即応性が高く、かつ超小型、低消費電力を実現するという効果を奏する。
【0069】
以上説明したごとく本第2実施形態では、特に従来のようにスイッチを操作することなく、また方位計測システムを一回転させることを必要とせずに磁気センサの出力から求めた水平成分の磁気ベクトルの絶対値にもとづいて方位計測をする場所の磁場環境が正常か否かを判別し、方位計測者に表示するので、信頼して方位計測ができるようになるとともに、誤差の混入度合いを承知しながら利用することができるので、実用範囲を広くすることができ、また不適切な磁場環境であることに気づかず方位計測をし、誤った方向へ進んでしまうようなトラブルを未然に防止することが可能になるという効果を奏する。
【0070】
また本第2実施形態における表示装置については、ここで示したものだけに限らず、計測者に注意を喚起するため前記表示画面に色分けで表示することができる。例えば磁場が正常の状態では、図10の前記表示装置50の方位表示の円形画面の背景を青色とし、” 誤差が少しあります” という表示のときは背景を黄色とする、” 誤差が多くなりました” というときは背景を橙色、” 場所を変えてください” というときは背景を赤色とするとともに、「方位表示を止める」ということもできる。図10のCはその1例であり、前記背景色を橙色にした例であり、なお図10においては、色で表示する替わりにハッチングによって示している。
【0071】
(第3実施形態)
本第3実施形態の方位計測システムは、上述の第2実施形態における磁気検出器1をさらに小型化して高感度化した点が相違点であり、以下相違点を中心に図11(A)および(B)を用いて説明する。
【0072】
前記磁気検出器1を構成する基板100の大きさは、幅0.5mm、高さ0.5mmとし、長手方向の長さを3mmとし、感磁体101、103は、CoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤでその長さは3mm以下である。 電磁コイル102、104は、 前記基板1の長手方向に形成した溝100Gの溝面100Sに形成されたコイルの片側102A、104Aと、溝100Gに対向する溝上面100US(樹脂SRの上面SRU)に形成された残り片側のコイル102B、104Bの2層構造により形成したものである。
【0073】
前記溝面100Gおよび溝上面100USに形成されるコイルの片側102A、104Aおよび残り片側のコイル102B、104Bは、図11に示されるように電極配線基板1の長手方向に形成された溝100Gの溝面100Sの全面および前記溝100Gの対向部および近接部(溝上面100US)にコイルを構成する導電性の金属薄膜を蒸着により形成し、形成された金属薄膜が螺旋状に残るように間隙部を構成する導電性金属薄膜部を選択エッチング手法により除去することにより、コイルの全体の長手方向の長さを1.5mmまたは2mmの長さに亘り形成される。なお図11(B)において、図11(A)のA−A′断面にかかわらず、理解の便のために前記溝100Gの全面の4面にロの字状にコイルが形成されている状態を示した。
【0074】
電磁コイル102、104の円相当内径(高さと幅で形成される溝断面積と同一面積となる円の直径)は、200μmまたは100μm以下であるのが望ましいので、66μmに一例として設定した。電磁コイル102、104の1ターン当たりの(単位長さ当たり)の捲線間隔は100μm以下が望ましいので、50μm/巻に設定されている。
【0075】
素子基板100の長さが、3mmを採用した前記磁気検出器1のアモルファスワイヤおよび電磁コイルの両端に配設した電極を介して接続された前記電子回路からのセンサ出力を図12に示す。
【0076】
図12の横軸は外部磁場の大きさ、縦軸はセンサ出力電圧であり、センサの出力は±10Gの間で優れた直線性を持ち、感度は前記図6のサンプルホールド回路の増幅器Aの増幅度が1のとき20mV/Gであった。 このため地磁気の大きさがたとえば300mGのときに出力は6mV と高出力が得られ、ホール素子、その他の磁気センサと異なり信号処理のための大きな増幅を必要としない。したがって工場出荷時に調整しておけばその後の経時あるいは温度変化に伴うオフセットの変動がなく、前記第1の要因に対する問題は生じない。
【0077】
本第3実施形態の方位計測システムは、上述の第2実施形態における磁気検出器1をさらに小型化して高感度化し、携帯電話、携帯端末、腕時計などモバイル機器への内蔵に適するという効果を奏するものである。
【0078】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0079】
上述の第1実施形態および第2実施形態においては、一例としてモバイル機器における消費電力を抑制する観点よりシステムの電源投入(動作開始)以後間欠的に方位計測を行う場所における磁場環境が異常かどうか判断する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば車両その他の移動機器用の磁気コンパスに適用する場合等には、車両は高速で高速道路を走行する場合もあることから、可能な限り短い時間間隔で間欠的に方位計測を行う実施形態や、常時方位計測を行う実施形態を採用することが出来るものである。
【0080】
上述の実施形態においては、一例として前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が正常か否かを判別する例について説明したが、方位計測を開始する時とは、方位計測の開始直後に磁場環境が正常か否かを判別しても良いし、方位計測の開始直後から一定時間経過した時点において、磁場環境が正常か否かを判別しても良いものである。ま前記方位計測の開始直後から一定時間経過した時点とは、システムの電源投入(動作開始)以後間欠的に方位計測を行う最初の方位計測の時点とする事も出来る。
【0081】
