JP2004283984A - 切刃チップの装着構造、これを用いた切削工具、スローアウェイチップ - Google Patents
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Abstract
【課題】切削抵抗による切刃の振動を低減してワークの加工精度及び切刃の寿命を向上させる。
【解決手段】切刃チップ支持体Hに対して、切刃をなす切刃チップCを、超硬合金とろう材との複合体Bを用いてろう付けする。この複合体Bを、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体を有し、この多孔質焼結体の空隙内に、ろう材の少なくとも一部が含浸されている構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】切刃チップ支持体Hに対して、切刃をなす切刃チップCを、超硬合金とろう材との複合体Bを用いてろう付けする。この複合体Bを、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体を有し、この多孔質焼結体の空隙内に、ろう材の少なくとも一部が含浸されている構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの切削に作用する切刃をなす切刃チップの、チップ支持体に対する装着構造、この装着構造を用いた切削工具、スローアウェイチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
切刃チップは、切削工具の工具本体に対して装着されるか、工具本体に保持されるスローアウェイチップのスローアウェイチップ本体に対して装着されるものである。
このような切刃チップとしては、一般的な超硬合金製のもののほか、切刃チップにおいて少なくとも切刃として使用される部位が、超硬合金よりもさらに硬質の、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料を主体とする粉末を焼結してなる焼結体によって構成されているものがある。
この切刃チップは、切刃として使用される部位の硬度が非常に高いために、切刃の耐磨耗性が高く、切刃寿命が長い。また、このような切刃チップを用いることで、長い切刃寿命を獲得しつつ、工具本体やスローアウェイチップ本体等のチップ支持体を、一般的な工具本体やスローアウェイチップと同じ材質とすることができるので、高価な超硬質材料の使用量が少なくてすみ、経済的である。
【0003】
ここで、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料はろう材に対するぬれ性が低いため、一般的に、超硬質材料を用いた切刃チップは、超硬質材料からなる層をろう材に対するぬれ性の高い材料(例えば超硬合金)からなる層によって裏打ちした構成とされ、工具本体やスローアウェイチップ本体に対しては、超硬合金からなる層をろう付けすることによって装着される。
また、近年は、超硬質材料に対してもなじみやすい特殊なろう材が開発されており、超硬合金等の裏打ちがない切刃チップも、チップ支持体に対して直接ろう付けすることが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−052108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、重切削や断続切削を行う場合には、その切削抵抗によって切削工具に振動が生じてしまうので、ワークの加工精度には限界があった。
また、あまり切削条件を厳しくすると、振動によって切刃チップに加わる負荷が大きくなるために切刃にチッピングが生じやすくなってしまい、切刃寿命を縮めてしまう。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ワークの加工精度及び切刃の寿命を向上させることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明にかかる切刃チップの装着構造は、切刃チップ支持体に対する切刃チップの装着構造であって、前記切刃チップは、前記切刃チップ支持体に対して、超硬合金とろう材との複合体によってろう付けされていることを特徴としている。
【0008】
この切刃チップの装着構造では、切刃チップ支持体と切刃チップとの間に、超硬合金とろう材との複合体が配置されることとなる。
ここで、超硬合金とろう材との複合体とは、超硬合金の微細粒子とろう材とを混合したものや、超硬合金の微細粒子を焼結してなる多孔質焼結体にろう材を含浸させたものなど、超硬合金とろう材とが複合的に配置されてなる構造体を指す。
【0009】
このような超硬合金とろう材との複合体は、十分な強度を有しながら、単に超硬合金からなる層とろう材からなる層とを積層した構成のものに比べて高い弾力性を有しており、衝撃緩衝材として高い性能を発揮する。
また、このように複合体が高い弾力性を有しているので、この複合体を用いた切刃チップの装着構造では、ろう付けの際に切刃チップ及び切刃チップ支持体に生じた熱的ひずみが複合体によって吸収されることとなり、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップの位置精度が高い。
ここで、この複合体に用いられるろう材は、切刃チップの材質に応じて適宜選択されるものであって、切刃チップが超硬質材料によって構成されている場合には、超硬質材料のろう付けが可能なろう材が用いられる。
【0010】
また、この切刃チップの装着構造において、複合体は、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体を有し、この多孔質焼結体の空隙内には、前記ろう材の少なくとも一部が含浸されている構成としてもよい。
【0011】
このような三次元網目構造をなす多孔質焼結体は、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるものであって、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
【0012】
このような多孔質焼結体は、中実の骨格を有するがゆえに十分な強度を呈し、高い空隙率を設定することが可能であるので、この多孔質焼結体を用いた複合体は、より高い弾力性を有している。
また、この多孔質焼結体は、空隙率が高いために、ろう材との接触面積も大きくろう材との結合強度が高いので、この多孔質焼結体を用いた複合体による切刃チップの装着構造では、複合体による切刃チップとチップ支持体との接合強度が十分に確保される。
ここで、この切刃チップの装着構造は、切刃チップとチップ支持体との間に、この複合体を単層で設けた構成としてもよく、また複数積層して設けた構成としてもよい。
【0013】
また、多孔質焼結体の空隙率は、高い緩衝性能、ひずみ吸収性能を要する場合には高めに、高い強度を要する場合には低めに設定するなど、要求される特性に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙率が50体積%よりも低いと、多孔質焼結体の剛性が高くなりすぎて弾力性が低下し、衝撃緩衝性能やひずみ吸収性能が低下してしまう。一方,空隙率が90体積%を超えると、多孔質焼結体において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、多孔質焼結体の空隙率は50体積%から90体積%の範囲内とすることが好ましく、60体積%から85体積%の範囲内とすることがより好ましい。
【0014】
