JP2004279397A - ワイヤレス温度計測モジュール - Google Patents

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JP2004279397A JP2003156942A JP2003156942A JP2004279397A JP 2004279397 A JP2004279397 A JP 2004279397A JP 2003156942 A JP2003156942 A JP 2003156942A JP 2003156942 A JP2003156942 A JP 2003156942A JP 2004279397 A JP2004279397 A JP 2004279397A
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Abstract

【課題】ワイヤレス温度計測モジュールにおいて、高温計測を行うこと。
【解決手段】電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に励振電極が接続された表面弾性波素子とを備えたワイヤレス温度計測モジュールであって、アンテナ部は、外部に露出された導体線Wによって構成する。この導体線Wの芯材Cは、高温下でも形状を維持することができるNiやハステロイ(登録商標)等のNi基合金によって構成する。芯材Cの表面には、金、白金、銅、銀のうちのいずれかからなる低抵抗層Lを設ける。導体線Wの表面(最外層)には、絶縁材料からなる絶縁層Fを形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面弾性波素子を用いたワイヤレス温度計測モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体、セラミックス等の製造プロセスでは、チャンバ内やトンネル電気炉内の加工されるワークの位置における温度を動的にかつ精密に測定する必要がある。従来、このような温度計測の手段として、熱電対やサーミスタ等がよく用いられている。このような計測方法はセンサからの信号を取り込むためのケーブル及びセンサに電力を供給するためのケーブルが必要なため、真空のチャンバ内やトンネル炉内のようなワークが移動する場所の測定は非常に困難である。
【0003】
電池を使用したワイヤレス或いは記憶による温度測定方法もあるが、回路が複雑で高価であり、回路及び電池が耐えられる温度限界があるため、測定できる温度範囲は制限される。また、回路を保温材で保護する方法もあるが、その場合は長時間の測定が困難である。このため、ワイヤレスによる遠隔計測可能なかつセンサ本体に電源を必要としない温度センサの開発が望まれている。
【0004】
近年、この研究の一環として、例えば下記特許文献1、2、3に記載されているように、表面弾性波(以下、SAWとも略称する)素子を用いるワイヤレスセンサシステムが提案されている。なお、表面弾性波素子として水晶基板が用いられている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第4,620,191号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,144,332号明細書
【特許文献3】
特開平7−12654号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には、以下の課題が残されていた。すなわち、このような用途に用いられるアンテナは、帯域幅が狭いためにその形状が送受信性能に強く反映される。そして、上記従来のワイヤレスセンサシステムを高温下で使用した場合、熱によってアンテナ自体が変形してしまうため、信号が不安定になって送受信ができなくなってしまう。このため、上記従来のワイヤレスセンサは、高温下での測定に用いることができなかった。
また、従来の構成は比較的大きな構成であるため、半導体、セラミックス等のプロセス装置中などの狭いスペースで測定ができない場合もあった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、高温計測を行うことができるワイヤレス温度計測モジュールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のワイヤレス温度計測モジュールは、電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に励振電極が接続された表面弾性波素子とを備えたワイヤレス温度計測モジュールであって、前記アンテナ部が、外部に露出された導体線によって構成され、該導体線の芯材が、NiまたはNi基合金によって構成されていることを特徴とする。
