JP2004281451A - 熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】カスケード型熱電変換素子の設計および製造性を高める。
【解決手段】能力が異なる二個以上の熱電変換素子を多段に接続し、カスケード型熱電変換素子を形成し、各段の熱電変換素子の電気的な接続を並列に行う。また、能力の高い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数とこれに接続する能力の低い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数の関係が後者の方を多くしている。これにより、熱電材料の温度特性を活かし、冷却効率の高いカスケード型熱電変換素子を作製できる。
【選択図】 図1
【解決手段】能力が異なる二個以上の熱電変換素子を多段に接続し、カスケード型熱電変換素子を形成し、各段の熱電変換素子の電気的な接続を並列に行う。また、能力の高い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数とこれに接続する能力の低い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数の関係が後者の方を多くしている。これにより、熱電材料の温度特性を活かし、冷却効率の高いカスケード型熱電変換素子を作製できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、P型およびN型熱電材料からなる熱電エレメントを備え、ペルチェ効果による電子冷却・発熱を可能とする熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換素子は、P型熱電材料とN型熱電材料とを、金属を介して接合し、PN接合を形成することにより作製される。この熱電変換素子は、素子に電流を流すことにより、一方の接合対で冷却、他方の接合対で発熱が起こるいわゆるペルチェ効果を生じ、これを利用した冷却装置や精密温度制御装置などとして利用されている。
【0003】
一般に、熱電変換素子は複数個の熱電エレメントと呼ばれる柱状のP型およびN型熱電材料片(以下、熱電エレメントと呼ぶ)とこれらを接合する金属電極を備えた2枚の基板により構成されている。P型及びN型熱電エレメントは2枚の基板に挟み込まれた状態で、一端面が一方の基板の金属電極に、他端面がもう一方の基板の金属電極にそれぞれ固着され、該金属電極を介してPN接合対が形成されるとともに、PN接合対が直列につながれるようになっている。
【0004】
また、熱電変換素子の用途のうち、ペルチェ効果に基づく冷却では、冷却温度、冷却に伴う吸熱量等は素子を構成する熱電材料の性能で決まる。このため、冷却温度を特別に下げる場合、カスケード型素子と呼ばれる多段型素子が使われている。このカスケード型素子は、熱電変換能力の大きな素子、すなわち、吸熱能力の大きな素子の吸熱側基板上に熱電変換能力の小さな素子を形成することにより作られている。この場合、各々の熱電エレメントの高さおよび太さ(断面積)は同一であり、能力の違いを熱電エレメントの本数で差をつけている。熱電変換能力の大きな素子(下段)と小さな素子(上段)との間は、一枚の絶縁性基板で区切られ、電気的な接続は、この一枚の絶縁性基板に設けられた表面が導電性被膜で覆われた貫通穴表面によりなされ、かつ、二つの素子が直列に接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このカスケード型素子の性能を高めるための工夫もなされている。例えば、各段の基板の大きさを同一にすると同時に、各段の熱電エレメント数を同一とし、各段間の接続を並列としており、さらに、上段の素子と比べ、下段の素子冷却能力を高めるため、下段の素子の熱電エレメントを2つ、あるいは4つに分割し、分割された熱電エレメント群内の熱電エレメントを通常のごとく直列に接続する。この熱電エレメント群と各段の熱電エレメント群を並列につなぐ。これにより、各熱電エレメント群には、同一の電圧がかかることになるので、下段の熱電エレメントほど熱電エレメント群の電気抵抗が低いため多くの電流が流れることとなり、結果として、下段の素子の吸熱能力を高めることとなる。また、吸熱と放熱のバランスを良くし、ロスを少なくするため、各段の熱電エレメントのアスペクト比(断面積と高さの比)を変えることなども考えられている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−190071号公報(第6頁、第4図)
【0007】
【特許文献2】
特開平8−236820号公報(第3頁、20−23行)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カスケード型素子では、上下の段の素子間には、それそれの素子で共通の絶縁基板を介して一体化している。このため、上下の素子は、それぞれ独立したものではなく、一体化されて作られるもので、作製・製造上画一化されたものとなり、汎用性が低いものとなっていた。
【0009】
さらに、各段を直列に接続するカスケード型素子では、各熱電エレメントに一定の電流が流れることとなるので、個々の熱電エレメントの負荷を一定に保ち、かつ、安定した動作を行うためには、すべての熱電エレメントの形状、大きさを同一のものとする必要があった。
【0010】
一方、熱電変換素子を冷却素子として使用する場合、吸熱量は電流値の二次関数で近似される。この二次関数の二次の項には、素子の電気抵抗値、一次の項には、ゼーベック係数が掛けられため、吸熱特性は、ゼーベック係数を電気抵抗値で除した値により大きく影響される。室温付近で最も多用されるビスマスとテルルを主な成分とする材料では、温度上昇とともに電気抵抗が上昇する。このため、ゼーベック係数と電気抵抗の比が変化してしまい、使用する温度でその特性に変化を生じ、同時に最適条件が使用温度で変化する。カスケード型素子では、通電時、上段では温度が低く、下段では温度が高くなっており、それぞれの段で熱電材料の特性に変化を生じることとなる。この場合、上段は、下段と比べ、抵抗値が高くなる。特許文献2にあげた上段と下段を電気的に並列に接続した素子では、上段と下段に同じ電圧が印加されることから、電気抵抗に応じた電流がそれぞれの素子に流れることとなるため、電気抵抗の低い下段では、電気抵抗の高くなっている上段と比べ多くの電流が流れることとなる。このため、このような素子では、素子としての最適化を図ることや上下段間の吸熱と放熱のバランスをうまくとることが出来なかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
本発明では、各段の熱電変換素子を各々別の熱電変換素子として作製し、冷却能力に応じて複数の熱電変換素子を接続する。この際、各熱電変換素子を構成する絶縁基板の外面間を、はんだ材、ろう材、接着材等で接合してある。
【0012】
この発明によれば、個々の段の熱電変換素子を独立に作製し、これらを適宜組み合わせることにより、使用条件に応じたカスケード型熱電変換素子を提供することができるので、カスケード型熱電変換素子として特別な設計、製造を行う必要がなくなる。また、個々の熱電変換素子は、通常の素子として、単独に使用することができるので汎用性が高くなる。
【0013】
また、本発明では、各段の熱電変換素子間の接続が、電気的に並列に接続されている箇所があるようにしてある。すなわち、各段の熱電変換素子間の電気的な接続をその一部または全てで並列に接続することにより、並列に接続されている部分に同じ電圧が印加するようになっている。この場合、熱電変換能力の低い上段の熱電変換素子の第一の基板に設けられた入力電極と熱電変換能力の高い下段の第一の基板に設けられた入力電極とを直接電気的に接続する場合と各々の段の熱電エレメントを一旦介し、上下段の熱電変換素子を電気的に接続する場合がある。
【0014】
この発明によれば、各段の熱電変換素子に同じ電圧を印加することができるので、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流を流すことが出来るようになる。したがって、各段の熱電変換素子を個別に設計することにより、使用条件に応じ、安定した駆動が可能となると同時に、ロスを最小限におさえ最適化されたカスケード型熱電変換素子として活用できる。
【0015】
また、本発明では、各段の熱電変換素子を電気的な接続が、下段である熱電変換能力の高い熱電変換素子の第一の基板上に設けられた入力電極と一体となっている熱電エレメント接合用電極に接続されている熱電エレメントが接続されているもう一方の電極、すなわち、この熱電変換素子を構成する第二の基板上の電極のうち最初の電極と、この熱電変換素子に接合された熱電変換能力の低い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極となるべき電極との間でなされている。
【0016】
この発明によれば、下段の熱電変換素子に配置される熱電エレメントのうち、この熱電変換素子の二つの入力電極に接合された2本の熱電エレメントが上段の熱電変換素子への入力電流を供給する導体として働くこととなるため、この2本を除いて上下段の熱電変換素子は電気的に並列に接続されることとなる。したがって、全体としては、上下の素子に同じ電圧が印加されることとなり、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流を流すことが出来るようになる。したがって、各段の熱電変換素子を個別に設計することにより、使用条件に応じ、安定した駆動が可能となると同時に、ロスを最小限におさえ最適化されたカスケード型熱電変換素子として活用できる
