JP2004279892A - 双方向光学モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない工数で低損失とすることを可能とする。
【解決手段】発光素子55よりの出射光を、V溝内の円柱レンズ48で集光して、光フィルタを透過させてV溝内の光ファイバ47の光軸に入射させる。円柱レンズ48と光ファイバ47は一直線上に位置され、これら間に光学フィルタ51がV溝36により位置決め配置されている。光ファイバ47より到来した入射光は光学フィルタ51で反射されて、受光素子57に入射される。単結晶シリコン基板31に対する異方性エッチングにより上記各V溝が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】発光素子55よりの出射光を、V溝内の円柱レンズ48で集光して、光フィルタを透過させてV溝内の光ファイバ47の光軸に入射させる。円柱レンズ48と光ファイバ47は一直線上に位置され、これら間に光学フィルタ51がV溝36により位置決め配置されている。光ファイバ47より到来した入射光は光学フィルタ51で反射されて、受光素子57に入射される。単結晶シリコン基板31に対する異方性エッチングにより上記各V溝が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は発光素子、受光素子、光学フィルタ及び光ファイバを備え、発光素子よりの出射光を光学フィルタを透過させて光ファイバに入射し、光ファイバからの入射光を光学フィルタで反射させて受光素子に受光する双方向光学モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の双方向光学モジュールとして、特許文献1に示すものを、図12を参照して簡単に説明する。単結晶シリコン基板11の一面11aの端部中央にV溝12が形成され他端部に下がった段部13が形成され、シリコン基板11の面11a上にV溝12及び段部13間に渡る直線状の光導波路14が形成されている。
光導波路14の中間部において、光導波路14及びシリコン基板11に面11aに対し傾斜したフィルタ溝15が形成され、フィルタ溝15に光学フィルタ16が挿入固定される。光ファイバ17の一端部がV溝12に位置決めされて取付けられ、段部13に半導体レーザ18が光導波路14と対向して取付けられる。光ファイバ17のコアと光導波路14のコアとが一直線上に位置し、半導体レーザ18の出射光が光導波路14のコアに入射される。
【0003】
シリコン基板11の他面に金属層19を介してセラミック基板21が固定され、光学フィルタ16の位置において、シリコン基板11及びセラミック基板21を貫通する貫通孔22が形成され、セラミック基板21に貫通孔22を塞ぐように半導体受光素子23が取付けられる。セラミック基板21には受光素子23より出力電気信号を増幅する増幅IC素子24が取付けられている。
半導体レーザ18よりの出射光は光導波路14に入射され、光学フィルタ16を透過して光ファイバ17に入射される。光ファイバ17を通じて入射された入射光は光導波路14を通り、光学フィルタ16で反射されて受光素子23に入射し、電気信号に変換される。半導体レーザ18より背面出射光を受光する監視用受光素子25が段部13に取付けられている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3277876号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光導波路14の形成は、火炎堆積法或はスパッタリング法によるクラッド層の形成、高屈折率層の形成、フォトリソグラフィによるコア部の形成、更にクラッド層の形成によっている。この光導波路の作成をシリコン基板11に対するV溝12の形成、段部13の形成などの他に行うため製造工数が多く、価格が高いものとなる。
フィルタ溝15をシリコン基板11の面11aに対し、ダイシングカッタにより斜めに形成することになり、傾斜のためダイシングの刃先が滑ったり、ダイシングの角がチッピングなどを起して加工が非常に難しい。そのため歩留りがよくない。
半導体レーザ18よりの出射光は光学フィルタ16を透過した際に屈折し、図13に示すように光の進行方向がシリコン基板11の面11aに対し、垂直方向にhだけずれる。光学フィルタ16の厚みは前記文献によれば30μmであって、45度の角度をもって取付けられている。光導波路14の屈折率を約1.47、誘電体多層膜の光学フィルタ16の屈折率を平均1.7程度とすると、進行方向のずれhは約5μmとなる。前記文献によると光導波路14のコアの直径は8μmであるから、5μmの光軸のずれは8μmの光ビームの中心が8μmのコアの中心から5μmずれ、光ビームのコアから大きく外れ、透過光は大きな損失を受けることになる。
【0006】
また光学フィルタ16で反射された反射光のビーム径は伝搬距離と共に図14に示すように広がる。図14は光学フィルタ16での反射点におけるビーム径を10μmとして計算したものである。シリコン基板11の厚さは1mmであるから、反射光がシリコン基板11を通過した時にはビーム径は約200μmになり、セラミック基板19の厚さを0.8mmとすると受光素子23に達した反射光のビーム径は約350μm以上となる。要求される受光素子23の受光面の直径は、周波数特性上、光パルスの伝送速度を155〜622Mb/sとすると、80μm、1.25〜3.2Gb/sとすると40μmとなる。この要求される受光面の直径より、上記反射光の受光素子23上のビーム径は可成り大きなものとなり受光素子23での損失が大きなものとなる。
また光学フィルタ16は厚さが30μmであり、薄いフィルムであってフィルタ溝15への挿入作業がやりにくい。フィルタ溝15の溝幅を広くして光学フィルタ16を厚いものとすると、光導波路14の切断されている間隔が大きくなり、この切断間隔において半導体レーザ18からの出射光のビーム径が広がり、損失が大きくなる。
この発明の第1の目的は少ない製造工数で、出射光に大きな損失を与えない双方向光学モジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば位置決め用基板上のV溝に配された光ファイバのほぼ延長線上に、V溝に集光用円柱体が配され、その集光用円柱体の端面と対向して発光素子が配され、光ファイバと集光用円柱体との間に、位置決め用基板に対し傾斜した光学フィルタが設けられ、発光素子よりの出射光は集光用円柱体を通過して光ファイバの端面のコア部分に集光され、光ファイバに入射され、光ファイバを通過して入射されて来た入射光は光学フィルタにより位置決め用基板と角度をもって反射されて受光素子に受光される。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1及び図2を参照してこの発明の第1実施形態を説明する。例えば単結晶シリコンよりなる長方形の位置決め用基板31の一面(以下溝形成面という)31aに長手方向に沿って一直線32上にファイバ用V溝33及びレンズ用V溝34、この例では更にモニタ用V溝35が配列形成される。ファイバ用V溝33は位置決め用基板31の長手方向の一端面に達している。
光ファイバ用V溝33とレンズ用V溝34との間において、レンズ用V溝34と交差して、この例ではほぼ直角に交差してフィルタ用溝36が形成される。フィルタ用溝36のファイバ用V溝33側の壁面36aは基板31の溝形成面31aに対して傾斜され、つまり溝36が深くなるに従ってファイバ用溝33から離れるように傾斜され、フィルタ用溝36のレンズ用V溝34側の壁面36bは壁面36aとのなす角度θ1 が溝形成面31aと垂直な面よりと壁面36aとのなる角度以上とされ、つまり溝形成面31aと垂直な面と壁面36aとのなす面よりも小さくないようにされる。図示の例ではフィルタ用溝36もV溝とされた場合である。更にこの例ではモニタ用V溝35のレンズ用V溝34と反対側にフィルタ用溝36とほぼ平行に反射板用溝37がV溝として形成されている。
