本発明は、上記事実を考慮して、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができるアウタロータ型モータ、及び該アウタロータ型モータの製造方法を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るアウタロータ型モータは、筒状に形成されてステータを構成し、内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、円板状に形成され、前記出力軸における前記筒状部から突出した部分に固定されたセンサプレートと、互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する回転センサと、貫通孔を有する板状に形成されて前記回転センサを実装し、前記貫通孔に前記筒状部を挿通させた状態で、前記アーム間に前記センサプレートを位置させない非干渉位置と、該アーム間に前記センサプレートを位置させ前記ステータに固定される取付位置とを取り得る基板と、を備えている。
請求項1記載のアウタロータ型モータでは、ステータの筒状部に回転自在に支持された出力軸における該筒状部から突出した部分に、円板状のセンサプレートが固定されている。このセンサプレートの外周近傍は、基板に実装された回転センサの一対のアーム間に位置しており、回転センサはセンサプレートの回転速度に応じた信号を出力する。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、基板の貫通孔に筒状部を挿通して該基板を非干渉位置に移動し、次いで基板をセンサプレートの面方向(筒状部の軸線と直交する方向)に沿って取付位置に移動する。これにより、回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。そして、この状態で基板をステータに固定する。
ここで、回転センサを実装する基板は、筒状部を貫通させる貫通孔を有するため、筒状部に対し特定の方向にのみ大型化することなく、1枚で大きな面積を確保することが可能となる。そして、この貫通孔が、筒状部を貫通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、上記の通り基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した回転センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる。すなわち、回転センサを実装した状態で基板をステータに組み付けることができる。これにより、回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。
このように、請求項1記載のアウタロータ型モータでは、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
また、上記目的を達成するために請求項2記載の発明に係るアウタロータ型モータは、筒状に形成されてステータを構成し、内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、円板状に形成され、前記出力軸における前記筒状部から突出した部分に固定されたセンサプレートと、互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する回転センサと、貫通孔または切欠きを有する板状に形成されて前記回転センサを実装し、該切欠きまたは貫通孔によって前記筒状部との干渉を回避しつつ前記回転センサを前記センサプレートの接線上で移動させることで、前記アーム間に前記センサプレートを位置させない非干渉位置と、該アーム間に前記センサプレートを位置させ前記ステータに固定される取付位置とを取り得る基板と、を備えている。
請求項2記載のアウタロータ型モータでは、ステータの筒状部に回転自在に支持された出力軸における該筒状部から突出した部分に、円板状のセンサプレートが固定されている。このセンサプレートの外周近傍は、基板に実装された回転センサの一対のアーム間に位置しており、回転センサはセンサプレートの回転速度に応じた信号を出力する。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、基板の貫通孔または切欠きに筒状部を入り込ませて該基板を非干渉位置に移動する。次いで、上記貫通孔または切欠きによって基板と筒状部との干渉を回避しつつ、該基板を、センサプレートの面方向(筒状部の軸線と直交する方向)に沿って、かつ回転センサがセンサプレート接線上を移動して該センサプレートに近接するように、取付位置に移動する。これにより、回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。そして、この状態で基板をステータに固定する。
ここで、回転センサを実装する基板は、筒状部との干渉を回避可能な貫通孔または切欠きを有するため、筒状部に対し特定の方向にのみ大型化することなく、1枚で大きな面積を確保することが可能となる。そして、この貫通孔または切欠きが、筒状部を貫通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、上記の通り基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した回転センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる。すなわち、回転センサを実装した状態で基板をステータに組み付けることができる。これにより、回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。
また、回転センサがセンサプレートの接線上を(接線方向に)移動してアーム間にセンサプレートを入り込ませるため、例えば、センサプレートの軸心に対し対称となる2箇所にそれぞれ回転センサを設けた構成においても、各センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる。
このように、請求項2記載のアウタロータ型モータでは、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
また、上記目的を達成するために請求項3記載の発明に係るアウタロータ型モータは、筒状に形成されてステータを構成し、内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、円板状に形成され、前記出力軸における前記筒状部から突出した部分に固定されたセンサプレートと、互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する回転センサと、貫通孔または切欠きを有する板状に形成されて前記回転センサを実装し、前記切欠きまたは貫通孔によって前記筒状部との干渉を回避しつつ移動することで、前記アーム間に前記センサプレートを位置させない非干渉位置と、該アーム間に前記センサプレートを位置させる取付位置とを取り得る基板と、前記筒状部における前記センサプレート側の端部から径方向外側に延設され、前記取付位置に位置する前記基板が前記筒状部側で固定される固定部と、前記回転センサを挿通させた状態で前記基板の前記非干渉位置と前記取付位置との間の移動を許容するセンサ孔とを有する延設部と、を備えている。
請求項3記載のアウタロータ型モータでは、ステータの筒状部に回転自在に支持された出力軸における該筒状部から突出した部分に、円板状のセンサプレートが固定されている。筒状部のセンサプレート側の端部からは延設部が径方向外側に延設されており、この延設部における筒状部側に位置する固定部に固定された基板に実装された回転センサは、該延設部のセンサ孔に挿通されてセンサプレート側に突出し、その一対のアーム間にセンサプレートの外周近傍部分を位置させている。この回転センサはセンサプレートの回転速度に応じた信号を出力する。なお、筒状部の径方向外側に延設される延設部の形状は、円形でなくても良いことは言うまでもない。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、基板の貫通孔または切欠きに筒状部を入り込ませると共に回転センサをセンサ孔に挿通して該基板を非干渉位置に移動する。次いで、上記貫通孔または切欠きによって基板と筒状部との干渉を回避しつつ、該基板を、センサプレートの面方向(筒状部の軸線と直交する方向)に沿って取付位置へ移動する。これにより、回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。そして、この状態で、基板を延設部の固定部に固定する。
ここで、回転センサを実装する基板は、筒状部との干渉を回避可能な貫通孔または切欠きを有するため、筒状部に対し特定の方向にのみ大型化することなく、すなわち、延設部からの張り出し量を抑えつつ、1枚で大きな面積を確保することが可能となる。そして、この貫通孔または切欠きが、筒状部を貫通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容し、かつセンサ孔が回転センサを挿通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、上記の通り基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した回転センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる。すなわち、回転センサを実装した状態で基板をステータに組み付けることができる。これにより、回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。
また、上記の通りセンサ孔が回転センサを挿通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、基板を延設部におけるセンサプレートと反対の筒状部側に固定する構成においても、基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した回転センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる機能が実現される。
このように、請求項3記載のアウタロータ型モータでは、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
また、上記目的を達成するために請求項4記載の発明に係るアウタロータ型モータは、筒状に形成されてステータを構成し、内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、円板状に形成され、前記出力軸における前記筒状部から突出した部分に固定されたセンサプレートと、前記出力軸の軸心に対し対称となる位置に配置され、それぞれ互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する2つの回転センサと、前記2つの回転センサを実装し、前記筒状部の軸線と直交する方向の移動によって、各回転センサの前記アーム間に前記センサプレートを位置させない非干渉位置と、各回転センサの前記アーム間に前記センサプレートを位置させ前記ステータに固定される取付位置とを取り得る形状に形成された基板と、を備えている。
