JP2004278405A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パティキュレートフィルタと、当該フィルタに捕集されている微粒子の量が第1の所定量より多い場合に当該微粒子の酸化除去を開始する酸化除去手段と、フィルタに残存している微粒子量を推定する推定手段と、酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、推定手段にて推定された残存している微粒子量が前記第1の所定量以下の第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、フィルタの温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段と、を備えることを特徴とする。酸化除去処理中に吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、フィルタの温度上昇を抑制することができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に搭載される内燃機関の排気浄化技術に関し、特に排気ガス中の微粒子を捕集するパティキュレートフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関にて駆動される自動車等から大気中へ排出される煤等の微粒子(PM:ParticulateMatter)を低減する技術が望まれている。
【0003】
このような要求に対し、内燃機関の排気通路にパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という場合もある。)を配置し、内燃機関から排出される微粒子をフィルタにより捕集する技術が知られている。
【0004】
しかし、フィルタが捕集可能な微粒子量には限りがあるため、フィルタに捕集されている微粒子を該フィルタから適宜除去させる必要がある。そして、フィルタに捕集されている微粒子を除去する方法としては、微粒子が酸化可能な温度域までフィルタを昇温させつつフィルタ内を酸化雰囲気(すなわち、酸素過剰な雰囲気)とすることにより、微粒子を酸化及び除去する方法が一般的であるが、その際にフィルタの温度が過剰に高くなると該フィルタの溶損を生じさせてしまうおそれがあった。
【0005】
これに対して、フィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置において、フィルタに捕集されている微粒子を除去する時に、フィルタの温度が所定温度以上になった場合に、フィルタへ流入する排気ガス量を調節して、フィルタの溶損を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−106325号公報
【特許文献2】
特開平05−222916号公報
【特許文献3】
特開平04−19315号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フィルタ自体の温度を正確に検出することは困難である。それに、フィルタ下流の温度を検出できたとしてもその値は代表値であるに過ぎず、また、フィルタ下流における排気温度はフィルタと排気との間で授受される熱量に応じて変化するため、フィルタの温度変化に対してフィルタ下流における排気の温度変化が遅延する場合がある。
【0008】
このような場合には、フィルタ下流における排気温度が所定温度以上に達した時点で、フィルタに流入する排気ガス量を調節するのでは、フィルタの過剰昇温を防止できないおそれがある。
【0009】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタの過剰昇温に起因する溶損を防止しつつ微粒子を好適に除去することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、内燃機関の排気通路に配置され排気ガス中に含まれる微粒子を捕集するパティキュレートフィルタと、当該パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子の量が第1の所定量より多い場合に当該微粒子の酸化除去を開始する酸化除去手段と、前記パティキュレートフィルタに残存している微粒子量を推定する推定手段と、前記酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、前記推定手段にて推定された残存している微粒子量が前記第1の所定量以下の第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記パティキュレートフィルタの温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
フィルタに捕集されている微粒子は高温(例えば、500℃〜700℃)且つ酸素過剰な雰囲気において酸化されてフィルタから除去されることが知られている。
【0012】
このため、フィルタに捕集されている微粒子を該フィルタから除去する場合に、酸化除去手段は、微粒子が酸化可能な温度域(以下、「微粒子酸化温度域」と記す。)までフィルタを昇温させる昇温処理と排気の空燃比を酸素過剰な空燃比(リーン空燃比)にする空燃比処理とを含む酸化除去処理を実行することになる。
【0013】
昇温処理の実行手段としては以下を例示することができる。(1)内燃機関の圧縮行程での主燃料噴射に加えて、排気行程中又は膨張行程中に気筒内に燃料を副次的に噴射するポスト噴射又は吸気行程もしくは排気行程の上死点近傍で気筒内に燃料を噴射するビゴム噴射等の副噴射を行う。(2)フィルタの上流から排気ガス中に還元剤たる燃料を添加する。
【0014】
そして、上記したような酸化除去処理が実行された場合には、フィルタにおいて微粒子が酸化することになるため、微粒子の酸化熱によってフィルタが過剰に昇温することが考えられるが、フィルタが持つ熱の一部は排気ガス中へ放出されることになるため、フィルタへ流入する排気ガス量がある程度多ければ、フィルタが過剰に昇温するおそれはない。
【0015】
しかしながら、酸化除去処理実行中に内燃機関の吸入空気量が減少すると、それに応じてフィルタへ流入する排気ガス量も減少するため、フィルタから排気ガス中へ放出される熱量が減少することになる。
【0016】
