JP2004278734A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール本体のリップが摩耗して同リップと回転軸との間の摩擦係合力が経時的に低下しても、回転軸に必要十分な摩擦抵抗を与えることを可能とする。
【解決手段】密封装置10は、ハウジング20と回転軸30との間の環状隙間Aを密封するものである。この密封装置10は、回転軸30に摺動可能に接触する環状のリップ11b1を有してハウジング20に一体的に組付けられる環状のシール本体11と、このシール本体11に一体的に組付けられ回転軸30に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する環状の摩擦付与材12と、この摩擦付与材12に回転軸30への押圧力を付与するスプリング13を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】密封装置10は、ハウジング20と回転軸30との間の環状隙間Aを密封するものである。この密封装置10は、回転軸30に摺動可能に接触する環状のリップ11b1を有してハウジング20に一体的に組付けられる環状のシール本体11と、このシール本体11に一体的に組付けられ回転軸30に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する環状の摩擦付与材12と、この摩擦付与材12に回転軸30への押圧力を付与するスプリング13を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の密封装置の一つとして、回転軸に摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングに一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に組付けられてリップに回転軸への緊迫力を付与するガータースプリングとを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−39073号公報
【0004】
上記した公報の密封装置では、シール本体がシールリップとダストリップの二つのリップを有していて、これら両リップの根本を支えて各リップの回転軸表面に対する距離を位置決めするための位置決めリングがシール本体の内周に組付けられて回転軸の外周に配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した公報の密封装置において採用されている位置決めリングは、低摩擦係数の樹脂等で構成されていて、回転軸との間で必要十分な摩擦係合力を得ることができない。また、シール本体が有するシールリップとダストリップは、ゴム系材料によって形成されているため、回転軸の回転によって擦られて摩耗し、各リップと回転軸との間の摩擦係合力が経時的に低下する。したがって、上記した公報の密封装置では、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが難しく、回転軸に必要十分な摩擦抵抗を与える必要がある部位での使用には適していない。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置を、回転軸またはハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングまたは回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する耐摩耗性素材からなる環状の摩擦付与材を備える構成としたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0007】
この密封装置(請求項1に係る発明)では、シール本体に一体的に組付けた摩擦付与材が回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、摩擦付与材が耐摩耗性素材からなるため、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが可能である。したがって、シール本体が有するリップが摩耗して同リップと回転軸またはハウジングとの間の摩擦係合力が経時的に低下しても、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの間にて必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されるため、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。
【0008】
また、本発明は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置を、回転軸またはハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングまたは回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する環状の摩擦付与材と、この摩擦付与材に回転軸またはハウジングへの押圧力を付与するスプリングを備える構成としたこと(請求項2に係る発明)に特徴がある。
【0009】
この密封装置(請求項2に係る発明)では、シール本体に一体的に組付けた摩擦付与材が回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、スプリングが摩擦付与材に回転軸またはハウジングへの押圧力を付与する。したがって、シール本体が有するリップが摩耗して同リップと回転軸またはハウジングとの間の摩擦係合力が経時的に低下しても、また、摩擦付与材が摩耗しても、スプリングが摩擦付与材を回転軸またはハウジングに押圧する。このため、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの間では、必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されて、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。なお、スプリングの作用線上に摩擦付与材が配置される場合には、摩擦付与材の偏摩耗を抑制することが可能である。
