以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。Z軸方向は、Y軸方向と直交する方向であって図1における上下方向とする。X軸方向は、Y軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
また、以下の説明においては、中心軸Jの延びる方向と直交するZ軸方向を上下方向とする。Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼ぶ場合があり、Z軸方向の負の側(−Z側)を「下側」と呼ぶ場合がある。なお、上下方向、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。
また、以下の説明においては、Y軸方向の正の側(+Y側)を「反出力側(軸方向他方側)」と呼ぶ場合があり、Y軸方向の負の側(−Y側)を「出力側(軸方向一方側)」と呼ぶ場合がある。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼ぶ場合があり、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ場合があり、中心軸Jを中心とする周方向(θY方向)、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ場合がある。
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のポンプ装置10を示す断面図である。図2は、図1の部分拡大図である。図3は、ポンプ装置10を示す正面図である。図4は、モータ部20の部分を示す斜視図である。図4においては、モータカバー13が取り付けられる前の状態を示している。図1に示すように、ポンプ装置10は、例えば、車両本体CB1に固定される。車両本体CB1は、車両を構成する部品である。車両本体CB1は、特に限定されず、例えば、自動変速機である。
ポンプ装置10は、ケース11と、モータ部20と、ポンプ部30と、を備える。ケース11は、モータ部20とポンプ部30とを内部に収容する。ケース11は、ハウジング12と、モータカバー13と、を有する。すなわち、ポンプ装置10は、ハウジング12と、モータカバー13と、を備える。
なお、本明細書において、ある対象が収容される、とは、ある対象の全体が収容されることに加えて、ある対象の一部が収容されることを含む。すなわち、例えば、ケース11がモータ部20とポンプ部30とを収容するとは、モータ部20とポンプ部30との一部がケース11の外部に位置してもよい。
ハウジング12は、モータ部20とポンプ部30とを保持する円筒状である。ハウジング12は、軸方向(Y軸方向)に延びる。ハウジング12は、例えば、金属製である。ハウジング12は、例えば、プレス加工によって製造される。
ハウジング12は、ハウジング筒部14と、ハウジングフランジ部15と、延伸部16と、を有する。ハウジング筒部14は、少なくとも後述するステータ50の径方向外側を覆う筒状である。ハウジング筒部14は、例えば、中心軸Jを中心とする多段の円筒状である。ハウジング筒部14は、軸方向両側(±Y側)に開口する。ハウジング筒部14は、反出力側(+Y側)に開口部14aを有する。すなわち、ハウジング12は、反出力側に開口部14aを有する。ハウジング筒部14の直径は、反出力側(+Y側)から出力側(−Y側)に向かって段階的に小さくなる。
ハウジングフランジ部15は、ハウジング筒部14の反出力側(+Y側)の端部から径方向外側に延びる。延伸部16は、ハウジング筒部14の出力側(−Y側)の端部から径方向内側に延びる。
モータカバー13は、ハウジング12の反出力側(+Y側)に取り付けられる。モータカバー13は、カバー筒部17と、蓋部18と、カバーフランジ部19と、を有する。カバー筒部17は、後述するバスバーユニット80の径方向外側を覆う筒状である。
蓋部18は、カバー筒部17の反出力側(+Y側)に接続される。蓋部18は、例えば、平板状である。蓋部18は、バスバーユニット80よりも反出力側に位置する。蓋部18は、後述するホルダ本体部82の反出力側の開口を閉塞する。蓋部18は、モータ部20の反出力側を覆う。すなわち、モータカバー13は、モータ部20の反出力側を覆う。
カバーフランジ部19は、カバー筒部17の出力側(−Y側)の端部から径方向外側に延びる。カバーフランジ部19の出力側の面と、ハウジングフランジ部15の反出力側(+Y側)の面とは、接触する。カバーフランジ部19とハウジングフランジ部15とは、例えば、軸方向(Y軸方向)にカシメられて固定される。これにより、ハウジング12とモータカバー13とが固定される。