特に、フィルタへ流入する排気ガス量が急激に減少する場合には、フィルタから排気ガス中へ放出される熱量が急激に減少する上、排気ガス量が減少したときに酸化途中の微粒子が存在すると、その微粒子の酸化熱が排気ガス中へ放出されずにフィルタ内に籠もることが想定される。更に、フィルタへ流入する排気ガス量が急激に減少した後もフィルタ内で微粒子が酸化し続ける可能性があり、その際に発生する酸化熱も排気ガス中へ放出されずにフィルタ内に籠もることが想定される。
【0017】
従って、フィルタへ流入する排気ガス量が急激に減少した場合には、フィルタ内に熱が籠もり易く、フィルタが過剰に昇温してしまうおそれがある。
【0018】
そこで、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置は、酸化除去手段が、パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子の量が第1の所定量より多い場合に当該微粒子の酸化除去を開始した後に、推定手段にて推定された残存している微粒子量が前記第1の所定量以下の第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、パティキュレートフィルタの温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段を備えるようにした。
【0019】
なお、前記第1の所定量は、例えば、微粒子がフィルタに捕集されることにより当該フィルタの目詰まりを起こし、この目詰まりが排気抵抗の増加を生じさせエンジンの出力低下を生じさせてしまう量である。また、前記第2の所定量は、例えば、微粒子の酸化除去処理の実行途中で内燃機関の吸入空気量が減少してしまう場合に、酸化除去処理に伴い発生した酸化熱がフィルタ内に籠もり、当該フィルタを過剰に昇温させてしまう量である。
【0020】
また、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立する場合としては、アクセルペダルの操作量が減少或いは零となる場合や、変速機の変速比が増速側へ変更される場合等を例示することができる。
【0021】
そして、前記温度上昇抑制手段は、前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させる排気ガス量調整手段を備えることが好適である。フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度が低下させられると、排気ガス量が急激に減少しないため、フィルタから排気ガス中へ放出される熱量が急激に減少しなくなり、フィルタ内に熱が籠もり難くなる。
【0022】
フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させる方法としては、例えば、(1)吸入空気量の減少速度を低下させることによりフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を間接的に低下させる方法と、(2)フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を直接的に低下させる方法とが考えられる。
【0023】
吸入空気量の減少速度を低下させる方法としては、吸気絞り弁の閉弁速度を低下させる方法、可変ノズル式遠心過給器のノズル開度を絞ることにより吸気の過給圧を上昇させる方法、自動変速機の変速比を減速側へ変更することにより機関回転数を高める方法、等を例示することができる。
【0024】
フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を直接的に低下させる方法としては、排気再循環機構により再循環される排気ガス量を減少させる方法、フィルタより上流の排気ガス中へ二次空気を供給する方法、等を例示することができる。
【0025】
なお、前記酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、残存している微粒子量にかかわらず、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記温度上昇抑制手段がフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させることも好適であるが、残存している微粒子量が前記第2の所定量以下である場合は、通常通りフィルタへ流入する排気ガス量を減少させても、フィルタが過剰に昇温することはない。一方、フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度が低下させられる場合は、通常よりも排気ガス量が多くなる。ゆえに、吸入空気量の減少速度を低下させることによりフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させる方法を採用する場合は、排気ガス量が多くなるのに伴い吸入空気量が多くなるということであり、それに伴い内燃機関内に供給される燃料量や、フィルタの上流から排気ガス中へ添加される燃料量も増量され、燃費が悪化するおそれもある。
【0026】
したがって、本発明のように、前記酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、前記推定手段にて推定された残存している微粒子量が第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に限って、前記温度上昇抑制手段がフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させるようにすることで、過剰な燃費悪化を防止することができる。
【0027】
また、上述のように排気ガス量調整手段を備えている内燃機関の排気浄化装置にあっては、前記酸化除去手段は、当該酸化除去手段が前記パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子を酸化除去する際に、少なくとも前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量に基づいて決定した燃料量を供給する燃料供給手段を備え、前記温度上昇抑制手段は、前記排気ガス量調整手段が前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させているときに、前記パティキュレートフィルタへ供給される前記燃料量を減量させるように前記燃料供給手段を制御する燃料供給制御手段を更に備えることが好適である。
【0028】