請求項4記載のアウタロータ型モータでは、ステータの筒状部に回転自在に支持された出力軸における該筒状部から突出した部分に、円板状のセンサプレートが固定されている。このセンサプレートの外周近傍は、出力軸の軸心を挟んで互いに対向するようにそれぞれ基板に実装された2つの回転センサにおける各一対のアーム間に位置しており、各回転センサはセンサプレートの回転速度に応じた信号を出力する。このように、1つのセンサプレートの回転速度を2つのセンサが検出するため、該回転速度の検出誤差を抑制することが可能となる。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、基板を非干渉位置に移動する。次いで、センサプレートの面方向に沿って基板を取付位置に移動する。これにより、各回転センサのそれぞれのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。すなわち、基板の非干渉位置から取付位置への移動によって、各回転センサは、それぞれセンサプレートの接線上を(接線方向に)移動してそれぞれのアーム間にセンサプレートを入り込ませる。そして、この状態で基板をステータに固定する。
ここで、上記の如く互いに対向する対向する2つの回転センサを実装する基板は、上記非干渉位置と取付位置とを取り得る形状とされているため、2つの回転センサのアーム間にセンサプレートを入り込ませる機能を確保しつつ、1枚で大きな面積を確保することが可能となる。すなわち、回転センサを実装した状態で基板をステータに組み付けることができる。これにより、2つの回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。なお、非干渉位置と取付位置とを取り得る基板の形状としては、例えば、筒状部または出力軸との干渉をする切欠きまたは貫通孔を、2つのセンサ間に設けた形状を採用することができる。
このように、請求項4記載のアウタロータ型モータでは、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
請求項5記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項4記載のアウタロータ型モータにおいて、前記筒状部は外周が軸方向視で円形に形成され、前記一対のアームは軸方向視で矩形に形成され、前記基板は前記筒状部を挿通させる長孔を前記2つの回転センサ間に有し、前記基板の移動方向における前記長孔の長さをX、前記センサプレートの外半径をR、前記筒状部の外径をD、前記移動方向における前記回転センサ(アーム)の幅をW、前記筒状部の軸心から前記回転センサ(アーム)までの最短距離をAとしたときに、X>(R2−A2)1/2+D+W/2である、ことを特徴としている。
請求項5記載のアウタロータ型モータでは、基板は、その長孔に軸方向視の外形が円形である筒状部を挿通させてステータに固定される。そして、この長孔の上記基板の移動方向(2つの回転センサの対向方向に直交する方向)における長さXが、基板が取付位置に位置するときの回転センサ(アーム)の幅方向中央部と該回転センサの角部が軸方向視でセンサプレートの外縁に一致するときの該角部の位置との距離((R2−A2)1/2)と、筒状部の外径(D)と、アームの幅の半分(W/2)との和よりも大きいため、基板は、その長孔に筒状部を挿通させた状態で、非干渉位置と取付位置とを確実に取り得る。
換言すれば、基板は、その回転センサ間に長孔を有する形状によって、非干渉位置と取付位置とを取り得る。そして、ステータの筒状部を挿通させる孔が基板の移動方向に長手の長孔であるため、該基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容する円形孔を設けた場合と比較して、基板面積を大きくすることができる。
請求項6記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項4または請求項5記載のアウタロータ型モータにおいて、前記筒状部における前記センサプレート側の端部から径方向外側に延設部を設け、前記延設部は、前記取付位置に位置する前記基板が前記筒状部側で固定される固定部と、それぞれ前記回転センサを挿通させた状態で前記基板の前記非干渉位置と前記取付位置との間の移動を許容するセンサ孔とを有する、ことを特徴としている。
請求項6記載のアウタロータ型モータでは、筒状部のセンサプレート側の端部からは延設部が径方向外側に延設されており、この延設部における筒状部側に位置する固定部に基板が固定されている。この基板に実装された2つの回転センサは、それぞれ延設部のセンサ孔に挿通されてセンサプレート側に突出し、それぞれの一対のアーム間にセンサプレートの外周近傍部分を位置させている。なお、筒状部の径方向外側に延設される延設部の形状は、円形でなくても良いことは言うまでもない。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、各回転センサをそれぞれ異なるセンサ孔に挿通して基板を非干渉位置に位置させる。次いで、基板をセンサプレートの面方向に沿って取付位置へ移動する。これにより、回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。この状態で、基板を延設部の固定部に固定する。
ここで、各センサ孔がそれぞれ回転センサを挿通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、基板を延設部におけるセンサプレートと反対側に固定する構成においても、2つの回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に各回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませる機能が実現される。
請求項7記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項3または請求項6記載のアウタロータ型モータにおいて、前記基板を、前記取付位置に位置するときに前記センサ孔を閉塞する形成とした、ことを特徴としている。
請求項7記載のアウタロータ型モータでは、基板が取付位置に位置するとき、すなわち、回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍が位置して該回転センサによるセンサプレートの回転速度が検出可能であるときに、基板がセンサ孔を閉塞する。このため、センサ孔から光や異物が侵入することが防止され、回転センサによる上記回転速度の検出誤差の発生が防止される。特に、回転センサがセンサプレートの外周近傍に設けられた光学パターンを検出して該回転部材の回転速度に応じた信号を出力する光学式センサである場合に、上記光や異物の侵入防止によって、該光学パターンの読み取り(検出)ミスが確実に防止される。
また、上記目的を達成するために請求項8記載の発明に係るアウタロータ型モータは、筒状に形成されてステータを構成し、内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、円板状に形成され、前記出力軸における前記筒状部から突出した部分に固定されたセンサプレートと、前記出力軸と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置され、それぞれ互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する3つの回転センサと、貫通孔または切欠きを有する板状に形成されて前記3つの回転センサを実装し、前記切欠きまたは貫通孔によって前記筒状部との干渉を回避しつつ移動することで、前記各回転センサのアーム間に前記センサプレートを位置させない非干渉位置と、該アーム間に前記センサプレートを位置させる取付位置とを取り得る基板と、前記筒状部における前記センサプレート側の端部から径方向外側に延設され、前記取付位置に位置する前記基板が前記筒状部側で固定される固定部と、前記各回転センサをそれぞれ前記固定部に対し前記センサプレート側に位置させた状態で前記基板の前記非干渉位置と前記取付位置との間の移動を許容するセンサ開口とを有する延設部と、を備えている。
請求項8記載のアウタロータ型モータでは、ステータの筒状部に回転自在に支持された出力軸における該筒状部から突出した部分に、円板状のセンサプレートが固定されている。筒状部のセンサプレート側の端部からは延設部が径方向外側に延設されており、この延設部における筒状部側に位置する固定部に固定された基板にそれぞれ実装された3つの回転センサは、該延設部のセンサ開口を通じてセンサプレート側に突出し、それぞれの一対のアーム間にセンサプレートの外周近傍部分を位置させている。各回転センサは、出力軸と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置されており、それぞれセンサプレートの回転速度に応じた信号を出力する。これにより、回転速度の検出誤差を抑制することが可能となる。なお、筒状部の径方向外側に延設される延設部の形状は、円形でなくても良いことは言うまでもない。
このアウタロータ型モータを組み立てる際には、基板の貫通孔または切欠きに筒状部を入り込ませると共に各回転センサをそれぞれセンサ開口に挿通して該基板を非干渉位置に移動する。次いで、上記貫通孔または切欠きによって基板と筒状部との干渉を回避しつつ、該基板を、センサプレートの面方向(筒状部の軸線と直交する方向)に沿って取付位置へ移動する。具体的には、相対位置180°の2つの回転センサをセンサプレートに接線方向から近接すると共に、該2つの回転センサからそれぞれ90°の位置に位置する回転センサをセンサプレートに法線方向から近接させる。これにより、各回転センサのアーム間にセンサプレートの外周近傍部分が入り込む。そして、この状態で、基板を延設部の固定部に固定する。
ここで、回転センサを実装する基板は、筒状部との干渉を回避可能な貫通孔または切欠きを有するため、筒状部に対し特定の方向にのみ大型化することなく、すなわち、延設部からの張り出し量を抑えつつ、1枚で大きな面積を確保することが可能となる。そして、この貫通孔または切欠きが、筒状部を貫通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容し、かつセンサ開口が各回転センサをセンサプレート側に位置させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、上記の通り基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した3つの回転センサの各アーム間にそれぞれセンサプレートを位置させることができる。すなわち、90°間隔で3つの回転センサを実装した基板をステータに組み付けることができる。これにより、3つの回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。
また、上記の通り各センサ開口がそれぞれ対応する回転センサを挿通させた状態で基板の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、基板を延設部におけるセンサプレートと反対の筒状部側の固定部に固定する構成においても、基板の面積を確保しつつ、該基板に実装した3つの回転センサのアーム間にそれぞれセンサプレートを位置させることができる機能が実現される。
このように、請求項3記載のアウタロータ型モータでは、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
請求項9記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項8記載のアウタロータ型モータにおいて、前記センサ開口は、前記3つの回転センサをそれぞれ個別に挿通させる3つのセンサ開口部で構成されている、ことを特徴としている。
