JP2004281685A - 半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被研磨面の温度分布を均一にするとともに、被研磨面の状態を良好にして研磨を行なうことができる半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法を提供する。
【解決手段】半導体基板の研磨用パッドは、定盤4の表面に設けられ、連通孔3を含む研磨シート2と、連通孔3を充填するように研磨シート2に設けられ、無機物微粒子6を含むゲル5とを備える。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2に設けられたゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【選択図】 図2
【解決手段】半導体基板の研磨用パッドは、定盤4の表面に設けられ、連通孔3を含む研磨シート2と、連通孔3を充填するように研磨シート2に設けられ、無機物微粒子6を含むゲル5とを備える。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2に設けられたゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には、半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法に関し、より特定的には、化学的機械研磨法(CMP;Chemical Mechanical Polishing)に使用される半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体基板の研磨用パッドが、たとえば、特開2000−117616号公報(特許文献1)、および特開2001−77060号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1によれば、ウエハの表面を研磨する砥石は、砥粒と、これらの砥粒を保持するための物質とから構成されている。砥粒としては、二酸化ケイ素または酸化セリウムなどが使用されており、砥粒を保持するための物質としては、有機樹脂が使用されている。砥石を構成する砥粒と砥粒を保持するための樹脂とは、均一に混合されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている半導体装置の製造方法によれば、スラリーを回転する研磨パッドに供給しつつ、ウエーハの被研磨面と研磨パッドとを接触させる。スラリーは、砥粒としてのコロイダルシリカを分散させた無機系アルカリ水溶液に、粘度を可変とする添加剤としての水溶性高分子を添加したものである。研磨パッドは、たとえばポリウレタンなどからなる発泡体によって形成されている。その後、さらに研磨パッドに粘度調整剤を供給する。これにより、スラリーに含まれる水溶性高分子がゲル化し、スラリーが滑らかな状態から粘りのある状態に変化する。そして、研磨パッドの表層部は、スラリーがゲル化することによって所定の硬度に硬質化する。これにより、ディッシングおよびスクラッチがウエーハの被研磨面に発生することを抑制できる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−117616号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2001−77060号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されている砥石は、砥石全体に砥粒を含んで構成されている。このため、砥石の硬度が高くなり、砥石が十分な柔軟性を得ることができない。これにより、ウエハの表面のうねりに沿った研磨を行なうことができなかったり、研磨されたウエハの表面に多数のスクラッチが形成されるという問題が発生する。
【0008】
また、特許文献2に開示されている半導体装置の製造方法では、研磨時の条件によって研磨パッドの表面における温度などが逐次変化する。このため、スラリーをゲル化する反応を再現性良く行なうことができない。これにより、ウエーハの被研磨面に所望の研磨が行なえないという問題が発生する。
【0009】
また、スラリーのゲル化が十分に行なわれていない場合には、研磨パッドとウエーハの被研磨面とが直接接触することによって、被研磨面にスクラッチが形成されるおそれがある。
【0010】
また同様の場合、ウエーハの被研磨面に生じる摩擦熱が大きくなるおそれが生じる。ケミカル作用を利用した研磨は、研磨時の温度に大きく依存するという特性を有する。一方、ウエーハの被研磨面に生じる摩擦熱は、ウエーハの周縁からの位置やウエーハの被研磨面に形成された回路パターンの密度によって異なる。このため、摩擦熱が大きい場合、ウエーハの被研磨面内の温度分布がばらつき、被研磨面を均一に研磨できないという問題が発生する。
【0011】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、被研磨面の温度分布を均一にするとともに、被研磨面の状態を良好にして研磨を行なうことができる半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った半導体基板の研磨用パッドは、ベース部材の表面に設けられ、空隙を含むシート部材と、空隙を充填するようにシート部材に設けられ、無機物微粒子を含むゲル状部材とを備える。シート部材の質量をMとし、シート部材に設けられたゲル状部材の質量をNとするとき、シート部材およびゲル状部材の全体に占めるゲル状部材の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【0013】
【発明の実施の形態】
近年、半導体装置の製造プロセスでは、半導体素子の高集積化および高速化を達成するために、配線材料に低抵抗な銅が適用されている。また、絶縁体膜として現在使用されている酸化膜にかえて、低誘電率材料(Low−k材料)を適用することが検討されている。
【0014】
また、半導体装置の製造プロセスでは、ダマシン法と呼ばれる方法によって配線形成が行なわれる。この方法による配線形成では、まずドライエッチングにより、半導体基板上の絶縁体膜に配線パターンとなる溝を形成する。続いて、スパッタリング法または電気メッキ法などにより、その溝を充填するように絶縁体膜上に銅を成膜する。その後、化学的機械研磨法により、絶縁体膜の頂面が露出するまで銅を除去することによって、溝の内部のみに銅を残存させる。これにより、溝の内部に銅からなる配線を形成する。
【0015】
また、上述の化学的機械研磨法では、被研磨物である銅が成膜された半導体基板を研磨装置のヘッドに吸着することによって固定する。そして、適当な荷重をかけた状態で研磨用パッドと半導体基板とを接触させる。さらに、その接触部分にスラリーと呼ばれる研磨液を供給するとともに、研磨用パッドおよび半導体基板の両者を回転させることによって、半導体基板の表面の研磨を行なう。
【0016】
スラリーとしては、メカニカル作用を有する砥粒と、銅を溶解または錯体化するケミカル作用を有する成分を含有したものとを用いる。これにより、スクラッチなどの欠陥を抑制しつつ、軟らかく腐食性の高い銅の研磨を行なうことができる。
【0017】
しかし、半導体基板上の絶縁体膜に低誘電率材料を用いる場合、誘電率の低下とともに絶縁体膜の強度が低下してしまう。このため、化学的機械研磨法によって半導体基板を研磨した場合、絶縁体膜に剥離またはスクラッチなどのダメージが発生しやすいという問題が生じる。発明者等は、このようなダメージが発生する主な原因が、研磨用パッドと半導体基板の表面との摩擦力が大きいためであることを知見した。
【0018】
研磨用パッドと半導体基板の表面との摩擦力を低減させる方法としては、スラリーに界面活性剤などを添加する方法、またはスラリー中の砥粒含有量を増加させる方法が考えられる。しかし、スラリーに界面活性剤を添加する方法の場合、研磨速度が低下するという問題が発生する。また、スラリー中の砥粒含有量を増加させた場合、砥粒が凝集しやすくなるため、所望の研磨を行なうことができないという問題が発生する。そこで、発明者等は、これらの問題を解決した本発明を完成させるに至った。