位置決め用基板31にファイバ用V溝33及びフィルタ用溝36と連通して貫通孔38が形成される。この例では溝形成面31aにファイバ用V溝33及びフィルタ用溝36と連通した凹部39が形成され、凹部39と対応する位置において、位置決め用基板31の他面31bに凹部41が形成され、凹部39と凹部41が連通されて貫通孔38とされた場合である。またこの例ではモニタ用V溝35と反射板用溝37に連通した貫通孔42が同様に凹部43と44により位置決め用基板31に形成されている。
【0009】
溝形成面31aにはレンズ用V溝34のフィルタ用溝36と反対の端と連通して、レンズ用V溝34と垂直に延長した細い位置決め溝45が形成されている。またこの例ではモニタ用V溝35のレンズ用V溝34側の端に、モニタ用V溝35と垂直に細い位置決め用溝46が形成されている。この例ではV溝33,34,35、フィルタ用溝36、反射板用溝37、凹部39,41,43,44はそれぞれ単結晶シリコン基板31に対する異方性エッチング(結晶の方位によりエッチング速度が大きく異なる)により形成され、位置決め用溝45,46はダイシングカッタにより溝形成面31aと垂直に形成されている。フィルタ用溝36の近くのファイバ用V溝33側において溝形成面31aにマーカ50a,50bが形成されている。
ファイバ用V溝33に光ファイバ47の一端部がそのV溝33により位置決めされ、かつ光軸方向においてマーカ50a,50bと位置合わせして配され、光ファイバ47の一端は貫通孔38内において、両側のマーカ50a,50bの各1縁を結ぶ直線と光ファイバ47の端面47aとを一致させて位置している。集光用円柱体48がレンズ用V溝34にこれにより位置決めされて配され、かつ集光用円柱体48の一端面は位置決め用溝45の壁面と対接されて、位置決めされている。更にこの例では集光用円柱体49がモニタ用V溝35にこれにより位置決めされて配され、かつこの集光用円柱体49の一端面は位置決め用溝46の壁面に対接されて位置決めされ、他端面は貫通孔42内に位置している。短尺の集光用円柱体49の場合は、発光素子55と反対の面はモニタ用V溝35上に位置していてもよい。
【0010】
またフィルタ用溝36に光学フィルタ51がこれにより位置決めして配される。つまり図4に示すように光学フィルタ51の一面51aがフィルタ用溝36の斜めの壁面36aと対接されて溝形成面31aに対する角度が位置決めされ、かつ光学フィルタ51の他面の溝挿入側の縁51bがフィルタ用溝36の他方の壁面36bに突き当てられて、光学フィルタ51の前記角度と、直線32方向における位置が決められる。反射板用溝37にこれにより位置決めされて反射板52が配される。
位置決め用溝45と46の間において溝形成面31a上に一対の電極53,54が形成され、また図に示していないが同時に一対のマーカが形成される。位置決め用溝45と46の間において溝形成面31a上に半導体レーザなどの発光素子55が位置決めされて取付けられる。例えば撮像手段を備えたプローブを発光素子55と溝形成面31aとの間に配し、溝形成面31a上の一対のマーカと発光素子57のマーカ又はその電極境界などのそれ自体の指標との各位置を検出して両者の相互の位置を知った後、プローブを抜いて、両マーカを互いに合わせるように発光素子55の一方の電極を一方の電極54に固着し、発光素子55の他方の電極と電極53とをワイヤボンディングなどにより接続する。この状態で発光素子55の出射光の光軸は集光用円柱体48,49の光軸と一直線上で一致し、かつ直線32の方向における位置、つまり位置決め用基板31上の他の部品との相対位置が所定の状態になるようにされる。発光素子55の出射光端面と位置決め用溝45との間は、通常10μm程度である。光ファイバ位置決め用マーカ50a,50bは、前記発光素子位置決め用マーカと同時に正確な位置に形成される。
【0011】
集光用円柱体48は円柱レンズやレンズ効果をもつグレーデッドインデクスマルチモード(屈折率分布形)光ファイバなどであって、発光素子55からの出射光が集光用円柱体48を通過し、その際に光ビームが絞られ、光学フィルタ51を透過して、光ファイバ47の端面のコア部分、つまり光ファイバ47の端面の光軸位置に集光するようにされる。
光学フィルタ51は例えば透明基板51cの一面に誘電体多層膜フィルタ51dが形成され、発光素子55からの出射光を透過し、光ファイバ47を通って入射された入射光を反射するものである。例えば発光素子55の出射光の波長は1.3μm又は1.5μmであり、光ファイバ47からの入射光の波長は1.5μm又は1.3μmである。
この例では発光素子55よりの背面出射光は集光用円柱体49を透過し、反射板52で基板31の溝形成面31aと反射の面側に反射される。反射板52も透明基板に誘電体多層膜又は金属膜を形成したものが用いられる。光ファイバ47、集光用円柱体34,35、光学レンズ51、反射板52は接着剤などで固定される。
【0012】
位置決め用基板31の溝形成面31aと反対の面31bに部品取付用基板56が例えば接着剤で固定される。部品取付用基板56の溝形成用基板31側の面に受光素子57,58が取付けられ、受光素子57,58はそれぞれ貫通孔38,42内に位置され、つまり凹部41,44内に収容される。フォトダイオードなどの受光素子57,58に光学フィルタ51、反射板52の各反射光がそれぞれ受光されるようにされる。つまり位置合せ用基板31に付けたマーカと、部品取付用基板56に付けたマーカとが一致するようにこれら両基板31,56を互いに固定し、これらマーカを基準として計算された反射光の位置、角度に基づき、反射光が受光素子の受光面に入射するように、マーカを基準に受光素子57,58を部品取付用基板56に取付けておく。部品取付用基板56はセラミック板あるいはグラスファイバ入り樹脂材の配線基板などが用いられる。部品取付用基板56の位置決め用基板31と反対の面に受光素子57よりの出力電気信号を増幅する増幅用IC素子59が取付けられる。なお、位置決め用基板31の面31bに増幅用IC素子59を収容する凹部をさらに設け、部品取付用基板56の位置決め用基板31側の面に増幅用IC素子59を配置してもよい。
【0013】
この構成によれば図3に示すように光ファイバ47を通じて到来した入射光61は光学フィルタ51で反射されて受光素子57で受光されて電気信号に変換される。発光素子55よりの出射光62は集光用円柱体48で絞られ、光学フィルタ51を透過後、光ファイバ47の端面の光軸に集光されて、光ファイバ47に入射される。発光素子55の背面からのモニタ光63は集光用円柱体49で絞られ、反射板52で反射されて受光素子58の受光面に集光される。モニタ用の受光素子58の受光面積は比較的大きいためまた発光素子55の出射光の強度を検出できればよいため、集光用円柱体49を省略してもよい。また同様の理由から受光素子58は位置決め用基板31の外部に設ける構成としてもよい。貫通孔38,42はそれぞれダイシングカッタにより溝形成面31aと直角に形成してもよい。
【0014】
位置決め用基板31として単結晶シリコンを用いる場合は単結晶シリコンは可視光は透過しにくいが波長が1.3μm、1.55μmなどの光通信に用いられる近赤外線帯域の光を可成りよく通してしまう。このため発光素子55と集光用円柱体48との光結合部、光学フィルタ51の部分、光ファイバ47の端面47aなど各所で光が漏れ、その光がシリコン基板31内を伝わり、受光素子57に到達する。この結果、光ファイバ47からの入射光と、発光素子55の出射光との受光素子57での分離が悪くなるおそれがある。
この点で、レンズ用V溝34の位置においてこれとほぼ直角に交差して、溝形成面31aに細長い遮光用溝64を、発光素子55からの出射光の放射角の延長線よりも更に深くかつ、長く形成し、その遮光用溝64に、不透明樹脂(シリコン樹脂、エポキシ樹脂など)などの遮光材65を充填することが好ましい。この遮光用溝64として位置決め用溝45を兼用してもよい。このようにすれば漏洩量が大きい発光素子55と集光用円柱体48との光結合部からの漏れ光が受光素子57に到達するのを阻止することができる。
【0015】
