JP2004285514A - 超臨界二酸化炭素中で含浸させる含浸処理方法、その方法により含浸処理された製品及び含浸処理装置 - Google Patents

超臨界二酸化炭素中で含浸させる含浸処理方法、その方法により含浸処理された製品及び含浸処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させる際に、二酸化炭素中への空気あるいは水分の混入を低減すること。
【解決手段】大気中で基材を含浸処理槽10内に投入した後、ドア11を閉めて含浸処理槽10を密閉し、含浸処理槽10内の空気を真空ポンプ14で減圧排気してから二酸化炭素を導入して超臨界二酸化炭素中で含浸処理する。含浸処理後にガス分離槽31で含浸物質を除去し、コンプレッサー34で圧縮された二酸化炭素を回収して貯蔵タンク40に貯蔵する。これによって、回収された二酸化炭素中への空気の混入を低減させることができる。所定の減圧度に到達した後、減圧排気操作を継続しながら基材を加熱してから二酸化炭素を導入するか、予め乾燥処理した基材を含浸処理槽10に投入することにより、含浸処理時に存在する水分の悪影響を防ぐこともできる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させる含浸処理方法に関する。特に、大気中で基材を含浸処理槽内に投入した後、含浸処理槽を密閉し、含浸処理槽内の空気を減圧排気してから二酸化炭素を導入して、超臨界二酸化炭素中で含浸させる含浸処理方法に関する。また、その方法によって含浸処理された製品に関する。さらに、その方法に用いられる含浸処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維製品の染色は水を大量に使用するため、染色後に未固着染料や染色助剤などを含む廃水が大量に排出されることが避けられない。この廃水は水質汚濁の原因ともなることから、その浄化が必要であり、染色加工を行う企業にとって大きな負担になっている。これに対し、最近廃水を排出しない染色方法として超臨界二酸化炭素中で染色を行う方法が提案されている。また、繊維製品に限らず、各種の基材に、超臨界二酸化炭素中で含浸物質を含浸させる方法も提案されている。このとき、使用する二酸化炭素は回収して再使用することができる。
【0003】
超臨界二酸化炭素中で染色する際に、二酸化炭素を回収再使用する方法に関しては、特表2000−500192号公報(特許文献1)や、特表2002−517619号公報(特許文献2)に記載されている。これらの特許公報においては、超臨界流体中で染色し、染色が終了した後の二酸化炭素流体は、減圧弁を介して染色槽から分離槽に供給され、そこで残留物質と二酸化炭素ガスとに分離される。分離された二酸化炭素ガスは、凝縮器によって液化され、加熱操作や加圧操作を加えて超臨界状態にされて、再度染色槽に供給される。このとき、液化後に液化炭酸ガスを一旦タンクに保存しても良い。
【0004】
染料の溶解性や染色性を改善するために、共溶媒を含有する超臨界二酸化炭素中で染色する方法が提案されている。このように共溶媒を使用する場合に、二酸化炭素を回収再使用する方法については特開2002−129464号公報(特許文献3)や特開2002−371483号公報(特許文献4)に記載されている。これら特許文献3及び4においても、上記特許文献1及び2に記載された工程とほぼ同様の含浸及び回収工程が採用されている。
【0005】
【特許文献1】
特表2000−500192号公報(第11〜13頁、図1)
【特許文献2】
特表2002−517619号公報(第26〜34頁、図1)
【特許文献3】
特開2002−129464号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献4】
特開2002−371483号公報(第4〜6頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記各特許公報には、二酸化炭素を回収再使用するための基本的な手法が記載されている。一方、工業生産に際しては、大規模な装置を用いて大量の超臨界二酸化炭素中で含浸操作を行って、大量の基材に対して含浸処理することが必要である。含浸処理後に回収された大量の二酸化炭素は一旦貯蔵タンクに保存することが好ましい。ところが、上記各公報に記載された回収方法では、回収された二酸化炭素中に空気が混入することが避けられず、大量の二酸化炭素を使用して繰り返して回収再使用する場合には、貯蔵タンク中に空気が蓄積しやすい。空気の蓄積量が増加すると、再使用する際の加圧工程などにおいて二酸化炭素中に混入した空気によってトラブルが発生するおそれがあった。
【0007】
