JP2004284160A - 農業用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、POフィルムにおいて、十分な保温性を保持し、かつ、フィルムの透明性・機械物性・耐候性を低下させることがなく、更には気泡等の発生も起こさず容易に成膜できる農業用フィルムを提供することにある。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂からなる層が少なくとも2層以上積層されたフィルムにおいて、少なくとも1層以上にポリエチレン系樹脂100重量部に対し、熱可塑性を有するポリビニルアルコール系樹脂を5〜30重量部を含む農業用フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエチレン系樹脂からなる層が少なくとも2層以上積層されたフィルムにおいて、少なくとも1層以上にポリエチレン系樹脂100重量部に対し、熱可塑性を有するポリビニルアルコール系樹脂を5〜30重量部を含む農業用フィルム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂が含有された農業用フィルムに関する。更に詳しくは、保温性、透明性および機械強度に優れた農業用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、農業用ハウスやトンネル等に展張されている被覆フィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム(以下「PVCフィルム」と略す)、ポリオレフィンフィルム(以下「POフィルム」と略す)などがある。
従来より広く使用されているPVCフィルムは保温性・耐候性・透明性・作業性に優れている反面、使用後の焼却廃棄時に有毒ガスが発生することから、近年はその使用が減少し、PVCフィルムに替わるフィルムとして、最近POフィルムの使用が急激に増加している。POフィルムは、価格・加工性・機械強度ならびに廃棄処理の容易さなどPVCフィルムに比べ、多くの利点があるが、特に保温性が劣るという問題点がある。
なお、一般に保温性とは、昼間太陽熱を吸収して温度が上昇した大地から、夜間輻射熱を外部に散逸させぬよう、被覆フィルムがそれを吸収・反射して、ハウス内の温度(気温及び地温)を保持することである。
【0003】
POフィルムの保温性を改善する方法として、一般によく知られているのが、無機充填剤の添加である。例えば、無機充填剤としてリチウム―アルミニウム複合水酸化物(特許文献1参照)が、またハイドロタルサイト類が(特許文献2参照)使用され、保温性が向上することが見出されている。
ところが、該方法では、使用に十分な保温性を発現させようとすると添加量が多くなり、従ってフィルムの透明性や機械物性を低下させる問題があった。また、ハイドロタルサイト等の無機充填剤は酸性物質を吸着する傾向があり、従って、耐候性を低下させる問題もあった。更に、ハイドロタルサイト等の無機充填剤は、その内部に水分を含有する性質があり、十分な脱水処理を施さないと、フィルム成膜時に気泡が発生する。従って、脱水処理にも非常な労力がかかり、製造コストも高くなるという問題点もあった。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−176390号公報
【特許文献2】
特開2000−109623号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、POフィルムにおいて、十分な保温性を保持し、かつ、フィルムの透明性・機械物性・耐候性を低下させることがなく、更には気泡等の発生も起こさず容易に成膜できる農業用フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の農業用フィルムは、ポリエチレン系樹脂からなる層が少なくとも2層以上積層されたフィルムにおいて、少なくとも1層以上にポリエチレン系樹脂100重量部に対し、熱可塑性を有するポリビニルアルコール系樹脂を5〜30重量部を含む農業用フィルムである。
【0007】
本発明に使用されるポリエチレン系樹脂としては、従来農業用フィルムに使用されているものが使用され、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。上記ポリエチレン系樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる)、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体である。
【0008】
上記ポリエチレン系樹脂に含有される熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂としては、α−オレフィン−酢酸ビニル共重合体のケン化物が用いられる。α−オレフィンとしては炭素数が3〜30のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは炭素数が4〜20のα−オレフィンである。また、α−オレフィンの含有量は0.5〜20モル%が好ましく、より好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは7〜10モル%である。α−オレフィンの含有量が0.5モル%より少ないと、フィルムの成形性が低下し、逆に20モル%を超えると、保温性が低下しする。
更に、上記熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の、酢酸ビニルのケン化度は80モル%以上が好ましく、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。酢酸ビニルのケン化度が80モル%未満の場合は、保温性が不十分となる。
【0009】
上記ポリエチレン系樹脂に含有される熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量はポリエチレン系樹脂100重量部に対して、5〜30重量部であり、好ましくは10〜25重量部、より好ましくは15〜20重量部である。熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が重量部未満の場合は、十分な保温性が発現されない。逆に熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が30重量部を超えると、透明性が極度に悪化したり、またフィルムの成膜安定性が低下する。
【0010】
熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリエチレン系樹脂が少なくとも2層以上積層されたフィルムの、少なくとも1層に含有されるが、該ポリビニルアルコール系樹脂が含有されたポリエチレン系樹脂の両外層にポリビニルアルコール系樹脂を含まない層を積層させるのがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常のポリエチレン系樹脂に比べると耐水性が劣るため、その含有される層が直接雨・風にさらされるとフィルムの劣化が促進され、耐久性が低下することがある。また、フィルム成形時においても、巻き取る際にブロッキングを起こす可能性があるからである。
【0011】