【0009】
このワイヤレス温度計測モジュールでは、アンテナ部が導体線のみによって構成されており、この導体線の芯材が、高温下でも形状を維持することができるNi(ニッケル)またはNi基合金によって構成されているので、熱によるアンテナ部の変形が生じにくく、高温下でもアンテナ性能の低下が生じにくい。
また、アンテナ部が導体線のみによって構成されているのでアンテナ部の熱容量が小さく、また導体線は外部に露出されていて周辺雰囲気に接触する面積が大きい。このため、周囲の温度変化に追従してアンテナ部の温度も迅速に変化し、雰囲気に対して素早く熱平衡状態となるので、ワイヤレス温度計測モジュール全体としての周辺雰囲気の温度変化に対する追従性が高く、測定対象の温度変化の測定精度が高い。
なお、このワイヤレス温度計測モジュールでは、送受信距離や信号強度を最優先とし、かつ設置スペースが十分に確保できる場合には、アンテナ部を、棒状の導体線を用いたダイポールアンテナやホイップアンテナとする。
ここで、本明細書中でいう導体線とは、線材に限られるものではなく、幅の狭い帯状の導体板も含んでいる。
【0010】
また、このワイヤレス温度測定モジュールは、前記導体線の少なくとも一部が螺旋状に形成されていることを特徴とする。すなわち、アンテナ部を構成する導体線の少なくとも一部が螺旋状に形成されていて、これによって導体線にインダクタンス成分をもたせているので、アンテナ部の全長をλ/4よりも短縮することが可能となり、アンテナ部をその性能を維持しつつ小型化することができる。ここで、導体線において螺旋状に形成される部分の形状は、アンテナ性能を大きく左右するものであるが、このワイヤレス温度測定モジュールでは、導体線に熱による変形が生じにくいので、高温下で使用しても、螺旋状に形成される部分の形状が維持され、アンテナ性能の低下を防ぐことができる。
【0011】
また、このワイヤレス温度測定モジュールは、前記芯材の表面に、金、白金、銅、銀のうちのいずれか、或いはこれらのうちのいずれかの合金からなる低抵抗層が設けられていることを特徴とする。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、導体線の芯材の表面が、低抵抗の上記金属層によって被覆されている。この金属層を構成する金属は、抵抗率の温度係数が芯材よりも小さいものであり、このような材質で芯材を被覆された導体線は、温度上昇による抵抗の増加が少ないので、温度上昇によるアンテナ性能の低下を防ぐことができる。
また、導体線の芯材の表面が、低抵抗の上記金属層によって被覆されているので、アンテナ部の高周波抵抗を低減して、アンテナ性能を向上させることができる。
【0012】
また、このワイヤレス温度計測モジュールは、前記導体線の表面に、絶縁材料からなる絶縁層が形成されていることを特徴とする。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、導体線が絶縁材料によって被覆されているので、アンテナ部に外部から静電気や漏電電流等の電流が直接入力されることがなく、表面弾性波素子内でのサージ電流の発生が防止されて、表面弾性波素子の損傷が防止される。
そして、絶縁層の厚みを厚くするか、絶縁層を低誘電率の絶縁材料によって構成するなどして絶縁層の静電容量を表面弾性波素子の静電容量に対して十分小さくすることで、電磁誘導や静電誘導によって表面弾性波素子に加わる電圧を小さくして、電磁誘導や静電誘導由来の表面弾性波素子内でのサージ電流の発生を防止することができる。
【0013】
また、本発明のワイヤレス温度計測モジュールは、前記アンテナ部と前記励振電極とが、整合回路部を介して接続されていることを特徴とする。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、アンテナ部と励振電極とが、整合回路部を介して接続されているので、整合回路部によりインピーダンスマッチングを行うことができ、効率的に信号伝達を行うことができる。
【0014】
また、本発明のワイヤレス温度計測モジュールは、前記整合回路部が、インダクタによって構成されていることを特徴とする。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、インダクタ1点によって、インピーダンスマッチングを行うことができるため、損失を小さくすることができ、より効率よく送受信することが可能となる。