また、含浸される基材が水分を含んでいると、含浸性に影響を与える場合がある。例えば、染色操作を行うのであれば、その染色濃度が水分の影響を受けて変動することがあり、基材の種類や染料の種類によっては染色性が低下してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、回収された二酸化炭素中への空気の混入が少ない含浸処理方法を提供するものである。さらには、含浸処理時に存在する水分の悪影響を防ぐことのできる含浸処理方法をも提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させる含浸処理方法において、大気中で基材を含浸処理槽内に投入した後、含浸処理槽を密閉し、含浸処理槽内の空気を減圧排気してから二酸化炭素を導入して、超臨界二酸化炭素中で含浸させることを特徴とする含浸処理方法を提供することによって解決される。こうすることによって、回収される二酸化炭素中に空気が混入するのを防止することができる。
【0010】
このとき、減圧排気する際に含浸処理槽が加熱されていることが好適である。また、所定の減圧度に到達した後、減圧排気操作を継続しながら基材を加熱し、その後二酸化炭素を導入することが好適であり、予め乾燥処理した基材を含浸処理槽に投入することも好適である。いずれも、含浸処理時に存在する水分の悪影響を防止するのに役立つ。またこのとき、共溶媒を含有する超臨界二酸化炭素中で含浸させることも好ましい。共溶媒を含有させることで染料の溶解性や染色性を改善することができる。
【0011】
また、含浸処理槽内において超臨界二酸化炭素中で含浸させた後に、含浸処理後の流体を含浸処理槽からガス分離装置に導入し、ガス分離装置で含浸物質を除去し、得られた二酸化炭素ガスを回収して再使用することが好ましい。このように二酸化炭素を回収使用する場合に本発明の実益が大きい。前記基材が繊維製品であることが好適な実施態様であり、前記含浸物質が染料であることも好適な実施態様である。
【0012】
本発明の課題は、上記含浸処理方法により含浸処理された製品を提供することによっても解決される。また、超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させるための含浸処理装置において、含浸処理槽を加熱する手段を有し、かつ含浸処理槽内の空気を減圧排気する手段を有することを特徴とする含浸処理装置を提供することによっても達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の含浸処理方法を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施態様の一例を示す含浸処理装置を示した図である。
【0014】
本発明では、含浸処理槽10内において超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させる。含浸処理槽10は耐圧容器からなり、通常10MPa以上の耐圧性が要求され、好適には15MPa以上、より好適には20MPa以上の耐圧性が要求される。含浸処理槽10の内容量は、工業的生産を考慮すると、100リットル以上であることが好ましく、より好適には200リットル以上であり、さらに好適には300リットル以上である。図1に示される含浸処理槽10は、内容積が450リットルであり、肉厚のステンレス製である。
【0015】
含浸処理槽10は、開閉可能なドア11を有しており、これを開いて、大気中で基材を含浸処理槽10内に投入する。含浸処理槽10の内部には回転カゴ12が設けられている。この中に処理される基材を投入し、回転させながら含浸させることによって、ムラのない均一な含浸操作を行うことができる。
【0016】
本発明の含浸処理方法によって含浸される基材は特に限定されるものではないが、主として高分子化合物からなる基材であることが好ましい。ここでいう高分子化合物は合成高分子化合物又は天然高分子化合物のいずれであっても良い。そのようなものとしては、繊維製品、皮革、木材、フィルム、プラスチック成形品などが例示される。これらのうちでも、繊維製品、皮革、木材、フィルムなどは、その表面積が大きいために、含浸処理を効率的に行うことができて好ましい。
【0017】
なかでも、繊維製品が最も有用である。繊維製品としては、糸、布帛、紙などが例示される。布帛としては、織布、編布、不織布などを使用することができ、縫製加工されたものに対して含浸させることも好ましい。例えば揮発性の芳香成分などを含浸させる場合には、含浸処理後に芳香成分が揮発するおそれのある状態で縫製加工などを行うことは必ずしも好ましくないので、縫製加工後の最終工程で含浸処理操作を行うのが好ましい。
【0018】
繊維の素材としては、綿、レーヨン、ナイロン(6、66など)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、絹、羊毛、アセテート(トリアセテートを含む)、ポリエチレン、アラミド(メタ系及びパラ系)、ポリウレタン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどを例示することができる。また、紙に対して含浸処理を施すことも好ましい。紙は通常水中では形態を保持することが困難であるが、超臨界二酸化炭素中では形態を保持することが可能だからである。紙の種類は特に限定されないが、通常、パルプなどのセルロース系の短繊維を交絡させたものである。