前述の昇温処理を実行する方法として、微粒子酸化温度域まで昇温させるため、あるいは微粒子が酸化可能な温度を維持するために、上述したような副噴射あるいはフィルタ上流への燃料添加により燃料を供給する方法が採用されている場合には、燃料供給手段が、少なくともフィルタへ流入する排気ガス量に基づいて、当該排気ガス中に存在する未燃燃料成分量の割合が、昇温処理を実行しない場合の割合よりも高くなるように決定された燃料量を供給する。そこで、温度上昇抑制手段に備えられた燃料供給制御手段が、排気ガス量調整手段が前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させているときに、前記パティキュレートフィルタへ供給される当該燃料量を減量させるように制御することで、排気ガス中に存在する未燃燃料成分量の割合が低くなり、フィルタの温度上昇が抑制され、またフィルタから排気ガス中へ放熱されるため、フィルタフィルタ内に熱が籠もり難くなる。
【0029】
但し、フィルタの温度が前述した微粒子酸化温度域から過剰に低下するような場合には、フィルタの酸化除去処理を速やかに再開することが困難となるため、そのような場合には、燃料供給制御手段は、フィルタの温度が微粒子酸化温度域から過剰に低下しない程度に燃料を減量させるように制御し、昇温処理を続行するようにしてもよい。
【0030】
排気ガス量の減少を抑制する手法としては、通常は内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した時点からフィルタへ流入する排気ガス量を減少させるのに対して、(1)運転条件が成立した時点から所定期間経過後に排気ガス量を減少させ始める、(2)内燃機関の吸気通路に設けられた吸気絞り弁を閉弁させる運転条件が成立した場合に、吸気絞り弁の閉弁速度を低下させる、等を例示することができる。かかる場合、フィルタから排気ガス中への放熱が十分に行われた後に排気ガス量が減少されることになるため、フィルタ内に熱が籠もり難くなる。
【0031】
また、内燃機関の排気通路に配置され排気ガス中に含まれる微粒子を捕集するパティキュレートフィルタと、当該パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子の量が第1の所定量より多い場合に当該微粒子の酸化除去を開始する酸化除去手段と、前記パティキュレートフィルタに残存している微粒子量を推定する推定手段と、前記酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、前記推定手段にて推定された残存している微粒子量が前記第1の所定量以下の第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記パティキュレートフィルタの温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段と、を備える内燃機関排気浄化装置において、前記推定された残存している微粒子量を酸化除去する際に発生する熱を放熱させるのに必要な最小の排気ガス量を算出する排気ガス量算出手段を更に備え、前記温度上昇抑制手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記排気ガス量算出手段にて算出された最小の排気ガス量を確保するのに必要な量まで前記吸入空気量を減量させる吸入空気量調整手段を備えることが好適である。
【0032】
前述したように、温度上昇抑制手段の排気ガス量調整手段が、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立したときに、フィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させる場合、通常よりも排気ガス量が増大させられる。そして、それに伴い吸入空気量も増大することから内燃機関内に供給される燃料量や、フィルタの上流から排気ガス中へ添加される燃料量も増量され、燃費が悪化するおそれがある。そこで、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、吸入空気量調整手段が、推定された残存している微粒子量を酸化除去する際に発生する熱を放熱させるのに必要な最小の排気ガス量を確保するのに必要な量まで、吸入空気量を減量させるようにする。このようにすることで燃費悪化を防止することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0034】
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る排気浄化装置を適用する内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0036】
図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0037】
内燃機関1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、蓄圧室(コモンレール)4と接続され、このコモンレール4は燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。
【0038】
前記内燃機関1には、吸気通路7が接続されており、この吸気通路7はエアクリーナボックス8に接続されている。前記エアクリーナボックス8より下流の吸気通路7には、該吸気通路7内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ9が取り付けられている。
【0039】
吸気通路7における前記エアフローメータ9より下流の部位には、可変容量型遠心過給器(可変容量型ターボチャージャー)10のコンプレッサハウジング10aが設けられている。
【0040】
コンプレッサハウジング10aより下流の吸気通路7には、インタークーラ11が取り付けられている。更にインタークーラ11より下流の吸気通路7には、該吸気通路7内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁12が設けられ、この吸気絞り弁12には、吸気絞り用アクチュエータ13が取り付けられている。
【0041】
前記内燃機関1には、排気通路14が接続され、この排気通路14は、下流にてマフラーと接続されている。前記排気通路14の途中には、前記可変容量型遠心過給機10のタービンハウジング10bが配置されている。前記排気通路14における前記タービンハウジング10bより下流の部位には、排気ガス中の有害ガス成分を浄化するための排気浄化装置15が配置されている。
【0042】
