JP2004281112A - フラットケーブル製造方法およびフラットケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】マージン部の剥がれに対する強度向上を図ったフラットケーブル製造方法を提供する。
【解決手段】複数の線状導体1を絶縁フィルム5a、5bで挟み込んだ状態で、溶着用ホーン部と溶着用アンビル12、各線状導体1両側で互いに対向する両絶縁フィルム5a、5bを超音波溶着する。この際、マージン部29を超音波溶着するための溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sを幅広に形成する。その後、カット用ホーン部とカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルム5a、5bを超音波溶断して両側に所定マージン幅Tのマージン部29を有するフラットケーブルを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の線状導体1を絶縁フィルム5a、5bで挟み込んだ状態で、溶着用ホーン部と溶着用アンビル12、各線状導体1両側で互いに対向する両絶縁フィルム5a、5bを超音波溶着する。この際、マージン部29を超音波溶着するための溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sを幅広に形成する。その後、カット用ホーン部とカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルム5a、5bを超音波溶断して両側に所定マージン幅Tのマージン部29を有するフラットケーブルを製造する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法およびその製造方法により製造されたフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、省スペース・軽量化を目的として、2枚の絶縁フィルムの間に所定間隔をあけて平行配置された断面平角状の複数の線状導体を挟み込んだフラットケーブルがあり、このようなフラットケーブルの製造の高速化を図るべく、超音波溶着機を用いて両絶縁フィルムを超音波溶着すると共に、超音波溶断するフラットケーブル製造装置が本願出願人により提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
即ち、図6に示される如く、このフラットケーブル製造装置は、所定の搬送経路Pに沿った上流側に線状導体1が収納された複数の導体供給ロール2が備えられ、その下流側に上下一対のピッチガイド3a、3bが備えられている。
【0004】
また、ピッチガイド3a、3bの下流側には、搬送経路Pを挟んで上下両側に熱ロール4a、4bがそれぞれ配置され、この両熱ロール4a、4b間に各線状導体1の上面側および下面側より絶縁フィルム5a、5bを供給するフィルムロール6a、6bがそれぞれ備えられている。
【0005】
さらに、熱ロール4a、4bの下流側には超音波溶着機7が配置され、超音波溶着機7は、搬送経路Pを上下から挟み込む位置にそれぞれ設けられた超音波振動を付与するホーン8とアンビル9を備えており、ホーン8とアンビル9は上下方向に沿って互いに接近離隔操作自在に構成されている。
【0006】
ホーン8下面のアンビル9と対向する対向面には、搬送経路P上流側に位置して溶着用ホーン部10を備えると共に、搬送経路P下流側にカット用ホーン部11を備えている。
【0007】
前記アンビル9は、前記溶着用ホーン部10の下方に対向して配置された溶着用アンビル12と前記カット用ホーン部11の下方に対向して配置されたカット用アンビル刃13とを、支持架台14に支持した構造とされている。
【0008】
前記溶着用アンビル12は、図7にも示される如く、ホーン8の溶着用ホーン部10と接近した状態で、各線状導体1が互いに所定間隔を有してそれぞれ個別に通過可能な複数の導体通過開口16を形成すべく、溶着用アンビル12の外周面に周方向の導体通過溝部17が、各線状導体1と同じピッチ間隔を有して複数形成されている。
【0009】
また、前記カット用アンビル刃13の搬送経路P下流側に位置して、溶着用アンビル12と同じ構成の溝付きアンビル18が、溶着用アンビル12と平行に並設配置されている。
【0010】
そして、カット用アンビル刃13は、互いに対向する溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、図9に示される溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方側より嵌脱自在に嵌入されて位置決め保持される構造とされている。
【0011】
また、支持架台14の基板14a上には、接触圧調整手段としてのエアーシリンダ19が一対備えられており、両エアーシリンダ19の各ロッド間にわたって平板状のアンビル刃受け台20が装着され、このアンビル刃受け台20の上面にはラバー体21が装着されている。
【0012】
超音波溶着機7の下流側には、搬送経路Pを挟んで上下にガイドローラ23a、23bがそれぞれ配置され、さらに、その下流側に、ガイドローラ24を介して製造されたフラットケーブル25を巻き取る巻取ロール26が配置されている。
【0013】
そして、各導体供給ロール2から供給された各線状導体1は、ピッチガイド3a、3bで所定間隔を有した平行配置状態とされ、下流側の両熱ロール4a、4b間に供給される。この際、各フィルムロール6a、6bから各線状導体1の上下両側に、絶縁フィルム5a、5bが供給され、熱ロール4a、4b間の通過により、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが仮接着される。
【0014】
その後、仮接着された各線状導体1および両絶縁フィルム5a、5bは、下流側の超音波溶着機7における溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12間に案内される。そして、超音波溶着機7位置で、図7に示される如く、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bは溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とで挟持状とされて超音波溶着機7の作動による超音波振動エネルギにより、各導体通過溝部17両側に位置する周方向突出状の各フィルム挟込部27で圧接状態とされている絶縁フィルム5a、5b同士が各線状導体1の両側でそれぞれ超音波溶着される。
【0015】
そして、この超音波溶着された絶縁フィルム5a、5bは、搬送経路P下流側に配置されたカット用ホーン部11とカット用アンビル刃13とにより、絶縁フィルム5a、5b両端部において所定マージン幅のマージン部29を残して超音波により溶断される。
【0016】
即ち、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13はカット用ホーン部11に所定の接触圧の下で接触状とされており、溶着用ホーン部10と同様、超音波振動エネルギにより、絶縁フィルム5a、5bの両端部所定位置で絶縁フィルム5a、5bが超音波溶断される。
【0017】
この状態で、巻取ロール26の巻き取り作用により、搬送経路Pに沿って各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが順次供給されると、溶着用アンビル12は横軸心回りに従動回転し、溶着用ホーン部10の下面が上側の絶縁フィルム5a上面に摺接しながら、溶着用アンビル12の導体通過溝部17両側の各フィルム挟込部27が下側の絶縁フィルム35b下面に回転しながら接触していくことになり、両絶縁フィルム5a、5bは、その長さ方向に沿って連続した状態で超音波溶着されると共に、直後のカット用ホーン部11と各カット用アンビル刃13との協働により、両絶縁フィルム5a、5bの両側部に所定マージン幅のマージン部29を残してその長さ方向に沿って連続的に超音波溶断されていく。
【0018】
その後、ガイドローラ23a、23b、24を介して、製造されたフラットケーブル25は、順次巻取ロール26に巻き取られていく方法とされている。
【0019】
【特許文献1】