また発光素子55からの出射光がまわりの物質との乱反射で位置決め用基板31の側面、板面31a,31bなどから反射してきた光や光学フィルタ51、光ファイバ47の端面47aなどから散乱してきた漏れ光を阻止するため、受光素子57を囲う面、貫通孔38の対応内面、この例では凹部41の内面に遮光層67を形成することが好ましい。貫通孔38としては凹部39と41との連通部が光学フィルタ51からの反射光が余裕をもって通過できる範囲で狭くして受光素子57をなるべく遮光層67で囲うようにするとよい。発光素子55の出射光の強度をなるべく正しく監視できるように、同様に凹部44の内面に遮光層68を形成するとよい。遮光層67,68としては例えば電極53,54と同一材のチタンの成膜により形成することができる。この場合、位置決め用基板31の面31bにもチタンの成膜によるシールド層71も同時形成することにより遮光層67が導電性をもつため、発光素子55に対する駆動信号線などからの不要輻射に対し、受光素子57が遮蔽されることになる。
発光素子55と集光用円柱体48との結合効率の向上、光ファイバ47の端面47aからの反射防止、集光用円柱体48の端面からの反射防止などを改善するために、光ファイバ47と発光素子55との間の光路、更に必要に応じて発光素子55と反射板52との間の光路に光学的に透明なシリコン樹脂などの透明層69を形成することが好ましい。光ファイバ47の端面47aが直角からずれて切断されていると、光ファイバ47と周囲の屈折率により光路が曲げられてしまう。この点で透明層69としては、光ファイバ47のコアの屈折率に近いものが好ましい。更に透明層69を発光素子55を覆い、かつ貫通孔38,42にも充填すると、受光素子57,58、発光素子55の耐湿化がなされ、信頼性が向上する。
【0016】
図13を参照して説明したように、光学フィルタ51を光が通過すると光学フィルタとその周囲の屈折率の差により光路(光軸)がずれる。この軸ずれ量hと対応して、図5に示すように光ファイバ47の光軸と集光用円柱体48の光軸とをhだけ溝形成面31aと垂直な面内でずらすとよい。この軸ずれ量hは計算により求めることができ、その計算値だけ両光軸がずれるようにV溝33と34が深さ、角度、光ファイバ47の径、集光用円柱体48の径を選定すればよい。V溝33と34を単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して行い、かつ光ファイバ47の径と集光用円柱体48の径が等しい場合は、エッチングマスクの幅によりV溝の深さが決まるから光ファイバ用V溝33の方がhだけレンズ用V溝34より深くなるように、エッチングマスク幅を広くしておけばよい。このように光軸ずれを調整しても、溝形成面31aと直角な方向から見れば光ファイバ47、集光用円柱体48の両光軸は直線32上に位置するものである。
フィルタ用溝36、反射板用溝37としてV溝とすると、これらのV溝の底と基板31の面31bとの間の厚みが小さくなり、基板31の強度が強いものとなる。従って、単結晶シリコンの異方性エッチングを利用してフィルタ用溝36、反射板用溝37を形成する場合でも、その断面が図4に示すように逆台形状になるようにするとよい。この場合、光学フィルタ51の面51aの縁が溝36の底と接した状態で光学フィルタ51の縁51bが壁36bに突き当り、光学フィルタが安定かつ正しく位置決めされるためには、溝36の底面の幅をL、底面と壁面36bがなす角をθ2 、光学フィルタ51の厚さをtとすると、L=t・(sinθ−cosθ/tanθ)とすればよい。光学フィルタ51の面51aが溝36の底面に達しなくてもよく、Lはt・(sinθ−cosθ/tanθ)以下とすればよい。単結晶シリコンの異方性エッチングの場合θ=54.74°で精度がよく、かつ再現性がよい。
【0017】
第2実施形態
図6及び図7にこの発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と対応する部分が同一参照番号を付けて重複説明を省略する。
第2実施形態は部品取付用基板56を位置決め用基板31の溝形成面31a側に設けた場合であり、貫通孔38,42は形成されていない。光学フィルタ51はフィルタ用溝36の集光用円柱体48側の壁面36bの傾斜面に対接され、光学フィルタ51の縁が壁面36aに突き当たって斜めに位置決めされて取付けられる。更に光ファイバ47、集光用円柱体48、発光素子55は溝形成面31aより面31から突出しないように位置決め用基板31に取付けられる。このためレンズ用V溝34のフィルタ用溝36と反対側の端部と連通した素子配置用凹部73が溝形成面31aに形成され、素子配置用凹部73の底面73aに発光素子55が取付けられる。
【0018】
この例では素子配置用凹部73も単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して形成した場合であって、底面73aに形成された電極53,54はそれぞれ凹部73の傾斜壁面上をこれに沿って延長され、溝形成面31a上まで延長形成されている。また凹部73の発光素子55の背面と対向する傾斜面に金属材の反射膜74が形成され、発光素子55から背面出射光を反射させるようにされている。
部品取付用基板56はこの例ではエポキシ樹脂、ガラスファィバ入りエポキシ樹脂などの不透明の中間基板75を介して溝形成面31a上に固定された場合であり、中間基板75の部品取付用基板56側の面に凹部が部品収容部76,77,78として形成され、部品取付用基板56に取付けられた受光素子57,58、増幅用IC素子59が部品収容部76,77,78内に位置される。部品収容部76,77には光学フィルタ51、反射膜74の各反射光をそれぞれ通過させて受光素子57,58に入射させるための小孔81,82がそれぞれ形成されている。中間基板75に位置決め用孔を貫通形成しておき、この位置決め用孔を通して部品取付用基板56と位置決め用基板31との位置合せを第1実施系と同様に行えばよい。
【0019】
この第2実施形態において発光素子55よりの出射光を光ファイバ47に良好に入射でき、かつ、光ファイバ47から到来した入射光を受光素子57に受光させることは容易に理解できよう。その他第1実施形態について各説明した事項はこの第2実施形態にも適用されるものである。また受光素子57,58に対する電磁遮蔽のために必要に応じて位置決め用基板31の面31b、位置決め用基板31と中間基板75との間、更に中間基板75の位置決め用基板31の反対側の面にそれぞれ導電層83,84,85を形成してもよい。これらの導電層の形成は1つないし複数だけでもよい。何れにしてもこれら導電層83,84,85は互いに電気的に接続されるものである。
不透明の中間基板75により発光素子55の出射光が前述したように各所で散乱されても、受光素子57,58に入射されるのが防止される。また溝形成面31a上に延長された電極53,54の部分に中間基板75に形成された配線パターンを半田付けすることにより、図に示していないが部品取付用基板56に設けられた、発光素子55に対する駆動信号源に接続され、この接続をワイヤボンディングによらないため簡単に行うことができ、ボンディングワイヤの切断のおそれもなく信頼性が高い。部品取付用基板56としてリードフレームパッケージを用い、そのリードフレームの露出したリード端子に発光素子57,58、増幅用IC素子59を搭載接続することができる。
【0020】
上述では光学フィルタ51として板状のものを用いたが、図8Aに示すように3角プリズム87に誘電体多層膜(フィルタ膜)87aを形成したものでもよい。あるいは図8Bに示すように立方体プリズム88の対角面に誘電体多層膜(フィルタ膜)88aを挟み込んだものを用いてもよい。何れの場合も、発光素子55の出射光を透過し、光ファイバ47からの入射光を反射するものである。またこれら光学フィルタ87,88はフィルタ溝36の両壁面36aと36bにより位置決めされて保持される。図8A、図8Bでは三角プリズム、立方体プリズムの光学フィルタ87,88を第1実施形態に適用した例を示したが、これらを第2実施形態にも適用できることは容易に理解されよう。その場合はフィルタ膜87a,88aを溝形成面31a及び直線32に垂直な面に対し、図8A,図8Bのフィルタ膜87a,88aと対称な角度をとるようにすればよい。
【0021】