また、アンテナ部が、インダクタを介して接続されており、直流的に短絡されているので、アンテナ部に入力した静電気を逃がすことができる。また、広い周波数成分を含むサージが入力してもアンテナ部の共振周波数以外の周波数成分を逃がすことができる。したがって、表面弾性波素子に過剰な電圧がかかることがなく、表面弾性波素子の損傷が防止される。
【0015】
また、本発明のワイヤレス温度計測モジュールは、前記表面弾性波素子が、パッケージ内に密封されていることを特徴とする。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、表面弾性波素子がパッケージ内に密封されているので、測定環境の雰囲気ガスによって表面弾性波素子が劣化することがなく、高い信頼性を得ることができる。
【0016】
また、本発明のワイヤレス温度計測モジュールは、 前記表面弾性波素子が、前記励振電極を表面に有する圧電基板を有し、該圧電基板が、LaGaSiO14単結晶で形成されていることが好ましい。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールでは、表面弾性波素子における励振電極を表面に有する圧電基板がランガサイト単結晶で形成されているので、LiTaOや水晶等とは異なり、融点(1480°C)まで相転移の発生はなく、安定な圧電性を保持するため、より高い温度計測が可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るワイヤレス温度計測モジュールの第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールは、図1に示すように、電波を送受信するアンテナ部1と、該アンテナ部1に励振電極2が接続された表面弾性波素子3と、アンテナ部1と励振電極2との間に介された整合回路部4とを有している。これらのうち、表面弾性波素子3及び整合回路部4は、耐熱性を有する絶縁材料(例えばアルミナ等のセラミックス)からなるパッケージ5に収納されている。
【0019】
上記アンテナ部1は、パッケージ5の上方に突出して設けられている。
アンテナ部1は、パッケージ5外に露出された導体線Wによって構成されている。なお、この導体線Wとしては、線材以外にも、幅の狭い帯状の導体板を用いることができる。
図2に示すように、この導体線Wの芯材Cは、高温下でも形状を維持することができる材質、具体的にはNiや、ハステロイ(登録商標)等のNi基合金によって構成されている。
【0020】
ここでは、導体線W全体を螺旋状に形成して、導体線Wに所望のインダクタンス成分をもたせることで、アンテナ部1の全長を短くしている。すなわち、アンテナ部1をヘリカルアンテナとしている。
【0021】
また、導体線Wの芯材Cの表面には、白金からなる低抵抗層Lが設けられている。
さらに、導体線Wの表面(最外層)には、絶縁材料(例えばガラス)からなる絶縁層Fが形成されている。
【0022】
上記表面弾性波素子3は、パッケージ5の中央部に形成された溝部5a内に接着固定されて搭載され、該溝部5a上部を蓋部材6により塞いでキャブセル5bを形成している。なお、この際、キャブセル5b内は真空或いは不活性ガスで充填され密封されている。
【0023】
上記表面弾性波素子3は、励振電極2を表面に有する圧電基板7がLaGaSiO14(ランガサイト)単結晶で形成されている。
上記励振電極2は、対向して配された一対の櫛形電極であり、各櫛形電極には、それぞれ別のアンテナ部1が整合回路部4を介して接続されている。すなわち、このワイヤレス温度計測モジュールは、2つのアンテナ部1で構成されたダイポール構造を有している。
【0024】
なお、パッケージ5には、アンテナ部1と整合回路部4とが接続される端子8が設けられている。図1に示す例では、この端子8は、一部を溝部5a内に露出させた状態にしてパッケージ5内に埋め込まれており、この端子8において溝部5a内に露出した領域と整合回路部4とが、ボンディングワイヤ9にて電気的に接続される。これに限らず、端子8と整合回路部4とをフリップチップ接続等によって電気的に接続してもよい。また、端子8においてパッケージ5内に埋め込まれる領域には、アンテナ部1の導体線Wが接続されている。アンテナ部1は、このように端子8との接続部をパッケージ5内に埋め込まれることによってパッケージ5に保持されている。
【0025】
上記圧電基板7の表面には、励振電極2の櫛形に平行にかつ離間した位置にそれぞれ所定距離を開けて棒状金属パターンの反射子10が複数本形成されている。
【0026】
