JP2004279157A - 癌病巣判定のためのキット並びに方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】癌組織、その周辺組織、その近傍のリンパ節中の癌病巣の有無を判定する分析用キット並びに分析方法において、癌病巣陽性や癌病巣陰性を高確率に検出するCEAの分析用キット並びに分析方法を提供する。
【解決手段】カットオフ値が被検組織の抽出液中のCEAの含有量として5〜30ngの範囲に設定されたCEAの分析用キットを用いる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検組織中のCEAの含有量により癌病巣の有無を判定する方法に関する。さらには、本発明は、被検組織中のCEAの含有量により癌病巣有無の判定に用いるためのCEA分析用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
癌等の悪性腫瘍疾患の診断がなされた患者は、状況が許す限り外科手術が施されている。一般には、外科手術を行った場合には、癌組織、その周辺組織、近傍のリンパ節等の生体組織を摘出し、術中あるいは術後に、それらの生体組織に対して病理組織検査あるいは癌細胞由来の被検物質の検出検査が行われている。これらの検査結果には、癌の悪性度、浸潤域、転移域の確認、予後の良否、追加すべき治療法等種々の情報が含まれている。このような情報は、処置に活かすために、手術中に得られる事が望まれており、簡便な迅速検査法が期待されている。
【0003】
最近では、迅速検査法のひとつとして、凍結切片法を用いた迅速病理組織検査が実施されている。しかし、病理組織検査には専門の設備と病理医が必要であり、さらに、癌組織の周辺組織あるいは近傍のリンパ節への転移を、限られた枚数しか作成されない病理切片の観察のみからは確実に判断し難いという問題があった。
【0004】
また、組織中や血中の癌細胞由来の被検物質を検出し癌転移の判定を行う方法も検討されている。特に、癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen、 以下、「CEA」と略記する。)は、多くの癌で産生が認められ、癌の消長がCEAの血中値の変動に反映されることから癌の診断および治療のモニターに広く利用されている。しかしながら、CEAは成人正常組織中にも少量存在するため、正確に判断するためには補正を行う必要があり、摘出組織中の癌細胞由来のCEAの含有量は、組織中の蛋白質含量や組織重量等で補正して求められている。例えば、大腸癌のリンパ節への転移を診断する方法として、大腸のリンパ節を抽出した生理食塩水中のCEA濃度をイムノアッセイにより測定し、そのCEA濃度を蛋白質濃度で補正した値(蛋白質重量による補正値に相当)を用いた転移判定の方法が示唆されている。(非特許文献1)。さらに、リンパ節を抽出した生理食塩水中のCEA濃度をCEAクロマトグラフィーキットで測定した結果と病理組織学的な判定結果との比較検討が行われている(非特許文献2)。
【0005】
【非特許文献1】
Dis Colon Rectum 2002 Jun, 45(6), 757−63
【0006】
【非特許文献2】
第18回腫瘍マーカー研究会要旨集
【0007】
しかしながら、蛋白質重量や組織重量によるCEA濃度の補正法は、微細な癌病巣に対して摘出組織が大きい場合には、癌病巣からCEAが分泌されていても、癌病巣偽陰性と判定される場合がある。そのため、リンパ節に付着した余分な組織を丁寧に除去する技術が要求され、個人の除去技術が結果に大きく影響を与えるという問題があった。さらに、これらの癌病巣判定方法は、判定のカットオフ値を病理組織学的な判定結果と比較して設定している。そのため、癌病巣陰性と判定されても、高感度なPCR法で測定した場合にはCEAが検出され、微小転移や細胞単位の癌病巣が認められることが多いという問題があった。
【0008】
このように組織中の癌病巣の判定を行うために色々な方法が行われているが、いずれも満足できるものではなく、より正確かつ簡便に判定を行う分析方法や分析用キットが求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】
癌組織、その周辺組織または癌組織近傍のリンパ節における癌病巣の有無の判定において、癌病巣陽性や癌病巣陰性を正確にかつ簡便に判定するCEAの分析方法並びに分析用キットを提供する。
【0010】
【問題を解決するための手段】
我々は鋭意研究の結果、癌病巣の有無を判定する正確かつ簡便な分析方法を見出した。
【0011】
本発明は、
(I)組織中の癌病巣を判定するための分析方法であって、(1)被検組織を抽出液に接触させCEAを抽出し、(2)抽出液中のCEAの含有量を分析し、(3)前記CEAの含有量がカットオフ値以上の場合には癌病巣陽性の判定を行う工程を含み、前記カットオフ値が5〜30ngの範囲にあることを特徴とする分析方法、
