JP2004285005A - アミン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒の選択率を維持しながら効率的にアミン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とするアミン化合物の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とするアミン化合物の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法に関する。さらに詳細には、かかるアミン化合物を製造する際に、反応器入口温度を時間の経過とともに低下させながら反応を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
接触反応を利用して有機化合物を製造する方法は、工業的に極めて有効な方法である。しかしながら、用いる触媒の活性が永久に維持されれば好ましいが、大部分の触媒は、長期間の使用に伴い、活性低下を起こしてしまう。
【0003】
触媒の活性が低下した場合には、例えば、反応温度を上昇させることによって低下した活性を補う方法が採用されている。これは、一般的に、反応温度を上昇させると、反応速度が上昇するからである。
【0004】
しかしながら、マイクロポーラスマテリアル触媒を用いその形状選択性を利用した反応では、触媒の活性が低下した場合に反応温度を上昇させると、触媒の選択性能が低下するという問題点があった。
【0005】
一方、アルカノールアミンの製造方法において、反応のスタート時に所定温度より高い温度から所定温度に反応器入口温度を低下させることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、目的とする原料濃度で実施する定常運転状態に達する前の非定常状態における反応の温度条件の低下に関するものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−355576号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消するとともに、定常運転または反応状態において、触媒の持つ高い選択性を維持しながら効率的にアミン化合物を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とするアミン化合物の製造方法、によって達成される。
【0009】
前記反応器入口温度を、連続的におよび/または階段状に低下させることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
アンモニアとエチレンオキシドとをマイクロポーラスマテリアル触媒の存在下に、断熱反応器を用いて反応させてエタノールアミンを製造する際に、反応を長時間続けていると触媒の選択性が低下した。そこで、反応温度を上昇させて触媒の選択性の向上を図ったが、目的とする選択性を向上させることはできなかった。本発明者らは、触媒活性が劣化した触媒の使用方法について鋭意検討した結果、反応器入口温度を上昇させるのではなくて、徐々に低下させながら反応を行うと触媒の選択性を低下させることなく、反応を継続できることを見出したのである。この知見に基づいて、本発明を案出した。
【0011】
本発明の製造方法は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明で使用できるマイクロポーラスマテリアル触媒としては、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物を反応させて対応するアミン化合物を製造できれば特に制限されることはなく、例えばゼオライト、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート(AlPO),結晶性メタロアルミノフォスフェート(MAPO),結晶性シリコンアルミノフォスフェート(SAPO)を例示できる。より具体的には、例えば、ゼオライト系の触媒であり、有効細孔径が0.45nmないし0.8nmであるマイクロポーラスマテリアルであり、好ましくはマイクロポーラスマテリアルを希土類でイオン交換および/または表面処理した触媒を用いるのがよい。上記有効なミクロ細孔径の範囲は、反応原料が細孔内に拡散することが困難となって活性が低下することなく、例えばアルキレンオキシドを原料とした場合には、逆にトリアルカノールアミンが細孔内で生成することがなく、ジアルカノールアミンの選択率が低下することがない点で好ましい。マイクロポーラスマテリアルとしては、MFI型アルミノシリケート(いわゆるZSM−5)、MFI型フェリシリケート、MEL型アルミノシリケート(いわゆるZSM−11)、BEAなどが適当である。イオン交換する希土類元素としては、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、テルビウム、イッテルビウムなどが用いられる。中でも、入手容易なイットリウム、ランタン、セリウムなどが好適である。内部に大きなキャビティを有するX型やY型ゼオライトは、このキャビティで大きな分子が生成できるので、細孔出入口の細孔径から期待される形状選択性を示すことは少ない。また、細孔外での反応は形状選択性が期待できないため、結晶1次粒子の外表面を外表面処理することが好ましい。外表面処理としては、高温でのスチーミング処理、四塩化珪素処理、アルコキシシラン処理等が挙げられる。触媒の大きさは、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物を反応させて対応するアミン化合物を製造できれば特に制限されることはなく、反応器の大きさ、反応量などによって変化するが、通常、0.4〜20.0mmの範囲である。
【0013】