【0010】
また、この場合において、摩擦付与材の軸方向両側にリップをそれぞれ設けて、摩擦付与材とリップ間に環状のグリース溜りを形成すること(請求項3に係る発明)が好ましい。この場合には、摩擦材の偏摩耗を抑制することが可能である。また、回転軸が例えば車両用のステアリングシャフトであって、車両に搭載したときにステアリングシャフトに傾角が付き、操舵回転時にこじり力が発生してステアリングシャフトが軸偏心しても、その軸偏心に各リップが追従して変形するため、グリース溜りに封入されるグリースの流出を抑制することが可能であり、グリース流出による異音(擦れ音)発生を抑制することが可能である。
【0011】
また、これらの場合において、摩擦付与材は、スプリング側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されていること(請求項4に係る発明)が好ましい。この場合には、スプリングによる押圧力の一部を摩擦付与材を介してリップに伝えることが可能であり、リップと回転軸またはハウジングとの接触を安定させることが可能である。また、摩擦付与材とシール本体との接触面積を多くすることができて、摩擦付与材とシール本体の相対回転を抑制することが可能である。
【0012】
また、これらの場合において、摩擦付与材は、周方向にて複数個に分割されていること(請求項5に係る発明)が好ましい。この場合には、当該密封装置の組付時に偏心したり外乱が入っても、また、当該密封装置の使用によって摩擦付与材が摩耗した場合にも、摩擦付与材がスプリングにより押されて的確に追従するため、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの接触面圧が全周にわたって略均一に保たれる。
【0013】
また、これらの場合において、回転軸が車両用のステアリングシャフトである場合(請求項6に係る発明)には、車両のステアリング装置における逆入力振動問題、例えば、フラッター、ハンドル振動、ハンドルとられ等の悪化を的確に抑えることが可能であり、車両における操縦安定性の向上を図ることが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は本発明による密封装置の第1実施形態を概略的に示していて、この第1実施形態は車両用のステアリング装置においてダストシールとして実施したものである。この第1実施形態の密封装置10は、ハウジング20に組付けられてハウジング20と回転軸であるステアリングシャフト30との間の環状隙間Aを密封するものであり、環状のシール本体11と、このシール本体に組付けた摩擦付与材12およびガータースプリング13を備えている。
【0015】
シール本体11は、ハウジング20の取付部21に圧入されて一体的に組付けられており、断面L字状の補強金属リング11aと、これに加硫成形したゴムシールリング11bによって形成されている。ゴムシールリング11bは、ステアリングシャフト30の外周に摺動可能に接触する環状のリップ11b1を有するとともに、摩擦付与材12を組付けるための内周環状溝11b2と、ガータースプリング13を組付けるための外周環状溝11b3を有している。
【0016】
摩擦付与材12は、ステアリングシャフト30の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与するものであり、耐摩耗性素材によって図3の(a)に示したようにCリング形状または図3の(b)に示したようにスリット入りリング形状に形成されている。また、摩擦付与材12は、外周に向けて突出する回り止め突起12aを複数個有していて、各回り止め突起12aがシール本体11の内周環状溝11b2に形成した凹部S(図4参照)に嵌合するようにして、シール本体11に一体的に組付けられている。なお、摩擦付与材12がシール本体11に組付けられることにより摩擦付与材12とリップ11b1間に形成される環状のグリース溜りRには、グリースが封入されている。
【0017】
ガータースプリング13は、シール本体11のリップ11b1をステアリングシャフト30の外周に向けて押圧するものであり、リップ11b1の外周に形成した外周環状溝11b3に組付けられて、リップ11b1にステアリングシャフト30への緊迫力を付与する。
【0018】
上記のように構成したこの第1実施形態においては、シール本体11に一体的に組付けた摩擦付与材12がステアリングシャフト30の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、摩擦付与材12が耐摩耗性素材からなるため、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが可能である。したがって、シール本体11が有するリップ11b1が摩耗して同リップ11b1とステアリングシャフト30との間の摩擦係合力が経時的に低下しても、摩擦付与材12とステアリングシャフト30との間にて必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されるため、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。
【0019】