請求項9記載のアウタロータ型モータでは、3つの回転センサをそれぞれ挿通させてセンサプレート側に突出させるセンサ開口が、3つ回転センサを個別に挿通させる3つのセンサ開口部にて構成されているため、延設部の剛性を確保することができる。
請求項10記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項8または請求項9記載のアウタロータ型モータにおいて、前記センサ開口における中央に位置する回転センサを挿通させる部分は、前記基板の前記非干渉位置と前記取付位置との間の移動に伴って該回転センサの一部または全部が通過する開放端とされている、ことを特徴としている。
請求項10記載のアウタロータ型モータでは、3つの回転センサのうち中央に位置する回転センサ、すなわち上記センサプレートに法線方向から近接する回転センサは、基板が非干渉位置に位置する状態で、その一部のみをセンサ開口(を構成する3つのセンサ開口部のうち中央に位置するセンサ開口部)に挿通させて残余の一部をセンサ開口の開放端(延設部の外縁)の外側に位置させているか、またはその全部をセンサ開口の開放端の外側に位置させている。そして、この回転センサは、基板の取付位置への移動に伴って、その延設部の外側に位置していた一部または全部がセンサ開口の開放端を通過し、延設部の外縁の内側に配置される。
すなわち、センサ開口における中央の回転センサに対応する部分(少なくとも中央のセンサ開口部)は、筒状部の軸線方向両側に開口するだけでなく、該軸線方向に直交する側方にも開口している。この構成では、センサ開口は常に3つの回転センサを内側に入り込ませることがないので、換言すれば、基板が取付位置に位置するときに3つの回転センサを内側に位置させれば足りるため、閉じたセンサ開口(センサ開口部)を有する構成のように延設部を大型化することなく、3つの回転センサを備えることができる。
請求項11記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項10記載のアウタロータ型モータにおいて、前記延設部は、前記基板の前記非干渉位置と前記取付位置との間の移動に伴って前記回転センサに干渉しないように前記センサ開口の開放端の縁部間を架け渡す橋架部を有する、ことを特徴としている。
請求項11記載のアウタロータ型モータでは、センサ開口における上記中央に位置する回転センサに対応する部分(3つのセンサ開口部における中央に位置するセンサ開口部)の開放端が橋架部によって連結されているため、延設部の剛性が確保される。
請求項12記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項10または請求項11記載のアウタロータ型モータにおいて、前記延設部に取り付けられて該延設部との間に前記センサプレート及び各回転センサを収容するカバー部材をさらに備え、該カバー部材には前記センサ開口の開放端を閉塞する閉塞部が設けられている、ことを特徴としている。
請求項12記載のアウタロータ型モータでは、センサプレート及び#位置に位置する基板上の3つの回転センサは、延設部とカバー部材との間に収容されている。また、センサ開口における上記中央に位置する回転センサに対応する部分(3つのセンサ開口部における中央に位置するセンサ開口部)の開放端は、カバー部材の閉塞部によって閉塞されている。
これにより、アウタロータ型モータにおける回転検出部位に、例えば異物や光が侵入することが防止され、回転センサによる上記回転速度の検出誤差の発生が防止される。特に、各回転センサがセンサプレートの外周近傍に設けられた光学パターンを検出して該回転部材の回転速度に応じた信号を出力する光学式センサである場合に、上記光や異物の侵入防止によって、該光学パターンの読み取り(検出)ミスが確実に防止される。また、閉塞部がカバー部材に設けられているため、部品点数を増やすことなく、組付後には不要で上記異物等の侵入経路となりやすいセンサ開口の開放端が閉塞される。
請求項13記載の発明に係るアウタロータ型モータは、請求項8乃至請求項12の何れか1項記載のアウタロータ型モータにおいて、前記基板を、前記取付位置に位置するときに前記センサ開口を閉塞する形状とした、ことを特徴としている。
請求項13記載のアウタロータ型モータでは、基板が取付位置に位置するとき、すなわち、各回転センサのアーム間にそれぞれセンサプレートの外周近傍が位置して各回転センサによるセンサプレートの回転速度が検出可能であるときに、基板がセンサ開口(3つのセンサ開口部)を閉塞する。このため、センサ開口から光や異物が侵入することが防止され、回転センサによる上記回転速度の検出誤差の発生が防止される。特に、回転センサがセンサプレートの外周近傍に設けられた光学パターンを検出して該回転部材の回転速度に応じた信号を出力する光学式センサである場合に、上記光や異物の侵入防止によって、該光学パターンの読み取り(検出)ミスが確実に防止される。
さらに、上記目的を達成するために請求項14記載の発明に係るアウタロータ型モータの製造方法は、筒状に形成され内部で出力軸を回転自在に支持する筒状部と、該筒状部の軸線方向一端部から径方向外側に延設された延設部とを有するステータと、円板状に形成され、前記出力軸における前記延設部よりも外側に突出した部分に固定されたセンサプレートと、互いに対向する一対のアーム間に前記センサプレートの外周近傍部分を位置させて、該センサプレートの回転速度に応じた信号を出力する回転センサと、前記延設部における前記筒状部側の端面に固定される基板と、を備えたアウタロータ型モータの製造方法であって、前記基板には、前記筒状部を入り込ませて該筒状部の軸線と直交する方向の移動を許容する切欠きまたは貫通孔を設けると共に、前記回転センサを実装しておき、前記延設部には、前記基板に実装された回転センサを前記センサプレート側に突出させた状態で前記基板の移動可能方向における該回転センサの移動を許容するセンサ開口を設けておき、前記センサプレートが固定された前記出力軸を前記筒状部に支持させて、該センサプレートを前記延設部よりも外側の組付位置に配置し、前記筒状部を前記切欠きまたは貫通孔に入り込ませつつ、前記基板を該筒状部の軸線方向に沿って前記延設部に近接させて、前記回転センサを前記センサプレート側に突出させ、前記回転センサを前記前記センサプレート側に突出させた状態で、前記基板を前記延設部に沿って移動しながら前記回転センサを前記センサ開口内で移動させて、該回転センサのアーム間に前記センサプレートを挿入し、前記アーム間に前記センサプレートを挿入した状態で、前記基板を前記延設部に固定する、ことを特徴としている。
請求項14記載のアウタロータ型モータの製造方法では、先ず、出力軸を筒状部に支持させてセンサプレートを所定の組付位置に配置し、次いで、切欠きまたは貫通孔を有し回転センサが実装された基板を、切欠きまたは貫通孔にステータの筒状部を入り込ませつつ該ステータの延設部に近接(当接)させて、回転センサをセンサプレート側に突出させる(例えば、回転センサを延設部のセンサ開口に挿通させる)。センサ開口は、延設部を貫通する貫通孔であっても良く、切欠部であっても良い。さらに、回転センサがセンサプレート側に突出した状態で、基板を、切欠きまたは貫通孔によって筒状部との干渉を回避しつつ延設部に沿って移動しながら回転センサをセンサ開口内で移動して、該回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませる。この状態で、基板を延設部に固定する。
ここで、本アウタロータ型モータの製造方法では、貫通孔または切欠き筒状部を入り込ませて基板を延設部に近接させる工程と、該貫通孔または切欠きによって筒状部との干渉を回避しつつ基板を延設部に沿って移動して回転センサのアーム間にセンサプレートを挿入する工程とを分けているため、筒状部に対し特定の方向にのみ大型化することなく1枚で大きな面積を確保した基板を、アーム間にセンサプレートを入り込ませて機能する回転センサを実装した状態でステータに組み付けることができる。これにより、回転センサを実装した基板に、回転センサの出力信号に応じて出力軸の回転速度を制御する制御回路をさらに実装することが可能となる。
このように、請求項14記載のアウタロータ型モータの製造方法では、回転センサを実装した基板の面積を確保しつつ、該基板のステータへの組付時に回転センサの一対のアーム間にセンサプレートを入り込ませることができる。
請求項15記載のアウタロータ型モータの製造方法は、請求項14記載のアウタロータ型モータの製造方法において、前記基板を前記延設部に沿って移動して、前記センサプレートを接線方向から前記アーム間に挿入する、ことを特徴としている。
請求項15記載のアウタロータ型モータの製造方法では、回転センサがセンサプレート側に突出した状態で、切欠きまたは貫通孔によって筒状部との干渉を回避しつつ基板を延設部に沿って移動すると、回転センサはセンサ開口内でセンサプレートの接線上で(接線方向に)移動し、センサプレートが接線方向から回転センサの一対のアーム間に挿入される。このため、例えば、出力軸(センサプレート)の軸心に対し対称となる2箇所にそれぞれ回転センサを設けた構成においても、各センサのアーム間にセンサプレートを位置させることができる。
請求項16記載の発明に係るアウタロータ型モータの製造方法は、請求項14記載のアウタロータ型モータの製造方法において、前記アウタロータ型モータは、3つの前記回転センサを前記出力軸と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置しており、前記基板を前記延設部に沿って移動して、前記センサプレートを接線方向から互いに対向する2つの前記回転センサの前記アーム間に挿入すると共に、該センサプレートを法線方向から残余の回転センサの前記アーム間に挿入する、ことを特徴としている。
請求項16記載のアウタロータ型モータの製造方法では、3つの回転センサがそれぞれセンサ開口に挿通された状態で、切欠きまたは貫通孔によって筒状部との干渉を回避しつつ基板を延設部に沿って移動すると、相対位置180°とされ互いに対向する2つの回転センサはセンサ開口内でセンサプレートの接線上を(接線方向に)移動し、この2つの回転センサから共に90°の位置に位置する残余の回転センサはセンサプレートの法線上を(法線方向に)移動する。したがって、センサプレートは、接線方向から上記2つの回転センサの一対のアーム間に挿入されると共に、法線方向から残余の回転センサの一対のアーム間に挿入される。これにより、単に基板を延設部に沿って一方向に移動する動作によって、すなわち工程を増やすことなく、90°間隔で配置されて基板に実装された3つ回転センサの各アーム間にセンサプレートを位置させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るアウタロータ型モータ10について、図1乃至図11に基づいて説明する。先ず、アウタロータ型モータ10の概略全体構成を説明し、次いで本発明の要部であるステータベース14、回転センサ40を実装した基板42について詳細に説明することとする。
(アウタロータ型モータの概略全体構成)
図1には、アウタロータ型モータ10が一部切り欠いた正面図にて示されており、図2、図3には、図1の2−2線に沿った断面図、3−3線に沿った断面図がそれぞれ示されている。
これらの図に示される如く、アウタロータ型モータ10は、ステータ12を備えており、ステータ12はステータベース14を備えている。詳細構成については後述するが、ステータベース14は、略円筒状に形成された筒状部としてのセンタ筒部16と、センタ筒部16の一端部に一体に設けられたステータハウジング18とで構成されている。