また、多孔質焼結体の空隙の平均寸法も、高い緩衝性能、ひずみ吸収性能を要する場合には高めに、高い強度を要する場合には低めに設定するなど、要求される特性に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が10μmよりも小さいと、多孔質焼結体の剛性が高くなりすぎて弾力性が低下し、緩衝性能やひずみ吸収性能が低下してしまう。一方,空隙の平均寸法が300μmよりも大きいと、多孔質焼結体において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、多孔質焼結体の空隙の平均寸法は10μmから300μmの範囲内に設定されることが好ましく、30μmから150μmの範囲内とすることがより好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる切削工具は、工具本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなる切削工具であって、前記工具本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴としている。
このように構成される切削工具では、工具本体に対する切刃チップの装着構造として、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造を採用しているので、同様の衝撃緩衝性能、歪み吸収性能を得ることができる。
【0016】
また、本発明にかかるスローアウェイチップは、スローアウェイチップ本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなるスローアウェイチップであって、前記スローアウェイチップ本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴としている。
このように構成されるスローアウェイチップでは、スローアウェイチップ本体に対する切刃チップの装着構造として、請求項1〜4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造を採用しているので、同様の衝撃緩衝性能、歪み吸収性能を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
ここで、図1は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は一部拡大側断面図、図2は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は軸直交断面を示す一部拡大断面図、図3は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を概略的に示す拡大側断面図、図4は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造の主要部の構成を示すSEM写真である。
【0018】
図1に示す切削工具1は、工具本体2のチップ取付座2aに、切刃をなすスローアウェイチップ3が着脱可能にして装着される、いわゆるスローアウェイ式バイトである。
この切削工具1では、スローアウェイチップ3として、スローアウェイチップ本体4(切刃チップ支持体H)と、切刃をなす切刃チップCとを有するスローアウェイチップを用いている。
【0019】
図1(b)に示すように,スローアウェイチップ本体4は、スローアウェイチップ3の切刃をなす部位に、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。
このろう付けには、超硬合金とろう材との複合体Bが用いられている。
ここで、スローアウェイチップ本体4には、少なくとも二面以上の受け面Fが形成されており、切刃チップCは、複数の面をろう付けされることによってスローアウェイチップ本体4に装着されている。
【0020】
図2に示す切削工具11はエンドミルであって、棒状の工具本体12(切刃チップ保持体H)の長手方向の先端部に先端切刃13が設けられ、外周には外周切刃14が設けられている。
この切削工具11は、工具本体12に対して、先端切刃13、外周切刃14として、切刃をなす切刃チップCを装着したものである。
【0021】
図2(b)に示すように,工具本体12には、その外周に、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、外周切刃14をなす切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。また、図示しないが、工具本体12の先端にも、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、先端切刃13をなす切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。
このろう付けには、図1に示す切削工具1と同様に、超硬合金とろう材との複合体Bが用いられている。この複合体Bは、十分な強度を有し、かつ単に超硬合金からなる層とろう材からなる層とを積層した構成のものに比べて高い弾力性を有しており、衝撃緩衝材として高い性能を発揮する。
ここで、工具本体12において切刃チップCが装着される部位には、一つの切刃チップCに対応する受け面Fが少なくとも二面以上設けられており、各切刃チップCは、それぞれ複数の面をろう付けされることによって工具本体12に装着されている。
【0022】
ここで、本実施の形態では、切刃チップCは、以下のようにして作成した。
平均粒径3μmのcBN粉末、0.5μm〜2μmの粒径を有するTiN(窒化チタン)粉末、TiAl3(チタンアルミニウム)粉末、Al2O3(アルミナ)粉末を用意し、cBN:60質量%、TiN:24質量%、TiAl3:8質量%、Al2O3:8質量%の割合でそれぞれの粉末を秤量した。これらの粉末をボールミルで72時間湿式混合し、乾燥したのち、プレス成形によって直径20mm厚さ1.5mmの略円板状の成形体に加工した。この成形体を、超高圧装置(一般的なものでよい)に挿入し、温度1350°C、圧力5GPaの条件で1時間保持して焼結した。得られた焼結体の上下面をダイヤモンド砥石により研削したのちにワイヤー放電加工機により1辺:5mm、厚さ1mmの正三角形に切り出して、切刃チップCとした。
【0023】
図1、図2に示すように、切刃チップCは、切刃チップ支持体Hに設けられる受け面Fに対して、複合体Bによってろう付けされている。
本実施の形態では、複合体Bは、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体Pを有しており、この多孔質焼結体Pの空隙内には、ろう材Sの少なくとも一部が含浸されている。
【0024】
多孔質焼結体Pは、シート状に形成されるものであって、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるものであって、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
この多孔質焼結体Pとして用いられる超硬合金の一例としては、炭化タングステン(WC)を主体とした硬質相をコバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの金属で結合したものや、必要に応じて炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr3C2)、クロム(Cr)などを添加した従来より知られているものが挙げられる。
【0025】