(II)被検組織がリンパ節を含むことを特徴とする(I)記載の分析方法、
(III)カットオフ値が5〜15ngの範囲にあることを特徴とする(I)又は(II)記載の分析方法、
(IV)分析方法が免疫学的分析方法であることを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載の分析方法、
(V)抽出液中のCEAの含有量がカットオフ値以上である場合に、判定部分が着色するCEA分析装置を用いて分析することを特徴とする(I)〜(IV)のいずれかに記載の分析方法、
(VI)分析方法がイムノクロマトグラフ法によることを特徴とする(I)〜(V)のいずれかに記載の分析方法、
(VII)(I)〜(VI)のいずれかに記載の分析方法に使用されうる分析用キットであって、抽出液と分析装置を含むCEA分析用キット。
【0012】
本発明の被検組織は、外科手術或いは内視鏡的治療等の際に摘出した生体組織であり、具体的には、大腸、胃、小腸、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、腸間膜、腹膜等の組織が挙げられる。大腸、腸間膜、腹膜及びこれらのリンパ節が好ましく、特に、大腸リンパ節が好ましい。一見して癌病巣の存在が明白な癌病巣部組織や癌病巣の存在が疑わしい周辺組織等の生体組織に対して本発明の分析方法が用いられる。周辺組織には癌病巣に近接する組織のみならず血液やリンパ液などを介して間接的に近在するリンパ節等を含む。本明細書では、癌病巣に癌細胞並びに転移癌病巣も含む。被検組織は、通常、0.005〜10g程度を分析に用い、血液や脂肪等の付着物を軽く除いた後そのまま抽出液に浸漬してもよいが、CEAの抽出効率を上げるために、例えばメスで半割する、針を数ヶ所程度刺す、小さな断片にカットする、または、被検組織がリンパ節の場合は最外層の被膜を除去する等の前処理を行うことが望ましい。また、抽出効率を上げるために、被検組織は抽出液中で振とう抽出を行ってもよい。さらに、被検組織は、摘出組織からの不要部分の除去操作や摘出組織の蛋白質重量や組織重量の測定を行わなくてもよく、摘出した組織をそのまま使用できる。
【0013】
本発明の抽出液としては、抽出したCEAを安定保持させ、かつ、被検組織へのダメージを抑制する溶液であればよい。具体的には、生理食塩水、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、HEPES緩衝液等の水溶液が挙げられる。本発明の抽出液の浸透圧は、被検組織のダメージ抑制の観点から、好ましくは50〜1300mOsm/Kg、さらに好ましくは200〜500mOsm/Kgに調整されることが望ましい。また、pHは、抽出したCEAを保存安定性の向上並びに被検組織のダメージ抑制の観点から、好ましくは5.0〜8.0、さらに好ましくは6.0〜8.0に調整されることが望ましい。特に好ましい抽出液としては、生理食塩水(pH5.0〜8.0、好ましくはpH6.0〜8.0)、リン酸緩衝液に無機塩類を含む等張液(pH5.0〜8.0、好ましくはpH6.0〜8.0)、リン酸緩衝生理食塩水(pH6.0〜8.0、好ましくはpH6.8〜7.2)等である。さらに、本発明の抽出液には、CEAの保存安定性を向上させるために、牛血清由来アルブミン(BSA)、ヒト血清由来アルブミン(HSA)、卵白アルブミン(OVA)、ウシ血清由来グロブリン、ウサギ血清由来グロブリン、ヒト血清由来グロブリン、ラクトフェリン、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質を添加してもよい。これらの蛋白質の添加濃度は、好ましくは、0.001〜10%(W/V)、さらに好ましくは0.01〜1%(W/V)である。
【0014】
さらに、本発明の抽出液には、CEAの抽出効率を上げるため界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤等が挙げられ、かかる界面活性剤の種類や濃度は組織の形態やCEAに悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。特に、非イオン性界面活性剤や両性イオン性界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(TritonX−100)、ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(TritonX−114)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij58)、サポニン等の非イオン性界面活性剤、3−〔(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕−2−ヒドロキシル−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、3−〔(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕−1−プロパンスルホネート(CHAPS)等の両性イオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸リチウム(LDS)等のイオン性界面活性剤が挙げられる。かかる界面活性剤の添加量は、通常、0.0005〜10%(W/V)、好ましくは0.001〜10%(W/V)、さらに好ましくは0.01〜1%(W/V)である。