【0019】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態における研磨用パッドを示す斜視図である。図1を参照して、半導体基板の研磨用パッド1では、定盤4に所定の厚みで形成され、研磨面2aを有する研磨シート2が設けられている。
【0020】
定盤4は、1mほどの直径を有する円盤形状に形成されている。定盤4は、アルミナ(酸化アルミニウム)など熱伝導率が高い材料によって形成されている。より具体的には、定盤4は、10(W/m・K)以上の熱伝導率を有する材料で形成されている。より好ましくは、定盤4は、30(W/m・K)以上の熱伝導率を有する材料で形成されている。このように高熱伝導率を有する材料で定盤4を形成することによって、研磨時に発生する熱を定盤4を介して効率良く放出することができる。
【0021】
定盤4の表面には、定盤4と同一の直径で形成された研磨シート2が貼り合わされている。研磨シート2は、定盤4に貼り合わされた面とは反対側に研磨面2aを有する。研磨用パッド1を用いて半導体基板の研磨を行なう場合、研磨面2aと半導体基板の被研磨面とが向い合うように位置決めされる。
【0022】
図2は、図1中の研磨用パッドを拡大した断面図である。図2を参照して、研磨シート2は、発泡ポリウレタンから形成されている。研磨シート2は、多孔質状に形成されており、内部に連通孔3を有する。研磨シート2は、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。
【0023】
研磨シート2は、発泡ポリウレタンのみならず、水に溶解しない各種樹脂によって形成することができる。特に限定するわけではないが、研磨シート2は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン樹脂、セルロース系樹脂(繊維素誘導体)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂から形成されていても良い。
【0024】
研磨シート2は、これらの樹脂の誘導体または混合物から形成されていても良い。これらの樹脂には、軟化剤または酸化防止剤などの添加物が適宜含まれていても良い。
【0025】
研磨シート2には、ゲル5が連通孔3を充填するように設けられている。ゲル5は無機物微粒子6を含む。研磨シート2の研磨面2aは、ゲル5によって構成されている。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2の連通孔3に充填されたゲル5の質量をNとした場合、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。なお、以下において、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合をゲル5の含有率とも呼ぶ。
【0026】
ゲル5は、連通孔3を完全に充填していても良いが、連通孔3の一部を充填しているだけであっても良い。つまり、空隙を充填するようにシート部材に設けられたゲル状部材とは、ゲル状部材が空隙を完全に充填する場合のみならず、空隙の一部を充填する場合をも含む。
【0027】
無機物微粒子6を含むゲル5は、たとえば無機物微粒子6と水との混合物によって構成されている。また、この混合物に、各種ゲル化剤、分散剤、pH調整剤などを添加しても良い。
【0028】
無機物微粒子6は、シリカ(二酸化ケイ素)の微粒子から形成されている。無機物微粒子6は、5nm以上50nm以下の平均粒径を有する。無機物微粒子6は、アルミナ、酸化セリウムまたは酸化マンガンなどの微粒子から形成されていても良い。また、無機物微粒子6が純組成の無機酸化物である場合のみならず、たとえば主成分である二酸化ケイ素に対してアルミニウムが含まれる場合もある。無機物微粒子6の表面に、所定の材料がコーティングされていても良い。
【0029】
ゲル5が充填された研磨シート2は、研磨時に半導体基板の被研磨面に十分な圧力を伝達することができ、なおかつ研磨時にかかる摩擦力によって崩れない程度の強度を有していれば良い。半導体基板の研磨は、低圧力下で摩擦力を小さくして行なわれるため、ゲル5が充填された研磨シート2が有する強度は比較的小さくて良い。
【0030】
図3は、図2中の研磨用パッドの変形例を示す断面図である。図3を参照して、研磨シート2は、繊維状のポリウレタンから形成されている。繊維と繊維との間には空隙7が形成されている。研磨シート2は、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。研磨シート2には、無機物微粒子6を含むゲル5が空隙7を充填するように設けられている。ゲル5は、ゲル5の含有率が0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように設けられている。
【0031】
研磨シート2は、径が小さい繊維によって形成されていることが好ましい。具体的には、繊維径が0.5デシテックス以下である場合が好ましく、0.2デシテックス以下である場合がさらに好ましい。繊維径が小さいことによって、半導体基板の被研磨面にスクラッチが発生しにくくなる。また、空隙7にゲル5を保持しやすくなる。
【0032】
また、繊維状の研磨シート2を構成する形態としては、定盤4の表面に単繊維を固定した形態(たとえば、繊維をビロード織りした形態)、定盤4の表面に繊維を不織物として固定した形態、または定盤4の表面に繊維を織布として固定した形態などが挙げられる。
【0033】
研磨シート2を形成する樹脂などが硬い場合、半導体基板の被研磨面にスクラッチが発生する原因となる。しかし、図2および図3に示すように研磨シート2を多孔質状または繊維状に形成することによって、研磨シート2にゲル5を含ませて膨潤させることができる。これにより、研磨シート2は柔らかくなるため、スクラッチの発生を抑制することができる。
【0034】
この発明の実施の形態に従った半導体基板の研磨用パッド1は、ベース部材としての定盤4の表面に設けられ、空隙としての連通孔3を含むシート部材としての研磨シート2と、連通孔3を充填するように研磨シート2に設けられ、無機物微粒子6を含むゲル状部材としてのゲル5とを備える。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2に設けられたゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【0035】
研磨シート2は、多孔質状および繊維状のいずれか一方に形成されている。研磨シート2は、0を超え1mm以下の厚みTを有する。無機物微粒子6は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウムおよび酸化マンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を含む。無機物微粒子6の平均粒径Rは、5nm≦R≦50nmの関係を満たす。
【0036】
図4は、図1中の研磨用パッドを用いた半導体基板の研磨装置を示す斜視図である。図4を参照して、半導体基板の研磨装置には、図1中に示す研磨用パッド1がセッティングされた状態となっている。研磨用パッド1には、図3に示す繊維状の研磨シート2が設けられている。定盤4の他方の端面には回転軸11が接続されている。回転軸11は、図示しないモーターに接続されており、モーターを駆動させることによって回転軸11を介して定盤4および研磨シート2を回転させることができる。
【0037】
研磨シート2の研磨面2a上には、円盤形状の半導体基板13が設けられている。半導体基板13の被研磨面13aが、研磨シート2の研磨面2aに向い合っている。研磨面2aの反対側に位置する半導体基板13の端面には回転軸12が接続されている。回転軸12は、図示しないモーターに接続されており、モーターを駆動させることによって回転軸12を介して半導体基板13を回転させることができる。
【0038】
研磨シート2の研磨面2a上には、研磨面2aから離れた位置に吐出口を有するスラリー供給ノズル14が設けられている。
【0039】
続いて、図1中の研磨用パッド1を用いて行なう半導体基板の研磨方法について図3および図4を参照しながら説明する。図4に示す半導体基板の製造装置を完成するために、まず、接着剤などを用いて定盤4の表面に、質量Mの研磨シート2を貼り付ける。定盤4に貼り付けられた研磨シート2の空隙7に、無機物微粒子6を含む質量Nのゲル5を含浸させる。