前記排気浄化装置15は、パティキュレートフィルタに酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒、三元触媒などが担持されたものである(以下、「フィルタ15」と記す)。
【0043】
フィルタ15より下流の排気通路14には、該排気通路14内を流通する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ16と、該排気通路14内を流通する排気の温度に対応した電気信号を出力する排気温度センサ17とが取り付けられている。
【0044】
前記吸気通路7における吸気絞り弁12より下流の部位と、前記排気通路14におけるタービンハウジング10bより上流の部位とは、排気再循環通路(EGR通路)18を介して連通されている。このEGR通路18の途中には、流量調整弁(EGR弁)19が設けられている。
【0045】
また、内燃機関1の1番気筒2の排気ポート20には、該排気ポート20内を流通する排気ガス中に燃料を添加する燃料添加弁21が取り付けられ、この燃料添加弁21は燃料通路22を介して前記燃料ポンプ6と接続されている。
【0046】
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:ElectronicControl Unit)25が併設されている。このECU25は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
【0047】
ECU25には、前述したエアフローメータ9、空燃比センサ16、排気温度センサ17に加え、内燃機関1に取り付けられたクランクポジションセンサ23及び水温センサ24や、内燃機関1を搭載した車両の室内に取り付けられたアクセルポジションセンサ26等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU25に入力されるようになっている。
【0048】
一方、ECU25には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ13、EGR弁19、燃料添加弁21等が電気配線を介して接続され、ECU25が燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ13、EGR弁19、及び燃料添加弁21を制御することが可能になっている。
【0049】
例えば、ECU25は、一定時間毎に実行すべき基本ルーチンにおいて、各種センサの出力信号の入力、機関回転数の演算、燃料噴射量の演算、燃料噴射時期の演算などを実行する。基本ルーチンにおいてECU25が入力した各種信号やECU14が演算して得られた各種制御値は、該ECU25のRAMに一時的に記憶される。
【0050】
更に、ECU25は、各種のセンサやスイッチからの信号の入力、一定時間の経過、或いはクランクポジションセンサ23からのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理において、RAMから各種制御値を読み出し、それら制御値に従って燃料噴射弁3を制御する。
【0051】
また、ECU25は、クランクポジションセンサ23に基づく割り込み処理、或は一定時間毎の割り込み処理として、定期的に以下に述べるような排気浄化制御を実行する。
【0052】
排気浄化制御では、ECU25は、フィルタ15の酸化除去処理実行条件(以下、「PM酸化除去処理実行条件」と記す。)が成立したときに、フィルタ15に捕集されている微粒子(PM:Particulate Matter)を除去すべく、PM酸化除去処理を実行する。
【0053】
PM酸化除去処理実行条件としては、フィルタ15に捕集されているPM量が、所定量(第1の所定量)以上であるという条件を例示することができる。当該第1の所定量は、PMがフィルタ15に捕集されることによりフィルタ15の目詰まりを起こし、この目詰まりが排気抵抗の増加を生じさせ、エンジンの出力低下を生じさせてしまう量である。
【0054】
また、フィルタ15に捕集されているPM量が第1の所定量以上であるか否かを判定する方法としては、フィルタ15の前後差圧(フィルタ15より上流の排気圧力とフィルタ15より下流の排気圧力との差圧)が所定圧以上であるときにフィルタ15に捕集されているPM量が第1の所定量以上であると判定する方法、或いは、前回のPM酸化除去処理実行終了時からの燃料噴射量の積算値が所定量以上であるときにフィルタ15に捕集されているPM量が第1の所定量以上であると判定する方法、等を例示することができる。
【0055】
そして、上記したような方法によりPM酸化除去処理実行条件が成立としていると判定された場合には、ECU25は、フィルタ15の温度を500℃〜700℃程度の高温域まで昇温させるための昇温処理を実行するとともに、フィルタ15へ流入する排気ガスを酸素過剰な雰囲気とするための空燃比処理を行う。
【0056】
昇温処理の実行方法としては、例えば、(1)排気ガス温度を上昇させて排気ガスの熱をフィルタ15へ伝達させる方法と、(2)フィルタ15において未燃燃料を酸化させ、その際に発生する反応熱によりフィルタ15自体を昇温させる方法とを例示することができる。
【0057】
上記した(1)の具体的な方法としては、内燃機関1における混合気の燃焼時期を遅角させる方法、内燃機関1の膨張行程時に、気筒2の燃料噴射弁3から副次的に燃料を噴射(副噴射)させて燃焼期間を長引かせる方法、等を例示することができる。
【0058】
上記した(2)の具体的な方法としては、燃料添加弁21から排気ガス中へ燃料を添加させる方法、内燃機関1の排気行程時に、気筒2の燃料噴射弁3から副噴射させる方法、等を例示することができる。
【0059】
空燃比処理は、前述した昇温処理の実行方法として、燃料噴射弁3から副噴射させる方法、又は、燃料添加弁21から排気ガス中へ燃料を添加させる方法が採用された場合に、空燃比センサ16の出力信号値がリーン空燃比に相当する値となるように、燃料噴射弁3から副噴射される燃料量又は燃料添加弁21から排気ガス中へ添加される燃料量を調整する制御である。
【0060】
そして、このようなPM酸化除去処理が実行されると、フィルタ15に捕集されているPMが酸化され、フィルタ15からPMが除去されることになる。
【0061】
ところで、上記したようなPM酸化除去処理の実行により、フィルタ15においてPMが酸化すると、PMの酸化熱によってフィルタ15が過剰に昇温することが考えられるが、フィルタ15が持つ熱の一部は排気ガス中へ放出されることになるため、フィルタ15へ流入する排気ガス量がある程度多ければ、フィルタ15が過剰に昇温するおそれはない。