【0015】
さらに、本発明の抽出液には、保存剤として、アジ化ナトリウム、クロルヘキシジンまたはその塩、塩化ベンザルコニウム、エデト酸等を添加してもよい。かかる保存剤の濃度は、好ましくは0.001〜10%(W/V)、さらに好ましくは0.01〜1%(W/V)である。
【0016】
本発明におけるCEAの抽出時間は、被検組織からのCEAの抽出が被検組織の大きさに依存することなく行える時間であればよく、好ましくは5分以上、迅速性の点から、好ましくは30分以内である。抽出液の液量は、被検組織のほぼ全体を浸漬し、被検組織への付着による液量減少が測定結果に影響しない量であり、かつ、カットオフ値及びCEA分析装置の分析感度に適した量を選択する。CEA抽出液の液量は、被検組織の平均サイズの点から、好ましくは1〜20mlであり、さらに好ましくは5〜20mlである。
【0017】
本発明におけるカットオフ値は、癌病巣陽性を示す被検組織から抽出されたCEAの含有量の境界値を表し、被検組織の抽出液中のCEAの含有量が、かかるカットオフ値以上の場合に、癌病巣陽性と判定する値である。かかるカットオフ値は、5〜30ngの範囲から選択され、好ましくは5〜15ngの範囲から選択される。さらに、具体的なカットオフ値としては、好ましくは30ng、より好ましくは15ngである。
【0018】
本発明のCEA分析装置として、ラジオイムノアッセイ法、酵素免疫法、ラテックス凝集法、蛍光免疫法、イムノクロマトグラフ法などに基づく方法を用いてCEAを分析する装置であればよく、定量的に分析できるものであっても半定量的に分析できるものであってもよい。特に、簡便性の観点からは、抽出液を分析装置に適用するだけで更なる試薬の添加等の処理を行わなくとも結果が得られるイムノクロマトグラフ法の原理を用いたワンステップ型の定量用または半定量用分析装置が好ましく、さらに、カットオフ値以上のCEAの含有量があることを、着色観察等により目視判定できるCEA分析装置が好ましい。具体的には、イムノクロマトグラフ法では、抗CEA抗体を固定化した多孔性のクロマト担体を有し、多孔性クロマト担体の上流には、前記固定化抗体とは異なる抗CEA抗体に検出可能なマーカーと物理的あるいは化学的に結合させて作成した標識抗体を保有している分析装置、酵素免疫法では、抗CEA抗体を固定化した固相と、前記固定化抗体とは異なる抗CEA抗体に酵素を物理的或いは科学的に結合させて作成した酵素標識抗体を保有している分析装置等を用いる事ができる。かかる分析装置の分析感度は、CEAと反応する抗CEA抗体の種類や使用量により調整することができ、検査方法自体の特異性及び感度に対する信頼性の点から、分析感度は、検査可能範囲の下限が0.5〜50ng/mlの範囲から選ばれるものが好ましく、0.5〜5ng/mlの範囲から選ばれるものが特に好ましい。さらに、CEA分析装置は、多孔性のクロマト担体の上流にはサンプル適用部材を、下流には液体吸収部材を有してもよい。多孔性のクロマト担体としては、ろ紙、ガラス繊維ろ紙、ニトロセルロースが挙げられるが、好ましくは孔径1μm以上、より好ましくは孔径3〜12μmのイムノクロマトグラフ用に調製されたものがよい。多孔性のクロマト担体に抗体を固定化する方法はCNBrやカルボニルジイミダゾール等を用いた化学結合、抗体タンパクの直接吸着結合、或いはラテックス粒子等の担体を介した結合のいずれでもよい。サンプル適用部材及び液体吸水部材としては、繊維、不織布、紙、多孔性プラスチックなど吸水性に優れたものがよい。標識は、その存在を容易に検出できるものであれば良く、分析装置の測定原理に応じて適宜選択することができる。例えば、染料、金属コロイド、着色ラテックス等の肉眼で認識可能な標識、蛍光物質、酵素等を使用しても良い。抗体の標識化方法は、CNBrやカルボニルジイミダゾール等を用いた化学結合、抗体タンパクの直接吸着結合、アビジン−ビオチンを用いた結合等による方法のいずれでもよい。標識抗体は、固定化抗体とサンプル適用部材の間に配置するが、多孔性のクロマト担体上の固定化抗体より上流側に直接配する方法、サンプル適用部材上のサンプル滴下部の下流側に直接配する方法、多孔性材料或いは繊維性材料に含有させたものをクロマト担体とサンプル適用部材の間に配する方法のいずれでもよい。また、免疫クロマトグラフ法に使用する多孔性のクロマト担体、それに連結させたサンプル適用部剤並びに液体吸収部材等は、プラスチック製等の容器に収納して、直接手の触れる部分を極力減らすようにするのが好ましい。