また、本実施の形態では、切刃チップCは、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料を主体とする粉末を焼結してなる焼結体によって構成されており、ろう材Sは、このような超硬質材料に対してなじみやすいもの、例えば、Cu(銅):20質量%、Ti(チタン):2質量%、残量がAg(銀)と不可避不純物とからなるろう材や、Ag:60質量%、Cu:20質量%、In(インジウム):10質量%、Ti:2質量%を含むもの等、Ti、Niのような活性金属を含む活性ろう材が用いられる。
【0026】
以下、これら切削工具1、11において、切刃チップ支持体Hに対する切刃チップCの装着方法を説明する。
まず、チップ保持体Hの受け面F上に、粉末状、またはペースト状のろう材Sを適宜の分量載置する。
続いて、ろう材Sが設けられた受け面Fに対してシート状の多孔質焼結体Pを設置する。
そして、多孔質焼結体Pの上から、切刃チップCを、受け面Fに受けられる面が受け面Fに対向するようにして載置する。
【0027】
このようにして切刃チップCを切刃チップ支持体Hに対して位置決めして載置したのち、固定冶具を用いるなどして切刃チップCを切刃チップ支持体Hに仮固定し、この状態で、切刃チップC及び切刃チップ支持体Hを加熱して、これらの間に設けられたろう材Sを溶融させる。
このように溶融したろう材Sは、切刃チップ支持体Hの受け面Fに沿って広がるとともに、少なくとも一部が多孔質焼結体Pの空隙内に入り込むこととなり、これによって多孔質焼結体Pとろう材Sとの複合体Bが形成される。そして、多孔質焼結体Pの空隙内に入り込んだろう材Sは、空隙を通じて多孔質焼結体Pを通過し、多孔質焼結体P上の切刃チップCの表面まで達する。
【0028】
そして、このようにしてろう材Sを切刃チップCの表面及び切刃チップ支持体Hの受け面Fに十分に回り込ませたのちに、切刃チップC及び切刃チップ支持体Hを冷却することで、切刃チップCと切刃チップ支持体Hとが、間に複合体Bを介在させた状態でろう付けされる。
【0029】
この切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11によれば、切刃チップ支持体Hと切刃チップCとの間に、高性能な衝撃緩衝材である複合体Bが配置されているので、切刃に切削抵抗による振動が生じにくく、ワークの加工精度が高い。また、このように切刃の振動が抑えられるとともに切刃に加わる負荷も低いので、切刃寿命も長い。
【0030】
そして、このように複合体Bが高い弾力性を有しているので、この複合体Bを用いた切刃チップの装着構造では、ろう付けの際に切刃チップC及び切刃チップ支持体Hに生じた熱的ひずみが複合体Bによって吸収されるため、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップCの取り付け精度が高く、ワークの加工精度も高い。
【0031】
さらに、本実施の形態では、複合体Bは、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体Pを有している。この多孔質焼結体Pは、中実の骨格を有するがゆえに十分な強度を呈し、高い空隙率を設定することが可能であるので、この多孔質焼結体Pを用いた複合体Bは、さらに弾力性を高めることが可能である。
このため、本実施の形態にかかる切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11では、より一層切刃に振動が生じにくく、ワークの加工精度が高く、切刃寿命も長くなる。
また、本実施の形態にかかる複合体Bでは、多孔質焼結体Pとろう材Sとの接触面積が大きく、ろう材Sとの結合強度も高いので、本実施の形態にかかる切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11では、切刃チップCとチップ支持体Hとの接合強度が十分に確保される。
【0032】
ここで、上記実施の形態では、本発明にかかる切刃チップの装着構造が適用される工具として、スローアウェイ式バイト及びろう付けエンドミルを示したが、これに限られることなく、工具本体に切刃チップをろう付けした付き刃バイト等の他の旋削工具や、フライス、リーマ、ガンドリル等のろう付け式の他の転削工具に適用してもよく、またスローアウェイチップ本体に切刃チップをろう付けしたスローアウェイチップを用いるスローアウェイ式の転削工具に適用してもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明にかかる切刃チップの装着構造を用いた切削工具による切削性能試験を行った。
この試験は、上記の切削工具1(ここでは工具形状はTNGA160408とした。以下、実施例工具とする)について行った。また、比較のために、切削工具1と同形状で、切刃チップCと同じ材料からなる超硬質材料層をろう材に対するぬれ性の高い超硬合金からなる層によって裏打ちした構成の切刃チップを切刃チップ支持体にろう付けした切削工具(以下、比較例工具1とする)と、チップ支持体Hに対して切刃チップCを直接ろう付けした切削工具(以下、比較例工具2とする)についても同様の切削性能試験を行った。
【0034】
ここで、実施例工具に用いた多孔質焼結体P(以下、実施例焼結体とする)は、次のようにして作成した。
まず、微細粒子として、平均粒径0.5μm〜2μmのWC粉末、同1.5μmのTiC0.5N0.5(以下TiCNと表記)粉末、VC(炭化バナジウム)粉末、Mo2C(炭化二モリブデン)粉末、Ni粉末、同2μmのWC粉末、Cr3C2粉末、同1.3μmのCo粉末、同1.6μmの(Ti,W)C固溶体粉末(TiC/WC=3/7質量比)、(Ta,Nb)C固溶体粉末(TaC/NbC=9/1質量比)を用意し、以下の表1に示す配合組成に配合してアルコール中でボールミルによる湿式混合を行った。
【0035】
【表1】
【0036】
得られたスラリーを乾燥して混合粉とした後、蒸留水、水溶性樹脂結合剤として水溶性セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、界面活性剤(アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)、可塑剤としてグリセリン、及び、発泡剤となる有機溶剤(非水溶性有機溶剤)としてヘキサンを添加して攪拌し、発泡用スラリーとした。この発泡用スラリーの組成を、混合粉重量を100としたときの比率で表1に示した。
【0037】
次に、発泡用スラリーを、ドクターブレード法によって厚さ3mmのシート状に成形し、ヘキサンを気化して成形体を発泡させた後、これを乾燥させることにより、多孔質成形体を得た。
得られた多孔質成形体を、実施例焼結体1〜3、6、7については、真空中1280°C〜1330゜Cの温度に、実施例焼結体4、5、8については、100Paの窒素雰囲気中1300°C〜1350゜Cの温度に、いずれも1時間保持して焼結した。
【0038】
ここで、これら実施例焼結体1〜8について、その空隙率と空隙の平均寸法を測定した。空隙の平均寸法は走査型電子顕微鏡(SEM)の写真上で20個の空隙の寸法を測定して求めた。この結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
この切削性能試験では、外径80mmで外周に幅5mm、深さ5mmの溝を軸線に平行かつ周方向に等間隔に8本設けた丸棒(材質:SCM415(浸炭焼入れ材、表面固さHRC60))の外径切削(すなわち断続切削)を行い、各切削工具の切刃寿命とワークの表面粗さRmaxとを測定した。このときの切削条件は、切削速度V=200m/min、切り込み深さap=0.1mm、送りf=0.1mm/rev、切削方法は湿式切削(クーラントとして水溶性クーラントを使用)であった。この結果を上記表2に示す。
【0041】
この試験において、切削開始から5分経過した時点では、実施例工具1〜8、比較例工具1、2とも、切刃にチッピングが生じていないが、比較例工具1、2では、ワークの加工面の表面粗さRmaxはそれぞれ2.9μm、3.0μmであったのに対して、実施例工具1〜8では、いずれもワークの加工面の表面粗さRmaxは1.9μm以下と、比較例工具1、2よりも良好であった。