モータ部20は、シャフト41と、反出力側ベアリング44と、ロータ40と、ステータ50と、バスバーユニット80と、回路基板70と、回転センサ71と、センサマグネット72と、を有する。
シャフト41は、軸方向(Y軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする。シャフト41の出力側(−Y側)の端部は、ポンプ部30まで延びる。シャフト41は、反出力側ベアリング44と後述するポンプボディ31の軸受部36とによって、軸周り(±θY方向)に回転可能に支持される。シャフト41は、モータ部20とポンプ部30とで共通化された単一のシャフトである。
図2に示すように、シャフト41の反出力側(+Y側)の端部には、溝部(連結部)41bが設けられる。溝部41bは、シャフト41の反出力側の端部から出力側(−Y側)に窪む。図3に示すように、溝部41bは、軸方向(Y軸方向)と直交する方向(図3に示す状態ではX軸方向)に延びる。溝部41bは、中心軸Jを通り径方向に延びる。本実施形態において溝部41bは、シャフト41を軸方向と直交する方向に貫通する。
本実施形態においては、シャフト41の反出力側(+Y側)の端部には、直径が小さくなる小径部41aが設けられる。すなわち、本実施形態においては、溝部41bは、小径部41aの反出力側の端部に設けられる。
溝部41bは、図4に示す駆動装置(他の部材)RDと連結可能な連結部である。駆動装置RDは、溝部41bを介してシャフト41と連結されることで、シャフト41を回転させる。
図1に示すように、反出力側ベアリング44は、ステータ50よりも反出力側(+Y側)に位置する。反出力側ベアリング44は、例えば、転がり軸受である。反出力側ベアリング44は、バスバーユニット80の後述するバスバーホルダ81に保持される。
ロータ40は、シャフト41に固定される。ロータ40は、ロータコア42と、ロータマグネット43と、を有する。ロータコア42は、シャフト41を軸周り(θY方向)に囲んで、シャフト41に固定される。ロータマグネット43は、ロータコア42の軸周りに沿った外側面に固定される。ロータコア42およびロータマグネット43は、シャフト41と一体となって回転する。
ステータ50は、ロータ40の径方向外側に位置する。ステータ50は、ステータコア51と、絶縁部材52と、コイル53と、を有する。ステータコア51は、コアバック部51aと、ティース部51bと、を有する。
コアバック部51aの形状は、例えば、シャフト41と同心の円筒状である。コアバック部51aは、ハウジング筒部14の内周面に固定される。ティース部51bは、コアバック部51aの内側面からシャフト41に向かって延びる。ティース部51bは、複数設けられ、周方向に沿って均等な間隔で配置される。
絶縁部材52は、各ティース部51bに装着される。コイル53は、絶縁部材52を介してティース部51bに装着される。コイル53は、導電線が巻き回されて構成される。
バスバーユニット80は、ステータ50の反出力側(+Y側)に位置する。バスバーユニット80は、ハウジング筒部14の反出力側(+Y側)の開口部14aに位置する。バスバーユニット80は、バスバーホルダ81と、相用バスバー90と、センサバスバー(バスバー)91と、を有する。
バスバーホルダ81は、相用バスバー90およびセンサバスバー91を保持する。バスバーホルダ81は、ホルダ本体部82と、ホルダ底部87と、ベアリング保持部86と、コネクタ部83と、を有する。ホルダ本体部82は、円筒状である。ホルダ本体部82は、例えば、シャフト41と同心である。ホルダ本体部82の出力側(−Y側)の端部は、ハウジング筒部14の径方向内側に位置する。すなわち、ホルダ本体部82は、開口部14aの径方向内側に位置する。
ホルダ本体部82とハウジング筒部14との径方向の間には、周方向の一周に亘ってOリング84が設けられる。すなわち、モータ部20は、ハウジング12とホルダ本体部82との径方向の間に位置するOリング84を有する。
ホルダ本体部82の反出力側(+Y側)の開口は、蓋部18によって閉塞される。ホルダ本体部82の反出力側の面と蓋部18と間には、Oリング85が設けられる。Oリング85は、ホルダ本体部82の反出力側の開口を周方向の一周に亘って囲む。
図3に示すように、ホルダ底部87は、ホルダ本体部82の内周面から径方向内側に広がる。図1に示すように、ホルダ底部87は、ホルダ本体部82とベアリング保持部86とを連結する。図3に示すように、ホルダ底部87は、ホルダ底部87を軸方向(Y軸方向)に貫通する底部貫通孔87aを有する。図3の例では、底部貫通孔87aは、例えば、3つ設けられる。底部貫通孔87aは、周方向に沿って並ぶ。