特開2003−7154号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示のフラットケーブルの製造方法によれば、図10に示される如く、両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12のフィルム挟込部27により超音波溶着されるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sが比較的狭く、マージン部29のマージン幅Tの中央部領域に位置されており、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13の刃先角度θも90度以下の鋭角に形成されているため、図11に示されるように超音波溶断された際のカット部位溶着部30におけるカット部位溶着幅Lも極めて狭くなり、フラットケーブル25が折り曲げられた際にマージン部29の溶着部分が剥がれるおそれがあった。
【0021】
そこで、本発明の課題は、マージン部の剥がれに対する強度向上を図ったフラットケーブル製造方法およびフラットケーブルを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためのフラットケーブル製造方法の第1の技術的手段は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、前記マージン部を超音波溶着するための前記溶着用アンビルにおけるフィルム挟込部のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部におけるマージン部位溶着部の溶着部位溶着幅を幅広に形成する点にある。
【0023】
また、前記マージン部位溶着部が前記超音波溶断される位置にオーバーラップするような幅広の前記フィルム挟込部を有する前記溶着用アンビルを用いる方法としてもよい。
【0024】
さらに、上記課題を解決するためのフラットケーブル製造方法の第2の技術的手段は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、前記カット用アンビル刃の刃先角度を鈍角に形成し、前記超音波溶断した際のカット部位溶着部のカット部位溶着幅を幅広に形成する点にある。
【0025】
また、前記カット部位溶着部が前記超音波溶着される前記マージン部のマージン部位溶着部にオーバーラップするようなカット部位溶着幅となる前記刃先角度を有する前記カット用アンビル刃を用いる方法としてもよい。
【0026】
そして、これらの上記フラットケーブル製造方法によってフラットケーブルを製造すればよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。即ち、本実施形態は、図6ないし図9に示されるフラットケーブル製造装置による製造方法の改良を図ったものであり、その要部を図1および図2に示しており、これら図1、図2、図6ないし図9を参照しながらより詳細に説明する。
【0028】
前述同様、フラットケーブル製造装置は、所定の搬送経路P(移動方向)の最も上流側に線状導体1が収納された複数の導体供給部としての導体供給ロール2が設けられ、この下流側に、各線状導体1を所定間隔を有して平行配置された状態で案内する上下一対のピッチガイド3a、3bが備えられている。
【0029】
各導体供給ロール2には、銅又は銅合金製の線状導体1が予め巻回収納されており、製造されるフラットケーブルの並列配置される線状導体1の数に合わせて複数設けられている。そして、本実施形態では、5本の線状導体1が並列配置されたフラットケーブルを製造する構成とされており、5つの導体供給ロール2が配設されている。そしてまた、本実施形態では、各線状導体1として、例えば、厚み0.15mm、幅1.5mmの軟銅線からなる断面矩形状の平角導体が用いられ、各導体1は相互に2.5mmの間隔で平行配置される構成とされている。
【0030】
また、ピッチガイド3a、3bの下流側には、搬送経路Pを挟んで上下両側に熱ロール4a、4bがそれぞれ配置され、この両熱ロール4a、4b間に各線状導体1の上面側および下面側より絶縁フィルム5a、5bを供給するフィルムロール6a、6bがそれぞれ備えられている。
【0031】
各フィルムロール6a、6bにはそれぞれ帯状の絶縁フィルム5a、5bが予め巻回収納されており、各絶縁フィルム5a、5bは、柔軟で超音波溶着可能な樹脂フィルム等よりなり、例えば、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する構造とされ、接着層が施された面が各線状導体1側に面して供給されるようにそれぞれ配設されている。
【0032】
また、熱ロール4a、4bの下流側には超音波溶着機7が配置され、超音波溶着機7は、搬送経路Pを上下から挟み込む位置にそれぞれ設けられた超音波振動を付与するホーン8とアンビル9とを備えており、ホーン8とアンビル9とは上下方向に沿って互いに接近離隔操作自在に構成されている。
【0033】
ホーン8下面のアンビル9と対向する対向面には、搬送経路P上流側に位置して溶着用ホーンとしての溶着用ホーン部10を備えると共に、該溶着用ホーン部10と搬送経路P下流側に適宜離隔してカット用ホーンとしてのカット用ホーン部11を備えている。
【0034】
また、溶着用ホーン部10のアンビル9側に対向する対向面は、側面視で下向きに円弧状に膨出する膨出曲面に構成されている。
【0035】
さらに、カット用ホーン部11のアンビル9側に対向する対向面は、側面視で平坦状に構成され、その対向面に、セラミックチップが埋め込み構造や貼り付け構造によって装着されている。
【0036】
前記アンビル9は、前記溶着用ホーン部10の下方に対向して配置された溶着用アンビル12と前記カット用ホーン部11の下方に対向して配置されたカット用アンビル刃13とを、支持架台14に支持した構造とされている。
【0037】
即ち、前記溶着用アンビル12は、搬送経路Pに対して直交する軸心回りに回転自在に、支持架台14の両側板間で支持された円柱体構造とされ、図7にも示される如く、ホーン8の溶着用ホーン部10と接近した状態で、各線状導体1が互いに所定間隔を有してそれぞれ個別に通過可能な複数の導体通過開口16を形成すべく、溶着用アンビル12の外周面に周方向の導体通過溝部17が、各線状導体1と同じピッチ間隔を有して複数形成されている。なお、本実施形態にあっては、各導体通過溝部17の開放端部側は、開放方向に漸次幅広となるテーパ状に形成されている。
【0038】
また、前記カット用アンビル刃13の搬送経路P下流側に位置して、溶着用アンビル12と同じ構成の溝付きアンビル18が、溶着用アンビル12と平行に並設配置されており、同様に、支持架台14の両側板間で回転自在に支持されている。
【0039】
そして、カット用アンビル刃13は、特許文献1にも開示のように互いに対向する溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、図9に示される溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方側より嵌脱自在に嵌入されて位置決め保持される構造とされている。
【0040】
また、支持架台14の基板14a上には、接触圧調整手段としてのエアーシリンダ19が一対備えられており、両エアーシリンダ19の各ロッド間にわたって平板状のアンビル刃受け台20が装着されている。さらに、このアンビル刃受け台20の上面には適宜厚みを有するラバー体21が装着されている。
【0041】
そして、溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方より嵌入されたカット用アンビル刃13は、ラバー体21上で支持される構造とされている。
【0042】
また、溶着用アンビル12と溝付きアンビル18の下方に位置して、カット用アンビル刃13を上下方向にスライドガイドすべく、支持架台14の両側板間にわたって、断面が円形の一対のスライドガイド棒が装着されている。
【0043】
そして、両エアーシリンダ19の同期した伸縮駆動により、アンビル刃受け台20が昇降操作され、このアンビル刃受け台20の昇降に伴ってカット用アンビル刃13が昇降操作され、カット用アンビル刃13の高さ調整が行えるように構成されており、超音波による溶断時には、エアー圧の調整によりカット用ホーン部11に対する接触圧が最適となるように適宜設定することができる。
【0044】