また、本発明では、下段の熱電変換素子とこれに接合された上段の熱電変換素子の電気的接続が、下段の熱電変換素子の第一の基板上の入力電極と上段の熱電変換素子の第一の基板上の入力電極との間で、金属等の導電性材料により行われている。
【0017】
この発明によれば、上下に接合される二つ熱電変換素子は、電気的に完全に並列に接続されるので各々の電気抵抗に応じて、電流が分配されることとなり、各々の熱電変換能力により、カスケード型熱電変換素子としての能力を発揮できるようにできる。また、所望とする熱電変換能力を有するカスケード型熱電変換素子を設計・作製する場合、各段の熱電変換素子を個別に設計・作製し、これらの熱電変換素子を各基板間で接合した後、外部から金属ワイヤー等で簡単に接続できるので、容易にカスケード型熱電変換素子を作製できる。さらに、各段の熱電変換素子は、それ自体が単独の素子としても使用できる。
【0018】
また、本発明では、熱電変換素子を構成する熱電材料として、電気抵抗が使用温度上昇とともに上昇する熱電材料を用いている。この様な材料として、室温付近で性能が高いビスマスとテルルを主な成分とする材料が挙げられる。
【0019】
この発明によれば、OLE_LINK2熱電材料の温度特性を活かしたカスケード型熱電変換素子を作製することが出来る。すなわち、各段の熱電変換素子の使用温度による電気抵抗値の変化にあわせた熱電エレメント構成とすることが出来るようになる。OLE_LINK2
また、本発明では、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段の熱電変換素子、すなわち上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数の比が、1対1から、後者に熱電変換効率の低い熱電変換素子単独で得られる最大温度差とこの熱電変換素子を構成する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化率との積を加えた値の範囲にしてある。
【0020】
この発明によれば、熱電材料の温度特性を活かしたカスケード型熱電変換素子を作製することが出来る。すなわち、各段の熱電変換素子の使用温度による電気抵抗値の変化にあわせた熱電エレメント構成範囲を提供することが出来るようになる。
【0021】
また、本発明では、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段(放熱側すなわち高温側)の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数が、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い熱電変換素子、すなわち、上段(吸熱側すなわち低温側)の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と同数もしくは少なくしてある。
【0022】
この発明によれば、熱電材料として、ビスマスとテルルの化合物などを使用した場合、下段用として高温側にもちいられる熱電変換能力が高い素子は、上段用熱電変換素子に対し、その温度特性により電気抵抗率が上昇してしまうが、この温度上昇に伴う抵抗上昇分と熱電エレメント本数の違いが相殺されるので、並列に接続され、同じ電圧が印加される各段の熱電変換素子に流れる電流を最適な条件で流すことができる。
【0023】
また、本発明は、熱電変換能力が高い熱電変換素子すなわち下段(放熱側すなわち高温側)の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積を、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い熱電変換素子すなわち上段(吸熱側すなわち低温側)の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積よりも大きくすることにより、電気抵抗を下げ、能力の高い下段の熱電変換素子により多くの電流を流すことが出来るようになっている。
【0024】
この発明によれば、温度上昇による抵抗値上昇分に相当する分だけ、高温となる下段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を減らすことにより、電気的に並列に接続された上段の熱電変換素子と同じ電圧で効率よく駆動でると同時に下段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの断面積をより大きくすることにより、同じ電圧でより大きな電流を流すことができるようになるので、熱電変換能力が上昇し、上段からの熱(上段熱電変換素子と素子に流入する熱負荷)をより多く吸熱することが出来るようになり、より性能が高いカスケード型熱電変換素子となる。
【0025】
また、本発明では、熱電変換能力が高い下段の熱電変換素子を構成する個々のエレメントの高さを、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い上段の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの高さよりも低くすることにより、下段の熱電変換素子の電気抵抗を下げ、電流を多く流すようにしてある。
この発明によれば、温度上昇による抵抗値上昇分に相当する分だけ、高温となる下段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を減らすことにより、電気的に並列に接続された上段の熱電変換素子と同じ電圧で効率よく駆動でると同時に上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの高さを高くすることにより、熱電エレメントの電気抵抗値が高くなるので同じ電圧で上段の熱電変換素子に流入する電流値を下段の熱電変換素子のそれに対して小さくすることとなり、下段の熱電変換素子の相対的な熱電変換能力が上昇するので上段からの熱(上段熱電変換素子と素子に流入する熱負荷)をより多く吸熱することが出来るようになり、より性能が高いカスケード型熱電変換素子となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態例>
本発明に関わる第1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明である熱電変換素子のうち、二段のカスケード型熱電変換素子の概要を示したものであり、(a)は上段上面から、(b)は側面からの概要を示したものである。
【0028】
図1に示されるように、本発明である熱電変換素子は下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2が下段の熱電変換素子1の第二の基板3と熱電変換素子2の第一の基板6ではんだ材を介して接合されている。各段の熱電変換素子は二枚の基板に熱電エレメントが挟まれている通常のπ型熱電変換素子構造となっている。すなわち、第一の基板4、6と第二の基板3、7の内面にはPN接合用電極5が形成されており、これを介してP型熱電半導体からなるP型熱電エレメント8とN型熱電半導体からなるN型熱電エレメント9が交互に直列に接合されることにより、各段の熱電変換素子が形成されている。これらの各段の熱電変換素子は、図に示した構造からも明らかなように、個々の熱電変換素子としても使用できるものである。また、下段の熱電変換素子を構成する第一の基板4、第二の基板3および上段の熱電変換素子2を構成する第一の基板6、第二の基板7の表面はメタライズ層11、10、13、12が形成されている。これらのメタライズ層10とメタライズ層13は、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2とをはんだで機械的、熱的に強固に接合するために設けられたものである。また、メタライズ層11とメタライズ層12は、この熱電変換素子を外部の放熱装置やレーザーダイオード、CCD等の発熱部品とをはんだ等で接続をし易くするために設けられている。
【0029】
下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の2箇所の電気的な接続は、一方の接続では、下段の熱電変換素子1の第一の基板4に設けられた一方の入力電極となる電極17に接続されているP型熱電エレメント8が接続されるべき下段の熱電変換素子1の第二の基板3の電極18と上段の熱電変換素子2の一方の入力電極となるべき上段の熱電変換素子の第一の基板6上の最初の電極19にフック状の金属線14により行われており、他方の接続では、N型熱電エレメント9に対して同様に行われている。これにより、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2は、下段の熱電変換素子1の二つの入力電極に接続されるP型およびN型の熱電エレメント1本を除いて、並列に接続されることとなる。なお、外部からの電力の供給は下段の熱電変換素子1の第一の基板4の電極17にはんだ15により接続されたリード線16により行われるようになっている。
【0030】
このように構成されている発明の熱電変換素子を構成する各段の熱電変換素子の熱電エレメントの配置を図2および図3に示す。図2(a)は、図1における下段の熱電変換素子1の熱電エレメント8,9及び電極18の配置を、第1の基板4の下方より透視することにより表した図である。図2(b)は、図1における下段の熱電変換素子1の熱電エレメント8,9及び電極17の配置を、第2の基板3の上面より透視することにより表した図である。同様に、図3(a)は、図1における上段の熱電変換素子2の熱電エレメント8,9を、第1の基板6の下方より透視することにより表した図であり、図3(b)は、図1における上段の熱電変換素子2の熱電エレメント8,9及び電極19の配置を、第2の基盤7の上面より透視することにより表した図である。