【0062】
しかしながら、フィルタ15の酸化除去処理実行中に内燃機関1の吸入空気量が減少すると、それに応じてフィルタ15へ流入する排気ガス量も減少するため、フィルタ15から排気ガス中へ放出される熱量が減少することになる。
【0063】
特に、PM酸化除去処理の実行途中にアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”になった場合、言い換えれば、PM酸化除去処理の実行途中に内燃機関1が減速運転される場合には、吸気絞り弁12の開度が全閉に近い開度まで急速に小さくされるため、内燃機関1の吸入空気量が急激に減少するとともに、フィルタ15へ流入する排気ガス量も急激に減少することになる。
【0064】
そして、フィルタ15から排気ガス中へ放出される熱量が急激に減少するため、アクセル開度が“0”となった時点でフィルタ15内に酸化途中のPMが大量に存在すると、そのPMの酸化熱が排気ガス中へ放出されずにフィルタ15内に籠もることが想定される。
【0065】
更に、フィルタ15内にPMが残存している場合、フィルタ15へ流入する排気ガス量が急激に減少した後も、残存しているPMが酸化する可能性があり、その際に発生する酸化熱もフィルタ15内に籠もることが想定される。
【0066】
従って、PM酸化除去処理の実行途中に、フィルタ15内に残存しているPM量が多い場合であって、フィルタ15へ流入する排気ガス量が急激に減少した後は、フィルタ15内に熱が籠もり易く、フィルタ15が過剰に昇温してしまうおそれがある。
【0067】
そこで、本実施の形態における排気浄化制御では、ECU25は、フィルタ15内に残存しているPM量(G1)を推定し、該推定量(G1)が所定量(G2:第2の所定量)よりも多いと判定した場合であって、PM酸化除去処理の実行途中でアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”になった場合に、フィルタ15を流通する排気ガス量の減少速度を低下させるようにした。
【0068】
なお、上記第2の所定量(G2)は、PM酸化除去処理の実行途中でアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”になりフィルタ15を流通する排気ガス量が減少してしまう場合に、当該第2の所定量の酸化除去処理に伴い発生した酸化熱がフィルタ15内に籠もり、フィルタ15を過剰に昇温させてしまうPM残存量である。
【0069】
フィルタ15内に残存しているPM量を推定する方法としては、(1)PM酸化除去処理実行開始からの経過時間により推定する方法、(2)PM酸化除去処理実行開始からの経過時間内の時間毎のフィルタ15の温度とその温度で経過した時間とを乗じた値を積算して、当該経過時間内に酸化除去されたPM量を推定し、残存PM量を推定する方法、(3)フィルタ15の前後差圧及び当該前後差圧とPM残存量との関係を示すマップより推定する方法、等を例示することができる。
【0070】
また、フィルタ15を流通する排気ガス量の減少速度を低下させる方法としては、(1)吸気絞り弁12の閉弁速度を低下させることにより、内燃機関1の吸入空気量の減少速度を低下させる方法、(2)EGRガスの量を減少させることにより、直接的にフィルタ15を流通する排気ガス量の減少速度を低下させる方法、(3)可変容量型遠心過給器のノズルベーン開度を絞ることにより過給圧を高め、以て内燃機関1の吸入空気量の減少速度を低下させる方法、(4)内燃機関1に自動変速機を連結させ、その自動変速機の変速比を減速側へ変更することにより機関回転数を高め、以て内燃機関1の吸入空気量の減少速度を低下させる方法、(5)フィルタ15より上流の排気通路14に二次空気噴射弁を取り付け、その二次空気噴射弁から二次空気を噴射させる方法、等を例示することができる。尚、本実施の形態では、吸気絞り弁12の閉弁速度を低下させる方法により、フィルタ15を流通する排気ガス量の減少速度を低下させる例について述べる。
【0071】
例えば、ECU25は、通常時(PM酸化除去処理が実行されていないとき)は図2中の点線で示すようにアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”を示した時点から急速に吸気絞り弁12を閉弁させるのに対し、PM酸化除去処理実行時は図2中の実線で示すようにアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”を示した時点から徐々に吸気絞り弁12を閉弁させるようにする。
【0072】
また、ECU25は、通常時は図3中の点線で示すようにアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”を示した時点から直ちに吸気絞り弁12を閉弁させるのに対し、PM酸化除去処理実行時は図3中の実線で示すようにアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”を示した時点から一定時間:tは吸気絞り弁12を閉弁させず(アクセルポジションセンサ26の出力信号が“0”となった時点の開度を維持し)、且つ、前記一定時間:tが経過した時点から吸気絞り弁12を閉弁させるようにしてもよい。
【0073】
そして、上記した図2又は図3の説明で述べたように、PM酸化除去処理実行時における吸気絞り弁12の閉弁速度が通常時より低下させられると、アクセル開度が“0”となった時点から吸気絞り弁12が全閉近傍の開度となる時点までの所要時間(以下、「閉弁所要時間」と記す。)は、通常時に比してPM酸化除去処理実行時の方が長くなる。
【0074】
従って、PM酸化除去処理実行時の閉弁所要時間内においてフィルタ15を流通する排気ガス量は、通常時の閉弁所要時間内にフィルタ15を流通する排気ガス量より多くなる。
【0075】
この結果、PM酸化除去処理実行時の閉弁所要時間内にフィルタ15から排気ガス中へ放出される熱量は、通常時の閉弁所要時間内にフィルタ15から排気ガス中へ放出される熱量より多くなる。
【0076】
但し、閉弁所要時間内において前述した昇温処理が継続して実行されると、フィルタ15内でPMの酸化が継続され、フィルタ15の過剰な昇温を招く可能性があるため、閉弁所要時間内では昇温処理の実行を中断することが好ましい。
【0077】
[排気浄化制御の第1の実施例]
以下、本実施の形態における排気浄化制御の第1の実施例について、図4の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図に沿って説明する。