また、カット用アンビル刃13のカット用ホーン部11に対向する上端縁の尖鋭状に形成された刃部は、側面視で円弧状に膨出した構造とされており、カット用アンビル刃13は必要に応じて適宜位置に適宜数配置可能な構造とされている。
【0045】
超音波溶着機7の下流側には、搬送経路Pを挟んで上下にガイドローラ23a、23b(もしくは前述のようなステッピングローラ)がそれぞれ配置され、さらに、その下流側に、ガイドローラ24を介して製造されたフラットケーブル25を巻き取る巻取ロール26が配置されている。
【0046】
また、本実施形態においては、図1に示される如く、フラットケーブル25の両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さがマージン幅Tと略同様の長さを有する幅広に形成されており、超音波溶着された際、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sが幅広に形成され、図2に示される如く、このマージン部位溶着部29aがカット用アンビル刃13により超音波溶断される位置にオーバーラップするように構成されている。この際、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは90度とされている。
【0047】
そして、フラットケーブル25の製造に際しては、各導体供給ロール2から供給された各線状導体1は、ピッチガイド3a、3bで所定間隔を有した平行配置状態とされ、下流側の両熱ロール4a、4b間に供給される。この際、各フィルムロール6a、6bから各線状導体1の上下両側に、絶縁フィルム5a、5bが供給され、例えば、170℃の温度に加熱されている熱ロール4a、4b間の通過により、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが仮接着される。
【0048】
その後、仮接着された各線状導体1および両絶縁フィルム5a、5bは、下流側の超音波溶着機7における溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12間に案内される。そして、超音波溶着機7位置で、図7に示される如く、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bは溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とで挟持状とされて超音波溶着機7が作動される。
【0049】
即ち、図示省略の超音波振動発生機構(振動子等)より発生された超音波振動がこのホーン8に付与されて、ホーン8と一体に備えられている溶着用ホーン部10も絶縁フィルム5a、5bの幅方向に振動され、この超音波振動の付与による超音波振動エネルギにより、各導体通過溝部17両側に位置する周方向の各フィルム挟込部27で圧接状態とされている絶縁フィルム5a、5b同士が各線状導体1の両側でそれぞれ超音波溶着される。この際、マージン部29に対応する部分では図1に示される如く、溶着部位溶着幅Sが幅広のマージン部位溶着部29aが形成される。
【0050】
そして、この超音波溶着された絶縁フィルム5a、5bは、搬送経路P下流側の直後に配置されたカット用ホーン部11とカット用アンビル刃13とにより、絶縁フィルム5a、5b両端部において所定のマージン幅Tを残して超音波により溶断される。
【0051】
即ち、各線状導体1が案内される溶着用アンビル12の導体通過溝部17の側方に所定間隔を有した位置に、それぞれカット用アンビル刃13が配置され、溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とによる絶縁フィルム5a、5bの超音波溶着時において、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13はカット用ホーン部11に所定の接触圧の下で接触状とされており、溶着用ホーン部10と同様、ホーン8と一体に備えられているカット用ホーン部11は幅方向に振動され、この超音波振動の付与による超音波振動エネルギにより、絶縁フィルム5a、5bの両端部所定位置で絶縁フィルム5a、5bが超音波溶断される。この際、マージン部位溶着部29aがカット用アンビル刃13により超音波溶断される位置にオーバーラップする構成であるため、図2に示される如く、マージン部位溶着部29aで超音波溶断される。
【0052】
この状態で、巻取ロール26の巻き取り作用により、搬送経路Pに沿って各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが順次供給されると、溶着用アンビル12は横軸心回りに従動回転し、溶着用ホーン部10の下面が上側の絶縁フィルム5a上面に摺接しながら、溶着用アンビル12の導体通過溝部17両側の各フィルム挟込部27が下側の絶縁フィルム35b下面に回転しながら接触していくことになり、両絶縁フィルム5a、5bは、その長さ方向に沿って連続した状態で超音波溶着されると共に、直後のカット用ホーン部11と各カット用アンビル刃13との協働により、両絶縁フィルム5a、5bの両側部に所定のマージン幅Tを残してその長さ方向に沿って連続的に超音波溶断されていく。
【0053】
その後、ガイドローラ23a、23b、24を介して、製造されたフラットケーブル25は、順次巻取ロール26に巻き取られていく。ここに、特許文献1と同様、フラットケーブル25が高速で精度よく製造される。
【0054】
そして、本実施形態においては、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sを幅広に形成し、超音波溶断する位置がこのマージン部位溶着部29aにオーバーラップしているため、カット部位溶着幅Lが極めて狭い場合であっても、超音波溶断したカット部位溶着部30と超音波溶着したマージン部位溶着部29aとが連続状となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の強固な溶着状態が確保でき、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる利点がある。
【0055】
なお、上記実施形態において、超音波溶断する位置がマージン部位溶着部29aにオーバーラップする方法とされているが、超音波溶断する位置がマージン部位溶着部29aにオーバーラップしなくても、マージン部位溶着部29aが幅広に形成されているため、従来のようなマージン部位溶着部29aが幅狭に形成されている場合と比較して、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の溶着状態がより強固となり、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0056】
図3および図4は第2の実施形態を示しており、同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
即ち、本実施形態によれば、フラットケーブル25の両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さは、図10に示される前述従来構造のフィルム挟込部27と略同様の長さを有する幅狭に形成されており、超音波溶着された際、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sは幅狭に形成される。
【0058】
一方、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは鈍角に形成されており、このカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着部30が、マージン部位溶着部29aにオーバーラップするようなカット部位溶着幅Lが得られるように構成されている。例えば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは150度とされている。
【0059】
即ち、絶縁フィルム5a、5bとして、一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した場合において、図11に示されるような刃先角度θが90度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着幅Lは、0.2mm程度であるのに対して、図4に示されるように刃先角度θが150度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際、0.74mm程度のカット部位溶着幅Lが得られる。