【0031】
下段の熱電変換素子1は図2に示したように下段の熱電変換素子は48対のP型熱電エレメント8とN型熱電エレメント9から構成されており、図3に示した上段の熱電変換素子は56対のP型熱電エレメントとN型熱電エレメントから構成されている。このカスケード型熱電変換素子では、P型熱電エレメントとしてビスマス、アンチモン、テルルと微量添加元素からなる材料を、N型熱電エレメントとしてビスマス、テルルと微量添加元素からなる材料を用いた。これらの材料の電気抵抗は、使用温度範囲において、1℃の温度上昇につき0〜2%程度上昇する特性を有しているが、本実施の形態では、0.6%のものを使用した。
【0032】
この様にして作製した二段カスケード型熱電変換素子に直流電流を通電することにより、下段の熱電変換素子1の第一の基板2を放熱基板と、上段の熱電変換素子2の第二の基板7を吸熱基板として使用することが出来ることはいうまでもない。一般に上記の材料を熱電エレメントとして使用した二段カスケード型熱電変換素子ではこの放熱基板を25℃とした場合、吸熱基板の温度を−50℃から−80℃程度まで下げることができる。すなわち、温度差で75℃から105℃が得られることとなるが、下段の熱電変換素子1の平均温度と上段の熱電変換素子2の平均温度には、30℃から50℃程度の温度差が生じることが容易に推定できる。このため、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の電気抵抗の比率は、通電前後で、平均の温度差が30℃の場合18%となり、50℃に至っては30%もの変化を生じてしまうこととなる。本実施の形態では、下段と上段の熱電変換素子の熱電エレメントの対数を上記のようにそれぞれ48対と56対としてあり、56/48≒1.17すなわち約17%のだけ、上段の対数を増やしてある。これにより、下段の熱電変換素子1の平均温度と上段の熱電変換素子2の平均温度の差が、17/0.6≒28℃となったとき、バランスがとれた駆動がなされることとなる。すなわち、上下段の熱電変換素子の熱電エレメントが作る温度差が28×2=56℃のときが、バランスがよくなる。
【0033】
多くの場合、半導体レーザーやCCD、センサー等の熱負荷となる部品が、はんだ等で上段の熱電変換素子2の第二の基板7上のメタライズ層12に取り付けられる。この熱負荷となる部品から発せられる熱は、上段の熱電変換素子2により吸熱され、さらに下段の熱電変換素子1により、この熱と上段の熱電変換素子2により発熱される熱を吸熱し、第一の基板3から排出することとなる。したがって、温度差を作ることだけでなく、上下段の熱電変換素子の吸熱能力のバランスも重要となる。通常の一段型熱電変換素子の吸熱能力は、素子に入力でできる電力できまるが、これは、熱電エレメントの断面積と対数に比例し、熱電エレメントの高さに反比例する。言い換えれば、熱電変換素子の吸熱能力は、(熱電エレメントの断面積)×(熱電エレメントの対数)÷(熱電エレメントの高さ)で決めることができる。上段および下段のこの値を決めるには、使用条件、効率、使用できる電圧、電流等々多くの要因が関わってくるが、簡単な一例として、上下段で(吸熱量)÷(入力電力)で表される成績指数(COP)による方法を挙げる。本実施形態で用いて熱電材料では、一段型熱電変換素子の場合の温度差である28℃、たとえば、放熱側温度を50℃、低温側温度を22℃とした場合、熱電性能を表す性能指数Zが2.8×10−3K−1のとき、最大COPは1.1が期待できる。したがって、本実施の形態である二段カスケード型熱電変換素子において、下段の熱電変換素子おおび上段の熱電変換素子2のCOPをともに1.1(110%)の条件で駆動する場合、熱負荷を1Wとすると上段の熱電変換素子2には0.91Wの電力が入力され、合計1.91Wの熱が下段の熱電変換素子1へ流入することとなる。このため、下段の熱電変換素子1には1.74Wの電力を供給できるように上記の値を設定すればよいこととなる。すなわち、上下の熱電変換素子の能力比を0.91:1.74とすれば良いこととなる。下段の熱電変換素子の平均温度と上段の熱電変換素子の平均温度の差が28℃付近のとき、本実施の形態の素子では、上記のように上下の熱電変換素子の電気抵抗のバランスがとれるので、この温度条件付近で使用する場合、上段の熱電エレメントの断面積を1、高さを1とすると対数が56対なので、下段の熱電エレメントは、熱電エレメントの高さを1(上段の熱電エレメントと同じ)とすると断面積は、56÷48×1.74÷0.91=2.23となる。すなわち、熱電エレメントの高さを上下段とも同じとした場合、上下の熱電エレメントの断面積比を1:2.23とすることにより、各段のCOP=1.1すなわちトータルCOP=1÷(0.91+1.74)=0.377となる。なお、この値は、一段型熱電変換素子で期待できる値であるCOP=0.29を大幅に上回る値である。
【0034】
上記の例では、熱電エレメントの高さを上下段の熱電変換素子で同じとしたが、断面積の比を適宜変化させ、この割合で高さを変えることによっても同じ性能をえることが出来る。
【0035】
また、単に温度差を大きくするだけのために使用する場合は、上段の熱電変換素子の上記の関係より算出される値を小さくし、下段の熱電変換素子の値を大きくすればよいことになるが、この場合、上下段の熱電変換素子の温度差が大きくなり、抵抗値の変化が大きくなるので、下段の熱電変換素子の熱電エレメント対数に対する上段の熱電変換素子のエレメントの対数の比率をさらに大きくすることが良いといえる。
【0036】
<第2の実施の形態例>
図4は、本発明である熱電変換素子の主要部の断面図であり、第1の実施の形態例と同様、二段カスケード型熱電変換素子について記す。下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2は第1の実施の形態と同様、はんだにより接続されているが、電気的には、下段の熱電変換素子1の第二の基板4の電極18と上段の熱電変換素子2の入力電極19に設けられた表面がメタライズされたスルーホール20により、はんだにより接続されている。電気的な接続は第1の実施の形態と同様である。
【0037】
二段カスケード型熱電変換素子は、熱電エレメントが二段となると同時に、本発明の熱電変換素子では、合計4枚の基板が用いられる。このため、高さは、通常一段型熱電変換素子の高さの2倍となり、大きさ、高さの点で不利となる。原理的には、熱電変換素子は、熱電エレメントの断面積と高さの比を一定にすれば、同等の素子とすることが出来ることから、熱電エレメントを低くすることにより、小型化が図れる。加工が困難とされているビスマスとテルルを主成分とする熱電材料による熱電変換素子の小型化・薄型化には、多くの方法が検討されている。第2の実施の形態では、小型化と薄型化を目的として、特開平8−97472に開示された熱電変換素子の製造方法に従い、各段の熱電変換素子を作製した。これにより作製された熱電エレメントおよび電極の配置を図5、6に示す。
【0038】
図5は、熱電変換能力が大きい下段の熱電変換素子の各基板における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。このうち、図5(a)は、図4における下段の熱電変換素子1の第二の基板3の下方より透視したときの、第二の基板4における熱電エレメントと電極の配置を示したものであり、図5(b)は、同様に第二の基板4の上方より透視した第一の基板3における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。
【0039】
図6は、熱電変換能力が小さい上段の熱電変換素子の各基板における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。このうち、図6(a)は、上段の熱電変換素子2の第二の基板6の下方より透視したときの、第二の基板7における熱電エレメントと電極の配置を示したものであり、図6(b)は、同様に第二の基板7の上方より透視した第一の基板6における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。
【0040】
図5(a)に示したように第二の基板4の電極には、図4に示したスルーホール20を構成するスルーホール21が設けられている。このスルーホール21の内面は、メタライズされている。このメタライズされたスルーホール21は、電極18と、同様にメタライズされたスルーホール22が設けられている上段の熱電変換素子2の入力電極19とを、はんだにより機械的および電気的に接続されるために用いられる。したがって、上下二つの熱電変換素子の電気的な接続は、下段の熱電変換素子1の第一の基板3上の入力電極21に接続された熱電エレメントが接続する第二の基板4上の電極を介して、上段の熱電変換素子2の入力電極19に行われている。
【0041】
この二段カスケード型熱電変換素子では、下段の熱電変換素子1の熱電エレメントの本数を56本、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの本数を72本とした。エレメント本数の比は、72/56=1.29となり、29%上段の割合が大きくなっている。すなわち、ビスマス・テルル系材料(1℃温度が上昇すると電気抵抗が0.6%上昇する)を使用した場合、29/0.6=48℃となり、上段の熱電変換素子2と下段の熱電変換素子1の平均温度の差が48℃の時、バランスが取れるようになる。すなわち、温度差が48×2=96℃程度の時、バランスが良い状態で駆動する。一段型熱電変換素子の場合の温度差である48℃、たとえば、放熱側温度を50℃、低温側温度を2℃とした場合、熱電性能を表す性能指数Zが2.8×10−3K−1のとき、最大COPは0.38程度が期待できる。このとき、上段の熱電変換素子2の第二の基板7上に熱負荷として、0.2Wが加えられた場合、上段の熱電変換素子2に0.2/0.38=約0.53Wの入力電力を加えられ、下段の熱電変換素子1には、(0.2+0.53)/0.38=約1.92Wの電力を入力すればよいこととなる。並列にならない下段の2本を考えなければ、熱電エレメントの断面積の比を0.53対1.92、すなわち、1対3.62とすればよいことになる。また、断面積を1対1.81とすれば、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの高さと下段の熱電エレメントの高さの比を2対1とすれば、アスペクト比が一定となることから、同じ性能を発揮するものを作製できる。