【0040】
このとき、研磨シート2の厚みTが、0<T≦1mmの関係を満たすように、研磨シート2の厚みをドクターブレードによって調節する。また、ゲル5の含有率N/(M+N)が、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように、研磨シート2に含浸させるゲル5の量を調節する。
【0041】
研磨シート2の空隙7にゲル5を含浸させる方法としては、ゲルの原料となるものを空隙7に注入し、空隙7においてゲル化する方法や、ゲル5を直接空隙7に充填する方法などが挙げられる。ゲルの原料となるものをゲル化するために、無機物微粒子6を互いに連結できる各種の方法が採られる。たとえば、水溶性高分子などを混合し、加熱または冷却することによってゲル化する方法、経時変化による無機物微粒子6同士または混合成分の構造安定化によってゲル化する方法、反応性物質によってゲル化する方法、もしくは各種の塩などの浸入または溶出によってゲル化する方法などが採られる。
【0042】
また、研磨シート2の空隙7にゲル5を含浸させた後に、純水または各種の成分を含有する水溶液で洗浄を行なっても良い。余剰な薬剤などが残存している場合、研磨シート2を用いて半導体基板を研磨する際に悪影響を与えるおそれがあるからである。なお、ゲル状の原料となるものを直接空隙7に充填した場合には、洗浄によってゲルの一部が除去されるおそれがあるが特に問題はない。
【0043】
なお、ゲル5を研磨シート2の全面に充填しても良いが、ゲル5を充填しない部分を残しても良い。この場合、半導体基板の研磨時にゲル5を充填していない部分にスラリーが溜り、そのスラリーが研磨シート2と半導体基板13の被研磨面13aとの間に効率良く送りこまれるという効果を期待できる。
【0044】
図示しないモーターを駆動させることによって、研磨用パッド1および半導体基板13を所定の方向に回転させるとともに、その状態で半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとを接触させる。一方、スラリー供給ノズル14から砥粒を含むスラリーを研磨シート2の研磨面2aに向けて吐出する。研磨用パッド1は回転しているため、スラリーは半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとの接触面に行き渡る。以上の工程によって、半導体基板13の研磨が行なわれる。
【0045】
図5は、研磨時における半導体基板と研磨用パッドとの接触部分を拡大した断面図である。
【0046】
図5を参照して、半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとの間には、スラリーに含まれる砥粒8が点在している。半導体基板13の研磨時、半導体基板13の被研磨面13aと、ゲル5によって構成された研磨シート2の研磨面2aとが接触した状態となる。ゲル5は、ゲル状部材であって、研磨面2aを構成している形状を研磨時においても維持することができるため、その状態のまま半導体基板13の研磨が進むこととなる。
【0047】
研磨用パッド1によって半導体基板13の研磨を所定の期間続けると、研磨シート2に研磨時の生成物などが蓄積し研磨レートが変化する場合がある。このような状態をリフレッシュするために、一度、研磨シート2からゲル5を除去する。そして、ゲル5が除去された研磨シート2に新たなゲル5を含浸させる。これにより、研磨シート2を再び所望の状態に戻して、半導体基板13の研磨を継続して行なうことができる。
【0048】
一般的な研磨用パッドでは、ダイヤモンドドレッサーなどで研磨用パッドの研磨面を削ることによって上述のリフレッシュを行なう。この場合、ドレッシングを繰り返すうちに研磨用パッドが薄くなりすぎるため、一定の回数を使った後は研磨用パッドを使用できなくなる。しかし、本実施の形態における研磨用パッド1によれば、研磨シート2に充填されたゲル5を新たなゲル5に置きかえる工程を繰り返すことによって、研磨用パッド1を継続して使用することができる。
【0049】
この発明の実施の形態に従った半導体基板の研磨方法は、ベース部材としての定盤4の表面に、空隙7を含むシート部材としての研磨シート2を設ける工程と、研磨シート2の質量をMとし、無機物微粒子6を含むゲル状部材としてのゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)が、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように、研磨シート2にゲル5を含浸させる工程と、ゲル5が含浸された研磨シート2と半導体基板13の被研磨面13aとを接触させる工程と、研磨シート2と被研磨面13aとが接触する部分に砥粒8を含むスラリーを供給するとともに、研磨シート2と被研磨面13aとを相対的に移動させる工程とを備える。
【0050】
半導体基板の研磨方法は、所定の期間、研磨シート2と被研磨面13aとを相対的に移動させた後、研磨シート2からゲル5を除去する工程と、上述の関係を満たすように、ゲル5が除去された研磨シート2にゲル5を再び含浸させる工程とをさらに備える。
【0051】
このように構成された半導体基板の研磨用パッド1および半導体基板の研磨方法によれば、半導体基板13の被研磨面13aに接触する研磨シート2の研磨面2aはゲル5によって構成されている。このとき、ゲル5の含有率が0.5より小さい場合、ゲル5の割合が小さいため、ゲル5によって研磨面2aを十分に構成することができない。また、ゲル5の含有率が0.8よりも大きい場合、ある程度の柔軟性を有するゲル5の割合が大きくなりすぎて、研磨時において研磨面2aを構成しているゲル5の形状が維持されない。したがって、所定の割合でゲル5を含浸させた本実施の形態における研磨用パッド1によれば、研磨シート2の研磨面2aを確実にゲル5によって構成することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、半導体基板13の研磨を行なう前にあらかじめゲル5を研磨シート2に含浸させている。このため、研磨時にスラリーをゲル化する場合と比較して、均一性および再現性に優れて研磨シート2にゲル5を充填することができる。
【0053】
これにより、研磨面2aと半導体基板13の被研磨面13aとの間の摩擦力を低減させることができる。このため、被研磨面13aが強度の小さい材料から形成されている場合であっても、被研磨面13aにスクラッチなどの損傷を与えることなく研磨を行なうことができる。
【0054】
また、ゲル5によって研磨面2aが構成された研磨用パッド1によって、被研磨面13aに形成された微小な凹凸形状を平坦化しつつ、被研磨面13aのうねりによるマクロ的な凹凸形状を平坦化しない理想的な研磨を行なうことができる。さらに、摩擦による被研磨面13aの発熱も抑制することができる。
【0055】
また、樹脂のみから形成され、研磨面に凹凸形状を有する研磨用パッドによって半導体基板13の研磨を行なう場合と比較して、研磨面2aに接触する被研磨面13aに局所的な力が加わることがない。これにより、研磨時において、被研磨面13aの全面が均一な温度分布となるため、均一な研磨レートで被研磨面13aの全体を研磨することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態では、研磨シート2が、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。研磨シート2の厚みTが1mmよりも大きい場合、研磨シート2の熱伝導性が悪くなる。したがって、研磨シート2の厚みTを1mm以下にすることによって、研磨時に被研磨面13aに発生した熱を効率良く定盤4側に伝えることができる。また、一般的に、無機物微粒子6を含むゲル5の熱伝導率は、樹脂の熱伝導率と比較して大きい。さらに、定盤4は、熱伝導率が高い材料によって形成されている。
【0057】
以上の理由から、被研磨面13aに発生した熱を研磨シート2を介して効率良く定盤4側に逃がし、その熱を外部に放出することができる。これにより、研磨時において、被研磨面13aの全面をより均一な温度分布とできるため、さらに均一な研磨レートで被研磨面13aの全体を研磨することができる。
【0058】
