JP2004284085A - インクジェット被記録媒体 - Google Patents

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Kengo Ito
謙吾 伊東
Masaharu Uehara
正治 上原
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Sony Corp
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Boron International KK
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Abstract

【課題】銀塩写真像に匹敵するような高解像度のインクジェット記録画像を、インクジェット被記録媒体上に形成する際に、インク吸収性と画像耐水性とを高度に両立させ、更には発色性に優れた画像を形成できるようにする。
【解決手段】フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層2が基材1上に形成されているインクジェット被記録媒体において、フィラーとして、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されているものを使用し、且つ結着剤として、半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子を使用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク吸収性と画像耐水性とを高度に両立可能なインクジェット被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ等で作製した文書やイメージ等の画像を紙やOHPフィルム等の被記録媒体に出力する方法の一つとして、インクジェット記録方式が広く利用されている。
【0003】
近年のインクジェット記録方式においては、染料又は顔料を、それぞれ水性媒体に溶解又は分散させた水性インクジェットインクが使用されている。また、インクジェット記録方式で、銀塩写真に匹敵するような高品位な画像を形成しようとする場合には、支持体上にインク受容層が形成されたインクジェット記録専用のインクジェット被記録媒体が用いられている。
【0004】
このようなインクジェット被記録媒体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやレジンコート紙等のプラスチック基材上に、優れたインク吸収性を有するシリカやアルミナ等の多孔質フィラーの微粒子を他の添加成分と共に結着剤に分散させてなるインク受容層が設けられたものが一般的に用いられている。
【0005】
ところで、上述したようなインクジェット被記録媒体において、インク受容層のインク吸収性やインク受容層におけるフィラーの分散安定性を改善するために結着剤として水溶性高分子を用いた場合、画像が形成されたインク受容層に水が付着すると、インク受容層が溶出もしくは極端に膨潤して画像流れや画像ぼけ等の不具合が発生し易くなる。特に、染料を水性媒体に溶解させたインクジェットインクを用いた場合に、水溶性高分子が染料イオンと同極性のイオン性基を有すると、インク受容層への染料イオンの定着が阻害され、画像流れや画像ぼけ等の不具合がいっそう顕著となる。
【0006】
一方、上述したようなインクジェット被記録媒体において、画像の耐水性を向上させるために、結着剤として疎水性高分子を使用すると、インク受容層のインク吸収が阻害され易くなり、多量のインクが着弾した部分ではインクがインク受容層に吸収される以前にドット同士が混じり合うことで実質的な解像度の低下を招いたり、乾燥性が低下し、インク受容層が他の被記録媒体に接触すると、インクの付着(転写)が生じ易くなる。
【0007】
そこで、インクジェット被記録媒体のインク吸収性と画像耐水性とを両立させるために、水性インクジェットインクに対し強い親和性と膨潤性を有しながら水に難溶性の半極性有機ホウ素系高分子と親水性基体高分子との複合化物からインク受容層を構成することが提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−168225号公報、実施例1〜8
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット被記録媒体の場合、水を含ませた綿棒でインク受容層に形成された画像を擦り続けると、画像が消失する場合があり、画像耐水性を更に向上させる必要があった。また、画像形成におけるインク吸収の機構が、フィラーで構成される細孔に即座に浸透する細孔浸透型機構ではなく、高分子の分子間に溶剤の膨潤を伴って染み込むいわゆる膨潤型機構であるので、インク吸収速度が細孔浸透型機構の場合に比べて遅く、高速印刷適性に問題があった。