上記ポリビニルアルコール系樹脂を含むポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲においてヒンダードアミン系光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外製吸収剤、防霧剤、滑剤、顔料等の添加剤が必要に応じて添加されても良い。
【0012】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、従来公知の任意のものが使用され、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。具体的には、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−[(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル] [(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。
【0013】
上記熱安定剤としては、従来公知の任意のものが使用できる。具体的には、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステル等のキレーターが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、通常は、上記熱安定剤としての効果を兼ね備えるものが多く、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステル等のキレーターが挙げられる。
【0014】
上記紫外線吸収剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等を単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。具体的にはベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ‐3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0015】
上記防霧剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
上記滑剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、ステアリン酸アマイド等の飽和脂肪酸アマイド、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド等の不飽和脂肪酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のビスアマイド等が挙げられる。
【0016】
また、上記積層フィルムには、農業用ハウス等に展張する際、その内面に結露した水滴を流滴させるために必要に応じて防曇剤を練りこんだり、またその内面に防曇性被膜を形成させても良い。
上記積層フィルムに練りこむ防曇剤としては、従来公知の任意のものが使用され、多価アルコール脂肪酸エステルが好適に用いられる。具体的には、例えば、グリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ソルビトールステアリン酸エステル等の多価アルコール飽和脂肪酸エステルあるいは、グリセリンオレイン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル等の多価アルコール不飽和脂肪酸エステル等を挙げることができる。
また、上記積層フィルムのハウス内面に形成される防曇性被膜とは、例えばコロイダルシリカやコロイダルアルミナに代表される無機酸化ゾルのコーティング膜、およびその応用として、無機酸化物ゾルと有機化合物(界面活性剤や樹脂など)などのコーティング膜、界面活性剤を主成分とする液のコーティング膜、親水性樹脂を主成分とする膜(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、多糖類、ポリアクリル酸などが挙げられる)などが挙げられる。
【0017】
本発明の農業用フィルムの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、多層インフレーション法、多層Tダイ法、多層ラミネート法、カレンダー法等が挙げられる。
【0018】
上記農業用フィルムの厚さは、薄くなると機械的強度が低下し、逆に厚くなると裁断、接合、展張作業等が困難になり、取扱い性が低下するので、20〜300μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。
【0019】
本発明の農業用フィルムは、例えば、園芸施設ハウス、トンネル等の被覆フィルムとして用いられる。また、内張りカーテンを設置する場合も本発明のフィルムを用いることが好ましい。
【0020】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜9
〔農業用フィルムの製造〕
表1および表2に示した樹脂を用い、表3に示す様な配合組成の3種の樹脂組成物を、各々別々の押出し機に投入して混練した後、(A)層、(B)層、(C)層の厚み比が、1:7:2となるようにインフレーション法で三層共押出成形し、(A)層、(B)層および(C)層の順で積層された、総厚み150μmの三層積層体からなる農業用フィルムを得た。
【0021】
〔評価〕
上記で得られた農業用フィルムについて、破断点強度、引裂強度、ヘーズ値、保温性を評価し、結果を表3、4に示した。
(破断点強度)
テンシロン引張試験機(東洋精機製作所社製)を用いてJIS K−6781に準拠して測定した。
(引裂強度)
エルメンドルフ引裂強度測定機(東洋精機製作所社製)を用いてJIS K−7128に準拠して測定した。
(透明性)
作製直後のフィルムのヘーズ値を、ヘーズ測定機(MDH2000、日本電色工業社製)により測定し、透明性の指標とした。
(保温性)
赤外線分光光度計(FT/IR−410、日本分光社製)を用いて測定した吸収スペクトルから分光放射発散度を算出し、更に各波長に対応した吸収率で分光放射発散度を重み付けして補正した分光放射発散度と元の分光放射発散度との差を保温性の指標とした。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】
本発明の農業用フィルムは、上記の如く、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂を含有するポリエチレン系樹脂からなる層を有しているので、保温性を十分保持しているだけでなく、透明性が良好であり、かつ機械強度を十分に持つことから、ハウス外張り用、内張り用あるいはトンネル用などの被覆フィルムとして好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂が含有された農業用フィルムに関する。更に詳しくは、保温性、透明性および機械強度に優れた農業用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、農業用ハウスやトンネル等に展張されている被覆フィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルム(以下「PVCフィルム」と略す)、ポリオレフィンフィルム(以下「POフィルム」と略す)などがある。
従来より広く使用されているPVCフィルムは保温性・耐候性・透明性・作業性に優れている反面、使用後の焼却廃棄時に有毒ガスが発生することから、近年はその使用が減少し、PVCフィルムに替わるフィルムとして、最近POフィルムの使用が急激に増加している。POフィルムは、価格・加工性・機械強度ならびに廃棄処理の容易さなどPVCフィルムに比べ、多くの利点があるが、特に保温性が劣るという問題点がある。