光軸のずれhの問題を改善するには図9に示すように透過光に対し、光学フィルタ51と光学的に同一特性の補償板89を、溝形成面31aに対し光学フィルタ51と傾斜角が逆向きになるように、光学フィルタ51と対向して補償板用溝91にこれにより位置決めさせて設けてもよい。この場合補償板89には誘電体多層膜は付けられていなく、光ファイバ47からの到来光は透過させるものである。この場合も補償板用溝91はこの例ではV溝とされ、その傾斜壁面91aに補償板89が対接され、補償板89の縁が他方の壁面91bに突き当り、角度と位置とが決められる。補償板用溝91はフィルタ用溝36と平行とされている。光学フィルタ51、補償板89の各屈折率をn2 、これらの周囲の屈折率をn1 、光学フィルタ51、補償板89と各周囲媒体との各入射角、出射角の関係を図に示す各角度とすると、スネルの法則により、
n1 sinθ1 =θ2 sinθ2 ,n2 sinθ2 =n1 sinθ3
n1 sinθ4 =n2 sinθ5 ,n2 sinθ5 =n1 sinθ6
が成り立つ。溝36,91の壁面36a,91aの斜面角度をθ8 ,θ7 が等しい場合はθ3 =θ4 となり、光学フィルタ51、補償板89の屈折率は共にn2 であるからθ1 =θ3 =θ4 =θ6 となり、集光用円柱体48よりの出射光の光軸と、光ファイバ47の入射光の光軸とが一致することになる。小形化の要求や集光用円柱体48の集光度にもよるが、光学フィルタ51と補償板89はなるべく接近させた方がよい。光学フィルタ51を光ファイバ47になるべく近づけた方がよい点で、図15に示すように補償板89を光学フィルタ51と集光用円柱体48との間に設けた方がよい。図9、図15ではこの補償板89を第1実施形態に適用したが、第2実施形態にも適用することができる。その場合は、図9において光学フィルタ51と補償板89とを入れ替えればよく、図15では光学フィルタ51も補償板89も溝形成面31aに対する傾斜を逆にすればよい。
【0022】
第3実施形態
この発明の第3実施形態を図10に示す。第3実施形態は光学フィルタとして個別に設けず光ファイバ47の端面に設ける。図10Aに図1及び図2と対応する部分に同一参照番号を付けて示すように、光ファイバ47の端面47aは溝形成面31aに対して傾斜して、この例では端面47aが溝形成面31aから遠去かるに従って集光用円柱体48に近づくように傾斜される。この斜めに切断された光ファイバ端面47aに例えば誘電体多層膜のフィルタ膜92が形成される。このフィルタ膜92は集光用円柱体48からの出射光を透過し、つまり光ファイバ47に入射するが、光ファイバ47より到来した入射光は反射して、受光素子57へ入射する。
この場合は光学フィルタ、つまりフィルタ膜92は光ファイバ47と集光用円柱体48との間に位置し、光ファイバ47が位置決め用基板31により位置決めされることに基づき、フィルタ膜(光学フィルタ)92も位置決め用基板31により位置決めされることになる。
【0023】
図10Aは部品取付用基板56を位置決め用基板31の溝形成面31aと反対側の面31bに取付けた場合であるが、図10Bに示すように部品取付用基板56を溝形成面31a側に取付けるようにしてもよい。この場合は光ファイバ47の端面47aは溝形成面31aに対する傾斜か、図10Bの場合と逆向きとされる。
この第3実施形態においても、位置決め用基板31と各部品との取付け形態、出射光、入射光の分離のための光遮蔽、電磁遮蔽(シールド)対策は、第1実施形態、第2実施形態に対して行ったように同様に行うことができる。
【0024】
変形例
位置決め用基板31としては単結晶シリコンを用いることにより各溝を精度よく簡単に作ることができるが、光を通さないエポキシ樹脂などの樹脂材の成形により位置決め用基板31を作ってもよい。この場合も高精度の溝を比較的簡単に作ることができ、量産性もよい。その成形の際に発光素子55を搭載する部分には位置決め用基板31内に放熱の良い金属などを埋め込んでおくとよい。また金型を使うため各種形状の溝を作ることができる。従って、例えばフィルタ溝36を、図4中に破線で示すように一方の壁面36bを溝形成面31aに対して垂直又は適当に傾斜させたものとすることもできる。また図8に示した光学フィルタ87,88を用いる場合はその形状に対する位置決めに適した形状のフィルタ用溝36とすることができる。何れの場合も、光学フィルタ51,87,88を取扱い易い大きさ形状としてもフィルタ用溝に容易に位置決めすることができる。図11に示すように、この発明による双方向光学モジュール95を、その長手方向を平行にして配列して1つの基板にアレー状に形成し、1つ乃至並んでいる複数を分離するようにしてもよい。このようにすることにより多チャネルの双方向光学モジュールを容易に作ることができる。多チャネル用とする場合は各隣接双方向光学モジュール95の間にその長手方向に沿った溝を形成し、その溝内に不透明の樹脂材などを埋め込み分離帯95を形成し、隣接チャネルの出射信号光を分離帯95で遮蔽するようにすることができる。このアレー構成は前記第1〜第3実施形態の何れにも適用できる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、位置決め用基板31の溝形成面31aにファイバ用V溝33、レンズ用V溝34がその基板31自体に形成され、これらを簡単に作ることができ、かつ光ファイバ47、集光用円柱体48、光学フィルタ、発光素子がそれぞれ位置決め用基板により位置決めされているため、出射光を光ファイバの光軸に精度よく集光することができ、光導波路を特に設けることなく、低損失で出射光を光ファイバに入射することができ、製造工数も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示す図2中の直線32上の断面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】第1実施形態における入射光61と出射光62の各進行状態の例を示す図。
【図4】光学フィルタ51のフィルタ溝36に対する位置決め状態を示す図。
【図5】光学フィルタ51を透過したことに基づく出射光の光軸ずれと対応して光ファイバ47と集光用円柱体48の光軸をずらした状態を示す図。
【図6】この発明の第2実施形態の図1と対応した断面図。
【図7】図6の中の7−7線断面図。
【図8】光学フィルタの他の例を示す図。
【図9】光軸ずれを補償する構成例を示す図。
【図10】Aはこの発明の第3実施形態の図1と対応した断面図、Bは第3実施形態の図6と対応した断面図。
【図11】この発明の双方向光学モジュールをアレー状に構成した例を示す平面図。
【図12】従来の双方向モジュールを示す断面図。
【図13】光学フィルタによる光軸ずれを示す図。
【図14】光学フィルタと受光素子の受光面内の距離と光ビーム直径との関係の計算値を示すグラフ。
【図15】この発明の変形実施形態の一部を示す断面図。
【発明の属する技術分野】
この発明は発光素子、受光素子、光学フィルタ及び光ファイバを備え、発光素子よりの出射光を光学フィルタを透過させて光ファイバに入射し、光ファイバからの入射光を光学フィルタで反射させて受光素子に受光する双方向光学モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の双方向光学モジュールとして、特許文献1に示すものを、図12を参照して簡単に説明する。単結晶シリコン基板11の一面11aの端部中央にV溝12が形成され他端部に下がった段部13が形成され、シリコン基板11の面11a上にV溝12及び段部13間に渡る直線状の光導波路14が形成されている。
光導波路14の中間部において、光導波路14及びシリコン基板11に面11aに対し傾斜したフィルタ溝15が形成され、フィルタ溝15に光学フィルタ16が挿入固定される。光ファイバ17の一端部がV溝12に位置決めされて取付けられ、段部13に半導体レーザ18が光導波路14と対向して取付けられる。光ファイバ17のコアと光導波路14のコアとが一直線上に位置し、半導体レーザ18の出射光が光導波路14のコアに入射される。
【0003】
シリコン基板11の他面に金属層19を介してセラミック基板21が固定され、光学フィルタ16の位置において、シリコン基板11及びセラミック基板21を貫通する貫通孔22が形成され、セラミック基板21に貫通孔22を塞ぐように半導体受光素子23が取付けられる。セラミック基板21には受光素子23より出力電気信号を増幅する増幅IC素子24が取付けられている。