更に、半極性有機ホウ素系高分子と親水性基体高分子とを含有するインク受容層形成用塗料中に微粒子状のフィラーを混合するとフィラーの凝集が生じ易く、安定な分散塗料の調製が困難となるばかりか、インク受容層表面の光沢性が大きく低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決しようとするものであり、銀塩写真像に匹敵するような高解像度のインクジェット記録画像を、インクジェット被記録媒体上に形成する際に、インク吸収性と画像耐水性とを高度に両立させ、更には発色性に優れた画像を形成できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究の結果、分子内に半極性結合を持つ半極性有機ホウ素化合物を、予めフィラー表面に結合もしくは吸着させておき、次に半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子を結着剤として添加して成膜することでフィラーと結着剤間に強固な架橋構造が形成され、その結果、水性インクに対して素早い浸透に基づく乾燥性を発現しながらも良好な画像耐水性を併せ持つインク受容層を備えたインクジェット被記録媒体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、該フィラーが、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されており、且つ該結着剤が、該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子を含有することを特徴とするインクジェット被記録媒体を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のインクジェット被記録媒体の基本的構造は、図1に示すように、基材1上にインク受容層2が形成されている構造を有する。このインク受容層2は、単層でも2層以上の複層構造でもかまわない。
【0015】
本発明において、インク受容層2は、フィラーが結着剤に分散されてなるものである。ここで、フィラーは、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されているもの(即ち、表面に半極性有機ホウ素化合物が結合もしくは吸着しているもの)であり、一方、結着剤は半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子を含有する。
【0016】
半極性有機ホウ素化合物は、水性インクに対して強い親和性と膨潤性を有しながら水に難溶の性能を兼ね備え、さらに分子内に半極性結合を繰り返し有する化合物であり、その半極性構造により水性染料を化学的に定着させる作用を有する。このため、インク受容層2は、水性インクに対して素早い浸透に基づく乾燥性を発現しながらも良好な画像耐水性を実現できる。
【0017】
ここで、半極性有機ホウ素化合物としては、式(1)
【0018】
【化3】
Figure 2004284085
{式中、AはX−Y−Z(但し、X及びZは末端エーテル残基を持つ炭素数合計100以下の含酸素炭化水素基、Yは−OCO−R−CO−基(但し、Rは炭素数1〜34の炭化水素基である。)であり、l、m及びnは0または1である。)であり、Pは10〜1000の整数を表わす。qは1以上の整数である。}
【0019】
で表わされるジグリセリンボラート又はその誘導体が好ましい。具体的には、特公平3−53331号公報の実施例1〜29に示された化合物を挙げることができる。
【0020】
インク受容層2に使用するフィラーとしては、半極性有機ホウ素化合物の溶液(例えば、含水アルコール溶液)に投入し、平衡に至らしめた後に、その溶液に使用した溶剤で洗浄してもフィラー表面上に半極性有機ホウ素化合物が結合もしくは吸着した状態を維持し得る種々フィラーを使用できる。具体的には、微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体(酸化物固溶体)、表面にシラノール性OH基を有する珪酸塩、アルミナ水和物等が好ましく挙げられる。特に、ハイドロタルサイト類化合物としては、式(2)及び(3)
【0021】
【化4】
[MII 1−xIII (OH)+x[Ax/n・mHO]−x (2)
[LiAl(OH)+1[A1/n・mHO]−1 (3)
{式(2)及び(3)中、MIIはMg、Zn、Ni又はCaの2価金属イオンを表し、MIIIはAlの3価金属イオンを表し、Aはn価のアニオンを表し、xは0.1<x<0.4を満たす正数であり、mは0<m<2を満たす正数である。}
【0022】
本発明において、フィラーに対する半極性有機ホウ素化合物の表面修飾量範囲は、インク受容層の耐水性が不十分とならない量(下限)から、フィラーに吸着する最大量(上限)の範囲であるが、好ましくはフィラー1重量部に対し0.02〜1重量部である。
【0023】
インク受容層2を構成する結着剤としては、半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子であり、換言すれば、半極性有機ホウ素化合物と共に常温で水、アルコール、水/アルコールの混合液のいずれかに溶解もしくは分散させた後に90℃以下の加熱により半極性有機ホウ素化合物と複合化する作用を有する高分子である。具体的には、フィラーとの混合状態で造膜性に優れ、しかも反応基として水素結合可能なアルコール性OH基やBN錯体形成可能な第1級、第2級もしくは第3級アミノ基あるいは含窒素復素環等の電子供与基を主鎖もしくは枝鎖に有する熱可塑性の水溶性樹脂もしくは親水性樹脂又は疎水性樹脂の水性エマルジョンが挙げられる。具体的には、ポリビニルブチラール樹脂などのビニルアルコールのアセタール化物、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゼラチン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンエマルジョン、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。