図示は省略するが、底部貫通孔87aには、ステータ50と相用バスバー90とを接続する接続配線が通される。図3に示すように、底部貫通孔87aは、周方向に延びる。そのため、バスバーホルダ81を周方向に回転させる際に、接続配線が底部貫通孔87aの内縁と接触することを抑制できる。これにより、バスバーホルダ81を周方向に回転させて回転センサ71の相対位置を調整する際に、接続配線が損傷することを抑制できる。
底部貫通孔87aは、相用バスバー90の後述するコイル接続部90aと軸方向(Y軸方向)に重なる。図3の例では、1つの底部貫通孔87aは、2つのコイル接続部90aと軸方向に重なる。
図1に示すように、ベアリング保持部86は、ホルダ本体部82の径方向内側に設けられる。ベアリング保持部86は、反出力側ベアリング44を保持する。そのため、バスバーホルダ81をシャフト41周り(±θY方向)に精度よく回転させることができる。これにより、回転センサ71の相対位置をより精度よく調整しやすい。
コネクタ部83は、ホルダ本体部82から径方向外側に突出する。図1の例では、コネクタ部83は、ホルダ本体部82から下側(−Z側)に突出する。コネクタ部83は、下側に開口し上側に窪むコネクタ凹部83aを有する。コネクタ部83には、図示しない外部電源が接続される。
相用バスバー90は、複数設けられる。相用バスバー90は、例えば、3つ設けられる。相用バスバー90は、それぞれコイル接続部90aを有する。本実施形態においてコイル接続部90aは、1つの相用バスバー90に、例えば、2つずつ設けられる。コイル接続部90aは、ホルダ本体部82の内側面から突出して設けられる。
図示は省略するが、コイル接続部90aは、ステータ50と相用バスバー90とを接続する接続配線を介して、ステータ50のコイル53と電気的に接続される。これにより、相用バスバー90は、ステータ50と電気的に接続される。
センサバスバー91は、複数設けられる。センサバスバー91は、例えば、6つ設けられる。図2に示すように、センサバスバー91は、それぞれ接続端子91aを有する。接続端子91aは、回路基板70の反出力側の面である反出力側基板面70bに固定される。これにより、センサバスバー91は、回路基板70と電気的に接続される。センサバスバー91は、回路基板70を介して、回転センサ71と電気的に接続される。
図1に示すように、相用バスバー90の一端およびセンサバスバー91の一端は、コネクタ凹部83aの底面から下側(−Z側)に突出する。
回路基板70は、ホルダ本体部82に固定される。すなわち、回路基板70は、バスバーユニット80に保持される。回路基板70は、ホルダ本体部82の径方向内側に収容される。図1の例では、回路基板70の基板面は、例えば、軸方向(Y軸方向)と直交する。
図2に示すように、回路基板70は、回路基板貫通孔70cを有する。回路基板貫通孔70cは、回路基板70を軸方向(Y軸方向)に貫通する。図2から図4に示すように、回路基板貫通孔70cは、シャフト41と軸方向に重なる。回路基板貫通孔70cは、シャフト41の溝部41bの少なくとも一部と軸方向に重なる。本実施形態において回路基板貫通孔70cは、シャフト41の小径部41aの全体と軸方向に重なる。本実施形態において回路基板貫通孔70cは、シャフト41の全体と軸方向に重なる。
図3に示すように、回路基板貫通孔70cの軸方向(Y軸方向)に視た形状は、例えば、中心を中心軸Jが通る円形状である。本実施形態において回路基板貫通孔70cの直径は、シャフト41の直径よりも大きい。
図2に示すように、回転センサ71は、回路基板70に取り付けられる。本実施形態において回転センサ71は、回路基板70の出力側(−Y側)の面である出力側基板面70aに取り付けられる。回転センサ71は、例えば、ホール素子である。回転センサ71は、センサマグネット72と軸方向(Y軸方向)に対向する。回転センサ71は、例えば、3つ設けられる。回転センサ71は、例えば、周方向に沿って等間隔に配置される。
センサマグネット72は、シャフト41の外周面に固定される。本実施形態においてセンサマグネット72は、シャフト41の反出力側(+Y側)の端部の外周面に取付部材73を介して固定される。取付部材73は、円環状であり、シャフト41の小径部41aに嵌め合わされる。
センサマグネット72は、例えば、円環状である。センサマグネット72は、取付部材73に嵌め合わされる。センサマグネット72は、ステータ50よりも反出力側(+Y側)に位置する。センサマグネット72の磁極は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に設けられる。