上記整合回路部4は、圧電基板7上に設けられている。図1では、整合回路部4を圧電基板7上に形成した例を示している。この場合には、圧電基板7上には、圧電基板7の誘電性を利用し、整合回路部4を構成する導体パターンが設けられる。そして、整合回路部4は、この導体パターンの形状を制御して必要なコンデンサ及びインダクタとして電極板及びコイルを構成して作製されている。
【0027】
上記パッケージ5は、いわゆるセラミックスのグリーンシートに端子8となる導体パターンをスクリーン印刷したものを積層し、さらにアンテナ部1の導体線Wを端子8となる導体パターンに接続したのちに焼結させて構成されている。なお、予めグリーンシートには、溝部5aとなる領域に孔が形成されており、積層状態で溝部5aを構成するようになっている。
【0028】
次に、本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールを用いた温度計測方法について、説明する。
【0029】
まず、測定対象のワークに直接又はその近傍に本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールを取り付け、チャンバ内やトンネル炉内等の所定位置に設置する。また、遠隔計測するための基地局(図示略)を設置し、該基地局から表面弾性波素子3の周波数と一致したバースト信号を出力する。
ワイヤレス温度計測モジュールは、アンテナ部1によりバースト信号を受信すると共に、励振電極2の一方の櫛形電極により電気エネルギーをSAWに変換し、このSAWが圧電基板7の表面に伝搬して他方の櫛形電極を通り再び電磁波に変換して放射する。
【0030】
したがって、バースト信号が放射されてしばらく後に返信波が基地局に返ってくることになる。圧電基板7上のSAWは温度によって伝搬速度が変化するため、上記返信波が返ってくる時間を測定することにより、基地局の演算回路においてSAWの温度遅延から温度を算出する。
【0031】
なお、本実施形態では、反射子10を圧電基板7上に設けているので、一方の櫛形電極で発生したSAWは、各反射子10で反射して他方の櫛形電極でそれぞれ電磁波に変換されて放出される。したがって、各反射子10と櫛形電極との距離の相違により、反射信号にパルス序列が得られるので、ワイヤレス温度計測モジュール個別の返信波信号を得ることができる。これにより、複数のワイヤレス温度計測モジュールで別々の反射子10構成を採用することで、各ワイヤレス温度計測モジュールを個別認識することができる。
【0032】
本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールでは、アンテナ部1は導体線Wのみによって構成されており、この導体線Wの芯材Cが、高温下でも形状を維持することができる、Ni(ニッケル)またはNi基合金によって構成されているので、熱によるアンテナ部1の変形が生じにくく、高温下でもアンテナ性能の低下が生じにくい。このため、従来は不可能であった高温下での温度測定を行うことが可能となる。
【0033】
また、アンテナ部1が導体線Wのみによって構成されているのでアンテナ部1の熱容量が小さく、また導体線Wは外部に露出されていて周辺雰囲気に接触する面積が大きい。このため、周囲の温度変化に追従してアンテナ部1の温度も迅速に変化し、雰囲気に対して素早く熱平衡状態となるので、ワイヤレス温度計測モジュール全体としての周辺雰囲気の温度変化に対する追従性が高く、測定対象の温度変化の測定精度が高い。
【0034】
さらに、アンテナ部1がパッケージ5の上方に突出しているので、温度測定に用いられる弾性表面波素子3が収納されるパッケージ5を測定対象物に接触または近接させた状態としながら、アンテナ部1を測定対象物から離間した位置に位置させることができる。
これにより、例えば測定対象物が導体である場合にも、測定対象物による干渉を低減して、良好な通信を行うことができる。また、測定対象物が液体である場合には、弾性表面波素子3が設けられるパッケージ5を水没させた状態でもアンテナ部1を液面から突出させることができ、液体による電波障害をなくして良好な通信を行うことができる。
【0035】
また、このワイヤレス温度測定モジュールは、導体線Wの少なくとも一部が螺旋状に形成されていて、これによって導体線Wにインダクタンス成分をもたせているので、アンテナ部1の全長をλ/4よりも短縮することが可能となり、アンテナ部1をその性能を維持しつつ小型化することができる。
ここで、導体線Wにおいて螺旋状に形成される部分の形状は、アンテナ性能を大きく左右するものであるが、このワイヤレス温度測定モジュールでは、上記のように導体線Wに熱による変形が生じにくいので、高温下で使用しても、螺旋状に形成される部分の形状が維持され、アンテナ性能の低下が生じにくい。