また、無機物微粒子6の平均粒径Rは、5nm≦R≦50nmの関係を満たしている。平均粒径Rが5nmよりも小さい場合、無機物微粒子6を含むゲル5が研磨シート2の研磨面2aを十分に構成することができないため、摩擦力の低減を十分に図れない。また、平均粒径Rが50nmよりも大きい場合、半導体基板13の研磨時において、被研磨面13aにスクラッチが形成されるおそれが生じる。以上の理由から、無機物微粒子6の平均粒径Rを上記の範囲にすることによって、被研磨面13aの状態を良好にして研磨を行なうとともに、研磨時の摩擦力を低減することができる。
【0059】
【実施例】
本発明による半導体基板の研磨用パッドの評価を行なうため、以下に説明する半導体基板の研磨試験を行なった。
【0060】
(実施例1)
図4を参照して、あらかじめ質量を測定しておいたポリエステル極細繊維の綿(研磨シート2)をアルミナ製の定盤(定盤4)に接着剤で貼り付けた。ポリエステル極細繊維の綿の表面にステンレス製の網を置き、その網の上から粒径10nmのヒュームドシリカ(無機物微粒子6)を濃度35質量%で含むスラリーを塗布した。この際、ステンレス網と定盤との隙間を調整することによって、塗布するスラリーの量とポリエステル極細繊維の綿の厚みTとを調整した。塗布したスラリーにpH9に調整されたアンモニア水溶液を噴霧した後、純水で洗浄した。これにより、ポリエステル極細繊維の綿にヒュームドシリカを含むゲルを含浸させた。
【0061】
ゲルを含んだ状態でポリエステル極細繊維の綿を定盤から剥がし、質量を測定した。ポリエステル極細繊維の綿の質量と、ゲルを含むポリエステル極細繊維の綿の質量とから、ゲルの含有率(ゲルを含むポリエステル極細繊維の綿に対してゲルが含まれる割合)を求めた。
【0062】
ポリエステル極細繊維の綿の厚みTとゲルの含有率とを変化させて複数の研磨用パットNo.1からNo.7を作成した。その研磨用パッドを用いて半導体基板の研磨を行なった。
【0063】
半導体基板を研磨用パッドに押し付ける圧力を約11.8(kPa)とし、研磨用パッドの研磨面と半導体基板の被研磨面との平均相対速度を1(m/s)とした。スラリーは、砥粒として、平均粒径20nmのヒュームドシリカを濃度1.2質量%で含み、さらに過酸化水素を濃度4質量%で、クエン酸および蓚酸などの有機酸ならびにベンゾトリアゾールを微量含むものを使用した。
【0064】
研磨を行なった半導体基板には、被研磨面が銅から形成されているシリコン基板を使用した。そのシリコン基板には、まず熱酸化膜が成膜されている。スパッタリング法により、熱酸化膜上にバリアメタルとしての窒化チタン(TaN)が厚み30nmで、その上から銅(Cu)が厚み200nmで成膜されている。さらにその上から、電気めっき法により、銅が厚み1μmで成膜されている。
【0065】
半導体基板の研磨時に、定盤に接続されたモーターのトルクを測定し、その値から半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力の大きさを評価することとした。研磨を1分間行なった後に半導体基板の厚みの減少量を複数地点で測定することによって、銅の研磨レートの平均値を求めた。また、被研磨面の中心部と周縁部との間の研磨レートのばらつきを求めた。また、半導体基板の被研磨面の状態を観察した。
【0066】
以上の研磨試験によって求めた各値を、研磨用パットNo.1からNo.7のポリエステル極細繊維の綿の厚みT、およびゲルの含有率の値とともに表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1を参照して、研磨用パッドNo.1および2では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mm以下とし、ゲルの含有率を0.5未満とした。研磨用パッドNo.3からNo.5では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mm以下とし、ゲルの含有率を0.5以上0.8以下とした。研磨用パッドNo.6では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mmとし、ゲルの含有率を0.8を超える値とした。研磨用パッドNo.7では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mmを超える値とし、ゲルの含有率を0.8を超える値とした。
【0069】
研磨用パッドNo.1および2では、ゲルの含有率が小さすぎたため、半導体基板の被研磨面にスクラッチが観察された。また、半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力を十分に抑制することができず、被研磨面に発生した熱を効率良く放出することができなかった。このため、半導体基板の被研磨面の温度が高くなり、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが大きくなった。
【0070】
本発明に従った研磨用パッドNo.3からNo.5では、半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力を抑制し、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが小さい理想的な研磨を行なうことができた。また、半導体基板の被研磨面にスクラッチも観察されなかった。
【0071】
研磨用パッドNo.6および7では、十分な研磨レートを得ることができず、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが大きくなった。ゲルの含有率が大きすぎて、研磨時にゲルの形状が維持されなかったためと考えられる。また、研磨用パッドNo.7では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTが大きすぎて、半導体基板の被研磨面に発生した熱を効率良く定盤側に放出できなかったことも原因の1つと考えられる。
【0072】
(実施例2)
実施例1の研磨試験の後、定盤にステンレス丸棒を押し付けながら転がすことによって、ポリエステル極細繊維の綿からゲルを除去した。続いて、実施例1に記載の手順に従って、ポリエステル極細繊維の綿にヒュームドシリカを含むゲルを再び同じ条件で含浸させた。ゲルを除去した後、再びゲルを含浸させる工程は、ポリエステル極細繊維の綿が乾燥しないように迅速に行なった。ゲルが一部残存している場合、そのゲルが硬くなってスクラッチを引き起こす原因となり得るからである。このようにして得られた研磨用パッドを用いて、実施例1に記載の条件と同じ条件で半導体基板の研磨を行なった。
【0073】
実施例1と同様に、モーターのトルク、研磨レート、および中心部と周縁部との間の研磨レートのばらつきを求めた。その結果、実施例1とほとんどかわらない値を得ることができた。このことから、研磨後のゲルを新たなゲルに置き換えても、高い再現性が得られることが確認できた。
【0074】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に従えば、被研磨面の温度分布を均一にするとともに、被研磨面の状態を良好にして研磨を行なうことができる半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における研磨用パッドを示す斜視図である。
【図2】図1中の研磨用パッドを拡大した断面図である。
【図3】図2中の研磨用パッドの変形例を示す断面図である。
【図4】図1中の研磨用パッドを用いた半導体基板の研磨装置を示す斜視図である。
【図5】研磨時における半導体基板と研磨用パッドとの接触部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 研磨用パッド、2 研磨シート、3 連通孔、4 定盤、5 ゲル、6 無機物微粒子、7 空隙、8 砥粒、13 半導体基板、13a 被研磨面。
