JP2004285710A - 配管配線組込用パネル及びパネル内配管工法 - Google Patents

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Abstract

【目的】露出配管のない美的で衛生的な部屋を構築することのできるパネルと、これを用いて適宜位置への配管の組み込みを容易に行うことのできる配管工法を提供する。
【構成】断熱材から成る内層部3を挟んで耐食性を有する一対の板材2が対面し、その板材2の長さ方向に沿って内層部3を貫通する空洞部5が並列状に設けられた構造のパネル1であり、そのパネル1を建物の床面より突出するパネル受9上に順次立て並べ、その各パネル1の上部を天井パネル13に結合して間仕切壁12を形成する。その後、間仕切壁12を形成するパネル1内の所定の空洞部5に可撓性の配管Pを挿入する。又、配管Pが挿入される空洞部5をもつパネル1には予めその表面部から空洞部5に達する穿孔を施し、その穿孔部14の位置で配管Pの一端に管継手19を介して取出管20を接続する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水管やガス管などの配設に供される配管配線組込用パネルと、パネル内配管工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スーパーや飲食店などの厨房において給水管やガス管が露出状態で配置されることがあり、これによって美感を損なうばかりでなく、配管が短期間で腐食したり、露出配管上に埃が溜まって不衛生になるなどの問題があった。
【0003】
このため、配管を壁内に組み込むことが一般に広く行われている。これは軽量鉄骨などで間仕切壁を組み上げ、その壁面に沿って必要箇所への配管を行った後、その上にボードを貼って配管を隠蔽し、必要に応じて前記ボードにタイルやステンレス板を張り合わせて表面仕上げをし、次いでその壁面に穿孔を施して壁内配管の先端に給水栓などを接続するという手順を経て完成される。
【0004】
しかし、上記のような工法では配管を配置した後でないと内装工事を行うことができないので配管施工者と他の工事関係者との間で厳密な日程調整をしなければならず、しかも配管後に間仕切壁の仕上げを行うので全工期が長くなるという難点がある。
【0005】
そこで、配管及び電線管を取り付けた壁パネルをコンクリート躯体に填め込んで壁躯体を構成するという提案がされている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−109701号公報(段落0011、0014、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、特許文献1によればコンクリート躯体に壁パネルを填め込むための凹部を形成する必要があり、しかも壁パネルに取り付けられる配管及び電線管は施工場所によって使用数や取付位置を変更する必要があるのでパネルの標準化が難しくコスト高になる。又、壁パネルをコンクリート躯体の凹部に填め込むことで配管及び電線管の配置位置が決定されるため、壁躯体を形成した後で厨房器具などのレイアウトを変更することは困難である。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は給水管などが露出しない美的で衛生的な部屋を構築し、適宜位置への配管の組み込みを容易に行えるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられ、その各空洞部が配管及び電線又はその何れか一方を挿入するための通路とされていることを特徴とする配管配線組込用パネルを提供する。
【0010】
又、断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられた構造のパネルを用い、そのパネルを建物の床面より突出するパネル受上に順次立て並べて間仕切壁と成し、その間仕切壁を形成するパネル内の所定の空洞部に配管(フレキシブル管)を挿入する一方、その配管が挿入される空洞部をもつパネルにはその表面部から前記空洞部に達する穿孔を施し、その穿孔部の位置で前記配管の一端に管継手を介して取出管を接続することを特徴とする。
【0011】
更に、断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられた構造のパネルを用い、そのパネルを建物の床面より突出するパネル受上に順次立て並べて間仕切壁と成し、その間仕切壁を形成するパネル内の所定の空洞部にヘッダから放射状に延びる複数の配管(フレキシブル管)を個別に挿入する一方、その各配管が挿入される空洞部をもつパネルにはその表面部から前記空洞部に達する穿孔を施し、その穿孔部の位置で前記配管の各一端に夫れ夫れ管継手を介して取出管を接続することを特徴とする。
【0012】
尚、耐食性を有する板材とは、それ自体が耐食性を有するもののほか、メッキや塗装により耐食性を付与したものを含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明に係るパネルを部分的に破断して示した斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB−B線における部分断面図である。