本実施形態によれば、回路基板70にはシャフト41と軸方向(Y軸方向)に重なる回路基板貫通孔70cが設けられ、シャフト41の回路基板70側(+Y側)の端部には、溝部41bが設けられる。そのため、図4に示すように、モータカバー13が取り付けられる前の状態において、駆動装置RDの駆動軸RDSを回路基板貫通孔70cに通して、駆動軸RDSの先端に設けられた連結突起部RDaを溝部41bに嵌め合わせることができる。連結突起部RDaは、駆動軸RDSの先端から反出力側(−Y側)に突出する。連結突起部RDaは、軸方向(Y軸方向)と直交する方向に延びる。
これにより、駆動軸RDSがシャフト41に連結される。したがって、駆動装置RDを駆動することで、シャフト41を軸方向回り(±θY方向)に回転させることができる。このように、本実施形態によれば、モータ部20とポンプ部30とを組み立てた後に、シャフト41を回転させることができる。
なお、本明細書においてモータ部とポンプ部とを組み立てた後、とは、単一のシャフトを介して、モータ部の少なくとも一部とポンプ部の少なくとも一部とが連結された状態となった後を含む。例えば、本明細書においてモータ部とポンプ部とを組み立てた後、とは、モータカバー13がハウジング12に固定される前を含む。
ここで、ホルダ本体部82は、円筒状であり、円筒状のハウジング12の開口部14aに位置する。そのため、ハウジング12とモータカバー13とを固定する前においては、ホルダ本体部82は、ハウジング12に対して、周方向に回転可能である。すなわち、バスバーユニット80は、ハウジング12に対して、周方向に回転可能である。
回転センサ71のセンサマグネット72に対する相対位置の調整においては、バスバーユニット80を周方向に少しずつ移動させて、各位置において上述したように駆動装置RDを用いてシャフト41を回転させる。そして、回転センサ71によって検出されたセンサマグネット72の磁束の変化に基づいて、回転センサ71の最適な位置を検出する。
以上のように、本実施形態によれば、モータ部20とポンプ部30とを組み立てた後に、シャフト41を回転させて回転センサ71によってセンサマグネット72の磁束を検出し、回転センサ71のセンサマグネット72に対する相対位置の調整をすることができる。したがって、本実施形態によれば、モータ部20とポンプ部30とで共通化された単一のシャフト41を有し、モータ部20とポンプ部30とを組み立てた後に回転センサ71の相対位置を調整することが可能な構造を有するポンプ装置10が得られる。
回転センサ71の相対位置調整を行った後に、モータカバー13をハウジング12に固定する。バスバーホルダ81には、ハウジング12とモータカバー13とが固定されることで、モータカバー13の蓋部18からOリング85を介して出力側向き(−Y向き)の力が加えられる。これにより、バスバーホルダ81は、ハウジング12とモータカバー13とに軸方向(Y軸方向)に挟持されてケース11に固定される。したがって、ハウジング12とモータカバー13とが固定された状態においては、バスバーホルダ81は周方向に回転しない。これにより、回転センサ71の相対位置を最適な位置に保持できる。
また、本実施形態によれば、回路基板70およびシャフト41に単純な追加工を行うことのみで回転センサ71の相対位置調整を可能とできるため、ポンプ装置10が複雑化することも大型化することもない。
また、本実施形態によれば、シャフト41における駆動装置RDと連結される連結部は、溝部41bである。そのため、シャフト41の先端を切り欠くことによって連結部を作ることができ、簡便である。
また、本実施形態によれば、溝部41bは、中心軸Jを通り径方向に延びる。そのため、シャフト41に駆動装置RDを連結した際に、駆動装置RDにおける駆動軸RDSの中心軸と、シャフト41の中心軸Jとを、軸合わせしやすい。
また、本実施形態によれば、シャフト41に連結される他の部材は、駆動装置RDである。そのため、駆動装置RDによってシャフト41を回転させ、上述したようにして回転センサ71の相対位置調整を行うことができる。
また、本実施形態によれば、Oリング84は、ハウジング12とホルダ本体部82との径方向の間に位置する。そのため、Oリング84とハウジング12の内側面およびホルダ本体部82の外側面との間に摩擦力が生じる。これにより、回転センサ71の相対位置調整において、シャフト41を回転させる際に、バスバーユニット80の周方向の位置がずれることを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、回転センサ71のセンサマグネット72に対する相対位置を最適化しやすい。
図1に示すように、ポンプ部30は、モータ部20の出力側(−Y側)に位置する。ポンプ部30は、モータ部20によって駆動される。ポンプ部30は、ポンプボディ31と、ポンプカバー32と、インナーロータ61と、アウターロータ62と、を有する。