上記した第1実施形態においては、図1および図2に示したように、摩擦付与材12をリップ11b1の図示下方に配置して実施したが、図5に示したように、摩擦付与材12をリップ11b1の図示上方に配置して実施することも可能である。図5に示した実施形態は、図示下方が大気側である場合に適したものであり、環状のグリース溜りRを摩擦付与材12の大気側に設定することでダスト進入防止性を向上させることが可能である。
【0020】
また、上記した第1実施形態においては、図1に示したように、シール本体11がハウジング20に一体的に組付けられるようにして、摩擦付与材12およびリップ11b1がステアリングシャフト30に密着するように構成したが、図6に示したように、シール本体11がステアリングシャフト30に一体的に組付けられるようにして、摩擦付与材12およびリップ11b1がハウジング20に密着するように構成して実施することも可能である。なお、シール本体11は、ステアリングシャフト30の段部31まで圧入されて、クリップ40により抜け止め固定される。
【0021】
また、上記した第1実施形態においては、ガータースプリング13が、シール本体11のリップ11b1をステアリングシャフト30の外周に向けて押圧する構成として実施したが、図7に示した第2実施形態、図8または図9に示した第3実施形態、図10〜図12に示した第4実施形態のように、ガータースプリング113が、摩擦付与材112をステアリングシャフト130の外周に向けて押圧する構成として実施することも可能である。
【0022】
図7に示した第2実施形態においては、摩擦付与材112の軸方向両側にリップ111b1がそれぞれ設けられていて、摩擦付与材112と各リップ111b1間に環状のグリース溜りRがそれぞれ形成されている。なお、この第2実施形態では、摩擦付与材112を耐摩耗性素材によって形成する必要はなく、その素材は適宜自由に選定することが可能である。その他の構成は、上記第1実施形態の構成と実質的に同じであるため、100番台の同一符号を付して説明は省略する。
【0023】
この第2実施形態においては、シール本体111に一体的に組付けた摩擦付与材112がステアリングシャフト130の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、ガータースプリング113が摩擦付与材112にステアリングシャフト130への押圧力を付与する。したがって、シール本体111が有する両リップ111b1が摩耗して同リップ111b1とステアリングシャフト130との間の摩擦係合力が経時的に低下しても、また、摩擦付与材112が摩耗しても、ガータースプリング113が摩擦付与材112をステアリングシャフト130に押圧する。
【0024】
このため、摩擦付与材112とステアリングシャフト130との間では、必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されて、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。また、この第2実施形態においては、ガータースプリング113の作用線上に摩擦付与材112が配置されているため、摩擦付与材112の偏摩耗を抑制することが可能である。
【0025】
また、この第2実施形態においては、摩擦付与材112の軸方向両側にリップ111b1がそれぞれ設けられていて、摩擦付与材112と各リップ111b1間に環状のグリース溜りRがそれぞれ形成されている。このため、これによっても、摩擦材112の偏摩耗を抑制することが可能である。また、ステアリングシャフト130が軸偏心しても、その軸偏心に各リップ111b1が追従して変形するため、グリース溜りRに封入されるグリースの流出を抑制することが可能であり、グリース流出による異音(擦れ音)発生を抑制することが可能である。
【0026】
図8に示した第3実施形態においては、摩擦付与材112が断面T字形状すなわちガータースプリング113側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されている。このため、この第3実施形態においては、ガータースプリング113による押圧力の一部を摩擦付与材112を介して各リップ111b1に伝えることが可能であり、各リップ111b1とステアリングシャフト130との接触を安定させることが可能である。また、摩擦付与材112とシール本体111におけるゴムシールリング111bとの接触面積を多くすることができて、摩擦付与材112とシール本体111の相対回転を抑制することが可能である。
【0027】
図9に示した第3実施形態の変形実施形態においては、摩擦付与材112が断面台形形状すなわちガータースプリング113側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されている。このため、この実施形態においても、上記した図8に示した第3実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0028】
図10〜図12に示した第4実施形態においては、摩擦付与材112が周方向にて複数個、例えば、4個に分割されている。このため、この第4実施形態においては、当該密封装置の組付時に偏心したり外乱が入っても、また、当該密封装置の使用によって摩擦付与材112が摩耗した場合にも、摩擦付与材112がガータースプリング113により押されて的確に追従するため、摩擦付与材112とステアリングシャフト130との接触面圧が全周にわたって略均一に保たれる。
【0029】
上記した各実施形態においては、本発明による密封装置を車両用のステアリング装置においてダストシールとして実施したものであるため、車両のステアリング装置における逆入力振動問題、例えば、フラッター、ハンドル振動、ハンドルとられ等の悪化を的確に抑えることが可能であり、車両における操縦安定性の向上を図ることが可能である。
【0030】