以上本発明の実施形態3例を説明したが本発明の実施形態はこれに限ることなく、たとえばオフセット誤差を生じる性質の方位計測システムの場合には磁気センサの出力の絶対値にもとづいて方位センサを含めて正常か否かを判定することができる。さらに前記異常磁場判定装置の判定結果に対応してオフセット補正操作をすることを促したり、自動的にオフセット補正をする機能を起動させ自動的にオフセット補正を行うシステムとすることも可能である。
【0082】
上述の実施形態においては、一例として方位計測を行う場所における磁場環境が異常な場合は表示手段によって表示する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば磁場環境の異常を知らせる警報音を発生する実施形態を採用することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】方位計測システムが利用される磁場環境の範囲を説明するための横方向に磁場の強さを表した棒グラフである。
【図2】本発明の第1実施形態の方位計測システムを示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態の方位計測システムにおける表示装置を示す正面図である。
【図4】本第1実施形態の方位計測システムにおける異常磁場判定手順を説明するためのチャート図である。
【図5】本発明の第2実施形態の方位計測システムにおける磁気検出器を示す平面図である。
【図6】本第2実施形態の方位計測システムを示すブロック図である。
【図7】本第2実施形態の方位計測システムの各部における信号波形を示す線図である。
【図8】本第2実施形態の方位計測システムの異常磁場判定装置の構成要素を示すブロック図である。
【図9】本第2実施形態の方位計測システムにおける異常磁場判定手順を説明するためのチャート図である。
【図10】本第2実施形態の方位計測システムにおける表示装置を示す正面図である。
【図11】本第3実施形態における磁気検出器を示す縦断面図および横断面図である。
【図12】本第3実施形態における磁気検出器の一つの長さの感磁体のレンジを検討するための外部磁場と出力電圧の関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 磁気検出器
11および12 磁気センサ
3 オフセット補正装置
4 方位算出装置
5 表示装置
6 異常磁場判定装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、地球磁場をX,Yの2方向成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置から成り、時計、携帯電話、自動車などの携帯機器、移動機器用の磁気コンパスその他に適用することが出来る方位計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりこの種の方位計あるいは電子方位計は、地磁気の水平方向成分を互いに直交するX軸およびY軸の二つの磁気センサでそれぞれの軸成分を検出しベクトル演算により方位を求めている。
【0003】
このような方位計測手段では方位計測を行う場所の地磁気が他の磁場によって乱され、不適切な磁場環境で計測する結果、計測した方位に誤差が混入することが多い。
このような地磁気の乱れは鉄を主体とする磁性体あるいは電磁機器の近傍で生じる。すなわち磁性体あるいは電磁機器は大小さまざまな磁場を発するので、その場所周辺の磁場方向が変わってしまうことになり、誤った方位計測結果をもたらす原因となる。
また通常、方位計測を行う人はこのような磁場の乱れがあるか否かを知ることができないので、誤差の混入に気づかず計測結果を信頼して誤ったナビゲーションをしてしまうおそれがある。
【0004】
これに対して従来の磁気方位計測システムは、ユーザーが、スイッチ部の異常磁気検出スイッチを操作すると、その後にユーザーが電子方位計を一回転させることによって得られた磁気検出器のデータである正弦波の最大値および最小値と、あらかじめ記憶しておいた正常な磁場におけるデータである最大値および最小値とを比較して、許容範囲外であれば磁気の状態が正常でないと判定して、スピーカより音で警報を発するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−312575号公報(第4頁、第1図ないし第8図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとく地磁気を乱す要因は磁性体あるいは電磁機器が発する磁場であり、その例は数多くある。例えば建造物の鉄骨、鉄柱、エレベータ、モータ、コンピュータさらに戸外の電柱、信号機、電車、船、自動車、自転車などがある。通常これらの近傍は地磁気が乱されており、その度合いはそれらの磁場の強さによって様々であり一概には定まらないが、それらから距離を隔てれば距離に反比例して影響が少なくなる。
【0007】
近年、電話をはじめとする携帯機器に方位測定システムを内蔵し地図との併用によって、目的地へナビゲートするニーズが多くなってきた。特に市街地では建物、電柱、信号機、交通手段などにより随所に磁場の乱れがあると考えられ、方位計測場所が変わる度に、つねに磁場環境の変化を考慮する必要がある。
【0008】
地磁気をもとにする方位計測装置には地磁気の乱れ度合いと共に方位計測結果に混入する誤差が連続的に増加する性質がある。したがって上記従来の磁気方位計測システムにおいては、正常な磁場と判定される場合でも磁気検出器のデータが正常と異常との境に近いときには前記許容範囲が大きいと方位計測結果には、かなりの誤差が混入してくると思われる。これを方位計測者が知らずに全面的に信頼すると誤ったナビゲーションをしてしまうおそれがある。一方、前記許容範囲を小さくすると異常な磁場であるとの警報が頻繁に出て実用性が小となるという問題がある。
【0009】
またユーザーである方位計測者は、常に磁場環境の適否を確認しなければならないという意識を持っている必要があり、方位計測者がその操作を忘れると磁場環境が異常であってもこれを報知する機能は発揮されない。
【0010】
