JP2004281758A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない工程数で、簡便かつ高精度に、シリコン系半導体基板の表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成し、そのシリコン系半導体基板を用いて、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、このシリコン系半導体基板100の表面にシリサイド層102を形成するステップと、このシリサイド層の形成された前記シリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、このシリコン系半導体基板100の表面にシリサイド層102を形成するステップと、このシリサイド層の形成された前記シリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、微細かつ均一な凹凸からなるテクスチャ表面を有し、テクスチャ表面における太陽光の反射を効率的に低減する機能を有する、シリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、上記の太陽電池の製造方法により得られる、太陽光の反射を効率的に低減する機能を有し、発電効率に優れる太陽電池に関する。
【0003】
【従来の技術】
<従来の太陽電池の光閉込め構造>
一般に、単結晶シリコン太陽電池では、発電効率を向上させるために、光閉込め構造およびキャリア閉込め構造を形成する場合が多い。
【0004】
ここで、光閉込め構造の代表例としては、表面反射防止膜、テクスチャ構造、裏面反射膜などが挙げられる。単結晶シリコンは、波長400nm〜1100nm領域で6.00〜3.50の大きな屈折率を持つので、短波長領域で約54%、長波長領域で約34%の反射損失がある。この反射損失を減ずるために、屈折率の異なる透明材料で表面反射防止膜を形成することが多い。反射防止膜の最適の屈折率nと厚みdは、入射光の波長をλとすると、λ=4nd、n2=nSin0の関係で与えられる。ここに、nSiはSiの屈折率、n0はまわりの屈折率である。そして、空気の場合はn0=1なので、n=(nSi)1/2の材料を表面反射防止膜に用いることが好ましい。
【0005】
ここで、かかる表面反射防止膜の厚みを均一にして、後述するシリコン基板表面のテクスチャ構造と併せて、太陽光の反射率を低減しようという試みもなされている(たとえば、特許文献1参照。)。しかし、かかる表面反射防止膜の厚みを均一にしたとしても、微細かつ均一なテクスチャ構造を形成できなければ、さらなる太陽光の反射率の低減は実現できないという問題がある。
【0006】
また、裏面反射膜を形成する場合には、半導体基板の裏面にアルミニウムなどの金属からなる反射膜を形成して、光閉込め構造を形成することが多い。裏面での光の反射を活用することにより、入射光路でSiに十分吸収されなかった光が反射光路で吸収されて光電流が増加する利点がある。
【0007】
上記の表面反射防止膜および裏面反射膜の形成により、ある程度の光閉込め効果は得ることができる。しかし、太陽電池の受光面が平坦な鏡面である場合には、表面反射防止膜を形成しても、幾分かの反射は避けることができない。そこで、一般に、単結晶シリコン太陽電池では、単結晶シリコン基板の受光面側においてアルカリ溶液などを用いた異方性エッチングを行い、単結晶シリコン基板の表面に微細なピラミッドまたは逆ピラミッド構造を形成して、単結晶シリコン基板表面における太陽光の反射を低減している。上記の異方性エッチングでは、単結晶シリコンのエッチング速度が、Si(100)結晶方位面とSi(111)結晶方位面とで異なることを利用している。
【0008】
上記テクスチャ構造を形成した場合、あるピラミッドの面で下方に反射した光が他のピラミッドに入っていく多重反射が活用できるので、全体として反射が低減する。さらに、シリコン内に入射する光は屈折を受け、長い距離を進むので、等価的に、吸収係数が増加(拡散距離の増加に相当)する利点もある。なお、受光面側だけでなく、受光面と反対の裏面側にもテクスチャ構造を形成することにより、より一層優れた光閉込め効果を得ることができる。
【0009】
<従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法>
ここで、単結晶シリコン基板における一般的なテクスチャ形成の方法として、たとえば図16〜図20の製造工程順の単結晶シリコン基板の断面図に示すようなテクスチャ形成の方法が挙げられる(たとえば、特許文献2参照。)。
【0010】
図16は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図16は、図16(a)と図16(b)とを含む。
【0011】
まず、図16(a)に示すように、たとえば単結晶のp型シリコン基板300を用いる。この場合の結晶方位は、Si(100)とする。この単結晶のp型シリコン基板300を、イソプロピルアルコールを含有し、水酸化カリウムを数%含有する、水酸化カリウム水溶液に浸漬して、80℃〜90℃の範囲の温度で、20分〜30分程度処理する。このようにして、図16(b)に示すように単結晶のp型シリコン基板300の両面に比較的微細なピラミッド状の凹凸構造、すなわちテクスチャ構造を形成する。
【0012】
図17は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図17は、図17(a)と図17(b)とを含む。
【0013】
次に、図17(a)に示すように、たとえばP2O5などのn型の拡散源(ドーパント)を含むドーパント液を含む反射防止膜301の材質をスピンフローなどの方法によって単結晶のp型シリコン基板300の受光面側の表面に塗布する。そして、図17(b)において、上記のドーパント液を含む反射防止膜301の材質を塗布した単結晶のp型シリコン基板300を、たとえば拡散炉において900℃の温度で20分程度の加熱処理を行い、単結晶のp型シリコン基板300の受光面側にn型ドーパントを拡散させて、n+層302を形成することによりpn接合を形成する。また、このドーパント液を含む反射防止膜301の材質から加熱処理により得られる層を反射防止膜301とする。
【0014】
図18は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図18は、図18(a)と図18(b)とを含む。
【0015】
続いて、図18(a)において、単結晶のp型シリコン基板300の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀を材質として含む裏面電極303を印刷する。そして、図18(b)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300の裏面側にアルミニウムを材質として含む裏面反射膜304を印刷して乾燥させる。
【0016】
図19は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図19は、図19(a)と図19(b)とを含む。
【0017】
次に、図19(a)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300を700℃〜800℃程度の温度で加熱処理を施して、銀を材質として含む裏面電極303をp型シリコン基板300のp型部分に接続する。その際に、加熱処理によりアルミニウムを材質として含む裏面反射膜304に含まれるアルミニウム原子を単結晶のp型シリコン基板300のp型部分にドーパントとして拡散させて合金化させ、単結晶のp型シリコン基板300のp型部分のp型ドーパント濃度よりp型ドーパント濃度の高いp+層305を形成する。これにより、p型シリコン基板300のp型部分とp+層305にポテンシャルバリアを設けるBSF(Back−Surface−Field)構造とし、太陽電池のキャリア閉込め効果を高めて、太陽電池の発電性能を向上させる。
【0018】
次に、図19(b)に示すように、上記p型シリコン基板300の受光面側の表面反射防止膜301上に銀を材質として含む表面電極306を印刷により形成し乾燥させた後、600℃〜700℃程度の加熱処理により、表面電極306をn+層302に接続させる。
【0019】
図20は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【0020】
さらに、図20に示すように、上記の銀を材質として含む表面電極306と銀を材質として含む裏面電極303を、半田307により被覆して、p型単結晶シリコン基板300から、pn型の太陽電池を形成する。
【0021】
<従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法の問題点>
上記に示した従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法では、水酸化カリウム溶液などのアルカリ性のエッチング溶液に浸漬することにより、単結晶シリコン基板の表面にテクスチャ構造を形成している。しかし、従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法では、テクスチャ構造(すなわち、ピラミッド構造)の大きさがランダムになってしまうという問題がある。
【0022】
また、単結晶シリコン基板に比べて各結晶粒の結晶方位がランダムである多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、非晶質(アモルファス)シリコン基板などにおいては、単にアルカリ溶液などを含むエッチング溶液によるエッチング処理のみでは、良好なテクスチャ構造が得られないという問題はさらに著しい。
【0023】
しかしながら、入射した光をできるだけ長時間(長光路長)閉じ込めるためには、テクスチャ構造はできるだけ凹凸の大きさを揃えるほうが好ましいため、上記の通常のエッチング処理により得られるテクスチャ構造での太陽光の反射率低減には限界がある。そこで、単結晶シリコン基板において通常よりもさらに良好なテクスチャ表面を実現したい場合、あるいは多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、非晶質(アモルファス)シリコン基板などにおいて、良好なテクスチャ構造を実現したい場合には、機械的なカッティング(たとえば、特許文献3参照。)や、図21〜図22に示すようなフォトリソグラフィーを用いて逆ピラミッド構造による均一なテクスチャを形成する方法がある(たとえば、特許文献4参照。)。
【0024】
図21は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図21は、図21(a)と図21(b)とを含む。
【0025】
この場合、図21(a)に示すように、たとえば単結晶のp型シリコン基板300の表面にシリコン酸化膜からなるマスク層308を形成する。次に、図21(b)に示すようにレジスト層309を堆積して、フォトリソグラフィーにより所望のテクスチャ構造に対応する形状のレジスト層309をパターニングする。
【0026】
図22は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図22は、図22(a)と図22(b)とを含む。
【0027】
続いて、図22(a)で示すように、たとえば弗化水素水によりシリコン酸化膜からなるマスク層308のうちレジスト層309で保護されていない部分をエッチング処理により除去し、次いでレジスト層309を別のエッチング溶液でエッチング処理により除去する。その後、図22(b)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300を、イソプロピルアルコールを含有し、水酸化カリウムを数%(w/w)の濃度で含有する、水酸化カリウム水溶液に浸漬して、テクスチャパターンを均一に形成する。
【0028】
上記に示したように、フォトリソグラフィーを用いて逆ピラミッド構造による均一なテクスチャを形成する場合には、工程が非常に増加して複雑になるため、太陽電池の製造歩留まりが低下し、製造コストが著しく上昇するという問題がある。
【0029】
また、機械的なカッティングを用いて均一なテクスチャを形成する場合、装置が大掛かりになり、設備投資額も莫大となる。さらにウエハ1枚あたりの処理時間がかかる上、処理後に機械的ストレスを除去する必要があるため、スループットが著しく低下するという問題がある。
【0030】
さらに、従来の一般的なテクスチャ形成方法では、シリコン基板の表面のうち電極を形成する領域にもテクスチャを形成するため、電極とシリコン基板のテクスチャ表面との接触する領域が増え、実質的に電極の長さが長くなって直列抵抗が増大する。そのため、太陽電池のF.F.(Fill Factor)が減少し、太陽電池の発電性能が劣化するという問題もある。
【0031】
【特許文献1】
特開平8−85874号公報
【0032】
【特許文献2】
特開昭62−35582号公報
【0033】
【特許文献3】
特開平4−15962号公報
【0034】
【特許文献4】
特開平5−235385号公報
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
上記の現状に基づき、本発明の他の課題は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、シリコン系半導体基板の表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成し、そのシリコン系半導体基板を用いて、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる太陽電池の製造方法を提供することである。
【0036】
さらに、本発明の別の課題は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成されたシリコン系半導体基板を用いて、歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を提供することである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するためには、通常のアルカリ性のエッチング溶液によるエッチング処理により、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することのできる材質からなるシリコン系半導体基板を用いればよいとの着想を得、このような材質を見出すために、多くの実験を重ねた。
【0038】
その結果、本発明者は、シリサイドを含む材質からなるシリコン系半導体基板を、通常のアルカリ性のエッチング溶液によりエッチング処理することにより、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができることを見出した。
【0039】
また、本発明者は、シリコン系半導体表面に金属を含む材質からなるシリサイド材料層を形成し、加熱処理することにより、容易にかかるシリサイドを含む材質からなるシリサイド層を形成でき、このシリサイド層を、通常のアルカリ性のエッチング溶液によりエッチング処理することにより、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができることを見出した。
【0040】
すなわち、本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法である。
【0041】
ここで、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが好ましい。
【0042】
また、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にマスク層を形成するステップと、このマスク層が一部に形成されたこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面のこのマスク層が形成されていない部分にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが望ましい。
【0043】
さらに、このマスク層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にシリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を形成するステップを含むことが好ましい。
【0044】
そして、このシリサイド材料層を形成するステップは、IV−A族、V−A族およびVI−A族の高融点金属、およびVIII−Aの金属からなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが望ましい。
【0045】
また、このシリサイド材料層を形成するステップは、Ti、Zr、Fe、Co、Niからなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが好ましい。
【0046】
さらに、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが望ましい。
【0047】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側に表面電極を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側と反対側の裏面側に裏面電極を形成するステップと、をさらに備えることが好ましい。
【0048】
また、本発明の太陽電池は、上記の太陽電池の製造方法により得られる、太陽電池である。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0050】
<テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板>
本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法である。
【0051】
このように、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成して、シリサイド層を形成した領域に異方性エッチング処理を行うことにより、シリサイド層を形成しなかった場合に比べ、フォトリソグラフィーなどの複雑な工程を用いることなく均一かつ微細なテクスチャ構造が形成でき、シリコン系半導体基板の入射光に対する反射率を低減することが可能となる。
【0052】
本明細書において、シリコン系半導体基板とは、Si元素を主要な構成元素として含む半導体基板を意味するものとする。よって、Si元素以外の元素(たとえば、Al、B、Pなどのドーパント元素など)を含んでいてもよい。
【0053】
本明細書において、シリコン系半導体基板とは、単結晶シリコン系半導体基板、多結晶シリコン系半導体基板、微結晶シリコン系半導体基板、非晶質(アモルファス)シリコン系半導体基板などを含む概念を意味するものとする。これらの中では、単結晶シリコン系半導体基板を用いた場合に最も優れたテクスチャ構造を形成できる傾向があるが、他の多結晶シリコン系半導体基板、微結晶シリコン系半導体基板、非晶質(アモルファス)シリコン系半導体基板などを用いた場合にも、本発明の太陽電池の製造方法を用いることにより、通常のエッチング処理のみを行なう場合よりも均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することができる傾向がある。
【0054】
本明細書において、シリコン系半導体基板の形状は、平板状に限られず、円盤状、球状、棒状、角柱状など、どのような形状であってもよい。もっとも、太陽電池用のシリコン系半導体基板として用いる場合には、これらの形状の中でも平板状であることが好ましい。
【0055】
<シリサイド層を形成するステップ>
本発明の太陽電池の製造方法において、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが好ましい。
【0056】
このように、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成し、その後このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成することにより、シリコン系半導体基板の表面に、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができる。
【0057】
また、このシリサイド材料層を形成するステップは、IV−A族、V−A族およびVI−A族の高融点金属、およびVIII−Aの金属からなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが好ましい。
【0058】
このような金属を含むシリサイド材料層を用いることにより、シリコン系半導体基板に大きな影響を与えることなく、低温で短時間にシリサイド材料層に含まれる金属元素とシリコン元素との反応を起こすことができるため、簡単で汎用的な製造プロセスでシリサイド層を形成することができる。そのため、太陽電池の製造方法に用いられるシリコン系半導体基板の性能を損なうことなく、その表面に良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0059】
さらに、このシリサイド材料層を形成するステップは、Ti、Zr、Fe、Co、Niからなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが望ましい。
【0060】
上記の金属の中でも、このような汎用的な金属を含むシリサイド材料層を用いることにより、シリサイド層の形成プロセスを複雑にすることなく、簡単にしかも均一かつ微細で良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0061】
本発明の太陽電池の製造方法において、シリサイド材料層を形成するステップは、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層に含まれる金属を、スパッタ法あるいは蒸着法などの一般的な金属層の形成方法により形成するステップを含むことが好ましい。
【0062】
このような一般的な形成方法を採用することにより、シリサイド材料層の形成プロセスを複雑にすることなく、簡単に均一な厚みを有するシリサイド材料層を形成することが可能となる。
【0063】
本発明の太陽電池の製造方法において、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップは、シリサイド材料層に含まれる金属の種類に応じて、窒素ガスなどの不活性雰囲気中で熱処理を行なうステップを含むことが望ましい。
【0064】
このような金属の種類に応じた加熱方法を採用することにより、シリコン系半導体基板に不要な損傷を与えることなく、また金属の酸化を防いだ状態で、簡単に均一な厚みを有する良好なシリサイド層を形成することが可能となる。
【0065】
<マスク層を形成するステップを備える場合>
また、本発明の太陽電池の製造方法において、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にマスク層を形成するステップと、このマスク層が一部に形成されたこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面のこのマスク層が形成されていない部分にシリサイド層を形成するステップと、を含んでいてもよい。
【0066】
このように、シリコン系半導体基板の表面の電極を形成する予定の領域にマスク層を形成し、それ以外の領域にシリサイド層を形成して、異方性エッチング処理を行うことにより、マスク層が形成された部分については、テクスチャ構造が形成されない非テクスチャ表面を得ることができる。こうして得られた非テクスチャ表面に電極を形成して、太陽電池を製造した場合、電極とシリコン系半導体基板の非テクスチャ表面との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0067】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法において、このマスク層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にシリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を形成するステップを含むことが好ましい。
【0068】
このように、シリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を用いることにより、通常のアルカリ性のエッチング溶液を用いた場合、マスク層に覆われた部分についてはテクスチャ構造が形成されないため、シリコン系半導体基板の表面の一部に、容易に良好な非テクスチャ表面を得ることができる。
【0069】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を形成するステップの後に、このマスク層を除去することにより、シリコン系半導体基板の非テクスチャ表面を露出するステップを備えることが望ましい。
【0070】
このように、この非テクスチャ表面を露出するステップを備えることにより、シリコン系半導体基板の非テクスチャ表面を、太陽電池の電極形成部位として活用することができるようになる。こうして得られた非テクスチャ表面に電極を形成して、太陽電池を製造した場合、電極とシリコン系半導体基板の非テクスチャ表面との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0071】
ここで、本発明の太陽電池の製造方法において、この非テクスチャ表面を露出するステップは、このマスク層をフッ化水素溶液などの等方性エッチング溶液に浸漬してこのマスク層を除去するステップを含むことが好ましい。
【0072】
このように、等方性エッチング溶液を用いてこのマスク層を除去することにより、良好な非テクスチャ表面を露出させることができる。その結果、簡単で汎用的なプロセスを用いて、電極を形成する予定の非テクスチャ表面以外の領域に選択的に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することが可能となり、電極における抵抗を低減することができる。また、テクスチャ表面とする予定の領域にはシリサイド層を形成しているために、テクスチャ表面に均一で良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0073】
<テクスチャ表面を形成するステップ>
本発明の太陽電池の製造方法において、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが好ましい。
【0074】
このように、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理することにより、アルカリ性溶液による、シリコン系半導体基板のSi(100)面とSi(111)面とにおけるエッチング速度の違いを利用して、均一かつ微細なエッチング構造を形成することができる。
【0075】
また、本発明の太陽電池の製造方法において、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、水酸化カリウム溶液および/または水酸化ナトリウム溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが望ましい。
【0076】
このように、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、水酸化カリウム溶液および/または水酸化ナトリウム溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理することにより、簡単かつ汎用的なプロセスで、均一かつ良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0077】
<その他のステップ>
本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側の前記テクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側に表面電極を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側と反対側の裏面側に裏面電極を形成するステップと、をさらに備えることが好ましい。
【0078】
ここで、上記のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップは、p型シリコン系半導体基板の受光面側の前記テクスチャ表面にn+層を形成するステップであることが望ましい。
【0079】
このように、本発明の太陽電池の製造方法により得られる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面にn+層を形成することにより、光吸収が最も効率よく起こる部分にpn接合を形成することができる。そのため、光吸収による太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0080】
また、このテクスチャ表面は、本発明の太陽電池の製造方法により得られたことにより、均一かつ微細なテクスチャ構造を有している。そのため、優れた光閉込め効果を発揮し、さらに太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0081】
ここで、上記のp型シリコン系半導体基板としては、p型ドーパントとして、たとえばB(ボロン)、In(インジウム)などを含有するp型シリコン系半導体基板であることが好ましい。
【0082】
また、n+層を形成するためのn型ドーパントとしては、たとえばP(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)などを含む材質を用いることが好ましい。そして、これらのn型ドーパントを含有するドーパント液、あるいはこれらn型ドーパントを含有するシリコン酸化膜などをp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に塗布あるいは堆積し、拡散炉において熱処理を施すか、あるいはこれらn型イオンをイオン注入法により、シリコン系半導体基板中に打込み、拡散炉において熱処理を施すことにより、n+層を形成することが望ましい。
【0083】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の、受光面側のこのテクスチャ表面およびこの非テクスチャ表面にn+層を形成するステップと、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、表面電極を形成するステップと、をさらに備える、太陽電池の製造方法であってもよい。
【0084】
このように、本発明の太陽電池の製造方法において、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面およびこの非テクスチャ表面にn+層を形成することにより、非テクスチャ表面にn+層に接続した表面電極を設けることが可能となる。
【0085】
また、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、表面電極を形成することにより、表面電極とn+層との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0086】
ここで、上記の表面電極は、たとえば銀、あるいはアルミニウムなどを含む材質からなる電極であることが好ましい。
【0087】
そして、この表面電極を形成するステップは、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、銀などを含む材質からなる表面電極の材質層を印刷などの方法により形成し、加熱処理を行なうことにより表面電極の材質層をn+層と接続させて表面電極を形成するステップを含むことが望ましい。
【0088】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法は、上記のステップに加えて、このn+層よりも受光面側に、表面反射防止膜を形成するステップをさらに備えることが好ましい。
【0089】
このように、このn+層よりも受光面側に、表面反射防止膜を形成することにより、さらに入射光の反射率を低減させることができる。そのため、さらに優れた光閉込め効果を発揮し、より一層太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0090】
ここで、この表面反射防止膜を形成するステップは、n型ドーパントを含有するドーパント液をp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に塗布し、拡散炉において加熱処理することにより、n+層を形成する際に付随的に得られる、ドーパント液由来の層を表面反射防止膜として形成するステップを含むことが好ましい。
【0091】
このように、ドーパント液由来の層を表面反射防止膜として活用することにより、必要な工程数を削減することができ、太陽電池の製造方法を簡略化することができるためである。
【0092】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のp型ドーパント濃度よりも高濃度のp型ドーパントを含むp+層を形成するステップをさらに備えることが望ましい。
【0093】
このように、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のp型ドーパント濃度よりも高濃度のp型ドーパントを含むp+層を形成することにより、ポテンシャルバリアによるキャリア閉込め効果を有するBSF構造を形成することができる。そのため、BSF効果によって少数キャリアの再結合を抑制し、少数キャリアを効率よく電極部分に集めることができるので、太陽電池の発電効率をさらに向上させることができる。
【0094】
ここで、上記のp+層を形成するためのp型ドーパントとしては、たとえばAl、B(ボロン)、In(インジウム)などを含む材質が好ましい。
【0095】
また、上記のp+層を形成するステップは、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、Alなどのp型ドーパントを含む材質からなる層を印刷などにより形成するステップと、このAlなどのp型ドーパントを含む材質からなる層を拡散炉などで加熱処理してp+層を形成するステップと、を含むことが好ましい。そして、これらのステップにより付随的に形成される、たとえばAlを含む材質からなる層はそのまま裏面反射防止膜として用いることが好ましい。
【0096】
また、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面電極を形成するステップをさらに備えることが好ましい。
【0097】
ここで、上記の裏面電極は、たとえば銀、あるいは/およびアルミニウムなどを含む材質からなる電極であることが好ましい。
【0098】
そして、この裏面電極を形成するステップは、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、銀などを含む材質からなる電極材質層を印刷などの方法により形成し、加熱処理を行なうことにより電極材質層をn+層と接続させて裏面電極を形成するステップを含むことが望ましい。
【0099】