【0060】
従って、本実施形態においては、鈍角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断するため、カット部位溶着部30のカット部位溶着幅Lが幅広となり、マージン部位溶着部29aにカット部位溶着部30がオーバーラップして、第1の実施形態と同様、超音波溶断したカット部位溶着部30と超音波溶着したマージン部位溶着部29aとが連続状となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の強固な溶着状態が確保でき、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0061】
図5は第3の実施形態を示しており、同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
即ち、本実施形態によれば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは鈍角に形成されているが、このカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着部30は、マージン部位溶着部29aにオーバーラップしないようなカット部位溶着幅Lとなる構成とされている。例えば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは120度とされている。
【0063】
即ち、絶縁フィルム5a、5bとして、一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した場合において、図5に示されるような刃先角度θが120度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際、0.35mm程度のカット部位溶着幅Lが得られる。
【0064】
従って、本実施形態においては、鈍角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断するため、従来のような鋭角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断する方法と比較して、カット部位溶着部30のカット部位溶着幅Lが幅広となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の溶着状態がより強固となり、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0065】
なお、第2の実施形態および第3の実施形態において、カット用アンビル刃13の刃先角度θの鈍角の一例として150度および120度を例示しているが、これに限られない。そして、超音波溶断の観点から刃先角度θとしては120度〜150度程度が特に好ましい。
【0066】
さらに、上記各実施形態においては、各導体通過溝部17が溶着用アンビル12に形成された構造を示しているが、溶着用ホーン部10側にも対応する溝部を形成する構造としてもよい。
【0067】
また、各絶縁フィルム5a、5bに薄肉の接着層を備えた構造を例示しているが、接着層を有しない構造であってもよい。この場合、熱ロール4a、4bによる仮接着工程は不要となる。
【0068】
そして、接着層を有しない絶縁フィルム5a、5bを使用した場合にあっては、絶縁フィルム5a、5b自体がより安価となり、製造コスト低減が図れると共に、解体が容易で、不純物が混ざらずに良好に分離でき、よりリサイクル性の向上が図れるという利点もある。
【0069】
また、各実施形態において、5本の線状導体1が備えられたフラットケーブル25を例示しているが、4本以下または6本以上の線状導体1を備えた構造であってもよく、線状導体1の数は何ら限定されない。
【0070】
さらに、接触圧調整手段としてエアーシリンダ19を使用した構造を示しているが、ネジ構造やバネ構造によってカット用アンビル刃13の高さ調整や接触圧を調整する構造であってもよく、上記実施形態に何ら限定されない。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフラットケーブル製造方法によれば、マージン部を超音波溶着するための溶着用アンビルにおけるフィルム挟込部のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部におけるマージン部位溶着部の溶着部位溶着幅を幅広に形成する方法であり、マージン部における両絶縁フィルム間の溶着状態がより強固となり、マージン部における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0072】
また、マージン部位溶着部が超音波溶断される位置にオーバーラップするような幅広のフィルム挟込部を有する溶着用アンビルを用いる方法によれば、超音波溶断した溶着部と超音波溶着したマージン部位溶着部とが連続状となり、マージン部における両絶縁フィルム間の強固な溶着状態が確保でき、マージン部における溶着部分の剥がれがより有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0073】
さらに、カット用アンビル刃の刃先角度を鈍角に形成し、超音波溶断した際のカット部位溶着部のカット部位溶着幅を幅広に形成する方法によれば、従来のような鋭角の刃先角度を有するカット用アンビル刃で超音波溶断する方法と比較して、カット部位溶着部のカット部位溶着幅が幅広となり、マージン部における両絶縁フィルム間の溶着状態がより強固となり、マージン部における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0074】
また、カット部位溶着部が超音波溶着されるマージン部のマージン部位溶着部にオーバーラップするようなカット部位溶着幅となる刃先角度を有するカット用アンビル刃を用いる方法によれば、超音波溶断したカット部位溶着部と超音波溶着したマージン部位溶着部とが連続状となり、マージン部における両絶縁フィルム間の強固な溶着状態が確保でき、マージン部における溶着部分の剥がれがより有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0075】
そして、上記のフラットケーブル製造方法によって製造されたフラットケーブルにおいても上記同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるマージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図2】同超音波溶断部分の説明図である。
【図3】第2の実施形態にかかるマージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図4】同超音波溶断部分の説明図である。
【図5】第3の実施形態にかかるマージン部における超音波溶断部分の説明図である。
【図6】フラットケーブル製造装置の概略説明図である。
【図7】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図8】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図9】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図10】マージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図11】同超音波溶断部分の説明図である。
【符号の説明】
1 線状導体
5a、5b 絶縁フィルム
7 超音波溶着機
8 ホーン
9 アンビル
10 溶着用ホーン部
11 カット用ホーン部
12 溶着用アンビル
13 カット用アンビル刃
29 マージン部
29a マージン部位溶着部
30 カット部位溶着部
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法およびその製造方法により製造されたフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、省スペース・軽量化を目的として、2枚の絶縁フィルムの間に所定間隔をあけて平行配置された断面平角状の複数の線状導体を挟み込んだフラットケーブルがあり、このようなフラットケーブルの製造の高速化を図るべく、超音波溶着機を用いて両絶縁フィルムを超音波溶着すると共に、超音波溶断するフラットケーブル製造装置が本願出願人により提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