そして、切削開始から7分経過した時点で、比較例工具1、2では切刃にチッピングが生じてしまったのに対して、実施例工具1〜8では、切刃にチッピングはみられなかった。また、この時点において、実施例工具1〜8によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2よりも良好であった。
また、切削開始から15分経過した時点では、実施例工具7の切刃にもチッピングがみられたものの、実施例工具1〜6、8の切刃にはチッピングはみられなかった。また、この時点において、実施例工具1〜6、8によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2、及び実施例工具7によって加工されたワークの表面粗さRmaxよりも良好であった。
さらに、切削開始から20分経過した時点でも、実施例工具1〜6、8の切刃にはチッピングはみられなかったが、実施例工具6、8では、複合体Bがわずかに圧縮されていて、切刃位置が初期の位置からわずかにずれていた。また、この時点において、実施例工具1〜5によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2、及び実施例工具6〜8によって加工されたワークの表面粗さRmaxよりも良好であった。
【0042】
このことから、実施例工具1〜8では、比較例工具1、2よりも切刃の寿命が長い上、ワークの加工精度も高く、特に、実施例工具1〜5では、さらに切刃寿命が長く、加工精度も高いことがわかる。これは、実施例工具1〜8では、比較例工具よりも振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷が小さいためと思われ、特に、実施例工具1〜5では、複合体Bの多孔質焼結体Pの空隙率がさらに高く、空隙の平均寸法もさらに大きいため、より振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷がより一層小さいためと思われる。
また、実施例工具1〜7では、複合体Bを構成する多孔質焼結体Pの強度が高いために、長期にわたって切削を行っても、切削抵抗による多孔質焼結体Pの変形が少なく、切刃位置の変動が生じにくくなっていると思われる。
【0043】
また、本発明にかかる切刃チップの装着構造を用いた切削工具11についても切削性能試験を行った。
この試験では、上記の切削工具11として、直径15mmの一枚刃エンドミルを用い、工具本体12に装着される切刃チップCは上記の切削性能試験を行った切削工具1で用いたものと同じ材質とし、切刃チップCのろう付けに用いた複合体Bは、多孔質焼結体Pとして、上記切削試験で使用した実施例工具1〜8に用いた多孔質焼結体Pを用いたものとした。ここで、以下では、切削工具11のうち、複合体Bの多孔質焼結体Pとして実施例工具1で用いた多孔質焼結体Pを用いたものを実施例工具9とし、同様に、多孔質焼結体Pとして実施例工具2、3、4、5、6、7、8で用いた多孔質焼結体Pを用いたものを、同順で実施例工具9、10、11、12、13、14、15、16とする。
また、比較のために、実施例工具9と同形状で、切刃チップCと同じ材料からなる超硬質材料層をろう材に対するぬれ性の高い超硬合金からなる層によって裏打ちした構成の切刃チップを切刃チップ支持体にろう付けした切削工具(以下、比較例工具3とする)と、チップ支持体Hに対して切刃チップCを直接ろう付けした切削工具(以下、比較例工具4とする)についても同様の切削性能試験を行った。
【0044】
この切削性能試験では、SKD11焼入れ材の切削加工を行い、各切削工具の切刃寿命を測定した。このときの切削条件は、主軸回転数3000rpm、切り込みはZ方向:1mm、R方向:0.3mm、送りSz:0.3mm/刃、切削方法は湿式切削(クーラントとして水溶性クーラントを使用)とし、20分間の連続加工を行った。
【0045】
この試験において、切削開始から5分経過した時点で、比較例工具4では切刃にチッピングが生じてしまったのに対して、実施例工具9〜16、比較例工具3では、切刃にチッピングはみられなかった。
また、切削開始から7分経過した時点では、比較例工具4の切刃にチッピングがみられたものの、実施例工具9〜16の切刃にはチッピングはみられなかった。
そして、切削開始から15分経過した時点では、実施例工具15の切刃にもチッピングがみられ、17分経過した時点では実施例工具14の切刃にもチッピングがみられ、19分経過した時点では実施例工具16の切刃にもチッピングがみられたものの、実施例工具9〜13の切刃には、20分経過した時点でもチッピングはみられなかった。
【0046】
このことから、実施例工具9〜16では、比較例工具3、4よりも切刃の寿命が長く、特に、実施例工具9〜13では、さらに切刃寿命が長いことがわかる。これは、実施例工具9〜16では、比較例工具よりも振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷が小さいためと思われ、特に、実施例工具9〜13では、複合体Bの多孔質焼結体Pの空隙率がさらに高く、空隙の平均寸法もさらに大きいため、より振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷がより一層小さいためと思われる。
【0047】
【発明の効果】
本発明にかかる切刃チップの装着構造によれば、切刃チップと切刃チップ支持体との間に配置された超硬合金とろう材との複合体が衝撃緩衝材として作用するために、切刃に切削抵抗による振動が生じにくいので、ワークの加工精度が高い。また、このように切刃の振動が抑えられるとともに切刃に加わる負荷も低いので、切刃寿命も長い。
また、この切刃チップの装着構造では、複合体によってろう付けの際に切刃チップ及び切刃チップ支持体に生じた熱的ひずみが吸収されるため、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップの位置精度が高く、ワークの高精度な加工が可能である。
【0048】
同様に、この切刃チップの装着構造を採用した切削工具及びこの切刃チップの装着構造を採用したスローアウェイチップを用いる切削工具では、切削抵抗による切刃の振動が低減され、ワークの加工精度が高く、切刃寿命も長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を概略的に示す拡大側断面図である。
【図4】本実施形態にかかる切刃チップの装着構造の主要部の構成を示すSEM写真である。
【符号の説明】
1、11切削工具
4 スローアウェイチップ本体(切刃チップ支持体)
12 工具本体(切刃チップ支持体)
B 複合体
C 切刃チップ
H 切刃チップ支持体
P 多孔質焼結体
S ろう材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの切削に作用する切刃をなす切刃チップの、チップ支持体に対する装着構造、この装着構造を用いた切削工具、スローアウェイチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
切刃チップは、切削工具の工具本体に対して装着されるか、工具本体に保持されるスローアウェイチップのスローアウェイチップ本体に対して装着されるものである。
このような切刃チップとしては、一般的な超硬合金製のもののほか、切刃チップにおいて少なくとも切刃として使用される部位が、超硬合金よりもさらに硬質の、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料を主体とする粉末を焼結してなる焼結体によって構成されているものがある。