【0014】
本例において、係るパネル1は幅45〜90cm、長さ180〜300cm、厚さ4〜5cmに設定され、その内部に給水管やガス管といった配管並びに電線などを組込可能とされる。2はパネルの前後面を成す板材であり、その両板材2,2は内層部3を挟んで対面している。板材2は耐食性を有する金属板であり、これにはステンレス鋼板(SUS304)をはじめ、亜鉛メッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、又は不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、又はフッ素樹脂といった熱硬化性樹脂などにより表面に塗装を施したカラー鋼板などが好適に用いられる。
【0015】
一方、内層部3は断熱材により形成される。その断熱材としてはグラスウールなどを用いることもできるが、本例において断熱材は硬質のウレタンフォームとされる。
【0016】
更に、板材2,2の間には、その長さ方向に沿って中空軸4が所定の間隔で並列状に設けられる。本例において、その中空軸4はアルミニウム製の角パイプ(120mm×40mm)で成り、その内側空洞部5は配管及び電線又はその何れか一方を挿入するための通路として内層部3の一端面から他端面まで貫通される。尚、中空軸4として丸パイプを用いても良く、その数も図示例のように2つに限らず3つ以上設けても良い。
【0017】
又、板材2の周囲には硬質塩化ビニールなどから成る枠材6が取り付けられ、その枠材6の内側で板材2,2の間に配管配線用の通路を成す空洞部5を残して断熱材による内層部3が形成される。
【0018】
尚、上記のようなパネル1は、並列状に配列される中空軸4を挟んで二枚の板材2を対面状に結合し、その周囲に枠材6を装着した後、枠材6の内側で中空軸内の空洞部5を除く板材2,2間の空隙に発泡剤入りの樹脂(ポリウレタン)を注入することにより製作される。因に、枠材6にはその内側に硬化前のポリウレタンを注入するべく図示せぬ注入口が形成される。又、図3のように空洞部5の各一端が開通するパネルの下端面には枠材6の中央部を内方に窪めて成る溝部7が形成される。
【0019】
ここに、以上のようなパネル1によれば、建物内に露出配管のない美的で衛生的な部屋を構築でき、しかも部屋の構築後に配管の組込を短期間で容易に行うことができる。以下、その工法を詳しく説明すれば、図4において、8は建物の土間上に設けられるコンクリート製の床版であり、この床版8には部屋の外周に沿って板状のパネル受9が埋設され、その上部が床版8の上面(床面)より数cm程度突出される。又、床版8とパネル受9の交差部分にはアール幅木10が取り付けられる。そして、本発明によれば上記のように構成されるパネル1をパネル受9上に順次立て並べて間仕切壁12を形成し、各パネル1の上部はアングルプレート11などを用いて天井パネル13に結合する。因に、天井パネル13としては金属板などにて断熱材を被覆したものを用い、これを吊り天井として使用するが、各パネル1の上端を建物の天井面に直接結合するようにしてもよい。尚、パネル受9の上端面にはパネルの下端溝部7と嵌合する突条9Aが形成されるのであり、このためパネル受9と天井パネル13との間にパネル1を確り固定して、がたつきの無い間仕切壁12を形成することができる。
【0020】
斯くて、複数枚のパネルで間仕切壁12を形成したら、電動ドリルなどを用いてパネル1の表面部から所定の空洞部5に達する穿孔(穿孔部14)を施し、次いで空洞部5に天井パネル13にあけた孔15から配管Pを挿入してその一端を穿孔部14から外部に引き出す。
【0021】
特に、配管Pは図5に示すよう給水系16と給湯系17とに分けられ、給水系16を構成する各配管Pは給水本管16Aに接続するヘッダ16Bから分岐されと共に、給湯系17を構成する各配管Pは給湯本管17Aに接続するヘッダ17Bから分岐され、その各々が間仕切壁12を形成するパネル1内の所定の空洞部5,・・に個別に挿入され、これがパネル1内を通じて間仕切壁12内の部屋に設置される複数の厨房器具18などに分配される。それら配管Pは金属管や硬質塩化ビニール管などでもよいが、本例では架橋ポリエチレンなど可撓性を有する管(フレキシブル管)が用いられる。その種の配管Pによれば、天井パネル13上が狭い空間であっても該配管Pを曲げながら空洞部5内に容易に挿入することができる。
【0022】
又、ヘッダ16B,17Bから放射状に延ばされる各配管Pの一端には、空洞部5への挿入前に管継手19を取り付けておく。管継手19は例えば図6、図7に示すようなエルボであり、その一端部における内外両周面には夫れ夫れ雌ネジ部19Aと雄ネジ部19Bが形成され、雄ネジ部19Bの一端には鍔部19Cが形成される。而して、穿孔部14から引き出した配管Pの一端に管継手19を介して取出管20を接続し、次いで配管Pの一端をパネル1内に戻して取出管20を穿孔部14より突出させた状態で固定する。尚、取出管20はその一端を管継手の雌ネジ部19Aにねじ込んで接続され、管継手の雄ネジ部19Bには鍔部19Cとの間にプレート21を介してナット22が装着される。そして、プレート21をパネル1の表面部にネジ止めすることにより穿孔部14の位置で取出管20が固定される。因に、そのプレート21は穿孔部14を隠蔽する化粧板としての役割も果たす。又、本例において、取出管20は止水栓付きの管とされ、これに図4のようなホース23を介して厨房器具などが接続される構成とされるが、取出管20を給水栓(蛇口)としたり、又はこれを水栓の付いていないパイプにして厨房器具などに直結するようにしてもよい。