触媒の調製方法としては、メタロシリケートは、通常、シリカ源・金属源と構造指示剤を水中に分散させ、オートクレーブ中で加熱するいわゆる水熱合成法やシリカ源・金属源と構造指示剤を濃縮乾固したゲルをオートクレーブ中で水蒸気と接触させるいわゆるドライゲル法などで調製できる。また、アルミノフォスフェート(ALPO)、メタロアルミノフォスフェート(MAPO)、シリコンアルミノフォスフェート(SAPO)もリン酸を用いる以外は、同じように水熱合成によって調製できる。また、ZSM−5、BEAなどは市販されているので、これらを用いてもよい。通常、水熱合成では生成したマイクロポーラスマテリアル中のイオン交換サイトにはアルカリ金属イオンが対カチオンとして含まれる。その状態では活性が低いことが多いので、アルカリ金属イオンを一旦NH4 +イオンでイオン交換し、その後、高温で焼成することによってプロトン型に交換することができる。また、一旦NH4 +イオンでイオン交換を行った後、多価カチオンでもう一度イオン交換することもでき、特に希土類元素で交換すると、活性、選択性とも向上することが多いので好ましい。
【0014】
工業的な利用においては、触媒を成形することが好ましい。触媒の形状としては特に制限はされないが、球形、円柱、中空円柱状のものを例示できる。メタロシリケートなどのマイクロポーラスマテリアル類は非常に微細な結晶からなっており、単独では成形性が非常に悪い。このため、成形するためには成形助剤あるいはバインダーを用いることが好ましい。その場合の成形助剤・バインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの各種酸化物ゾルや粘土鉱物類などが用いられる。成形性の改善の面からはスメクタイト系やカオリンのような粘土鉱物が好ましい。成形助剤を使用する場合には、成形助剤の使用量は触媒が成形されれば特に制限はされないが、マイクロポーラスマテリアル100質量部に対し、通常、50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下の範囲である。また、成形してある程度の大きさになった触媒において、触媒内部の拡散の影響による活性・選択性の低下を防止するため、細孔容積を大きくすることが好ましい。このため、成形時に細孔形成剤を加えて成形し、焼成操作によって除去して、細孔容積を増加させることが好ましい。この細孔形成剤としては、例えば硝酸アンモニウム・酢酸アンモニウムなどの各種アンモニウム塩、蓚酸・尿素などの有機化合物、各種ポリマー・繊維などの非水溶性有機化合物などが挙げられる。細孔の生成効率、成形のし易さなどの面から非水溶性化合物が好適に使用でき、その非水溶性有機化合物としてはある程度吸湿性が有り、微細な粉体になっており数百度の高温処理で燃焼除去可能で有ればよく、特に結晶性セルロースが取り扱い性の面で好ましい。結晶性セルロースとしては、ろ紙や粉砕した粉末や、パルプを粉砕した粉体などが用いられる。結晶性セルロースなどの有機物の細孔形成剤を用いるときは、単なる加熱処理では分解できないので、酸素を含む窒素、ヘリウム、二酸化炭素などの気体中(空気を用いるのが便利である)で燃焼除去する。
【0015】
断熱反応器とは、外部との熱交換がない反応器をいう。断熱材などを用いて熱の出入りを抑えた反応器などをいうが、現実的には若干の放熱が発生するため電気ヒーターやスチームジャケットなどで放熱分の熱量を補ってもよい。反応原料は、反応器に対し、アップフローまたはダウンフローで導入することが可能であるが、反応熱の除去の点からアップフローが好ましい。反応原料の形態は、液相、気相であってもよいが、反応温度の制御のし易さから、液相の反応に適している。
【0016】
反応器内には粒状の固体触媒が充填されているが、通液の際に触媒が飛散しないように、通常、触媒層の入口および出口にビーズやフィルターなどの触媒層を支持する構造物(触媒支持体)を設置できる。この材料が金属であると、腐食することから耐腐食性の材料のフィルターを用いることが好ましい。この材料としては、非金属材料が好ましく、耐熱性の観点から非金属の無機材料がより好ましい。非金属の無機材料としては、SiO2,Al2O3,ZrO2などやそれらの複合酸化物・混合物であるセラミックスやガラスなどが例示される。鉄系材料を使用する場合には、耐食性が向上することから、ガラスライニング、ホウロウ加工などを施すことが好ましい。触媒層の入口において、触媒支持体の反応器入口から充填する触媒層までの長さは、触媒反応に影響を与えない長さであれば特に制限されることはないが、例えば、50mm〜1000mmの範囲を例示できる。
【0017】
反応は、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法であれば、特に制限されることはないが、アンモニアと反応し得る有機化合物がアルキレンオキシドで対応するアミン化合物がアルカノールアミン、またはアンモニアと反応し得る有機化合物がオレフィンで対応するアミン化合物がアルキルアミンであることが好ましい。ここで、アルキレンオキシドは、次の化学式(1):
【0018】
【化1】
【0019】
(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)で表されるアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドが例示される。アルカノールアミンの具体例として、次の化学式(2):
【0020】
【化2】
【0021】
(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は化学式(1)と同じである)で表されるモノアルカノールアミン、次の化学式(3):
【0022】
【化3】
【0023】
(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は化学式(1)と同じである)で表されるジアルカノールアミン;トリアルカノールアミンなどが例示される。なかでも、2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドに対応するモノ−、ジ−アルカノールアミンが好ましい。
【0024】
オレフィンとしては、炭素原子数2〜10の、不飽和オレフィンを例示できる。アルキルアミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミンなど、オレフィンに対応する1,2,3級アミンを例示できる。
【0025】