【0042】
<第3の実施の形態例>
第3の実施の形態例について、図面をもとに説明する。図7は本実施の形態例の二段カスケード型熱電変換素子の主要部を示したものであり、(a)は上段上面から、(b)は側面からの概要を示したものである。
【0043】
使用した各段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数は、第1の実施の形態例にあげた熱電変換素子と同じである。すなわち、下段の熱電変換素子1の熱電エレメントの対数を48対とし、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの対数を56対とした。
【0044】
下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の一体化は下段の熱電変換素子1の第二の基板3と上段の熱電変換素子2の第一の基板6とをそれぞれの表面に形成されたメタライズ層10、13をはんだによりなされている。電気的な接続は、下段の熱電変換素子1の入力電極17と上段の熱電変換素子2の入力電極19とが金属ワイヤー23によりなされている。この金属ワイヤー23は、この部分に流す電流値により、その太さ、長さ等を変える必要があるが、1から2アンペア程度までであれば、金ワイヤーやアルミニウムワイヤーを用いた、所謂、ワイヤーボンディングになどが作製上容易であるので推奨される。
【0045】
この素子では、下段の熱電変換素子1の放熱側の基板である第一の基板4と下段の熱電変換素子1の吸熱側の基板である第二の基板3と直接接続される上段の熱電変換素子2の放熱側の基板となる第一の基板6とが熱伝導体である金属ワイヤー24で接続されるため、これを介して流れる熱により下段の熱電変換素子1に熱負荷が生じることが予想される。しかしながら、金属ワイヤー24の太さと長さを適宜設定すれば、大きな熱負荷となることはない。例えば、ワイヤーボンディングによる直径25マイクロメートル、長さ2ミリメートルの金ワイヤーを用いた場合、2本のワイヤーからは、その熱伝導率と温度差から推定して数mW程度の熱流入にすぎなく、数百mWから数W以上の吸熱を行うこととなる下段の熱電変換素子1の能力に対しては大きな問題とはならない。
【0046】
本実施の形態においても、熱電エレメント本数の比が最初の1本を除いて、実施の形態1と同じとなることから、上下の熱電変換素子の能力比を0.91:1.74とすれば良いこととなる。同様に、下段の熱電変換素子の平均温度と上段の熱電変換素子の平均温度の差が28℃付近のとき、本実施の形態の素子では、上記のように上下の熱電変換素子の電気抵抗のバランスがとれるので、この温度条件付近で使用する場合、上段の熱電エレメントの断面積を1、高さを1とすると対数が56対なので、下段の熱電エレメントは、熱電エレメントの高さを1(上段の熱電エレメントと同じ)とすると断面積は、56÷48×1.74÷0.91=2.23となる。すなわち、熱電エレメントの高さを上下段とも同じとした場合、上下の熱電エレメントの断面積比を1:2.23とすることにより、各段のCOP=1.1すなわちトータルCOP=1÷(0.91+1.74)=0.377となり、一段型熱電変換素子で期待できる値であるCOP=0.29を大幅に上回る値がえられる。
【0047】
本実施の形態に用いた各段の熱電変換素子は、それ自体が単独の素子として利用できる構造を有している。すなわち、図7(b)および図8に示した下段の熱電変換素子1の熱電エレメントと電極の配置を表した図、さらに図9に示した上段の熱電変換素子2の熱電エレメントと電極の配置を表した図からもわかるように、これらの熱電変換素子1および2は、通常の構造を有しており、上下の電気的な接続を行うための電極やスルーホールといった特殊な構造部を有していない。このため、これらの熱電変換素子は通常の熱電変換素子として単独に使用できるものとなっている。
【0048】
実施の形態1から実施の形態3では、所望とする温度差と吸熱量との関係により、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの本数の比率を決めたが、この比の範囲については、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段の熱電変換素子、すなわち上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数の比が、1対1から、後者に熱電変換効率の低い熱電変換素子単独で得られる最大温度差とこの熱電変換素子を構成する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化率との積を加えた値の範囲にすることにより、最適化がなされる。たとえば、最も多用されている性能指数Zが2.8×10−3K−1のビスマスとテルルおよびアンチモンとテルルを主成分とする熱電材料は、室温付近では温度が1度上昇すると電気抵抗が0から1%程度上昇する。この用いた場合、放熱側の温度を25℃とした場合、一段の素子で−45℃程度まで下がる。すなわち、温度差として70Kが得られることとなる。このような、熱電変換素子を適宜能力変えたものを2個以上多段に接続した場合、下段の熱電変換素子1とこれに接続する上段の熱電変換素子2の平均温度の差の最大として、70K程度が見込まれることとなり、最大0×70=0から0.01×70=0.7倍の抵抗変化が見込まれる。この抵抗の変化分を上段の熱電変換素子2に予め見込んだもの、すなわち、下段の熱電変換素子1の熱電エレメント本数と下段の熱電変換素子2の熱電エレメント本数の最大比は、1:1から1:1.7となる。実施の形態1から3に記した熱電材料では、温度に対する抵抗の変化率が0.6%であることから、最大比は、1:(1+70×0.006)=1:1.42ということとなる。
【0049】
【発明の効果】
以上、実施の形態において詳細に説明したように本発明によれば、熱電変換素子の性能を向上させることができると同時に冷却性能の効率を高めることができる。すなわち、各段の熱電変換素子の入力を並列に行うことにより、同じ電圧が印加されることになるので、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流が流れることとなり、電流値に応じた冷却能力を発揮する。したがって、使用条件に応じた能力の熱電変換素子を各段に配置することにより最適化が図れる。また、使用する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化を考慮して、各段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を決定することにより、さらに、冷却効率が上昇する。さらに、各段の熱電変換素子として、単一で用いられる通常の熱電変換素子を使用するので、汎用性が高まると同時に製造コストの低減も図れる。
【0050】
なお、実施の形態では、二段カスケード型熱電変換素子について記述したが、三段以上のカスケード型熱電変換素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0051】
さらに、本発明の熱電変換素子によれば、これまで限られたレーザーダイオード、CCDをはじめとする半導体部品等への適用に対して、その適用範囲が、格段に広まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【符号の説明】
1・・・下段の熱電変換素子
2・・・上段の熱電変換素子
3・・・第二の基板
4・・・第一の基板
5・・・PN接合用電極
6・・・第一の基板
7・・・第二の基板
8・・・P型熱電エレメント
9・・・N型熱電エレメント
10・・・メタライズ層
11・・・メタライズ層
12・・・メタライズ層
13・・・メタライズ層
14・・・フック状の金属線
15・・・はんだ
16・・・リード線
17・・・電極
18・・・電極
19・・・電極
20・・・スルーホール
21・・・スルーホール
22・・・スルーホール
23・・・金属ワイヤー
【発明の属する技術分野】
本発明は、P型およびN型熱電材料からなる熱電エレメントを備え、ペルチェ効果による電子冷却・発熱を可能とする熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換素子は、P型熱電材料とN型熱電材料とを、金属を介して接合し、PN接合を形成することにより作製される。この熱電変換素子は、素子に電流を流すことにより、一方の接合対で冷却、他方の接合対で発熱が起こるいわゆるペルチェ効果を生じ、これを利用した冷却装置や精密温度制御装置などとして利用されている。
【0003】
一般に、熱電変換素子は複数個の熱電エレメントと呼ばれる柱状のP型およびN型熱電材料片(以下、熱電エレメントと呼ぶ)とこれらを接合する金属電極を備えた2枚の基板により構成されている。P型及びN型熱電エレメントは2枚の基板に挟み込まれた状態で、一端面が一方の基板の金属電極に、他端面がもう一方の基板の金属電極にそれぞれ固着され、該金属電極を介してPN接合対が形成されるとともに、PN接合対が直列につながれるようになっている。