センタ筒部16の外周部には、ステータコア20が圧入、接着、またはねじ止め等によって固着されている。このステータコア20には、コイル22が巻装されている。また、ステータハウジング18内には、センタ筒部16と反対側に開口したセンサ室18Aが形成されており、センサ室18Aは、センタ筒部16を軸方向に貫通する軸孔16Aと連通されている。
また、アウタロータ型モータ10は、ロータ24と該ロータ24と一体に回転する出力軸26とを備えている。出力軸26は、センタ筒部16の軸孔16A内に配置された2つの軸受28を介して該センタ筒部16に対し同軸的かつ回転自在に支持されている。出力軸26は、その両端部がそれぞれ軸孔16A(ステータ12)から突出している。すなわち、センタ筒部16の軸孔16Aは、出力軸26の軸線方向に該センタ筒部16Aを貫通しており、センタ筒部16を有するステータベース14(ステータ12)は、出力軸26の中間部を回転可能に収容している。
ロータ24は、ロータハウジング30と、該ロータハウジング30に固着されたマグネット32とを備えている。ロータハウジング30は、全体として略有底円筒状に形成されており、底部30Aと該底部30Aの外周に沿って立設された円筒部30Bと、底部30Aの軸心部に設けられた円筒状のボス部30Cとを有して構成されている。このロータハウジング30は、ボス部30Cに出力軸26を挿入させた状態で、該出力軸26に同軸的に固定されている。また、円筒部30Bは、ステータ12のコイル22を径方向外側から覆っており、その内面にマグネット32を固着させている。
以上により、本第1の実施の形態におけるアウタロータ型モータ10は、マグネットロータを有するブラシレスモータとされており、コイル22に電流が供給されると、該コイル22及びマグネット32の磁力によって、装置に固定されるステータ12に対しロータ24及び出力軸26が回転する構成である。
また、アウタロータ型モータ10は、コードホイール34を備えている。コードホイール34は、出力軸26に同軸的に固定されて該出力軸26における回転速度の被検出部を構成する。具体的には、コードホイール34は、円環板状(円板状)に形成されたセンサプレート36と、該センサプレート36の軸心部に固定されたボス部38とで構成されている。図1に示される如く、センサプレート36の外周近傍には、光学パターンとしての所定数のスリット36Aが周方向に等間隔で設けられている。スリット36Aは、例えば、印刷やエッチング等の方法により設けられる。
ボス部38は、円筒状に形成され外周部がセンサプレート36の軸心部に嵌合した円筒部38Aと、円筒部38Aの一端部から径方向外側に一体に延設されたフランジ部38Bと、略リング状に形成されて円筒部38Aに嵌合しフランジ部38Bとの間にセンサプレート36を挟み込む押えリング38Cとで構成されている。
フランジ部38B及び押えリング38Cの互いに一致した外径は、センサプレート36の径方向におけるスリット36Aの内端部を結ぶ仮想円よりも十分に小とされている。すなわち、コードホイール34は、センサプレート36におけるボス部38の外周部から張り出した部分にスリット36Aが設けられている。
このコードホイール34は、ボス部38の円筒部38Aにおいて圧入または接着等によって出力軸26に固着しており、全体として出力軸26と一体に回転するようになっている。これにより、円板状のセンサプレート36が出力軸26に同軸的かつ一体回転可能に固定されている。
詳細は後述するが、コードホイール34は、ステータ12のステータハウジング18のセンサ室18A内に配置されている。また、このセンサ室18A内には、コードホイール34の回転速度に応じた信号を出力する回転センサ40が配設されている。本第1の実施の形態では、出力軸26の軸心を挟んで対向する2つの回転センサ40が設けられている。
各回転センサ40は、それぞれ一対のアーム40A、40Bを有する断面視で略「コ」字状に形成されたフォトインタラプタであり、該アーム40A、40B間にセンサプレート36におけるスリット36A形成部位を非接触状態で位置させている。そして、各回転センサ40は、それぞれ一方のアーム40Aには発光素子が設けられ、他方のアーム40Bには受光素子(何れも図示省略)が設けられている。これにより、各回転センサ40は、それぞれ発光素子が発した光がスリット36Aを通過して受光素子で受光されるか否かに応じてON/OFF(パルス)信号を出力する構成である。この出力されるON/OFF信号(パルス幅)は、センサプレート36の回転速度に対応している。
これらの回転センサ40はそれぞれ基板42に実装されており、基板42はステータハウジング18のセンタ筒部16側に固定されている。すなわち、基板42は、ステータハウジング18における後述する底板部50を挟んで各回転センサ40が配設されるセンサ室18A側(第1の側)と反対側(第2の側)に取り付けられており、各回転センサ40は、ステータハウジング18に設けられたセンサ開口としてのセンサ孔44を挿通してセンサ室18A内に突出している。この状態で、各回転センサ40のアーム40A、40Bは、出力軸26の軸線と平行をなす方向に互いに離間して対向しており、かつ互いの間にセンサプレート36の一部を入り込ませている。
また、センサ室18Aの開口端は、カバー46によって閉塞されている。カバー46は、センサ室18Aの正面視形状に対応したカバー本体46Aと、カバー本体46Aの外縁に沿って立設された周壁46Bとを有し、周壁46Bをセンサ室18A内に挿入している。カバー本体46Aに設けられた透孔46Cは、出力軸26を挿通させて外部に突出させている。また、カバー46は、周壁46Bに設けられた係合爪46Dをステータハウジング18の係合孔18Bに係合させて、該ステータハウジング18からの脱落が阻止されている。
回転センサ40を実装した基板42には、コネクタ付配線を介して外部電源(何れも図示省略)に電気的に接続されるコネクタ43が設けられている。また、基板42には、ロータ24の磁極位置を検出するホール素子48、コイル22への通電制御用の制御回路(またはCPU等の素子)等、アウタロータ型モータ10の駆動・制御に要する全ての電気部品を実装している。
制御回路は、2つの回転センサ40の出力信号が入力されるようになっており、また予め設定された回転速度で出力軸26を駆動するようにコイル22への通電パターンを維持または変更するようになっている。そして、制御回路は、各回転センサ40の出力信号からそれぞれ得られるセンサプレート36の回転速度(に対応する情報)を平均化し、該平均化した回転速度(センサプレート36すなわち出力軸26の現実の回転速度)が上記設定速度と異なる場合には、コイル22への通電パターンを変更することで、コードホイール34の回転速度を設定速度に保つように構成されている。このように、制御回路が2つの回転センサ40の出力信号に基づく回転速度を平均化するため、コードホイール34の出力軸26への取付精度(偏心や偏角)に基づく検出誤差が少なく、高精度の回転速度制御が為される構成である。
(ステータベースの構成)
図4にはステータベース14を正面側から見た斜視図が示され、図5にはステータベース14を背面側から見た斜視図が示されている。また、図6(A)にはステータベース14の正面図が示され、図6(B)にはステータベース14の背面図が示されている。さらに、図7(A)には図6(A)の7A−7A線に沿う断面図が示され、図7(B)には図6(A)の7B−7B線に沿う断面図が示されている。
これらの図に示される如く、ステータベース14は、センタ筒部16とステータハウジング18とが一体に形成されている。センタ筒部16は、上記の通り内部が軸孔16Aとされた略円筒状に形成されており、その外周部におけるステータハウジング18側の一部を除く部分には、ステータコア20を回り止め状態で嵌合する複数の嵌合溝16Bが形成されている。
ステータハウジング18は、センタ筒部16の一端部から径方向外側に延設された(センタ筒部16の軸心との直交面に沿って軸孔16Aの外方に張り出した)ベースプレートである底板部50と、底板部50の外縁に沿ってセンタ筒部16と反対側に立設された枠壁52とを有しており、枠壁52の内側がセンサ室18Aとされている。
底板部50は、正面視で略長方形状の矩形状板部50Aと、該矩形状板部50Aの一長辺における両端を除く部分に連設されセンタ筒部16と略同心の円弧板部50Bとを有している。枠壁52、センサ室18Aは、上記の通り、この矩形状板部50Aと円弧板部50Bとが連設された底板部50の外縁形状に対応している。センタ筒部16の軸心は平面視で矩形状板部50A内に位置しており、センタ筒部16の外縁(軸孔16Aの内縁)の一部が円弧板部50Bの内縁を構成している。
この矩形状板部50Aにおけるセンタ筒部16を挟む両端部には、該矩形状板部50Aの短辺方向に長手とされた上記センサ孔44が板厚方向に貫通して設けられている。センサ孔44は、矩形状に形成されており、図1に示される如く、その短辺寸法が回転センサ40の長さに対応している。またセンサ孔44の長辺寸法は、回転センサ40が、アーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させる検出可能位置と、アーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させない(非干渉となる)設置準備位置(図9参照)とを取り得るように決められている。センサ孔44の長手寸法については後述する。
この底板部50におけるセンタ筒部16側の外面は、各センサ孔44におけるセンタ筒部16側の長辺に沿う部分から外側(センタ筒部16から離間する側)が、該センタ筒部16の付根部を含む部分よりも一段高い基板当接面54とされている。さらに、底板部50のセンタ筒部16側の外面に開口し枠壁52の一部を切り欠いてセンサ室18Aに連通する4つの孔が、上記カバー46の係合爪46Dが係合する係合孔18Bである。
また、ステータハウジング18は、枠壁52の開口端から底板部50と平行でかつ外側に張り出した張出部56を有している。張出部56は、底板部50と似た形状に形成されている。図4及び図6(A)に示される如く、張出部56における矩形状板部50A側の2つの角部には、それぞれ装置への固定用の取付部58が設けられている。一方、張出部56における円弧板部50B側の端部で図6の紙面上下方向中央部には、装置への固定用の取付部60が設けられている。
さらに、図5及び図6(B)に示される如く、張出部56における2つの取付部58の間でかつ各取付部58の近傍には、それぞれ内周にめねじが形成されたビスボス部62が立設されている。各ビスボス部62は、その端面の高位が基板当接面54と同位とされている。また、各ビスボス部62は、枠壁52から連続し該ビスボス部62よりも低位のリブ64によって補強されている。
一方、張出部56の円弧板部50B側端部における取付部60を挟む両側には、それぞれそれぞれ内周にめねじが形成されたビスボス部66が立設されている。各ビスボス部66は、その端面の高位が基板当接面54と同位とされている。また、各ビスボス部66は、枠壁52から連続し該ビスボス部66よりも低位のリブ68によって補強されている。このリブ68における2つのビスボス部66間からは、一対の規制壁70が延設されている。各規制壁70は、基板42の厚みに相当する分だけビスボス部66よりも高位とされている。
以上説明したステータベース14では、底板部50が本発明における「延設部」に相当し、基板当接面54(及びビスボス部62、64)が「固定部」に相当する。
(基板の構成)