反応は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物が得られ条件であれば特に制限されることはないが、次の条件を挙げることができる。反応温度は、常温〜200℃、反応圧は8〜15MPa程度が好ましい。反応器内を流れる液量は、通常、5kg/Hr以上であり、5〜60,000kg/Hrの範囲が好ましい。このとき、LHSV(液空間速度)は、反応温度、触媒の種類や使用量によって変るが、通常、0.5〜100hr−1の範囲である。反応は、通常行われている方法であれば特に制限されることはないが、例えば複数の反応器を備え、少なくとも1つの反応器で反応を行いながら、残りの反応器中で触媒を再生する方法を挙げることができる。また、反応は反応生成物の少なくとも一部をリサイクルする方法を挙げることができる。その際に、反応生成物のリサイクル率は、特に制限はされないが、例えば、全反応物量の、通常、5〜90容量%、好ましくは10〜80容量%、さらに好ましくは20〜70容量%の範囲が望ましい。ここで、リサイクル率は下記式で表される。
【0026】
リサイクル率=(A/B)x100
ただし、式中、A=リサイクルに供したアミン化合物量
B=アンモニアと有機化合物の反応で生成したアミン化合物量。
【0027】
リサイクル液量が少なすぎると、エチレンオキシド濃度を上げることができず、ジエタノールアミンを多く得ることができないからである。一方、リサイクル量が多すぎると、生産量に対する反応器入口流量が多過ぎて効率が悪くなってしまう。得られた反応生成物の一部を反応器にリサイクルさせる位置は、反応効率の面から、反応器の入口が好ましい。
【0028】
以下、エタノールアミンをアミン化合物の代表例として説明する。
【0029】
反応器入口温度の低下は、触媒活性の劣化の後に行うことが好ましい。ここで、触媒活性の劣化は、反応器に充填された触媒層について、反応器入口温度を一定として、反応中の温度を入口から出口方向に沿って測定した(以下、単に温度分布の測定ともいう)場合に、温度分布に肩の形状が現れた場合をいう。図1において、例えば温度測定長900〜1200mm辺りに現れる傾斜の緩やかな個所をいう。一方、温度分布の測定において、温度分布がシャープな形状であれば触媒の活性または選択性が高いといえる。エタノールアミンの場合には、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンの収率が高い、なかでもジエタノールアミンの収率が高い。図1において、例えば温度測定長900〜1100mm辺りに現れる傾斜の急な個所をいう。
【0030】
触媒活性の劣化前の反応器入口温度は、最高活性または最適選択性が得られる温度よりも高い温度であれば特に制限されることはないが、例えば最高活性または最適選択性が得られる温度を含めて、その温度よりも0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃温度を上げて反応を開始することが望ましい。後述のエタノールアミンの場合、最適選択性の得られる温度を45℃とすると、15℃高い60℃から反応を開始することが好ましい。このような方法により、触媒層入口部の触媒細孔の劣化度合を大きくし、その部分での反応熱を少なくすることによって、無触媒反応の起こり易い中間部分の温度を相対的に下げ、無触媒反応を抑制し、選択性の低下を緩和できるからである。
【0031】
反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行う。温度を低下させる方法は、反応時間の経過とともに実質的に低下させることができれば特に制限されることはなく、例えば温度分布を測定しながら低下させる方法、または連続的に、階段状に、連続的を主として部分的に階段状に、階段状を主として部分的に連続に低下させる方法が含まれる。ここで、階段状の場合には、階段の先端部を結んだ場合に、直線を形成することが好ましい。なお、ここで、「実質的に」とは、温度を下げ過ぎた後、再度温度を上げて、その後低下することも含まれる。ある触媒について、反応時間の経過とともに温度分布の測定して、温度分布のデータを集め、その後は、そのデータに沿って連続的に及び又は階段状に温度を低下させることが好ましい。
【0032】
反応器入口温度の低下速度は、温度を低下できれば特に制限されることはないが、例えば0.001℃/分〜0.05℃/分、好ましくは0.005℃/分〜0.02/分の温度勾配を挙げることができる。
【0033】
本発明方法において、触媒の選択性が維持できる理由は次のように考えられる。ジエタノールアミン製造用のゼオライト触媒は、ジエタノールアミンに起因する触媒細孔の閉塞により活性の経時的な劣化が生ずる。劣化した部分では、非選択的な無触媒反応または触媒外表面での反応が起こるため、選択性も経時的に低下していく。無触媒反応ではエタノールアミン自身が触媒となるため、リサイクル系の反応においてエタノールアミン類が入ってくる場合や、触媒層長が長くて生成したエタノールアミン類が影響を与える場合には、その影響を無視することはできない。他方、触媒外表面での反応は、触媒細孔の劣化度合を大きくすれば外表面の活性点も劣化することから選択性の低下を回避できる。触媒細孔の劣化度合を大きくし外表面での反応速度を低下させることで、副次的な効果も生ずる。それは、反応速度の低下により反応熱が少なくなることで、反応物の温度が低下し、無触媒反応の反応速度も低く抑えることができる。
【0034】
反応は、予熱はしているものの、断熱反応器での反応であるため、触媒層の入口部では、触媒層温度が低い。そのため、反応速度が遅く、モノエタノールアミンなどをリサイクルしない場合にはジエタノールアミンの生成量が少なくて、触媒細孔の閉塞はあまり進まないことから、触媒劣化の進行速度が遅い。これに対し、触媒層の中間部分では、触媒層入口部分での反応熱により触媒層および反応物の温度が上がって反応速度が上昇することから、触媒の劣化が激しく、無触媒反応も起こりやすい。その結果、触媒の選択性が低下する。
【0035】
これらの触媒の活性低下を避けるため、触媒層入口の温度を反応初期は高くし、徐々に下げていくことにより、触媒層入口部の触媒劣化度合いを大きくし、その部分での反応熱を少なくすることによって、無触媒反応の起こりやすい中間部分の温度を下げ、無触媒反応を抑制することによって、触媒の選択性低下を緩和できる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0037】
エタノールアミンをアミン化合物の代表例として用いた。
【0038】
(エタノールアミン製造用触媒)