本発明による密封装置は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する必要があって、回転軸に必要十分な摩擦抵抗を与える必要がある部位であれば、適宜実施可能であり、車両用のステアリング装置以外にも上記した各実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による密封装置の第1実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1に示した密封装置の要部拡大断面図である。
【図3】図1および図2に示した摩擦付与材の形状例を示す図である。
【図4】図1および図2に示した摩擦付与材に形成されている回り止め突起とシール本体に形成した凹部を示す断面図である。
【図5】第1実施形態の第1変形実施形態を示す要部断面図である。
【図6】第1実施形態の第2変形実施形態を示す要部断面図である。
【図7】本発明による密封装置の第2実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図8】本発明による密封装置の第3実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図9】第3実施形態の変形実施形態を示す要部断面図である。
【図10】本発明による密封装置の第4実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図11】図10に示した摩擦付与材の平面図である。
【図12】図10に示した摩擦付与材の側面図である。
【符号の説明】
10…密封装置、11…シール本体、11a…補強金属リング、11b…ゴムシールリング、11b1…リップ、12…摩擦付与材、13…ガータースプリング、20…ハウジング、21…ハウジングの取付部、30…ステアリングシャフト、A…環状隙間、R…グリース溜り。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の密封装置の一つとして、回転軸に摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングに一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に組付けられてリップに回転軸への緊迫力を付与するガータースプリングとを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−39073号公報
【0004】
上記した公報の密封装置では、シール本体がシールリップとダストリップの二つのリップを有していて、これら両リップの根本を支えて各リップの回転軸表面に対する距離を位置決めするための位置決めリングがシール本体の内周に組付けられて回転軸の外周に配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した公報の密封装置において採用されている位置決めリングは、低摩擦係数の樹脂等で構成されていて、回転軸との間で必要十分な摩擦係合力を得ることができない。また、シール本体が有するシールリップとダストリップは、ゴム系材料によって形成されているため、回転軸の回転によって擦られて摩耗し、各リップと回転軸との間の摩擦係合力が経時的に低下する。したがって、上記した公報の密封装置では、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが難しく、回転軸に必要十分な摩擦抵抗を与える必要がある部位での使用には適していない。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置を、回転軸またはハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングまたは回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する耐摩耗性素材からなる環状の摩擦付与材を備える構成としたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0007】
この密封装置(請求項1に係る発明)では、シール本体に一体的に組付けた摩擦付与材が回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、摩擦付与材が耐摩耗性素材からなるため、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが可能である。したがって、シール本体が有するリップが摩耗して同リップと回転軸またはハウジングとの間の摩擦係合力が経時的に低下しても、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの間にて必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されるため、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。
【0008】
また、本発明は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置を、回転軸またはハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有してハウジングまたは回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する環状の摩擦付与材と、この摩擦付与材に回転軸またはハウジングへの押圧力を付与するスプリングを備える構成としたこと(請求項2に係る発明)に特徴がある。
【0009】