【0019】
本発明の分析装置では、分析が適正に行われたこと又は分析時間の終了を示すために、分析後に、点状や線状等の表示やサインが現れるようにしてもよい。例えば、イムノクロマトグラフ法において、多孔性のクロマト担体上あるいは液体吸収部材上に、コンゴーレッド等の不溶性pH指示薬や標識抗体を検出する物質等を予め塗布しておいてもよい。
【0020】
本発明のCEA分析用キットは、少なくとも抽出液とCEA分析装置から構成されるキットである。かかるキットは、被検組織の抽出液中のCEAの含有量を分析した場合に、抽出液中のCEAの含有量がカットオフ値以上である場合には陽性と判定されるように設定されたキットである。特に、簡便性の観点からは、被検組織の抽出液を分析装置に適用するだけで更なる試薬の添加等の処理を行わなくとも結果が得られるイムノクロマトグラフ法の原理を用いたワンステップ型で、しかも、着色観察等の目視により判定できる定量用または半定量用分析用キットが好ましい。
【0021】
本発明の方法または分析キットでは、被検組織の大きさや蛋白質含有量を考慮する必要がないため、被検組織の大きさにかかわらず、被検組織中のタンパク質濃度の測定や被検組織の重量測定などの煩雑な操作やこれらによる補正を必要がなく、被検組織からCEAの抽出、CEAの含有量の分析、分析値から転移の有無の判定という一連の操作をするだけで、癌病巣の有無を正確に簡便に判定できる。本発明の方法または分析用キットによれば、大きな被検組織中に小さな癌病巣が存在していても、タンパク質濃度や組織重量による補正を行わないため、偽陰性になりにくく正確な結果を得る事ができる。本発明では、CEAのカットオフ値を的確に設定しているため、病理組織検査で癌病巣陰性の判定を受けた偽陰性組織に対してもより確実に癌病巣陽性判定を行うことができる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明を試験例及び実施例を示し、詳細に説明するが特に実施例に限定されるものではない。
【0023】
(試験例1)
IRMA法による分析装置(CEAキット「第一」II、(株)第一ラジオアイソトープ研究所製)と液量13mlの抽出液(0.1%アジ化ナトリウム含有リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、浸透圧300mOsm)を組み合わせてCEA分析用キットを作成した。本分析用キットを用いて、大腸癌患者の大腸癌病巣摘出手術にて摘出された病巣部周辺のリンパ節(大腸癌所属リンパ節)の84検体を被検組織として、以下の方法で癌病巣の有無を調べた。それぞれの被検組織を半切し、両組織片を一緒に、13mlの上記抽出液に15分間浸漬した。浸漬後、両組織片を取り出し、得られた液中のCEA濃度を上記IRMA法による分析装置にて測定し、リンパ節1個あたりから抽出されたCEA量を算出した。また、取り出したリンパ節組織片の一方を病理組織検査にて、他方をRT−PCR法でのmRNA検出にて、癌病巣の有無を判定した。RT−PCR法による判定結果とカットオフ値を5〜50ngの範囲の数値に設定した分析用キットによる判定結果との一致率を表1に示す。RT−PCR法は、試験対象たる被検組織において発現しているCEAを検出することから偽陰性を生じることが極めて少なく確実な判定方法である。このようなRT−PCR法の判定結果と判定結果が一致する場合には臨床的な有用性が高い。表1の結果より、カットオフ値5〜30ngの範囲でRT−PCR法の判定結果との一致率が高く、この範囲のカットオフ値を設定したCEA分析用キットは臨床的な有用性が高いと判断された。一方、病理組織検査による判定結果とRT−PCR法による判定結果の一致率は73%と低く、病理組織検査では癌病巣の有無を確実に判定することは困難であった。
【0024】
【表1】
Figure 2004279157
【0025】
(実施例6)
下記のイムノクロマトグラフ法を用いたCEA分析用キットで分析し、癌転移の判定を行った。
【0026】
(1)CEA分析装置の作製