図8(A)には基板42の背面図が示されており、図8(B)には基板42の側面図が示されている。
これらの図に示される如く、基板42は、ステータベース14の張出部56に略対応した形状に形成されている。この基板42は、張出部56の各ビスボス部62に対応した位置にそれぞれ設けられた透孔72と、各ビスボス部66に対応した位置にそれぞれ設けられた透孔74とを有している。
また、基板42における2つの透孔74間には、矩形状の切欠部42Aが形成されており、該切欠部42Aの互いに対向する縁部の間隔は一対の規制壁70の外面間の距離に対応している。さらに、基板42における切欠部42Aと反対側の端部近傍には、上記コネクタ43が実装されている。基板42におけるコネクタ43実装部位は、張出部56よりも外側に突出するようになっている(図1参照)。
この基板42は、これを板厚方向に貫通する貫通孔76を有している。図1に示される如く、貫通孔76は、センサ孔44の長手方向に長手の長孔とされており、その長手方向両端部がそれぞれセンタ筒部16の外径に対応した半円形状とされている。また、基板42がステータハウジング18に固定されることから、貫通孔76は出力軸26の軸線との直交方向に長手とされている。
図8に戻り具体的に説明すると、貫通孔76は、基板42の略中央部に位置する第1半円部76Aと、第1半円部76Aから透孔74側に連続するストレート部76Bと、ストレート部76Bにおける第1半円部と反対側に連続する第2半円部76Cとで構成されている。そして、この基板42における第1半円部76Aとストレート部76Bとの境界部分を挟む両側に、それぞれ回転センサ40が互いに対向して実装されている。
この貫通孔76は、その内部にステータベース14のセンタ筒部16を挿通させると共に各回転センサ40をそれぞれセンサ孔44に挿通させた状態で、基板42が、該回転センサ40を設置準備位置に位置させる非干渉位置(図9及び図10参照)と、回転センサ40を検出可能位置に位置させる取付位置(図1参照)とを取り得るように、その長手方向の長さが決められている。したがって、貫通孔76は、その内縁の一部が常にセンタ筒部16から離間する構成であり、基板42におけるセンタ筒部収容(逃し)開口部として機能するようになっている。以下、図11に示す模式図に基づいて具体的に説明する。
図11に実線にて示される如く、回転センサ40の角部40Cが正面(センタ筒部16の軸方向)視でセンサプレート36の外縁上にある場合を設置準備位置と仮定する。また、図11に想像線にて示される如く、検出可能位置では、回転センサ40の幅方向中心線CLがセンサプレート36の直径方向と一致する。さらに、センタ筒部16の外径をD、外半径をr(=D/2)をとして、この外半径rが第1半円部76A、第2半円部76Cの内半径rと一致しているものとする。
そして、センサプレート36の外半径をR、センサプレート36の軸心から検出可能位置に位置する回転センサ40(アーム40A、40Bの先端)までの最短距離をA、貫通孔76の長手方向における回転センサ40(アーム40A、40B)の幅をWとして、基板42に実装された回転センサ40の設置準備位置と検出可能位置との間の移動を許容する貫通孔76の長さXの条件について検討する。
先ず、上記仮定の下での回転センサ40の設置準備位置と検出可能位置との間の移動距離Lを求める。図から、距離Lは、中心線CLと角部40Cとの距離L’と回転センサ40の幅Wの半分との和である(L=L’+W/2である)ことが明らかであり、距離L’は、三平方の定理より(R2−A2)1/2であるから、L=(R2−A2)1/2+W/2となる。また、図から距離Lは、貫通孔76におけるストレート部76Bの長さに相当することが判るから、上記仮定の下での貫通孔76の長さをX’とすると、X’は距離Lに第1半円部76A、第2半円部76Cの半径rをそれぞれ加えた長さとなる。すなわち、X’=L+2×r=L+Dである。
そして、貫通孔76の実際の長さXは、各部品の寸法精度や組付精度、組付性等を考慮して長さX’よりも大きくする必要があるから、長さXの条件として、X>X’=(R2−A2)1/2+W/2+Dを採用する。
また、センサ孔44の長さYの条件について検討する。上記仮定の下でのセンサ孔44の長さをY’とすると、長さY’は、図から上記距離Lと幅Wとの和であることが明らかであるから、Y’=L+Wである。貫通孔76の場合と同様に、長さYは長さY'よりも大きくする必要があるから、長さYの条件として、Y>Y’=(R2−A2)1/2+3×W/2を採用する。
以上説明した基板42は、その貫通孔76にステータベース14のセンタ筒部16を挿通させると共に、その回転センサ40実装側の面が該ステータベース14の基板当接面54及びビスボス部62、66の端面に当接し、かつ上記取付位置に位置した状態で、各透孔72、74を通して各ビスボス部62、66にねじ込まれたビス(図示省略)によってステータベース14に固定される構成である。また、図1及び図2に示される如く、取付位置に位置する基板42は、センサ孔44を閉塞するようになっている。なお、ステータコア20は、基板42がステータベース14に固定された後に、該ステータベース14のセンタ筒部16に固定されるようになっている。
次に、本第1の実施の形態の作用を説明する。
上記構成のアウタロータ型モータ10では、コイル22に通電されると、ロータ24、出力軸26、コードホイール34が共に回転する。このとき、各回転センサ40は、それぞれコードホイール34すなわちセンサプレート36の回転速度に応じたON/OFF信号(パルス信号)を、基板42に実装された制御回路に出力する。
制御回路は、各回転センサ40から入力した上記ON/OFF信号に基づくセンサプレート36の回転速度を平均化して、この平均化した回転速度を、センサプレート36すなわち出力軸26の実際の回転速度として、予め設定された所定の回転速度(設定速度)とを比較する。そして、制御回路は、出力軸26の実際の回転速度(上記平均化した回転速度)が設定速度と一致するようにコイル22への通電パターンを変更または維持する。これにより、コードホイール34が固定された出力軸26の回転速度が設定速度に保持される。
このように、アウタロータ型モータ10は、出力軸26の軸心に対し対称に配置された2つの回転センサ40を備え、その制御回路が2つの回転センサ40の出力信号に基づく実測回転速度を平均化するため、仮にセンサプレート36が出力軸26に対し偏心または偏角していても、出力軸26の実際の回転速度を高精度で検出することができる。そして、この高精度な検出結果に基づいてコイル22への通電パターンすなわち出力軸26の回転速度の制御を行なうため、出力軸26は確実にかつ安定して所定の設定速度で回転する。
このアウタロータ型モータ10を組み立てるにあたっては、コードホイール34が固定された出力軸26をステータベース14のセンタ筒部16に軸受28を介して支持させ、コードホイール34をステータベース14のセンサ室18A内に(組付位置に)配置する。この状態から、回転センサ40実装側の面をステータベース14の基板当接面54側に向けた基板42を、該基板当接面54に近接させつつ、貫通孔76にセンタ筒部16を挿通させる。
そして、センタ筒部16の略半分を貫通孔76の第2半円部76Cに位置させながら、基板42をセンタ筒部16の軸線方向に沿って基板当接面54にさらに近接させ、各回転センサ40をステータハウジング18のセンサ孔44に挿通してセンサ室18A内に入り込ませる。これにより、基板42は、図9及び図10に示す如く、各回転センサ40を設置準備位置に位置させる非干渉位置に至る。
次いで、基板42を基板当接面54に沿って図9及び図10に示す矢印B方向へ(第2半円部76C側を先頭にして)移動し、各回転センサ40にセンサプレート36の接線上を移動させ、各回転センサ40のアーム40A、40B間にセンサプレート36のスリット36A形成部位を入り込ませる。すなわち、センサプレート36は、その接線方向に回転センサ40に相対的に近接し、アーム40A、40B間の側方に開口した部分から該アーム40A、40B間に入り込む。
基板42が各回転センサ40を検出可能位置に位置させる取付位置に至ると、該基板42の切欠部42Aにはステータベース14の規制壁70が係合し、基板42は、ステータベース14に仮保持(仮位置決め)される。このとき、センタ筒部16は、その略半分が貫通孔76の第1半円部76Aに挿通されている。そして、この状態から、基板42の各透孔72、74を通してステータベース14の各ビスボス部62、66にビスをねじ込み、基板42を基板当接面54及び各ビスボス部62、66に当接させて固定する。これにより、基板42は、ステータベース14に対し正確に位置決めされ、各回転センサ40は、出力軸26の軸心を挟み互いに対向して配置される。
その後、ステータベース14のステータハウジング18にはカバー46を取り付ける。一方、センタ筒部16にはコイル22を巻装したステータコア20を固定し、該コイル22と基板42とを電気的に接続する。さらに、出力軸26にマグネット32が固定されたロータハウジング30のボス部30Cを固着する。
以上により、アウタロータ型モータ10の組立(製造)が完了する。
ここで、回転センサ40を実装する基板42は、センタ筒部16を貫通させる貫通孔76を有するため、該センタ筒部16に対し特定の方向にのみ大型化することなく張出部56からの突出量を最小限に抑えつつ、1枚で大きな面積を確保している。
そして、この貫通孔76が、センタ筒部16を貫通させた状態で基板42の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、具体的には、貫通孔76の長さXがX>(R2−A2)1/2+W/2+Dの条件を満たすため、上記の通り基板42の面積を確保しつつ、アーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させる回転センサ40を実装した基板42をステータ12に組み付けることができる。特に、貫通孔76が長孔であるため、例えば、貫通孔が長さXを直径とする円形に形成された場合と比較して、基板42の面積の損失が抑えられており、基板42の面積を確保しやすい。
以上により、1枚の基板42に、回転センサ40、ホール素子48、制御回路(素子)等、アウタロータ型モータ10の駆動・制御に必要な全ての電気部品を集約して実装する構成が実現されている。
また、基板42の非干渉位置から取付位置への移動によってセンサプレート36が接線方向から回転センサ40のアーム40A、40B間に入り込むため、換言すれば、貫通孔76の長手方向がアーム40A、40B間の両側が開口した幅Wの方向に一致しているため、互いに先端側の(センサプレート36の軸心を向く)開口部を対向させて配置される(幅W方向が一致する)2つの回転センサ40を実装した基板42を、上記の通り面積を確保しつつステータ12に組み付けることができる構成が実現されている。
さらに、ステータハウジング18に設けられ回転センサ40をセンサ室18Aに突出させるセンサ孔44が、回転センサ40の設置準備位置と検出可能位置との間の移動を許容するため、換言すれば、センサ孔44が回転センサ40を実装した基板42の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、より具体的には、センサ孔44の長手寸法YがY>(R2−A2)1/2+3×W/2の条件を満たすため、上記1枚の基板42に電気部品を集約して実装しつつアーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させるように組み付けることができる機能を維持しつつ、基板42をステータハウジング18におけるセンタ筒部16側すなわちロータ24側に配置する構成が実現されている。このため、基板42とコイル22との電気的な接続が容易であり、またホール素子48の配置について制約が生じることもない。