ポンプボディ31は、ハウジング筒部14の内側面に固定される。ポンプボディ31は、例えば、金属製である。ポンプボディ31は、例えば、切削加工によって製造される。ポンプボディ31は、ポンプ室33と、オイルシール保持部31bと、貫通孔31aと、軸受部36と、露出部34と、を有する。
ポンプ室33は、ポンプボディ31の出力側(−Y側)の面から反出力側(+Y側)に窪む。ポンプ室33は、内側にインナーロータ61およびアウターロータ62を収容する。すなわち、ポンプボディ31は、インナーロータ61およびアウターロータ62を収容する。ポンプ室33の出力側(−Y側)は、ポンプカバー32によって閉じられる。
図示は省略するが、軸方向(Y軸方向)に視た際のポンプ室33の形状は、例えば、中心を中心軸Jが通る円形状である。
オイルシール保持部31bは、ポンプボディ31の反出力側(+Y側)の面から出力側(−Y側)に窪む。オイルシール保持部31bには、オイルシール92が保持される。オイルシール92は、ポンプ室33から貫通孔31aを介してオイルシール保持部31bに流入した流体(オイル)がモータ部20に浸入することを防止する。
貫通孔31aは、ポンプボディ31を軸方向(Y軸方向)に貫通する。貫通孔31aには、シャフト41が通される。貫通孔31aの反出力側(+Y側)の端部は、オイルシール保持部31bに開口する。貫通孔31aの出力側(−Y側)の端部は、ポンプ室33に開口する。図示は省略するが、軸方向に視た際の貫通孔31aの形状は、例えば、ポンプ室33と同心の円形状である。
軸受部36は、シャフト41を支持する。本実施形態において軸受部36は、例えば、すべり軸受けである。図1の例では、軸受部36は、貫通孔31aの内壁部である。
露出部34は、ハウジング筒部14よりも出力側(−Y側)に位置する。露出部34は、ハウジング12の外部に露出する。露出部34は、例えば、軸方向(Y軸方向)に延びる円柱状である。露出部34は、中心軸Jの径方向外側を囲む外周面34aを有する。本実施形態において外周面34aは、例えば、周方向の一周に亘って設けられる。
本実施形態においてポンプボディ31は、出力側(−Y側)に向かって径方向の寸法が小さくなる段差部35を有する。段差部35の軸方向(Y軸方向)と交差する段差面35aは、延伸部16と接触する。より詳細には、本実施形態において段差面35aは、延伸部16の反出力側(+Y側)の面と接触する。そのため、ポンプボディ31をハウジング12に対して軸方向に位置決めすることができる。
本実施形態において、ポンプボディ31における段差面35aよりも反出力側(+Y側)の部分は、ハウジング筒部14内に例えば圧入固定される。本実施形態において、ポンプボディ31における段差面35aよりも出力側(−Y側)の部分は、ハウジング筒部14よりも出力側に突出する。
ポンプボディ31とハウジング筒部14との径方向の間には、周方向の一周に亘ってOリング38が設けられる。
インナーロータ61は、シャフト41に取り付けられる。より詳細には、本実施形態においてインナーロータ61は、シャフト41の出力側(−Y側)の端部に固定される。インナーロータ61は、ポンプ室33内に収容される。インナーロータ61は、シャフト41が回転することで、中心軸J周り(±θY方向)に回転する。
アウターロータ62は、インナーロータ61の径方向外側を囲む環状である。アウターロータ62は、ポンプ室33内に収容される。アウターロータ62は、インナーロータ61と互いに噛み合う。そのため、アウターロータ62は、インナーロータ61が回転することで、回転する。アウターロータ62の回転軸は、例えば、中心軸Jと平行で、かつ、中心軸Jと異なる軸である。
ポンプカバー32は、ポンプボディ31の出力側(−Y側)に取り付けられる。本実施形態においてポンプカバー32は、例えば、ポンプボディ31の露出部34の出力側の面にネジ94によって固定される。ポンプカバー32は、ポンプ室33の出力側(−Y側)を覆う。ポンプカバー32は、ポンプカバー本体部32cと、突出部32dと、を有する。
ポンプカバー本体部32cの反出力側(+Y側)の面は、ポンプボディ31の出力側(−Y側)の面と接触する。突出部32dは、ポンプカバー本体部32cから出力側に突出する。
ポンプカバー32は、吸入口32aおよび吐出口32bを有する。吸入口32aおよび吐出口32bは、ポンプカバー32を軸方向(Y軸方向)に貫通する。吸入口32aおよび吐出口32bは、ポンプ室33に連通する。図1の例では、吸入口32aは、吐出口32bよりも下側(−Z側)に位置する。吐出口32bは、突出部32dに位置する。吐出口32bは、突出部32dの出力側(−Y側)の面である接触面32eに開口する。