0.15%(W/V)の塩化金酸水溶液300mLを沸騰させた後、2%(W/V)のクエン酸ナトリウム水溶液3mLを添加した。溶液の色が赤色に変わるまで1時間加熱沸騰を行い、金コロイド分散液を調製した。前記金コロイド分散液のpHを6.2に調整し、分散液1mLあたり15μgのマウス抗ヒトCEAモノクローナル抗体(以下、第一抗体と表す)を添加して、室温で1時間緩やかに攪拌した。その後この分散液にBSA溶液を添加し、さらに室温で10分間緩やかに攪拌した。さらにこの分散液を4℃、8200rpmで40分間遠心して上清を除去した。得られた標識化抗体ペレットを、pH=8のTris緩衝液を用いて吸光度(525nm)=1.0になるように再懸濁した。得られた溶液(標識化抗体溶液)をグラスファイバーシート上に68μl/cmで含浸させた後、凍結乾燥し、これを標識試薬パッドとした。次に50mMのリン酸生理食塩水(pH7.2)に4mg/mLの濃度で溶解した、第一抗体とは異なるマウス抗CEAモノクローナル抗体(以下、第二抗体と表す)を、ニトロセルロース製多孔性小片(8×50mm)のサンプル適用側から1.3cm(検出部に相当する)の位置に塗布し、風乾した。塗布領域の形は幅1mmのライン状とした。この多孔性小片を糊つきプラスチックシートの裏打ち材のおよそ中央部に貼り、多孔性小片のサンプル適用側には上記で調製した標識試薬パッドを、判定側には紙製の液体吸収部材をそれぞれ液体連通可能なように重なりをもって貼り合せた。液体吸収部材上には、不溶性pH指示薬(コンゴーレッド含有クエン酸溶液)を塗布し、さらに標識試薬パッドの多孔性小片と反対側にはセルロース繊維製のサンプル適用部材を貼り重ねて、ストリップを作製した。作製したストリップをプラスチック製ケースにおさめ、CEA分析装置を作製した。第一抗体と第二抗体の抗体量を調整して、CEA分析装置の分析感度を調整した。このCEA分析装置の感度はCEA標準品(DAKO製)を用いて測定すると、1ng/mlであった。
【0027】
(2)CEA分析用キットの作製
(1)で作製されたCEA分析装置と液量13mlの抽出液(0.1%アジ化ナトリウム含有リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、浸透圧300mOsm)とを組み合わせて、カットオフ値13ngの CEA分析用キットを作製した。
【0028】
(3)CEAの含有量の分析
大腸癌患者の大腸癌病巣摘出手術にて摘出された病巣部周辺のリンパ節(大腸癌所属リンパ節)3検体に対して(2)で作製したCEA分析用キットを用いて、CEAの含有量を分析した。検体をそれぞれ半切し、両組織片を一緒にして、1検体毎に13mlの抽出液に15分間浸漬してCEAを抽出し、抽出液中のCEAの含有量をCEA分析用装置で分析し、癌病巣の有無を判定した。さらに、比較例として、抽出後、取り出した両組織片を用い、リンパ節組織片の一方を病理組織検査にて癌病巣の有無を検査し、他方をRT−PCR法でのmRNA検出にて癌病巣の有無を判定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 2004279157
【0030】
被検組織を、実施例6のCEA分析用キットで分析した場合、その結果、RT−PCR法での判定結果とすべて一致した。このように、RT−PCR法による判定結果と本件発明の分析用キットで得られた判定結果が一致したことから本発明の確実性が示された。また、病理組織検査では検出できない癌病巣も確実に判定できる事がわかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、癌病巣の有無を高確率に判定する簡便な分析方法並びに分析用キットを提供することができるため、手術中にも癌の悪性度、浸潤域、転移域の確認等に関するより確実な情報を得る事ができ、適切な処置を行う事ができる。

Claims (7)

  1. 組織中の癌病巣を判定するための分析方法であって、(1)被検組織を抽出液に接触させCEAを抽出し、(2)抽出液中のCEAの含有量を分析し、(3)前記CEAの含有量がカットオフ値以上の場合には癌病巣陽性の判定を行う工程を含み、前記カットオフ値が5〜30ngの範囲にあることを特徴とする分析方法。
  2. 被検組織がリンパ節を含むことを特徴とする請求項1記載の分析方法。
  3. カットオフ値が5〜15ngの範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の分析方法。
  4. 分析方法が免疫学的分析方法であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分析方法。
  5. 抽出液中のCEAの含有量がカットオフ値以上である場合に、判定部位が着色するCEA分析装置を用いて分析することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分析方法。
  6. 分析方法がイムノクロマトグラフ法によることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分析方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の分析方法に使用されうる分析用キットであって、抽出液と分析装置を含むCEA分析用キット。
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