半導体レーザ18よりの出射光は光導波路14に入射され、光学フィルタ16を透過して光ファイバ17に入射される。光ファイバ17を通じて入射された入射光は光導波路14を通り、光学フィルタ16で反射されて受光素子23に入射し、電気信号に変換される。半導体レーザ18より背面出射光を受光する監視用受光素子25が段部13に取付けられている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3277876号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光導波路14の形成は、火炎堆積法或はスパッタリング法によるクラッド層の形成、高屈折率層の形成、フォトリソグラフィによるコア部の形成、更にクラッド層の形成によっている。この光導波路の作成をシリコン基板11に対するV溝12の形成、段部13の形成などの他に行うため製造工数が多く、価格が高いものとなる。
フィルタ溝15をシリコン基板11の面11aに対し、ダイシングカッタにより斜めに形成することになり、傾斜のためダイシングの刃先が滑ったり、ダイシングの角がチッピングなどを起して加工が非常に難しい。そのため歩留りがよくない。
半導体レーザ18よりの出射光は光学フィルタ16を透過した際に屈折し、図13に示すように光の進行方向がシリコン基板11の面11aに対し、垂直方向にhだけずれる。光学フィルタ16の厚みは前記文献によれば30μmであって、45度の角度をもって取付けられている。光導波路14の屈折率を約1.47、誘電体多層膜の光学フィルタ16の屈折率を平均1.7程度とすると、進行方向のずれhは約5μmとなる。前記文献によると光導波路14のコアの直径は8μmであるから、5μmの光軸のずれは8μmの光ビームの中心が8μmのコアの中心から5μmずれ、光ビームのコアから大きく外れ、透過光は大きな損失を受けることになる。
【0006】
また光学フィルタ16で反射された反射光のビーム径は伝搬距離と共に図14に示すように広がる。図14は光学フィルタ16での反射点におけるビーム径を10μmとして計算したものである。シリコン基板11の厚さは1mmであるから、反射光がシリコン基板11を通過した時にはビーム径は約200μmになり、セラミック基板19の厚さを0.8mmとすると受光素子23に達した反射光のビーム径は約350μm以上となる。要求される受光素子23の受光面の直径は、周波数特性上、光パルスの伝送速度を155〜622Mb/sとすると、80μm、1.25〜3.2Gb/sとすると40μmとなる。この要求される受光面の直径より、上記反射光の受光素子23上のビーム径は可成り大きなものとなり受光素子23での損失が大きなものとなる。
また光学フィルタ16は厚さが30μmであり、薄いフィルムであってフィルタ溝15への挿入作業がやりにくい。フィルタ溝15の溝幅を広くして光学フィルタ16を厚いものとすると、光導波路14の切断されている間隔が大きくなり、この切断間隔において半導体レーザ18からの出射光のビーム径が広がり、損失が大きくなる。
この発明の第1の目的は少ない製造工数で、出射光に大きな損失を与えない双方向光学モジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば位置決め用基板上のV溝に配された光ファイバのほぼ延長線上に、V溝に集光用円柱体が配され、その集光用円柱体の端面と対向して発光素子が配され、光ファイバと集光用円柱体との間に、位置決め用基板に対し傾斜した光学フィルタが設けられ、発光素子よりの出射光は集光用円柱体を通過して光ファイバの端面のコア部分に集光され、光ファイバに入射され、光ファイバを通過して入射されて来た入射光は光学フィルタにより位置決め用基板と角度をもって反射されて受光素子に受光される。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1及び図2を参照してこの発明の第1実施形態を説明する。例えば単結晶シリコンよりなる長方形の位置決め用基板31の一面(以下溝形成面という)31aに長手方向に沿って一直線32上にファイバ用V溝33及びレンズ用V溝34、この例では更にモニタ用V溝35が配列形成される。ファイバ用V溝33は位置決め用基板31の長手方向の一端面に達している。
光ファイバ用V溝33とレンズ用V溝34との間において、レンズ用V溝34と交差して、この例ではほぼ直角に交差してフィルタ用溝36が形成される。フィルタ用溝36のファイバ用V溝33側の壁面36aは基板31の溝形成面31aに対して傾斜され、つまり溝36が深くなるに従ってファイバ用溝33から離れるように傾斜され、フィルタ用溝36のレンズ用V溝34側の壁面36bは壁面36aとのなす角度θ1 が溝形成面31aと垂直な面よりと壁面36aとのなる角度以上とされ、つまり溝形成面31aと垂直な面と壁面36aとのなす面よりも小さくないようにされる。図示の例ではフィルタ用溝36もV溝とされた場合である。更にこの例ではモニタ用V溝35のレンズ用V溝34と反対側にフィルタ用溝36とほぼ平行に反射板用溝37がV溝として形成されている。
位置決め用基板31にファイバ用V溝33及びフィルタ用溝36と連通して貫通孔38が形成される。この例では溝形成面31aにファイバ用V溝33及びフィルタ用溝36と連通した凹部39が形成され、凹部39と対応する位置において、位置決め用基板31の他面31bに凹部41が形成され、凹部39と凹部41が連通されて貫通孔38とされた場合である。またこの例ではモニタ用V溝35と反射板用溝37に連通した貫通孔42が同様に凹部43と44により位置決め用基板31に形成されている。
【0009】
溝形成面31aにはレンズ用V溝34のフィルタ用溝36と反対の端と連通して、レンズ用V溝34と垂直に延長した細い位置決め溝45が形成されている。またこの例ではモニタ用V溝35のレンズ用V溝34側の端に、モニタ用V溝35と垂直に細い位置決め用溝46が形成されている。この例ではV溝33,34,35、フィルタ用溝36、反射板用溝37、凹部39,41,43,44はそれぞれ単結晶シリコン基板31に対する異方性エッチング(結晶の方位によりエッチング速度が大きく異なる)により形成され、位置決め用溝45,46はダイシングカッタにより溝形成面31aと垂直に形成されている。フィルタ用溝36の近くのファイバ用V溝33側において溝形成面31aにマーカ50a,50bが形成されている。
ファイバ用V溝33に光ファイバ47の一端部がそのV溝33により位置決めされ、かつ光軸方向においてマーカ50a,50bと位置合わせして配され、光ファイバ47の一端は貫通孔38内において、両側のマーカ50a,50bの各1縁を結ぶ直線と光ファイバ47の端面47aとを一致させて位置している。集光用円柱体48がレンズ用V溝34にこれにより位置決めされて配され、かつ集光用円柱体48の一端面は位置決め用溝45の壁面と対接されて、位置決めされている。更にこの例では集光用円柱体49がモニタ用V溝35にこれにより位置決めされて配され、かつこの集光用円柱体49の一端面は位置決め用溝46の壁面に対接されて位置決めされ、他端面は貫通孔42内に位置している。短尺の集光用円柱体49の場合は、発光素子55と反対の面はモニタ用V溝35上に位置していてもよい。
【0010】
またフィルタ用溝36に光学フィルタ51がこれにより位置決めして配される。つまり図4に示すように光学フィルタ51の一面51aがフィルタ用溝36の斜めの壁面36aと対接されて溝形成面31aに対する角度が位置決めされ、かつ光学フィルタ51の他面の溝挿入側の縁51bがフィルタ用溝36の他方の壁面36bに突き当てられて、光学フィルタ51の前記角度と、直線32方向における位置が決められる。反射板用溝37にこれにより位置決めされて反射板52が配される。