即ち、図6に示される如く、このフラットケーブル製造装置は、所定の搬送経路Pに沿った上流側に線状導体1が収納された複数の導体供給ロール2が備えられ、その下流側に上下一対のピッチガイド3a、3bが備えられている。
【0004】
また、ピッチガイド3a、3bの下流側には、搬送経路Pを挟んで上下両側に熱ロール4a、4bがそれぞれ配置され、この両熱ロール4a、4b間に各線状導体1の上面側および下面側より絶縁フィルム5a、5bを供給するフィルムロール6a、6bがそれぞれ備えられている。
【0005】
さらに、熱ロール4a、4bの下流側には超音波溶着機7が配置され、超音波溶着機7は、搬送経路Pを上下から挟み込む位置にそれぞれ設けられた超音波振動を付与するホーン8とアンビル9を備えており、ホーン8とアンビル9は上下方向に沿って互いに接近離隔操作自在に構成されている。
【0006】
ホーン8下面のアンビル9と対向する対向面には、搬送経路P上流側に位置して溶着用ホーン部10を備えると共に、搬送経路P下流側にカット用ホーン部11を備えている。
【0007】
前記アンビル9は、前記溶着用ホーン部10の下方に対向して配置された溶着用アンビル12と前記カット用ホーン部11の下方に対向して配置されたカット用アンビル刃13とを、支持架台14に支持した構造とされている。
【0008】
前記溶着用アンビル12は、図7にも示される如く、ホーン8の溶着用ホーン部10と接近した状態で、各線状導体1が互いに所定間隔を有してそれぞれ個別に通過可能な複数の導体通過開口16を形成すべく、溶着用アンビル12の外周面に周方向の導体通過溝部17が、各線状導体1と同じピッチ間隔を有して複数形成されている。
【0009】
また、前記カット用アンビル刃13の搬送経路P下流側に位置して、溶着用アンビル12と同じ構成の溝付きアンビル18が、溶着用アンビル12と平行に並設配置されている。
【0010】
そして、カット用アンビル刃13は、互いに対向する溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、図9に示される溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方側より嵌脱自在に嵌入されて位置決め保持される構造とされている。
【0011】
また、支持架台14の基板14a上には、接触圧調整手段としてのエアーシリンダ19が一対備えられており、両エアーシリンダ19の各ロッド間にわたって平板状のアンビル刃受け台20が装着され、このアンビル刃受け台20の上面にはラバー体21が装着されている。
【0012】
超音波溶着機7の下流側には、搬送経路Pを挟んで上下にガイドローラ23a、23bがそれぞれ配置され、さらに、その下流側に、ガイドローラ24を介して製造されたフラットケーブル25を巻き取る巻取ロール26が配置されている。
【0013】
そして、各導体供給ロール2から供給された各線状導体1は、ピッチガイド3a、3bで所定間隔を有した平行配置状態とされ、下流側の両熱ロール4a、4b間に供給される。この際、各フィルムロール6a、6bから各線状導体1の上下両側に、絶縁フィルム5a、5bが供給され、熱ロール4a、4b間の通過により、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが仮接着される。
【0014】
その後、仮接着された各線状導体1および両絶縁フィルム5a、5bは、下流側の超音波溶着機7における溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12間に案内される。そして、超音波溶着機7位置で、図7に示される如く、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bは溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とで挟持状とされて超音波溶着機7の作動による超音波振動エネルギにより、各導体通過溝部17両側に位置する周方向突出状の各フィルム挟込部27で圧接状態とされている絶縁フィルム5a、5b同士が各線状導体1の両側でそれぞれ超音波溶着される。
【0015】
そして、この超音波溶着された絶縁フィルム5a、5bは、搬送経路P下流側に配置されたカット用ホーン部11とカット用アンビル刃13とにより、絶縁フィルム5a、5b両端部において所定マージン幅のマージン部29を残して超音波により溶断される。
【0016】
即ち、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13はカット用ホーン部11に所定の接触圧の下で接触状とされており、溶着用ホーン部10と同様、超音波振動エネルギにより、絶縁フィルム5a、5bの両端部所定位置で絶縁フィルム5a、5bが超音波溶断される。
【0017】
この状態で、巻取ロール26の巻き取り作用により、搬送経路Pに沿って各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが順次供給されると、溶着用アンビル12は横軸心回りに従動回転し、溶着用ホーン部10の下面が上側の絶縁フィルム5a上面に摺接しながら、溶着用アンビル12の導体通過溝部17両側の各フィルム挟込部27が下側の絶縁フィルム35b下面に回転しながら接触していくことになり、両絶縁フィルム5a、5bは、その長さ方向に沿って連続した状態で超音波溶着されると共に、直後のカット用ホーン部11と各カット用アンビル刃13との協働により、両絶縁フィルム5a、5bの両側部に所定マージン幅のマージン部29を残してその長さ方向に沿って連続的に超音波溶断されていく。
【0018】
その後、ガイドローラ23a、23b、24を介して、製造されたフラットケーブル25は、順次巻取ロール26に巻き取られていく方法とされている。
【0019】
【特許文献1】
特開2003−7154号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示のフラットケーブルの製造方法によれば、図10に示される如く、両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12のフィルム挟込部27により超音波溶着されるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sが比較的狭く、マージン部29のマージン幅Tの中央部領域に位置されており、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13の刃先角度θも90度以下の鋭角に形成されているため、図11に示されるように超音波溶断された際のカット部位溶着部30におけるカット部位溶着幅Lも極めて狭くなり、フラットケーブル25が折り曲げられた際にマージン部29の溶着部分が剥がれるおそれがあった。
【0021】
そこで、本発明の課題は、マージン部の剥がれに対する強度向上を図ったフラットケーブル製造方法およびフラットケーブルを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためのフラットケーブル製造方法の第1の技術的手段は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、前記マージン部を超音波溶着するための前記溶着用アンビルにおけるフィルム挟込部のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部におけるマージン部位溶着部の溶着部位溶着幅を幅広に形成する点にある。
【0023】
また、前記マージン部位溶着部が前記超音波溶断される位置にオーバーラップするような幅広の前記フィルム挟込部を有する前記溶着用アンビルを用いる方法としてもよい。
【0024】
さらに、上記課題を解決するためのフラットケーブル製造方法の第2の技術的手段は、所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、前記カット用アンビル刃の刃先角度を鈍角に形成し、前記超音波溶断した際のカット部位溶着部のカット部位溶着幅を幅広に形成する点にある。