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には、半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法に関し、より特定的には、化学的機械研磨法(CMP;Chemical Mechanical Polishing)に使用される半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体基板の研磨用パッドが、たとえば、特開2000−117616号公報(特許文献1)、および特開2001−77060号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1によれば、ウエハの表面を研磨する砥石は、砥粒と、これらの砥粒を保持するための物質とから構成されている。砥粒としては、二酸化ケイ素または酸化セリウムなどが使用されており、砥粒を保持するための物質としては、有機樹脂が使用されている。砥石を構成する砥粒と砥粒を保持するための樹脂とは、均一に混合されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている半導体装置の製造方法によれば、スラリーを回転する研磨パッドに供給しつつ、ウエーハの被研磨面と研磨パッドとを接触させる。スラリーは、砥粒としてのコロイダルシリカを分散させた無機系アルカリ水溶液に、粘度を可変とする添加剤としての水溶性高分子を添加したものである。研磨パッドは、たとえばポリウレタンなどからなる発泡体によって形成されている。その後、さらに研磨パッドに粘度調整剤を供給する。これにより、スラリーに含まれる水溶性高分子がゲル化し、スラリーが滑らかな状態から粘りのある状態に変化する。そして、研磨パッドの表層部は、スラリーがゲル化することによって所定の硬度に硬質化する。これにより、ディッシングおよびスクラッチがウエーハの被研磨面に発生することを抑制できる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−117616号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2001−77060号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されている砥石は、砥石全体に砥粒を含んで構成されている。このため、砥石の硬度が高くなり、砥石が十分な柔軟性を得ることができない。これにより、ウエハの表面のうねりに沿った研磨を行なうことができなかったり、研磨されたウエハの表面に多数のスクラッチが形成されるという問題が発生する。
【0008】
また、特許文献2に開示されている半導体装置の製造方法では、研磨時の条件によって研磨パッドの表面における温度などが逐次変化する。このため、スラリーをゲル化する反応を再現性良く行なうことができない。これにより、ウエーハの被研磨面に所望の研磨が行なえないという問題が発生する。
【0009】
また、スラリーのゲル化が十分に行なわれていない場合には、研磨パッドとウエーハの被研磨面とが直接接触することによって、被研磨面にスクラッチが形成されるおそれがある。
【0010】
また同様の場合、ウエーハの被研磨面に生じる摩擦熱が大きくなるおそれが生じる。ケミカル作用を利用した研磨は、研磨時の温度に大きく依存するという特性を有する。一方、ウエーハの被研磨面に生じる摩擦熱は、ウエーハの周縁からの位置やウエーハの被研磨面に形成された回路パターンの密度によって異なる。このため、摩擦熱が大きい場合、ウエーハの被研磨面内の温度分布がばらつき、被研磨面を均一に研磨できないという問題が発生する。
【0011】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、被研磨面の温度分布を均一にするとともに、被研磨面の状態を良好にして研磨を行なうことができる半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った半導体基板の研磨用パッドは、ベース部材の表面に設けられ、空隙を含むシート部材と、空隙を充填するようにシート部材に設けられ、無機物微粒子を含むゲル状部材とを備える。シート部材の質量をMとし、シート部材に設けられたゲル状部材の質量をNとするとき、シート部材およびゲル状部材の全体に占めるゲル状部材の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【0013】
【発明の実施の形態】
近年、半導体装置の製造プロセスでは、半導体素子の高集積化および高速化を達成するために、配線材料に低抵抗な銅が適用されている。また、絶縁体膜として現在使用されている酸化膜にかえて、低誘電率材料(Low−k材料)を適用することが検討されている。
【0014】
また、半導体装置の製造プロセスでは、ダマシン法と呼ばれる方法によって配線形成が行なわれる。この方法による配線形成では、まずドライエッチングにより、半導体基板上の絶縁体膜に配線パターンとなる溝を形成する。続いて、スパッタリング法または電気メッキ法などにより、その溝を充填するように絶縁体膜上に銅を成膜する。その後、化学的機械研磨法により、絶縁体膜の頂面が露出するまで銅を除去することによって、溝の内部のみに銅を残存させる。これにより、溝の内部に銅からなる配線を形成する。
【0015】
また、上述の化学的機械研磨法では、被研磨物である銅が成膜された半導体基板を研磨装置のヘッドに吸着することによって固定する。そして、適当な荷重をかけた状態で研磨用パッドと半導体基板とを接触させる。さらに、その接触部分にスラリーと呼ばれる研磨液を供給するとともに、研磨用パッドおよび半導体基板の両者を回転させることによって、半導体基板の表面の研磨を行なう。
【0016】
スラリーとしては、メカニカル作用を有する砥粒と、銅を溶解または錯体化するケミカル作用を有する成分を含有したものとを用いる。これにより、スクラッチなどの欠陥を抑制しつつ、軟らかく腐食性の高い銅の研磨を行なうことができる。
【0017】
しかし、半導体基板上の絶縁体膜に低誘電率材料を用いる場合、誘電率の低下とともに絶縁体膜の強度が低下してしまう。このため、化学的機械研磨法によって半導体基板を研磨した場合、絶縁体膜に剥離またはスクラッチなどのダメージが発生しやすいという問題が生じる。発明者等は、このようなダメージが発生する主な原因が、研磨用パッドと半導体基板の表面との摩擦力が大きいためであることを知見した。
【0018】
研磨用パッドと半導体基板の表面との摩擦力を低減させる方法としては、スラリーに界面活性剤などを添加する方法、またはスラリー中の砥粒含有量を増加させる方法が考えられる。しかし、スラリーに界面活性剤を添加する方法の場合、研磨速度が低下するという問題が発生する。また、スラリー中の砥粒含有量を増加させた場合、砥粒が凝集しやすくなるため、所望の研磨を行なうことができないという問題が発生する。そこで、発明者等は、これらの問題を解決した本発明を完成させるに至った。
【0019】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態における研磨用パッドを示す斜視図である。図1を参照して、半導体基板の研磨用パッド1では、定盤4に所定の厚みで形成され、研磨面2aを有する研磨シート2が設けられている。
【0020】
定盤4は、1mほどの直径を有する円盤形状に形成されている。定盤4は、アルミナ(酸化アルミニウム)など熱伝導率が高い材料によって形成されている。より具体的には、定盤4は、10(W/m・K)以上の熱伝導率を有する材料で形成されている。より好ましくは、定盤4は、30(W/m・K)以上の熱伝導率を有する材料で形成されている。このように高熱伝導率を有する材料で定盤4を形成することによって、研磨時に発生する熱を定盤4を介して効率良く放出することができる。
【0021】
定盤4の表面には、定盤4と同一の直径で形成された研磨シート2が貼り合わされている。研磨シート2は、定盤4に貼り合わされた面とは反対側に研磨面2aを有する。研磨用パッド1を用いて半導体基板の研磨を行なう場合、研磨面2aと半導体基板の被研磨面とが向い合うように位置決めされる。
【0022】
図2は、図1中の研磨用パッドを拡大した断面図である。図2を参照して、研磨シート2は、発泡ポリウレタンから形成されている。研磨シート2は、多孔質状に形成されており、内部に連通孔3を有する。研磨シート2は、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。
【0023】