また計測場所における磁場環境が異常かどうか判定するためには、ユーザーがスイッチ部の異常磁気検出スイッチを押すことが必要であり、さらにその後電子方位計を一回転させる必要があるため、操作が煩わしいとともに、また即応性に欠けるという問題があった。
【0011】
このような携帯機器の方位計測システムは、非常に正確な方位計測を必要とする使い方からおおざっぱに方角が分かればよいという使い方までが考えられるので、本発明は、上記従来技術の磁気方位計測システムにおける問題点を解決すると共に、誤った利用を回避するため、磁気ベクトルのレベルにもとづいて方位計測を行う場所の磁場環境が適切であるか否かを常に判定し、誤差の含まれる度合いを表示することで方位計測者に誤差を承知させつつある程度の磁場の乱れがあるところでも実用的な使い方をさせるものである。
【0012】
そこで本発明者は、地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して表示するという本発明の技術的思想に着眼し、さらに研究開発を重ねた結果、スイッチを押すというスイッチ操作および方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く、磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことで不適切な磁場環境における測定を防止するとともに計測者に信頼感を与え、かつ超小型、低消費電力を実現するという目的を達成する本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の方位計測システムは、
地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、
前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別する異常磁場判定装置と、
該異常磁場判定装置の判別結果に基づく情報を表示する表示手段を
備えたものである。
【0014】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の方位計測システムは、
前記第1発明において、
前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所における磁場環境が異常か否かを間欠的に判別する
ものである。
【0015】
すなわち本第2発明は、地球磁場をx、yの2方向の水平成分として検出する磁気センサと方位角を演算する方位演算装置と該方位を表示する表示装置からなる方位計測手段において、X、Y各軸の磁気センサの出力Hx、Hyから水平磁気ベクトルの絶対値に相当する大きさHaを Ha=√((Hx)2 +(Hy)2 )から算出し、このHaをあらかじめ定めた基準レベルと比較して所定の範囲内の大きさであるか否かを判定する異常磁場判定装置と該異常磁場判定装置により判定された領域にしたがって方位計測に関する情報を表示するものである。
【0016】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の方位計測システムは、
前記第2発明において、
前記2つの磁気センサが、2つの感磁素子と切り替えで信号処理する1つの電子回路からなるマグネト・インピーダンス磁気検出器であり、
前記異常磁場判定装置が、前記磁気ベクトルの絶対値と複数の基準レベルとを比較することにより方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要がある状態であるかを判定し、かつその結果を表示する表示手段に出力するものである。
【0017】
すなわち本第3発明は、上記第2発明において、方位計測システムをモバイル機器に組み込むことができるよう超小型に構成するために磁気センサとしてマグネト・インピーダンス磁気検出器を小型化して用い、より信頼度の高い方位測定を可能にするために前記異常磁場判定装置が前記Ha と比較するための基準レベルを複数設けて方位測定する場所の磁場環境を計測して、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要があるかを判定し、かつその結果を表示するなど細かな指示の提供を可能にするものである。
【0018】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の方位計測システムは、
前記第3発明において、
前記2つの磁気センサが、X軸およびY軸の感磁素子であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回したX軸センサおよびY軸センサを互いに直交的に配置した2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器によって構成されている
ものである。
【0019】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明の方位計測システムは、地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、異常磁場判定のためにスイッチを押すというスイッチ操作を不要にして即応性が高く、前記異常磁場判定装置が、少なくとも方位計測を開始する時に前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して、方位計測する場所における磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことにより、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0020】
上記構成より成る第2発明の方位計測システムは、前記第1発明において、前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所の磁場環境が異常か否かを間欠的に判別するので、方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く、常に異常な磁場環境にあるかどうかを判別することが出来るとともに、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0021】
