JP2004277870A - 水電解装置の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体高分子電解質膜に不純物イオンの付着・蓄積が進行しないようにして、電解性能が安定して良好に維持され、かつ高価な耐熱性イオン交換樹脂や酸による再生処理設備等の特別な装置を使用せずに長期継続運転が可能な水電解装置の運転方法を提供する。
【解決手段】予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとし、もしくは、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続する。
【選択図】 なし
【解決手段】予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとし、もしくは、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体高分子電解質膜を用いた水電解装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質膜を隔膜として陽極側と陰極側とに分離し、陽極側に純水、又はイオンを含む水を供給しながら電気分解して、陽極側から酸素ガスを、陰極側から水素ガスをそれぞれ発生するように構成した水電解装置の開発が、近年進められ、そのシステム構成,スタックの構造,運転方法等々に関して、種々の提案が行なわれている(例えば、特許文献1〜5など参照)。
【0003】
特許文献1には、模式的なシステム構成が記載されており、また、特許文献2には、供給水入口にイオン交換樹脂槽を設けることにより、電解される水に含まれる不純物イオンが、固体高分子電解質膜に付着蓄積して電解性能が低下するのを防止するシステム構成が記載されている。さらに特許文献3には、前記イオン交換樹脂槽として、陽イオン交換樹脂槽を用いることが記載されている。
【0004】
図3は、前記先行技術を参照して模式的に記載した従来の固体高分子電解質膜を用いた水電解装置のシステム系統図を示す。図3において、水電解槽1は固体高分子電解質膜4により陰極室3と陽極室2とに内部が区画されている。前記陰極室3と陽極室2は、それぞれ、図示しない触媒電極と多孔質給電体とを備える。
【0005】
ポンプ5によって入口ライン57を通して水電解槽1に流入する純水は、電気分解され、これにより水素は陰極室3に発生する。一方酸素は陽極室2に発生する。水素イオンが陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動する。なお、水電解槽1に導入する純水は、陽極室2ではなしに、陰極室3に導入するタイプの水電解槽もある。
【0006】
陰極室3からの水素/水二相流は、出口ライン9を通って陰極側気液分離器11に入り、気体の水素と水とに分けられる。陰極側気液分離器11において分離された水は、陰極水戻りライン13aを通ってポンプ5の吸込み側へ至り、ポンプ5により再び入口ライン57を通して水電解槽1に供給される。通常、ライン13a上には、仕切り弁を設けるが、図示を省略している。
【0007】
一方、分離された水素(気体)は、出口ライン15a、圧力制御弁17を順次通過して水素ライン19に流出し、適宜な回収装置に向かう。尚、出口ライン15aには、圧力逃し弁21が設けられ、過大な圧力上昇を防止している。
【0008】
他方、陽極室2からの酸素/水二相流は出口ライン23を通って陽極側気液分離器10に入り、気体の酸素と水とに分けられる。陽極側気液分離器10において分離された水は、戻りライン27を通ってポンプ5の吸込み側へ至り、ポンプ5により再び入口ライン57を通して水電解槽1に供給される。
【0009】
一方、分離された酸素(気体)は、出口ライン29、圧力制御弁34を順次通過して酸素ライン33に流出し、適宜な回収装置に向かう。尚、出口ライン29にも、圧力逃し弁35が設けられ、過大な圧力上昇を防止している。更に、出口ライン15a,29間の差圧を測定する差圧変換器37が設けられ、その差圧信号を用いて圧力制御弁34を操作し、水電解槽1内の陰極室3と陽極室2とを微少差圧に保持している。
【0010】
図3において、9は純水供給装置、7は純水供給ポンプ、50はイオン交換樹脂槽(または陽イオン交換樹脂槽)を示す。このイオン交換樹脂槽50を設ける意義について、以下に述べる。
【0011】
図3の構成において、純水供給装置9から純水供給ポンプ7を用いて陽極側気液分離器10内に供給された純水は、電解により分解され酸素と水素に変化する。この過程で水の中に含まれる微量の不純物は陽極室2内に残留するが、陽極室2内の水は陽極室2から引きぬかれ、ライン23および陽極側気液分離器10を経由して、イオン交換樹脂槽50の中を通り再び陽極室2に返送される。これにより、電解により消費された分の水からの不純物イオンは、イオン交換樹脂槽50により除去される。即ち、イオン交換樹脂槽50を設けることにより、陽極室2内に供給される電解用の水の中の不純物イオンの濃度が高くなるのが防止される。前記不純物イオンは、陽イオンが主であるため、50は、陽イオン交換樹脂槽の方が好ましい。
【0012】