【0025】
また、前記カット部位溶着部が前記超音波溶着される前記マージン部のマージン部位溶着部にオーバーラップするようなカット部位溶着幅となる前記刃先角度を有する前記カット用アンビル刃を用いる方法としてもよい。
【0026】
そして、これらの上記フラットケーブル製造方法によってフラットケーブルを製造すればよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。即ち、本実施形態は、図6ないし図9に示されるフラットケーブル製造装置による製造方法の改良を図ったものであり、その要部を図1および図2に示しており、これら図1、図2、図6ないし図9を参照しながらより詳細に説明する。
【0028】
前述同様、フラットケーブル製造装置は、所定の搬送経路P(移動方向)の最も上流側に線状導体1が収納された複数の導体供給部としての導体供給ロール2が設けられ、この下流側に、各線状導体1を所定間隔を有して平行配置された状態で案内する上下一対のピッチガイド3a、3bが備えられている。
【0029】
各導体供給ロール2には、銅又は銅合金製の線状導体1が予め巻回収納されており、製造されるフラットケーブルの並列配置される線状導体1の数に合わせて複数設けられている。そして、本実施形態では、5本の線状導体1が並列配置されたフラットケーブルを製造する構成とされており、5つの導体供給ロール2が配設されている。そしてまた、本実施形態では、各線状導体1として、例えば、厚み0.15mm、幅1.5mmの軟銅線からなる断面矩形状の平角導体が用いられ、各導体1は相互に2.5mmの間隔で平行配置される構成とされている。
【0030】
また、ピッチガイド3a、3bの下流側には、搬送経路Pを挟んで上下両側に熱ロール4a、4bがそれぞれ配置され、この両熱ロール4a、4b間に各線状導体1の上面側および下面側より絶縁フィルム5a、5bを供給するフィルムロール6a、6bがそれぞれ備えられている。
【0031】
各フィルムロール6a、6bにはそれぞれ帯状の絶縁フィルム5a、5bが予め巻回収納されており、各絶縁フィルム5a、5bは、柔軟で超音波溶着可能な樹脂フィルム等よりなり、例えば、厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する構造とされ、接着層が施された面が各線状導体1側に面して供給されるようにそれぞれ配設されている。
【0032】
また、熱ロール4a、4bの下流側には超音波溶着機7が配置され、超音波溶着機7は、搬送経路Pを上下から挟み込む位置にそれぞれ設けられた超音波振動を付与するホーン8とアンビル9とを備えており、ホーン8とアンビル9とは上下方向に沿って互いに接近離隔操作自在に構成されている。
【0033】
ホーン8下面のアンビル9と対向する対向面には、搬送経路P上流側に位置して溶着用ホーンとしての溶着用ホーン部10を備えると共に、該溶着用ホーン部10と搬送経路P下流側に適宜離隔してカット用ホーンとしてのカット用ホーン部11を備えている。
【0034】
また、溶着用ホーン部10のアンビル9側に対向する対向面は、側面視で下向きに円弧状に膨出する膨出曲面に構成されている。
【0035】
さらに、カット用ホーン部11のアンビル9側に対向する対向面は、側面視で平坦状に構成され、その対向面に、セラミックチップが埋め込み構造や貼り付け構造によって装着されている。
【0036】
前記アンビル9は、前記溶着用ホーン部10の下方に対向して配置された溶着用アンビル12と前記カット用ホーン部11の下方に対向して配置されたカット用アンビル刃13とを、支持架台14に支持した構造とされている。
【0037】
即ち、前記溶着用アンビル12は、搬送経路Pに対して直交する軸心回りに回転自在に、支持架台14の両側板間で支持された円柱体構造とされ、図7にも示される如く、ホーン8の溶着用ホーン部10と接近した状態で、各線状導体1が互いに所定間隔を有してそれぞれ個別に通過可能な複数の導体通過開口16を形成すべく、溶着用アンビル12の外周面に周方向の導体通過溝部17が、各線状導体1と同じピッチ間隔を有して複数形成されている。なお、本実施形態にあっては、各導体通過溝部17の開放端部側は、開放方向に漸次幅広となるテーパ状に形成されている。
【0038】
また、前記カット用アンビル刃13の搬送経路P下流側に位置して、溶着用アンビル12と同じ構成の溝付きアンビル18が、溶着用アンビル12と平行に並設配置されており、同様に、支持架台14の両側板間で回転自在に支持されている。
【0039】
そして、カット用アンビル刃13は、特許文献1にも開示のように互いに対向する溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、図9に示される溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方側より嵌脱自在に嵌入されて位置決め保持される構造とされている。
【0040】
また、支持架台14の基板14a上には、接触圧調整手段としてのエアーシリンダ19が一対備えられており、両エアーシリンダ19の各ロッド間にわたって平板状のアンビル刃受け台20が装着されている。さらに、このアンビル刃受け台20の上面には適宜厚みを有するラバー体21が装着されている。
【0041】
そして、溶着用アンビル12の導体通過溝部17と、溝付きアンビル18の溝部18aとにわたって上方より嵌入されたカット用アンビル刃13は、ラバー体21上で支持される構造とされている。
【0042】
また、溶着用アンビル12と溝付きアンビル18の下方に位置して、カット用アンビル刃13を上下方向にスライドガイドすべく、支持架台14の両側板間にわたって、断面が円形の一対のスライドガイド棒が装着されている。
【0043】
そして、両エアーシリンダ19の同期した伸縮駆動により、アンビル刃受け台20が昇降操作され、このアンビル刃受け台20の昇降に伴ってカット用アンビル刃13が昇降操作され、カット用アンビル刃13の高さ調整が行えるように構成されており、超音波による溶断時には、エアー圧の調整によりカット用ホーン部11に対する接触圧が最適となるように適宜設定することができる。
【0044】
また、カット用アンビル刃13のカット用ホーン部11に対向する上端縁の尖鋭状に形成された刃部は、側面視で円弧状に膨出した構造とされており、カット用アンビル刃13は必要に応じて適宜位置に適宜数配置可能な構造とされている。
【0045】
超音波溶着機7の下流側には、搬送経路Pを挟んで上下にガイドローラ23a、23b(もしくは前述のようなステッピングローラ)がそれぞれ配置され、さらに、その下流側に、ガイドローラ24を介して製造されたフラットケーブル25を巻き取る巻取ロール26が配置されている。
【0046】
また、本実施形態においては、図1に示される如く、フラットケーブル25の両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さがマージン幅Tと略同様の長さを有する幅広に形成されており、超音波溶着された際、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sが幅広に形成され、図2に示される如く、このマージン部位溶着部29aがカット用アンビル刃13により超音波溶断される位置にオーバーラップするように構成されている。この際、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは90度とされている。
【0047】
そして、フラットケーブル25の製造に際しては、各導体供給ロール2から供給された各線状導体1は、ピッチガイド3a、3bで所定間隔を有した平行配置状態とされ、下流側の両熱ロール4a、4b間に供給される。この際、各フィルムロール6a、6bから各線状導体1の上下両側に、絶縁フィルム5a、5bが供給され、例えば、170℃の温度に加熱されている熱ロール4a、4b間の通過により、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが仮接着される。
【0048】
その後、仮接着された各線状導体1および両絶縁フィルム5a、5bは、下流側の超音波溶着機7における溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12間に案内される。そして、超音波溶着機7位置で、図7に示される如く、各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bは溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とで挟持状とされて超音波溶着機7が作動される。