位置決め用溝45と46の間において溝形成面31a上に一対の電極53,54が形成され、また図に示していないが同時に一対のマーカが形成される。位置決め用溝45と46の間において溝形成面31a上に半導体レーザなどの発光素子55が位置決めされて取付けられる。例えば撮像手段を備えたプローブを発光素子55と溝形成面31aとの間に配し、溝形成面31a上の一対のマーカと発光素子57のマーカ又はその電極境界などのそれ自体の指標との各位置を検出して両者の相互の位置を知った後、プローブを抜いて、両マーカを互いに合わせるように発光素子55の一方の電極を一方の電極54に固着し、発光素子55の他方の電極と電極53とをワイヤボンディングなどにより接続する。この状態で発光素子55の出射光の光軸は集光用円柱体48,49の光軸と一直線上で一致し、かつ直線32の方向における位置、つまり位置決め用基板31上の他の部品との相対位置が所定の状態になるようにされる。発光素子55の出射光端面と位置決め用溝45との間は、通常10μm程度である。光ファイバ位置決め用マーカ50a,50bは、前記発光素子位置決め用マーカと同時に正確な位置に形成される。
【0011】
集光用円柱体48は円柱レンズやレンズ効果をもつグレーデッドインデクスマルチモード(屈折率分布形)光ファイバなどであって、発光素子55からの出射光が集光用円柱体48を通過し、その際に光ビームが絞られ、光学フィルタ51を透過して、光ファイバ47の端面のコア部分、つまり光ファイバ47の端面の光軸位置に集光するようにされる。
光学フィルタ51は例えば透明基板51cの一面に誘電体多層膜フィルタ51dが形成され、発光素子55からの出射光を透過し、光ファイバ47を通って入射された入射光を反射するものである。例えば発光素子55の出射光の波長は1.3μm又は1.5μmであり、光ファイバ47からの入射光の波長は1.5μm又は1.3μmである。
この例では発光素子55よりの背面出射光は集光用円柱体49を透過し、反射板52で基板31の溝形成面31aと反射の面側に反射される。反射板52も透明基板に誘電体多層膜又は金属膜を形成したものが用いられる。光ファイバ47、集光用円柱体34,35、光学レンズ51、反射板52は接着剤などで固定される。
【0012】
位置決め用基板31の溝形成面31aと反対の面31bに部品取付用基板56が例えば接着剤で固定される。部品取付用基板56の溝形成用基板31側の面に受光素子57,58が取付けられ、受光素子57,58はそれぞれ貫通孔38,42内に位置され、つまり凹部41,44内に収容される。フォトダイオードなどの受光素子57,58に光学フィルタ51、反射板52の各反射光がそれぞれ受光されるようにされる。つまり位置合せ用基板31に付けたマーカと、部品取付用基板56に付けたマーカとが一致するようにこれら両基板31,56を互いに固定し、これらマーカを基準として計算された反射光の位置、角度に基づき、反射光が受光素子の受光面に入射するように、マーカを基準に受光素子57,58を部品取付用基板56に取付けておく。部品取付用基板56はセラミック板あるいはグラスファイバ入り樹脂材の配線基板などが用いられる。部品取付用基板56の位置決め用基板31と反対の面に受光素子57よりの出力電気信号を増幅する増幅用IC素子59が取付けられる。なお、位置決め用基板31の面31bに増幅用IC素子59を収容する凹部をさらに設け、部品取付用基板56の位置決め用基板31側の面に増幅用IC素子59を配置してもよい。
【0013】
この構成によれば図3に示すように光ファイバ47を通じて到来した入射光61は光学フィルタ51で反射されて受光素子57で受光されて電気信号に変換される。発光素子55よりの出射光62は集光用円柱体48で絞られ、光学フィルタ51を透過後、光ファイバ47の端面の光軸に集光されて、光ファイバ47に入射される。発光素子55の背面からのモニタ光63は集光用円柱体49で絞られ、反射板52で反射されて受光素子58の受光面に集光される。モニタ用の受光素子58の受光面積は比較的大きいためまた発光素子55の出射光の強度を検出できればよいため、集光用円柱体49を省略してもよい。また同様の理由から受光素子58は位置決め用基板31の外部に設ける構成としてもよい。貫通孔38,42はそれぞれダイシングカッタにより溝形成面31aと直角に形成してもよい。
【0014】
位置決め用基板31として単結晶シリコンを用いる場合は単結晶シリコンは可視光は透過しにくいが波長が1.3μm、1.55μmなどの光通信に用いられる近赤外線帯域の光を可成りよく通してしまう。このため発光素子55と集光用円柱体48との光結合部、光学フィルタ51の部分、光ファイバ47の端面47aなど各所で光が漏れ、その光がシリコン基板31内を伝わり、受光素子57に到達する。この結果、光ファイバ47からの入射光と、発光素子55の出射光との受光素子57での分離が悪くなるおそれがある。
この点で、レンズ用V溝34の位置においてこれとほぼ直角に交差して、溝形成面31aに細長い遮光用溝64を、発光素子55からの出射光の放射角の延長線よりも更に深くかつ、長く形成し、その遮光用溝64に、不透明樹脂(シリコン樹脂、エポキシ樹脂など)などの遮光材65を充填することが好ましい。この遮光用溝64として位置決め用溝45を兼用してもよい。このようにすれば漏洩量が大きい発光素子55と集光用円柱体48との光結合部からの漏れ光が受光素子57に到達するのを阻止することができる。
【0015】
また発光素子55からの出射光がまわりの物質との乱反射で位置決め用基板31の側面、板面31a,31bなどから反射してきた光や光学フィルタ51、光ファイバ47の端面47aなどから散乱してきた漏れ光を阻止するため、受光素子57を囲う面、貫通孔38の対応内面、この例では凹部41の内面に遮光層67を形成することが好ましい。貫通孔38としては凹部39と41との連通部が光学フィルタ51からの反射光が余裕をもって通過できる範囲で狭くして受光素子57をなるべく遮光層67で囲うようにするとよい。発光素子55の出射光の強度をなるべく正しく監視できるように、同様に凹部44の内面に遮光層68を形成するとよい。遮光層67,68としては例えば電極53,54と同一材のチタンの成膜により形成することができる。この場合、位置決め用基板31の面31bにもチタンの成膜によるシールド層71も同時形成することにより遮光層67が導電性をもつため、発光素子55に対する駆動信号線などからの不要輻射に対し、受光素子57が遮蔽されることになる。
発光素子55と集光用円柱体48との結合効率の向上、光ファイバ47の端面47aからの反射防止、集光用円柱体48の端面からの反射防止などを改善するために、光ファイバ47と発光素子55との間の光路、更に必要に応じて発光素子55と反射板52との間の光路に光学的に透明なシリコン樹脂などの透明層69を形成することが好ましい。光ファイバ47の端面47aが直角からずれて切断されていると、光ファイバ47と周囲の屈折率により光路が曲げられてしまう。この点で透明層69としては、光ファイバ47のコアの屈折率に近いものが好ましい。更に透明層69を発光素子55を覆い、かつ貫通孔38,42にも充填すると、受光素子57,58、発光素子55の耐湿化がなされ、信頼性が向上する。
【0016】
図13を参照して説明したように、光学フィルタ51を光が通過すると光学フィルタとその周囲の屈折率の差により光路(光軸)がずれる。この軸ずれ量hと対応して、図5に示すように光ファイバ47の光軸と集光用円柱体48の光軸とをhだけ溝形成面31aと垂直な面内でずらすとよい。この軸ずれ量hは計算により求めることができ、その計算値だけ両光軸がずれるようにV溝33と34が深さ、角度、光ファイバ47の径、集光用円柱体48の径を選定すればよい。V溝33と34を単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して行い、かつ光ファイバ47の径と集光用円柱体48の径が等しい場合は、エッチングマスクの幅によりV溝の深さが決まるから光ファイバ用V溝33の方がhだけレンズ用V溝34より深くなるように、エッチングマスク幅を広くしておけばよい。このように光軸ずれを調整しても、溝形成面31aと直角な方向から見れば光ファイバ47、集光用円柱体48の両光軸は直線32上に位置するものである。