【0019】
皮革や木材に対して含浸処理を行うことも好ましい。これらの材質は水中で含浸処理する場合には変形したり風合いを損なったりすることが多いからである。また、フィルムやプラスチック成形品などへの含浸処理も可能である。フィルムは厚みが薄く表面積が比較的大きいので、含浸させやすくて好ましい基材である。また、プラスチック成形品などに対し、例えばその表面だけに抗菌剤を含浸させることなども可能であり、子供向け玩具の抗菌化などにも有効である。ここでいうプラスチック成形品とは、フィルムや繊維よりも、厚みや径の大きい成形品のことを意味し、三次元的な立体成形品のみならず、厚いシートや径の大きい棒状体も含むものである。
【0020】
また、本発明で使用される含浸物質は、超臨界二酸化炭素中に溶解し、基材中に含浸させられるものであれば特に限定されない。好適なものとして染料が挙げられる。使用される染料は特に限定されるものではなく合成染料と天然染料のいずれを使用することもできる。
【0021】
合成染料は、特に限定されるものではない。分散染料、油溶性染料、反応染料、反応分散染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、スレン染料、硫化染料、インジゴ染料及び含金染料を例示することができる。これらのうちでも、超臨界流体中での染色性が良好であることから、分散染料、油溶性染料、直接染料及び反応分散染料が好適に使用される。なかでも分散染料、油溶性染料及び直接染料がより好適に使用され、分散染料及び油溶性染料がさらに好適に使用される。
【0022】
また、動植物抽出成分からなる天然染料を使用することもできる。草木染料や食用色素など、既に抽出された染料成分を使用して超臨界流体中で染色しても良いし、動植物から超臨界流体中で抽出して、そのまま染色しても良い。染料成分が抽出される動植物は、被染色物、特に繊維を染色することの可能な成分を含有するものであれば特に限定されない。一般的には植物が、いわゆる草木染めとして好んで使用される。動植物は、そのままでも抽出操作に供することが可能であるが、保存性や品質の均質性を担保することが容易であることから、乾燥したものが好適に用いられる。この場合には、超臨界流体で抽出するための槽を別途準備することもできるが、含浸処理槽内で抽出と含浸とを同時に行うことが好ましい。
【0023】
染料以外に、含浸物質として好適に使用されるものとしては、基材に対して各種の機能を付与することのできる物質(機能加工剤)がある。そのような含浸物質としては、例えば、芳香性物質、薬効性物質、抗菌剤、防虫剤、防かび剤、防臭剤、消臭剤、柔軟剤、硬化剤、防しわ剤、収縮防止剤、ピリング防止剤、防水剤、撥水剤、吸汗剤、蛍光増白剤、濃色化剤、防汚剤、帯電防止剤、防火剤(防燃剤、難燃剤、防炎剤など)、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、形状記憶加工剤及び電磁波シールド加工剤が挙げられる。これらのものの中には、揮発したり、水に溶解あるいは分散しにくかったり、含浸処理後に水中に溶出したり、高温で劣化したりし易いものが多く、温水中で含浸させるよりも超臨界二酸化炭素中で含浸させる方が好ましい場合が多い。なかでも、好適なものとしては、芳香性物質、薬効性物質、抗菌剤、防虫剤及び防かび剤が挙げられる。これらのものは、特に揮発したり、水中で溶出したり、高温で劣化したりし易いものが多いからである。動植物から抽出される成分が芳香性物質、薬効性物質、抗菌剤、防虫剤及び防かび剤を含有する場合には、抽出と同時にこれらを基材に含浸させることも好ましい。また、これらの物質と同時に、染料成分を含浸させることもできる。
【0024】
基材を含浸処理槽10内に投入し、必要に応じて含浸物質を投入してから、ドア11を閉じて含浸処理槽10を密閉する。引き続き、バルブ13を開き、真空ポンプ14によって含浸処理槽10内の空気を減圧排気する。含浸処理槽10内の空気を減圧排気する手段は、特に限定されないが、通常真空ポンプ14が使用される。真空ポンプ14の種類は特に限定されず、要求される減圧度、排気速度、メンテナンスの容易性、価格などを考慮して適当に選択される。図1の例では、水封式真空ポンプを使用している。水封式真空ポンプは、到達減圧度は必ずしも高くないものの、含浸処理槽10から流入してくる水分によって減圧性能が低下せず、メンテナンスが容易であり、好適に使用される。大気圧(約0.1MPa)から減圧を開始して、好適には0.03MPa以下、より好適には0.02MPa以下、さらに好適には0.01MPa以下まで減圧する。
【0025】
減圧排気する際に、含浸処理槽10が加熱されていることが好ましい。含浸処理操作を繰り返す場合には、前回の含浸処理後の二酸化炭素流体を排出した後で、基材の投入操作を行うことになる。この場合、二酸化炭素の気化のために潜熱が奪われ、含浸処理槽10が冷却されてその表面に結露が生じる場合があるが、含浸処理槽10を加熱することで、そのような水分が含浸処理時に混入するのを防止することができる。また、基材に付着した水分や、基材に含まれる水分を減少させることもできる。前回の含浸処理から含浸処理槽10の加熱を継続しても構わないし、基材の投入操作の前後に加熱を開始しても構わない。