次に、ポンプ装置10が車両本体CB1に取り付けられた状態について説明する。車両本体CB1は、ポンプ装置収容部BD1と、インポート部IPと、アウトポート部OPと、を有する。ポンプ装置収容部BD1は、車両表面CBSから出力側(−Y側)に窪む凹部である。ポンプ装置収容部BD1には、ポンプ装置10が収容される。本実施形態においてポンプ装置収容部BD1の径方向内側の面は、円筒状である。ポンプ装置収容部BD1は、収容本体部BD1aと、嵌合部BD1bと、を有する。
収容本体部BD1aは、モータ部20の一部が径方向内側に位置する部分である。収容本体部BD1aは、車両表面CBSに開口する。嵌合部BD1bは、収容本体部BD1aの出力側(−Y側)に位置する。嵌合部BD1bの直径は、収容本体部BD1aの直径よりも小さい。嵌合部BD1bは、露出部34と嵌め合わされる。
インポート部IPおよびアウトポート部OPは、ポンプ装置収容部BD1の底面、すなわち嵌合部BD1bの底面である収容部底面BD1cに開口する。ポンプ装置10は、インポート部IPから流体を吸入し、アウトポート部OPから流体を吐出する。流体は、特に限定されず、例えば、オイルである。以下の説明においては、ポンプ装置10によって送られる流体をオイルとして説明する。
本実施形態においてポンプ装置10は、例えば、ハウジングフランジ部15とカバーフランジ部19とが軸方向(Y軸方向)に重ね合わされ、ハウジングフランジ部15およびカバーフランジ部19を介して車両本体CB1にネジ止めされる。すなわち、本実施形態においてポンプ装置10は、ハウジングフランジ部15を介して車両本体CB1に固定される。ハウジングフランジ部15の出力側(−Y側)の面は車両表面CBSと接触する。
ハウジングフランジ部15と車両表面CBSとの間には、Oリング93が設けられる。Oリング93は、周方向の一周に亘って設けられる。
ポンプ装置10におけるハウジングフランジ部15よりも出力側(−Y側)の部分は、ポンプ装置収容部BD1に挿入される。ポンプ装置10の出力側の端部、すなわちポンプカバー32の出力側の端部は、収容部底面BD1cと接触する。本実施形態においてポンプカバー32の出力側の端部は、突出部32dの接触面32eである。ポンプカバー32は、嵌合部BD1b内に挿入される。ポンプカバー32は、嵌合部BD1bの内側面から径方向内側に離れて設けられる。
インポート部IPは、ポンプカバー32の吸入口32aと接続される。これにより、インポート部IPから吸入口32aを介して、オイルがポンプ室33に流入される。アウトポート部OPは、ポンプカバー32の吐出口32bと接続される。これにより、ポンプ室33に流入されたオイルが吐出口32bを介して、アウトポート部OPから流出される。
ポンプカバー32における突出部32dの接触面32eと収容部底面BD1cとの間には、Oリング37が設けられる。Oリング37は、吐出口32bとアウトポート部OPとを周方向に囲む。これにより、インポート部IPからポンプ装置10に流入されるオイルが、接触面32eと収容部底面BD1cとの間を介してアウトポート部OPに流れることを防止できる。
露出部34は、ポンプ装置収容部BD1の嵌合部BD1bに嵌め合わされる。本実施形態においては、露出部34は、例えば、嵌合部BD1bに隙間嵌めされる。
モータ部20が駆動されてシャフト41が回転すると、シャフト41に固定されたインナーロータ61が回転する。インナーロータ61が回転することにより、アウターロータ62が回転する。インナーロータ61およびアウターロータ62が回転することで、インポート部IPから吸入口32aを介してオイルがポンプ室33に流入される。ポンプ室33に流入したオイルは、インナーロータ61およびアウターロータ62が回転すると共に、ポンプ室33内を移動し、吐出口32bを介してアウトポート部OPからポンプ装置10の外部に流出される。このようにして、モータ部20によってポンプ部30が駆動され、ポンプ装置10はインポート部IPからアウトポート部OPへとオイルを送る。
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。以下の説明において、上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
本実施形態において溝部41bは、軸方向(Y軸方向)と直交する方向に延びるならば、特に限定されない。本実施形態において溝部41bは、例えば、中心軸Jを通らなくてもよいし、シャフト41を軸方向と直交する方向に貫通しなくてもよい。
また、上記説明においてシャフト41に設けられる連結部は、溝部41bとしたが、これに限られない。本実施形態において連結部は、他の部材が連結できるならば、特に限定されない。例えば、本実施形態においては、図5に示す構成を採用できる。