この密封装置(請求項2に係る発明)では、シール本体に一体的に組付けた摩擦付与材が回転軸またはハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、スプリングが摩擦付与材に回転軸またはハウジングへの押圧力を付与する。したがって、シール本体が有するリップが摩耗して同リップと回転軸またはハウジングとの間の摩擦係合力が経時的に低下しても、また、摩擦付与材が摩耗しても、スプリングが摩擦付与材を回転軸またはハウジングに押圧する。このため、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの間では、必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されて、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。なお、スプリングの作用線上に摩擦付与材が配置される場合には、摩擦付与材の偏摩耗を抑制することが可能である。
【0010】
また、この場合において、摩擦付与材の軸方向両側にリップをそれぞれ設けて、摩擦付与材とリップ間に環状のグリース溜りを形成すること(請求項3に係る発明)が好ましい。この場合には、摩擦材の偏摩耗を抑制することが可能である。また、回転軸が例えば車両用のステアリングシャフトであって、車両に搭載したときにステアリングシャフトに傾角が付き、操舵回転時にこじり力が発生してステアリングシャフトが軸偏心しても、その軸偏心に各リップが追従して変形するため、グリース溜りに封入されるグリースの流出を抑制することが可能であり、グリース流出による異音(擦れ音)発生を抑制することが可能である。
【0011】
また、これらの場合において、摩擦付与材は、スプリング側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されていること(請求項4に係る発明)が好ましい。この場合には、スプリングによる押圧力の一部を摩擦付与材を介してリップに伝えることが可能であり、リップと回転軸またはハウジングとの接触を安定させることが可能である。また、摩擦付与材とシール本体との接触面積を多くすることができて、摩擦付与材とシール本体の相対回転を抑制することが可能である。
【0012】
また、これらの場合において、摩擦付与材は、周方向にて複数個に分割されていること(請求項5に係る発明)が好ましい。この場合には、当該密封装置の組付時に偏心したり外乱が入っても、また、当該密封装置の使用によって摩擦付与材が摩耗した場合にも、摩擦付与材がスプリングにより押されて的確に追従するため、摩擦付与材と回転軸またはハウジングとの接触面圧が全周にわたって略均一に保たれる。
【0013】
また、これらの場合において、回転軸が車両用のステアリングシャフトである場合(請求項6に係る発明)には、車両のステアリング装置における逆入力振動問題、例えば、フラッター、ハンドル振動、ハンドルとられ等の悪化を的確に抑えることが可能であり、車両における操縦安定性の向上を図ることが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は本発明による密封装置の第1実施形態を概略的に示していて、この第1実施形態は車両用のステアリング装置においてダストシールとして実施したものである。この第1実施形態の密封装置10は、ハウジング20に組付けられてハウジング20と回転軸であるステアリングシャフト30との間の環状隙間Aを密封するものであり、環状のシール本体11と、このシール本体に組付けた摩擦付与材12およびガータースプリング13を備えている。
【0015】
シール本体11は、ハウジング20の取付部21に圧入されて一体的に組付けられており、断面L字状の補強金属リング11aと、これに加硫成形したゴムシールリング11bによって形成されている。ゴムシールリング11bは、ステアリングシャフト30の外周に摺動可能に接触する環状のリップ11b1を有するとともに、摩擦付与材12を組付けるための内周環状溝11b2と、ガータースプリング13を組付けるための外周環状溝11b3を有している。
【0016】
摩擦付与材12は、ステアリングシャフト30の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与するものであり、耐摩耗性素材によって図3の(a)に示したようにCリング形状または図3の(b)に示したようにスリット入りリング形状に形成されている。また、摩擦付与材12は、外周に向けて突出する回り止め突起12aを複数個有していて、各回り止め突起12aがシール本体11の内周環状溝11b2に形成した凹部S(図4参照)に嵌合するようにして、シール本体11に一体的に組付けられている。なお、摩擦付与材12がシール本体11に組付けられることにより摩擦付与材12とリップ11b1間に形成される環状のグリース溜りRには、グリースが封入されている。
【0017】
ガータースプリング13は、シール本体11のリップ11b1をステアリングシャフト30の外周に向けて押圧するものであり、リップ11b1の外周に形成した外周環状溝11b3に組付けられて、リップ11b1にステアリングシャフト30への緊迫力を付与する。
【0018】
上記のように構成したこの第1実施形態においては、シール本体11に一体的に組付けた摩擦付与材12がステアリングシャフト30の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、摩擦付与材12が耐摩耗性素材からなるため、初期の摩擦係合力を長期間にわたって確保することが可能である。したがって、シール本体11が有するリップ11b1が摩耗して同リップ11b1とステアリングシャフト30との間の摩擦係合力が経時的に低下しても、摩擦付与材12とステアリングシャフト30との間にて必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されるため、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。