【0004】
また、熱電変換素子の用途のうち、ペルチェ効果に基づく冷却では、冷却温度、冷却に伴う吸熱量等は素子を構成する熱電材料の性能で決まる。このため、冷却温度を特別に下げる場合、カスケード型素子と呼ばれる多段型素子が使われている。このカスケード型素子は、熱電変換能力の大きな素子、すなわち、吸熱能力の大きな素子の吸熱側基板上に熱電変換能力の小さな素子を形成することにより作られている。この場合、各々の熱電エレメントの高さおよび太さ(断面積)は同一であり、能力の違いを熱電エレメントの本数で差をつけている。熱電変換能力の大きな素子(下段)と小さな素子(上段)との間は、一枚の絶縁性基板で区切られ、電気的な接続は、この一枚の絶縁性基板に設けられた表面が導電性被膜で覆われた貫通穴表面によりなされ、かつ、二つの素子が直列に接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このカスケード型素子の性能を高めるための工夫もなされている。例えば、各段の基板の大きさを同一にすると同時に、各段の熱電エレメント数を同一とし、各段間の接続を並列としており、さらに、上段の素子と比べ、下段の素子冷却能力を高めるため、下段の素子の熱電エレメントを2つ、あるいは4つに分割し、分割された熱電エレメント群内の熱電エレメントを通常のごとく直列に接続する。この熱電エレメント群と各段の熱電エレメント群を並列につなぐ。これにより、各熱電エレメント群には、同一の電圧がかかることになるので、下段の熱電エレメントほど熱電エレメント群の電気抵抗が低いため多くの電流が流れることとなり、結果として、下段の素子の吸熱能力を高めることとなる。また、吸熱と放熱のバランスを良くし、ロスを少なくするため、各段の熱電エレメントのアスペクト比(断面積と高さの比)を変えることなども考えられている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−190071号公報(第6頁、第4図)
【0007】
【特許文献2】
特開平8−236820号公報(第3頁、20−23行)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カスケード型素子では、上下の段の素子間には、それそれの素子で共通の絶縁基板を介して一体化している。このため、上下の素子は、それぞれ独立したものではなく、一体化されて作られるもので、作製・製造上画一化されたものとなり、汎用性が低いものとなっていた。
【0009】
さらに、各段を直列に接続するカスケード型素子では、各熱電エレメントに一定の電流が流れることとなるので、個々の熱電エレメントの負荷を一定に保ち、かつ、安定した動作を行うためには、すべての熱電エレメントの形状、大きさを同一のものとする必要があった。
【0010】
一方、熱電変換素子を冷却素子として使用する場合、吸熱量は電流値の二次関数で近似される。この二次関数の二次の項には、素子の電気抵抗値、一次の項には、ゼーベック係数が掛けられため、吸熱特性は、ゼーベック係数を電気抵抗値で除した値により大きく影響される。室温付近で最も多用されるビスマスとテルルを主な成分とする材料では、温度上昇とともに電気抵抗が上昇する。このため、ゼーベック係数と電気抵抗の比が変化してしまい、使用する温度でその特性に変化を生じ、同時に最適条件が使用温度で変化する。カスケード型素子では、通電時、上段では温度が低く、下段では温度が高くなっており、それぞれの段で熱電材料の特性に変化を生じることとなる。この場合、上段は、下段と比べ、抵抗値が高くなる。特許文献2にあげた上段と下段を電気的に並列に接続した素子では、上段と下段に同じ電圧が印加されることから、電気抵抗に応じた電流がそれぞれの素子に流れることとなるため、電気抵抗の低い下段では、電気抵抗の高くなっている上段と比べ多くの電流が流れることとなる。このため、このような素子では、素子としての最適化を図ることや上下段間の吸熱と放熱のバランスをうまくとることが出来なかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
本発明では、各段の熱電変換素子を各々別の熱電変換素子として作製し、冷却能力に応じて複数の熱電変換素子を接続する。この際、各熱電変換素子を構成する絶縁基板の外面間を、はんだ材、ろう材、接着材等で接合してある。
【0012】
この発明によれば、個々の段の熱電変換素子を独立に作製し、これらを適宜組み合わせることにより、使用条件に応じたカスケード型熱電変換素子を提供することができるので、カスケード型熱電変換素子として特別な設計、製造を行う必要がなくなる。また、個々の熱電変換素子は、通常の素子として、単独に使用することができるので汎用性が高くなる。
【0013】
また、本発明では、各段の熱電変換素子間の接続が、電気的に並列に接続されている箇所があるようにしてある。すなわち、各段の熱電変換素子間の電気的な接続をその一部または全てで並列に接続することにより、並列に接続されている部分に同じ電圧が印加するようになっている。この場合、熱電変換能力の低い上段の熱電変換素子の第一の基板に設けられた入力電極と熱電変換能力の高い下段の第一の基板に設けられた入力電極とを直接電気的に接続する場合と各々の段の熱電エレメントを一旦介し、上下段の熱電変換素子を電気的に接続する場合がある。
【0014】
この発明によれば、各段の熱電変換素子に同じ電圧を印加することができるので、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流を流すことが出来るようになる。したがって、各段の熱電変換素子を個別に設計することにより、使用条件に応じ、安定した駆動が可能となると同時に、ロスを最小限におさえ最適化されたカスケード型熱電変換素子として活用できる。
【0015】
また、本発明では、各段の熱電変換素子を電気的な接続が、下段である熱電変換能力の高い熱電変換素子の第一の基板上に設けられた入力電極と一体となっている熱電エレメント接合用電極に接続されている熱電エレメントが接続されているもう一方の電極、すなわち、この熱電変換素子を構成する第二の基板上の電極のうち最初の電極と、この熱電変換素子に接合された熱電変換能力の低い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極となるべき電極との間でなされている。
【0016】
この発明によれば、下段の熱電変換素子に配置される熱電エレメントのうち、この熱電変換素子の二つの入力電極に接合された2本の熱電エレメントが上段の熱電変換素子への入力電流を供給する導体として働くこととなるため、この2本を除いて上下段の熱電変換素子は電気的に並列に接続されることとなる。したがって、全体としては、上下の素子に同じ電圧が印加されることとなり、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流を流すことが出来るようになる。したがって、各段の熱電変換素子を個別に設計することにより、使用条件に応じ、安定した駆動が可能となると同時に、ロスを最小限におさえ最適化されたカスケード型熱電変換素子として活用できる
また、本発明では、下段の熱電変換素子とこれに接合された上段の熱電変換素子の電気的接続が、下段の熱電変換素子の第一の基板上の入力電極と上段の熱電変換素子の第一の基板上の入力電極との間で、金属等の導電性材料により行われている。
【0017】
この発明によれば、上下に接合される二つ熱電変換素子は、電気的に完全に並列に接続されるので各々の電気抵抗に応じて、電流が分配されることとなり、各々の熱電変換能力により、カスケード型熱電変換素子としての能力を発揮できるようにできる。また、所望とする熱電変換能力を有するカスケード型熱電変換素子を設計・作製する場合、各段の熱電変換素子を個別に設計・作製し、これらの熱電変換素子を各基板間で接合した後、外部から金属ワイヤー等で簡単に接続できるので、容易にカスケード型熱電変換素子を作製できる。さらに、各段の熱電変換素子は、それ自体が単独の素子としても使用できる。
【0018】
また、本発明では、熱電変換素子を構成する熱電材料として、電気抵抗が使用温度上昇とともに上昇する熱電材料を用いている。この様な材料として、室温付近で性能が高いビスマスとテルルを主な成分とする材料が挙げられる。
【0019】
この発明によれば、OLE_LINK2熱電材料の温度特性を活かしたカスケード型熱電変換素子を作製することが出来る。すなわち、各段の熱電変換素子の使用温度による電気抵抗値の変化にあわせた熱電エレメント構成とすることが出来るようになる。OLE_LINK2
また、本発明では、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段の熱電変換素子、すなわち上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数の比が、1対1から、後者に熱電変換効率の低い熱電変換素子単独で得られる最大温度差とこの熱電変換素子を構成する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化率との積を加えた値の範囲にしてある。
【0020】
この発明によれば、熱電材料の温度特性を活かしたカスケード型熱電変換素子を作製することが出来る。すなわち、各段の熱電変換素子の使用温度による電気抵抗値の変化にあわせた熱電エレメント構成範囲を提供することが出来るようになる。
【0021】
また、本発明では、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段(放熱側すなわち高温側)の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数が、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い熱電変換素子、すなわち、上段(吸熱側すなわち低温側)の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と同数もしくは少なくしてある。