図5は、本実施形態の他の一例であるポンプ装置110の部分を示す断面図である。図5に示すように、ポンプ装置110は、モータ部120を備える。モータ部120は、シャフト141を有する。シャフト141の反出力側(+Y側)の端部には、凸部(連結部)141cが設けられる。凸部141cは、例えば駆動装置RDと連結可能である。すなわち、この構成において連結部は、凸部141cである。
凸部141cは、シャフト141の反出力側(+Y側)の端部から反出力側に突出する。図示は省略するが、凸部141cは、軸方向(Y軸方向)と直交する方向(図5に示す状態ではX軸方向)に延びる。凸部141cは、例えば、中心軸Jを通り径方向に延びる。凸部141cの形状は、例えば、図4に示す駆動装置RDの駆動軸RDSと同様である。
この構成によれば、上述したのと同様に、凸部141cを介して駆動装置RDをシャフト141に連結し、回転センサ71の相対位置調整を行うことができる。なお、この構成においては、駆動装置RDの駆動軸RDSの先端には、例えば、凸部141cと嵌め合わされる溝が設けられる。
シャフト141は、反出力側(+Y側)の端部に直径が小さくなる小径部141aを有する。すなわち、凸部141cは、小径部141aの反出力側の端部に設けられる。
小径部141aは、回路基板貫通孔70cを介して、回路基板70よりも反出力側(+Y側)に突出する。すなわち、シャフト141は、回路基板貫通孔70cに通され、シャフト141の反出力側の端部は、回路基板70よりも反出力側に位置する。これにより、連結部である凸部141cは、回路基板70よりも反出力側に位置する。
そのため、凸部141cに駆動装置RDを連結する際に、駆動装置RDの駆動軸RDSを回路基板貫通孔70cに通す必要がない。これにより、駆動装置RDを、凸部141cを介してシャフト141に連結しやすい。したがって、この構成によれば、回転センサ71の相対位置調整を行うことが容易である。
また、本実施形態においては、例えば、連結部が複数設けられてもよい。例えば、本実施形態においては、シャフト41の反出力側(+Y側)の端部に、図2に示す溝部41bと、図5に示す凸部141cとの両方が設けられてもよいし、いずれか一方が複数設けられてもよい。
また、本実施形態において回路基板貫通孔70cの形状は、特に限定されない。
また、本実施形態においては、ハウジング12とホルダ本体部82との径方向の間に位置するOリング84が設けられなくてもよい。
また、本実施形態においては、連結部に連結可能な他の部材は、駆動装置RD以外の部材であってもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、連結部が設けられる位置が異なる。なお、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
図6は、本実施形態のポンプ装置210の部分を示す断面図である。ポンプ装置210は、ケース11と、モータ部220と、ポンプ部230と、を備える。モータ部220は、シャフト241と、ロータ40と、ステータ50と、を有する。ポンプ部230は、ポンプボディ31と、ポンプカバー232と、インナーロータ61と、アウターロータ62と、を有する。
シャフト241の出力側(−Y側)の端部は、インナーロータ61よりも出力側に位置する。シャフト241の出力側の端部には、駆動装置RDと連結可能な溝部241dが設けられる。溝部241dの構成は、設けられる位置が異なる点を除いて、第1実施形態の溝部41bの構成と同様である。
そのため、図7および図8に示すようにしてポンプカバー232の代わりにダミーカバーDPを取り付けることで、シャフト241を駆動装置RDによって回転させることができる。
図7は、本実施形態のポンプ装置210の部分を示す断面図である。図8は、本実施形態のポンプ装置210を示す斜視図である。図7および図8においては、ポンプカバー232の代わりにダミーカバーDPがポンプボディ31の出力側(−Y側)に取り付けられている。
図7および図8に示すように、ダミーカバーDPは、円板状の部材である。ダミーカバーDPは、ネジDPbによってポンプボディ31に固定される。ここで、ネジDPbが締め込まれるポンプボディ31のネジ穴は、例えば、図6に示すポンプカバー232をポンプボディ31に固定するネジ94が締め込まれるネジ穴と同じである。そのため、本実施形態によれば、ポンプボディ31に、ダミーカバーDPを取り付けるためのネジ穴を別途設ける必要がなく、簡便である。図8に示すように、ダミーカバーDPは、例えば、4つのネジDPbでポンプボディ31に固定される。
図7および図8に示すように、ダミーカバーDPの中央には、ダミーカバー貫通孔DPaが設けられる。ダミーカバー貫通孔DPaは、ダミーカバーDPを軸方向(Y軸方向)に貫通する。これにより、ダミーカバー貫通孔DPaに駆動装置RDの駆動軸RDSを挿入して、図4に示す駆動軸RDSをシャフト241の溝部241dに連結することができる。したがって、本実施形態によれば、モータ部220とポンプ部230とを組み立てた後に回転センサ71の相対位置を調整することが可能である。