この切刃チップは、切刃として使用される部位の硬度が非常に高いために、切刃の耐磨耗性が高く、切刃寿命が長い。また、このような切刃チップを用いることで、長い切刃寿命を獲得しつつ、工具本体やスローアウェイチップ本体等のチップ支持体を、一般的な工具本体やスローアウェイチップと同じ材質とすることができるので、高価な超硬質材料の使用量が少なくてすみ、経済的である。
【0003】
ここで、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料はろう材に対するぬれ性が低いため、一般的に、超硬質材料を用いた切刃チップは、超硬質材料からなる層をろう材に対するぬれ性の高い材料(例えば超硬合金)からなる層によって裏打ちした構成とされ、工具本体やスローアウェイチップ本体に対しては、超硬合金からなる層をろう付けすることによって装着される。
また、近年は、超硬質材料に対してもなじみやすい特殊なろう材が開発されており、超硬合金等の裏打ちがない切刃チップも、チップ支持体に対して直接ろう付けすることが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−052108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、重切削や断続切削を行う場合には、その切削抵抗によって切削工具に振動が生じてしまうので、ワークの加工精度には限界があった。
また、あまり切削条件を厳しくすると、振動によって切刃チップに加わる負荷が大きくなるために切刃にチッピングが生じやすくなってしまい、切刃寿命を縮めてしまう。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、ワークの加工精度及び切刃の寿命を向上させることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明にかかる切刃チップの装着構造は、切刃チップ支持体に対する切刃チップの装着構造であって、前記切刃チップは、前記切刃チップ支持体に対して、超硬合金とろう材との複合体によってろう付けされていることを特徴としている。
【0008】
この切刃チップの装着構造では、切刃チップ支持体と切刃チップとの間に、超硬合金とろう材との複合体が配置されることとなる。
ここで、超硬合金とろう材との複合体とは、超硬合金の微細粒子とろう材とを混合したものや、超硬合金の微細粒子を焼結してなる多孔質焼結体にろう材を含浸させたものなど、超硬合金とろう材とが複合的に配置されてなる構造体を指す。
【0009】
このような超硬合金とろう材との複合体は、十分な強度を有しながら、単に超硬合金からなる層とろう材からなる層とを積層した構成のものに比べて高い弾力性を有しており、衝撃緩衝材として高い性能を発揮する。
また、このように複合体が高い弾力性を有しているので、この複合体を用いた切刃チップの装着構造では、ろう付けの際に切刃チップ及び切刃チップ支持体に生じた熱的ひずみが複合体によって吸収されることとなり、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップの位置精度が高い。
ここで、この複合体に用いられるろう材は、切刃チップの材質に応じて適宜選択されるものであって、切刃チップが超硬質材料によって構成されている場合には、超硬質材料のろう付けが可能なろう材が用いられる。
【0010】
また、この切刃チップの装着構造において、複合体は、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体を有し、この多孔質焼結体の空隙内には、前記ろう材の少なくとも一部が含浸されている構成としてもよい。
【0011】
このような三次元網目構造をなす多孔質焼結体は、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるものであって、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
【0012】
このような多孔質焼結体は、中実の骨格を有するがゆえに十分な強度を呈し、高い空隙率を設定することが可能であるので、この多孔質焼結体を用いた複合体は、より高い弾力性を有している。
また、この多孔質焼結体は、空隙率が高いために、ろう材との接触面積も大きくろう材との結合強度が高いので、この多孔質焼結体を用いた複合体による切刃チップの装着構造では、複合体による切刃チップとチップ支持体との接合強度が十分に確保される。
ここで、この切刃チップの装着構造は、切刃チップとチップ支持体との間に、この複合体を単層で設けた構成としてもよく、また複数積層して設けた構成としてもよい。
【0013】
また、多孔質焼結体の空隙率は、高い緩衝性能、ひずみ吸収性能を要する場合には高めに、高い強度を要する場合には低めに設定するなど、要求される特性に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙率が50体積%よりも低いと、多孔質焼結体の剛性が高くなりすぎて弾力性が低下し、衝撃緩衝性能やひずみ吸収性能が低下してしまう。一方,空隙率が90体積%を超えると、多孔質焼結体において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、多孔質焼結体の空隙率は50体積%から90体積%の範囲内とすることが好ましく、60体積%から85体積%の範囲内とすることがより好ましい。
【0014】
また、多孔質焼結体の空隙の平均寸法も、高い緩衝性能、ひずみ吸収性能を要する場合には高めに、高い強度を要する場合には低めに設定するなど、要求される特性に応じて適宜設定されるのであるが、この空隙の平均寸法が10μmよりも小さいと、多孔質焼結体の剛性が高くなりすぎて弾力性が低下し、緩衝性能やひずみ吸収性能が低下してしまう。一方,空隙の平均寸法が300μmよりも大きいと、多孔質焼結体において三次元網目構造を構成する骨格部分が少なくなりすぎて、その強度を確保できなくなる可能性がある。
このため、多孔質焼結体の空隙の平均寸法は10μmから300μmの範囲内に設定されることが好ましく、30μmから150μmの範囲内とすることがより好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる切削工具は、工具本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなる切削工具であって、前記工具本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴としている。
このように構成される切削工具では、工具本体に対する切刃チップの装着構造として、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造を採用しているので、同様の衝撃緩衝性能、歪み吸収性能を得ることができる。
【0016】
また、本発明にかかるスローアウェイチップは、スローアウェイチップ本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなるスローアウェイチップであって、前記スローアウェイチップ本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴としている。
このように構成されるスローアウェイチップでは、スローアウェイチップ本体に対する切刃チップの装着構造として、請求項1〜4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造を採用しているので、同様の衝撃緩衝性能、歪み吸収性能を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