アルミン酸ナトリウム109gを、0.1mol/L(リットル)濃度の水酸化テトラnプロピルアンモニウム(以下、TAPOHと称する。)水溶液2293gに溶解させた。蒸留水で全量を3000mLとした。120℃で1昼夜の間乾燥したシリカビーズ(富士シリシア化学社製「キャリアクトQ−50」、10〜20メッシュ、平均細孔径50nm、機械的強度29.4ニュートン)2042gを、前記水溶液3000mLに1時間浸透させた。シリカビーズ上にアルミン酸ナトリウムとTPAOHを担持した。
【0039】
これを乾燥機に移し、窒素雰囲気下において80℃で8時間乾燥した。得られた前駆体をテフロン(登録商標)カップに入れ、容積10Lのオートクレーブの中空に設置した。容器の底に100gの蒸留水を入れ、170℃で8時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却し、取り出した生成物を、蒸留水50Lで水洗した。さらに60℃に加熱した1Nの硝酸アンモニウム50Lに1時間浸し、水洗した。この操作を3回実施し、その後120℃で5時間乾燥した。得られた白色固体を、空気雰囲気下において550℃で3時間焼成した。
【0040】
この生成物を、硝酸ランタン・6水和物102.5gをイオン交換水10Lに溶解した溶液に加え、蒸発乾固してゼオライトにランタン化合物を均一に付着させた後、120℃で5時間乾燥した。得られた白色固体はさらに空気雰囲気下において、550℃で3時間焼成し、触媒を得た。
【0041】
(反応条件)
充填触媒量:2.54kg
予熱器:設定温度20℃〜100℃の任意の値
反応器は、入口から約900mmまでガラスビーズを充填した後、触媒を充填した。入口方向から出口方向の触媒層の温度分布を測定するために、移動可能な温度計を内臓できる保護管を反応器に設置した。
【0042】
反応器入口液平均組成:
アンモニア:8.76kg/hr、エチレンオキシド(EO):2.38kg/hr、エタノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンの混合物:EAs):2.01kg/hr(リサイクル品:1.28kg/hr、添加モノエタノールアミン(MEA):0.67kg/hr)。
【0043】
液体空間速度(LHSV)=5.2hr−1
反応器入口のEO濃度:18.1質量%
EAsリサイクル率:26.0%
(実施例1)
上記の反応条件で、反応器入口温度を、60℃(反応開始0〜12時間)、50℃(反応開始12〜24時間)、40℃(反応開始24〜36時間)に設定して反応を行った。触媒層の温度分布を経時的に測定し、図1に示す。さらに、反応で得られた生成物の比率を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
MEA:モノエタノールアミン
DEA:ジエタノールアミン
TEA:トリエタノールアミン
図1において、反応器入口温度を60℃まで上げた影響により、触媒層入口部分の温度の立ち上がりが著しかった。
【0046】
反応0〜12時間では、触媒層入口(918mm)〜1400mmの間で反応が終了していた。これは、反応温度が高いことから触媒反応がわずかな触媒層長で起こっていることを示している。
【0047】
次に、温度を50℃まで温度を下げると、触媒層入口〜1400mmの間での温度上昇がわずかになった。これは、12時間(入口温度60℃)までに1400mmまでの触媒が劣化し、入口温度を下げたことによって、1400mmまでの触媒層では反応がほとんど進行せず、1400mm以降で触媒反応が進行していることを示している。
【0048】
同様に、入口温度40℃の反応では、1900mmまでは温度上昇がほとんどなく、1900mm以降で反応が進んだことを示している。
【0049】
(比較例1)
上記の反応条件で、反応器入口温度を45℃に設定して反応を行った。触媒層の温度分布を経時的に測定し、図2に示す。さらに、反応で得られた生成物の比率を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(実施例1と比較例1との比較)
図1では、反応器入口温度を変化(60℃→50℃→40℃)させた実験であり、図2では、該温度を45℃一定とした実験である。
【0052】
最初に、図1では入口温度によって触媒反応が生ずる層間がある程度決まっていた。これに対し、図2では、反応温度80℃までは温度分布にはほとんど変化が見られない。触媒劣化は80℃までの1200mm付近まではあまり進行せず、温度が高くなるに従って促進される傾向がある。したがって、触媒層長1200mm以降の触媒は劣化が見られるため、時間の経過とともに無触媒反応が進行し、選択性が低下すると推測される。
【0053】
反応開始直後の45℃と60℃の反応を比較すると、45℃の方の選択性が若干高い。これは、反応器入口温度が高くなると、非選択的反応が起こりやすくなり、選択性が低下するからである。
【0054】
次に、12〜24時間の反応では、反応器入口温度が高い50℃の方の選択性が上昇している。図1と図2の温度分布で比較すると、反応器入口温度を変化させる反応では、60℃において入口部分の触媒が劣化する。入口温度を下げると、この部分の活性が低くなるので、非選択的な反応が進行し難くなる。また、それ以降の触媒層では、触媒が劣化しておらず、選択的な触媒反応が優先する。これに対し、45℃一定の反応では、1300〜1475mmの層間では触媒が劣化しているものの、60℃に比べて劣化度合が低く、非選択的な反応が進行しているため、選択性が低下していると推測される。このため、温度を変化させる反応では、触媒の選択性が上昇した。なお、ここで、非選択的な反応とは、無触媒反応または触媒の外表面で起こる反応をいう。この反応では、触媒の外表面では選択性はない。
【0055】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことによって、高い選択性を維持しながら効率的にアミン化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の方法に基づく反応の一例における触媒層の温度分布を示す図面である。
【図2】は、従来の方法に基づく反応の一例における触媒層の温度分布を示す図面である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法に関する。さらに詳細には、かかるアミン化合物を製造する際に、反応器入口温度を時間の経過とともに低下させながら反応を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