フィルタ用溝36、反射板用溝37としてV溝とすると、これらのV溝の底と基板31の面31bとの間の厚みが小さくなり、基板31の強度が強いものとなる。従って、単結晶シリコンの異方性エッチングを利用してフィルタ用溝36、反射板用溝37を形成する場合でも、その断面が図4に示すように逆台形状になるようにするとよい。この場合、光学フィルタ51の面51aの縁が溝36の底と接した状態で光学フィルタ51の縁51bが壁36bに突き当り、光学フィルタが安定かつ正しく位置決めされるためには、溝36の底面の幅をL、底面と壁面36bがなす角をθ2 、光学フィルタ51の厚さをtとすると、L=t・(sinθ−cosθ/tanθ)とすればよい。光学フィルタ51の面51aが溝36の底面に達しなくてもよく、Lはt・(sinθ−cosθ/tanθ)以下とすればよい。単結晶シリコンの異方性エッチングの場合θ=54.74°で精度がよく、かつ再現性がよい。
【0017】
第2実施形態
図6及び図7にこの発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と対応する部分が同一参照番号を付けて重複説明を省略する。
第2実施形態は部品取付用基板56を位置決め用基板31の溝形成面31a側に設けた場合であり、貫通孔38,42は形成されていない。光学フィルタ51はフィルタ用溝36の集光用円柱体48側の壁面36bの傾斜面に対接され、光学フィルタ51の縁が壁面36aに突き当たって斜めに位置決めされて取付けられる。更に光ファイバ47、集光用円柱体48、発光素子55は溝形成面31aより面31から突出しないように位置決め用基板31に取付けられる。このためレンズ用V溝34のフィルタ用溝36と反対側の端部と連通した素子配置用凹部73が溝形成面31aに形成され、素子配置用凹部73の底面73aに発光素子55が取付けられる。
【0018】
この例では素子配置用凹部73も単結晶シリコンの異方性エッチングを利用して形成した場合であって、底面73aに形成された電極53,54はそれぞれ凹部73の傾斜壁面上をこれに沿って延長され、溝形成面31a上まで延長形成されている。また凹部73の発光素子55の背面と対向する傾斜面に金属材の反射膜74が形成され、発光素子55から背面出射光を反射させるようにされている。
部品取付用基板56はこの例ではエポキシ樹脂、ガラスファィバ入りエポキシ樹脂などの不透明の中間基板75を介して溝形成面31a上に固定された場合であり、中間基板75の部品取付用基板56側の面に凹部が部品収容部76,77,78として形成され、部品取付用基板56に取付けられた受光素子57,58、増幅用IC素子59が部品収容部76,77,78内に位置される。部品収容部76,77には光学フィルタ51、反射膜74の各反射光をそれぞれ通過させて受光素子57,58に入射させるための小孔81,82がそれぞれ形成されている。中間基板75に位置決め用孔を貫通形成しておき、この位置決め用孔を通して部品取付用基板56と位置決め用基板31との位置合せを第1実施系と同様に行えばよい。
【0019】
この第2実施形態において発光素子55よりの出射光を光ファイバ47に良好に入射でき、かつ、光ファイバ47から到来した入射光を受光素子57に受光させることは容易に理解できよう。その他第1実施形態について各説明した事項はこの第2実施形態にも適用されるものである。また受光素子57,58に対する電磁遮蔽のために必要に応じて位置決め用基板31の面31b、位置決め用基板31と中間基板75との間、更に中間基板75の位置決め用基板31の反対側の面にそれぞれ導電層83,84,85を形成してもよい。これらの導電層の形成は1つないし複数だけでもよい。何れにしてもこれら導電層83,84,85は互いに電気的に接続されるものである。
不透明の中間基板75により発光素子55の出射光が前述したように各所で散乱されても、受光素子57,58に入射されるのが防止される。また溝形成面31a上に延長された電極53,54の部分に中間基板75に形成された配線パターンを半田付けすることにより、図に示していないが部品取付用基板56に設けられた、発光素子55に対する駆動信号源に接続され、この接続をワイヤボンディングによらないため簡単に行うことができ、ボンディングワイヤの切断のおそれもなく信頼性が高い。部品取付用基板56としてリードフレームパッケージを用い、そのリードフレームの露出したリード端子に発光素子57,58、増幅用IC素子59を搭載接続することができる。
【0020】
上述では光学フィルタ51として板状のものを用いたが、図8Aに示すように3角プリズム87に誘電体多層膜(フィルタ膜)87aを形成したものでもよい。あるいは図8Bに示すように立方体プリズム88の対角面に誘電体多層膜(フィルタ膜)88aを挟み込んだものを用いてもよい。何れの場合も、発光素子55の出射光を透過し、光ファイバ47からの入射光を反射するものである。またこれら光学フィルタ87,88はフィルタ溝36の両壁面36aと36bにより位置決めされて保持される。図8A、図8Bでは三角プリズム、立方体プリズムの光学フィルタ87,88を第1実施形態に適用した例を示したが、これらを第2実施形態にも適用できることは容易に理解されよう。その場合はフィルタ膜87a,88aを溝形成面31a及び直線32に垂直な面に対し、図8A,図8Bのフィルタ膜87a,88aと対称な角度をとるようにすればよい。
【0021】
光軸のずれhの問題を改善するには図9に示すように透過光に対し、光学フィルタ51と光学的に同一特性の補償板89を、溝形成面31aに対し光学フィルタ51と傾斜角が逆向きになるように、光学フィルタ51と対向して補償板用溝91にこれにより位置決めさせて設けてもよい。この場合補償板89には誘電体多層膜は付けられていなく、光ファイバ47からの到来光は透過させるものである。この場合も補償板用溝91はこの例ではV溝とされ、その傾斜壁面91aに補償板89が対接され、補償板89の縁が他方の壁面91bに突き当り、角度と位置とが決められる。補償板用溝91はフィルタ用溝36と平行とされている。光学フィルタ51、補償板89の各屈折率をn2 、これらの周囲の屈折率をn1 、光学フィルタ51、補償板89と各周囲媒体との各入射角、出射角の関係を図に示す各角度とすると、スネルの法則により、
n1 sinθ1 =θ2 sinθ2 ,n2 sinθ2 =n1 sinθ3
n1 sinθ4 =n2 sinθ5 ,n2 sinθ5 =n1 sinθ6
が成り立つ。溝36,91の壁面36a,91aの斜面角度をθ8 ,θ7 が等しい場合はθ3 =θ4 となり、光学フィルタ51、補償板89の屈折率は共にn2 であるからθ1 =θ3 =θ4 =θ6 となり、集光用円柱体48よりの出射光の光軸と、光ファイバ47の入射光の光軸とが一致することになる。小形化の要求や集光用円柱体48の集光度にもよるが、光学フィルタ51と補償板89はなるべく接近させた方がよい。光学フィルタ51を光ファイバ47になるべく近づけた方がよい点で、図15に示すように補償板89を光学フィルタ51と集光用円柱体48との間に設けた方がよい。図9、図15ではこの補償板89を第1実施形態に適用したが、第2実施形態にも適用することができる。その場合は、図9において光学フィルタ51と補償板89とを入れ替えればよく、図15では光学フィルタ51も補償板89も溝形成面31aに対する傾斜を逆にすればよい。
【0022】
第3実施形態
この発明の第3実施形態を図10に示す。第3実施形態は光学フィルタとして個別に設けず光ファイバ47の端面に設ける。図10Aに図1及び図2と対応する部分に同一参照番号を付けて示すように、光ファイバ47の端面47aは溝形成面31aに対して傾斜して、この例では端面47aが溝形成面31aから遠去かるに従って集光用円柱体48に近づくように傾斜される。この斜めに切断された光ファイバ端面47aに例えば誘電体多層膜のフィルタ膜92が形成される。このフィルタ膜92は集光用円柱体48からの出射光を透過し、つまり光ファイバ47に入射するが、光ファイバ47より到来した入射光は反射して、受光素子57へ入射する。
この場合は光学フィルタ、つまりフィルタ膜92は光ファイバ47と集光用円柱体48との間に位置し、光ファイバ47が位置決め用基板31により位置決めされることに基づき、フィルタ膜(光学フィルタ)92も位置決め用基板31により位置決めされることになる。
【0023】
図10Aは部品取付用基板56を位置決め用基板31の溝形成面31aと反対側の面31bに取付けた場合であるが、図10Bに示すように部品取付用基板56を溝形成面31a側に取付けるようにしてもよい。この場合は光ファイバ47の端面47aは溝形成面31aに対する傾斜か、図10Bの場合と逆向きとされる。