前記不純物イオンの濃度が高くなると、電解電圧が上昇し、電解性能が低下するが、前述のように、純水の循環流路にあるイオン交換樹脂槽50に電解槽内の水を通し電解槽に返送することにより不純物イオンが除去され、固体高分子電解質膜に不純物イオンが蓄積して電解性能が低下するのを防止することができる。
【0013】
なお、前述のように、水素イオンが陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動するが、この水内に不純物イオンがあっても、固体高分子電解質膜に付着して除去される。従って、陰極側気液分離器11に貯液される水には、不純物イオンが含まれることはなく、そのため、図3に示すように、陰極側気液分離器11の水は、イオン交換樹脂糟50を経ずに、直接、陽極室2に還流することができる。
【0014】
上記のように、固体高分子電解質膜に陽イオンが蓄積し電解性能が低下するのを防止するために、図3の従来装置によれば、陽極室の直前に陽イオン交換樹脂を取付け供給水の中に含まれる陽イオンを除去するようにしているが、この陽イオン交換樹脂を用いる以外の方法として、陽イオンが固体高分子電解質膜に付着し電解性能が低下した場合に、水電解槽内部を酸により洗浄することによって、金属イオンを系外に排出し、性能の回復を図る方法が提案されている。
【0015】
特許文献4には、イオン交換膜を再生するための酸を供給する再生用薬品供給手段を備えた電解水製造装置を開示し、酸としては、塩酸,硝酸,硫酸等を用いることができることを記載している。また、特許文献5は、電解型オゾン水製造装置及びその再生方法に関する発明を開示するが、特許文献4と同様に、酸性溶液を電解槽に供給することにより、固体高分子電解質膜の再生処理を行なう方法を開示している。
【0016】
【特許文献1】
特開2000−54175号公報(第2−3頁、図2)
【特許文献2】
実開平2−51263号の全文明細書(第16−23頁、第1図)
【特許文献3】
実開平3−74670号の全文明細書
【特許文献4】
特開平10−235358号公報(第6−7頁、図1)
【特許文献5】
特開平10−130876号公報(第3−5頁、図1,2)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図3に示す従来の水電解装置の構成においては、下記のような問題がある。即ち、従来の水電解装置において用いるイオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂は、水電解装置の運転温度が、通常約80℃であるため、耐熱仕様の交換樹脂を使用する必要があり、高価である。また、一定時間継続使用すると、不純物イオンの除去性能が低下するので、水電解装置から取り外し、酸で洗浄した後、純水で洗浄する再生処理が必要となり、連続した水電解運転ができない問題がある。この再生処理の問題は、イオン交換樹脂を2台準備して交代して用いることでカバーできるが、前記耐熱仕様の交換樹脂を使用する場合、より一層コスト高となる。
【0018】
また、特許文献4ないし5に記載された、酸性溶液により固体高分子電解質膜の再生処理を行なう方法においては、再生処理を行なうための関連設備が必要であり、さらに洗浄に用いる酸により電解槽や関連装置が腐食しないように、高価な材料で装置を構成する必要があり、設備およびメンテナンスを含む運転コストが高くなる問題があった。
【0019】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、固体高分子電解質膜に不純物イオンの付着・蓄積が進行しないようにして、電解性能が安定して良好に維持され、かつ高価な耐熱性イオン交換樹脂や酸による再生処理設備等の特別な装置を使用せずに長期継続運転が可能な水電解装置の運転方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明は、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとする(請求項1の発明)。
【0021】
前記請求項1の発明の作用効果について、以下に述べる。前述のように、水素イオン(プロトン)が陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動する。Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン等の陽イオンも陰極室へ移動するが、陽イオンはプロトンよりも移動しにくいため、陽イオンが付着した場合には電解電圧が高くなり、電解性能が低下する。
【0022】
そこで、定格以上の電流、例えば2倍以上の電流で電解した場合には、2倍以上のプロトンまたは陽イオンと多量の水が、固体高分子電解質膜を強制的に移動して、陽イオンは固体高分子電解質膜から排除される。この操作の後に、定格電流で電解を行った場合、プロトン移動の抵抗となっていた陽イオンが排除されているため、電解電圧が低下し電解性能が回復する。
【0023】
前記請求項1の発明の実施態様として、下記請求項2または3の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、電解電圧とする(請求項2の発明)。電解電圧は、水電解性能の指標として直接的で、かつ計測が簡便であり、最もリーズナブルな方法である。