研磨シート2は、発泡ポリウレタンのみならず、水に溶解しない各種樹脂によって形成することができる。特に限定するわけではないが、研磨シート2は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、スチレン樹脂、セルロース系樹脂(繊維素誘導体)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂から形成されていても良い。
【0024】
研磨シート2は、これらの樹脂の誘導体または混合物から形成されていても良い。これらの樹脂には、軟化剤または酸化防止剤などの添加物が適宜含まれていても良い。
【0025】
研磨シート2には、ゲル5が連通孔3を充填するように設けられている。ゲル5は無機物微粒子6を含む。研磨シート2の研磨面2aは、ゲル5によって構成されている。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2の連通孔3に充填されたゲル5の質量をNとした場合、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。なお、以下において、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合をゲル5の含有率とも呼ぶ。
【0026】
ゲル5は、連通孔3を完全に充填していても良いが、連通孔3の一部を充填しているだけであっても良い。つまり、空隙を充填するようにシート部材に設けられたゲル状部材とは、ゲル状部材が空隙を完全に充填する場合のみならず、空隙の一部を充填する場合をも含む。
【0027】
無機物微粒子6を含むゲル5は、たとえば無機物微粒子6と水との混合物によって構成されている。また、この混合物に、各種ゲル化剤、分散剤、pH調整剤などを添加しても良い。
【0028】
無機物微粒子6は、シリカ(二酸化ケイ素)の微粒子から形成されている。無機物微粒子6は、5nm以上50nm以下の平均粒径を有する。無機物微粒子6は、アルミナ、酸化セリウムまたは酸化マンガンなどの微粒子から形成されていても良い。また、無機物微粒子6が純組成の無機酸化物である場合のみならず、たとえば主成分である二酸化ケイ素に対してアルミニウムが含まれる場合もある。無機物微粒子6の表面に、所定の材料がコーティングされていても良い。
【0029】
ゲル5が充填された研磨シート2は、研磨時に半導体基板の被研磨面に十分な圧力を伝達することができ、なおかつ研磨時にかかる摩擦力によって崩れない程度の強度を有していれば良い。半導体基板の研磨は、低圧力下で摩擦力を小さくして行なわれるため、ゲル5が充填された研磨シート2が有する強度は比較的小さくて良い。
【0030】
図3は、図2中の研磨用パッドの変形例を示す断面図である。図3を参照して、研磨シート2は、繊維状のポリウレタンから形成されている。繊維と繊維との間には空隙7が形成されている。研磨シート2は、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。研磨シート2には、無機物微粒子6を含むゲル5が空隙7を充填するように設けられている。ゲル5は、ゲル5の含有率が0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように設けられている。
【0031】
研磨シート2は、径が小さい繊維によって形成されていることが好ましい。具体的には、繊維径が0.5デシテックス以下である場合が好ましく、0.2デシテックス以下である場合がさらに好ましい。繊維径が小さいことによって、半導体基板の被研磨面にスクラッチが発生しにくくなる。また、空隙7にゲル5を保持しやすくなる。
【0032】
また、繊維状の研磨シート2を構成する形態としては、定盤4の表面に単繊維を固定した形態(たとえば、繊維をビロード織りした形態)、定盤4の表面に繊維を不織物として固定した形態、または定盤4の表面に繊維を織布として固定した形態などが挙げられる。
【0033】
研磨シート2を形成する樹脂などが硬い場合、半導体基板の被研磨面にスクラッチが発生する原因となる。しかし、図2および図3に示すように研磨シート2を多孔質状または繊維状に形成することによって、研磨シート2にゲル5を含ませて膨潤させることができる。これにより、研磨シート2は柔らかくなるため、スクラッチの発生を抑制することができる。
【0034】
この発明の実施の形態に従った半導体基板の研磨用パッド1は、ベース部材としての定盤4の表面に設けられ、空隙としての連通孔3を含むシート部材としての研磨シート2と、連通孔3を充填するように研磨シート2に設けられ、無機物微粒子6を含むゲル状部材としてのゲル5とを備える。研磨シート2の質量をMとし、研磨シート2に設けられたゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす。
【0035】
研磨シート2は、多孔質状および繊維状のいずれか一方に形成されている。研磨シート2は、0を超え1mm以下の厚みTを有する。無機物微粒子6は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウムおよび酸化マンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を含む。無機物微粒子6の平均粒径Rは、5nm≦R≦50nmの関係を満たす。
【0036】
図4は、図1中の研磨用パッドを用いた半導体基板の研磨装置を示す斜視図である。図4を参照して、半導体基板の研磨装置には、図1中に示す研磨用パッド1がセッティングされた状態となっている。研磨用パッド1には、図3に示す繊維状の研磨シート2が設けられている。定盤4の他方の端面には回転軸11が接続されている。回転軸11は、図示しないモーターに接続されており、モーターを駆動させることによって回転軸11を介して定盤4および研磨シート2を回転させることができる。
【0037】
研磨シート2の研磨面2a上には、円盤形状の半導体基板13が設けられている。半導体基板13の被研磨面13aが、研磨シート2の研磨面2aに向い合っている。研磨面2aの反対側に位置する半導体基板13の端面には回転軸12が接続されている。回転軸12は、図示しないモーターに接続されており、モーターを駆動させることによって回転軸12を介して半導体基板13を回転させることができる。
【0038】
研磨シート2の研磨面2a上には、研磨面2aから離れた位置に吐出口を有するスラリー供給ノズル14が設けられている。
【0039】
続いて、図1中の研磨用パッド1を用いて行なう半導体基板の研磨方法について図3および図4を参照しながら説明する。図4に示す半導体基板の製造装置を完成するために、まず、接着剤などを用いて定盤4の表面に、質量Mの研磨シート2を貼り付ける。定盤4に貼り付けられた研磨シート2の空隙7に、無機物微粒子6を含む質量Nのゲル5を含浸させる。
【0040】
このとき、研磨シート2の厚みTが、0<T≦1mmの関係を満たすように、研磨シート2の厚みをドクターブレードによって調節する。また、ゲル5の含有率N/(M+N)が、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように、研磨シート2に含浸させるゲル5の量を調節する。
【0041】
研磨シート2の空隙7にゲル5を含浸させる方法としては、ゲルの原料となるものを空隙7に注入し、空隙7においてゲル化する方法や、ゲル5を直接空隙7に充填する方法などが挙げられる。ゲルの原料となるものをゲル化するために、無機物微粒子6を互いに連結できる各種の方法が採られる。たとえば、水溶性高分子などを混合し、加熱または冷却することによってゲル化する方法、経時変化による無機物微粒子6同士または混合成分の構造安定化によってゲル化する方法、反応性物質によってゲル化する方法、もしくは各種の塩などの浸入または溶出によってゲル化する方法などが採られる。
【0042】
また、研磨シート2の空隙7にゲル5を含浸させた後に、純水または各種の成分を含有する水溶液で洗浄を行なっても良い。余剰な薬剤などが残存している場合、研磨シート2を用いて半導体基板を研磨する際に悪影響を与えるおそれがあるからである。なお、ゲル状の原料となるものを直接空隙7に充填した場合には、洗浄によってゲルの一部が除去されるおそれがあるが特に問題はない。
【0043】
なお、ゲル5を研磨シート2の全面に充填しても良いが、ゲル5を充填しない部分を残しても良い。この場合、半導体基板の研磨時にゲル5を充填していない部分にスラリーが溜り、そのスラリーが研磨シート2と半導体基板13の被研磨面13aとの間に効率良く送りこまれるという効果を期待できる。