さらにまた、アウタロータ型モータ10の製造方法では、貫通孔76にセンタ筒部16を入り込ませて基板42をステータハウジング18の基板当接面54に近接させる工程と、該貫通孔76によってセンタ筒部16との干渉を回避しつつ基板42を基板当接面54に沿って移動して回転センサ40のアーム40A、40B間にセンサプレート36を挿入する工程とを分けているため、上記の通り1枚で大きな面積を確保しかつ回転センサ40を実装した基板42を、回転センサ40のアーム40A、40B間にセンサプレート36を入り込ませつつステータ12に組み付けることができる。すなわち、1枚の基板42に上記全ての電気部品を実装させることを可能としている。特に、上記基板42の基板当接面54に沿う移動によって、センサプレート36を接線方向からアーム40A、40B間に入り込ませるため、基板42に上記配置の2つの回転センサ40を実装することをも可能としている。
このように、本第1の実施の形態に係るアウタロータ型モータ10及びアウタロータ型モータ10の製造方法では、回転センサ40を実装した基板42の面積を確保しつつ、該基板42のステータ12への組付時に回転センサ40の一対のアーム40A、40B間にセンサプレート36入り込ませることができる。
またここで、取付位置に位置する基板42が、カバー46によっては閉塞できないセンサ孔44を閉塞するため、センサ孔44から光や異物が侵入することが防止され、光学式センサ(フォトインタラプタ)である回転センサ40による回転速度の検出誤差の発生が防止される。
なお、上記の第1の実施の形態では、アウタロータ型モータ10が長孔である貫通孔76を有する基板42を備えた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アウタロータ型モータ10は、基板42に代えて、図12に示される変形例に係る基板80を備えた構成であっても良い。
図12に示される如く、基板80は、貫通孔76に代えて切欠部82を有して構成されている。切欠部82は、第1半円部76Aとストレート部76Bとを有し、該ストレート部76Bにおける第1半円部76Aに対する反対側が開口端とされ、センサ孔44の長手方向に長手とされている。また、基板80がステータハウジング18に固定されることから、切欠部82は出力軸26の軸線との直交方向に長手とされている。そして、切欠部82は、貫通孔76と同様に、その内縁の一部が常にセンタ筒部16から離間する構成であり、基板80におけるセンタ筒部収容(逃し)開口部として機能するようになっている。
これにより、基板80においても、その面積を確保して上記全ての電気部品を実装しつつ、実装した回転センサ40のアーム40A、40B間にセンサプレート36のスリット36A形成部位を入り込ませることができる機能を実現している。また、この基板80もその取付位置においてセンサ孔44を閉塞するように形成されており、センサ室18Aへの異物や光の侵入を阻止する。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について、図13乃至図19に基づいて説明する。なお、上記第1の実施の形態と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図13には、第2の実施の形態に係るアウタロータ型モータ100が一部切欠いた正面図にて示されている。この図に示される如く、アウタロータ型モータ100は、上記2つの回転センサ40に加えて回転センサ102を備えている点で、上記第1の実施の形態に係るアウタロータ型モータ10とは異なる。以下、具体的に説明する。
回転センサ102は、出力軸26を挟んで互いに対向し(互いの相対位置が180°とされ)それぞれ異なるセンサ孔44に入り込む2つの回転センサ40に対し、それぞれ90°の位置に配置されている。すなわち、3つの回転センサ40、102は、出力軸26と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置されている。また、回転センサ102は、2つの回転センサ40に対し、設置準備位置側(図18に示す矢印Bと反対側)に配置されている。この回転センサ102は、配置を除いては回転センサ40と全く同様に構成されている。したがって、回転センサ102は、出力軸26の軸線と平行をなす方向に互いに離間して対向する一対のアーム40A、40B間にセンサプレート36におけるスリット36A形成部位を入り込ませて、該センサプレート36の回転速度に応じた信号を基板104(後述)の制御回路に出力するようになっている。
アウタロータ型モータ100は、基板42に代えて基板104を備えている。図14に正面図にて示される如く、基板104は、2つの回転センサ40及び回転センサ102をそれぞれ実装している。この図に示される如く、基板104は、貫通孔76に代えて貫通孔106を備えている。貫通孔106は、第1半円部76Aを設けることに代えて、ストレート部76Bを第2半円部とは反対側に延長して構成されており、その長さXが上記X>X’=(R2−A2)1/2+W/2+Dを満たしている。したがって、貫通孔106は、端部の形状が貫通孔76とは異なるだけで、その機能は貫通孔76と全く同様である。すなわち、貫通孔106は出力軸26の軸線との直交方向に長手とされており、貫通孔76と同様に、その内縁の一部が常にセンタ筒部110から離間する構成であり、基板104におけるセンタ筒部収容(逃し)開口部として機能するようになっている。
そして、この基板104における貫通孔106のストレート部76B側縁部の近傍に、回転センサ102が実装されている。回転センサ102は、アーム40A、40Bの先端を貫通孔106側に向けて実装されている。また、基板104は、その外形状が基板42とは若干異なるが、コネクタ43の設置部位近傍を除きステータハウジング112(後述)にはみ出すことがなく取り付けられる(図1参照)点で、基板42と同様の構成である。なお、正面図である図14では、ホール素子48の図示は省略している。
また、アウタロータ型モータ100は、ステータベース14に代えて、ステータベース108を備えている。図15乃至図17に示される如く、ステータベース108は、センタ筒部110と、ステータハウジング112とが一体に形成されている。センタ筒部110は、その内部が2つの軸受28を介して支持した出力軸26を挿通させる軸孔16Aとされており、ステータコア20を回り止め状態で嵌合するために嵌合溝16Bに代えてキー110Aを有する以外はセンタ筒部16と同様に構成されている。
ステータハウジング112は、一対のセンサ孔44が設けられた底板部50と枠壁52とを備えており、これらの底板部50と枠壁52とがセンタ筒部110と反対側に開口すると共に軸孔16Aと連通するセンサ室18Aを構成している。そして、ステータハウジング112における一対のセンサ孔44間には、センサ開口部114が設けられている。具体的には、ステータハウジング112では、図15及び図17(A)に示される如く、底板部50は、矩形状板部50Aから円弧板部50Bと反対側に延設された延設板部50Cを備えており、延設板部50Cの端部は張出部56の対応する端部の近傍まで至っている。
センサ開口部114は、矩形状板部50Aと延設板部50Cとに跨ってこれらを板厚方向に貫通すると共に、長手方向がセンサ孔44の長手方向と平行とされた略矩形状に形成されており、その幅は回転センサ102の幅Wよりも若干大とされている。このセンサ開口部114は、その長手方向一端部がセンタ筒部110の近傍に位置すると共に、長手方向他端部が延設板部50Cの外縁で開放端114Aとされている。
また、矩形状板部50Aと延設板部50Cとの間にでは、枠壁52が張出部56と共に全高に亘り切り欠かれている。この枠壁52の両切欠縁からは、それぞれセンサ開口部114の両縁と平行に開放端114Aまで至る延設壁116が延設されている。各延設壁116は、それぞれビスボス部62を補強するリブ64と一体化されている。この一対の延設壁116の間に延設板部50Cが形成されている。一対の延設壁116は、その間隔がセンサ開口部114の幅よりも若干大とされており、開放端114Aに対応する張出部56の端部近傍でセンサ開口部114の幅と一致するように絞られている。以下、センサ開口部114と、一対の延設壁116にて挟まれた空間とを、まとめて窓部118という場合がある。
以上説明したステータハウジング112では、図18に示される如く、非干渉位置に位置する基板104上に実装された回転センサ102を、開放端114Aの内外に跨るようにして窓部118に入り込ませるようになっている。すなわち、設置準備位置に位置する回転センサ102は、その一部のみが窓部118(センサ開口部114)に入り込む構成である。これにより、第3の回転センサ102を備えるアウタロータ型モータ100では、ステータハウジング112の大型化が防止されている。すなわち、センサ開口部114をセンサ孔44と閉じた構成とする場合と比較して、ステータハウジング112の小型化が図られている。
そして、センサ開口部114の長手方向が貫通孔106、各センサ孔44の長手方向と一致していることにより、上記第1の実施の形態と同様に、非干渉位置に位置する基板104を図18に示す矢印B方向に移動することで、一対の回転センサ40及び回転センサ102の各アーム40A、40B間にセンサプレート36のスリット36A形成部位が挿入される構成である。このとき、センサプレート36は、1対の回転センサ40に対して接線方向から各アーム40A、40B間に挿入され、回転センサ102に対しては法線方向からアーム40A、40B間に挿入されるようになっている。
さらに、ステータハウジング112は、窓部118の両縁を連結する橋架部120を備えている。具体的には、橋架部120は、窓部118を挟んで位置する張出部56(一対の延設壁116)の開放端114A側部分を架け渡しており、設置準備位置に位置する回転センサ102に干渉しない構成とされている。また、橋架部120は、張出部56の端面からの突出量が取付部58の対応する突出量と同等以下とされている。
また、ステータハウジング112では、センサ開口部114を設けたことにより、矩形状板部50Aにおける円弧板部50Bと反対側の係合孔18Bに代えて、各センサ孔44にそれぞれ連設された係合孔18Bを有している。さらに、図16及び図17(B)に示される如く、ステータハウジング112では、基板当接面54に代えて枠壁52及び各延設壁116に略沿った形状の基板当接面122が形成されており、この基板当接面122が基板104に当接するようになっている。基板当接面122は、上記第1の実施形態と同様に、底板部50における他の部分よりも突出しており、本第2の実施の形態では、各ビスボス部62、リブ64、及びビスボス部66と同位とされている。また、本第2の実施の形態では、ビスボス部62は、その一部が張出部56よりも外方(センサ室18Aと反対側)に突出している。
ステータハウジング112における他の構成は、第1の実施の形態に係るステータハウジング18と同様である。なお、各センサ孔44、及びセンサ開口部114またはセンサ開口部114を含む窓部118がそれぞれ本発明における「センサ開口部」に相当し、各センサ孔44とセンサ開口部114(窓部118)とを合わせたものが本発明における「センサ開口」に相当する。また、橋架部120または橋架部120及び一対の延設壁116(張出部56の板厚部分を含む)が本発明における「橋架部」に相当する。