なお、本発明の太陽電池の製造方法に用いる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の、裏面側はテクスチャ表面であってもよく、非テクスチャ表面であってもよい。もっとも、入射光を散乱させて光路長を伸ばして太陽電池の発電効率を向上させるためには、テクスチャ表面であることが好ましい。さらに、テクスチャ表面は、本発明のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の製造方法により形成される、シリサイド層由来の均一かつ微細なテクスチャ表面であることが、より望ましい。入射光の散乱が良好であり、より太陽電池の発電効率が向上するからである。
【0100】
また、本発明の太陽電池の製造方法に用いる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の裏面側は、一部に非テクスチャ表面の領域を含んでおり、その他の領域においてはテクスチャ表面を有することが好ましい。このような構造を有する裏面は、受光面の場合と同様に、上記のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の製造方法において、裏面側の一部にマスク層を形成することにより形成可能である。
【0101】
そして、このp+層が形成される前のこの裏面の非テクスチャ表面に、裏面電極を形成することにより、裏面電極とn+層との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0102】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面反射膜を形成するステップをさらに備えることが望ましい。
【0103】
そして、この裏面反射膜を形成するステップは、裏面電極を形成するステップの後、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面電極を形成した領域以外の領域に、Alなどを含む材質の層を形成するステップと、その後拡散炉などでこのAlなどを含む材質の層を加熱して、Alなどを含む材質からなる裏面反射防止膜を形成するステップを含むことが好ましい。
【0104】
このようにすることにより、付随的にAlなどのp型ドーパントがこのテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の裏面側に拡散され、p+層が形成されて、BSF構造が形成されることとなる。よって、このようにすることにより、裏面反射膜による光閉込め効果とBSF構造によるキャリア閉込め効果をともに得ることができる。また、裏面反射膜とp+層とを同時に形成することができるため、必要な工程数を削減することができ、太陽電池の製造方法を簡略化することができる。
【0105】
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池の製造方法により得られる、太陽電池である。
【0106】
本発明の太陽電池の製造方法により得られる太陽電池は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備えるため、入射光の反射率を低減し、かつ入射光を散乱させて光路長を伸ばすことができるので、良好な光閉込め構造を備える太陽電池であるといえる。
【0107】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
<実施例1>
図1は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図1は、図1(a)と図1(b)とを含む。
【0109】
実施例1においては、まず、図1(a)に示すように、たとえば結晶方位がSi(100)のp型シリコン系半導体基板100を用いる。
【0110】
次いで、図1(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100上に、たとえばTi(チタン)金属をスパッタ法あるいは蒸着法などにより30nm〜50nmの厚みで堆積させてシリサイド材料層101を形成する。
【0111】
この場合において、シリサイド材料層101に用いる金属は、加熱処理によりp型シリコン系半導体基板100と反応してシリサイド層を形成できればよいため、IV−A族、V−A族、VI−A族の高融点金属およびVIII−A族金属からなる群より選ばれる一種以上の金属であれば問題なく、たとえばチタン以外の金属でも、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Zr(ジルコニウム)などを好適に用いることができる。
【0112】
図2は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図2は、図2(a)と図2(b)とを含む。
【0113】
さらに図2(a)に示すように、たとえばN2(窒素)雰囲気中で600℃〜650℃、10秒〜30秒程度のRTA(Rapid−Thermal−Anneal)加熱処理により、シリサイド材料層101に含まれるチタンとp型シリコン系半導体基板100とを反応させ、TiSi2(チタンシリサイド)を含むシリサイド層102を50nm〜70nm程度の厚みで形成する。この場合、シリサイド材料層101に含まれる金属として選択する金属の種類により適切な加熱処理の条件を選択して、シリサイド層102を形成するほうが望ましい。また、必要であれば、さらに加熱処理を加え、たとえばシリサイド材料層101に含まれる金属としてTiを用いるのであれば、たとえばN2雰囲気中で800℃〜1000℃の温度範囲のRTA加熱処理を10秒〜30秒行うことが望ましい。
【0114】
続いて、図2(b)に示すように、シリサイド層102を有するp型シリコン系半導体基板100を、イソプロピルアルコールを1〜10%(w/v)の範囲で含有する、2〜10%(w/v)の水酸化カリウム水溶液に、80℃〜90℃の温度条件下、20分〜40分の間浸漬して、異方性エッチング処理を行ってテクスチャ構造を形成する。
【0115】
この場合、テクスチャ構造が最適にできるよう、シリサイド層102およびp型シリコン系半導体基板100の材質や形状に合わせて、水酸化カリウム水溶液の濃度、温度、時間などの条件を選択する。また、水酸化カリウムだけでなく、たとえば水酸化ナトリウムなどを含有するアルカリ水溶液をエッチング溶液として用いてもかまわない。
【0116】
図3は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図3は、図3(a)と図3(b)とを含む。
【0117】
次いで、図3(a)に示すように、P2O5などのn型の拡散源およびシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含むドーパント材料層103をスピンフローなどの方法によってp型シリコン系半導体基板100の表面に塗布する。
【0118】
そして、図3(b)において、上記ドーパント材料層103が塗布されたp型シリコン系半導体基板100を拡散炉で、たとえば900℃付近の温度で約20分程度加熱処理を行い、p型シリコン系半導体基板100の受光面側にn+層104を形成し、pn接合を形成する。また、このドーパント材料層103を加熱処理することにより、付随的に得られるシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含む表面反射防止膜113をそのまま除去せずに用いることができる。
【0119】
この後、必要であれば表面反射防止膜113を除去して、表面反射防止膜として、たとえばシリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁物を含む表面反射防止膜を、あらためて反射率が低減できる膜厚で形成してもよい。
【0120】
図4は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図4は、図4(a)と図4(b)とを含む。
【0121】
次いで、図4(a)において、p型シリコン系半導体基板100の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀などを材質とする裏面電極材料層105を印刷などの方法により形成する。
【0122】
さらに、図4(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100の裏面の裏面電極材料層105が形成されていない部分にアルミニウムなどを材質とする裏面反射膜材料層106を印刷などの方法により形成して乾燥させる。
【0123】
図5は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図5は、図5(a)と図5(b)とを含む。
【0124】
しかる後に、図5(a)に示すように、700℃〜800℃の温度範囲で加熱処理を施して裏面電極材料層105から裏面電極115を形成する。
【0125】
その際に、加熱処理によりアルミニウムを含有する裏面反射膜材料層106から、p型ドーパントとしての機能を有するアルミニウム元素を拡散させてp型シリコン系半導体基板100と合金化させ、p型シリコン系半導体基板100のp型不純物より濃度の高いp+層107を形成する。これによりp型不純物とp+層107によりポテンシャルバリアを設けるBSF構造を形成し、太陽電池のキャリア閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0126】
なお、この際、加熱処理により裏面反射膜材料層106から裏面反射膜116が形成されるので、除去せずにそのまま用いる。この裏面反射膜116により、太陽電池の光閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0127】
次に、図5(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100の受光面側の表面反射防止膜113上に、銀を含む材質からなる表面電極材料層を印刷などにより形成し乾燥させた後、600℃〜700℃の加熱処理により表面電極材料層から表面電極108を形成する。
【0128】
図6は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【0129】
さらに、図6において、上記の銀を含む材質からなる表面電極108と銀を含む材質からなる裏面電極115とを、半田109により被覆して、太陽電池を形成する。
【0130】
図7は、本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と、従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面とを撮影したSEM写真、およびSEM写真における本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面の位置を示す概略図である。図7は、図7(a)と図7(b)とを含む。
【0131】
上記の本発明の太陽電池の製造方法の実施例1を用いて形成した、太陽電池に用いられたテクスチャ表面を有する半導体基板の、受光面側の表面のテクスチャ構造のSEM(Scanning Electron Microscope)写真を図7(a)に示す。
【0132】
ここで、図7(a)には、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111も併せて載せている。110がシリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、111がシリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、112はその境界である。
【0133】
図7(b)は、図7(a)における、シリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域110、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111の位置を示す概略図である。
【0134】
図7から明らかなように、シリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域110におけるテクスチャ構造は、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111におけるテクスチャ構造に比べて、きわめて細かくテクスチャ構造の凹凸が形成されている。そのため、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1を用いて形成した太陽電池においては、入射光の反射率を低減することが可能となり、さらなる高効率、高性能の太陽電池を製造することが可能となる。
【0135】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、Tiを含むシリサイド材料層の形成後にRTA加熱処理を用いてシリサイド層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、上記の加熱処理方法を特にRTA加熱処理に限定するものではなく、たとえば炉アニールを用いて約600℃、約5分間の条件による加熱処理でシリサイド層を形成した場合にも、テクスチャ構造が図7(a)に示すように、Tiを含むシリサイド層を形成しない場合に比べて、微細かつ均一に形成できる場合には問題なく加熱処理をすることができる。
【0136】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、n型のドーパント材料層として、P2O5を含む材質を拡散源に用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、V族の元素を含むものであれば、どのようなドーパント材料層であってもよい。たとえば、V族の元素を含むドーパント液でも固相源でもかまわない。
【0137】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、p型のシリコン系半導体基板に、V族の元素を含むドーパント材料層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、たとえばn型のシリコン系半導体基板に、III族の元素を含むドーパント材料層を形成して、太陽電池を製造することもできる。
【0138】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、あらかじめp型シリコン系半導体基板を用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、p型ではないシリコン系半導体基板の表面にテクスチャ構造を形成後に、イオン注入などの手法を用いてPなどのV族の元素を注入してp型シリコン系半導体基板を作製してもよい。その場合には、イオン注入の後は、拡散炉などでたとえば約900℃で、5分〜10分間の加熱処理を行うことが好ましい。
【0139】
<実施例2>
図8は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図8は、図8(a)と図8(b)とを含む。
【0140】
実施例2においては、まず、図8(a)に示すように、たとえば結晶方位がSi(100)のp型シリコン系半導体基板200を用いる。
【0141】
次いで、図8(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200上に、シリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201を10nm〜500nmの範囲の厚みで形成する。
【0142】
この場合のシリコン酸化膜を含む材質からなるマスク層201は、拡散炉などを用いたp型シリコン系半導体基板200表面の酸化方法により形成してもよく、またCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いたシリコン酸化膜の堆積方法などを用いて形成してもよい。また、この場合マスク層201の材質としては、一般に絶縁膜として用いられる材質であり、後工程において形成する金属を含む材質からなるシリサイド材料層が反応しないような材質であればどのような材質でも問題なく、たとえばシリコン窒化物を含む材質でも問題なく好適に使用可能である。
【0143】
図9は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図9は、図9(a)と図9(b)とを含む。
【0144】
続いて、図9(a)に示すように、フォトレジスト膜として用いられる材質からなるレジスト層202を形成して、フォトリソグラフィー法などにより、マスク層201上の将来表面電極を形成する予定の領域のみにレジスト層202を残すようパターニングを行う。
【0145】
そして、図9(b)に示すように、図9(a)でパターニングにより残した部分のレジスト層202を活用して、レジスト層202により保護されない部分のシリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201をエッチング処理により除去する。この場合のエッチング処理の方法は、たとえばフッ化水素溶液に浸漬してマスク層201を等方的に除去することによりエッチング処理を行ってもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてマスク層201に対して異方性エッチング処理を行なってもかまわない。
【0146】
その後、パターニングにより残した部分のレジスト層202を除去する。このレジスト層の除去は、酸化雰囲気中のプラズマ処理、あるいは熱硫酸に過酸化水素水を添加した溶液に浸漬するなどの方法により行なうことができる。