ここで、図1は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は一部拡大側断面図、図2は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は軸直交断面を示す一部拡大断面図、図3は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を概略的に示す拡大側断面図、図4は本実施形態にかかる切刃チップの装着構造の主要部の構成を示すSEM写真である。
【0018】
図1に示す切削工具1は、工具本体2のチップ取付座2aに、切刃をなすスローアウェイチップ3が着脱可能にして装着される、いわゆるスローアウェイ式バイトである。
この切削工具1では、スローアウェイチップ3として、スローアウェイチップ本体4(切刃チップ支持体H)と、切刃をなす切刃チップCとを有するスローアウェイチップを用いている。
【0019】
図1(b)に示すように,スローアウェイチップ本体4は、スローアウェイチップ3の切刃をなす部位に、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。
このろう付けには、超硬合金とろう材との複合体Bが用いられている。
ここで、スローアウェイチップ本体4には、少なくとも二面以上の受け面Fが形成されており、切刃チップCは、複数の面をろう付けされることによってスローアウェイチップ本体4に装着されている。
【0020】
図2に示す切削工具11はエンドミルであって、棒状の工具本体12(切刃チップ保持体H)の長手方向の先端部に先端切刃13が設けられ、外周には外周切刃14が設けられている。
この切削工具11は、工具本体12に対して、先端切刃13、外周切刃14として、切刃をなす切刃チップCを装着したものである。
【0021】
図2(b)に示すように,工具本体12には、その外周に、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、外周切刃14をなす切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。また、図示しないが、工具本体12の先端にも、切刃チップCを受ける受け面Fが形成されており、先端切刃13をなす切刃チップCは、この受け面Fに対してろう付けされている。
このろう付けには、図1に示す切削工具1と同様に、超硬合金とろう材との複合体Bが用いられている。この複合体Bは、十分な強度を有し、かつ単に超硬合金からなる層とろう材からなる層とを積層した構成のものに比べて高い弾力性を有しており、衝撃緩衝材として高い性能を発揮する。
ここで、工具本体12において切刃チップCが装着される部位には、一つの切刃チップCに対応する受け面Fが少なくとも二面以上設けられており、各切刃チップCは、それぞれ複数の面をろう付けされることによって工具本体12に装着されている。
【0022】
ここで、本実施の形態では、切刃チップCは、以下のようにして作成した。
平均粒径3μmのcBN粉末、0.5μm〜2μmの粒径を有するTiN(窒化チタン)粉末、TiAl3(チタンアルミニウム)粉末、Al2O3(アルミナ)粉末を用意し、cBN:60質量%、TiN:24質量%、TiAl3:8質量%、Al2O3:8質量%の割合でそれぞれの粉末を秤量した。これらの粉末をボールミルで72時間湿式混合し、乾燥したのち、プレス成形によって直径20mm厚さ1.5mmの略円板状の成形体に加工した。この成形体を、超高圧装置(一般的なものでよい)に挿入し、温度1350°C、圧力5GPaの条件で1時間保持して焼結した。得られた焼結体の上下面をダイヤモンド砥石により研削したのちにワイヤー放電加工機により1辺:5mm、厚さ1mmの正三角形に切り出して、切刃チップCとした。
【0023】
図1、図2に示すように、切刃チップCは、切刃チップ支持体Hに設けられる受け面Fに対して、複合体Bによってろう付けされている。
本実施の形態では、複合体Bは、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体Pを有しており、この多孔質焼結体Pの空隙内には、ろう材Sの少なくとも一部が含浸されている。
【0024】
多孔質焼結体Pは、シート状に形成されるものであって、粉末冶金法による例えば金属材料の製造工程において、スラリー状混合原料に、結合剤、界面活性剤、発泡剤などを添加して発泡させて得られた三次元網目構造の多孔質成形体を焼結することで製造されるものであって、多孔質成形体の製造条件を適宜調整することによって、空隙率や空隙の寸法を容易に所望の値に設定できるようになっている。
この多孔質焼結体Pとして用いられる超硬合金の一例としては、炭化タングステン(WC)を主体とした硬質相をコバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの金属で結合したものや、必要に応じて炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化クロム(Cr3C2)、クロム(Cr)などを添加した従来より知られているものが挙げられる。
【0025】
また、本実施の形態では、切刃チップCは、ダイヤモンドやcBN等の超硬質材料を主体とする粉末を焼結してなる焼結体によって構成されており、ろう材Sは、このような超硬質材料に対してなじみやすいもの、例えば、Cu(銅):20質量%、Ti(チタン):2質量%、残量がAg(銀)と不可避不純物とからなるろう材や、Ag:60質量%、Cu:20質量%、In(インジウム):10質量%、Ti:2質量%を含むもの等、Ti、Niのような活性金属を含む活性ろう材が用いられる。
【0026】
以下、これら切削工具1、11において、切刃チップ支持体Hに対する切刃チップCの装着方法を説明する。
まず、チップ保持体Hの受け面F上に、粉末状、またはペースト状のろう材Sを適宜の分量載置する。
続いて、ろう材Sが設けられた受け面Fに対してシート状の多孔質焼結体Pを設置する。
そして、多孔質焼結体Pの上から、切刃チップCを、受け面Fに受けられる面が受け面Fに対向するようにして載置する。
【0027】
このようにして切刃チップCを切刃チップ支持体Hに対して位置決めして載置したのち、固定冶具を用いるなどして切刃チップCを切刃チップ支持体Hに仮固定し、この状態で、切刃チップC及び切刃チップ支持体Hを加熱して、これらの間に設けられたろう材Sを溶融させる。
このように溶融したろう材Sは、切刃チップ支持体Hの受け面Fに沿って広がるとともに、少なくとも一部が多孔質焼結体Pの空隙内に入り込むこととなり、これによって多孔質焼結体Pとろう材Sとの複合体Bが形成される。そして、多孔質焼結体Pの空隙内に入り込んだろう材Sは、空隙を通じて多孔質焼結体Pを通過し、多孔質焼結体P上の切刃チップCの表面まで達する。
【0028】
そして、このようにしてろう材Sを切刃チップCの表面及び切刃チップ支持体Hの受け面Fに十分に回り込ませたのちに、切刃チップC及び切刃チップ支持体Hを冷却することで、切刃チップCと切刃チップ支持体Hとが、間に複合体Bを介在させた状態でろう付けされる。
【0029】
この切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11によれば、切刃チップ支持体Hと切刃チップCとの間に、高性能な衝撃緩衝材である複合体Bが配置されているので、切刃に切削抵抗による振動が生じにくく、ワークの加工精度が高い。また、このように切刃の振動が抑えられるとともに切刃に加わる負荷も低いので、切刃寿命も長い。
【0030】