【0026】
減圧排気して、所定の減圧度まで到達した後、減圧排気操作を継続しながら基材を加熱することがより好ましい。こうすることによって、基材に含まれる水分を十分に減少させることができ、含浸処理時に存在する水分の悪影響を防ぐことが可能である。超臨界二酸化炭素は本質的には疎水性の流体であるから、基材中に含まれる水分は超臨界流体中に溶出しにくい。したがって、超臨界二酸化炭素中においても基材中には水分が含まれたままになりやすい。このような状況においては、含浸物質、特に疎水性の含浸物質を基材中に含浸させることは困難である。染色操作を例にとれば、セルロースやナイロンのような吸水率の大きい繊維を分散染料のような疎水性の染料で染色する場合に、含有する水分の影響を受けやすく、染色性が低下しやすい。
【0027】
したがって、基材として、親水性の素材、例えば、綿、絹、ウール、ビニロン、ナイロン、レーヨン、紙、皮革、木材などを用いる場合に、上記減圧加熱操作を施すことが好ましい。特に、基材が綿、絹、ウール、ビニロン、ナイロン、レーヨン、紙などの繊維製品である場合には、比較的短時間に水分を除去することができるので好ましい。また、含浸物質として疎水性のものを使用する場合にも、上記減圧加熱操作を施す実益が大きい。疎水性の含浸物質は、もともと超臨界二酸化炭素中に溶解しやすく、超臨界二酸化炭素中で含浸処理することが好適なものであるが、基材中に含まれる水分の影響によって含浸性が悪化しやすいからである。したがって、例えば、染料であれば、分散染料及び油溶性染料を含浸させる場合に、上記減圧加熱操作を施す実益が大きい。
【0028】
減圧排気しながら基材を加熱する際の加熱温度は特に限定されるものではないが、30〜250℃であることが好適である。30℃以下の場合には基材中の水分の減少量が不十分になるおそれがあり、より好適には50℃以上、さらに好適には70℃以上である。一方、250℃を超えると基材が劣化するおそれがあり、より好適には200℃以下、さらに好適には150℃以下である。ここで、加熱温度は、含浸処理槽10内の空間の温度をいう。図1の例では、含浸処理槽10の内壁から内部空間に突出するように配置された、熱電対からなる温度計15によって表示される温度である。含浸処理槽10を加熱する手段は特に限定されない。電気ヒーター、スチーム加熱、熱媒加熱などの手法を採用することができ、複数の加熱手法を併用しても構わない。図1の例では、含浸処理槽10の周囲をジャケット16で覆い、ジャケット16内に熱媒のオイルを循環させて含浸処理槽10を加熱する。
【0029】
熱媒の加熱方法は特に限定されず、任意の加熱方法を採用することができる。図1の例では、スチームヒーターによる加熱手段と、電気ヒーターによる加熱手段とを有し、さらに熱交換器からなるクーラーも有する熱媒供給装置20を用いている。含浸処理槽10の温度の制御は、含浸処理前の基材の加熱時のみならず、含浸処理操作中も必要であるから、このような構成にして細かい温度制御を可能にすることが好ましい。図1の例では、熱媒は、バルブ21及びバルブ22を操作することによって、含浸処理槽10に供給される二酸化炭素流体を加熱するためのヒーター58と共通で使用される。こうすることによって、含浸処理槽10内に導入される二酸化炭素流体の温度と、含浸処理槽10の温度を同程度に保つことができ、含浸処理に際して、安定した温度管理が容易になる。
【0030】
含浸処理槽10内において、減圧排気して所定の減圧度まで到達した後、減圧排気操作を継続しながら基材を加熱する時間は、基材の素材、形態あるいは含水率によって適宜調整される。基材を加熱する時間は、好適には1〜60分である。加熱時間が1分未満の場合には、基材中の水分の除去が不十分になるおそれがあり、より好適には2分以上、さらに好適には5分以上である。一方、加熱時間が60分を超えると、含浸処理のサイクルタイムが長くなりすぎて含浸処理設備の利用効率が低下するおそれがあり、より好適には30分以下である。
【0031】
また、減圧排気した後で、特に加熱することなく減圧操作を継続しても良い。この場合には、加熱する場合に比べて含水率を低下させる速度は低下するものの、基材や含浸物質が熱で劣化するのを防止することができる。したがって、基材や含浸物質が加熱によって劣化しやすいものである場合には、この方法が好適に採用される。このとき、減圧操作を継続する時間は10〜60分であることが好適である。
【0032】
上述のように、含浸処理槽10内の空気を減圧排気し、必要に応じて加熱する。この操作は1回だけでなく、2回以上繰り返して行っても良い。例えば、減圧排気した後、一旦バルブ59を少しだけ開いて、二酸化炭素を少量導入してから、再度減圧排気することもできる。こうすることによって、含浸処理槽10内に残存する空気の量をさらに低減させることができるし、基材中に含まれる水分の量を低減させることもできる。特に、含浸処理槽10を加熱する操作を行う場合には、その操作を繰り返すことによって、より効果的に基材中の水分を減少させることができる。