【0044】
図示しないモーターを駆動させることによって、研磨用パッド1および半導体基板13を所定の方向に回転させるとともに、その状態で半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとを接触させる。一方、スラリー供給ノズル14から砥粒を含むスラリーを研磨シート2の研磨面2aに向けて吐出する。研磨用パッド1は回転しているため、スラリーは半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとの接触面に行き渡る。以上の工程によって、半導体基板13の研磨が行なわれる。
【0045】
図5は、研磨時における半導体基板と研磨用パッドとの接触部分を拡大した断面図である。
【0046】
図5を参照して、半導体基板13の被研磨面13aと研磨シート2の研磨面2aとの間には、スラリーに含まれる砥粒8が点在している。半導体基板13の研磨時、半導体基板13の被研磨面13aと、ゲル5によって構成された研磨シート2の研磨面2aとが接触した状態となる。ゲル5は、ゲル状部材であって、研磨面2aを構成している形状を研磨時においても維持することができるため、その状態のまま半導体基板13の研磨が進むこととなる。
【0047】
研磨用パッド1によって半導体基板13の研磨を所定の期間続けると、研磨シート2に研磨時の生成物などが蓄積し研磨レートが変化する場合がある。このような状態をリフレッシュするために、一度、研磨シート2からゲル5を除去する。そして、ゲル5が除去された研磨シート2に新たなゲル5を含浸させる。これにより、研磨シート2を再び所望の状態に戻して、半導体基板13の研磨を継続して行なうことができる。
【0048】
一般的な研磨用パッドでは、ダイヤモンドドレッサーなどで研磨用パッドの研磨面を削ることによって上述のリフレッシュを行なう。この場合、ドレッシングを繰り返すうちに研磨用パッドが薄くなりすぎるため、一定の回数を使った後は研磨用パッドを使用できなくなる。しかし、本実施の形態における研磨用パッド1によれば、研磨シート2に充填されたゲル5を新たなゲル5に置きかえる工程を繰り返すことによって、研磨用パッド1を継続して使用することができる。
【0049】
この発明の実施の形態に従った半導体基板の研磨方法は、ベース部材としての定盤4の表面に、空隙7を含むシート部材としての研磨シート2を設ける工程と、研磨シート2の質量をMとし、無機物微粒子6を含むゲル状部材としてのゲル5の質量をNとするとき、研磨シート2およびゲル5の全体に占めるゲル5の割合N/(M+N)が、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように、研磨シート2にゲル5を含浸させる工程と、ゲル5が含浸された研磨シート2と半導体基板13の被研磨面13aとを接触させる工程と、研磨シート2と被研磨面13aとが接触する部分に砥粒8を含むスラリーを供給するとともに、研磨シート2と被研磨面13aとを相対的に移動させる工程とを備える。
【0050】
半導体基板の研磨方法は、所定の期間、研磨シート2と被研磨面13aとを相対的に移動させた後、研磨シート2からゲル5を除去する工程と、上述の関係を満たすように、ゲル5が除去された研磨シート2にゲル5を再び含浸させる工程とをさらに備える。
【0051】
このように構成された半導体基板の研磨用パッド1および半導体基板の研磨方法によれば、半導体基板13の被研磨面13aに接触する研磨シート2の研磨面2aはゲル5によって構成されている。このとき、ゲル5の含有率が0.5より小さい場合、ゲル5の割合が小さいため、ゲル5によって研磨面2aを十分に構成することができない。また、ゲル5の含有率が0.8よりも大きい場合、ある程度の柔軟性を有するゲル5の割合が大きくなりすぎて、研磨時において研磨面2aを構成しているゲル5の形状が維持されない。したがって、所定の割合でゲル5を含浸させた本実施の形態における研磨用パッド1によれば、研磨シート2の研磨面2aを確実にゲル5によって構成することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、半導体基板13の研磨を行なう前にあらかじめゲル5を研磨シート2に含浸させている。このため、研磨時にスラリーをゲル化する場合と比較して、均一性および再現性に優れて研磨シート2にゲル5を充填することができる。
【0053】
これにより、研磨面2aと半導体基板13の被研磨面13aとの間の摩擦力を低減させることができる。このため、被研磨面13aが強度の小さい材料から形成されている場合であっても、被研磨面13aにスクラッチなどの損傷を与えることなく研磨を行なうことができる。
【0054】
また、ゲル5によって研磨面2aが構成された研磨用パッド1によって、被研磨面13aに形成された微小な凹凸形状を平坦化しつつ、被研磨面13aのうねりによるマクロ的な凹凸形状を平坦化しない理想的な研磨を行なうことができる。さらに、摩擦による被研磨面13aの発熱も抑制することができる。
【0055】
また、樹脂のみから形成され、研磨面に凹凸形状を有する研磨用パッドによって半導体基板13の研磨を行なう場合と比較して、研磨面2aに接触する被研磨面13aに局所的な力が加わることがない。これにより、研磨時において、被研磨面13aの全面が均一な温度分布となるため、均一な研磨レートで被研磨面13aの全体を研磨することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態では、研磨シート2が、0<T≦1mmの関係を満たす厚みTで形成されている。研磨シート2の厚みTが1mmよりも大きい場合、研磨シート2の熱伝導性が悪くなる。したがって、研磨シート2の厚みTを1mm以下にすることによって、研磨時に被研磨面13aに発生した熱を効率良く定盤4側に伝えることができる。また、一般的に、無機物微粒子6を含むゲル5の熱伝導率は、樹脂の熱伝導率と比較して大きい。さらに、定盤4は、熱伝導率が高い材料によって形成されている。
【0057】
以上の理由から、被研磨面13aに発生した熱を研磨シート2を介して効率良く定盤4側に逃がし、その熱を外部に放出することができる。これにより、研磨時において、被研磨面13aの全面をより均一な温度分布とできるため、さらに均一な研磨レートで被研磨面13aの全体を研磨することができる。
【0058】
また、無機物微粒子6の平均粒径Rは、5nm≦R≦50nmの関係を満たしている。平均粒径Rが5nmよりも小さい場合、無機物微粒子6を含むゲル5が研磨シート2の研磨面2aを十分に構成することができないため、摩擦力の低減を十分に図れない。また、平均粒径Rが50nmよりも大きい場合、半導体基板13の研磨時において、被研磨面13aにスクラッチが形成されるおそれが生じる。以上の理由から、無機物微粒子6の平均粒径Rを上記の範囲にすることによって、被研磨面13aの状態を良好にして研磨を行なうとともに、研磨時の摩擦力を低減することができる。
【0059】
【実施例】
本発明による半導体基板の研磨用パッドの評価を行なうため、以下に説明する半導体基板の研磨試験を行なった。
【0060】
(実施例1)
図4を参照して、あらかじめ質量を測定しておいたポリエステル極細繊維の綿(研磨シート2)をアルミナ製の定盤(定盤4)に接着剤で貼り付けた。ポリエステル極細繊維の綿の表面にステンレス製の網を置き、その網の上から粒径10nmのヒュームドシリカ(無機物微粒子6)を濃度35質量%で含むスラリーを塗布した。この際、ステンレス網と定盤との隙間を調整することによって、塗布するスラリーの量とポリエステル極細繊維の綿の厚みTとを調整した。塗布したスラリーにpH9に調整されたアンモニア水溶液を噴霧した後、純水で洗浄した。これにより、ポリエステル極細繊維の綿にヒュームドシリカを含むゲルを含浸させた。
【0061】
ゲルを含んだ状態でポリエステル極細繊維の綿を定盤から剥がし、質量を測定した。ポリエステル極細繊維の綿の質量と、ゲルを含むポリエステル極細繊維の綿の質量とから、ゲルの含有率(ゲルを含むポリエステル極細繊維の綿に対してゲルが含まれる割合)を求めた。
【0062】
ポリエステル極細繊維の綿の厚みTとゲルの含有率とを変化させて複数の研磨用パットNo.1からNo.7を作成した。その研磨用パッドを用いて半導体基板の研磨を行なった。