【0023】
以上、本発明の適用例を説明したが、パネル内に挿入する配管は上記例のように給水管や給湯管に限らず、これをガス管として、これにガス栓を備えた取出管を接続するようにしてもよい。又、空洞部には配管のみならず電線を併設することもできる。この場合も上記例と同じくパネル表面部から所定の空洞部に達する穿孔を施し、次いでその空洞部に上部から電線を挿入し、その一端を穿孔部から引き出してコンセントなどの電線接続具に接続した後、その電線接続具を穿孔部の位置に固定する。
【0024】
一方、本発明に係るパネルは上記例のように壁材として用いるほか、これを床材や天井材などとして用い、床や天井の内部に配管、配線を組み込むこともできる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明に係るパネルによれば、壁材にして露出配管のない美的で衛生的な部屋を構築することができ、特に断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面することから室内の空調効果が上がる上、厨房など多量の水を使用する部屋でも腐食せず、しかも内層部を貫通する空洞部が配管配線用の通路とされていることから、配管を一体として組み込んだ従来パネルに比べ、標準化されたパネルを低コストで大量生産することができ、更にその空洞部が並列状に設けられることから、厨房器具のレイアウトなどに応じて多数の配管や電線を適宜位置に分散して組み込むことができる。
【0026】
又、係るパネルを建物の床面より突出するパネル受上に順次立て並べて間仕切壁を形成するので、建物内の間取り変更などに際してパネルを再利用することができ、しかもパネルで間仕切壁を形成したのちに所定の空洞部に配管を挿入するので厨房器具のレイアウトを予め厳密に決定する必要がなく、間仕切壁の形成後に厨房器具のレイアウトが変更された場合でも、これに対応して適宜位置に配管を組み込むことができる。
【0027】
更に、不使用の空洞部を利用して後から配管の増設を行える上、ヘッダを利用して配管を分岐させることから配管の増設を容易に行うことができる。
【0028】
又、配管にフレキシブル管を用いることから、給水用にして赤サビの発生が無く、しかも狭い場所でもパネル内への挿入作業を効率よく円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパネルを部分的に破断して示した斜視図
【図2】図1におけるA−A断面図
【図3】図2におけるB−B断面図
【図4】パネル内に配管した状態を示す部分断面図
【図5】本発明による管路系統を示す平面概略図
【図6】配管と取出管の接続に使用する管継手の平面図
【図7】図6におけるC−C断面図
【符号の説明】
1 パネル
2 板材
3 内層部
4 中空軸
5 空洞部
6 枠材
9 パネル受
12 間仕切壁
13 天井パネル
14 穿孔部
16B,17B ヘッダ
19 管継手
20 取出管

Claims (4)

  1. 断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられ、その各空洞部が配管及び電線又はその何れか一方を挿入するための通路とされていることを特徴とする配管配線組込用パネル。
  2. 断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられた構造のパネルを用い、そのパネルを建物の床面より突出するパネル受上に順次立て並べて間仕切壁と成し、その間仕切壁を形成するパネル内の所定の空洞部に配管を挿入する一方、その配管が挿入される空洞部をもつパネルにはその表面部から前記空洞部に達する穿孔を施し、その穿孔部の位置で前記配管の一端に管継手を介して取出管を接続することを特徴とするパネル内配管工法。
  3. 断熱材から成る内層部を挟んで耐食性を有する一対の板材が対面し、その板材の長さ方向に沿って前記内層部を貫通する空洞部が並列状に設けられた構造のパネルを用い、そのパネルを建物の床面より突出するパネル受上に順次立て並べて間仕切壁と成し、その間仕切壁を形成するパネル内の所定の空洞部にヘッダから放射状に延びる複数の配管を個別に挿入する一方、その各配管が挿入される空洞部をもつパネルにはその表面部から前記空洞部に達する穿孔を施し、その穿孔部の位置で前記配管の各一端に夫れ夫れ管継手を介して取出管を接続することを特徴とするパネル内配管工法。
  4. 配管としてフレキシブル管を用いることを特徴とする請求項2、又は3記載のパネル内配管工法。
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