【0024】
また、水電解性能の指標として、間接的な計測値を用いることもできる。この観点から、請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、陽極室からのブローダウン水または陽極側気液分離器からのブローダウン水の陽イオン濃度もしくは比抵抗、あるいは、予め前記陽イオン濃度との相関によって求めたpH値とすることもできる(請求項3の発明)。なお、上記水電解性能の指標としての計測値については、本件発明と同一出願人または関連会社名義により出願された特願2001−281127号,特願2001−324685号および特願2002−75371号等参照。
【0025】
さらに、前記定格電流と定格電流以上との交互運転モードは、下記請求項4の発明のようにすることもできる。即ち、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続する。
【0026】
また、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の運転方法において、前記定格電流以上の所定の電流は、定格電流の少なくとも1.5倍とする(請求項5の発明)。少なくとも1.5倍、好ましくは2倍以上とするのが望ましい。水電解装置の再生処理の観点からは、電流倍率は高い程好ましいが、電解槽や供給直流ケーブルにおける熱の発生の増大,電圧上昇による効率低下,圧力増加により陽極と陰極との差圧増大等が生ずるので、例えば5倍程度以下とする等、水電解装置の仕様に応じて、適当な電流倍率を選定することが望ましい。
【0027】
さらに、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の運転方法において、定格電流から前記定格電流以上の所定の電流に切り替える際には、陽極室から、または陽極側気液分離器から、水をブローダウンする(請求項6の発明)、もしくは、上記請求項6に記載の運転方法において、前記所定の電流に切り替える際の水のブローダウンに代えて、陽極側気液分離器内の水をイオン交換樹脂により純化した後に、陽極室に還流する(請求項7の発明)が好ましい。
【0028】
上記発明のように、定格以上の電流で電解を行う際に、電解槽にイオン交換樹脂などの純水製造装置で作られた純度の高い水を供給することにより、電解中の陽イオンの付着を防ぐことができる。即ち、電解槽から排出された水には固体高分子電解質膜から除去された陽イオンが含まれているため、系外に排出(ブローダウン)するか、またはイオン交換樹脂により陽イオンを除去した後に系内に戻すことにより、陽イオンの再付着を防ぐことができる。なお、イオン交換樹脂を用いる場合は、高価な耐熱仕様を避けるため、一旦、水をイオン交換樹脂に導入する前に冷却することが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1および図2に基づき、この発明の実施例について以下に述べる。なお、図1に示す水電解装置おいて、図3に示す部材と同一機能を有する部材には、同一番号を付して詳細説明を省略する。また、図1においては、図3における水素ガスおよび酸素ガスの系統等は一部変更または省略して示す。
【0030】
まず、図1の水電解装置の実施例について述べる。図1の水電解装置の系統において示された部材で、図3と異なる部材は、陰極側循環ポンプ6、返送ポンプ8、陽極側ガス冷却器12、陰極側ガス冷却器13、酸素タンク14、水素タンク15、陽極側水位計25、陰極側水位計26、排水弁30、制御装置31等である。
【0031】
上記構成において、陽極室2に陽極側気液分離器10から循環ポンプ5によって純水を導入し、図示しない直流電源により電気を供給することにより、水が電気分解され酸素が発生する。一方、陰極室3に陰極側気液分離器11から循環ポンプ6によって純水を導入し、水が電気分解され水素が発生する。陽極室2で発生した酸素と純水の混合物は、陽極側気液分離器10に戻り純水と酸素とに分離する。酸素ガスは陽極側ガス冷却器12を通り水分が除去され、酸素タンク14に流入する。陰極室3で発生した水素と純水の混合物は、陰極側気液分離器11に戻り純水と水素とに分離する。水素ガスは陰極側ガス冷却器13を通り水分が除去され、水素タンク15に流入する。
【0032】
水電解によって水が消費され、かつ陽極室2から陰極室3へ電気浸透現象で移動することにより、陽極側と陰極側の気液分離器の水位は変動する。水位を一定に保つため、陽極側水位計25と陰極側水位計26によって純水供給装置9から純水を補給し、陽極側気液分離器11から返送ポンプ8で陰極側気液分離器10に純水を返送、または排水弁30を経て純水を排出する。
【0033】
定格以上の電流で電解を行った場合、陽イオン交換膜としての固体高分子電解質膜4に付着した陽イオンは、陰極室3に強制的に排出される。水は陽極室2から陽イオン交換膜4を通り陰極室3に、定格の電解時よりも多量に移動していく。陰極室3に排出された陽イオンは、排水弁30を経て純水とともに排出される。
【0034】