接触反応を利用して有機化合物を製造する方法は、工業的に極めて有効な方法である。しかしながら、用いる触媒の活性が永久に維持されれば好ましいが、大部分の触媒は、長期間の使用に伴い、活性低下を起こしてしまう。
【0003】
触媒の活性が低下した場合には、例えば、反応温度を上昇させることによって低下した活性を補う方法が採用されている。これは、一般的に、反応温度を上昇させると、反応速度が上昇するからである。
【0004】
しかしながら、マイクロポーラスマテリアル触媒を用いその形状選択性を利用した反応では、触媒の活性が低下した場合に反応温度を上昇させると、触媒の選択性能が低下するという問題点があった。
【0005】
一方、アルカノールアミンの製造方法において、反応のスタート時に所定温度より高い温度から所定温度に反応器入口温度を低下させることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、目的とする原料濃度で実施する定常運転状態に達する前の非定常状態における反応の温度条件の低下に関するものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−355576号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消するとともに、定常運転または反応状態において、触媒の持つ高い選択性を維持しながら効率的にアミン化合物を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とするアミン化合物の製造方法、によって達成される。
【0009】
前記反応器入口温度を、連続的におよび/または階段状に低下させることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
アンモニアとエチレンオキシドとをマイクロポーラスマテリアル触媒の存在下に、断熱反応器を用いて反応させてエタノールアミンを製造する際に、反応を長時間続けていると触媒の選択性が低下した。そこで、反応温度を上昇させて触媒の選択性の向上を図ったが、目的とする選択性を向上させることはできなかった。本発明者らは、触媒活性が劣化した触媒の使用方法について鋭意検討した結果、反応器入口温度を上昇させるのではなくて、徐々に低下させながら反応を行うと触媒の選択性を低下させることなく、反応を継続できることを見出したのである。この知見に基づいて、本発明を案出した。
【0011】
本発明の製造方法は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明で使用できるマイクロポーラスマテリアル触媒としては、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物を反応させて対応するアミン化合物を製造できれば特に制限されることはなく、例えばゼオライト、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート(AlPO),結晶性メタロアルミノフォスフェート(MAPO),結晶性シリコンアルミノフォスフェート(SAPO)を例示できる。より具体的には、例えば、ゼオライト系の触媒であり、有効細孔径が0.45nmないし0.8nmであるマイクロポーラスマテリアルであり、好ましくはマイクロポーラスマテリアルを希土類でイオン交換および/または表面処理した触媒を用いるのがよい。上記有効なミクロ細孔径の範囲は、反応原料が細孔内に拡散することが困難となって活性が低下することなく、例えばアルキレンオキシドを原料とした場合には、逆にトリアルカノールアミンが細孔内で生成することがなく、ジアルカノールアミンの選択率が低下することがない点で好ましい。マイクロポーラスマテリアルとしては、MFI型アルミノシリケート(いわゆるZSM−5)、MFI型フェリシリケート、MEL型アルミノシリケート(いわゆるZSM−11)、BEAなどが適当である。イオン交換する希土類元素としては、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、テルビウム、イッテルビウムなどが用いられる。中でも、入手容易なイットリウム、ランタン、セリウムなどが好適である。内部に大きなキャビティを有するX型やY型ゼオライトは、このキャビティで大きな分子が生成できるので、細孔出入口の細孔径から期待される形状選択性を示すことは少ない。また、細孔外での反応は形状選択性が期待できないため、結晶1次粒子の外表面を外表面処理することが好ましい。外表面処理としては、高温でのスチーミング処理、四塩化珪素処理、アルコキシシラン処理等が挙げられる。触媒の大きさは、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物を反応させて対応するアミン化合物を製造できれば特に制限されることはなく、反応器の大きさ、反応量などによって変化するが、通常、0.4〜20.0mmの範囲である。
【0013】
触媒の調製方法としては、メタロシリケートは、通常、シリカ源・金属源と構造指示剤を水中に分散させ、オートクレーブ中で加熱するいわゆる水熱合成法やシリカ源・金属源と構造指示剤を濃縮乾固したゲルをオートクレーブ中で水蒸気と接触させるいわゆるドライゲル法などで調製できる。また、アルミノフォスフェート(ALPO)、メタロアルミノフォスフェート(MAPO)、シリコンアルミノフォスフェート(SAPO)もリン酸を用いる以外は、同じように水熱合成によって調製できる。また、ZSM−5、BEAなどは市販されているので、これらを用いてもよい。通常、水熱合成では生成したマイクロポーラスマテリアル中のイオン交換サイトにはアルカリ金属イオンが対カチオンとして含まれる。その状態では活性が低いことが多いので、アルカリ金属イオンを一旦NH4 +イオンでイオン交換し、その後、高温で焼成することによってプロトン型に交換することができる。また、一旦NH4 +イオンでイオン交換を行った後、多価カチオンでもう一度イオン交換することもでき、特に希土類元素で交換すると、活性、選択性とも向上することが多いので好ましい。
【0014】