また、図13に示される如く、ステータハウジング112におけるセンサ室18Aの開口端は、ステータハウジング112に取り付けられたカバー部材としてのカバー124によって閉塞されている。図19にも示される如く、カバー124は、センサ室18Aの正面視形状に対応したカバー本体124Aと、カバー本体124Aの外縁に沿って立設された周壁124Bとを有し、周壁124Bをセンサ室18A内に挿入している。カバー本体124A及び周壁124Bは、一対の延設壁116間に対応する部分が外方に膨出されて膨出部124Cとされており、検出可能位置に位置する回転センサ102に干渉しないようになっている。すなわち、膨出部124Cは、一対の延設壁116間における橋架部120が架け渡されていない部分に入り込むようになっている。このカバー124は、ステータハウジングの各係合孔18Bに対応して周壁124Bに設けられた係合爪46Dを該係合孔18Bに係合させることで、該ステータハウジング112からの脱落が阻止されるようになっている。
そして、カバー124の膨出部124Cにおける周壁124Bの端面からは、閉塞部としての閉塞片126が突設されている。閉塞片126は、その幅がセンサ開口部114の幅に対応すると共に、その突出高がセンサ開口の深さ(延設板部50Cのセンサ室18A側の面から基板当接面122までの高さ)に対応している。これにより、閉塞片126は、カバー124をステータハウジング112に取り付けた状態で、センサ開口部114に入り込んで該センサ開口部114を側方から閉塞するようになっている。また、この状態では、閉塞片126の端面は基板104に当接するようになっている。すなわち、図15に想像線にて示される如く、カバー124は、その閉塞片126がセンサ開口部114を側方から閉塞すると共に、膨出部124Cが窓部118の残余の部分を側方から閉塞する構成である。
また、アウタロータ型モータ100では、基板104に設けられた制御回路(図示省略)がアウタロータ型モータ10の制御回路とは異なる。基板104の制御回路は、3つの回転センサ40、102の出力信号がそれぞれ入力され、これら3つの信号に基づいて回転速度の検出誤差を一層低減して出力軸26を一層高精度に制御するようになっている。以下、具体的に説明する。
上記のコードホイール34の出力軸26への取付精度(偏心や偏角)に基づく検出誤差は、1回転で1周期の正弦波状の誤差成分(以下、1周期成分という)であり、1周期成分は相対位置180°の2つの回転センサ40の出力信号を平均化することでキャンセルすることができる。一方、例えば、センサプレート36をPET(ポリエチレンテレフタレート)等の縦横の膨張率が異なる材料で構成した場合、70℃程度の高温環境下で該センサプレート36が楕円状に変形する。この場合、センサプレート36の1回転で2周期の正弦波状の誤差成分(以下、2周期成分という)が生じ、2周期成分は上記2つの回転センサ40の出力信号の平均化によってはキャンセルすることができない。
そこで、本第2の実施の形態に係る制御回路では、例えば、相対位置90°の1つの回転センサ40と回転センサ102との出力信号を平均化して2周期成分をキャンセルした第1補正信号を得ると共に、相対位置180°の2つの回転センサ40の出力信号を差分して2周期成分をキャンセルした第2補正信号を得、かつ第1補正信号と第2補正信号とにそれぞれ含まれる1周期成分の位相及び振幅を一致させて第1補正信号と第2補正信号との差分を取ることで、センサプレート36すなわち出力軸26の真の(実際の)回転速度を検出するようになっている。なお、同様の結果は、他の演算方法にても得ることができる。
したがって、3つの回転センサ40、102及び上記制御回路を備えたアウタロータ型モータ100では、センサプレート36を安価なPETで構成しても、出力軸26の回転速度が高精度で検出され、該出力軸26が設定速度に対し高精度に制御される。
次に、本第2の実施の形態の作用を説明する。
上記構成のアウタロータ型モータ100では、コイル22に通電されると、ロータ24、出力軸26、コードホイール34が共に回転する。このとき、各回転センサ40、102は、それぞれコードホイール34すなわちセンサプレート36の回転速度に応じたON/OFF信号(パルス信号)を、基板104に実装された制御回路に出力する。
制御回路は、各回転センサ40、102からそれぞれ入力した信号を用いて上記1周期成分及び2周期成分を共にキャンセルして得た演算結果をセンサプレート36すなわち出力軸26の実際の回転速度として、予め設定された所定の回転速度(設定速度)とを比較する。そして、制御回路は、出力軸26の実際の回転速度(上記平均化した回転速度)が設定速度と一致するようにコイル22への通電パターンを変更または維持する。これにより、コードホイール34が固定された出力軸26の回転速度が設定速度に保持される。
このように、アウタロータ型モータ100は、出力軸26と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置された3つの回転センサ40、102を備え、その制御回路が3つの回転センサ40の出力信号に基づいてセンサプレート36の回転の1周期成分及び2周期成分を共にキャンセルするため、仮にセンサプレート36が出力軸26に対し偏心または偏角しかつ楕円状に変形していても、出力軸26の実際の回転速度を高精度で検出することができる。そして、この高精度な検出結果に基づいてコイル22への通電パターンすなわち出力軸26の回転速度の制御を行なうため、仮にセンサプレート36を安価なPETにて構成しても、出力軸26は確実にかつ安定して所定の設定速度で回転する。
このアウタロータ型モータ100を組み立てるにあたっては、コードホイール34が固定された出力軸26をステータベース108のセンタ筒部16に軸受28を介して支持させ、コードホイール34をステータベース108のセンサ室18A内に(組付位置に)配置する。この状態から、回転センサ40、112実装側の面をステータベース14の基板当接面122側に向けた基板104を、該基板当接面122に近接させつつ、貫通孔76にセンタ筒部16を挿通させる。
そして、センタ筒部16の略半分を貫通孔76の第2半円部76Cに位置させながら、基板104をセンタ筒部16の軸線方向に沿って基板当接面122にさらに近接させ、各回転センサ40をステータハウジング18のセンサ孔44に挿通してセンサ室18A内に入り込ませると共に、回転センサ102の一部をセンサ開口部114から窓部118に入り込ませる。これにより、基板104は、図18に示す如く、各回転センサ40、102を設置準備位置に位置させる非干渉位置に至る。
次いで、基板104を基板当接面122に沿って図18に示す矢印B方向へ(第2半円部76C側を先頭にして)移動し、各回転センサ40にセンサプレート36の接線上を移動させると共に回転センサ102にセンサプレート36の法線上を移動させ、各回転センサ40、102のアーム40A、40B間にセンサプレート36のスリット36A形成部位を入り込ませる。すなわち、センサプレート36は、その接線方向に回転センサ40に相対的に近接してアーム40A、40B間の側方に開口した部分から該アーム40A、40B間に入り込むと共に、その法線方向に回転センサ102に近接してアーム40A、40B間の先端側に開口した部分から該アーム40A、40B間に入り込む。
基板104が各回転センサ40、102をそれぞれ検出可能位置に位置させる取付位置に至ると、該基板104の切欠部42Aにはステータベース14の規制壁70が係合し、基板104は、ステータベース14に仮保持(仮位置決め)される。このとき、センタ筒部16は、貫通孔106のストレート部76Bにおける第2半円部76Cと反対側の端部に挿通されている。そして、この状態から、基板104の各透孔72、74を通してステータベース14の各ビスボス部62、66にビスをねじ込み、基板104を基板当接面54及び各ビスボス部62、66に当接させて固定する。これにより、基板104は、ステータベース14に対し正確に位置決めされ、各回転センサ40、102は、出力軸26と同軸的な仮想円周上に90°間隔で配置される。
さらに、ステータベース108のステータハウジング112にはカバー124を取り付ける。具体的には、カバー124の周壁124Bをセンサ室18Aに挿入し、該周壁124Bに設けられた各係合爪46Dをステータベース108の係合孔18Bの縁部にそれぞれ係合させる。これにより、カバー124がステータベース108に対し脱落不能に取り付けられる。この取付状態では、閉塞片126がセンサ開口部114を側方から閉塞すると共に、膨出部124C(の主に周壁124B)が窓部118における残余の部分(一対の延設壁116間)を側方から閉塞している。これにより、ステータハウジング112の窓部118を経由した、開放端114A側からセンサ室18Aへの異物や光の侵入が阻止される。
一方、センタ筒部16にはコイル22を巻装したステータコア20を固定し、該コイル22と基板104とを電気的に接続する。さらに、出力軸26にマグネット32が固定されたロータハウジング30のボス部30Cを固着する。
以上により、アウタロータ型モータ100の組立(製造)が完了する。
ここで、回転センサ40、102を実装する基板104は、センタ筒部16を貫通させる貫通孔106を有するため、該センタ筒部16に対し特定の方向にのみ大型化することなく張出部56からの突出量を最小限に抑えつつ、1枚で大きな面積を確保している。
そして、この貫通孔106が、センタ筒部16を貫通させた状態で基板104の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、具体的には、貫通孔76の長さXがX>(R2−A2)1/2+W/2+Dの条件を満たすため、上記の通り基板104の面積を確保しつつ、90°間隔で配置されそれぞれアーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させる回転センサ40、102を実装した基板104をステータ12に組み付けることができる。特に、貫通孔76が長孔であるため、例えば、貫通孔が長さXを直径とする円形に形成された場合と比較して、基板104の面積の損失が抑えられており、該基板104の面積を確保しやすい。
以上により、1枚の基板104に、回転センサ40、102、ホール素子48、制御回路(素子)等、アウタロータ型モータ100の駆動・制御に必要な全ての電気部品を集約して実装する構成が実現されている。
また、上記の通り各センサ孔44、センサ開口部114がそれぞれ対応する回転センサ40、102を挿通させた状態で基板104の非干渉位置と取付位置との間の移動を許容するため、より具体的には、センサ孔44の長手寸法YがY>(R2−A2)1/2+3×W/2の条件を満たし、かつセンサ開口部114が開放端114Aを有し設置準備位置に位置する回転センサ102の一部のみを窓部118に入り込ませる構成であるため、基板104をステータハウジング112におけるセンタ筒部16側すなわちロータ24側に配置する構成が実現されている。このため、基板104とコイル22との電気的な接続が容易であり、またホール素子48の配置について制約が生じることもない。