図7に示すように、ダミーカバーDPは、インナーロータ61およびアウターロータ62を出力側(−Y側)から支持する。そのため、駆動装置RDによってシャフト241を回転させる際に、インナーロータ61が圧入固定されたシャフト241が、軸方向(Y軸方向)に移動することを抑制できる。そのため、回転センサ71の相対位置の調整が容易である。
ダミーカバー貫通孔DPaは、例えば、反出力側(+Y側)から出力側(−Y側)に向かうに従って直径が大きくなる。そのため、ダミーカバー貫通孔DPa内に駆動軸RDSを挿入しやすく、駆動装置RDをシャフト241に連結しやすい。
図6に示すように、ポンプカバー232の反出力側(+Y側)の面には、出力側(−Y側)に窪む収容凹部232cが設けられる。収容凹部232cは、シャフト241の出力側(−Y側)の端部を収容する。これにより、シャフト241がインナーロータ61よりも出力側に突出する構成を採用できる。
そのため、図7に示すように、ポンプカバー232の代わりにダミーカバーDPを取り付けた際に、ダミーカバー貫通孔DPaの内部にシャフト241の出力側(−Y側)の端部が挿入される。これにより、シャフト241に駆動装置RDの駆動軸RDSをより連結しやすい。
本実施形態においては、回路基板70に回路基板貫通孔70cが設けられていなくてもよいし、設けられていてもよい。また、本実施形態においてシャフト241の反出力側(+Y側)の端部には、溝部41bあるいは凸部141c等の連結部が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。ポンプ装置210のその他の構成は、第1実施形態のポンプ装置10の構成と同様である。
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
本実施形態においては、回路基板70が設けられなくてもよい。その場合、回転センサ71は、例えば、バスバーホルダ81に直接保持される。
また、本実施形態においては、回転センサ71の相対位置調整を行う際に、ダミーカバーDPを用いなくてもよい。その場合、シャフト241に連結された駆動装置RDによってシャフト241に反出力側向き(+Y向き)の力を与えつつ、シャフト241を回転させる。これにより、シャフト241の軸方向(Y軸方向)の移動を抑制できる。
<第3実施形態>
第3実施形態は、第2実施形態に対して、ポンプカバー332の吸入口332aがシャフト241と軸方向に重なる点において異なる。なお、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。
図9は、本実施形態のポンプ装置310の部分を示す断面図である。ポンプ装置310は、ケース11と、モータ部220と、ポンプ部330と、を備える。ポンプ部330は、ポンプボディ31と、ポンプカバー332と、インナーロータ61と、アウターロータ62と、を有する。
ポンプカバー332は、吸入口332aおよび吐出口332bを有する。吸入口332aは、第1実施形態の吸入口32aと同様である。
吐出口332bは、ポンプカバー332を軸方向(Y軸方向)に貫通する。吐出口332bは、シャフト241と軸方向に重なる。そのため、吐出口332bを介して、駆動装置RDをシャフト241に連結することができる。これにより、本実施形態によれば、ダミーカバーDPを用いることなく、モータ部220とポンプ部330とを組み立てた後に回転センサ71の相対位置を調整することが可能である。
図示は省略するが、吐出口332bの軸方向(Y軸方向)に視た形状は、例えば、円形状である。吐出口332bの直径は、シャフト241の直径よりも大きい。シャフト241の出力側(−Y側)の端部は、吐出口332bの内部に位置する。そのため、吐出口332bに駆動軸RDSを挿入してシャフト241と連結させやすい。吐出口332bのその他の構成は、第1実施形態の吐出口32bの構成と同様である。ポンプ装置310のその他の構成は、第2実施形態のポンプ装置210の構成と同様である。
なお、上記実施形態のポンプ装置の車両本体に対する取り付け方は、上記説明した取り付け方に限られない。上記実施形態のポンプ装置は、例えば、露出部が車両本体の嵌合部に嵌め合わされない状態で車両本体に取り付けて使用することもできる。また、上記実施形態のポンプ装置は、車両本体に取り付けられなくてもよい。
また、上記説明した第1実施形態から第3実施形態の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。