【0022】
この発明によれば、熱電材料として、ビスマスとテルルの化合物などを使用した場合、下段用として高温側にもちいられる熱電変換能力が高い素子は、上段用熱電変換素子に対し、その温度特性により電気抵抗率が上昇してしまうが、この温度上昇に伴う抵抗上昇分と熱電エレメント本数の違いが相殺されるので、並列に接続され、同じ電圧が印加される各段の熱電変換素子に流れる電流を最適な条件で流すことができる。
【0023】
また、本発明は、熱電変換能力が高い熱電変換素子すなわち下段(放熱側すなわち高温側)の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積を、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い熱電変換素子すなわち上段(吸熱側すなわち低温側)の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積よりも大きくすることにより、電気抵抗を下げ、能力の高い下段の熱電変換素子により多くの電流を流すことが出来るようになっている。
【0024】
この発明によれば、温度上昇による抵抗値上昇分に相当する分だけ、高温となる下段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を減らすことにより、電気的に並列に接続された上段の熱電変換素子と同じ電圧で効率よく駆動でると同時に下段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの断面積をより大きくすることにより、同じ電圧でより大きな電流を流すことができるようになるので、熱電変換能力が上昇し、上段からの熱(上段熱電変換素子と素子に流入する熱負荷)をより多く吸熱することが出来るようになり、より性能が高いカスケード型熱電変換素子となる。
【0025】
また、本発明では、熱電変換能力が高い下段の熱電変換素子を構成する個々のエレメントの高さを、この熱電変換素子に接続される熱電変換能力が低い上段の熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの高さよりも低くすることにより、下段の熱電変換素子の電気抵抗を下げ、電流を多く流すようにしてある。
この発明によれば、温度上昇による抵抗値上昇分に相当する分だけ、高温となる下段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を減らすことにより、電気的に並列に接続された上段の熱電変換素子と同じ電圧で効率よく駆動でると同時に上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの高さを高くすることにより、熱電エレメントの電気抵抗値が高くなるので同じ電圧で上段の熱電変換素子に流入する電流値を下段の熱電変換素子のそれに対して小さくすることとなり、下段の熱電変換素子の相対的な熱電変換能力が上昇するので上段からの熱(上段熱電変換素子と素子に流入する熱負荷)をより多く吸熱することが出来るようになり、より性能が高いカスケード型熱電変換素子となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態例>
本発明に関わる第1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明である熱電変換素子のうち、二段のカスケード型熱電変換素子の概要を示したものであり、(a)は上段上面から、(b)は側面からの概要を示したものである。
【0028】
図1に示されるように、本発明である熱電変換素子は下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2が下段の熱電変換素子1の第二の基板3と熱電変換素子2の第一の基板6ではんだ材を介して接合されている。各段の熱電変換素子は二枚の基板に熱電エレメントが挟まれている通常のπ型熱電変換素子構造となっている。すなわち、第一の基板4、6と第二の基板3、7の内面にはPN接合用電極5が形成されており、これを介してP型熱電半導体からなるP型熱電エレメント8とN型熱電半導体からなるN型熱電エレメント9が交互に直列に接合されることにより、各段の熱電変換素子が形成されている。これらの各段の熱電変換素子は、図に示した構造からも明らかなように、個々の熱電変換素子としても使用できるものである。また、下段の熱電変換素子を構成する第一の基板4、第二の基板3および上段の熱電変換素子2を構成する第一の基板6、第二の基板7の表面はメタライズ層11、10、13、12が形成されている。これらのメタライズ層10とメタライズ層13は、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2とをはんだで機械的、熱的に強固に接合するために設けられたものである。また、メタライズ層11とメタライズ層12は、この熱電変換素子を外部の放熱装置やレーザーダイオード、CCD等の発熱部品とをはんだ等で接続をし易くするために設けられている。
【0029】
下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の2箇所の電気的な接続は、一方の接続では、下段の熱電変換素子1の第一の基板4に設けられた一方の入力電極となる電極17に接続されているP型熱電エレメント8が接続されるべき下段の熱電変換素子1の第二の基板3の電極18と上段の熱電変換素子2の一方の入力電極となるべき上段の熱電変換素子の第一の基板6上の最初の電極19にフック状の金属線14により行われており、他方の接続では、N型熱電エレメント9に対して同様に行われている。これにより、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2は、下段の熱電変換素子1の二つの入力電極に接続されるP型およびN型の熱電エレメント1本を除いて、並列に接続されることとなる。なお、外部からの電力の供給は下段の熱電変換素子1の第一の基板4の電極17にはんだ15により接続されたリード線16により行われるようになっている。
【0030】
このように構成されている発明の熱電変換素子を構成する各段の熱電変換素子の熱電エレメントの配置を図2および図3に示す。図2(a)は、図1における下段の熱電変換素子1の熱電エレメント8,9及び電極18の配置を、第1の基板4の下方より透視することにより表した図である。図2(b)は、図1における下段の熱電変換素子1の熱電エレメント8,9及び電極17の配置を、第2の基板3の上面より透視することにより表した図である。同様に、図3(a)は、図1における上段の熱電変換素子2の熱電エレメント8,9を、第1の基板6の下方より透視することにより表した図であり、図3(b)は、図1における上段の熱電変換素子2の熱電エレメント8,9及び電極19の配置を、第2の基盤7の上面より透視することにより表した図である。
【0031】
下段の熱電変換素子1は図2に示したように下段の熱電変換素子は48対のP型熱電エレメント8とN型熱電エレメント9から構成されており、図3に示した上段の熱電変換素子は56対のP型熱電エレメントとN型熱電エレメントから構成されている。このカスケード型熱電変換素子では、P型熱電エレメントとしてビスマス、アンチモン、テルルと微量添加元素からなる材料を、N型熱電エレメントとしてビスマス、テルルと微量添加元素からなる材料を用いた。これらの材料の電気抵抗は、使用温度範囲において、1℃の温度上昇につき0〜2%程度上昇する特性を有しているが、本実施の形態では、0.6%のものを使用した。
【0032】
この様にして作製した二段カスケード型熱電変換素子に直流電流を通電することにより、下段の熱電変換素子1の第一の基板2を放熱基板と、上段の熱電変換素子2の第二の基板7を吸熱基板として使用することが出来ることはいうまでもない。一般に上記の材料を熱電エレメントとして使用した二段カスケード型熱電変換素子ではこの放熱基板を25℃とした場合、吸熱基板の温度を−50℃から−80℃程度まで下げることができる。すなわち、温度差で75℃から105℃が得られることとなるが、下段の熱電変換素子1の平均温度と上段の熱電変換素子2の平均温度には、30℃から50℃程度の温度差が生じることが容易に推定できる。このため、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の電気抵抗の比率は、通電前後で、平均の温度差が30℃の場合18%となり、50℃に至っては30%もの変化を生じてしまうこととなる。本実施の形態では、下段と上段の熱電変換素子の熱電エレメントの対数を上記のようにそれぞれ48対と56対としてあり、56/48≒1.17すなわち約17%のだけ、上段の対数を増やしてある。これにより、下段の熱電変換素子1の平均温度と上段の熱電変換素子2の平均温度の差が、17/0.6≒28℃となったとき、バランスがとれた駆動がなされることとなる。すなわち、上下段の熱電変換素子の熱電エレメントが作る温度差が28×2=56℃のときが、バランスがよくなる。
【0033】