さらにまた、アウタロータ型モータ100の製造方法では、貫通孔106センタ筒部16を入り込ませて基板104をステータハウジング112の基板当接面122に近接させる工程と、該貫通孔106によってセンタ筒部16との干渉を回避しつつ基板104を基板当接面122に沿って移動して回転センサ40、102の各アーム40A、40B間にセンサプレート36を挿入する工程とを分けているため、上記の通り1枚で大きな面積を確保しかつ回転センサ40を実装した基板104を、各回転センサ40、102のアーム40A、40B間にセンサプレート36を入り込ませつつステータ12に組み付けることができる。すなわち、1枚の基板104に上記全ての電気部品を実装させることを可能としている。特に、上記基板104の基板当接面122に沿う移動によって、センサプレート36を接線方向から各回転センサ40のアーム40A、40B間に入り込ませると共に、該センサプレート36を法線方向から回転センサ102のアーム40A、40B間に入り込ませるため、単に基板104を基板当接面122に沿って矢印B方向に直線的に移動する動作によって、90°間隔で配置されて基板104に実装された3つ回転センサ40、102の各アーム40A、40B間にセンサプレート36を位置させることができる。
このように、本第2の実施の形態に係るアウタロータ型モータ100及びアウタロータ型モータ100の製造方法では、3つの回転センサ40、102を実装した基板104の面積を確保しつつ、該基板104のステータ12への組付時に回転センサ40、102の各一対のアーム40A、40B間にセンサプレート36入り込ませることができる。
またここで、アウタロータ型モータ100では、ステータハウジング112のセンタ筒部110側に位置する基板104に実装された3つの回転センサ40、102をセンサ室18A側に突出させるセンサ開口が、それぞれ個別に回転センサ40、102を挿通させる独立した一対のセンサ孔44及びセンサ開口部114で構成されているため、ステータハウジング112の剛性を確保することができる。
また、アウタロータ型モータ100では、センサ開口部114が開放端114Aを有する構成であるため、センサ開口部114に代えてセンサ孔44と同様に閉じたセンサ開口部を有する構成と比較して、ステータハウジング112が小型化されている。すなわち、センサプレート36に対し長手方向に一致する法線方向から近接する回転センサ102は、上記センサ孔44の長さYよりも長い移動領域を要求するが、開放端114Aを設けることで回転センサ102のステータハウジング112の外側からのセンサ室18Aへのアクセスが可能となり、ステータハウジング112が大型化されることはない。したがって、設置準備位置に位置する回転センサ102が全体としてステータハウジング112の外側に位置し、基板104の非干渉位置から取付位置への移動に伴って回転センサ102が開放端114Aを通過して検出可能位置へ至る構成としても良い。なお、本第2の実施の形態におけるステータハウジング112は、ステータハウジング18と実質的に同じ大きさ(平面視で略同面積)とされている。
そして、一対の延設壁116(及び張出部56の板厚部分)を介してセンサ開口部114の開放端114Aにおける縁部間を連結する橋架部120を設けたため、センサ開口部114に開放端114Aを設けたステータハウジング112の剛性の低下が防止される。これにより、ステータハウジング112は、上記の通りセンサ開口部114が各センサ孔44と独立して設けられいることと併せて、十分な剛性を確保している。
さらに、カバー124に閉塞片126を設けたため、開放端114Aを有するセンサ開口部114が閉塞される。また、カバー124の周方向に連続する周壁が窓部118における一対の延設壁116間の部分を閉塞すると共に、カバー本体124Aがセンサ室18Aの開口端を閉塞する。さらに、取付位置に位置する基板104が、センサ孔44及びセンサ開口部114をセンタ筒部110側から閉塞する。以上により、センサ孔44、センサ開口部114、及びセンサ室18Aの開口端を経由したセンサ室18A内への光や異物の侵入が防止され、光学式センサ(フォトインタラプタ)である回転センサ40、102による回転速度の検出誤差の発生が防止される。そして、閉塞片126がカバー124に一体に設けられているため、部品点数を増やすことなく、組立後には不要で上記異物等の侵入経路となりやすいセンサ開口部114の開放端114Aが閉塞される。
(アウタロータ型モータの適用例)
次に、上記構成のアウタロータ型モータ10、100がカラープリンタやカラーコピー機等の画像処理装置(画像形成装置)に適用された例を示す。
図20に示される如く、画像処理装置は、それぞれ赤、青、黄、黒に対応した4つの感光ドラム130、132、134、136を備えている。各感光ドラム130、132、134、136は、軸心廻りに回転することで、それぞれ形成された各色に対応したトナー像を転写体に転写するようになっている。
各感光ドラム130、132、134、136には、それぞれ回転駆動手段としてのアウタロータ型モータ10またはアウタロータ型モータ100(以下、アウタロータ型モータ10等という)が接続されている。具体的には、アウタロータ型モータ10等の出力軸26が各感光ドラム130、132、134、136に直結されている。
各アウタロータ型モータ10等は、それぞれステータ12(ステータハウジング18、112)が画像処理装置の筐体138に固定されており、コイル22に通電することで、ロータ24が所定方向に回転して各感光ドラム130、132、134、136を回転駆動する構成である。
ここで、アウタロータ型モータ10等は、小型で低回転速度域において高トルクを発生する特性を有するため、画像処理装置の感光ドラム130等に直結されても、該感光ドラム130等を十分なトルクで回転駆動でき、画像処理装置を大型化させることもない。特に、アウタロータ型モータ10等では、薄型(扁平)構造であるため、各感光ドラム130等の背面(軸方向端部)における狭いスペースに好適に配置される。また、アウタロータ型モータ10等は、上記の通りマグネットロータを有するブラシレスモータであるため、低コストで製造することができ画像処理装置を高コスト化することもない。
そして、このように小型で高トルクのアウタロータ型モータ10等を感光ドラム130等に直結すると、ギヤやベルト等を介して感光ドラム130等を回転駆動する必要がないため、感光ドラム130等の回転むらが抑止され、画質が向上する。すなわち、画像処理装置の高精度化が図られる。
特に、アウタロータ型モータ10は、2つの回転センサ40を備え、上記の通り高精度で出力軸26すなわち感光ドラム130等の回転速度制御行なうため、感光ドラム130等の回転むらが一層抑止される。また、アウタロータ型モータ100は、3つの回転センサ40、102を備え、上記の通り高精度で出力軸26すなわち感光ドラム130等の回転速度制御行なうため、感光ドラム130等の回転むらが一層抑止される。
このように、画像処理装置の感光ドラム130等に直結され、該感光ドラム130等を回転駆動するアウタロータ型モータ10等では、画像処理装置を大型化及び高コスト化することなく、感光ドラム130等の回転むらを抑止できる。
なお、上記各実施の形態及び変形例では、アウタロータ型モータ10、100が2つの回転センサ40または3つの回転センサ40、102を備えた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、回転センサ40または回転センサ102を1つだけ備えた構成としても良い。そして、この場合、回転センサ40のアーム40A、40B間にセンサプレート36のスリット36A形成部位が接線方向に入り込む構成には限定されず、例えば、センサプレート36がアーム40A、40B間の先端側開口部から法線方向またはこれに交差する方向に該アーム40A、40B間に入り込む(回転センサ40が中心線CL上を移動してアーム40A、40B間にセンサプレート36を入り込ませる)構成としても良い。同様に、センサプレート36が接線方向またはこれに交差する方向に回転センサ102のアーム40A、40B間に入り込むように構成しても良い。すなわち、貫通孔76、106または切欠部82の長手方向、センサ孔44、センサ開口部114内での回転センサ40の移動方向が図9乃至図11、図18の矢印B方向と直交する構成でも良く、矢印Bと交差する構成であっても良い。
さらに、上記各実施の形態では、ステータベース14、108のステータハウジング18、112がセンサ孔44を有する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、センサ開口部114或いは貫通孔76に対する切欠部82と同様に、センサ孔44に代えて開放端を有する切欠部を設けた構成としても良い。逆に、センサ開口部114をセンサ孔44と同様に開放端114Aを備えい構成としても良い。また、ステータハウジング18の一対のセンサ孔44を互い連設して1つのセンサ開口としても良く、ステータハウジング112の一対のセンサ孔44及びセンサ開口部114を互い連設して1つのセンサ開口としても良い。さらに、基板42、80、104を底板部50のセンサ室18A側に配置して、該底板部50を貫通する孔から基板42、80、104とコイル22を電気的に接続したりホール素子48をマグネット32に臨ませても良い。
さらにまた、上記各実施の形態では、貫通孔76、106が長孔である好ましい構成としたが、本発明における貫通孔は基板42の取付位置と非干渉位置との間に移動を許容すれば足り、本発明が貫通孔の形状によって限定されることはない。また例えば、上記第2の実施の形態において、図12に示す如く貫通孔106に代えて切欠部82を有する基板80に回転センサ102を取り付けてアウタロータ型モータ100を構成しても良いことは言うまでもない。
また、上記各実施の形態及び変形例では、基板42、80、104が取付位置においてセンサ孔44、またはセンサ孔44及びセンサ開口部114を閉塞する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、基板42、80、104が取付位置においてセンサ孔44等を閉塞しなくても良い。なお、この場合、別途カバー部材等でセンサ孔44等を閉塞することが望ましい。
さらに、上記各実施の形態及び変形例では、基板42、80、104に図示しない制御回路を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、基板42、80、104とは別体として制御回路を設けても良く、アウタロータ型モータ10、100が外部の制御装置によって制御されるようにしても良い。特に、図20に示す如き適用例では、画像処理装置の制御回路が各アウタロータ型モータ10、100を一括して制御するように構成することも可能である。
さらにまた、上記第2の実施の形態では、ステータハウジング112におけるセンサ開口部114の開放端114Aの両縁部を連結する橋架部120を有する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、橋架部120を備えない構成としても良い。また、上記第2の実施の形態では、カバー124に閉塞片126を設けた好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、別部材によって開放端114Aを閉塞するようにしても良い。この別部材は基板104に取り付けておくことも可能である。
10…アウタロータ型モータ、12…ステータ、14…ステータベース(ステータ)、16…センタ筒部(筒状部)、26…出力軸、36…センサプレート、40…回転センサ、40A・40B…アーム(一対のアーム)、42…基板、44…センサ孔(センサ開口、センサ開口部)、50…底板部(延設部)、54…基板当接面(固定部)、76…貫通孔、80…基板、82…切欠部(切欠き)、100…アウタロータ型モータ、102…回転センサ、104…基板、106…貫通孔、108…ステータベース(ステータ)、110…センタ筒部(筒状部)、114…センサ開口部(センサ開口)、114A…開放端、116…延設部(橋架部)、120…橋架部、122…基板当接面(固定部)、124…カバー(カバー部材)、126…閉塞片(閉塞部)