上記構成より成る第3発明の方位計測システムは、前記第2発明において、前記2つの磁気センサを構成する前記マグネト・インピーダンス磁気検出器における2つの感磁素子を切り替えて1つの電子回路によって信号処理し、前記異常磁場判定装置が、前記磁気ベクトルの絶対値と複数の基準レベルとを比較することにより、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、少し誤差が含まれる状態であるか、誤差が少し多い状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変える必要がある状態であるかを判定して出力し、かつその結果を表示手段が表示するので、特にスイッチを押すというスイッチ操作および方位計測システムを一回転させる回転操作を不要にして即応性が高く信頼度の高い方位計測を可能にし、方位計測を行う場所の磁場環境が正常に方位計測ができる状態であるか、実用上誤差が問題にならない状態であるか、少し誤差が目立つ状態であるか、あるいは方位計測をする場所を変更する必要がある状態であるかを表示するとともに、超小型、低消費電力を可能にするという効果を奏する。
【0022】
上記構成より成る第4発明の方位計測システムは、前記第3発明において、前記2つの磁気センサを構成する2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器におけるX軸およびY軸の感磁素子であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回した互いに直交的に配置されたX軸センサおよびY軸センサによって検出するので、システムの超小型、低消費電力を実現するという効果を奏する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本第1実施形態の方位計測システムは、図2に示されるようにXおよびY軸方向の磁場を検出する二つの磁気センサ11および12からなる磁気検出器1と、前記磁気検出器1からの出力をデジタル変換するA/ D変換器2と、電源が投入されている時の磁場判定を行うタイミングに同期してタイミング出力を出力するタイミング装置3と、X、Y軸方向の磁気情報Hx、Hyから方位を求める方位算出装置4と、算出された方位その他を表示する表示装置5および前記タイミング出力に同期して前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算してあらかじめ設定された基準レベルと比較して異常磁場の判定をする異常磁場判定装置6とから成るものである。
【0025】
本発明者の研究によると、方位計測を行う地点の磁場強さに基づいて、方位計測するときの誤差の大きさを概略推定することができることを突き止めた。次に方位計測システムが実用的に使用される磁場環境について、第1図を用いて説明する。
【0026】
図1は、横方向に磁場の強さを表した棒グラフであり、左端が0ガウスであり、右方向へ行くほど磁場が強くなることを表している。たとえば日本国内での地磁気の水平ベクトル成分は図1においてQ1すなわち2百数十mG (ミリガウス)からQ2すなわち3百数十mGの範囲内である。
【0027】
2つの磁気センサの出力から求めた磁気ベクトルの絶対値HaがQ1よりも小となるときは、たとえばエレベータの中のように磁性体に囲まれるようなときであり、Q1よりも数値が小さくなるにしたがって方位計測誤差が大きくなる。また、前記Haの値がQ2よりも大なるときは周辺に磁石のように大きな磁場を発するものが存在するときであり、Q2より大きな数値になるにしたがって方位計測における誤差が大きくなる。
【0028】
本発明者の系統的実験によると、図1に示されるように磁場の強さをQ1より小の領域をQ5<Q3<Q1のごとく段階的に表し、またQ2よりも大の領域を同様にQ2<Q4<Q6で表すと方位計測誤差と磁場強さの関係を実用上以下のように分類することができた。
(1)方位計測誤差がほとんど無い領域はQ1≦Ha≦Q2である。
(2)誤差が大きな問題とはならない領域はQ3≦Ha<Q1、Q2<Ha≦Q4である。
(3)誤差が目立つ領域はQ5≦Ha<Q3、Q4<Ha≦Q6である。
(4)誤差が大きく計測場所を変更する必要がある領域はHa<Q5、Q6<Haである。
【0029】
この研究結果より本発明者は、上記のごとく2つの磁気センサの出力から求めた磁気ベクトルの絶対値Haが、上記のどの領域(レベル領域)にあるかを判定し、その結果を方位計測者に表示することで不適切な磁場環境で計測を行ったり、誤った方位結果を信頼して間違った方向へ進むようなトラブルを防止できると共に方位誤差の混入度合いを承知させることで、実用的に利用できる範囲を広げることができるとの結論に至った。また前記磁気ベクトルの絶対値Haの判定は、方位計測と並行して行うことができるので、特に従来のようにスイッチを操作したり方位計測システムを1回転させたりする必要がなく即応性も高い。
【0030】
本第1実施形態においては、上述の本発明者の実験および研究結果に基づくもので、前記磁気検出器1からの出力をデジタル変換するA/ D変換器2を備えている。
【0031】
電源が投入されている間の磁場判定を行うタイミングに同期してタイミング出力を出力するタイミング装置3について、以下に述べる。
電源スイッチSが投入されるとコンデンサCおよび抵抗Rからなる微分回路31とOR(オア)回路32により所定幅を持ったタイミングパルスが、直ちに前記異常磁場判定装置6の制御端子P1に印加される。このタイミングパルスにより前記異常磁場判定装置6が起動して方位計測場所の磁場の状態を判定する。
【0032】
方位計測が行われている時の間欠的異常磁場判定は、パルスジェネレータ(PG)33が、所定のパルス幅と周期をもつパルス発振器であり、電源スイッチSが投入されている間は所定の周期でパルスがOR回路32を介して前記異常磁場判定装置6の制御端子P1に印加される。このパルスが印加されるごとに異常磁場判定装置6が起動され方位計測を行う場所の磁場の状態を判定する。