【0049】
即ち、図示省略の超音波振動発生機構(振動子等)より発生された超音波振動がこのホーン8に付与されて、ホーン8と一体に備えられている溶着用ホーン部10も絶縁フィルム5a、5bの幅方向に振動され、この超音波振動の付与による超音波振動エネルギにより、各導体通過溝部17両側に位置する周方向の各フィルム挟込部27で圧接状態とされている絶縁フィルム5a、5b同士が各線状導体1の両側でそれぞれ超音波溶着される。この際、マージン部29に対応する部分では図1に示される如く、溶着部位溶着幅Sが幅広のマージン部位溶着部29aが形成される。
【0050】
そして、この超音波溶着された絶縁フィルム5a、5bは、搬送経路P下流側の直後に配置されたカット用ホーン部11とカット用アンビル刃13とにより、絶縁フィルム5a、5b両端部において所定のマージン幅Tを残して超音波により溶断される。
【0051】
即ち、各線状導体1が案内される溶着用アンビル12の導体通過溝部17の側方に所定間隔を有した位置に、それぞれカット用アンビル刃13が配置され、溶着用ホーン部10と溶着用アンビル12とによる絶縁フィルム5a、5bの超音波溶着時において、図8に示される如く、各カット用アンビル刃13はカット用ホーン部11に所定の接触圧の下で接触状とされており、溶着用ホーン部10と同様、ホーン8と一体に備えられているカット用ホーン部11は幅方向に振動され、この超音波振動の付与による超音波振動エネルギにより、絶縁フィルム5a、5bの両端部所定位置で絶縁フィルム5a、5bが超音波溶断される。この際、マージン部位溶着部29aがカット用アンビル刃13により超音波溶断される位置にオーバーラップする構成であるため、図2に示される如く、マージン部位溶着部29aで超音波溶断される。
【0052】
この状態で、巻取ロール26の巻き取り作用により、搬送経路Pに沿って各線状導体1と両絶縁フィルム5a、5bとが順次供給されると、溶着用アンビル12は横軸心回りに従動回転し、溶着用ホーン部10の下面が上側の絶縁フィルム5a上面に摺接しながら、溶着用アンビル12の導体通過溝部17両側の各フィルム挟込部27が下側の絶縁フィルム35b下面に回転しながら接触していくことになり、両絶縁フィルム5a、5bは、その長さ方向に沿って連続した状態で超音波溶着されると共に、直後のカット用ホーン部11と各カット用アンビル刃13との協働により、両絶縁フィルム5a、5bの両側部に所定のマージン幅Tを残してその長さ方向に沿って連続的に超音波溶断されていく。
【0053】
その後、ガイドローラ23a、23b、24を介して、製造されたフラットケーブル25は、順次巻取ロール26に巻き取られていく。ここに、特許文献1と同様、フラットケーブル25が高速で精度よく製造される。
【0054】
そして、本実施形態においては、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sを幅広に形成し、超音波溶断する位置がこのマージン部位溶着部29aにオーバーラップしているため、カット部位溶着幅Lが極めて狭い場合であっても、超音波溶断したカット部位溶着部30と超音波溶着したマージン部位溶着部29aとが連続状となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の強固な溶着状態が確保でき、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる利点がある。
【0055】
なお、上記実施形態において、超音波溶断する位置がマージン部位溶着部29aにオーバーラップする方法とされているが、超音波溶断する位置がマージン部位溶着部29aにオーバーラップしなくても、マージン部位溶着部29aが幅広に形成されているため、従来のようなマージン部位溶着部29aが幅狭に形成されている場合と比較して、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の溶着状態がより強固となり、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0056】
図3および図4は第2の実施形態を示しており、同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
即ち、本実施形態によれば、フラットケーブル25の両側のマージン部29に対応する部分において、溶着用アンビル12におけるフィルム挟込部27のフラットケーブル幅方向長さは、図10に示される前述従来構造のフィルム挟込部27と略同様の長さを有する幅狭に形成されており、超音波溶着された際、マージン部29におけるマージン部位溶着部29aの溶着部位溶着幅Sは幅狭に形成される。
【0058】
一方、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは鈍角に形成されており、このカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着部30が、マージン部位溶着部29aにオーバーラップするようなカット部位溶着幅Lが得られるように構成されている。例えば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは150度とされている。
【0059】
即ち、絶縁フィルム5a、5bとして、一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した場合において、図11に示されるような刃先角度θが90度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着幅Lは、0.2mm程度であるのに対して、図4に示されるように刃先角度θが150度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際、0.74mm程度のカット部位溶着幅Lが得られる。
【0060】
従って、本実施形態においては、鈍角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断するため、カット部位溶着部30のカット部位溶着幅Lが幅広となり、マージン部位溶着部29aにカット部位溶着部30がオーバーラップして、第1の実施形態と同様、超音波溶断したカット部位溶着部30と超音波溶着したマージン部位溶着部29aとが連続状となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の強固な溶着状態が確保でき、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0061】
図5は第3の実施形態を示しており、同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
即ち、本実施形態によれば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは鈍角に形成されているが、このカット用アンビル刃13で超音波溶断した際のカット部位溶着部30は、マージン部位溶着部29aにオーバーラップしないようなカット部位溶着幅Lとなる構成とされている。例えば、各カット用アンビル刃13の刃先角度θは120度とされている。
【0063】
即ち、絶縁フィルム5a、5bとして、一側面に厚み1μmのポリエステル系接着層を有する厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した場合において、図5に示されるような刃先角度θが120度のカット用アンビル刃13で超音波溶断した際、0.35mm程度のカット部位溶着幅Lが得られる。
【0064】
従って、本実施形態においては、鈍角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断するため、従来のような鋭角の刃先角度θを有するカット用アンビル刃13で超音波溶断する方法と比較して、カット部位溶着部30のカット部位溶着幅Lが幅広となり、マージン部29における両絶縁フィルム5a、5b間の溶着状態がより強固となり、フラットケーブル25が折り曲げられた際等のマージン部29における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部29の剥がれに対する強度向上が図れ、ここに、マージン部29の剥がれ強度が強いフラットケーブル25が容易に製造できる。