【0019】
上記した第1実施形態においては、図1および図2に示したように、摩擦付与材12をリップ11b1の図示下方に配置して実施したが、図5に示したように、摩擦付与材12をリップ11b1の図示上方に配置して実施することも可能である。図5に示した実施形態は、図示下方が大気側である場合に適したものであり、環状のグリース溜りRを摩擦付与材12の大気側に設定することでダスト進入防止性を向上させることが可能である。
【0020】
また、上記した第1実施形態においては、図1に示したように、シール本体11がハウジング20に一体的に組付けられるようにして、摩擦付与材12およびリップ11b1がステアリングシャフト30に密着するように構成したが、図6に示したように、シール本体11がステアリングシャフト30に一体的に組付けられるようにして、摩擦付与材12およびリップ11b1がハウジング20に密着するように構成して実施することも可能である。なお、シール本体11は、ステアリングシャフト30の段部31まで圧入されて、クリップ40により抜け止め固定される。
【0021】
また、上記した第1実施形態においては、ガータースプリング13が、シール本体11のリップ11b1をステアリングシャフト30の外周に向けて押圧する構成として実施したが、図7に示した第2実施形態、図8または図9に示した第3実施形態、図10〜図12に示した第4実施形態のように、ガータースプリング113が、摩擦付与材112をステアリングシャフト130の外周に向けて押圧する構成として実施することも可能である。
【0022】
図7に示した第2実施形態においては、摩擦付与材112の軸方向両側にリップ111b1がそれぞれ設けられていて、摩擦付与材112と各リップ111b1間に環状のグリース溜りRがそれぞれ形成されている。なお、この第2実施形態では、摩擦付与材112を耐摩耗性素材によって形成する必要はなく、その素材は適宜自由に選定することが可能である。その他の構成は、上記第1実施形態の構成と実質的に同じであるため、100番台の同一符号を付して説明は省略する。
【0023】
この第2実施形態においては、シール本体111に一体的に組付けた摩擦付与材112がステアリングシャフト130の外周に摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する。また、ガータースプリング113が摩擦付与材112にステアリングシャフト130への押圧力を付与する。したがって、シール本体111が有する両リップ111b1が摩耗して同リップ111b1とステアリングシャフト130との間の摩擦係合力が経時的に低下しても、また、摩擦付与材112が摩耗しても、ガータースプリング113が摩擦付与材112をステアリングシャフト130に押圧する。
【0024】
このため、摩擦付与材112とステアリングシャフト130との間では、必要十分な摩擦係合力が長期間にわたって確保されて、摩擦係合力による効果を長期間にわたって安定して得ることが可能である。また、この第2実施形態においては、ガータースプリング113の作用線上に摩擦付与材112が配置されているため、摩擦付与材112の偏摩耗を抑制することが可能である。
【0025】
また、この第2実施形態においては、摩擦付与材112の軸方向両側にリップ111b1がそれぞれ設けられていて、摩擦付与材112と各リップ111b1間に環状のグリース溜りRがそれぞれ形成されている。このため、これによっても、摩擦材112の偏摩耗を抑制することが可能である。また、ステアリングシャフト130が軸偏心しても、その軸偏心に各リップ111b1が追従して変形するため、グリース溜りRに封入されるグリースの流出を抑制することが可能であり、グリース流出による異音(擦れ音)発生を抑制することが可能である。
【0026】
図8に示した第3実施形態においては、摩擦付与材112が断面T字形状すなわちガータースプリング113側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されている。このため、この第3実施形態においては、ガータースプリング113による押圧力の一部を摩擦付与材112を介して各リップ111b1に伝えることが可能であり、各リップ111b1とステアリングシャフト130との接触を安定させることが可能である。また、摩擦付与材112とシール本体111におけるゴムシールリング111bとの接触面積を多くすることができて、摩擦付与材112とシール本体111の相対回転を抑制することが可能である。
【0027】
図9に示した第3実施形態の変形実施形態においては、摩擦付与材112が断面台形形状すなわちガータースプリング113側の面積が他側(摩擦係合側)の面積より大きい断面形状にて形成されている。このため、この実施形態においても、上記した図8に示した第3実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0028】
図10〜図12に示した第4実施形態においては、摩擦付与材112が周方向にて複数個、例えば、4個に分割されている。このため、この第4実施形態においては、当該密封装置の組付時に偏心したり外乱が入っても、また、当該密封装置の使用によって摩擦付与材112が摩耗した場合にも、摩擦付与材112がガータースプリング113により押されて的確に追従するため、摩擦付与材112とステアリングシャフト130との接触面圧が全周にわたって略均一に保たれる。
【0029】
上記した各実施形態においては、本発明による密封装置を車両用のステアリング装置においてダストシールとして実施したものであるため、車両のステアリング装置における逆入力振動問題、例えば、フラッター、ハンドル振動、ハンドルとられ等の悪化を的確に抑えることが可能であり、車両における操縦安定性の向上を図ることが可能である。
【0030】