【0147】
図10は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図10は、図10(a)と図10(b)とを含む。
【0148】
続けて、図10(a)に示すように、たとえばTi(チタン)を含む材質からなるシリサイド材料層203を、スパッタ法あるいは蒸着法などの手法により30nm〜50nmの厚みで形成する。
【0149】
この場合、シリサイド材料層203に含まれる金属は、加熱処理によりp型シリコン系半導体基板と反応してシリサイド層を形成することができ、かつマスク層201上では反応を起こさない金属であれば問題ない。具体的には、IV−A族、V−A族、VI−A族の高融点金属、およびVIII−A族の金属であればよく、たとえばCo(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Zr(ジルコニウム)などでもよい。
【0150】
そして、図10(b)に示すように、たとえば600℃〜650℃、10秒〜30秒間のRTA加熱処理などを施し、チタンを含む材質からなるシリサイド材料層203とp型シリコン系半導体基板200とを反応させて、TiSi2を含む材質からなるシリサイド層204を50nm〜70nmの厚みで形成する。この場合、シリサイド材料層203に含まれる金属として選択する金属によって適切な条件で加熱処理をしてシリサイド層204を形成することが好ましい。
【0151】
図11は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図11は、図11(a)と図11(b)とを含む。
【0152】
さらに、図11(a)に示すように、シリサイド層204を有するp型シリコン系半導体基板200を、イソプロピルアルコールを1〜10%(w/v)の範囲で含有する、2〜10%(w/v)の水酸化カリウム水溶液に、80℃〜90℃の温度条件下、20分〜40分の間浸漬して、異方性エッチング処理を行ってテクスチャ構造を形成する。
【0153】
この場合、テクスチャ構造が最適にできるよう、シリサイド層204およびp型シリコン系半導体基板100の材質や形状に合わせて、水酸化カリウム水溶液の濃度、温度、時間などの条件を選択する。また、水酸化カリウムだけでなく、たとえば水酸化ナトリウムなどを含有するアルカリ水溶液をエッチング溶液として用いてもかまわない。
【0154】
そして、図11(b)に示すように、マスク層201を有するp型シリコン系半導体基板200を、たとえばフッ化水素溶液に浸漬してシリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201を除去する。
【0155】
図12は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図12は、図12(a)と図12(b)とを含む。
【0156】
次に、図12(a)に示すように、ドーパントとしてP2O5などのn型の拡散源およびシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含むドーパント材料層205をスピンフローなどの方法によってp型シリコン系半導体基板200の表面に塗布する。
【0157】
そして、図12(b)において、上記ドーパント材料層205が塗布されたp型シリコン系半導体基板200を拡散炉で、たとえば約900℃、約20分間加熱処理を行い、p型シリコン系半導体基板200の受光面側にn+層206を形成し、pn接合を形成する。また、このドーパント材料層205を加熱処理することにより、付随的に得られるシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含む表面反射防止膜215をそのまま除去せずに用いることができる。
【0158】
この後、必要であれば表面反射防止膜215を除去して、表面反射防止膜として、たとえばシリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁物を含む表面反射防止膜を、あらためて反射率が低減できる膜厚で形成してもよい。
【0159】
図13は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図13は、図13(a)と図13(b)とを含む。
【0160】
次いで、図13(a)において、p型シリコン系半導体基板200の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀などを材質とする裏面電極材料層207を印刷などの方法により形成する。
【0161】
さらに、図13(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200の裏面の裏面電極材料層207が形成されていない部分にアルミニウムなどを材質とする裏面反射膜材料層208を印刷などの方法により形成して乾燥させる。
【0162】
図14は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図14は、図14(a)と図14(b)とを含む。
【0163】
しかる後に、図14(a)に示すように、700℃〜800℃の温度範囲で加熱処理を施して裏面電極材料層207から裏面電極217を形成する。
【0164】
その際に、加熱処理によりアルミニウムを含有する裏面反射膜材料層208から、p型ドーパントとしての機能を有するアルミニウム元素を拡散させてp型シリコン系半導体基板200と合金化させ、p型シリコン系半導体基板200のp型不純物より濃度の高いp+層209を形成する。これによりp型不純物とp+層209によりポテンシャルバリアを設けるBSF構造を形成し、太陽電池のキャリア閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0165】
なお、この際、加熱処理により裏面反射膜材料層208から裏面反射膜218が形成されるので、除去せずにそのまま用いる。この裏面反射膜218により、太陽電池の光閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0166】
次に、図14(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200の受光面側の表面反射防止膜215上に、銀を含む材質からなる表面電極材料層を印刷などにより形成し乾燥させた後、600℃〜700℃の加熱処理により表面電極材料層から表面電極210を形成する。
【0167】
図15は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【0168】
さらに、図15において、上記の銀を含む材質からなる表面電極210と銀を含む材質からなる裏面電極217とを、半田211により被覆して、太陽電池を形成する。
【0169】
本発明の太陽電池の製造方法の実施例1のように、酸化物を含むマスク層の上ではチタンなどの金属を含むシリサイド材料層が反応しないことを利用するサリサイド(Self−Aligned Silicide)法を用いることによって、p型シリコン系半導体基板の表面の電極が形成される予定の領域にテクスチャ構造を形成せず、それ以外の領域により微細かつ均一なテクスチャ構造を設けることができる。
【0170】
そのため、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1においては、太陽電池における入射光の反射率を低減するとともに、テクスチャ構造を選択的に設けない非テクスチャ表面に電極を比較的簡易な工程で形成することができるために、電極とp型シリコン系半導体基板の表面との接触面積を低減して直列抵抗を低減することができる。その結果、太陽電池のF.F.を増加させることができ、太陽電池の発電効率の性能を向上させることが可能となる。
【0171】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、n型のドーパント材料層として、P2O5を含む材質を拡散源に用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、V族の元素を含むものであれば、どのようなドーパント材料層であってもよい。たとえば、V族の元素を含むドーパント液でも固相源でもかまわない。
【0172】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、p型のシリコン系半導体基板に、V族の元素を含むドーパント材料層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、たとえばn型のシリコン系半導体基板に、III族の元素を含むドーパント材料層を形成して、太陽電池を製造することもできる。
【0173】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、あらかじめp型シリコン系半導体基板を用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、p型ではないシリコン系半導体基板の表面にテクスチャ構造を形成後に、イオン注入などの手法を用いてPなどのV族の元素を注入してp型シリコン系半導体基板を作製してもよい。その場合には、イオン注入の後は、拡散炉などでたとえば約900℃で、5分〜10分間の加熱処理を行うことが好ましい。
【0174】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0175】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明の太陽電池の製造方法を用いることにより、フォトリソグラフィー法などによる複雑な工程を用いることなく、シリコン系半導体基板に比較的簡単に均一かつ良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0176】
また、本発明の太陽電池の製造方法においては、Ti、Coなどの金属を用いることにより、これらの金属元素とシリコン元素とを比較的低温かつ短時間で反応させることができるので、シリコン系半導体基板に欠陥などの影響を与えずにシリサイド層を形成し、そのシリサイド層を異方性エッチング処理することにより、均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することが可能となるため、良好な光閉込め構造を有する太陽電池を製造することが可能となる。
【0177】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法においては、シリコン系半導体基板の表面の電極を形成する領域にマスク層を形成し、その後マスク層が形成されていないシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成して異方性エッチング処理を行うことにより、シリコン系半導体基板に比較的簡単に選択的にテクスチャ構造を形成することが可能となる。そのため、非テクスチャ表面に形成された電極の抵抗を低減することが可能となるとともに、均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することができるため、良好な光閉込め構造および低い電極抵抗値を有する太陽電池を製造することが可能となる。
【0178】
したがって、本発明の太陽電池の製造方法により得られる太陽電池では、シリコン系半導体基板の表面の微細かつ均一なテクスチャ構造により、太陽電池に入射する太陽光に対してさらなる反射率の低減が可能となるため、太陽電池の高効率化が実現可能となる。
【0179】
すなわち、本発明の太陽電池の製造方法は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、シリコン系半導体基板の表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成し、そのシリコン系半導体基板を用いて、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる太陽電池の製造方法である。
【0180】
さらに、本発明の太陽電池は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成されたシリコン系半導体基板を用いて、歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を備える、太陽電池である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図2】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図3】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図4】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図5】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図6】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図7】本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と、従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面とを撮影したSEM写真、およびSEM写真における本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面の位置を示す概略図である。
【図8】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図9】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図10】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図11】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図12】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図13】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図14】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図15】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図16】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図17】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図18】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図19】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図20】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図21】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図22】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【符号の説明】
100 p型シリコン系半導体基板、101 シリサイド材料層、102 シリサイド層、103 ドーパント材料層、104 n+層、105 裏面電極材料層、106 裏面反射膜材料層、107 p+層、108 表面電極、109半田、110 シリサイドを行ってテクスチャを行った領域、111 シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、112 境界、113 表面反射防止膜、115 裏面電極、116 裏面反射膜、200 p型シリコン系半導体基板、201 マスク層、202 レジスト層、203 シリサイド材料層、204 シリサイド層、205 ドーパント材料層、206 n+層、207 裏面電極材料層、208 裏面反射膜材料層、209 p+層、210 表面電極、211 半田、215 表面反射防止膜、217 裏面電極、218 裏面反射膜、300 p型シリコン基板、301 表面反射防止膜、302 n+層、303 裏面電極、304 裏面反射膜、305 p+層、306 表面電極、307 半田、308 マスク層、309 レジスト層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、微細かつ均一な凹凸からなるテクスチャ表面を有し、テクスチャ表面における太陽光の反射を効率的に低減する機能を有する、シリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、上記の太陽電池の製造方法により得られる、太陽光の反射を効率的に低減する機能を有し、発電効率に優れる太陽電池に関する。
【0003】
【従来の技術】
<従来の太陽電池の光閉込め構造>
一般に、単結晶シリコン太陽電池では、発電効率を向上させるために、光閉込め構造およびキャリア閉込め構造を形成する場合が多い。
【0004】
ここで、光閉込め構造の代表例としては、表面反射防止膜、テクスチャ構造、裏面反射膜などが挙げられる。単結晶シリコンは、波長400nm〜1100nm領域で6.00〜3.50の大きな屈折率を持つので、短波長領域で約54%、長波長領域で約34%の反射損失がある。この反射損失を減ずるために、屈折率の異なる透明材料で表面反射防止膜を形成することが多い。反射防止膜の最適の屈折率nと厚みdは、入射光の波長をλとすると、λ=4nd、n2=nSin0の関係で与えられる。ここに、nSiはSiの屈折率、n0はまわりの屈折率である。そして、空気の場合はn0=1なので、n=(nSi)1/2の材料を表面反射防止膜に用いることが好ましい。