【0065】
なお、第2の実施形態および第3の実施形態において、カット用アンビル刃13の刃先角度θの鈍角の一例として150度および120度を例示しているが、これに限られない。そして、超音波溶断の観点から刃先角度θとしては120度〜150度程度が特に好ましい。
【0066】
さらに、上記各実施形態においては、各導体通過溝部17が溶着用アンビル12に形成された構造を示しているが、溶着用ホーン部10側にも対応する溝部を形成する構造としてもよい。
【0067】
また、各絶縁フィルム5a、5bに薄肉の接着層を備えた構造を例示しているが、接着層を有しない構造であってもよい。この場合、熱ロール4a、4bによる仮接着工程は不要となる。
【0068】
そして、接着層を有しない絶縁フィルム5a、5bを使用した場合にあっては、絶縁フィルム5a、5b自体がより安価となり、製造コスト低減が図れると共に、解体が容易で、不純物が混ざらずに良好に分離でき、よりリサイクル性の向上が図れるという利点もある。
【0069】
また、各実施形態において、5本の線状導体1が備えられたフラットケーブル25を例示しているが、4本以下または6本以上の線状導体1を備えた構造であってもよく、線状導体1の数は何ら限定されない。
【0070】
さらに、接触圧調整手段としてエアーシリンダ19を使用した構造を示しているが、ネジ構造やバネ構造によってカット用アンビル刃13の高さ調整や接触圧を調整する構造であってもよく、上記実施形態に何ら限定されない。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフラットケーブル製造方法によれば、マージン部を超音波溶着するための溶着用アンビルにおけるフィルム挟込部のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部におけるマージン部位溶着部の溶着部位溶着幅を幅広に形成する方法であり、マージン部における両絶縁フィルム間の溶着状態がより強固となり、マージン部における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0072】
また、マージン部位溶着部が超音波溶断される位置にオーバーラップするような幅広のフィルム挟込部を有する溶着用アンビルを用いる方法によれば、超音波溶断した溶着部と超音波溶着したマージン部位溶着部とが連続状となり、マージン部における両絶縁フィルム間の強固な溶着状態が確保でき、マージン部における溶着部分の剥がれがより有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0073】
さらに、カット用アンビル刃の刃先角度を鈍角に形成し、超音波溶断した際のカット部位溶着部のカット部位溶着幅を幅広に形成する方法によれば、従来のような鋭角の刃先角度を有するカット用アンビル刃で超音波溶断する方法と比較して、カット部位溶着部のカット部位溶着幅が幅広となり、マージン部における両絶縁フィルム間の溶着状態がより強固となり、マージン部における溶着部分の剥がれが有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0074】
また、カット部位溶着部が超音波溶着されるマージン部のマージン部位溶着部にオーバーラップするようなカット部位溶着幅となる刃先角度を有するカット用アンビル刃を用いる方法によれば、超音波溶断したカット部位溶着部と超音波溶着したマージン部位溶着部とが連続状となり、マージン部における両絶縁フィルム間の強固な溶着状態が確保でき、マージン部における溶着部分の剥がれがより有効に防止でき、マージン部の剥がれに対する強度向上が図れる利点がある。
【0075】
そして、上記のフラットケーブル製造方法によって製造されたフラットケーブルにおいても上記同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるマージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図2】同超音波溶断部分の説明図である。
【図3】第2の実施形態にかかるマージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図4】同超音波溶断部分の説明図である。
【図5】第3の実施形態にかかるマージン部における超音波溶断部分の説明図である。
【図6】フラットケーブル製造装置の概略説明図である。
【図7】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図8】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図9】フラットケーブルの製造過程における説明図である。
【図10】マージン部における超音波溶着部分の説明図である。
【図11】同超音波溶断部分の説明図である。
【符号の説明】
1 線状導体
5a、5b 絶縁フィルム
7 超音波溶着機
8 ホーン
9 アンビル
10 溶着用ホーン部
11 カット用ホーン部
12 溶着用アンビル
13 カット用アンビル刃
29 マージン部
29a マージン部位溶着部
30 カット部位溶着部
Claims (6)
- 所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、
前記マージン部を超音波溶着するための前記溶着用アンビルにおけるフィルム挟込部のフラットケーブル幅方向長さを幅広に形成し、マージン部におけるマージン部位溶着部の溶着部位溶着幅を幅広に形成することを特徴とするフラットケーブル製造方法。 - 前記マージン部位溶着部が前記超音波溶断される位置にオーバーラップするような幅広の前記フィルム挟込部を有する前記溶着用アンビルを用いることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載のフラットケーブル製造方法によって製造されたことを特徴とするフラットケーブル。
- 所定間隔を有して平行配置された複数の線状導体を、帯状の一対の絶縁フィルムで挟み込んだ状態で、所定の搬送経路に沿って搬送すると共に、超音波振動が付与された溶着用ホーンと該溶着用ホーンに対向配置された溶着用アンビルとにより、各線状導体両側で互いに対向する両絶縁フィルムを超音波溶着した後、搬送経路下流側に配置された超音波振動が付与されたカット用ホーンと該カット用ホーンに対向配置されたカット用アンビル刃とにより、両絶縁フィルムを超音波溶断して両側に所定マージン幅のマージン部を有するフラットケーブルを製造するフラットケーブル製造方法において、
前記カット用アンビル刃の刃先角度を鈍角に形成し、前記超音波溶断した際のカット部位溶着部のカット部位溶着幅を幅広に形成することを特徴とするフラットケーブル製造方法。 - 前記カット部位溶着部が前記超音波溶着される前記マージン部のマージン部位溶着部にオーバーラップするようなカット部位溶着幅となる前記刃先角度を有する前記カット用アンビル刃を用いることを特徴とするフラットケーブル製造方法。
- 請求項4または請求項5に記載のフラットケーブル製造方法によって製造されたことを特徴とするフラットケーブル。
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JP2003067953A JP2004281112A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | フラットケーブル製造方法およびフラットケーブル |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9958287B2 (en) | 2014-07-18 | 2018-05-01 | Mitsubishi Electric Corporation | Map display system and map display method |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003067953A patent/JP2004281112A/ja not_active Abandoned
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