【0063】
半導体基板を研磨用パッドに押し付ける圧力を約11.8(kPa)とし、研磨用パッドの研磨面と半導体基板の被研磨面との平均相対速度を1(m/s)とした。スラリーは、砥粒として、平均粒径20nmのヒュームドシリカを濃度1.2質量%で含み、さらに過酸化水素を濃度4質量%で、クエン酸および蓚酸などの有機酸ならびにベンゾトリアゾールを微量含むものを使用した。
【0064】
研磨を行なった半導体基板には、被研磨面が銅から形成されているシリコン基板を使用した。そのシリコン基板には、まず熱酸化膜が成膜されている。スパッタリング法により、熱酸化膜上にバリアメタルとしての窒化チタン(TaN)が厚み30nmで、その上から銅(Cu)が厚み200nmで成膜されている。さらにその上から、電気めっき法により、銅が厚み1μmで成膜されている。
【0065】
半導体基板の研磨時に、定盤に接続されたモーターのトルクを測定し、その値から半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力の大きさを評価することとした。研磨を1分間行なった後に半導体基板の厚みの減少量を複数地点で測定することによって、銅の研磨レートの平均値を求めた。また、被研磨面の中心部と周縁部との間の研磨レートのばらつきを求めた。また、半導体基板の被研磨面の状態を観察した。
【0066】
以上の研磨試験によって求めた各値を、研磨用パットNo.1からNo.7のポリエステル極細繊維の綿の厚みT、およびゲルの含有率の値とともに表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1を参照して、研磨用パッドNo.1および2では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mm以下とし、ゲルの含有率を0.5未満とした。研磨用パッドNo.3からNo.5では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mm以下とし、ゲルの含有率を0.5以上0.8以下とした。研磨用パッドNo.6では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mmとし、ゲルの含有率を0.8を超える値とした。研磨用パッドNo.7では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTを1mmを超える値とし、ゲルの含有率を0.8を超える値とした。
【0069】
研磨用パッドNo.1および2では、ゲルの含有率が小さすぎたため、半導体基板の被研磨面にスクラッチが観察された。また、半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力を十分に抑制することができず、被研磨面に発生した熱を効率良く放出することができなかった。このため、半導体基板の被研磨面の温度が高くなり、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが大きくなった。
【0070】
本発明に従った研磨用パッドNo.3からNo.5では、半導体基板の被研磨面と研磨用パッドの研磨面との摩擦力を抑制し、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが小さい理想的な研磨を行なうことができた。また、半導体基板の被研磨面にスクラッチも観察されなかった。
【0071】
研磨用パッドNo.6および7では、十分な研磨レートを得ることができず、被研磨面の中心部と周縁部との間で研磨レートのばらつきが大きくなった。ゲルの含有率が大きすぎて、研磨時にゲルの形状が維持されなかったためと考えられる。また、研磨用パッドNo.7では、ポリエステル極細繊維の綿の厚みTが大きすぎて、半導体基板の被研磨面に発生した熱を効率良く定盤側に放出できなかったことも原因の1つと考えられる。
【0072】
(実施例2)
実施例1の研磨試験の後、定盤にステンレス丸棒を押し付けながら転がすことによって、ポリエステル極細繊維の綿からゲルを除去した。続いて、実施例1に記載の手順に従って、ポリエステル極細繊維の綿にヒュームドシリカを含むゲルを再び同じ条件で含浸させた。ゲルを除去した後、再びゲルを含浸させる工程は、ポリエステル極細繊維の綿が乾燥しないように迅速に行なった。ゲルが一部残存している場合、そのゲルが硬くなってスクラッチを引き起こす原因となり得るからである。このようにして得られた研磨用パッドを用いて、実施例1に記載の条件と同じ条件で半導体基板の研磨を行なった。
【0073】
実施例1と同様に、モーターのトルク、研磨レート、および中心部と周縁部との間の研磨レートのばらつきを求めた。その結果、実施例1とほとんどかわらない値を得ることができた。このことから、研磨後のゲルを新たなゲルに置き換えても、高い再現性が得られることが確認できた。
【0074】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に従えば、被研磨面の温度分布を均一にするとともに、被研磨面の状態を良好にして研磨を行なうことができる半導体基板の研磨用パッドおよび半導体基板の研磨方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における研磨用パッドを示す斜視図である。
【図2】図1中の研磨用パッドを拡大した断面図である。
【図3】図2中の研磨用パッドの変形例を示す断面図である。
【図4】図1中の研磨用パッドを用いた半導体基板の研磨装置を示す斜視図である。
【図5】研磨時における半導体基板と研磨用パッドとの接触部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 研磨用パッド、2 研磨シート、3 連通孔、4 定盤、5 ゲル、6 無機物微粒子、7 空隙、8 砥粒、13 半導体基板、13a 被研磨面。
Claims (7)
- ベース部材の表面に設けられ、空隙を含むシート部材と、
前記空隙を充填するように前記シート部材に設けられ、無機物微粒子を含むゲル状部材とを備え、
前記シート部材の質量をMとし、前記シート部材に設けられた前記ゲル状部材の質量をNとするとき、前記シート部材および前記ゲル状部材の全体に占める前記ゲル状部材の割合N/(M+N)は、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たす、半導体基板の研磨用パッド。 - 前記シート部材は、多孔質状および繊維状のいずれか一方に形成されている、請求項1に記載の半導体基板の研磨用パッド。
- 前記シート部材は、0を超え1mm以下の厚みを有する、請求項1または2に記載の半導体基板の研磨用パッド。
- 前記無機物微粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウムおよび酸化マンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体基板の研磨用パッド。
- 前記無機物微粒子の平均粒径Rは、5nm≦R≦50nmの関係を満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体基板の研磨用パッド。
- ベース部材の表面に、空隙を含むシート部材を設ける工程と、
前記シート部材の質量をMとし、無機物微粒子を含むゲル状部材の質量をNとするとき、前記シート部材および前記ゲル状部材の全体に占める前記ゲル状部材の割合N/(M+N)が、0.5≦N/(M+N)≦0.8の関係を満たすように、前記シート部材に前記ゲル状部材を含浸させる工程と、
前記ゲル状部材が含浸された前記シート部材と半導体基板の被研磨面とを接触させる工程と、
前記シート部材と前記被研磨面とが接触する部分に砥粒を含むスラリーを供給するとともに、前記シート部材と前記被研磨面とを相対的に移動させる工程とを備える、半導体基板の研磨方法。 - 所定の期間、前記シート部材と前記被研磨面とを相対的に移動させた後、前記シート部材から前記ゲル状部材を除去する工程と、前記関係を満たすように、前記ゲル状部材が除去された前記シート部材に前記ゲル状部材を再び含浸させる工程とをさらに備える、請求項6に記載の半導体基板の研磨方法。
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