【0005】
ここで、かかる表面反射防止膜の厚みを均一にして、後述するシリコン基板表面のテクスチャ構造と併せて、太陽光の反射率を低減しようという試みもなされている(たとえば、特許文献1参照。)。しかし、かかる表面反射防止膜の厚みを均一にしたとしても、微細かつ均一なテクスチャ構造を形成できなければ、さらなる太陽光の反射率の低減は実現できないという問題がある。
【0006】
また、裏面反射膜を形成する場合には、半導体基板の裏面にアルミニウムなどの金属からなる反射膜を形成して、光閉込め構造を形成することが多い。裏面での光の反射を活用することにより、入射光路でSiに十分吸収されなかった光が反射光路で吸収されて光電流が増加する利点がある。
【0007】
上記の表面反射防止膜および裏面反射膜の形成により、ある程度の光閉込め効果は得ることができる。しかし、太陽電池の受光面が平坦な鏡面である場合には、表面反射防止膜を形成しても、幾分かの反射は避けることができない。そこで、一般に、単結晶シリコン太陽電池では、単結晶シリコン基板の受光面側においてアルカリ溶液などを用いた異方性エッチングを行い、単結晶シリコン基板の表面に微細なピラミッドまたは逆ピラミッド構造を形成して、単結晶シリコン基板表面における太陽光の反射を低減している。上記の異方性エッチングでは、単結晶シリコンのエッチング速度が、Si(100)結晶方位面とSi(111)結晶方位面とで異なることを利用している。
【0008】
上記テクスチャ構造を形成した場合、あるピラミッドの面で下方に反射した光が他のピラミッドに入っていく多重反射が活用できるので、全体として反射が低減する。さらに、シリコン内に入射する光は屈折を受け、長い距離を進むので、等価的に、吸収係数が増加(拡散距離の増加に相当)する利点もある。なお、受光面側だけでなく、受光面と反対の裏面側にもテクスチャ構造を形成することにより、より一層優れた光閉込め効果を得ることができる。
【0009】
<従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法>
ここで、単結晶シリコン基板における一般的なテクスチャ形成の方法として、たとえば図16〜図20の製造工程順の単結晶シリコン基板の断面図に示すようなテクスチャ形成の方法が挙げられる(たとえば、特許文献2参照。)。
【0010】
図16は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図16は、図16(a)と図16(b)とを含む。
【0011】
まず、図16(a)に示すように、たとえば単結晶のp型シリコン基板300を用いる。この場合の結晶方位は、Si(100)とする。この単結晶のp型シリコン基板300を、イソプロピルアルコールを含有し、水酸化カリウムを数%含有する、水酸化カリウム水溶液に浸漬して、80℃〜90℃の範囲の温度で、20分〜30分程度処理する。このようにして、図16(b)に示すように単結晶のp型シリコン基板300の両面に比較的微細なピラミッド状の凹凸構造、すなわちテクスチャ構造を形成する。
【0012】
図17は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図17は、図17(a)と図17(b)とを含む。
【0013】
次に、図17(a)に示すように、たとえばP2O5などのn型の拡散源(ドーパント)を含むドーパント液を含む反射防止膜301の材質をスピンフローなどの方法によって単結晶のp型シリコン基板300の受光面側の表面に塗布する。そして、図17(b)において、上記のドーパント液を含む反射防止膜301の材質を塗布した単結晶のp型シリコン基板300を、たとえば拡散炉において900℃の温度で20分程度の加熱処理を行い、単結晶のp型シリコン基板300の受光面側にn型ドーパントを拡散させて、n+層302を形成することによりpn接合を形成する。また、このドーパント液を含む反射防止膜301の材質から加熱処理により得られる層を反射防止膜301とする。
【0014】
図18は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図18は、図18(a)と図18(b)とを含む。
【0015】
続いて、図18(a)において、単結晶のp型シリコン基板300の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀を材質として含む裏面電極303を印刷する。そして、図18(b)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300の裏面側にアルミニウムを材質として含む裏面反射膜304を印刷して乾燥させる。
【0016】
図19は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図19は、図19(a)と図19(b)とを含む。
【0017】
次に、図19(a)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300を700℃〜800℃程度の温度で加熱処理を施して、銀を材質として含む裏面電極303をp型シリコン基板300のp型部分に接続する。その際に、加熱処理によりアルミニウムを材質として含む裏面反射膜304に含まれるアルミニウム原子を単結晶のp型シリコン基板300のp型部分にドーパントとして拡散させて合金化させ、単結晶のp型シリコン基板300のp型部分のp型ドーパント濃度よりp型ドーパント濃度の高いp+層305を形成する。これにより、p型シリコン基板300のp型部分とp+層305にポテンシャルバリアを設けるBSF(Back−Surface−Field)構造とし、太陽電池のキャリア閉込め効果を高めて、太陽電池の発電性能を向上させる。
【0018】
次に、図19(b)に示すように、上記p型シリコン基板300の受光面側の表面反射防止膜301上に銀を材質として含む表面電極306を印刷により形成し乾燥させた後、600℃〜700℃程度の加熱処理により、表面電極306をn+層302に接続させる。
【0019】
図20は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【0020】
さらに、図20に示すように、上記の銀を材質として含む表面電極306と銀を材質として含む裏面電極303を、半田307により被覆して、p型単結晶シリコン基板300から、pn型の太陽電池を形成する。
【0021】
<従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法の問題点>
上記に示した従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法では、水酸化カリウム溶液などのアルカリ性のエッチング溶液に浸漬することにより、単結晶シリコン基板の表面にテクスチャ構造を形成している。しかし、従来の単結晶シリコン基板のテクスチャ形成方法では、テクスチャ構造(すなわち、ピラミッド構造)の大きさがランダムになってしまうという問題がある。
【0022】
また、単結晶シリコン基板に比べて各結晶粒の結晶方位がランダムである多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、非晶質(アモルファス)シリコン基板などにおいては、単にアルカリ溶液などを含むエッチング溶液によるエッチング処理のみでは、良好なテクスチャ構造が得られないという問題はさらに著しい。
【0023】
しかしながら、入射した光をできるだけ長時間(長光路長)閉じ込めるためには、テクスチャ構造はできるだけ凹凸の大きさを揃えるほうが好ましいため、上記の通常のエッチング処理により得られるテクスチャ構造での太陽光の反射率低減には限界がある。そこで、単結晶シリコン基板において通常よりもさらに良好なテクスチャ表面を実現したい場合、あるいは多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、非晶質(アモルファス)シリコン基板などにおいて、良好なテクスチャ構造を実現したい場合には、機械的なカッティング(たとえば、特許文献3参照。)や、図21〜図22に示すようなフォトリソグラフィーを用いて逆ピラミッド構造による均一なテクスチャを形成する方法がある(たとえば、特許文献4参照。)。
【0024】
図21は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図21は、図21(a)と図21(b)とを含む。
【0025】
この場合、図21(a)に示すように、たとえば単結晶のp型シリコン基板300の表面にシリコン酸化膜からなるマスク層308を形成する。次に、図21(b)に示すようにレジスト層309を堆積して、フォトリソグラフィーにより所望のテクスチャ構造に対応する形状のレジスト層309をパターニングする。
【0026】
図22は、従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。図22は、図22(a)と図22(b)とを含む。
【0027】
続いて、図22(a)で示すように、たとえば弗化水素水によりシリコン酸化膜からなるマスク層308のうちレジスト層309で保護されていない部分をエッチング処理により除去し、次いでレジスト層309を別のエッチング溶液でエッチング処理により除去する。その後、図22(b)に示すように、単結晶のp型シリコン基板300を、イソプロピルアルコールを含有し、水酸化カリウムを数%(w/w)の濃度で含有する、水酸化カリウム水溶液に浸漬して、テクスチャパターンを均一に形成する。
【0028】
上記に示したように、フォトリソグラフィーを用いて逆ピラミッド構造による均一なテクスチャを形成する場合には、工程が非常に増加して複雑になるため、太陽電池の製造歩留まりが低下し、製造コストが著しく上昇するという問題がある。
【0029】
また、機械的なカッティングを用いて均一なテクスチャを形成する場合、装置が大掛かりになり、設備投資額も莫大となる。さらにウエハ1枚あたりの処理時間がかかる上、処理後に機械的ストレスを除去する必要があるため、スループットが著しく低下するという問題がある。
【0030】
さらに、従来の一般的なテクスチャ形成方法では、シリコン基板の表面のうち電極を形成する領域にもテクスチャを形成するため、電極とシリコン基板のテクスチャ表面との接触する領域が増え、実質的に電極の長さが長くなって直列抵抗が増大する。そのため、太陽電池のF.F.(Fill Factor)が減少し、太陽電池の発電性能が劣化するという問題もある。
【0031】
【特許文献1】
特開平8−85874号公報
【0032】
【特許文献2】
特開昭62−35582号公報
【0033】
【特許文献3】
特開平4−15962号公報
【0034】
【特許文献4】
特開平5−235385号公報
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
上記の現状に基づき、本発明の他の課題は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、シリコン系半導体基板の表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成し、そのシリコン系半導体基板を用いて、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる太陽電池の製造方法を提供することである。
【0036】
さらに、本発明の別の課題は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成されたシリコン系半導体基板を用いて、歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を提供することである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するためには、通常のアルカリ性のエッチング溶液によるエッチング処理により、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することのできる材質からなるシリコン系半導体基板を用いればよいとの着想を得、このような材質を見出すために、多くの実験を重ねた。
【0038】
その結果、本発明者は、シリサイドを含む材質からなるシリコン系半導体基板を、通常のアルカリ性のエッチング溶液によりエッチング処理することにより、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができることを見出した。
【0039】
また、本発明者は、シリコン系半導体表面に金属を含む材質からなるシリサイド材料層を形成し、加熱処理することにより、容易にかかるシリサイドを含む材質からなるシリサイド層を形成でき、このシリサイド層を、通常のアルカリ性のエッチング溶液によりエッチング処理することにより、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができることを見出した。
【0040】
すなわち、本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法である。
【0041】
ここで、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが好ましい。
【0042】
また、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にマスク層を形成するステップと、このマスク層が一部に形成されたこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面のこのマスク層が形成されていない部分にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが望ましい。
【0043】
さらに、このマスク層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にシリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を形成するステップを含むことが好ましい。
【0044】
そして、このシリサイド材料層を形成するステップは、IV−A族、V−A族およびVI−A族の高融点金属、およびVIII−Aの金属からなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが望ましい。
【0045】
また、このシリサイド材料層を形成するステップは、Ti、Zr、Fe、Co、Niからなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが好ましい。
【0046】
さらに、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが望ましい。
【0047】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側に表面電極を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側と反対側の裏面側に裏面電極を形成するステップと、をさらに備えることが好ましい。
【0048】
また、本発明の太陽電池は、上記の太陽電池の製造方法により得られる、太陽電池である。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0050】
<テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板>
本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、を備える、太陽電池の製造方法である。
【0051】
このように、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成して、シリサイド層を形成した領域に異方性エッチング処理を行うことにより、シリサイド層を形成しなかった場合に比べ、フォトリソグラフィーなどの複雑な工程を用いることなく均一かつ微細なテクスチャ構造が形成でき、シリコン系半導体基板の入射光に対する反射率を低減することが可能となる。
【0052】
本明細書において、シリコン系半導体基板とは、Si元素を主要な構成元素として含む半導体基板を意味するものとする。よって、Si元素以外の元素(たとえば、Al、B、Pなどのドーパント元素など)を含んでいてもよい。
【0053】
本明細書において、シリコン系半導体基板とは、単結晶シリコン系半導体基板、多結晶シリコン系半導体基板、微結晶シリコン系半導体基板、非晶質(アモルファス)シリコン系半導体基板などを含む概念を意味するものとする。これらの中では、単結晶シリコン系半導体基板を用いた場合に最も優れたテクスチャ構造を形成できる傾向があるが、他の多結晶シリコン系半導体基板、微結晶シリコン系半導体基板、非晶質(アモルファス)シリコン系半導体基板などを用いた場合にも、本発明の太陽電池の製造方法を用いることにより、通常のエッチング処理のみを行なう場合よりも均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することができる傾向がある。
【0054】
本明細書において、シリコン系半導体基板の形状は、平板状に限られず、円盤状、球状、棒状、角柱状など、どのような形状であってもよい。もっとも、太陽電池用のシリコン系半導体基板として用いる場合には、これらの形状の中でも平板状であることが好ましい。
【0055】
<シリサイド層を形成するステップ>
本発明の太陽電池の製造方法において、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、を含むことが好ましい。