この第3実施形態においても、位置決め用基板31と各部品との取付け形態、出射光、入射光の分離のための光遮蔽、電磁遮蔽(シールド)対策は、第1実施形態、第2実施形態に対して行ったように同様に行うことができる。
【0024】
変形例
位置決め用基板31としては単結晶シリコンを用いることにより各溝を精度よく簡単に作ることができるが、光を通さないエポキシ樹脂などの樹脂材の成形により位置決め用基板31を作ってもよい。この場合も高精度の溝を比較的簡単に作ることができ、量産性もよい。その成形の際に発光素子55を搭載する部分には位置決め用基板31内に放熱の良い金属などを埋め込んでおくとよい。また金型を使うため各種形状の溝を作ることができる。従って、例えばフィルタ溝36を、図4中に破線で示すように一方の壁面36bを溝形成面31aに対して垂直又は適当に傾斜させたものとすることもできる。また図8に示した光学フィルタ87,88を用いる場合はその形状に対する位置決めに適した形状のフィルタ用溝36とすることができる。何れの場合も、光学フィルタ51,87,88を取扱い易い大きさ形状としてもフィルタ用溝に容易に位置決めすることができる。図11に示すように、この発明による双方向光学モジュール95を、その長手方向を平行にして配列して1つの基板にアレー状に形成し、1つ乃至並んでいる複数を分離するようにしてもよい。このようにすることにより多チャネルの双方向光学モジュールを容易に作ることができる。多チャネル用とする場合は各隣接双方向光学モジュール95の間にその長手方向に沿った溝を形成し、その溝内に不透明の樹脂材などを埋め込み分離帯95を形成し、隣接チャネルの出射信号光を分離帯95で遮蔽するようにすることができる。このアレー構成は前記第1〜第3実施形態の何れにも適用できる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、位置決め用基板31の溝形成面31aにファイバ用V溝33、レンズ用V溝34がその基板31自体に形成され、これらを簡単に作ることができ、かつ光ファイバ47、集光用円柱体48、光学フィルタ、発光素子がそれぞれ位置決め用基板により位置決めされているため、出射光を光ファイバの光軸に精度よく集光することができ、光導波路を特に設けることなく、低損失で出射光を光ファイバに入射することができ、製造工数も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示す図2中の直線32上の断面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】第1実施形態における入射光61と出射光62の各進行状態の例を示す図。
【図4】光学フィルタ51のフィルタ溝36に対する位置決め状態を示す図。
【図5】光学フィルタ51を透過したことに基づく出射光の光軸ずれと対応して光ファイバ47と集光用円柱体48の光軸をずらした状態を示す図。
【図6】この発明の第2実施形態の図1と対応した断面図。
【図7】図6の中の7−7線断面図。
【図8】光学フィルタの他の例を示す図。
【図9】光軸ずれを補償する構成例を示す図。
【図10】Aはこの発明の第3実施形態の図1と対応した断面図、Bは第3実施形態の図6と対応した断面図。
【図11】この発明の双方向光学モジュールをアレー状に構成した例を示す平面図。
【図12】従来の双方向モジュールを示す断面図。
【図13】光学フィルタによる光軸ずれを示す図。
【図14】光学フィルタと受光素子の受光面内の距離と光ビーム直径との関係の計算値を示すグラフ。
【図15】この発明の変形実施形態の一部を示す断面図。
Claims (10)
- 位置決め用基板の一面側において、その基板自体に、ファイバ用V溝とレンズ用V溝が一直線上に形成され、これらファイバ用V溝とレンズ用V溝との間に、レンズ用V溝と交差し、かつ少なくとも一方の壁面が上記基板の上記一面に対して傾斜したフィルタ用溝が形成され、
上記ファイバ用V溝に光ファイバが配され、
上記レンズ用溝に集光用円柱体が配され、
上記集光用円柱体の上記光ファイバと反対側の端面と対向して発光素子が上記位置決め用基板に配され、
上記フィルタ用溝に、上記発光素子からの出射光を透過し、上記光ファイバからの入射光を上記基板の上記一面に対して角度をもって反射させる光学フィルタが上記フィルタ用溝の上記傾斜壁面により位置決めされて設けられ、
上記光学フィルタにより反射された入射光を受光する受光素子が設けられ、
上記発光素子よりの出射光は上記集光用円柱体により上記光ファイバの端面に集光される双方向光モジュール。 - 上記フィルタ用溝の上記光学フィルタの傾斜角度を位置決めしている上記傾斜壁面に対し、その対向壁面は上記基板の上記一面と垂直な面より角度が開かれ、この対向壁面に上記光学フィルタの一縁が突き当って光学フィルタが位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の双方向光学モジュール。
- 上記位置決め用基板の他面に部品取付用基板が対接して取付けられ、この部品取付用基板上に上記受光素子が取付けられ、
上記位置決め用基板に上記ファイバ用V溝及び上記フィルタ用溝と連通して貫通孔が形成され、
その貫通孔内に上記受光素子が位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の双方向光学モジュール。 - 上記貫通孔の上記受光素子を収容する部分の内面に遮光層が形成されていることを特徴とする請求項3記載の双方向光学モジュール。
- 上記位置決め用基板の上記一面側に部品取付用基板が取付けられ、その部品取付用基板に上記受光素子が取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の双方向光学モジュール。
- 上記ファイバ用V溝とレンズ用V溝との間に、上記フィルタ用溝と平行に、かつ少なくとも一方の壁面が、上記フィルタ用溝の傾斜した壁面と逆に傾斜した補償板用溝が上記位置決め用基板の上記一面に形成され、
上記補償板用溝に、これにより位置決めされて上記光学フィルタと少なくとも上記発光素子の出射光に対して同一特性の補償板が上記光学フィルタと逆向きに傾斜、対向して配されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の双方向光学モジュール。 - 位置決め用基板の一面側において、その基板自体に、ファイバ用V溝とレンズ用V溝が一直線上に形成され、
上記レンズ用V溝に光ファイバが配され、
上記レンズ用溝に集光用円柱体が配され、
上記集光用円柱体の上記光ファイバと反対側の端面と対向して発光素子が上記位置決め用基板に配され、
上記光ファイバの上記集光用円柱体側の端面が上記基板の上記一面に対して傾斜面とされ、その傾斜面に上記発光素子からの出射光を透過し、上記光ファイバからの入射光を上記基板の上記一面に対して角度をもって反射させる光学フィルタが形成され、
上記光学フィルタにより反射された入射光を受光する受光素子が設けられ、
上記発光素子よりの出射光は上記集光用円柱体により上記光ファイバの端面に集光される双方向光学モジュール。 - 上記出射光が上記光学フィルタの通過に基づく光線通路のずれと対応して、上記光ファイバの光軸と、上記集光用円柱体の光軸とが、上記基板の上記一面と垂直な方向においてずれていることを特徴とする請求項1〜5、7の何れかに記載の双方向光学モジュール。
- 上記基板の上記一面の上記発光素子近傍に素子位置決めマークが形成され、上記レンズ用V溝と連通して上記基板の上記一面に上記直線と垂直な位置決め溝が上記発光素子と接近して形成され、その位置決め溝の壁面に上記集光用円柱体の端面が対接されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の双方向光学モジュール。
- 上記基板の上記一面の上記レンズ用V溝の位置に、このレンズ用V溝と垂直方向の遮光溝が形成され、その遮光溝に遮光材が充填されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の双方向光学モジュール。
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