多くの場合、半導体レーザーやCCD、センサー等の熱負荷となる部品が、はんだ等で上段の熱電変換素子2の第二の基板7上のメタライズ層12に取り付けられる。この熱負荷となる部品から発せられる熱は、上段の熱電変換素子2により吸熱され、さらに下段の熱電変換素子1により、この熱と上段の熱電変換素子2により発熱される熱を吸熱し、第一の基板3から排出することとなる。したがって、温度差を作ることだけでなく、上下段の熱電変換素子の吸熱能力のバランスも重要となる。通常の一段型熱電変換素子の吸熱能力は、素子に入力でできる電力できまるが、これは、熱電エレメントの断面積と対数に比例し、熱電エレメントの高さに反比例する。言い換えれば、熱電変換素子の吸熱能力は、(熱電エレメントの断面積)×(熱電エレメントの対数)÷(熱電エレメントの高さ)で決めることができる。上段および下段のこの値を決めるには、使用条件、効率、使用できる電圧、電流等々多くの要因が関わってくるが、簡単な一例として、上下段で(吸熱量)÷(入力電力)で表される成績指数(COP)による方法を挙げる。本実施形態で用いて熱電材料では、一段型熱電変換素子の場合の温度差である28℃、たとえば、放熱側温度を50℃、低温側温度を22℃とした場合、熱電性能を表す性能指数Zが2.8×10−3K−1のとき、最大COPは1.1が期待できる。したがって、本実施の形態である二段カスケード型熱電変換素子において、下段の熱電変換素子おおび上段の熱電変換素子2のCOPをともに1.1(110%)の条件で駆動する場合、熱負荷を1Wとすると上段の熱電変換素子2には0.91Wの電力が入力され、合計1.91Wの熱が下段の熱電変換素子1へ流入することとなる。このため、下段の熱電変換素子1には1.74Wの電力を供給できるように上記の値を設定すればよいこととなる。すなわち、上下の熱電変換素子の能力比を0.91:1.74とすれば良いこととなる。下段の熱電変換素子の平均温度と上段の熱電変換素子の平均温度の差が28℃付近のとき、本実施の形態の素子では、上記のように上下の熱電変換素子の電気抵抗のバランスがとれるので、この温度条件付近で使用する場合、上段の熱電エレメントの断面積を1、高さを1とすると対数が56対なので、下段の熱電エレメントは、熱電エレメントの高さを1(上段の熱電エレメントと同じ)とすると断面積は、56÷48×1.74÷0.91=2.23となる。すなわち、熱電エレメントの高さを上下段とも同じとした場合、上下の熱電エレメントの断面積比を1:2.23とすることにより、各段のCOP=1.1すなわちトータルCOP=1÷(0.91+1.74)=0.377となる。なお、この値は、一段型熱電変換素子で期待できる値であるCOP=0.29を大幅に上回る値である。
【0034】
上記の例では、熱電エレメントの高さを上下段の熱電変換素子で同じとしたが、断面積の比を適宜変化させ、この割合で高さを変えることによっても同じ性能をえることが出来る。
【0035】
また、単に温度差を大きくするだけのために使用する場合は、上段の熱電変換素子の上記の関係より算出される値を小さくし、下段の熱電変換素子の値を大きくすればよいことになるが、この場合、上下段の熱電変換素子の温度差が大きくなり、抵抗値の変化が大きくなるので、下段の熱電変換素子の熱電エレメント対数に対する上段の熱電変換素子のエレメントの対数の比率をさらに大きくすることが良いといえる。
【0036】
<第2の実施の形態例>
図4は、本発明である熱電変換素子の主要部の断面図であり、第1の実施の形態例と同様、二段カスケード型熱電変換素子について記す。下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2は第1の実施の形態と同様、はんだにより接続されているが、電気的には、下段の熱電変換素子1の第二の基板4の電極18と上段の熱電変換素子2の入力電極19に設けられた表面がメタライズされたスルーホール20により、はんだにより接続されている。電気的な接続は第1の実施の形態と同様である。
【0037】
二段カスケード型熱電変換素子は、熱電エレメントが二段となると同時に、本発明の熱電変換素子では、合計4枚の基板が用いられる。このため、高さは、通常一段型熱電変換素子の高さの2倍となり、大きさ、高さの点で不利となる。原理的には、熱電変換素子は、熱電エレメントの断面積と高さの比を一定にすれば、同等の素子とすることが出来ることから、熱電エレメントを低くすることにより、小型化が図れる。加工が困難とされているビスマスとテルルを主成分とする熱電材料による熱電変換素子の小型化・薄型化には、多くの方法が検討されている。第2の実施の形態では、小型化と薄型化を目的として、特開平8−97472に開示された熱電変換素子の製造方法に従い、各段の熱電変換素子を作製した。これにより作製された熱電エレメントおよび電極の配置を図5、6に示す。
【0038】
図5は、熱電変換能力が大きい下段の熱電変換素子の各基板における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。このうち、図5(a)は、図4における下段の熱電変換素子1の第二の基板3の下方より透視したときの、第二の基板4における熱電エレメントと電極の配置を示したものであり、図5(b)は、同様に第二の基板4の上方より透視した第一の基板3における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。
【0039】
図6は、熱電変換能力が小さい上段の熱電変換素子の各基板における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。このうち、図6(a)は、上段の熱電変換素子2の第二の基板6の下方より透視したときの、第二の基板7における熱電エレメントと電極の配置を示したものであり、図6(b)は、同様に第二の基板7の上方より透視した第一の基板6における熱電エレメントと電極の配置を示したものである。
【0040】
図5(a)に示したように第二の基板4の電極には、図4に示したスルーホール20を構成するスルーホール21が設けられている。このスルーホール21の内面は、メタライズされている。このメタライズされたスルーホール21は、電極18と、同様にメタライズされたスルーホール22が設けられている上段の熱電変換素子2の入力電極19とを、はんだにより機械的および電気的に接続されるために用いられる。したがって、上下二つの熱電変換素子の電気的な接続は、下段の熱電変換素子1の第一の基板3上の入力電極21に接続された熱電エレメントが接続する第二の基板4上の電極を介して、上段の熱電変換素子2の入力電極19に行われている。
【0041】
この二段カスケード型熱電変換素子では、下段の熱電変換素子1の熱電エレメントの本数を56本、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの本数を72本とした。エレメント本数の比は、72/56=1.29となり、29%上段の割合が大きくなっている。すなわち、ビスマス・テルル系材料(1℃温度が上昇すると電気抵抗が0.6%上昇する)を使用した場合、29/0.6=48℃となり、上段の熱電変換素子2と下段の熱電変換素子1の平均温度の差が48℃の時、バランスが取れるようになる。すなわち、温度差が48×2=96℃程度の時、バランスが良い状態で駆動する。一段型熱電変換素子の場合の温度差である48℃、たとえば、放熱側温度を50℃、低温側温度を2℃とした場合、熱電性能を表す性能指数Zが2.8×10−3K−1のとき、最大COPは0.38程度が期待できる。このとき、上段の熱電変換素子2の第二の基板7上に熱負荷として、0.2Wが加えられた場合、上段の熱電変換素子2に0.2/0.38=約0.53Wの入力電力を加えられ、下段の熱電変換素子1には、(0.2+0.53)/0.38=約1.92Wの電力を入力すればよいこととなる。並列にならない下段の2本を考えなければ、熱電エレメントの断面積の比を0.53対1.92、すなわち、1対3.62とすればよいことになる。また、断面積を1対1.81とすれば、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの高さと下段の熱電エレメントの高さの比を2対1とすれば、アスペクト比が一定となることから、同じ性能を発揮するものを作製できる。
【0042】
<第3の実施の形態例>
第3の実施の形態例について、図面をもとに説明する。図7は本実施の形態例の二段カスケード型熱電変換素子の主要部を示したものであり、(a)は上段上面から、(b)は側面からの概要を示したものである。
【0043】
使用した各段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数は、第1の実施の形態例にあげた熱電変換素子と同じである。すなわち、下段の熱電変換素子1の熱電エレメントの対数を48対とし、上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの対数を56対とした。
【0044】
下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の一体化は下段の熱電変換素子1の第二の基板3と上段の熱電変換素子2の第一の基板6とをそれぞれの表面に形成されたメタライズ層10、13をはんだによりなされている。電気的な接続は、下段の熱電変換素子1の入力電極17と上段の熱電変換素子2の入力電極19とが金属ワイヤー23によりなされている。この金属ワイヤー23は、この部分に流す電流値により、その太さ、長さ等を変える必要があるが、1から2アンペア程度までであれば、金ワイヤーやアルミニウムワイヤーを用いた、所謂、ワイヤーボンディングになどが作製上容易であるので推奨される。
【0045】
この素子では、下段の熱電変換素子1の放熱側の基板である第一の基板4と下段の熱電変換素子1の吸熱側の基板である第二の基板3と直接接続される上段の熱電変換素子2の放熱側の基板となる第一の基板6とが熱伝導体である金属ワイヤー24で接続されるため、これを介して流れる熱により下段の熱電変換素子1に熱負荷が生じることが予想される。しかしながら、金属ワイヤー24の太さと長さを適宜設定すれば、大きな熱負荷となることはない。例えば、ワイヤーボンディングによる直径25マイクロメートル、長さ2ミリメートルの金ワイヤーを用いた場合、2本のワイヤーからは、その熱伝導率と温度差から推定して数mW程度の熱流入にすぎなく、数百mWから数W以上の吸熱を行うこととなる下段の熱電変換素子1の能力に対しては大きな問題とはならない。