なお、一般に保温性とは、昼間太陽熱を吸収して温度が上昇した大地から、夜間輻射熱を外部に散逸させぬよう、被覆フィルムがそれを吸収・反射して、ハウス内の温度(気温及び地温)を保持することである。
【0003】
POフィルムの保温性を改善する方法として、一般によく知られているのが、無機充填剤の添加である。例えば、無機充填剤としてリチウム―アルミニウム複合水酸化物(特許文献1参照)が、またハイドロタルサイト類が(特許文献2参照)使用され、保温性が向上することが見出されている。
ところが、該方法では、使用に十分な保温性を発現させようとすると添加量が多くなり、従ってフィルムの透明性や機械物性を低下させる問題があった。また、ハイドロタルサイト等の無機充填剤は酸性物質を吸着する傾向があり、従って、耐候性を低下させる問題もあった。更に、ハイドロタルサイト等の無機充填剤は、その内部に水分を含有する性質があり、十分な脱水処理を施さないと、フィルム成膜時に気泡が発生する。従って、脱水処理にも非常な労力がかかり、製造コストも高くなるという問題点もあった。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−176390号公報
【特許文献2】
特開2000−109623号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、POフィルムにおいて、十分な保温性を保持し、かつ、フィルムの透明性・機械物性・耐候性を低下させることがなく、更には気泡等の発生も起こさず容易に成膜できる農業用フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の農業用フィルムは、ポリエチレン系樹脂からなる層が少なくとも2層以上積層されたフィルムにおいて、少なくとも1層以上にポリエチレン系樹脂100重量部に対し、熱可塑性を有するポリビニルアルコール系樹脂を5〜30重量部を含む農業用フィルムである。
【0007】
本発明に使用されるポリエチレン系樹脂としては、従来農業用フィルムに使用されているものが使用され、例えば、ポリエチレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。上記ポリエチレン系樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる)、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体である。
【0008】
上記ポリエチレン系樹脂に含有される熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂としては、α−オレフィン−酢酸ビニル共重合体のケン化物が用いられる。α−オレフィンとしては炭素数が3〜30のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは炭素数が4〜20のα−オレフィンである。また、α−オレフィンの含有量は0.5〜20モル%が好ましく、より好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは7〜10モル%である。α−オレフィンの含有量が0.5モル%より少ないと、フィルムの成形性が低下し、逆に20モル%を超えると、保温性が低下しする。
更に、上記熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の、酢酸ビニルのケン化度は80モル%以上が好ましく、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。酢酸ビニルのケン化度が80モル%未満の場合は、保温性が不十分となる。
【0009】
上記ポリエチレン系樹脂に含有される熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量はポリエチレン系樹脂100重量部に対して、5〜30重量部であり、好ましくは10〜25重量部、より好ましくは15〜20重量部である。熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が重量部未満の場合は、十分な保温性が発現されない。逆に熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が30重量部を超えると、透明性が極度に悪化したり、またフィルムの成膜安定性が低下する。
【0010】
熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリエチレン系樹脂が少なくとも2層以上積層されたフィルムの、少なくとも1層に含有されるが、該ポリビニルアルコール系樹脂が含有されたポリエチレン系樹脂の両外層にポリビニルアルコール系樹脂を含まない層を積層させるのがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常のポリエチレン系樹脂に比べると耐水性が劣るため、その含有される層が直接雨・風にさらされるとフィルムの劣化が促進され、耐久性が低下することがある。また、フィルム成形時においても、巻き取る際にブロッキングを起こす可能性があるからである。
【0011】
上記ポリビニルアルコール系樹脂を含むポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲においてヒンダードアミン系光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外製吸収剤、防霧剤、滑剤、顔料等の添加剤が必要に応じて添加されても良い。
【0012】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、従来公知の任意のものが使用され、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。具体的には、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−[(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル] [(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。
【0013】
上記熱安定剤としては、従来公知の任意のものが使用できる。具体的には、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステル等のキレーターが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、通常は、上記熱安定剤としての効果を兼ね備えるものが多く、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステル等のキレーターが挙げられる。
【0014】
上記紫外線吸収剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等を単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。具体的にはベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ‐3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0015】