【0036】
また、導体線Wの芯材Cの表面には、白金からなる低抵抗層Lが設けられている。白金は、抵抗率の温度係数が芯材Cよりも小さいものであり、このような材質で芯材Cを被覆された導体線Wは、温度上昇による抵抗の増加が少ないので、温度上昇によるアンテナ性能の低下を防ぐことができる。
また、導体線Wの芯材Cの表面が、低抵抗層Lによって被覆されているので、アンテナ部1の高周波抵抗を低減して、アンテナ性能を向上させることができる。
【0037】
また、導体線Wが絶縁層Fによって被覆されているので、アンテナ部1に外部から静電気や漏電電流等の電流が直接入力されることがなく、表面弾性波素子3内でのサージ電流の発生が防止されて、表面弾性波素子3の損傷が防止される。そして、絶縁層Fの厚みを厚くするか、絶縁層Fを低誘電率の絶縁材料によって構成するなどして絶縁層Fの静電容量を表面弾性波素子3の静電容量に対して十分小さくすることで、電磁誘導や静電誘導によって表面弾性波素子に加わる電圧を小さくして、電磁誘導や静電誘導由来の表面弾性波素子3内でのサージ電流の発生を防止して、表面弾性は素子3の損傷を確実に防止することができる。
【0038】
また、表面弾性波素子3がパッケージ5内に密封されているので、測定環境の雰囲気ガスによって表面弾性波素子3が劣化することがなく、高い信頼性を得ることができる。
また、アンテナ部1と励振電極2とが、整合回路部4を介して接続されているので、整合回路部4によりインピーダンスマッチングを行うことができ、効率的に信号伝達を行うことができる。
【0039】
また、パッケージ5をセラミックスで形成することにより、測定環境の雰囲気ガスによる腐食作用に強く、劣化し難くなる。
また、表面弾性波素子3の圧電基板7がランガサイト単結晶で形成されているので、水晶よりも相転移点が高く、より高い温度計測が可能になる。
さらに、励振電極2の一対の櫛形電極には、それぞれ別のアンテナ部1が接続されているので、いわゆる対称的な2つのアンテナで構成されたダイポール構造となり、金属以外の物体の遠隔温度測定に適している。
【0040】
次に、本発明に係るワイヤレス温度計測モジュールの第2実施形態を、図3を参照しながら説明する。
【0041】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態ではアンテナ部1が一対の櫛形電極の両方にそれぞれ接続されているのに対し、第2実施形態では、図3に示すように、アンテナ部11は一つであると共にパッケージ15の裏面にグラウンド電極部Gが形成され、さらに一対の櫛形電極うち一方にアンテナ部11が接続され、他方の櫛形電極にはグラウンド電極部Gが接続されている点である。
【0042】
なお、他方の櫛形電極とグラウンド電極部Gとの電気的接続は、パッケージ5内に設けた導体パターンに接続形成されたスルーホールやパッケージ5の側面にスクリーン印刷等によって設けた導体パターン等を用いて行っている。図3に示す例では、他方の櫛形電極にワイヤボンディング9で接続された端子8とグラウンド電極部Gとをスルーホール部8aを介して行っている。
また、本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールでは、測定対象として金属物体等の導電体を想定しており、当該導電体にグラウンド電極部Gを接触させた状態で設置される。
【0043】
すなわち、本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールでは、一方の櫛形電極に、アンテナ部11が接続され、他方の櫛形電極に、グラウンド電極部Gが接続されているので、アンテナ部11が一方だけであり、さらに小型化ができると共に、グラウンド電極部Gが測定対象に導通することにより、アンテナ送受信効率を向上させることができ、導電体の遠隔温度測定に適している。
【0044】
次に、本発明に係るワイヤレス温度計測モジュールの第3実施形態を、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0045】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第3実施形態では、図4に示すように、図1における整合回路4を具体的にコイル(インダクタ)24として構成したものであり、一方を端子28Aに電気的に接続し、他方をワイヤボンディング29を介して端子28Bに電気的に接続した点である。
【0046】
なお、コイル24は、パッケージ5上に設けられた導体パターンである。