【0078】
この排気浄化制御ルーチンは、予めECU25のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、或いはクランクポジションセンサ23からのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU25が実行するルーチンである。
【0079】
排気浄化制御ルーチンでは、ECU25は、先ず、S101においてPM酸化除去処理実行条件が成立しているか否かを判定する。そして、PM酸化除去処理実行条件が不成立であると判定された場合は、ECU25は、本ルーチンの実行を終了する。また、PM酸化除去処理実行条件が成立していると判定された場合は、ECU25は、S102へ進み、PM酸化除去処理を実行開始する。具体的には、ECU25は、前述した昇温処理と空燃比処理とを実行する。
【0080】
S102においてPM酸化除去処理を実行開始した後は、S103へ進み、残存PM量(G1)を推定する。これは上述した方法により行うものである。その後S104に進み、S103で推定した残存PM量(G1)が前記第2の所定量(G2)より多いかどうかを判定する。そして、G1がG2より多いと判定された場合はS105へ進み、G1がG2以下であると判定された場合はS108へ進む。
【0081】
そして、S105においては、内燃機関1の減速運転条件が成立しているか否かを判定する。内燃機関1の減速運転条件としては、例えば、機関回転数が一定回転数より高く且つアクセルポジションセンサ26の出力信号(アクセル開度)が“0”であるという条件を例示することできる。
【0082】
前記S105において内燃機関1の減速運転条件が不成立であると判定された場合には、ECU25は、前述したS103以降の処理を再度実行する。
【0083】
前記S105において内燃機関1の減速運転条件が成立していると判定された場合には、ECU25は、S106へ進み、前述した図2又は図3の説明で述べたように吸気絞り弁12の閉弁速度を通常時より低下させるべく吸気絞り用アクチュエータ13を制御する。
【0084】
続いて、ECU25は、S107へ進み、フィルタ15の昇温処理の実行を中断して、本ルーチンの実行を終了する。ただし、かかる場合においても、定期的に本ルーチンが実行されることから、次回の実行の際に、減速運転条件が成立していなければ、後述するPM酸化除去処理実行終了条件が成立するまでPM酸化除去処理が実行されることとなる。
【0085】
S108では、ECU25は、PM酸化除去処理実行終了条件が成立しているか否かを判定する。PM酸化除去処理実行終了条件としては、例えば、PM酸化除去処理の実行時間が予め定められた所定時間以上である、或いは、上述のようにフィルタ15の前後差圧が所定圧以下である、等の条件を例示することができる。
【0086】
尚、前記した所定時間は、例えば、フィルタ15のPM捕集容量に応じて決定される時間であり、フィルタ15のPM捕集容量が多くなるほど長く設定される時間である。また、前記した所定圧は、フィルタ15がPMを捕集していないときの前後差圧に相当する圧力である。
【0087】
前記S108においてPM酸化除去処理実行終了条件が不成立であると判定された場合は、このS108の処理を、PM酸化除去処理実行終了条件成立であると判定されるまで実行し、PM酸化除去処理実行終了条件成立であると判定された後は、S109へ進み、PM酸化除去処理実行を終了して本ルーチンの実行を終了する。
【0088】
このようにECU25が排気浄化制御ルーチンを実行することにより、フィルタ15内に残存しているPM量(G1)を推定し、該推定量(G1)が第2の所定量(G2)よりも多いと判定した場合であって、フィルタ15のPM酸化除去処理実行途中で内燃機関1の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合には、吸気絞り弁12の閉弁所要時間が通常時より長くなるとともに、閉弁所要時間内にフィルタ15の昇温処理が実行されなくなる。
【0089】
吸気絞り弁12の閉弁所要時間が通常時より長くなると、フィルタ15へ流入する排気ガス量の減少速度が低くなるため、内燃機関1の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した時点でフィルタ15内に酸化途中のPMが存在しても、そのPMの酸化熱が排気ガス中へ放出されるようになる。
【0090】
更に、吸気絞り弁12の閉弁所要時間が通常時より長くなる上に、前記閉弁所要時間内にフィルタ15の昇温処理が実行されなくなると、前記閉弁所要時間内にフィルタ15の温度が低下するため、内燃機関1の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した後にフィルタ15内でPMの酸化が継続されなくなる。
【0091】
従って、本実施の形態における排気浄化制御によれば、フィルタ15のPM酸化除去処理実行途中で内燃機関1の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合でも、フィルタ15の過剰な昇温を防止することが可能となる。
【0092】
なお、残存しているPM量にかかわらず、酸化除去処理の実行途中に、内燃機関1の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合には、吸気絞り弁12の閉弁所要時間を通常より長くすることは好適であるが、残存しているPM量が前記第2の所定量以下である場合は、通常通りフィルタ15へ流入する排気ガス量を減少させても、フィルタ15が過剰に昇温することはない。一方、吸気絞り弁12の閉弁所要時間が通常より長くすることは、吸入空気量が多くなるということであり、それに伴い内燃機関1内に供給される燃料量も増量され、燃費が悪化するおそれもある。
【0093】
したがって、本実施の形態のように、酸化除去処理の実行を開始した後、残存しているPM量が第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に限って、フィルタ15へ流入する排気ガス量の減少速度を低下させるようにすることで、過剰な燃費悪化を防止することができる。
【0094】
また、本実施例における排気浄化制御では、閉弁所要時間内において昇温処理の実行が中断される例について述べたが、フィルタ15の過剰な温度低下を防止する程度に昇温処理を実行するようにしてもよい。
【0095】