【0033】
前記方位演算装置4は、前記A/D変換された磁気情報Hx、Hyから方位を算出する。前記異常磁場判定装置6は、前記A/D変換された磁気情報Hx、Hyにもとづいて後述するように前記磁場ベクトルの絶対値Haを演算し、この結果とあらかじめ設定された図1に示されるレベルQ5およびQ6とを比較するものである。
【0034】
前記表示装置5は、前記方位算出装置4によって算出された方位を表示するとともに、前記異常磁場判定装置6の判定結果を表示するものである。
【0035】
本第1実施形態における方位計測は、デジタル変換された磁気情報Hx、Hyが、一般に工場出荷時にX、Y軸それぞれに対応するオフセットを持たないように調整されているので、以下の数1にしたがい前記方位算出装置4によって方位φが求められる。ここでφは磁北とY軸とのなす角度である。
【数1】
【0036】
ここで求められた方位情報φは、前記表示装置5により方位計測者が視認しやすいように、たとえば図3のaのごとくの矢印の図柄で方位が表示される。図3のハッチングした矢印方向が方位を表す例である。
【0037】
前記異常磁場判定装置6は、ソフトウエアにより構成され、前記タイミング装置3から出力されるタイミング出力に同期して、図4に示されるフローチャートに示される制御手順で実行される。
すなわちステップ41において、磁場ベクトルの絶対値Haを数2で算出する。
【数2】
【0038】
次にこのHaは、図4に示されるステップ42およびステップ43の判別機能により、大きな磁場の乱れであるレベルのQ5およびQ6と比較される。
Q5≦HaかつHa≦Q6の場合はステップ44において、方位の表示を行う。一方Ha<Q5あるいはHa>Q6の場合は異常磁場の状態でありステップ45において、” 場所を変えてください” という文字を表示する。図3における符号bにその表示の一例を示す。
【0039】
上記構成より成る本第1実施形態の方位計測システムは、上述の従来における異常磁場判定のためにスイッチを押すというスイッチ操作の後、正弦波の最大値および最小値と、あらかじめ記憶しておいた正常な磁場におけるデータである最大値および最小値とを比較して、許容範囲外かどうかを判断するために電子方位計を一回転させる回転操作を不要にして、即応性が高という効果を奏する。
【0040】
また本第1実施形態の方位計測システムは、前記異常磁場判定装置が、少なくとも方位計測を開始する時に前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別して、方位計測する場所における磁場環境の異常を表示して、計測場所の変更を促すことにより、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0041】
さらに本第1実施形態の方位計測システムは、前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所の磁場環境が異常か否かを間欠的に判別するので、常にすなわち定期的に異常な磁場環境にあるかどうかを判別することが出来るとともに、信頼度の高い方位計測を実現するという効果を奏する。
【0042】
また本第1実施形態の方位計測システムは、異常磁場判定装置6の作用により不適切な磁場環境のときに方位計測をする場所を変えるように計測者に表示をするので間違った方位計測を防止することが出来るという効果を奏する。
【0043】
さらに本第1実施形態は、上述のごとく大きな磁場の乱れのある場所での方位計測を防止する表示を行うので、間違った方位計測を防止するという効果を奏するものである。
【0044】
(第2実施形態)
本第2実施形態の方位計測システムは、モバイル機器に内蔵することを目的とした高精度の方位計測システムに関するものであり、モバイル機器では限られたスペースに収納できるように超小型の方位計測システムに作り上げ、さらに電池の消耗を抑制するために、低消費電力のシステムとする工夫をしたもので、図5および図6に示されるように上述の第1実施形態における前記磁気検出器1と前記異常磁場判定装置6および表示装置5に変更を加えたので、相違点を中心に以下説明する。
【0045】
本第2実施実施形態においては、磁気検出器1を超小型の磁気検出器として実現するために、小型化しても地磁気を安定かつ精度よく検出できる高感度のマグネト・インピーダンス磁気検出器をX軸、Y軸それぞれに2次元的に配置するとともに電子回路をともにIC化し、さらに低消費電力化をはかるため前記二つのマグネト・インピーダンス磁気検出器を常時通電とはせずX、Y交互に間欠的に駆動する構成とした。
【0046】
本第2実施形態において異常磁場判定装置および方位演算装置の判定および演算機能は、コンピュータのソフトウエアで行う。したがって異常磁場の判定は、コンピュータのタイマー機能を利用して、あらかじめ設定したソフトウエア処理により所定の周期で間欠的に行われる。
【0047】
前記磁気検出器1としては図5に示される2軸のマグネト・インピーダンス磁気検出器120を用いる。該2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器120はX軸の感磁素子として周囲に検出コイル102を巻回したアモルファスワイヤ101からなるX軸センサ111およびY軸の感磁素子として周囲に検出コイル104を巻回したアモルファスワイヤ103からなるY軸センサ112を互いに直交的に配置し、IC化された電子回路105と組み合わせ、さらに電極106を持った3mm×4mmのパッケージ107に収蔵している。
【0048】
次にこの2軸のマグネト・インピーダンス磁気検出器120の作用について、図6に示される電子ブロック回路を用いて説明する。
【0049】