工業的な利用においては、触媒を成形することが好ましい。触媒の形状としては特に制限はされないが、球形、円柱、中空円柱状のものを例示できる。メタロシリケートなどのマイクロポーラスマテリアル類は非常に微細な結晶からなっており、単独では成形性が非常に悪い。このため、成形するためには成形助剤あるいはバインダーを用いることが好ましい。その場合の成形助剤・バインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの各種酸化物ゾルや粘土鉱物類などが用いられる。成形性の改善の面からはスメクタイト系やカオリンのような粘土鉱物が好ましい。成形助剤を使用する場合には、成形助剤の使用量は触媒が成形されれば特に制限はされないが、マイクロポーラスマテリアル100質量部に対し、通常、50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下の範囲である。また、成形してある程度の大きさになった触媒において、触媒内部の拡散の影響による活性・選択性の低下を防止するため、細孔容積を大きくすることが好ましい。このため、成形時に細孔形成剤を加えて成形し、焼成操作によって除去して、細孔容積を増加させることが好ましい。この細孔形成剤としては、例えば硝酸アンモニウム・酢酸アンモニウムなどの各種アンモニウム塩、蓚酸・尿素などの有機化合物、各種ポリマー・繊維などの非水溶性有機化合物などが挙げられる。細孔の生成効率、成形のし易さなどの面から非水溶性化合物が好適に使用でき、その非水溶性有機化合物としてはある程度吸湿性が有り、微細な粉体になっており数百度の高温処理で燃焼除去可能で有ればよく、特に結晶性セルロースが取り扱い性の面で好ましい。結晶性セルロースとしては、ろ紙や粉砕した粉末や、パルプを粉砕した粉体などが用いられる。結晶性セルロースなどの有機物の細孔形成剤を用いるときは、単なる加熱処理では分解できないので、酸素を含む窒素、ヘリウム、二酸化炭素などの気体中(空気を用いるのが便利である)で燃焼除去する。
【0015】
断熱反応器とは、外部との熱交換がない反応器をいう。断熱材などを用いて熱の出入りを抑えた反応器などをいうが、現実的には若干の放熱が発生するため電気ヒーターやスチームジャケットなどで放熱分の熱量を補ってもよい。反応原料は、反応器に対し、アップフローまたはダウンフローで導入することが可能であるが、反応熱の除去の点からアップフローが好ましい。反応原料の形態は、液相、気相であってもよいが、反応温度の制御のし易さから、液相の反応に適している。
【0016】
反応器内には粒状の固体触媒が充填されているが、通液の際に触媒が飛散しないように、通常、触媒層の入口および出口にビーズやフィルターなどの触媒層を支持する構造物(触媒支持体)を設置できる。この材料が金属であると、腐食することから耐腐食性の材料のフィルターを用いることが好ましい。この材料としては、非金属材料が好ましく、耐熱性の観点から非金属の無機材料がより好ましい。非金属の無機材料としては、SiO2,Al2O3,ZrO2などやそれらの複合酸化物・混合物であるセラミックスやガラスなどが例示される。鉄系材料を使用する場合には、耐食性が向上することから、ガラスライニング、ホウロウ加工などを施すことが好ましい。触媒層の入口において、触媒支持体の反応器入口から充填する触媒層までの長さは、触媒反応に影響を与えない長さであれば特に制限されることはないが、例えば、50mm〜1000mmの範囲を例示できる。
【0017】
反応は、アンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法であれば、特に制限されることはないが、アンモニアと反応し得る有機化合物がアルキレンオキシドで対応するアミン化合物がアルカノールアミン、またはアンモニアと反応し得る有機化合物がオレフィンで対応するアミン化合物がアルキルアミンであることが好ましい。ここで、アルキレンオキシドは、次の化学式(1):
【0018】
【化1】
【0019】
(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)で表されるアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドが例示される。アルカノールアミンの具体例として、次の化学式(2):
【0020】
【化2】
【0021】
(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は化学式(1)と同じである)で表されるモノアルカノールアミン、次の化学式(3):
【0022】
【化3】
【0023】
(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は化学式(1)と同じである)で表されるジアルカノールアミン;トリアルカノールアミンなどが例示される。なかでも、2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドに対応するモノ−、ジ−アルカノールアミンが好ましい。
【0024】
オレフィンとしては、炭素原子数2〜10の、不飽和オレフィンを例示できる。アルキルアミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミンなど、オレフィンに対応する1,2,3級アミンを例示できる。
【0025】
反応は、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物が得られ条件であれば特に制限されることはないが、次の条件を挙げることができる。反応温度は、常温〜200℃、反応圧は8〜15MPa程度が好ましい。反応器内を流れる液量は、通常、5kg/Hr以上であり、5〜60,000kg/Hrの範囲が好ましい。このとき、LHSV(液空間速度)は、反応温度、触媒の種類や使用量によって変るが、通常、0.5〜100hr−1の範囲である。反応は、通常行われている方法であれば特に制限されることはないが、例えば複数の反応器を備え、少なくとも1つの反応器で反応を行いながら、残りの反応器中で触媒を再生する方法を挙げることができる。また、反応は反応生成物の少なくとも一部をリサイクルする方法を挙げることができる。その際に、反応生成物のリサイクル率は、特に制限はされないが、例えば、全反応物量の、通常、5〜90容量%、好ましくは10〜80容量%、さらに好ましくは20〜70容量%の範囲が望ましい。ここで、リサイクル率は下記式で表される。
【0026】
リサイクル率=(A/B)x100
ただし、式中、A=リサイクルに供したアミン化合物量
B=アンモニアと有機化合物の反応で生成したアミン化合物量。
【0027】