【0056】
このように、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成し、その後このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成することにより、シリコン系半導体基板の表面に、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することができる。
【0057】
また、このシリサイド材料層を形成するステップは、IV−A族、V−A族およびVI−A族の高融点金属、およびVIII−Aの金属からなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが好ましい。
【0058】
このような金属を含むシリサイド材料層を用いることにより、シリコン系半導体基板に大きな影響を与えることなく、低温で短時間にシリサイド材料層に含まれる金属元素とシリコン元素との反応を起こすことができるため、簡単で汎用的な製造プロセスでシリサイド層を形成することができる。そのため、太陽電池の製造方法に用いられるシリコン系半導体基板の性能を損なうことなく、その表面に良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0059】
さらに、このシリサイド材料層を形成するステップは、Ti、Zr、Fe、Co、Niからなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、このシリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含むことが望ましい。
【0060】
上記の金属の中でも、このような汎用的な金属を含むシリサイド材料層を用いることにより、シリサイド層の形成プロセスを複雑にすることなく、簡単にしかも均一かつ微細で良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0061】
本発明の太陽電池の製造方法において、シリサイド材料層を形成するステップは、シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層に含まれる金属を、スパッタ法あるいは蒸着法などの一般的な金属層の形成方法により形成するステップを含むことが好ましい。
【0062】
このような一般的な形成方法を採用することにより、シリサイド材料層の形成プロセスを複雑にすることなく、簡単に均一な厚みを有するシリサイド材料層を形成することが可能となる。
【0063】
本発明の太陽電池の製造方法において、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップは、シリサイド材料層に含まれる金属の種類に応じて、窒素ガスなどの不活性雰囲気中で熱処理を行なうステップを含むことが望ましい。
【0064】
このような金属の種類に応じた加熱方法を採用することにより、シリコン系半導体基板に不要な損傷を与えることなく、また金属の酸化を防いだ状態で、簡単に均一な厚みを有する良好なシリサイド層を形成することが可能となる。
【0065】
<マスク層を形成するステップを備える場合>
また、本発明の太陽電池の製造方法において、このシリサイド層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にマスク層を形成するステップと、このマスク層が一部に形成されたこのシリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、このシリコン系半導体基板およびこのシリサイド材料層を加熱してこのシリコン系半導体基板の表面のこのマスク層が形成されていない部分にシリサイド層を形成するステップと、を含んでいてもよい。
【0066】
このように、シリコン系半導体基板の表面の電極を形成する予定の領域にマスク層を形成し、それ以外の領域にシリサイド層を形成して、異方性エッチング処理を行うことにより、マスク層が形成された部分については、テクスチャ構造が形成されない非テクスチャ表面を得ることができる。こうして得られた非テクスチャ表面に電極を形成して、太陽電池を製造した場合、電極とシリコン系半導体基板の非テクスチャ表面との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0067】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法において、このマスク層を形成するステップは、このシリコン系半導体基板の表面の一部にシリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を形成するステップを含むことが好ましい。
【0068】
このように、シリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を用いることにより、通常のアルカリ性のエッチング溶液を用いた場合、マスク層に覆われた部分についてはテクスチャ構造が形成されないため、シリコン系半導体基板の表面の一部に、容易に良好な非テクスチャ表面を得ることができる。
【0069】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を形成するステップの後に、このマスク層を除去することにより、シリコン系半導体基板の非テクスチャ表面を露出するステップを備えることが望ましい。
【0070】
このように、この非テクスチャ表面を露出するステップを備えることにより、シリコン系半導体基板の非テクスチャ表面を、太陽電池の電極形成部位として活用することができるようになる。こうして得られた非テクスチャ表面に電極を形成して、太陽電池を製造した場合、電極とシリコン系半導体基板の非テクスチャ表面との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0071】
ここで、本発明の太陽電池の製造方法において、この非テクスチャ表面を露出するステップは、このマスク層をフッ化水素溶液などの等方性エッチング溶液に浸漬してこのマスク層を除去するステップを含むことが好ましい。
【0072】
このように、等方性エッチング溶液を用いてこのマスク層を除去することにより、良好な非テクスチャ表面を露出させることができる。その結果、簡単で汎用的なプロセスを用いて、電極を形成する予定の非テクスチャ表面以外の領域に選択的に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成することが可能となり、電極における抵抗を低減することができる。また、テクスチャ表面とする予定の領域にはシリサイド層を形成しているために、テクスチャ表面に均一で良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0073】
<テクスチャ表面を形成するステップ>
本発明の太陽電池の製造方法において、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが好ましい。
【0074】
このように、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理することにより、アルカリ性溶液による、シリコン系半導体基板のSi(100)面とSi(111)面とにおけるエッチング速度の違いを利用して、均一かつ微細なエッチング構造を形成することができる。
【0075】
また、本発明の太陽電池の製造方法において、このテクスチャ表面を形成するステップは、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、水酸化カリウム溶液および/または水酸化ナトリウム溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含むことが望ましい。
【0076】
このように、このシリサイド層の形成されたこのシリコン系半導体基板の表面を、水酸化カリウム溶液および/または水酸化ナトリウム溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理することにより、簡単かつ汎用的なプロセスで、均一かつ良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0077】
<その他のステップ>
本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側の前記テクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側に表面電極を形成するステップと、このテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側と反対側の裏面側に裏面電極を形成するステップと、をさらに備えることが好ましい。
【0078】
ここで、上記のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に、このシリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、このシリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップは、p型シリコン系半導体基板の受光面側の前記テクスチャ表面にn+層を形成するステップであることが望ましい。
【0079】
このように、本発明の太陽電池の製造方法により得られる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面にn+層を形成することにより、光吸収が最も効率よく起こる部分にpn接合を形成することができる。そのため、光吸収による太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0080】
また、このテクスチャ表面は、本発明の太陽電池の製造方法により得られたことにより、均一かつ微細なテクスチャ構造を有している。そのため、優れた光閉込め効果を発揮し、さらに太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0081】
ここで、上記のp型シリコン系半導体基板としては、p型ドーパントとして、たとえばB(ボロン)、In(インジウム)などを含有するp型シリコン系半導体基板であることが好ましい。
【0082】
また、n+層を形成するためのn型ドーパントとしては、たとえばP(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)などを含む材質を用いることが好ましい。そして、これらのn型ドーパントを含有するドーパント液、あるいはこれらn型ドーパントを含有するシリコン酸化膜などをp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に塗布あるいは堆積し、拡散炉において熱処理を施すか、あるいはこれらn型イオンをイオン注入法により、シリコン系半導体基板中に打込み、拡散炉において熱処理を施すことにより、n+層を形成することが望ましい。
【0083】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の、受光面側のこのテクスチャ表面およびこの非テクスチャ表面にn+層を形成するステップと、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、表面電極を形成するステップと、をさらに備える、太陽電池の製造方法であってもよい。
【0084】
このように、本発明の太陽電池の製造方法において、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面およびこの非テクスチャ表面にn+層を形成することにより、非テクスチャ表面にn+層に接続した表面電極を設けることが可能となる。
【0085】
また、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、表面電極を形成することにより、表面電極とn+層との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0086】
ここで、上記の表面電極は、たとえば銀、あるいはアルミニウムなどを含む材質からなる電極であることが好ましい。
【0087】
そして、この表面電極を形成するステップは、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、銀などを含む材質からなる表面電極の材質層を印刷などの方法により形成し、加熱処理を行なうことにより表面電極の材質層をn+層と接続させて表面電極を形成するステップを含むことが望ましい。
【0088】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法は、上記のステップに加えて、このn+層よりも受光面側に、表面反射防止膜を形成するステップをさらに備えることが好ましい。
【0089】
このように、このn+層よりも受光面側に、表面反射防止膜を形成することにより、さらに入射光の反射率を低減させることができる。そのため、さらに優れた光閉込め効果を発揮し、より一層太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【0090】
ここで、この表面反射防止膜を形成するステップは、n型ドーパントを含有するドーパント液をp型シリコン系半導体基板の受光面側のこのテクスチャ表面に塗布し、拡散炉において加熱処理することにより、n+層を形成する際に付随的に得られる、ドーパント液由来の層を表面反射防止膜として形成するステップを含むことが好ましい。
【0091】
このように、ドーパント液由来の層を表面反射防止膜として活用することにより、必要な工程数を削減することができ、太陽電池の製造方法を簡略化することができるためである。
【0092】
そして、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のp型ドーパント濃度よりも高濃度のp型ドーパントを含むp+層を形成するステップをさらに備えることが望ましい。
【0093】
このように、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のp型ドーパント濃度よりも高濃度のp型ドーパントを含むp+層を形成することにより、ポテンシャルバリアによるキャリア閉込め効果を有するBSF構造を形成することができる。そのため、BSF効果によって少数キャリアの再結合を抑制し、少数キャリアを効率よく電極部分に集めることができるので、太陽電池の発電効率をさらに向上させることができる。
【0094】
ここで、上記のp+層を形成するためのp型ドーパントとしては、たとえばAl、B(ボロン)、In(インジウム)などを含む材質が好ましい。
【0095】
また、上記のp+層を形成するステップは、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、Alなどのp型ドーパントを含む材質からなる層を印刷などにより形成するステップと、このAlなどのp型ドーパントを含む材質からなる層を拡散炉などで加熱処理してp+層を形成するステップと、を含むことが好ましい。そして、これらのステップにより付随的に形成される、たとえばAlを含む材質からなる層はそのまま裏面反射防止膜として用いることが好ましい。
【0096】
また、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面電極を形成するステップをさらに備えることが好ましい。
【0097】
ここで、上記の裏面電極は、たとえば銀、あるいは/およびアルミニウムなどを含む材質からなる電極であることが好ましい。
【0098】
そして、この裏面電極を形成するステップは、このn+層が形成されたこの非テクスチャ表面に、銀などを含む材質からなる電極材質層を印刷などの方法により形成し、加熱処理を行なうことにより電極材質層をn+層と接続させて裏面電極を形成するステップを含むことが望ましい。
【0099】
なお、本発明の太陽電池の製造方法に用いる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の、裏面側はテクスチャ表面であってもよく、非テクスチャ表面であってもよい。もっとも、入射光を散乱させて光路長を伸ばして太陽電池の発電効率を向上させるためには、テクスチャ表面であることが好ましい。さらに、テクスチャ表面は、本発明のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の製造方法により形成される、シリサイド層由来の均一かつ微細なテクスチャ表面であることが、より望ましい。入射光の散乱が良好であり、より太陽電池の発電効率が向上するからである。
【0100】
また、本発明の太陽電池の製造方法に用いる、テクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の裏面側は、一部に非テクスチャ表面の領域を含んでおり、その他の領域においてはテクスチャ表面を有することが好ましい。このような構造を有する裏面は、受光面の場合と同様に、上記のテクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の製造方法において、裏面側の一部にマスク層を形成することにより形成可能である。
【0101】
そして、このp+層が形成される前のこの裏面の非テクスチャ表面に、裏面電極を形成することにより、裏面電極とn+層との接触面積が低減するため、直列抵抗も同様に低減し、F.F.が向上した高性能な太陽電池を得ることができる。
【0102】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法は、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面反射膜を形成するステップをさらに備えることが望ましい。