また、図5はアンテナ部1及び励振電極2のインピーダンスを示したスミスチャートであり、アンテナ部1の中心周波数を調節することによって、アンテナ部1のインピーダンスを適切な値とし(図5に示すa点)、励振電極2のインピーダンス(図5に示すb点)とアンテナ部1のインピーダンスとを共役関係にするようなインダクタンスを有するコイル24が構成されている(図5に示すc点)。
【0047】
すなわち、本実施形態のワイヤレス温度計測モジュールでは、コイル24の1点によってアンテナ部1と、励振電極2とのインピーダンスマッチングを行うことができるため、送受信の際の損失が少なく、より効率よく送受信することが可能となる。
また、アンテナ部1が、コイル24を介して電気的に接続されており、直流的に短絡されているので、アンテナ部1に入力した静電気を逃がすことができる。また、広い周波数成分を含むサージが入力してもアンテナ部1の共振周波数以外の周波数成分を逃がすことができる。その結果、表面弾性波素子3に過剰な電圧がかかることがなく、表面弾性波素子3の損傷が防止される。
【0048】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態では、アンテナ部を、パッケージの上方に突出して設けた例を示したが、これに限られることなく、ワイヤレス温度計測モジュールが、パッケージの上面側に十分なスペースが確保できないところに設置されるものである場合には、アンテナ部をパッケージの側方に突出させて設けた構成として、ワイヤレス温度計測モジュールの高さを低減してもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、アンテナ部の導体線Wの芯材のみをNiやNi基合金によって構成した例を示したが、これに限られることなく、導体線W全体をNiやNi基合金によって構成してもよい。
また、上記実施の形態では、アンテナ部の導体線Wに設けられる低抵抗層Lを、白金によって構成した例を示したが、これに限られることなく、低抵抗層Lは、金、銅、銀のうちのいずれかによって構成してもよく、或いは、金、白金、銅、銀のうちのいずれかの合金によって構成してもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、アンテナ部を、導体線W全体が螺旋状に形成されたヘリカルアンテナとしたが、これに限られることなく、例えば図4に示すアンテナ部31のように、導体線Wの一部のみが螺旋状に形成されたいわゆるショートホイップアンテナとしてもよい。また、送受信距離や信号強度を最優先とし、かつ十分な設置スペースが確保できる場合には、アンテナ部は、棒状の導体線Wによって構成する。
【0051】
また、上記実施の形態では、整合回路部4を圧電基板7上に設けた例を示したが、これに限られることなく、整合回路部4をパッケージ5上に設けてもよい。この場合には、パッケージ5には、整合回路部4を構成する導体パターンが設けられる。そして、整合回路部4は、パッケージ5を構成する絶縁材料の誘電性を利用し、導電体の形状を制御して必要なコンデンサ及びインダクタとして電極板及びコイルを構成して作製される。また、整合回路部4と励振電極2とは、ワイヤボンディングやフリップチップ接続等によって電気的に接続される。
【0052】
このように整合回路部4をパッケージ5上に設ける場合には、パッケージ5の製造工程において、グリーンシートには、端子8となる導体パターンに加えて、整合回路部4となる導体パターンをスクリーン印刷によって形成する。ここで、グリーンシート上下層の電気的接続は、パッケージ5内に設けた導体パターンに接続形成されたスルーホールやパッケージ5の側面にスクリーン印刷等によって設けた導体パターン等を用いて行う。
【0053】
【実施例】
次に、本発明に係るワイヤレス温度計測モジュールを、実施例により図7及び図8を参照して具体的に説明する。
【0054】
上記第1実施形態のワイヤレス温度計測モジュールを電気炉により30〜800℃の範囲で校正し、図7に示すように、SAWの伝搬速度と温度との関係を予め調べておいた。この関係に基づいて、実際に本発明のワイヤレス温度計測モジュールをトンネル電気炉内に配置してその温度分布を測定した結果を、図8に示す。なお、比較として従来の熱電対で測定した結果も併せて示す。
【0055】
この測定結果からわかるように、高温下でも温度測定の精度は従来の熱電対と同程度であった。なお、従来の熱電対の測定点数は熱電対の数に限られることに対し、本発明のワイヤレス温度計測モジュールでの測定では、測定点に制限が特になく、詳細な温度分布測定が可能になる。
【0056】
【発明の効果】