リサイクル液量が少なすぎると、エチレンオキシド濃度を上げることができず、ジエタノールアミンを多く得ることができないからである。一方、リサイクル量が多すぎると、生産量に対する反応器入口流量が多過ぎて効率が悪くなってしまう。得られた反応生成物の一部を反応器にリサイクルさせる位置は、反応効率の面から、反応器の入口が好ましい。
【0028】
以下、エタノールアミンをアミン化合物の代表例として説明する。
【0029】
反応器入口温度の低下は、触媒活性の劣化の後に行うことが好ましい。ここで、触媒活性の劣化は、反応器に充填された触媒層について、反応器入口温度を一定として、反応中の温度を入口から出口方向に沿って測定した(以下、単に温度分布の測定ともいう)場合に、温度分布に肩の形状が現れた場合をいう。図1において、例えば温度測定長900〜1200mm辺りに現れる傾斜の緩やかな個所をいう。一方、温度分布の測定において、温度分布がシャープな形状であれば触媒の活性または選択性が高いといえる。エタノールアミンの場合には、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンの収率が高い、なかでもジエタノールアミンの収率が高い。図1において、例えば温度測定長900〜1100mm辺りに現れる傾斜の急な個所をいう。
【0030】
触媒活性の劣化前の反応器入口温度は、最高活性または最適選択性が得られる温度よりも高い温度であれば特に制限されることはないが、例えば最高活性または最適選択性が得られる温度を含めて、その温度よりも0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃温度を上げて反応を開始することが望ましい。後述のエタノールアミンの場合、最適選択性の得られる温度を45℃とすると、15℃高い60℃から反応を開始することが好ましい。このような方法により、触媒層入口部の触媒細孔の劣化度合を大きくし、その部分での反応熱を少なくすることによって、無触媒反応の起こり易い中間部分の温度を相対的に下げ、無触媒反応を抑制し、選択性の低下を緩和できるからである。
【0031】
反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行う。温度を低下させる方法は、反応時間の経過とともに実質的に低下させることができれば特に制限されることはなく、例えば温度分布を測定しながら低下させる方法、または連続的に、階段状に、連続的を主として部分的に階段状に、階段状を主として部分的に連続に低下させる方法が含まれる。ここで、階段状の場合には、階段の先端部を結んだ場合に、直線を形成することが好ましい。なお、ここで、「実質的に」とは、温度を下げ過ぎた後、再度温度を上げて、その後低下することも含まれる。ある触媒について、反応時間の経過とともに温度分布の測定して、温度分布のデータを集め、その後は、そのデータに沿って連続的に及び又は階段状に温度を低下させることが好ましい。
【0032】
反応器入口温度の低下速度は、温度を低下できれば特に制限されることはないが、例えば0.001℃/分〜0.05℃/分、好ましくは0.005℃/分〜0.02/分の温度勾配を挙げることができる。
【0033】
本発明方法において、触媒の選択性が維持できる理由は次のように考えられる。ジエタノールアミン製造用のゼオライト触媒は、ジエタノールアミンに起因する触媒細孔の閉塞により活性の経時的な劣化が生ずる。劣化した部分では、非選択的な無触媒反応または触媒外表面での反応が起こるため、選択性も経時的に低下していく。無触媒反応ではエタノールアミン自身が触媒となるため、リサイクル系の反応においてエタノールアミン類が入ってくる場合や、触媒層長が長くて生成したエタノールアミン類が影響を与える場合には、その影響を無視することはできない。他方、触媒外表面での反応は、触媒細孔の劣化度合を大きくすれば外表面の活性点も劣化することから選択性の低下を回避できる。触媒細孔の劣化度合を大きくし外表面での反応速度を低下させることで、副次的な効果も生ずる。それは、反応速度の低下により反応熱が少なくなることで、反応物の温度が低下し、無触媒反応の反応速度も低く抑えることができる。
【0034】
反応は、予熱はしているものの、断熱反応器での反応であるため、触媒層の入口部では、触媒層温度が低い。そのため、反応速度が遅く、モノエタノールアミンなどをリサイクルしない場合にはジエタノールアミンの生成量が少なくて、触媒細孔の閉塞はあまり進まないことから、触媒劣化の進行速度が遅い。これに対し、触媒層の中間部分では、触媒層入口部分での反応熱により触媒層および反応物の温度が上がって反応速度が上昇することから、触媒の劣化が激しく、無触媒反応も起こりやすい。その結果、触媒の選択性が低下する。
【0035】
これらの触媒の活性低下を避けるため、触媒層入口の温度を反応初期は高くし、徐々に下げていくことにより、触媒層入口部の触媒劣化度合いを大きくし、その部分での反応熱を少なくすることによって、無触媒反応の起こりやすい中間部分の温度を下げ、無触媒反応を抑制することによって、触媒の選択性低下を緩和できる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0037】
エタノールアミンをアミン化合物の代表例として用いた。
【0038】
(エタノールアミン製造用触媒)
アルミン酸ナトリウム109gを、0.1mol/L(リットル)濃度の水酸化テトラnプロピルアンモニウム(以下、TAPOHと称する。)水溶液2293gに溶解させた。蒸留水で全量を3000mLとした。120℃で1昼夜の間乾燥したシリカビーズ(富士シリシア化学社製「キャリアクトQ−50」、10〜20メッシュ、平均細孔径50nm、機械的強度29.4ニュートン)2042gを、前記水溶液3000mLに1時間浸透させた。シリカビーズ上にアルミン酸ナトリウムとTPAOHを担持した。
【0039】
これを乾燥機に移し、窒素雰囲気下において80℃で8時間乾燥した。得られた前駆体をテフロン(登録商標)カップに入れ、容積10Lのオートクレーブの中空に設置した。容器の底に100gの蒸留水を入れ、170℃で8時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却し、取り出した生成物を、蒸留水50Lで水洗した。さらに60℃に加熱した1Nの硝酸アンモニウム50Lに1時間浸し、水洗した。この操作を3回実施し、その後120℃で5時間乾燥した。得られた白色固体を、空気雰囲気下において550℃で3時間焼成した。