【0103】
そして、この裏面反射膜を形成するステップは、裏面電極を形成するステップの後、このテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板のこのn+層を形成した表面と反対の裏面側に、裏面電極を形成した領域以外の領域に、Alなどを含む材質の層を形成するステップと、その後拡散炉などでこのAlなどを含む材質の層を加熱して、Alなどを含む材質からなる裏面反射防止膜を形成するステップを含むことが好ましい。
【0104】
このようにすることにより、付随的にAlなどのp型ドーパントがこのテクスチャ表面を有するp型シリコン系半導体基板の裏面側に拡散され、p+層が形成されて、BSF構造が形成されることとなる。よって、このようにすることにより、裏面反射膜による光閉込め効果とBSF構造によるキャリア閉込め効果をともに得ることができる。また、裏面反射膜とp+層とを同時に形成することができるため、必要な工程数を削減することができ、太陽電池の製造方法を簡略化することができる。
【0105】
<太陽電池>
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池の製造方法により得られる、太陽電池である。
【0106】
本発明の太陽電池の製造方法により得られる太陽電池は、テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備えるため、入射光の反射率を低減し、かつ入射光を散乱させて光路長を伸ばすことができるので、良好な光閉込め構造を備える太陽電池であるといえる。
【0107】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
<実施例1>
図1は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図1は、図1(a)と図1(b)とを含む。
【0109】
実施例1においては、まず、図1(a)に示すように、たとえば結晶方位がSi(100)のp型シリコン系半導体基板100を用いる。
【0110】
次いで、図1(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100上に、たとえばTi(チタン)金属をスパッタ法あるいは蒸着法などにより30nm〜50nmの厚みで堆積させてシリサイド材料層101を形成する。
【0111】
この場合において、シリサイド材料層101に用いる金属は、加熱処理によりp型シリコン系半導体基板100と反応してシリサイド層を形成できればよいため、IV−A族、V−A族、VI−A族の高融点金属およびVIII−A族金属からなる群より選ばれる一種以上の金属であれば問題なく、たとえばチタン以外の金属でも、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Zr(ジルコニウム)などを好適に用いることができる。
【0112】
図2は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図2は、図2(a)と図2(b)とを含む。
【0113】
さらに図2(a)に示すように、たとえばN2(窒素)雰囲気中で600℃〜650℃、10秒〜30秒程度のRTA(Rapid−Thermal−Anneal)加熱処理により、シリサイド材料層101に含まれるチタンとp型シリコン系半導体基板100とを反応させ、TiSi2(チタンシリサイド)を含むシリサイド層102を50nm〜70nm程度の厚みで形成する。この場合、シリサイド材料層101に含まれる金属として選択する金属の種類により適切な加熱処理の条件を選択して、シリサイド層102を形成するほうが望ましい。また、必要であれば、さらに加熱処理を加え、たとえばシリサイド材料層101に含まれる金属としてTiを用いるのであれば、たとえばN2雰囲気中で800℃〜1000℃の温度範囲のRTA加熱処理を10秒〜30秒行うことが望ましい。
【0114】
続いて、図2(b)に示すように、シリサイド層102を有するp型シリコン系半導体基板100を、イソプロピルアルコールを1〜10%(w/v)の範囲で含有する、2〜10%(w/v)の水酸化カリウム水溶液に、80℃〜90℃の温度条件下、20分〜40分の間浸漬して、異方性エッチング処理を行ってテクスチャ構造を形成する。
【0115】
この場合、テクスチャ構造が最適にできるよう、シリサイド層102およびp型シリコン系半導体基板100の材質や形状に合わせて、水酸化カリウム水溶液の濃度、温度、時間などの条件を選択する。また、水酸化カリウムだけでなく、たとえば水酸化ナトリウムなどを含有するアルカリ水溶液をエッチング溶液として用いてもかまわない。
【0116】
図3は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図3は、図3(a)と図3(b)とを含む。
【0117】
次いで、図3(a)に示すように、P2O5などのn型の拡散源およびシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含むドーパント材料層103をスピンフローなどの方法によってp型シリコン系半導体基板100の表面に塗布する。
【0118】
そして、図3(b)において、上記ドーパント材料層103が塗布されたp型シリコン系半導体基板100を拡散炉で、たとえば900℃付近の温度で約20分程度加熱処理を行い、p型シリコン系半導体基板100の受光面側にn+層104を形成し、pn接合を形成する。また、このドーパント材料層103を加熱処理することにより、付随的に得られるシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含む表面反射防止膜113をそのまま除去せずに用いることができる。
【0119】
この後、必要であれば表面反射防止膜113を除去して、表面反射防止膜として、たとえばシリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁物を含む表面反射防止膜を、あらためて反射率が低減できる膜厚で形成してもよい。
【0120】
図4は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図4は、図4(a)と図4(b)とを含む。
【0121】
次いで、図4(a)において、p型シリコン系半導体基板100の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀などを材質とする裏面電極材料層105を印刷などの方法により形成する。
【0122】
さらに、図4(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100の裏面の裏面電極材料層105が形成されていない部分にアルミニウムなどを材質とする裏面反射膜材料層106を印刷などの方法により形成して乾燥させる。
【0123】
図5は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図5は、図5(a)と図5(b)とを含む。
【0124】
しかる後に、図5(a)に示すように、700℃〜800℃の温度範囲で加熱処理を施して裏面電極材料層105から裏面電極115を形成する。
【0125】
その際に、加熱処理によりアルミニウムを含有する裏面反射膜材料層106から、p型ドーパントとしての機能を有するアルミニウム元素を拡散させてp型シリコン系半導体基板100と合金化させ、p型シリコン系半導体基板100のp型不純物より濃度の高いp+層107を形成する。これによりp型不純物とp+層107によりポテンシャルバリアを設けるBSF構造を形成し、太陽電池のキャリア閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0126】
なお、この際、加熱処理により裏面反射膜材料層106から裏面反射膜116が形成されるので、除去せずにそのまま用いる。この裏面反射膜116により、太陽電池の光閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0127】
次に、図5(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板100の受光面側の表面反射防止膜113上に、銀を含む材質からなる表面電極材料層を印刷などにより形成し乾燥させた後、600℃〜700℃の加熱処理により表面電極材料層から表面電極108を形成する。
【0128】
図6は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【0129】
さらに、図6において、上記の銀を含む材質からなる表面電極108と銀を含む材質からなる裏面電極115とを、半田109により被覆して、太陽電池を形成する。
【0130】
図7は、本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と、従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面とを撮影したSEM写真、およびSEM写真における本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面の位置を示す概略図である。図7は、図7(a)と図7(b)とを含む。
【0131】
上記の本発明の太陽電池の製造方法の実施例1を用いて形成した、太陽電池に用いられたテクスチャ表面を有する半導体基板の、受光面側の表面のテクスチャ構造のSEM(Scanning Electron Microscope)写真を図7(a)に示す。
【0132】
ここで、図7(a)には、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111も併せて載せている。110がシリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、111がシリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、112はその境界である。
【0133】
図7(b)は、図7(a)における、シリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域110、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111の位置を示す概略図である。
【0134】
図7から明らかなように、シリサイド層を形成してテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域110におけるテクスチャ構造は、シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域111におけるテクスチャ構造に比べて、きわめて細かくテクスチャ構造の凹凸が形成されている。そのため、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1を用いて形成した太陽電池においては、入射光の反射率を低減することが可能となり、さらなる高効率、高性能の太陽電池を製造することが可能となる。
【0135】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、Tiを含むシリサイド材料層の形成後にRTA加熱処理を用いてシリサイド層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、上記の加熱処理方法を特にRTA加熱処理に限定するものではなく、たとえば炉アニールを用いて約600℃、約5分間の条件による加熱処理でシリサイド層を形成した場合にも、テクスチャ構造が図7(a)に示すように、Tiを含むシリサイド層を形成しない場合に比べて、微細かつ均一に形成できる場合には問題なく加熱処理をすることができる。
【0136】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、n型のドーパント材料層として、P2O5を含む材質を拡散源に用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、V族の元素を含むものであれば、どのようなドーパント材料層であってもよい。たとえば、V族の元素を含むドーパント液でも固相源でもかまわない。
【0137】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、p型のシリコン系半導体基板に、V族の元素を含むドーパント材料層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、たとえばn型のシリコン系半導体基板に、III族の元素を含むドーパント材料層を形成して、太陽電池を製造することもできる。
【0138】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、あらかじめp型シリコン系半導体基板を用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、p型ではないシリコン系半導体基板の表面にテクスチャ構造を形成後に、イオン注入などの手法を用いてPなどのV族の元素を注入してp型シリコン系半導体基板を作製してもよい。その場合には、イオン注入の後は、拡散炉などでたとえば約900℃で、5分〜10分間の加熱処理を行うことが好ましい。
【0139】
<実施例2>
図8は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図8は、図8(a)と図8(b)とを含む。
【0140】
実施例2においては、まず、図8(a)に示すように、たとえば結晶方位がSi(100)のp型シリコン系半導体基板200を用いる。
【0141】
次いで、図8(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200上に、シリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201を10nm〜500nmの範囲の厚みで形成する。
【0142】
この場合のシリコン酸化膜を含む材質からなるマスク層201は、拡散炉などを用いたp型シリコン系半導体基板200表面の酸化方法により形成してもよく、またCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いたシリコン酸化膜の堆積方法などを用いて形成してもよい。また、この場合マスク層201の材質としては、一般に絶縁膜として用いられる材質であり、後工程において形成する金属を含む材質からなるシリサイド材料層が反応しないような材質であればどのような材質でも問題なく、たとえばシリコン窒化物を含む材質でも問題なく好適に使用可能である。
【0143】
図9は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図9は、図9(a)と図9(b)とを含む。
【0144】
続いて、図9(a)に示すように、フォトレジスト膜として用いられる材質からなるレジスト層202を形成して、フォトリソグラフィー法などにより、マスク層201上の将来表面電極を形成する予定の領域のみにレジスト層202を残すようパターニングを行う。
【0145】
そして、図9(b)に示すように、図9(a)でパターニングにより残した部分のレジスト層202を活用して、レジスト層202により保護されない部分のシリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201をエッチング処理により除去する。この場合のエッチング処理の方法は、たとえばフッ化水素溶液に浸漬してマスク層201を等方的に除去することによりエッチング処理を行ってもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてマスク層201に対して異方性エッチング処理を行なってもかまわない。
【0146】
その後、パターニングにより残した部分のレジスト層202を除去する。このレジスト層の除去は、酸化雰囲気中のプラズマ処理、あるいは熱硫酸に過酸化水素水を添加した溶液に浸漬するなどの方法により行なうことができる。
【0147】
図10は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図10は、図10(a)と図10(b)とを含む。
【0148】
続けて、図10(a)に示すように、たとえばTi(チタン)を含む材質からなるシリサイド材料層203を、スパッタ法あるいは蒸着法などの手法により30nm〜50nmの厚みで形成する。
【0149】
この場合、シリサイド材料層203に含まれる金属は、加熱処理によりp型シリコン系半導体基板と反応してシリサイド層を形成することができ、かつマスク層201上では反応を起こさない金属であれば問題ない。具体的には、IV−A族、V−A族、VI−A族の高融点金属、およびVIII−A族の金属であればよく、たとえばCo(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Zr(ジルコニウム)などでもよい。
【0150】
そして、図10(b)に示すように、たとえば600℃〜650℃、10秒〜30秒間のRTA加熱処理などを施し、チタンを含む材質からなるシリサイド材料層203とp型シリコン系半導体基板200とを反応させて、TiSi2を含む材質からなるシリサイド層204を50nm〜70nmの厚みで形成する。この場合、シリサイド材料層203に含まれる金属として選択する金属によって適切な条件で加熱処理をしてシリサイド層204を形成することが好ましい。
【0151】
図11は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図11は、図11(a)と図11(b)とを含む。