本発明のワイヤレス温度計測モジュールによれば、アンテナ部は導体線のみによって構成されており、この導体線の芯材が、高温下でも形状を維持することができる材質によって構成されているので、熱によるアンテナ部の変形が生じにくく、高温下でもアンテナ性能の低下が生じにくい。
これにより、従来は不可能であった高温下での温度測定が可能となる。
また、アンテナ部が導体線のみによって構成されているのでアンテナ部の熱容量が小さく、また導体線は外部に露出されていて周辺雰囲気に接触する面積が大きい。このため、周囲の温度変化に追従してアンテナ部の温度も迅速に変化し、雰囲気に対して素早く熱平衡状態となるので、ワイヤレス温度計測モジュール全体としての周辺雰囲気の温度変化に対する追従性が高く、測定対象の温度変化の測定精度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態におけるワイヤレス温度計測モジュールの側断面図及び蓋部取り付け前の平面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態におけるワイヤレス温度計測モジュールにおいてアンテナ部に用いられる導体線の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る第2実施形態におけるワイヤレス温度計測モジュールの側断面図及び蓋部取り付け前の平面図である。
【図4】本発明に係る第3実施形態におけるワイヤレス温度計測モジュールの蓋部取り付け前の平面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態におけるアンテナ部と励振電極とのインピーダンス整合関係を示すスミスチャートである。
【図6】本発明に係るワイヤレス温度計測モジュールの他の形態例を示す側断面図である。
【図7】本発明に係る実施例におけるSAW伝搬時間の温度依存性を示すグラフである。
【図8】本発明に係る実施例におけるトンネル炉中の温度分布測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1、11、31 アンテナ部
2 励振電極
3 表面弾性波素子
4 整合回路部
5、15 パッケージ
7 圧電基板
24 コイル(インダクタンス)
C 芯材
F 絶縁層
L 低抵抗層
W 導体線

Claims (8)

  1. 電波を送受信するアンテナ部と、該アンテナ部に励振電極が接続された表面弾性波素子とを備えたワイヤレス温度計測モジュールであって、前記アンテナ部が、外部に露出された導体線によって構成され、該導体線の芯材が、NiまたはNi基合金によって構成されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  2. 請求項1記載のワイヤレス温度測定モジュールにおいて、
    前記導体線の少なくとも一部が螺旋状に形成されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  3. 請求項1または2に記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、
    前記芯材の表面に、金、白金、銅、銀のうちのいずれか、或いはこれらのうちのいずれかの合金からなる低抵抗層が設けられていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、
    前記導体線の表面に、絶縁材料からなる絶縁層が形成されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、
    前記アンテナ部と前記励振電極とが、整合回路部を介して接続されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  6. 請求項5に記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、前記整合回路部が、インダクタによって構成されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、
    前記表面弾性波素子が、パッケージ内に密封されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のワイヤレス温度計測モジュールにおいて、
    前記表面弾性波素子が、前記励振電極を表面に有する圧電基板を有し、該圧電基板が、LaGaSiO14単結晶で形成されていることを特徴とするワイヤレス温度計測モジュール。
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