【0033】
含浸処理槽10内で基材を加熱する代わりに、予め乾燥処理した基材を含浸処理槽10に投入することも好ましい。予め乾燥された基材を含浸処理槽10内へ投入するので、含浸処理槽10内で基材の水分を除去する時間を短縮することが可能になり、含浸処理全体のサイクルタイムを短縮することができる。特に、梅雨どきなどのように作業環境の湿度が高いときや、基材の含水率が高いとき、あるいは肉厚成形品などのように基材が乾燥の困難な形態である場合に有効である。こうして予め乾燥処理した基材を含浸処理槽10に投入して含浸処理槽10内の空気を減圧排気してから、さらに含浸処理槽10内で基材を加熱することも好ましい。含浸処理操作のサイクルタイムを短縮しながら、含水率を十分に低下させることができるからである。
【0034】
予め基材を乾燥処理する場合には別個の乾燥機が使用されるが、その乾燥機の形式は特に限定されない。常圧下で加熱する熱風乾燥機を使用しても構わないし、減圧化で乾燥する真空乾燥機を使用しても構わない。乾燥時には加熱することが好ましく、乾燥温度は50〜250℃であることが好適である。50℃以下の場合には基材中の水分の減少量が不十分になるおそれがあり、より好適には70℃以上である。一方、250℃を超えると基材が劣化するおそれがあり、より好適には200℃以下、さらに好適には150℃以下である。ここで、加熱温度は、乾燥機内の空間の温度をいう。減圧下で乾燥する場合の減圧条件は、含浸処理槽10の減圧条件と同じ条件が好適に採用される。また、減圧下で乾燥する際に同時に加熱することも好ましく、この場合の温度は、上記乾燥温度が好適に採用される。
【0035】
乾燥時間は、特に限定されるものではないが、好適には1分以上である。加熱時間が1分未満の場合には、基材中の水分の除去が不十分になるおそれがあり、より好適には5分以上、さらに好適には20分以上である。含浸処理槽10内で加熱する場合と異なり、含浸処理のサイクルタイムを考慮しなくてよいので、乾燥時間が長くなっても構わない。但し、加熱温度によっては、加熱時間が長すぎると、基材が劣化するおそれがあるので、通常、乾燥時間は1日以下であることが好ましい。
【0036】
含浸処理槽内の空気を減圧排気し、好適には減圧下で基材を加熱してから二酸化炭素を導入する。図1の例では、バルブ59を開いて二酸化炭素を導入し、含浸処理槽10内を超臨界二酸化炭素で満たして含浸処理を開始する。二酸化炭素の臨界点は温度31.3℃、圧力7.4MPaであり、これを超える超臨界流体とすることが比較的容易である。
【0037】
超臨界二酸化炭素が、共溶媒を含有することによって、染料等の含浸物質の超臨界二酸化炭素中への溶解性を向上させられる場合が多い。また、繊維製品等の基材が親水性のものであっても、その中に含浸物質を効率的に含浸させることが容易になる。さらに、染料等の含浸物質を共溶媒中に溶解あるいは分散させておいてから、超臨界二酸化炭素中へ導入することも可能となる。
【0038】
本発明で使用される共溶媒としては、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミド及びスルホキシドが挙げられる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ウンデカノール、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、グリコール誘導体、エチルグリコール類、ブチルグリコール類、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの脂肪族アルコールが例示され、ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトンが例示される。そして環状エーテルとしてはテトラヒドロフラン(THF)、アミドとしてはジメチルホルムアミド(DMF)、スルホキシドとしてはジメチルスルホキシド(DMSO)が、それぞれ好適なものとして例示される。
【0039】
なかでも回収再使用を考慮すれば、比較的低沸点、例えば沸点が150℃以下であることが好適であり、100℃以下であることがより好適である。一方、沸点が低すぎる場合には、回収される二酸化炭素ガス中に共溶媒が混入しやすくなるため、沸点は好適には40℃以上であり、より好適には60℃以上である。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、THFなどが挙げられる。さらに作業者の安全性まで考慮した場合にはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトンが好適であり、エタノールが最適である。これらの共溶媒は1種のみならず、2種以上を同時に使用しても良い。
【0040】