マグネト・インピーダンス磁気検出器は、アモルファスワイヤにパルス電流が印加されたときに周囲に巻回したコイルの両端に前記アモルファスワイヤの周辺磁場に対応した電圧が出力される。図6においてパルスジェネレータPGは所定の位相に設定された二つのパルスを一組として発振する2相発振器であり、切り換え信号端子P5がロジックレベルの” 1” のときは出力端子P1、P2から、そしてP5端子がロジックレベルの” 0” のときは出力端子P3、P4から前記二つのパルスを出力する。
【0050】
P5の信号は外部のコンピュータから印加されるものであるが、本第2実施形態においては、” 1” の期間が30ms(ミリ秒)で、繰返し周期が100ms程度としている。このP5の電圧波形を、図7のP5に表す。
【0051】
また、P5が” 1” のときにはP1からパルス電流が、X軸センサであるアモルファスワイヤ101に印加される。またP2からは所定の位相だけ遅れたパルスが、アナログスイッチSxの制御端子に印加される。本第2実施形態において、このP1、P2のパルス周波数は、0.5MHz、パルス幅は数十ns(ナノ秒)である。この電圧波形を図7のP1,P2に表す。
【0052】
アナログスイッチSxとコンデンサCおよびこれに接続されている増幅器Aは、サンプルホールド回路を形成しており、前記P2のパルスがロジックレベルの1の瞬間だけアナログスイッチSxは閉となり、前記アモルファスワイヤ101に巻回された検出コイル102の誘起電圧すなわちX軸方向の磁場に対応する信号が前記コンデンサに印加されるとともに、出力端子P6から出力される。
【0053】
この検出した磁場に対応する出力信号は、アナログスイッチが再び閉となるまで、すなわちP1,P2の周波数である0.5MHzの逆数の2μs(マイクロ秒)ごとに更新され、この状態が30ms間続く。このX軸方向の磁場信号波形をP6のXに表す。また、前記P5端子が、30ms後にロジックレベルの” 0” となると、前記二つのパルスは前記出力端子P3,P4から30ms間出力される。このX軸方向の磁場信号波形を図7のP3,P4に表す。
【0054】
P3端子は前記アモルファスワイヤ103に接続されており、P4はアナログスイッチSyの制御端子に接続されている。アナログスイッチSyとコンデンサCおよびこれに接続されている増幅器Aは、もうひとつのサンプルホールド回路を形成しており、P4がロジックレベルの” 1” の瞬間だけアモルファスワイヤ103のY軸方向の磁場に対応する検出コイル104の誘起電圧が前記コンデンサCに印加されるとともに出力端子P6から出力される。このY軸方向の磁場信号波形を図7のP6にYで表す。
【0055】
すなわち端子P5の外部信号が” 1” 、” 0” に交互に繰り返すとこれに対応して前記出力端子P6からはX軸、Y軸交互に各軸方向の磁場に対応する信号が出力される。なお図7において磁場に対応するX,Y各軸の信号がともに30ms間続いた後のほぼ40msは休止期間である。
【0056】
次に前記異常磁場判定装置と表示装置について、上述の第1実施形態と異なる点を中心にして説明する。異常磁場判定装置60を図8、表示装置50を図10に示す。
異常磁場判定装置60は、前記A/ D変換器2によりA/ D変換された磁気情報Hx、Hyを入力し磁場ベクトルの絶対値Haを演算しその結果と複数の基準レベルとを比較することで方位計測を行う場所の磁場状況を4つの状態として判定し、表示装置へ出力する。前記磁場ベクトルの絶対値Haと比較する基準レベルは図1におけるQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6に対応し、HaがQ1からQ2の値のときは正常な磁場であり正常に方位計測ができる状態、HaがQ3からQ1およびQ2からQ4の値のときは少し誤差が含まれる状態、HaがQ5からQ3およびQ4からQ6の値のときは誤差が少し多い状態、HaがQ5以下あるいはQ6以上の値のときは異常磁場のため計測場所を変える必要がある状態と判定する。この4つの状態に対応して前記表示装置50は異常磁場判定装置60の判定結果にもとづいて、正常に方位計測ができる状態のときは方位の表示のみを行う。また少々の誤差が含まれる状態のときは” 誤差が少しあります” 、誤差が少し多い状態のときは” 誤差が多くなりました” 、計測場所を変える必要がある状態のときは” 場所を変えてください” という表示をそれぞれの状態に対応して行う。
【0057】
この比較器60の動作は、ソフトウエアによって決定されるので、そのフローチャートを示す図9を用いて説明する。
【0058】
図9におけるステップ61において、磁場ベクトルの絶対値HaはHa=√((Hx)2+( Hy)2) より算出されるがステップ62および63において、Q1≦HaかつHa≦Q2のとき、すなわちQ1≦Ha ≦Q2の場合はステップ64において、方位の表示を行う。
【0059】
一方ステップ62において、Q1≦Haが否定されHa<Q1のときにステップ65において、Q3≦HaのときはQ3≦Ha<Q1でありステップ67において、” 少し誤差があります” の表示を行う。またステップ65において、Q3≦Haが否定されたときにステップ70でQ5≦HaのときはQ5≦Ha<Q3でありステップ68において、” 誤差が多くなりました” という表示を行う。またステップ70において、Q5≦Haが否定されたときはHa<Q5であるのでステップ71で” 場所を変えてください” の表示を行う。
【0060】
またステップ63において、Ha≦Q2が否定されステップ66でHa≦Q4 のときはQ2<Ha≦Q4でありステップ67で” 少し誤差があります” の表示を行う。さらにステップ66でHa≦Q4 が否定されたときにHa≦Q6のときはQ4<Ha≦Q6であるからステップ68において、” 誤差が多くなりました” という表示を行う。さらにステップ69でHa≦Q6が否定されたときはQ6<Haであるのでステップ71において、” 場所を変えてください” の表示を行う。
【0061】
図10は、新たな表示装置50の例であるが、図10では理解の便のため前記すべての状態に対応する表示を示している。
【0062】
なお前記異常磁場判定装置60において用いた比較のための基準レベルのQ1は200mG(ミリガウス)、Q2は370mG、Q3は100mG、Q4は500mG、Q5は50mG、Q6は2000mGである。