【0024】
また、インク受容層2における、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されたフィラーの結着剤に対する配合量は、結着剤が多すぎると耐水効果が得られにくく、少なすぎると結着性が劣り造膜性が悪化するので、フィラー1重量部に対し結着剤を好ましくは0.1〜50重量部である。
【0025】
インク受容層2には、必要に応じて、従来のインク受容層において用いられている各種添加剤(例えば、架橋剤、可塑剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、他の親水性樹脂等)を配合することができる。また、インクジェット記録時の走行性を確保(重送防止)するために、公知の顔料を配合できる。この場合、顔料としては、クレー、カオリン、焼成クレー、無定型シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等を配合することができる。
【0026】
なお、インク受容層2の層厚としては、通常2〜60μm、好ましくは5〜40μmである。
【0027】
本発明において基材1としては、パルプを主体とするいわゆる紙、あるいはそれに何らかのコーティングを施したもの、熱可塑性樹脂フィルム等のシート状材料が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルエステル等が好ましい。中でも、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが機械的特性などの点から好ましい。また、紙の場合はサイズ剤無添加あるいは適度なサイジングを施した紙で、填料は含まれても、含まれなくてもよい。
【0028】
基材1の厚みとしては、通常、50〜250μmである。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0030】
実施例1
(半極性有機ホウ素化合物の調製)
撹拌機、温度計、窒素流入管及びコンデンサーを連結する検量管を備えた4口フラスコに、ジ(グリセリン)ボラート192.1g(1モル)と無水マレイン酸98.1g(1モル)とを仕込み、窒素ガス気流下に、90〜100℃で1時間反応させた。更に、210〜220℃で6時間反応させ、9gの水を系外に留出させ、式(1)におけるYがマレイン酸連結基(−OCOCH=CHCO−)である淡黄色粘凋性のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を得た。なお、得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}をIRスペクトルにて分析したところ、式(4)の半極性構造のOHの変角振動の吸収を確認できた。
【0031】
【化5】
Figure 2004284085
【0032】
(半極性有機ホウ素化合物によるフィラーの表面修飾)
得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を50gを重量比でエタノール/水=50/50の混合溶媒500gに溶解し、フィラーとしてハイドロタルサイトの焼成体(キョーワード2200、協和化学工業社製)20gを加えて80〜85℃で撹拌しながら1時間加熱した後に冷却し、沈殿物を濾別した。濾取した固体を大過剰のエタノール/水=50/50の混合溶媒中に投じて攪拌しながら洗浄した後に濾別し、未反応のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を除去した。回収した固形物を減圧下乾燥して粉砕したところ、やや淡黄色を呈する粉末を約24g回収した。
【0033】
この粉末10gを100gの水中に投入し、分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて10時間ボールミル混合を行い、平均粒子径が0.2μmの安定な微粒子分散液No.1を得た。この分散液に市販のインクジェットプリンタ用3原色染料インク(HP990cxi、ヒューレットパッカード社)を滴下したところ、各色ともに直ちに着色凝集体が生じた。これにより、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されたハイドロタルサイトにインク中の染料が、吸着され定着されることが確認できた。
【0034】
(インクジェット被記録媒体の作製)
次に、微粒子分散液No.1に、10wt%に調製したポリビニルアルコール(GL−05,日本合成化学(株)社製)水溶液10gを加えたところ、一旦は凝集を起こしたが再度ボールミル分散を1時間行うことにより、平均粒子径が0.1μmの安定な分散液が得られた。得られた分散液を、125μm厚の白色ポリエステルフィルム(ルミラーE−20,東レ社製)上に、乾燥時の膜厚が20μmとなるようにワイヤーバーにて塗布後、100℃2分の条件で熱風乾燥することにより、光沢に富んだインクジェット被記録媒体が得られた。
【0035】
比較例1