超臨界二酸化炭素中に添加する共溶媒の量は0.01〜10%であることが好適である。0.01%よりも少ない場合には共溶媒添加の効果が減少し、親水性の有効成分の抽出操作、含浸操作が効率的に行えない場合がある。より好適には0.1%以上であり、さらに好適には0.2%以上である。一方、共溶媒の量が10%を超える場合には含浸性が低下するばかりでなく、含浸操作後の繊維等に溶媒が残存し、溶媒除去のための後処理が別途必要になり好ましくない。より好適には5%以下、さらに好適には2%以下である。ここでいう「%」とは超臨界流体で満たされる容器中へ投入する共溶媒の常圧下での体積の、前記容器容積に対する割合に、100を掛けたものであり、
[(添加した共溶媒の体積)/(超臨界流体の体積)]×100
で示されるものである。
【0041】
含浸処理条件は、含浸処理槽10の内部が超臨界状態であればよいが、含浸物質や基材などによって適当に調整される。好適な圧力は7〜35MPaである。7MPa未満では含浸がされにくくなる場合が多く、より好適には10MPa以上である。一方35MPaを超えると装置が大掛かりになって、含浸処理に要するエネルギーも大きくなってしまい、より好適には30MPa、さらに好適には25MPa以下である。また、超臨界二酸化炭素中で含浸処理する場合の好適な温度は30〜250℃である。30℃未満の場合には含浸処理がスムーズでなく、操作時間も長くなる場合がある。より好適には50℃以上であり、さらに好適には70℃以上である。一方250℃を超えると基材や含浸物質が劣化する場合があり、要するエネルギーも大きくなる。より好適には150℃以下である。また、特に加熱に弱い含浸物質を含浸させる場合や、特に加熱に弱い基材に含浸させる場合には100℃以下にすることが好ましい場合もある。
【0042】
含浸処理に要する時間は、通常5〜200分である。200分を超えると作業効率が低下することがあり、処理温度によっては有効成分が劣化することもある。より好適には120分以下である。一方、5分未満の時間では、十分に含浸されない場合が多いし、含浸ムラも発生しやすくなる。より好適には10分以上である。
【0043】
含浸物質は、予め含浸処理槽10内に投入しておいても良いし、超臨界二酸化炭素の満たされた含浸処理槽10内に後から導入しても良い。含浸処理槽10内で、含浸物質を動植物から抽出する場合には、動植物をいれるカゴなどを配置することもできる。別途、超臨界二酸化炭素中で含浸物質を溶解させるための槽を設けて、そこから配管を介して含浸処理槽10に溶液を導入しても構わない。また、共溶媒を使用する場合には、共溶媒槽23から共溶媒供給ポンプ24及びバルブ25を介して含浸処理槽10内に導入することができる。
【0044】
含浸処理が終了したところで、減圧バルブ30を開けて含浸処理後の流体を含浸処理槽10からガス分離槽31に導入する。ガス分離槽31において、二酸化炭素ガスと、含浸物質とが分離される。ガス分離装置の形態は、図1に示したように槽の形態である必要はないが、一般的には槽の形態であることが好ましい。分離される成分は、液体成分または固体成分である含浸物質や、共溶媒などである。ガス分離槽31で二酸化炭素ガスから除去された液体はガス分離槽31の底部に設けられたバルブ32を介して取り除かれる。共溶媒を含有する液体がバルブ32から排出される場合には、この液体を蒸留して共溶媒を回収して再使用することが好ましい。ガス分離槽31内は、通常温度−10〜150℃、圧力0.1〜5MPa程度に設定される。ここで、圧力が0.1MPaとは、大気圧と同じ圧力であって、周辺環境と比べたときの差圧がゼロであるときのことである。この圧力において二酸化炭素は気体として存在し、固体成分や液体成分と分離される。
【0045】
ガス分離槽31から導出された二酸化炭素ガスは、バルブ33を介してコンプレッサー34で圧縮され、バルブ35を介して貯蔵タンク40に導入され、液化二酸化炭素として貯蔵される。貯蔵される液化二酸化炭素の温度は特に限定されるものではないが、通常0〜40℃程度である。また、貯蔵される液化二酸化炭素の圧力は特に限定されるものではないが、通常3〜10MPaである。
【0046】
大気中で基材を含浸処理槽10内に投入した後、含浸処理槽10内の空気を減圧排気することなく二酸化炭素を導入して、超臨界二酸化炭素中で含浸させた場合には、回収される二酸化炭素ガス中に空気が混入することになる。混入した空気は、貯蔵タンク40において、上部空間41に気体として存在することになる。したがって、空気の混入量が大きくなってくると、液化二酸化炭素の貯蔵可能量が減少してしまう。また、液化二酸化炭素を貯蔵タンク40の底部42から抜き出して再使用する際に、抜き出される液化二酸化炭素中に空気が混入するおそれがある。抜き出す際には貯蔵タンク40内部の圧力が低下するために、沸騰して発泡する場合があり、このような場合には、貯蔵タンク40に液化二酸化炭素が残存している状態であっても、上部空間41の空気が混入することがある。そのような沸騰現象は、実際に貯蔵タンク40のレベルゲージ43から観察される。
【0047】