そして、このように複合体Bが高い弾力性を有しているので、この複合体Bを用いた切刃チップの装着構造では、ろう付けの際に切刃チップC及び切刃チップ支持体Hに生じた熱的ひずみが複合体Bによって吸収されるため、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップCの取り付け精度が高く、ワークの加工精度も高い。
【0031】
さらに、本実施の形態では、複合体Bは、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体Pを有している。この多孔質焼結体Pは、中実の骨格を有するがゆえに十分な強度を呈し、高い空隙率を設定することが可能であるので、この多孔質焼結体Pを用いた複合体Bは、さらに弾力性を高めることが可能である。
このため、本実施の形態にかかる切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11では、より一層切刃に振動が生じにくく、ワークの加工精度が高く、切刃寿命も長くなる。
また、本実施の形態にかかる複合体Bでは、多孔質焼結体Pとろう材Sとの接触面積が大きく、ろう材Sとの結合強度も高いので、本実施の形態にかかる切刃チップの装着構造、及びこの装着構造を採用した切削工具1、11では、切刃チップCとチップ支持体Hとの接合強度が十分に確保される。
【0032】
ここで、上記実施の形態では、本発明にかかる切刃チップの装着構造が適用される工具として、スローアウェイ式バイト及びろう付けエンドミルを示したが、これに限られることなく、工具本体に切刃チップをろう付けした付き刃バイト等の他の旋削工具や、フライス、リーマ、ガンドリル等のろう付け式の他の転削工具に適用してもよく、またスローアウェイチップ本体に切刃チップをろう付けしたスローアウェイチップを用いるスローアウェイ式の転削工具に適用してもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明にかかる切刃チップの装着構造を用いた切削工具による切削性能試験を行った。
この試験は、上記の切削工具1(ここでは工具形状はTNGA160408とした。以下、実施例工具とする)について行った。また、比較のために、切削工具1と同形状で、切刃チップCと同じ材料からなる超硬質材料層をろう材に対するぬれ性の高い超硬合金からなる層によって裏打ちした構成の切刃チップを切刃チップ支持体にろう付けした切削工具(以下、比較例工具1とする)と、チップ支持体Hに対して切刃チップCを直接ろう付けした切削工具(以下、比較例工具2とする)についても同様の切削性能試験を行った。
【0034】
ここで、実施例工具に用いた多孔質焼結体P(以下、実施例焼結体とする)は、次のようにして作成した。
まず、微細粒子として、平均粒径0.5μm〜2μmのWC粉末、同1.5μmのTiC0.5N0.5(以下TiCNと表記)粉末、VC(炭化バナジウム)粉末、Mo2C(炭化二モリブデン)粉末、Ni粉末、同2μmのWC粉末、Cr3C2粉末、同1.3μmのCo粉末、同1.6μmの(Ti,W)C固溶体粉末(TiC/WC=3/7質量比)、(Ta,Nb)C固溶体粉末(TaC/NbC=9/1質量比)を用意し、以下の表1に示す配合組成に配合してアルコール中でボールミルによる湿式混合を行った。
【0035】
【表1】
【0036】
得られたスラリーを乾燥して混合粉とした後、蒸留水、水溶性樹脂結合剤として水溶性セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、界面活性剤(アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)、可塑剤としてグリセリン、及び、発泡剤となる有機溶剤(非水溶性有機溶剤)としてヘキサンを添加して攪拌し、発泡用スラリーとした。この発泡用スラリーの組成を、混合粉重量を100としたときの比率で表1に示した。
【0037】
次に、発泡用スラリーを、ドクターブレード法によって厚さ3mmのシート状に成形し、ヘキサンを気化して成形体を発泡させた後、これを乾燥させることにより、多孔質成形体を得た。
得られた多孔質成形体を、実施例焼結体1〜3、6、7については、真空中1280°C〜1330゜Cの温度に、実施例焼結体4、5、8については、100Paの窒素雰囲気中1300°C〜1350゜Cの温度に、いずれも1時間保持して焼結した。
【0038】
ここで、これら実施例焼結体1〜8について、その空隙率と空隙の平均寸法を測定した。空隙の平均寸法は走査型電子顕微鏡(SEM)の写真上で20個の空隙の寸法を測定して求めた。この結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
この切削性能試験では、外径80mmで外周に幅5mm、深さ5mmの溝を軸線に平行かつ周方向に等間隔に8本設けた丸棒(材質:SCM415(浸炭焼入れ材、表面固さHRC60))の外径切削(すなわち断続切削)を行い、各切削工具の切刃寿命とワークの表面粗さRmaxとを測定した。このときの切削条件は、切削速度V=200m/min、切り込み深さap=0.1mm、送りf=0.1mm/rev、切削方法は湿式切削(クーラントとして水溶性クーラントを使用)であった。この結果を上記表2に示す。
【0041】
この試験において、切削開始から5分経過した時点では、実施例工具1〜8、比較例工具1、2とも、切刃にチッピングが生じていないが、比較例工具1、2では、ワークの加工面の表面粗さRmaxはそれぞれ2.9μm、3.0μmであったのに対して、実施例工具1〜8では、いずれもワークの加工面の表面粗さRmaxは1.9μm以下と、比較例工具1、2よりも良好であった。
そして、切削開始から7分経過した時点で、比較例工具1、2では切刃にチッピングが生じてしまったのに対して、実施例工具1〜8では、切刃にチッピングはみられなかった。また、この時点において、実施例工具1〜8によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2よりも良好であった。
また、切削開始から15分経過した時点では、実施例工具7の切刃にもチッピングがみられたものの、実施例工具1〜6、8の切刃にはチッピングはみられなかった。また、この時点において、実施例工具1〜6、8によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2、及び実施例工具7によって加工されたワークの表面粗さRmaxよりも良好であった。
さらに、切削開始から20分経過した時点でも、実施例工具1〜6、8の切刃にはチッピングはみられなかったが、実施例工具6、8では、複合体Bがわずかに圧縮されていて、切刃位置が初期の位置からわずかにずれていた。また、この時点において、実施例工具1〜5によって加工されたワークの加工面の表面粗さRmaxは、比較例工具1、2、及び実施例工具6〜8によって加工されたワークの表面粗さRmaxよりも良好であった。
【0042】
このことから、実施例工具1〜8では、比較例工具1、2よりも切刃の寿命が長い上、ワークの加工精度も高く、特に、実施例工具1〜5では、さらに切刃寿命が長く、加工精度も高いことがわかる。これは、実施例工具1〜8では、比較例工具よりも振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷が小さいためと思われ、特に、実施例工具1〜5では、複合体Bの多孔質焼結体Pの空隙率がさらに高く、空隙の平均寸法もさらに大きいため、より振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷がより一層小さいためと思われる。
また、実施例工具1〜7では、複合体Bを構成する多孔質焼結体Pの強度が高いために、長期にわたって切削を行っても、切削抵抗による多孔質焼結体Pの変形が少なく、切刃位置の変動が生じにくくなっていると思われる。