【0040】
この生成物を、硝酸ランタン・6水和物102.5gをイオン交換水10Lに溶解した溶液に加え、蒸発乾固してゼオライトにランタン化合物を均一に付着させた後、120℃で5時間乾燥した。得られた白色固体はさらに空気雰囲気下において、550℃で3時間焼成し、触媒を得た。
【0041】
(反応条件)
充填触媒量:2.54kg
予熱器:設定温度20℃〜100℃の任意の値
反応器は、入口から約900mmまでガラスビーズを充填した後、触媒を充填した。入口方向から出口方向の触媒層の温度分布を測定するために、移動可能な温度計を内臓できる保護管を反応器に設置した。
【0042】
反応器入口液平均組成:
アンモニア:8.76kg/hr、エチレンオキシド(EO):2.38kg/hr、エタノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンの混合物:EAs):2.01kg/hr(リサイクル品:1.28kg/hr、添加モノエタノールアミン(MEA):0.67kg/hr)。
【0043】
液体空間速度(LHSV)=5.2hr−1
反応器入口のEO濃度:18.1質量%
EAsリサイクル率:26.0%
(実施例1)
上記の反応条件で、反応器入口温度を、60℃(反応開始0〜12時間)、50℃(反応開始12〜24時間)、40℃(反応開始24〜36時間)に設定して反応を行った。触媒層の温度分布を経時的に測定し、図1に示す。さらに、反応で得られた生成物の比率を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
MEA:モノエタノールアミン
DEA:ジエタノールアミン
TEA:トリエタノールアミン
図1において、反応器入口温度を60℃まで上げた影響により、触媒層入口部分の温度の立ち上がりが著しかった。
【0046】
反応0〜12時間では、触媒層入口(918mm)〜1400mmの間で反応が終了していた。これは、反応温度が高いことから触媒反応がわずかな触媒層長で起こっていることを示している。
【0047】
次に、温度を50℃まで温度を下げると、触媒層入口〜1400mmの間での温度上昇がわずかになった。これは、12時間(入口温度60℃)までに1400mmまでの触媒が劣化し、入口温度を下げたことによって、1400mmまでの触媒層では反応がほとんど進行せず、1400mm以降で触媒反応が進行していることを示している。
【0048】
同様に、入口温度40℃の反応では、1900mmまでは温度上昇がほとんどなく、1900mm以降で反応が進んだことを示している。
【0049】
(比較例1)
上記の反応条件で、反応器入口温度を45℃に設定して反応を行った。触媒層の温度分布を経時的に測定し、図2に示す。さらに、反応で得られた生成物の比率を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(実施例1と比較例1との比較)
図1では、反応器入口温度を変化(60℃→50℃→40℃)させた実験であり、図2では、該温度を45℃一定とした実験である。
【0052】
最初に、図1では入口温度によって触媒反応が生ずる層間がある程度決まっていた。これに対し、図2では、反応温度80℃までは温度分布にはほとんど変化が見られない。触媒劣化は80℃までの1200mm付近まではあまり進行せず、温度が高くなるに従って促進される傾向がある。したがって、触媒層長1200mm以降の触媒は劣化が見られるため、時間の経過とともに無触媒反応が進行し、選択性が低下すると推測される。
【0053】
反応開始直後の45℃と60℃の反応を比較すると、45℃の方の選択性が若干高い。これは、反応器入口温度が高くなると、非選択的反応が起こりやすくなり、選択性が低下するからである。
【0054】
次に、12〜24時間の反応では、反応器入口温度が高い50℃の方の選択性が上昇している。図1と図2の温度分布で比較すると、反応器入口温度を変化させる反応では、60℃において入口部分の触媒が劣化する。入口温度を下げると、この部分の活性が低くなるので、非選択的な反応が進行し難くなる。また、それ以降の触媒層では、触媒が劣化しておらず、選択的な触媒反応が優先する。これに対し、45℃一定の反応では、1300〜1475mmの層間では触媒が劣化しているものの、60℃に比べて劣化度合が低く、非選択的な反応が進行しているため、選択性が低下していると推測される。このため、温度を変化させる反応では、触媒の選択性が上昇した。なお、ここで、非選択的な反応とは、無触媒反応または触媒の外表面で起こる反応をいう。この反応では、触媒の外表面では選択性はない。
【0055】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことによって、高い選択性を維持しながら効率的にアミン化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の方法に基づく反応の一例における触媒層の温度分布を示す図面である。
【図2】は、従来の方法に基づく反応の一例における触媒層の温度分布を示す図面である。
Claims (4)
- マイクロポーラスマテリアル触媒の存在下、断熱反応器を用いてアンモニアと、アンモニアと反応し得る有機化合物とを反応させて対応するアミン化合物を製造する方法において、反応器入口温度を反応時間の経過とともに実質的に低下させながら前記反応を行うことを特徴とするアミン化合物の製造方法。
- 前記反応器入口温度の低下は、0.001℃/分〜0.05℃/分の温度勾配であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記反応器入口温度の低下は、触媒活性の劣化の後に行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の方法。
- 前記アンモニアと反応し得る有機化合物がアルキレンオキシドで対応するアミン化合物がアルカノールアミン、または前記アンモニアと反応し得る有機化合物がオレフィンで対応するアミン化合物がアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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Cited By (3)
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