貯蔵タンク40の容量は、含浸処理槽10の容量などに応じて適当に設定されるが、安定的に二酸化炭素を供給できる容量を確保するには、200リットル以上であることが好ましく、500リットル以上であることがより好ましい。図1の例では800リットルである。上述のような空気の混入による問題を解決するためには、貯蔵タンク40の容量を大きくすればよいが、貯蔵タンク40は圧力容器であるために、この容量を大きくする場合には、設備コストが大きく上昇する。
【0048】
貯蔵タンク40の上部空間41の気体中における空気の混入量については、その気体をサンプリングして、ガスクロマトグラフによって定量することが可能である。そして、その分析結果にしたがって、空気が混入した二酸化炭素ガスを、タンク上部から引き出された配管に設けられたバルブ44を開いて排出する。しかしながら、空気の混入量が多い場合には、定量分析やバルブ開放の頻度が増加して、作業負担が増大するし、同時に二酸化炭素も放出してしまうことになる。本発明の含浸処理方法によれば、空気の混入量を大きく低減させられるので、このような問題が改善される。
【0049】
貯蔵タンク40の底部42から抜き出された液化二酸化炭素は、バルブ54とバルブ55を介してその後の工程へ送られる。バルブ54とバルブ55の間には受入タンク50と接続された配管が分岐している。受入タンク50には、購入した未使用の液化二酸化炭素が保管されており、これから、バルブ51、搬送ポンプ52及びバルブ53を介して液化二酸化炭素が供給される。搬送ポンプ52の運転と、バルブ53,54,55の切り替え操作によって、回収再使用する二酸化炭素に、適宜未使用の液化二酸化炭素を追加して使用することができる。貯蔵タンク40から導出され、バルブ54とバルブ55を通過した液化二酸化炭素は、加圧ポンプ56で加圧され、バルブ57を介してヒーター58で加熱され、バルブ59を介して含浸処理槽10に供給される。
【0050】
液化二酸化炭素中に空気が混入した場合には、加圧ポンプ56で加圧する際に加圧能力が低下するおそれがある。したがって、本発明の含浸処理方法によって空気の混入を防止することが重要である。使用される加圧ポンプ56としては、ダイヤフラムポンプやプランジャーポンプが例示されるが、液漏れがない点からダイヤフラムポンプが好適に使用される。しかしながら、ダイヤフラムポンプは、内部に気泡が混入することによって性能が低下しやすいので、二酸化炭素中に空気が混入するのを防ぐことが特に重要である。
【0051】
こうして、加圧、加熱された二酸化炭素が供給されて、所望の条件の超臨界二酸化炭素で含浸処理槽10が満たされ、含浸処理が行われる。このようにして、二酸化炭素が回収再使用される。染色操作を例に取れば、超臨界二酸化炭素中で繊維製品を染色する場合には、水を媒体として染色する場合に比べて、排水を排出しないために、元々環境に優しいプロセスである。これに加えて、染色後の繊維製品を乾燥するエネルギーを要さない点で、エネルギー的にも優れている。しかも、このように媒体の二酸化炭素を回収再使用することもできるから、環境保護の面からも極めて意義深いプロセスである。
【0052】
【実施例】
実施例1
図1に示す含浸処理装置を用いて染色加工を行った。まず、含浸処理槽10中の回転カゴ12内にナイロン布を10kg投入した。ドア11を閉めてから、バルブ13を開き、真空ポンプ14によって含浸処理槽10内の空気を減圧排気した。このとき、ジャケット16内には熱媒のオイルを循環させた。10分間減圧排気することによって、含浸処理槽10内は、大気圧(0.1MPa)から60mmHg(0.008MPa)まで減圧され、そのとき、含浸処理槽10内の温度計15は100℃を示した。引き続き、60mmHgの減圧条件下に20分間保持すると、その間に温度計15の示す温度は120℃まで上昇して一定となった。20分後、バルブ13を閉じ、回転カゴ12を回転させながら、バルブ59を開いて、含浸処理槽10内を超臨界二酸化炭素で満たした。
【0053】
含浸処理槽10の体積(450リットル)の1体積%のエタノール(4.5リットル)に、0.2owfの分散染料を溶解し、共溶媒槽23に投入した。使用した分散染料は日本化薬株式会社製「KAYASET Yellow A−G」である。含浸処理槽10内を超臨界二酸化炭素で満たした後で、共溶媒供給ポンプ24を運転し、バルブ25を開いて染料溶液を含浸処理槽10に供給した。120℃、19MPaで回転カゴ12の回転を継続しながら、30分間染色加工を行った。30分経過後、減圧バルブ30を開いて含浸処理槽10内の流体を排出し、ドア11を開けて染色されたナイロン布を取り出した。
【0054】
得られたナイロン布の着色度をトータルK/Sにて評価した。トータルK/Sは400nm〜700nmの測定範囲で20nmおきに測定した16波長でのK/S値16個を合計した値であり、倉敷紡績株式会社製色度計AUCOLOR NF(2視野、光源FL40SW)により測定したものである。その結果、トータルK/Sの値は113であった。
【0055】