上述したように、昇温処理においては、フィルタ15の温度を500℃〜700℃に昇温させるため、あるいは当該温度に維持するため、燃料噴射弁3からの副噴射あるいは燃料添加弁21からの燃料添加を行うが、排気ガス量が多い場合、フィルタ15へ流入する未燃燃料成分の割合を高めるためには多目の燃料が必要となる。そのため、通常の昇温処理においては、フィルタ15へ流入する未燃燃料成分の割合が昇温処理を実行しない場合よりも高くなるように、少なくとも排気ガス量に基づいて副噴射量あるいは燃料添加量を制御する必要がある。
【0096】
したがって、燃料噴射弁3からの副噴射量あるいは燃料添加弁21からの燃料添加量を通常の昇温処理におけるそれらの量よりも減量させると、フィルタ15へ流入する排気ガス量に対して未燃燃料成分の割合が通常の昇温処理を実行する場合よりも低くなるため、フィルタ15の温度も通常の昇温処理を実行する場合よりも低くなる。一方、副噴射あるいは燃料添加を行う限り昇温処理を実行しない場合よりもその割合が高いために、フィルタ15の温度も昇温処理を実行しない場合よりも高くなる。
【0097】
そこで、閉弁所要時間内において昇温処理の実行を中断するのではなくて、副噴射量あるいは燃料添加量を通常の場合よりも減量するように制御して、昇温処理を実行すると、フィルタ15の過剰な昇温を防止すると同時に過剰な温度低下を防止することができる。そして、この場合、内燃機関1が減速運転状態から通常の運転状態へ復帰した際に、直ちにPM酸化除去処理を再開することが可能となる。
【0098】
かかる場合のフローチャートとしては、図4のフローチャート図において、S107の「昇温処理実行中断」の代わりに「副噴射量あるいは燃料添加量を減量させて昇温処理実行」とし、その後同図S108のようにPM酸化除去処理終了条件が成立しているか否かを判定する。そして、当該条件が成立していると判定された場合、同図S109と同様にPM酸化除去処理の実行を終了し、一方当該条件が成立していると判定されなければ再度S103以降の処理を実行するようにする。その他は同一なので説明は省略する。
【0099】
[排気浄化制御の第2の実施例]
次に、本実施の形態における排気浄化制御の第2の実施例について、図5の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図に沿って説明する。
【0100】
この排気浄化制御ルーチンも、予めECU25のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、或いはクランクポジションセンサ23からのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU25が実行するルーチンである。
【0101】
第1の実施例の排気浄化制御ルーチンにおいては、上述したようにS103で、実際にECU25がフィルタ15内の残存PM量(G1)を推定し、S104で、G1が第2の所定量(G2)より多いか否かを判定していたが、本実施例においては、予め、PM酸化除去処理を実行開始した後に残存PM量が第2の所定量(G2)になるであろう経過時間(t1)を定めておき、PM酸化除去処理実行開始後t1が経過したら残存PM量が第2の所定量(G2)であると推定するものである。したがって、本実施例の排気浄化制御ルーチンにおいては、第1の制御ルーチンのS103及びS104の代わりに、S203においてPM酸化除去処理実行開始からt1が経過したか否かを判定する。そして、S203において開始後t1経過していない、つまり残存PM量が第2の所定量(G2)より多いと判定された場合は、S204へ進み、第1の実施例と同様に減速運転条件が成立しているかどうかを判定する。また、S203において開始後t1経過している、つまり残存PM量が第2の所定量(G2)以下であると判定された場合は、S207へ進み、第1の実施例と同様にPM酸化除去処理終了条件が成立しているかどうかを判定する。
【0102】
その他の各ステップにおける処理は第1の実施例で説明したものと同様であるので、その説明は省略する。
【0103】
このように、本実施例では、単にPM酸化除去処理実行開始後の経過時間を判定するだけなので、ECU25にあまり負荷をかけることなく第1の実施例と同様に、フィルタ15の過昇温を防止することができる。
【0104】
[排気浄化制御の第3の実施例]
以下、本実施の形態における排気浄化制御の第3の実施例について、図6の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図に沿って説明する。
【0105】
この排気浄化制御ルーチンも、予めECU25のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、或いはクランクポジションセンサ23からのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU25が実行するルーチンである。
【0106】
本制御ルーチンのS301からS305までは、第1の実施例の制御ルーチンのS101からS105までと同一であるのでその説明は省略する。
【0107】
本実施例においては、S305において減速運転条件が成立していると判定された場合、S306において、ECU25が、残存PM量がG1である場合に、酸化除去処理に伴い発生した酸化熱をフィルタ15内に籠もらせてフィルタ15を過剰に昇温させないで放熱させるのに必要な最小の排気ガス量(Q1)を算出する。これは、ROMに記憶された残存PM量と必要排気ガス量との関係を示す数値マップにG1を代入することにより算出するものである。
【0108】
そして、S307へ進み、本ステップにおいて、最小の排気ガス量(Q1)を確保すべく吸入空気量がQ1となるように、ECU25が吸気絞り弁12の開度を制御する。その後、S308へ進み、PM酸化除去処理終了条件が成立したかどうかが判定される。これは、第1の実施例の制御ルーチンのS108と同じ処理であり、その説明は省略する。上述したように本実施例においては、第1の実施例とは異なり、S305において減速運転条件が成立していると判定された場合においてもPM酸化除去処理を継続することから、その間に終了条件が成立する可能性がある。したがって、S308にて、終了条件が成立しているかどうかを判定し、成立していると判定された場合はS309へ進み、PM酸化除去処理の実行を終了する。一方、成立していないと判定された場合は、S303以降の処理を再度実行する。
【0109】
また、S304にて、G1がG2以下であると判定された場合は、S310以降の処理を実行するが、これについては、第1の実施例の制御ルーチンのS108以降の処理と同じであるのでその説明は省略する。