実施例1においてポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}に代えて水溶性ポリアクリル酸ソーダ樹脂(セラゾールLS、明成化学工業(株)社製)を同一重量比で加えて凝集した沈殿物を回収し、実施例1と同様にボールミル分散を施したところ平均粒子径が0.07μmの安定な微粒子分散液No.2を得た。この分散液No.2に市販のインクジェットプリンタ用3原色染料インク(HP990cxi、ヒューレットパッカード社)を滴下して放置したところ、各色ともに全く凝集を起こさずに、安定な懸濁状態を保った。このことから、ポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}に代えて水溶性ポリアクリル酸ソーダ樹脂を使用した場合には、ハイドロタルサイトには染料イオンが吸着せず、定着不能であることを予測できた。
【0036】
次に、分散液No.2に実施例1と同様に10wt%に調製したポリビニルアルコール(GL−05,日本合成化学(株)社製)水溶液10gを加え、再度ボールミル分散を1時間行うと平均粒子径が0.07μmに維持された半透明の分散液を得、それを実施例1と同様に白色ポリエステルフィルム上に成膜し、鏡面様のインクジェット被記録媒体が得られた。
【0037】
比較例2
実施例1においてハイドロタルサイト焼成体にポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を添加せずに実施例1と全く同一の組成及び処方にて、分散液No.1に相当する分散液No.3を調製したところ、平均粒子径は0.5μmを示し実施例1に比較して微粒子化の効率が劣った。次にポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}と実施例1で用いたポリビニルアルコールとを1/2の重量比でエタノール/水=20/80の溶媒に10wt%になるように溶解し、70〜75℃で攪拌しながら1時間加熱して複合化した。得られた複合化物を含む溶液を分散液No.3に添加したところ直ちに白色沈殿を生じた。この混合物に実施例1と同様にボールミル分散を1時間施したが平均粒子径は2μmを超えており、さらに10時間分散を継続してもそれ以上の微粒子化は起らず、放置すると沈殿物と上澄み液に分離した。
【0038】
得られた混合液から実施例1と同様な手法にて乾燥時の膜厚が20μmとなるように白色ポリエステルフィルム上に成膜したところ艶の無い白色不透明のインクジェット被記録媒体が得られた。
【0039】
実施例2
実施例1と同様にジグリセリン166.2g(1モル)とホウ酸61.8g(1モル)とを仕込み、所定量の水を系外に留出させ、淡黄色粘稠性のポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}を得た。得られたポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}を実施例1と同様な重量比と方法にてフィラーとしてのシリカゲル(サイロジェット703A、グレース(社))に吸着させて安定な微粒子分散液No.4を得た。次にヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60−SH50,信越化学工業(株)社製)を実施例1と同様な方法で添加して再度ボールミル分散すると平均粒子径が0.05μmの安定な分散液が得られ、透明ポリエステルフィルム上に20μm厚に成膜したところ、透明性のインクジェット被記録媒体が得られた。
【0040】
比較例3
実施例2と同様にジ(グリセリン)ボラート192.1g(1モル)とジメチルテレフタレート193.8g(1モル)とを仕込み、さらに三弗化ホウ素・エ―テラート0.1gを添加して反応させ、所定量のメチルアルコールを系外に留出させ、淡黄色固形状のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・テレフタレート}を得た。
【0041】
得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・テレフタレート}を用いて実施例2と同様にシリカゲルに吸着させると直ちに平均粒子径が5μmに達する白色沈殿を生じ、ボールミル分散しても固液分離した。次に実施例2と同様な手法にてヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加して再分散したが殆ど微粒子化しなかった。この混合液から乾燥時の膜厚が20μmとなるように透明ポリエステルフィルム上に成膜したところ、白濁して粗な表面を有したインクジェット被記録媒体が得られた。
【0042】
実施例3
ポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}2gを水500gに溶解し、さらにフィラーとしてハイドロタルサイト(キョーワード500、協和化学工業(株)社製)20gを加えてボールミル分散を施して安定な分散液No.5を得た。次に分散を続けながら2gの炭酸カルシウムを含む水溶性ゼラチン(E−290,宮城化学工業(株)社製)の10wt%水溶液40gを徐々に加えたところ平均粒子径が0.25μmの安定な微粒子分散液が得られ、中性紙上に5g/mの塗工量で塗布した後に熱風乾燥してさらにカレンダー処理したところ、光沢のある白色インクジェット被記録媒体が得られた。
【0043】
比較例4