【0063】
本第2実施形態の方位計測システムは、磁気センサの出力から求めた水平成分の磁気ベクトルの絶対値にもとづいて方位計測をする場所の磁場が正常か否かを判定し、その結果を方位計測者に表示することで、信頼して方位計測ができるようになるとともに、不適切な磁場環境であることに気づかず方位計測をし誤った方向へ進んでしまうようなトラブルを未然に防止することが可能になるという効果を奏する。
【0064】
また本第2実施形態は、携帯電話、腕時計などモバイル機器に内蔵することを目的とした高精度の方位計測システムであり、モバイル機器では磁化されにくい合成樹脂製のケース内の限られた狭いスペースに収納できるようにするとともに、さらに電池の消耗を抑制するため方位計測システムを超小型に作り上げ、低消費電力のシステムとするため上述の工夫をした結果、それらを実現するという効果を奏する。
【0065】
さらに本第2実施形態は、高精度化をはかるため常に磁場環境にもとづいて方位計測者に使用上の適切な指示を与えることができるシステムとするため上述の工夫をした結果、それらを実現するという効果を奏する。
【0066】
また本第2実施形態は、X軸、Y軸の二つのマグネト・インピーダンス磁気検出器に対して一体的に形成した1つの電子回路との接続を切り換えて使用するようにしたため、回路を小型化するとともに消費電力を低減するという効果を実現するものである。
【0067】
さらに本第2実施形態は、正常に方位計測が出来ていることを表示する態様や、これとは逆に誤差の混入の程度も併せて表示する態様や、あるいは計測場所の変更を促す表示態様を実現することにより、不適切な磁場環境における測定を防止するとともに、計測者に信頼感を与えることができるという効果を奏する。
【0068】
また誤差の混入の程度も併せて表示するため、誤差の混入度合いを承知しながら利用することができるので、実用範囲を広くすることができ、また特にスイッチを操作したり、方位計測システムを一回転させたりする必要がなく即応性が高く、かつ超小型、低消費電力を実現するという効果を奏する。
【0069】
以上説明したごとく本第2実施形態では、特に従来のようにスイッチを操作することなく、また方位計測システムを一回転させることを必要とせずに磁気センサの出力から求めた水平成分の磁気ベクトルの絶対値にもとづいて方位計測をする場所の磁場環境が正常か否かを判別し、方位計測者に表示するので、信頼して方位計測ができるようになるとともに、誤差の混入度合いを承知しながら利用することができるので、実用範囲を広くすることができ、また不適切な磁場環境であることに気づかず方位計測をし、誤った方向へ進んでしまうようなトラブルを未然に防止することが可能になるという効果を奏する。
【0070】
また本第2実施形態における表示装置については、ここで示したものだけに限らず、計測者に注意を喚起するため前記表示画面に色分けで表示することができる。例えば磁場が正常の状態では、図10の前記表示装置50の方位表示の円形画面の背景を青色とし、” 誤差が少しあります” という表示のときは背景を黄色とする、” 誤差が多くなりました” というときは背景を橙色、” 場所を変えてください” というときは背景を赤色とするとともに、「方位表示を止める」ということもできる。図10のCはその1例であり、前記背景色を橙色にした例であり、なお図10においては、色で表示する替わりにハッチングによって示している。
【0071】
(第3実施形態)
本第3実施形態の方位計測システムは、上述の第2実施形態における磁気検出器1をさらに小型化して高感度化した点が相違点であり、以下相違点を中心に図11(A)および(B)を用いて説明する。
【0072】
前記磁気検出器1を構成する基板100の大きさは、幅0.5mm、高さ0.5mmとし、長手方向の長さを3mmとし、感磁体101、103は、CoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤでその長さは3mm以下である。 電磁コイル102、104は、 前記基板1の長手方向に形成した溝100Gの溝面100Sに形成されたコイルの片側102A、104Aと、溝100Gに対向する溝上面100US(樹脂SRの上面SRU)に形成された残り片側のコイル102B、104Bの2層構造により形成したものである。
【0073】
前記溝面100Gおよび溝上面100USに形成されるコイルの片側102A、104Aおよび残り片側のコイル102B、104Bは、図11に示されるように電極配線基板1の長手方向に形成された溝100Gの溝面100Sの全面および前記溝100Gの対向部および近接部(溝上面100US)にコイルを構成する導電性の金属薄膜を蒸着により形成し、形成された金属薄膜が螺旋状に残るように間隙部を構成する導電性金属薄膜部を選択エッチング手法により除去することにより、コイルの全体の長手方向の長さを1.5mmまたは2mmの長さに亘り形成される。なお図11(B)において、図11(A)のA−A′断面にかかわらず、理解の便のために前記溝100Gの全面の4面にロの字状にコイルが形成されている状態を示した。
【0074】
電磁コイル102、104の円相当内径(高さと幅で形成される溝断面積と同一面積となる円の直径)は、200μmまたは100μm以下であるのが望ましいので、66μmに一例として設定した。電磁コイル102、104の1ターン当たりの(単位長さ当たり)の捲線間隔は100μm以下が望ましいので、50μm/巻に設定されている。
【0075】
素子基板100の長さが、3mmを採用した前記磁気検出器1のアモルファスワイヤおよび電磁コイルの両端に配設した電極を介して接続された前記電子回路からのセンサ出力を図12に示す。
【0076】
図12の横軸は外部磁場の大きさ、縦軸はセンサ出力電圧であり、センサの出力は±10Gの間で優れた直線性を持ち、感度は前記図6のサンプルホールド回路の増幅器Aの増幅度が1のとき20mV/Gであった。 このため地磁気の大きさがたとえば300mGのときに出力は6mV と高出力が得られ、ホール素子、その他の磁気センサと異なり信号処理のための大きな増幅を必要としない。したがって工場出荷時に調整しておけばその後の経時あるいは温度変化に伴うオフセットの変動がなく、前記第1の要因に対する問題は生じない。