本発明による密封装置は、ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する必要があって、回転軸に必要十分な摩擦抵抗を与える必要がある部位であれば、適宜実施可能であり、車両用のステアリング装置以外にも上記した各実施形態と同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による密封装置の第1実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1に示した密封装置の要部拡大断面図である。
【図3】図1および図2に示した摩擦付与材の形状例を示す図である。
【図4】図1および図2に示した摩擦付与材に形成されている回り止め突起とシール本体に形成した凹部を示す断面図である。
【図5】第1実施形態の第1変形実施形態を示す要部断面図である。
【図6】第1実施形態の第2変形実施形態を示す要部断面図である。
【図7】本発明による密封装置の第2実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図8】本発明による密封装置の第3実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図9】第3実施形態の変形実施形態を示す要部断面図である。
【図10】本発明による密封装置の第4実施形態を示す要部縦断側面図である。
【図11】図10に示した摩擦付与材の平面図である。
【図12】図10に示した摩擦付与材の側面図である。
【符号の説明】
10…密封装置、11…シール本体、11a…補強金属リング、11b…ゴムシールリング、11b1…リップ、12…摩擦付与材、13…ガータースプリング、20…ハウジング、21…ハウジングの取付部、30…ステアリングシャフト、A…環状隙間、R…グリース溜り。
Claims (6)
- ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置であり、前記回転軸または前記ハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有して前記ハウジングまたは前記回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ前記回転軸または前記ハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する耐摩耗性素材からなる環状の摩擦付与材を備えていることを特徴とする密封装置。
- ハウジングと回転軸との間の環状隙間を密封する密封装置であり、前記回転軸または前記ハウジングに摺動可能に接触する環状のリップを有して前記ハウジングまたは前記回転軸に一体的に組付けられる環状のシール本体と、このシール本体に一体的に組付けられ前記回転軸または前記ハウジングに摺動可能に圧接して摩擦係合力を付与する環状の摩擦付与材と、この摩擦付与材に前記回転軸または前記ハウジングへの押圧力を付与するスプリングを備えていることを特徴とする密封装置。
- 請求項2に記載の密封装置において、前記摩擦付与材の軸方向両側に前記リップをそれぞれ設けて、前記摩擦付与材と前記リップ間に環状のグリース溜りを形成したことを特徴とする密封装置。
- 請求項2または3に記載の密封装置において、前記摩擦付与材は、前記スプリング側の面積が他側の面積より大きい断面形状にて形成されていることを特徴とする密封装置。
- 請求項2〜4の何れか一つに記載の密封装置において、前記摩擦付与材は、周方向にて複数個に分割されていることを特徴とする密封装置。
- 請求項1〜5の何れか一つに記載の密封装置において、前記回転軸は、車両用のステアリングシャフトであることを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003073373A JP2004278734A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003073373A JP2004278734A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 密封装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004278734A true JP2004278734A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33289284
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003073373A Pending JP2004278734A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004278734A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111656650A (zh) * | 2018-05-15 | 2020-09-11 | 三菱重工发动机和增压器株式会社 | 旋转电机设备 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003073373A patent/JP2004278734A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111656650A (zh) * | 2018-05-15 | 2020-09-11 | 三菱重工发动机和增压器株式会社 | 旋转电机设备 |
CN111656650B (zh) * | 2018-05-15 | 2023-08-15 | 三菱重工发动机和增压器株式会社 | 旋转电机设备 |
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