実施例3の水溶性ゼラチンに代えて疎水性アクリルエマルジョン(OH−29、新中村化学工業)を実施例3と同一の固形分比になるように加えて同様な分散操作を施したところ平均粒子径が0.35μmの安定な微粒子分散液No.6が得られ、中性紙上に5g/mの塗工量で塗布した後に熱風乾燥してさらにカレンダー処理したところ、光沢のある白色インクジェット被記録媒体が得られた。
【0044】
実施例4
ポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}1gを水2Kgに溶解し、フィラーとして先ず合成スメクタイト1gと同量のポリビニルピロリドン(K−90,BASF社製)とをボールミル分散を行いながらこの順番で40gになるまで徐々に添加し、10時間の分散を施したところ、平均粒子径が0.05μmの透明な微粒子分散液No.7を得た。この分散液を乾燥時膜厚20μmとなるように125μm厚の白色ポリエステルフィルム(ルミラーE−20,東レ社製)上に、ドクターブレードにて塗布後、100℃2分の条件で乾燥することにより光沢に富んだインクジェット被記録媒体が得られた。
【0045】
実施例5
ポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}1gを固形分5wt%の針状ベーマイトの水分散液200gに投入して70〜75℃で1時間加熱攪拌して複合化した。この複合化物に実施例1と同様なボールミル分散を施して平均粒子径が1μmの安定な白色懸濁液No.8を得た後に、アクリル酸エステルのエマルジョン(ビニブラン2647、日信化工)0.16gとタルク0.2gを加え、実施例3と同様な処方にて上質紙上に成膜したところ、艶消し表面の白色インクジェット被記録媒体が得られた。
【0046】
(評価)
得られた各実施例及び各比較例のインクジェット被記録媒体に対し、2種のインクジェット記録方式のプリンター、HP990cxi(ヒューレットパッカード社製;染料インク)とMC−2000(エプソン社製;顔料インク)にてテストパターン画像を形成し、インク受容層の「インク吸収性」、画像の「耐水性」及び「発色性(印画濃度)」について以下に説明するように評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
「インク吸収性」試験
画像形成の際に、インクがインク受容層に浸透して吸収されるか否かを目視により、以下の評価基準に従って評価した。
【0048】
インク吸収性評価基準
ランク: 内容
○ : 画像の出力直後に画像上に普通紙を重ねて密着させても、インクが紙上に転写せずにインク受容層中に浸透して吸収された場合
× : 同上の操作にてインクがインク受容層中に浸透せず、吸収されなかったインクが紙上に転写した場合
【0049】
「耐水性」試験
画像が形成されてから24時間を経過した被記録媒体の全体を3分間、純水に浸漬した後、水中から引き上げ、インク受容層上を綿棒で擦った部分の変化を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。
【0050】
耐水性評価基準
ランク: 内容
○ : インク受容層及び画像に変化がみられない場合
△ : 綿棒で擦った部分に変化が認められるが、浸漬のみでは受容層及び画像に変化が認められない場合
× : インク受容層が基材から剥離するか、あるいは染料が再溶解してしまい画像が保持されない場合
【0051】
発色性(印画濃度)」試験
画像のベタ印字部分(高濃度部)の反射濃度をマクベス濃度計(TR924)で測定した。なお、反射濃度は、画像の彩度の観点から、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色について、それぞれ2.0以上が望ましい。
【0052】
【表1】
Figure 2004284085
【0053】
表1から分かるように、フィラーとして半極性有機ホウ素化合物で予め表面修飾したものを使用し、且つ結着剤として半極性有機ホウ素化合物と複合化するものを使用した実施例1〜5のインクジェット被記録媒体は、染料インク及び顔料インクの両方に対し、「インク吸収性」、「耐水性」および「発色性」の各試験項目とも良好な結果が得られた。
【0054】
一方、フィラーとして半極性有機ホウ素化合物で予め表面修飾したものではないものを使用した比較例1のインクジェット被記録媒体は、染料インクに対する耐水性が非常に劣っていた。また、結着剤の一成分として半極性有機ホウ素化合物を使用したが、フィラーとして半極性有機ホウ素化合物で予め表面修飾したものではないものを使用した比較例2のインクジェット被記録媒体は、染料インクに対する耐水性が劣っており、しかも染料インク及び顔料インクに対する発色性が非常に劣っていた。また、半極性有機ホウ素化合物が非水溶性のために、半極性有機ホウ素化合物と結着剤とが複合化しない組み合わせの比較例3のインクジェット被記録媒体は、染料インク及び顔料インクに対するインク吸収性及び発色性の双方で非常に劣っていた。また、結着剤が疎水性であるために、半極性有機ホウ素化合物と結着剤とが複合化しない組み合わせの比較例4のインクジェット被記録媒体は、染料インク及び顔料インクに対するインク吸収性で非常に劣っていた。
【0055】
【発明の効果】