上記防霧剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
上記滑剤としては、従来公知の任意のものが使用でき、例えば、ステアリン酸アマイド等の飽和脂肪酸アマイド、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド等の不飽和脂肪酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のビスアマイド等が挙げられる。
【0016】
また、上記積層フィルムには、農業用ハウス等に展張する際、その内面に結露した水滴を流滴させるために必要に応じて防曇剤を練りこんだり、またその内面に防曇性被膜を形成させても良い。
上記積層フィルムに練りこむ防曇剤としては、従来公知の任意のものが使用され、多価アルコール脂肪酸エステルが好適に用いられる。具体的には、例えば、グリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ソルビトールステアリン酸エステル等の多価アルコール飽和脂肪酸エステルあるいは、グリセリンオレイン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル等の多価アルコール不飽和脂肪酸エステル等を挙げることができる。
また、上記積層フィルムのハウス内面に形成される防曇性被膜とは、例えばコロイダルシリカやコロイダルアルミナに代表される無機酸化ゾルのコーティング膜、およびその応用として、無機酸化物ゾルと有機化合物(界面活性剤や樹脂など)などのコーティング膜、界面活性剤を主成分とする液のコーティング膜、親水性樹脂を主成分とする膜(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、多糖類、ポリアクリル酸などが挙げられる)などが挙げられる。
【0017】
本発明の農業用フィルムの製造方法としては、特に限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、多層インフレーション法、多層Tダイ法、多層ラミネート法、カレンダー法等が挙げられる。
【0018】
上記農業用フィルムの厚さは、薄くなると機械的強度が低下し、逆に厚くなると裁断、接合、展張作業等が困難になり、取扱い性が低下するので、20〜300μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。
【0019】
本発明の農業用フィルムは、例えば、園芸施設ハウス、トンネル等の被覆フィルムとして用いられる。また、内張りカーテンを設置する場合も本発明のフィルムを用いることが好ましい。
【0020】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜9
〔農業用フィルムの製造〕
表1および表2に示した樹脂を用い、表3に示す様な配合組成の3種の樹脂組成物を、各々別々の押出し機に投入して混練した後、(A)層、(B)層、(C)層の厚み比が、1:7:2となるようにインフレーション法で三層共押出成形し、(A)層、(B)層および(C)層の順で積層された、総厚み150μmの三層積層体からなる農業用フィルムを得た。
【0021】
〔評価〕
上記で得られた農業用フィルムについて、破断点強度、引裂強度、ヘーズ値、保温性を評価し、結果を表3、4に示した。
(破断点強度)
テンシロン引張試験機(東洋精機製作所社製)を用いてJIS K−6781に準拠して測定した。
(引裂強度)
エルメンドルフ引裂強度測定機(東洋精機製作所社製)を用いてJIS K−7128に準拠して測定した。
(透明性)
作製直後のフィルムのヘーズ値を、ヘーズ測定機(MDH2000、日本電色工業社製)により測定し、透明性の指標とした。
(保温性)
赤外線分光光度計(FT/IR−410、日本分光社製)を用いて測定した吸収スペクトルから分光放射発散度を算出し、更に各波長に対応した吸収率で分光放射発散度を重み付けして補正した分光放射発散度と元の分光放射発散度との差を保温性の指標とした。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】
本発明の農業用フィルムは、上記の如く、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂を含有するポリエチレン系樹脂からなる層を有しているので、保温性を十分保持しているだけでなく、透明性が良好であり、かつ機械強度を十分に持つことから、ハウス外張り用、内張り用あるいはトンネル用などの被覆フィルムとして好適に使用することができる。
Claims (2)
- ポリエチレン系樹脂からなる層が少なくとも2層以上積層されたフィルムにおいて、少なくとも1層以上にポリエチレン系樹脂100重量部に対し、熱可塑性を有するポリビニルアルコール系樹脂を5〜30重量部を含むことを特徴とする農業用フィルム。
- 熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂が、炭素数3〜30のα−オレフィンの含有量が0.5〜20モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が80モル%以上のα−オレフィン−酢酸ビニル共重合体ケン化物であることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003078077A JP2004284160A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | 農業用フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003078077A JP2004284160A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | 農業用フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004284160A true JP2004284160A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33292667
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003078077A Pending JP2004284160A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | 農業用フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004284160A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007202426A (ja) * | 2006-01-31 | 2007-08-16 | Sekisui Film Kk | 農業用ハウスの被覆フィルム及び農業用ハウス |
-
2003
- 2003-03-20 JP JP2003078077A patent/JP2004284160A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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