【0110】
第1及び第2の実施例においては、減速運転条件が成立している場合、昇温処理実行を中断することから、PM酸化除去処理終了条件が成立する前にフィルタ15の温度がPM酸化除去処理実行中の高温から温度が低下してしまうおそれがある。そして、もし温度が低下してしまった場合、再度PM酸化除去処理を実行するためには、フィルタ15の温度を再度高温にしなければならず、燃費が悪化するおそれがある。
【0111】
しかし、本実施例においては、減速運転条件が成立している場合においても、残留PM量に応じた最小の吸入空気量でPM酸化除去処理が継続されることから、フィルタ15の温度を低下させることなく、PM酸化除去終了条件が成立するまでPM酸化除去処理を実行させることができる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、パティキュレートフィルタの過剰昇温に起因する溶損を防止しつつ微粒子を好適に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る排気浄化装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】吸気絞り弁の開度と時間との関係を示す図(1)である。
【図3】吸気絞り弁の開度と時間との関係を示す図(2)である。
【図4】第1の実施例の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図5】第2の実施例の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図6】第3の実施例の排気浄化制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
10 可変容量型遠心過給器
12 吸気絞り弁
13 吸気絞り用アクチュエータ
15 排気浄化装置(パティキュレートフィルタ)
18 EGR通路
19 EGR弁
21 燃料添加弁
25 ECU
Claims (9)
- 内燃機関の排気通路に配置され排気ガス中に含まれる微粒子を捕集するパティキュレートフィルタと、
当該パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子の量が第1の所定量より多い場合に当該微粒子の酸化除去を開始する酸化除去手段と、
前記パティキュレートフィルタに残存している微粒子量を推定する推定手段と、
前記酸化除去手段が微粒子の酸化除去を開始した後、前記推定手段にて推定された残存している微粒子量が前記第1の所定量以下の第2の所定量より多い場合であって、内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記パティキュレートフィルタの温度上昇を抑制する温度上昇抑制手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記温度上昇抑制手段は、前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させる排気ガス量調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記酸化除去手段は、当該酸化除去手段が前記パティキュレートフィルタに捕集されている微粒子を酸化除去する際に、少なくとも前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量に基づいて決定した燃料量を供給する燃料供給手段を備え、
前記温度上昇抑制手段は、前記排気ガス量調整手段が前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少速度を低下させているときに、前記パティキュレートフィルタへ供給される前記燃料量を減量させるように前記燃料供給手段を制御する燃料供給制御手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気ガス量調整手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した時点から所定期間は、前記パティキュレートフィルタへ流入する排気ガス量の減少を抑制することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気ガス量調整手段は、前記内燃機関の吸気通路に設けられた吸気絞り弁を閉弁させる運転条件が成立した場合に、前記吸気絞り弁の閉弁速度を低下させることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気ガス量調整手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記内燃機関の吸気を圧縮する可変ノズル式遠心過給器のノズル開度を絞ることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記内燃機関から排出された排気ガスの一部を該内燃機関へ再循環させる排気再循環機構を更に備え、
前記排気ガス量調整手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記内燃機関へ再循環される排気ガス量を減少させるべく前記排気再循環機構を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気ガス量調整手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記内燃機関に連結された自動変速機の変速比を減速側へ変更すべく当該自動変速機を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記推定された残存している微粒子量を酸化除去する際に発生する熱を放熱させるのに必要な最小の排気ガス量を算出する排気ガス量算出手段を更に備え、
前記温度上昇抑制手段は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させる運転条件が成立した場合に、前記排気ガス量算出手段にて算出された最小の排気ガス量を確保するのに必要な量まで前記吸入空気量を減量させる吸入空気量調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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