【0043】
また、本発明にかかる切刃チップの装着構造を用いた切削工具11についても切削性能試験を行った。
この試験では、上記の切削工具11として、直径15mmの一枚刃エンドミルを用い、工具本体12に装着される切刃チップCは上記の切削性能試験を行った切削工具1で用いたものと同じ材質とし、切刃チップCのろう付けに用いた複合体Bは、多孔質焼結体Pとして、上記切削試験で使用した実施例工具1〜8に用いた多孔質焼結体Pを用いたものとした。ここで、以下では、切削工具11のうち、複合体Bの多孔質焼結体Pとして実施例工具1で用いた多孔質焼結体Pを用いたものを実施例工具9とし、同様に、多孔質焼結体Pとして実施例工具2、3、4、5、6、7、8で用いた多孔質焼結体Pを用いたものを、同順で実施例工具9、10、11、12、13、14、15、16とする。
また、比較のために、実施例工具9と同形状で、切刃チップCと同じ材料からなる超硬質材料層をろう材に対するぬれ性の高い超硬合金からなる層によって裏打ちした構成の切刃チップを切刃チップ支持体にろう付けした切削工具(以下、比較例工具3とする)と、チップ支持体Hに対して切刃チップCを直接ろう付けした切削工具(以下、比較例工具4とする)についても同様の切削性能試験を行った。
【0044】
この切削性能試験では、SKD11焼入れ材の切削加工を行い、各切削工具の切刃寿命を測定した。このときの切削条件は、主軸回転数3000rpm、切り込みはZ方向:1mm、R方向:0.3mm、送りSz:0.3mm/刃、切削方法は湿式切削(クーラントとして水溶性クーラントを使用)とし、20分間の連続加工を行った。
【0045】
この試験において、切削開始から5分経過した時点で、比較例工具4では切刃にチッピングが生じてしまったのに対して、実施例工具9〜16、比較例工具3では、切刃にチッピングはみられなかった。
また、切削開始から7分経過した時点では、比較例工具4の切刃にチッピングがみられたものの、実施例工具9〜16の切刃にはチッピングはみられなかった。
そして、切削開始から15分経過した時点では、実施例工具15の切刃にもチッピングがみられ、17分経過した時点では実施例工具14の切刃にもチッピングがみられ、19分経過した時点では実施例工具16の切刃にもチッピングがみられたものの、実施例工具9〜13の切刃には、20分経過した時点でもチッピングはみられなかった。
【0046】
このことから、実施例工具9〜16では、比較例工具3、4よりも切刃の寿命が長く、特に、実施例工具9〜13では、さらに切刃寿命が長いことがわかる。これは、実施例工具9〜16では、比較例工具よりも振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷が小さいためと思われ、特に、実施例工具9〜13では、複合体Bの多孔質焼結体Pの空隙率がさらに高く、空隙の平均寸法もさらに大きいため、より振動吸収性能が高く、切刃に加わる負荷がより一層小さいためと思われる。
【0047】
【発明の効果】
本発明にかかる切刃チップの装着構造によれば、切刃チップと切刃チップ支持体との間に配置された超硬合金とろう材との複合体が衝撃緩衝材として作用するために、切刃に切削抵抗による振動が生じにくいので、ワークの加工精度が高い。また、このように切刃の振動が抑えられるとともに切刃に加わる負荷も低いので、切刃寿命も長い。
また、この切刃チップの装着構造では、複合体によってろう付けの際に切刃チップ及び切刃チップ支持体に生じた熱的ひずみが吸収されるため、通常のろう付けによる装着構造に比べて切刃チップの位置精度が高く、ワークの高精度な加工が可能である。
【0048】
同様に、この切刃チップの装着構造を採用した切削工具及びこの切刃チップの装着構造を採用したスローアウェイチップを用いる切削工具では、切削抵抗による切刃の振動が低減され、ワークの加工精度が高く、切刃寿命も長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる切刃チップの装着構造を採用した切削工具の一例を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる切刃チップの装着構造を概略的に示す拡大側断面図である。
【図4】本実施形態にかかる切刃チップの装着構造の主要部の構成を示すSEM写真である。
【符号の説明】
1、11切削工具
4 スローアウェイチップ本体(切刃チップ支持体)
12 工具本体(切刃チップ支持体)
B 複合体
C 切刃チップ
H 切刃チップ支持体
P 多孔質焼結体
S ろう材
Claims (6)
- 切刃チップ支持体に対する切刃チップの装着構造であって、
前記切刃チップは、前記切刃チップ支持体に対して、超硬合金とろう材との複合体によってろう付けされていることを特徴とする切刃チップの装着構造。 - 前記複合体は、超硬合金の微細粒子が焼結されてなる中実の骨格間に、互いに連通する空隙が形成された三次元網目構造の多孔質焼結体を有し、
該多孔質焼結体の空隙内には、前記ろう材の少なくとも一部が含浸されていることを特徴とする請求項1記載の切刃チップの装着構造。 - 前記多孔質焼結体の空隙率が、50体積%から90体積%の範囲内とされていることを特徴とする請求項2記載の切刃チップの装着構造。
- 前記多孔質焼結体の空隙の平均寸法が10μmから300μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項2または3に記載の切刃チップの装着構造。
- 工具本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなる切削工具であって、
前記工具本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴とする切削工具。 - スローアウェイチップ本体に切刃をなす切刃チップが装着されてなるスローアウェイチップであって、
前記スローアウェイチップ本体に対する前記切刃チップの装着構造が、請求項1から4のいずれかに記載の切刃チップの装着構造とされていることを特徴とするスローアウェイチップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080801A JP2004283984A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 切刃チップの装着構造、これを用いた切削工具、スローアウェイチップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003080801A JP2004283984A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 切刃チップの装着構造、これを用いた切削工具、スローアウェイチップ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=33294562
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004283984A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113507995A (zh) * | 2019-02-26 | 2021-10-15 | 京瓷株式会社 | 刀片及具备该刀片的切削工具 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080801A patent/JP2004283984A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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