【0077】
本第3実施形態の方位計測システムは、上述の第2実施形態における磁気検出器1をさらに小型化して高感度化し、携帯電話、携帯端末、腕時計などモバイル機器への内蔵に適するという効果を奏するものである。
【0078】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0079】
上述の第1実施形態および第2実施形態においては、一例としてモバイル機器における消費電力を抑制する観点よりシステムの電源投入(動作開始)以後間欠的に方位計測を行う場所における磁場環境が異常かどうか判断する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば車両その他の移動機器用の磁気コンパスに適用する場合等には、車両は高速で高速道路を走行する場合もあることから、可能な限り短い時間間隔で間欠的に方位計測を行う実施形態や、常時方位計測を行う実施形態を採用することが出来るものである。
【0080】
上述の実施形態においては、一例として前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が正常か否かを判別する例について説明したが、方位計測を開始する時とは、方位計測の開始直後に磁場環境が正常か否かを判別しても良いし、方位計測の開始直後から一定時間経過した時点において、磁場環境が正常か否かを判別しても良いものである。ま前記方位計測の開始直後から一定時間経過した時点とは、システムの電源投入(動作開始)以後間欠的に方位計測を行う最初の方位計測の時点とする事も出来る。
【0081】
以上本発明の実施形態3例を説明したが本発明の実施形態はこれに限ることなく、たとえばオフセット誤差を生じる性質の方位計測システムの場合には磁気センサの出力の絶対値にもとづいて方位センサを含めて正常か否かを判定することができる。さらに前記異常磁場判定装置の判定結果に対応してオフセット補正操作をすることを促したり、自動的にオフセット補正をする機能を起動させ自動的にオフセット補正を行うシステムとすることも可能である。
【0082】
上述の実施形態においては、一例として方位計測を行う場所における磁場環境が異常な場合は表示手段によって表示する例について説明したが、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、例えば磁場環境の異常を知らせる警報音を発生する実施形態を採用することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】方位計測システムが利用される磁場環境の範囲を説明するための横方向に磁場の強さを表した棒グラフである。
【図2】本発明の第1実施形態の方位計測システムを示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態の方位計測システムにおける表示装置を示す正面図である。
【図4】本第1実施形態の方位計測システムにおける異常磁場判定手順を説明するためのチャート図である。
【図5】本発明の第2実施形態の方位計測システムにおける磁気検出器を示す平面図である。
【図6】本第2実施形態の方位計測システムを示すブロック図である。
【図7】本第2実施形態の方位計測システムの各部における信号波形を示す線図である。
【図8】本第2実施形態の方位計測システムの異常磁場判定装置の構成要素を示すブロック図である。
【図9】本第2実施形態の方位計測システムにおける異常磁場判定手順を説明するためのチャート図である。
【図10】本第2実施形態の方位計測システムにおける表示装置を示す正面図である。
【図11】本第3実施形態における磁気検出器を示す縦断面図および横断面図である。
【図12】本第3実施形態における磁気検出器の一つの長さの感磁体のレンジを検討するための外部磁場と出力電圧の関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 磁気検出器
11および12 磁気センサ
3 オフセット補正装置
4 方位算出装置
5 表示装置
6 異常磁場判定装置
Claims (4)
- 地球磁場をX、Yの2方向の成分として検出する2つの磁気センサと方位角を算出する方位演算装置と算出された方位を表示する表示装置からなる磁気コンパスとしての方位計測システムにおいて、
前記2つの磁気センサが検出した磁気ベクトルのレベルに基づいて、少なくとも方位計測を開始する時に方位計測する場所における磁場環境が異常か否かを判別する異常磁場判定装置と、
該異常磁場判定装置の判別結果に基づく情報を表示する表示手段を
備えたことを特徴とする方位計測システム。 - 請求項1において、
前記異常磁場判定装置が、磁気ベクトルの絶対値に基づいて方位計測をする場所における磁場環境が異常か否かを間欠的に判別する
ことを特徴とする方位計測システム。 - 請求項2において
前記2つの磁気センサが、2つの感磁素子と切り替えで信号処理する1つの電子回路からなるマグネト・インピーダンス磁気検出器であり、
前記異常磁場判定装置が、前記磁気ベクトルの絶対値と複数の基準レベルとを比較することにより正常に方位計測ができる状態であるか、少々の誤差が含まれる状態であるか、誤差が少し多い状態であるか、計測場所を変える必要がある状態であるかを判定し、かつその結果を表示する表示手段に出力する
ことを特徴とする方位計測システム。 - 請求項3において
前記2つの磁気センサが、X軸およびY軸の感磁素子であるアモルファスワイヤの周囲に検出コイルを巻回したX軸センサおよびY軸センサを互いに直交的に配置した2軸マグネト・インピーダンス磁気検出器によって構成されている
ことを特徴とする方位計測システム。
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