本発明のインクジェット被記録媒体は、インク吸収性と画像耐水性とを高度に両立させており、しかも発色性に優れた画像を形成できるので、銀塩写真に匹敵する高解像度のインクジェット記録画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット被記録媒体の概略断面図である。
【符号の説明】
1 基材、 2 インク受容層

Claims (14)

  1. フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、該フィラーが、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されており、且つ該結着剤が、該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子を含有することを特徴とするインクジェット被記録媒体。
  2. 該半極性有機ホウ素化合物が、式(1)
    Figure 2004284085
    {式中、AはX−Y−Z(但し、X及びZは末端エーテル残基を持つ炭素数合計100以下の含酸素炭化水素基、Yは−OCO−R−CO−基(但し、Rは炭素数1〜34の炭化水素基である。)であり、l、m及びnは0または1である。)であり、Pは10〜1000の整数を表わす。qは1以上の整数である。}
    で表わされるジグリセリンボラート又はその誘導体である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  3. 該フィラーが、式(2)及び(3)
    Figure 2004284085
    {式(2)及び(3)中、MIIはMg、Zn、Ni又はCaの2価金属イオンを表し、MIIIはAlの3価金属イオンを表し、Aはn価のアニオンを表し、xは0.1<x<0.4を満たす正数であり、mは0<m<2を満たす正数である。}
    で示される微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  4. 該フィラーが、表面にシラノール性OH基を有する珪酸塩又はアルミナ水和物である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  5. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、アルコール性OH基を主鎖もしくは枝鎖に有する水溶性樹脂又は親水性樹脂である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  6. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、第1級、第2級もしくは第3級アミノ基又は含窒素複素環を主鎖もしくは枝鎖に有する水溶性樹脂又は親水性樹脂である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  7. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、アルコール性OH基を主鎖もしくは枝鎖に有する疎水性樹脂の水性エマルジョンである請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  8. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、第1級、第2級もしくは第3級アミノ基又は含窒素複素環を主鎖もしくは枝鎖に有する疎水性樹脂の水性エマルジョンである請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  9. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、セルロース系樹脂である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  10. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、ゼラチンである請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  11. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  12. 該半極性有機ホウ素化合物と複合化物を形成する作用を有する高分子が、ポリビニルピロリドン系樹脂である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  13. フィラーに対する該半極性有機ホウ素化合物の表面修飾量が、フィラー1重量部に対し、0.02〜1重量部である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
  14. インク受容層における、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾されたフィラーの含有量が、結着剤1重量部に対し0.1〜50重量部である請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015054423A (ja) * 2013-09-11 2015-03-23 株式会社リコー 乾燥装置、画像形成装置、乾燥システム及び乾燥方法

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