【0152】
さらに、図11(a)に示すように、シリサイド層204を有するp型シリコン系半導体基板200を、イソプロピルアルコールを1〜10%(w/v)の範囲で含有する、2〜10%(w/v)の水酸化カリウム水溶液に、80℃〜90℃の温度条件下、20分〜40分の間浸漬して、異方性エッチング処理を行ってテクスチャ構造を形成する。
【0153】
この場合、テクスチャ構造が最適にできるよう、シリサイド層204およびp型シリコン系半導体基板100の材質や形状に合わせて、水酸化カリウム水溶液の濃度、温度、時間などの条件を選択する。また、水酸化カリウムだけでなく、たとえば水酸化ナトリウムなどを含有するアルカリ水溶液をエッチング溶液として用いてもかまわない。
【0154】
そして、図11(b)に示すように、マスク層201を有するp型シリコン系半導体基板200を、たとえばフッ化水素溶液に浸漬してシリコン酸化物を含む材質からなるマスク層201を除去する。
【0155】
図12は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図12は、図12(a)と図12(b)とを含む。
【0156】
次に、図12(a)に示すように、ドーパントとしてP2O5などのn型の拡散源およびシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含むドーパント材料層205をスピンフローなどの方法によってp型シリコン系半導体基板200の表面に塗布する。
【0157】
そして、図12(b)において、上記ドーパント材料層205が塗布されたp型シリコン系半導体基板200を拡散炉で、たとえば約900℃、約20分間加熱処理を行い、p型シリコン系半導体基板200の受光面側にn+層206を形成し、pn接合を形成する。また、このドーパント材料層205を加熱処理することにより、付随的に得られるシリコン酸化物やシリコン窒化物などを含む表面反射防止膜215をそのまま除去せずに用いることができる。
【0158】
この後、必要であれば表面反射防止膜215を除去して、表面反射防止膜として、たとえばシリコン酸化物やシリコン窒化物などの絶縁物を含む表面反射防止膜を、あらためて反射率が低減できる膜厚で形成してもよい。
【0159】
図13は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図13は、図13(a)と図13(b)とを含む。
【0160】
次いで、図13(a)において、p型シリコン系半導体基板200の受光面側と反対側、すなわち裏面側に銀などを材質とする裏面電極材料層207を印刷などの方法により形成する。
【0161】
さらに、図13(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200の裏面の裏面電極材料層207が形成されていない部分にアルミニウムなどを材質とする裏面反射膜材料層208を印刷などの方法により形成して乾燥させる。
【0162】
図14は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。ここで、図14は、図14(a)と図14(b)とを含む。
【0163】
しかる後に、図14(a)に示すように、700℃〜800℃の温度範囲で加熱処理を施して裏面電極材料層207から裏面電極217を形成する。
【0164】
その際に、加熱処理によりアルミニウムを含有する裏面反射膜材料層208から、p型ドーパントとしての機能を有するアルミニウム元素を拡散させてp型シリコン系半導体基板200と合金化させ、p型シリコン系半導体基板200のp型不純物より濃度の高いp+層209を形成する。これによりp型不純物とp+層209によりポテンシャルバリアを設けるBSF構造を形成し、太陽電池のキャリア閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0165】
なお、この際、加熱処理により裏面反射膜材料層208から裏面反射膜218が形成されるので、除去せずにそのまま用いる。この裏面反射膜218により、太陽電池の光閉込め効果に関する性能を向上させる。
【0166】
次に、図14(b)に示すように、p型シリコン系半導体基板200の受光面側の表面反射防止膜215上に、銀を含む材質からなる表面電極材料層を印刷などにより形成し乾燥させた後、600℃〜700℃の加熱処理により表面電極材料層から表面電極210を形成する。
【0167】
図15は、本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【0168】
さらに、図15において、上記の銀を含む材質からなる表面電極210と銀を含む材質からなる裏面電極217とを、半田211により被覆して、太陽電池を形成する。
【0169】
本発明の太陽電池の製造方法の実施例1のように、酸化物を含むマスク層の上ではチタンなどの金属を含むシリサイド材料層が反応しないことを利用するサリサイド(Self−Aligned Silicide)法を用いることによって、p型シリコン系半導体基板の表面の電極が形成される予定の領域にテクスチャ構造を形成せず、それ以外の領域により微細かつ均一なテクスチャ構造を設けることができる。
【0170】
そのため、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1においては、太陽電池における入射光の反射率を低減するとともに、テクスチャ構造を選択的に設けない非テクスチャ表面に電極を比較的簡易な工程で形成することができるために、電極とp型シリコン系半導体基板の表面との接触面積を低減して直列抵抗を低減することができる。その結果、太陽電池のF.F.を増加させることができ、太陽電池の発電効率の性能を向上させることが可能となる。
【0171】
なお、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、n型のドーパント材料層として、P2O5を含む材質を拡散源に用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、V族の元素を含むものであれば、どのようなドーパント材料層であってもよい。たとえば、V族の元素を含むドーパント液でも固相源でもかまわない。
【0172】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、p型のシリコン系半導体基板に、V族の元素を含むドーパント材料層を形成したが、本発明の太陽電池の製造方法においては、たとえばn型のシリコン系半導体基板に、III族の元素を含むドーパント材料層を形成して、太陽電池を製造することもできる。
【0173】
また、本発明の太陽電池の製造方法の実施例1では、あらかじめp型シリコン系半導体基板を用いたが、本発明の太陽電池の製造方法においては、p型ではないシリコン系半導体基板の表面にテクスチャ構造を形成後に、イオン注入などの手法を用いてPなどのV族の元素を注入してp型シリコン系半導体基板を作製してもよい。その場合には、イオン注入の後は、拡散炉などでたとえば約900℃で、5分〜10分間の加熱処理を行うことが好ましい。
【0174】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0175】
【発明の効果】
以上の結果より、本発明の太陽電池の製造方法を用いることにより、フォトリソグラフィー法などによる複雑な工程を用いることなく、シリコン系半導体基板に比較的簡単に均一かつ良好なテクスチャ構造を形成することが可能となる。
【0176】
また、本発明の太陽電池の製造方法においては、Ti、Coなどの金属を用いることにより、これらの金属元素とシリコン元素とを比較的低温かつ短時間で反応させることができるので、シリコン系半導体基板に欠陥などの影響を与えずにシリサイド層を形成し、そのシリサイド層を異方性エッチング処理することにより、均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することが可能となるため、良好な光閉込め構造を有する太陽電池を製造することが可能となる。
【0177】
さらに、本発明の太陽電池の製造方法においては、シリコン系半導体基板の表面の電極を形成する領域にマスク層を形成し、その後マスク層が形成されていないシリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成して異方性エッチング処理を行うことにより、シリコン系半導体基板に比較的簡単に選択的にテクスチャ構造を形成することが可能となる。そのため、非テクスチャ表面に形成された電極の抵抗を低減することが可能となるとともに、均一かつ微細なテクスチャ構造を形成することができるため、良好な光閉込め構造および低い電極抵抗値を有する太陽電池を製造することが可能となる。
【0178】
したがって、本発明の太陽電池の製造方法により得られる太陽電池では、シリコン系半導体基板の表面の微細かつ均一なテクスチャ構造により、太陽電池に入射する太陽光に対してさらなる反射率の低減が可能となるため、太陽電池の高効率化が実現可能となる。
【0179】
すなわち、本発明の太陽電池の製造方法は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、シリコン系半導体基板の表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成し、そのシリコン系半導体基板を用いて、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる太陽電池の製造方法である。
【0180】
さらに、本発明の太陽電池は、少ない工程数で、簡便かつ高精度に、表面に微細かつ均一なテクスチャ構造を形成されたシリコン系半導体基板を用いて、歩留まりよく、かつ低コストで製造することのできる、太陽光の反射率を低減した発電効率に優れた太陽電池を備える、太陽電池である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図2】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図3】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図4】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図5】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図6】本発明の太陽電池の製造方法の実施例1における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図7】本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と、従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面とを撮影したSEM写真、およびSEM写真における本発明の実施例1を用いて形成したテクスチャ表面と従来の方法を用いて形成したテクスチャ表面の位置を示す概略図である。
【図8】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図9】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図10】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図11】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図12】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図13】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図14】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図15】本発明の太陽電池の製造方法の実施例2における各ステップを示すための太陽電池の概略断面図である。
【図16】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図17】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図18】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図19】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図20】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図21】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【図22】従来の一般的なテクスチャ表面を有する半導体基板の製造方法の別の一例の1ステップを表わす概要断面図である。
【符号の説明】
100 p型シリコン系半導体基板、101 シリサイド材料層、102 シリサイド層、103 ドーパント材料層、104 n+層、105 裏面電極材料層、106 裏面反射膜材料層、107 p+層、108 表面電極、109半田、110 シリサイドを行ってテクスチャを行った領域、111 シリサイド層を形成せずテクスチャ構造形成のための異方性エッチング処理を行った領域、112 境界、113 表面反射防止膜、115 裏面電極、116 裏面反射膜、200 p型シリコン系半導体基板、201 マスク層、202 レジスト層、203 シリサイド材料層、204 シリサイド層、205 ドーパント材料層、206 n+層、207 裏面電極材料層、208 裏面反射膜材料層、209 p+層、210 表面電極、211 半田、215 表面反射防止膜、217 裏面電極、218 裏面反射膜、300 p型シリコン基板、301 表面反射防止膜、302 n+層、303 裏面電極、304 裏面反射膜、305 p+層、306 表面電極、307 半田、308 マスク層、309 レジスト層。
Claims (9)
- テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板を備える太陽電池の製造方法であって、
前記シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、
前記シリサイド層の形成された前記シリコン系半導体基板の表面を異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップと、
を備える、太陽電池の製造方法。 - 前記シリサイド層を形成するステップは、
前記シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、前記シリコン系半導体基板および前記シリサイド材料層を加熱して前記シリコン系半導体基板の表面にシリサイド層を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。 - 前記シリサイド層を形成するステップは、
前記シリコン系半導体基板の表面の一部にマスク層を形成するステップと、
前記マスク層が一部に形成された前記シリコン系半導体基板の表面にシリサイド材料層を形成するステップと、
前記シリコン系半導体基板および前記シリサイド材料層を加熱して前記シリコン系半導体基板の表面の前記マスク層が形成されていない部分にシリサイド層を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。 - 前記マスク層を形成するステップは、前記シリコン系半導体基板の表面の一部にシリコン酸化物および/またはシリコン窒化物を含むマスク層を形成するステップを含む、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記シリサイド材料層を形成するステップは、IV−A族、V−A族およびVI−A族の高融点金属、およびVIII−Aの金属からなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、前記シリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含む、請求項2または3に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記シリサイド材料層を形成するステップは、Ti、Zr、Fe、Co、Niからなる群より選ばれる一種以上の金属を含むシリサイド材料層を、前記シリコン系半導体基板の表面に形成するステップを含む、請求項2または3に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記テクスチャ表面を形成するステップは、前記シリサイド層の形成された前記シリコン系半導体基板の表面を、アルカリ性溶液を含む異方性エッチング溶液を用いて異方性エッチング処理してテクスチャ表面を形成するステップを含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側の前記テクスチャ表面に、前記シリコン系半導体基板がp型である場合にはn+層を形成し、前記シリコン系半導体基板がn型である場合にはp+層を形成するステップと、
前記テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側に表面電極を形成するステップと、
前記テクスチャ表面を有するシリコン系半導体基板の受光面側と反対側の裏面側に裏面電極を形成するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池の製造方法により得られる、太陽電池。
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