減圧バルブ30で減圧された二酸化炭素をガス分離槽31に導き、そこで共溶媒及び未染着染料と分離し、コンプレッサー34で圧縮して、貯蔵タンク40に液化二酸化炭素として貯蔵した。そして、貯蔵した液化二酸化炭素を、加圧ポンプ56及びヒーター58で加圧及び加熱して、含浸処理槽10へ供給して再使用した。このような条件で染色操作を繰り返し、回収された二酸化炭素を何度再使用しても、加圧ポンプ56の能力低下は認められなかった。
【0056】
実施例2
60mmHgの減圧条件下で20分間加熱する操作を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして、染色加工を行った。すなわち、10分間減圧排気することによって、60mmHgまで減圧し、含浸処理槽10内の温度計15が100℃を示したところで、すぐにバルブ59を開いて、含浸処理槽10内を超臨界二酸化炭素で満たした。その後の操作は実施例1と同様にして染色されたナイロン布を得た。得られたナイロン布のトータルK/Sの値は92であった。実施例1で得られたナイロン布に比べて染色濃度が低く、減圧加熱処理によって水分を除去すれば染色性が向上することが示された。
【0057】
比較例1
含浸処理槽10内の空気を減圧排気する操作を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして、染色加工を行った。すなわち、含浸処理槽10内にナイロン布を投入してドア11を閉めてから、すぐにバルブ59を開いて、含浸処理槽10内を超臨界二酸化炭素で満たした。その後の操作は実施例1と同様にして染色されたナイロン布を得た。得られたナイロン布のトータルK/Sの値は88であった。実施例2で得られたナイロン布に比べてもさらに染色濃度が低くなっており、ナイロン布中により多くの水分が残存しているようである。
【0058】
この条件で、染色操作を繰り返し行い、二酸化炭素を回収再使用した。しかしながら、繰り返し染色回数が20回程度になったところで、加圧ポンプ56の能力低下が認められるようになった。これは、貯蔵タンク40中に蓄積した空気が加圧ポンプに混入したためと推定される。
【0059】
【発明の効果】
本発明の含浸処理方法によれば、回収された二酸化炭素中への空気の混入を低減することができる。特に、工業生産に際して大規模な装置を用いて大量の超臨界二酸化炭素中で繰り返し含浸操作を行って、大量の基材に対して含浸処理する場合にも、空気の蓄積による工程上のトラブルを防止することが可能になる。また、含浸処理時に存在する水分の悪影響を防ぐことのできる含浸処理方法を提供することもできる。そして、周辺環境への排出物量の低減された、環境に配慮した含浸処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様の一例を示す含浸処理装置を示した図である。
【符号の説明】
10 含浸処理槽
11 ドア
12 回転カゴ
14 真空ポンプ
15 温度計
16 ジャケット
20 熱媒供給装置
23 共溶媒槽
24 共溶媒供給ポンプ
30 減圧バルブ
31 ガス分離槽
34 コンプレッサー
40 貯蔵タンク
41 上部空間
50 受入タンク
52 搬送ポンプ
56 加圧ポンプ
58 ヒーター

Claims (10)

  1. 超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させる含浸処理方法において、大気中で基材を含浸処理槽内に投入した後、含浸処理槽を密閉し、含浸処理槽内の空気を減圧排気してから二酸化炭素を導入して、超臨界二酸化炭素中で含浸させることを特徴とする含浸処理方法。
  2. 減圧排気する際に含浸処理槽が加熱されている請求項1記載の含浸処理方法。
  3. 所定の減圧度に到達した後、減圧排気操作を継続しながら基材を加熱し、その後二酸化炭素を導入する請求項1又は2記載の含浸処理方法。
  4. 予め乾燥処理した基材を含浸処理槽に投入する請求項1〜3のいずれか記載の含浸処理方法。
  5. 共溶媒を含有する超臨界二酸化炭素中で含浸させる請求項1〜4のいずれか記載の含浸処理方法。
  6. 含浸処理槽内において超臨界二酸化炭素中で含浸させた後に、含浸処理後の流体を含浸処理槽からガス分離装置に導入し、ガス分離装置で含浸物質を除去し、得られた二酸化炭素ガスを回収して再使用する請求項1〜5のいずれか記載の含浸処理方法。
  7. 前記基材が繊維製品である請求項1〜6のいずれか記載の含浸処理方法。
  8. 前記含浸物質が染料である請求項1〜7のいずれか記載の含浸処理方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか記載の含浸処理方法により含浸処理された製品。
  10. 超臨界二酸化炭素中で含浸物質を基材に含浸させるための含浸処理装置において、含浸処理槽を加熱する手段を有し、かつ含浸処理槽内の空気を減圧排気する手段を有することを特徴とする含浸処理装置。
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