【0046】
本実施の形態においても、熱電エレメント本数の比が最初の1本を除いて、実施の形態1と同じとなることから、上下の熱電変換素子の能力比を0.91:1.74とすれば良いこととなる。同様に、下段の熱電変換素子の平均温度と上段の熱電変換素子の平均温度の差が28℃付近のとき、本実施の形態の素子では、上記のように上下の熱電変換素子の電気抵抗のバランスがとれるので、この温度条件付近で使用する場合、上段の熱電エレメントの断面積を1、高さを1とすると対数が56対なので、下段の熱電エレメントは、熱電エレメントの高さを1(上段の熱電エレメントと同じ)とすると断面積は、56÷48×1.74÷0.91=2.23となる。すなわち、熱電エレメントの高さを上下段とも同じとした場合、上下の熱電エレメントの断面積比を1:2.23とすることにより、各段のCOP=1.1すなわちトータルCOP=1÷(0.91+1.74)=0.377となり、一段型熱電変換素子で期待できる値であるCOP=0.29を大幅に上回る値がえられる。
【0047】
本実施の形態に用いた各段の熱電変換素子は、それ自体が単独の素子として利用できる構造を有している。すなわち、図7(b)および図8に示した下段の熱電変換素子1の熱電エレメントと電極の配置を表した図、さらに図9に示した上段の熱電変換素子2の熱電エレメントと電極の配置を表した図からもわかるように、これらの熱電変換素子1および2は、通常の構造を有しており、上下の電気的な接続を行うための電極やスルーホールといった特殊な構造部を有していない。このため、これらの熱電変換素子は通常の熱電変換素子として単独に使用できるものとなっている。
【0048】
実施の形態1から実施の形態3では、所望とする温度差と吸熱量との関係により、下段の熱電変換素子1と上段の熱電変換素子2の熱電エレメントの本数の比率を決めたが、この比の範囲については、熱電変換能力の高い熱電変換素子、すなわち下段の熱電変換素子、すなわち上段の熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数の比が、1対1から、後者に熱電変換効率の低い熱電変換素子単独で得られる最大温度差とこの熱電変換素子を構成する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化率との積を加えた値の範囲にすることにより、最適化がなされる。たとえば、最も多用されている性能指数Zが2.8×10−3K−1のビスマスとテルルおよびアンチモンとテルルを主成分とする熱電材料は、室温付近では温度が1度上昇すると電気抵抗が0から1%程度上昇する。この用いた場合、放熱側の温度を25℃とした場合、一段の素子で−45℃程度まで下がる。すなわち、温度差として70Kが得られることとなる。このような、熱電変換素子を適宜能力変えたものを2個以上多段に接続した場合、下段の熱電変換素子1とこれに接続する上段の熱電変換素子2の平均温度の差の最大として、70K程度が見込まれることとなり、最大0×70=0から0.01×70=0.7倍の抵抗変化が見込まれる。この抵抗の変化分を上段の熱電変換素子2に予め見込んだもの、すなわち、下段の熱電変換素子1の熱電エレメント本数と下段の熱電変換素子2の熱電エレメント本数の最大比は、1:1から1:1.7となる。実施の形態1から3に記した熱電材料では、温度に対する抵抗の変化率が0.6%であることから、最大比は、1:(1+70×0.006)=1:1.42ということとなる。
【0049】
【発明の効果】
以上、実施の形態において詳細に説明したように本発明によれば、熱電変換素子の性能を向上させることができると同時に冷却性能の効率を高めることができる。すなわち、各段の熱電変換素子の入力を並列に行うことにより、同じ電圧が印加されることになるので、各段の熱電変換素子の電気抵抗に応じた電流が流れることとなり、電流値に応じた冷却能力を発揮する。したがって、使用条件に応じた能力の熱電変換素子を各段に配置することにより最適化が図れる。また、使用する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化を考慮して、各段の熱電変換素子の熱電エレメント本数を決定することにより、さらに、冷却効率が上昇する。さらに、各段の熱電変換素子として、単一で用いられる通常の熱電変換素子を使用するので、汎用性が高まると同時に製造コストの低減も図れる。
【0050】
なお、実施の形態では、二段カスケード型熱電変換素子について記述したが、三段以上のカスケード型熱電変換素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0051】
さらに、本発明の熱電変換素子によれば、これまで限られたレーザーダイオード、CCDをはじめとする半導体部品等への適用に対して、その適用範囲が、格段に広まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる熱電変換素子の概要を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に関わる下段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に関わる上段の熱電変換素子の電極と熱電エレメントの配置を示す図である。
【符号の説明】
1・・・下段の熱電変換素子
2・・・上段の熱電変換素子
3・・・第二の基板
4・・・第一の基板
5・・・PN接合用電極
6・・・第一の基板
7・・・第二の基板
8・・・P型熱電エレメント
9・・・N型熱電エレメント
10・・・メタライズ層
11・・・メタライズ層
12・・・メタライズ層
13・・・メタライズ層
14・・・フック状の金属線
15・・・はんだ
16・・・リード線
17・・・電極
18・・・電極
19・・・電極
20・・・スルーホール
21・・・スルーホール
22・・・スルーホール
23・・・金属ワイヤー
Claims (9)
- P型熱電材料からなる複数のP型熱電エレメントと、
N型熱電材料からなる複数のN型熱電エレメントと
これらP型及びN型の異種熱電エレメントを一対ずつ接合してPN接合対を形成可能とする金属等からなる電極を有する第1の基板と
該第1の基板とともに、前記P型およびN型熱電エレメントを挟む状態に配置され、前記電極を有する第2の基板とを備えている熱電変換素子を複数個具備し、かつ、これらの熱電変換素子の熱電変換能力が異なっており、
熱電変換能力の高い熱電変換素子の第2の基板の外面と別の熱電変換素子の第1の基板の外面がはんだ材、ろう材、接着剤等により接合されることによりこれら複数の熱電変換素子が多段一体化したことを特徴とする熱電変換素子。 - 各段の熱電変換素子間の電気的接続が、電気的に並列に接続されている箇所があることを特徴とする請求項1の熱電変換素子。
- 各段の熱電変換素子の電気的接続が、熱電変換能力の高い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極となるべき電極に接続されている熱電エレメントが接続されている第二の基板上の電極と、
この熱電変換素子に接合された熱電変換能力の低い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極となるべき電極との間でなされていることを特徴とする請求項1および請求項2の熱電変換素子。 - 各段の熱電変換素子の電気的接続が、熱電変換能力の高い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極なるべき電極と
この熱電変換素子に接合された熱電変換能力の低い熱電変換素子の第一の基板上の入力電極となるべき電極との間で、
金属等の導電性材料によりなされていることを特徴とする請求項1の熱電変換素子。 - 熱電変換素子を構成する熱電材料が、電気抵抗が使用温度上昇とともに上昇する熱電材料であることを特徴とする請求項1から請求項4の熱電変換素子。
- 熱電変換能力の高い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数が、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数以下であることを特徴とする請求項1から請求項5の熱電変換素子。
- 熱電変換能力の高い熱電変換素子を構成する熱電エレメントの本数と、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子の熱電エレメントの本数の比が、1対1から、後者に熱電変換効率の低い熱電変換素子単独で得られる最大温度差とこの熱電変換素子を構成する熱電材料の温度に対する抵抗値の変化率との積を加えた値の範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項6の熱電変換素子。
- 熱電変換能力が高い熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積が、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの断面積よりも大きいことを特徴とする請求項6から請求項7の熱電変換素子。
- 熱電変換能力が高い熱電変換素子を構成する個々の熱電エレメントの高さが、この熱電変換素子に接合される熱電変換能力が低い熱電変換素子を構成する個々のエレメントの高さよりも低いことを特徴とする請求項6から請求項7の熱電変換素子。
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