図1における制御装置31は、例えば、図示しない電解電圧計測装置の計測信号を入力し、所定の電解電流制御、前記排水弁30の開閉制御、純水供給ポンプ7および陽極側循環ポンプ5の制御等を行う。電解電流制御は、例えば、電解電圧が定格電圧の105%に上昇した際に、電解電流を定格電流の2倍として運転し、その後、電解性能の回復により、電解電圧が、定格電圧の102%に低下した際に、電解電流を再度定格電流に戻して継続運転する。なお、上記制御を目的とした電解電圧の計測は、一旦定格電流に戻して計測する。電解電流を変えると電解電圧も変化し、電解性能の変化を直接検出できないからである。
【0035】
次に、図2について説明する。図2は、本発明の効果を確認するために行なった電解電圧の変化の実験結果の一例を示す図で、定格電流1A/cm2の電解槽を、この発明を適用して、定格以上の電流3A/cm2で電解した場合の電解電圧の変化を示す。図2によれば、定格電流1A/cm2の電解電圧▲1▼(1.7158V)は、定格以上の電流(3A/cm2)で4時間電解▲2▼を行った後に、定格電流1A/cm2に戻して、その電解電圧を計測した結果、図示▲3▼(1.6544V)となり、電解電圧は1セル当たり約60mV低下し、電解性能の回復が可能であることが確認された。
【0036】
【発明の効果】
前述のように、この発明によれば、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとし、もしくは、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続することとしたので、
固体高分子電解質膜に不純物イオンの付着・蓄積が進行しないようにして、電解性能が安定して良好に維持され、かつ高価な耐熱性イオン交換樹脂や酸による再生処理設備等の特別な装置を使用せずに長期継続運転が可能な水電解装置の運転方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の運転方法に関わる水電解装置の実施例の系統図
【図2】この発明の効果を確認するために行なった電解電圧の変化の実験結果の一例を示す図
【図3】従来の水電解装置の構成の一例を示す系統図
【符号の説明】
1:水電解槽、2:陽極室、3:陰極室、4:固体高分子電解質膜、5:陽極側循環ポンプ、6:陰極側循環ポンプ、7:純水供給ポンプ、8:返送ポンプ、9:純水供給装置、10:陽極側気液分離器、11:陰極側気液分離器、12:陽極側ガス冷却器、13:陰極側ガス冷却器、14:酸素タンク、15:水素タンク、25:陽極側水位計、26:陰極側水位計、30:排水弁、31:制御装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、固体高分子電解質膜を用いた水電解装置の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質膜を隔膜として陽極側と陰極側とに分離し、陽極側に純水、又はイオンを含む水を供給しながら電気分解して、陽極側から酸素ガスを、陰極側から水素ガスをそれぞれ発生するように構成した水電解装置の開発が、近年進められ、そのシステム構成,スタックの構造,運転方法等々に関して、種々の提案が行なわれている(例えば、特許文献1〜5など参照)。
【0003】
特許文献1には、模式的なシステム構成が記載されており、また、特許文献2には、供給水入口にイオン交換樹脂槽を設けることにより、電解される水に含まれる不純物イオンが、固体高分子電解質膜に付着蓄積して電解性能が低下するのを防止するシステム構成が記載されている。さらに特許文献3には、前記イオン交換樹脂槽として、陽イオン交換樹脂槽を用いることが記載されている。
【0004】
図3は、前記先行技術を参照して模式的に記載した従来の固体高分子電解質膜を用いた水電解装置のシステム系統図を示す。図3において、水電解槽1は固体高分子電解質膜4により陰極室3と陽極室2とに内部が区画されている。前記陰極室3と陽極室2は、それぞれ、図示しない触媒電極と多孔質給電体とを備える。
【0005】
ポンプ5によって入口ライン57を通して水電解槽1に流入する純水は、電気分解され、これにより水素は陰極室3に発生する。一方酸素は陽極室2に発生する。水素イオンが陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動する。なお、水電解槽1に導入する純水は、陽極室2ではなしに、陰極室3に導入するタイプの水電解槽もある。
【0006】
陰極室3からの水素/水二相流は、出口ライン9を通って陰極側気液分離器11に入り、気体の水素と水とに分けられる。陰極側気液分離器11において分離された水は、陰極水戻りライン13aを通ってポンプ5の吸込み側へ至り、ポンプ5により再び入口ライン57を通して水電解槽1に供給される。通常、ライン13a上には、仕切り弁を設けるが、図示を省略している。
【0007】
一方、分離された水素(気体)は、出口ライン15a、圧力制御弁17を順次通過して水素ライン19に流出し、適宜な回収装置に向かう。尚、出口ライン15aには、圧力逃し弁21が設けられ、過大な圧力上昇を防止している。
【0008】
他方、陽極室2からの酸素/水二相流は出口ライン23を通って陽極側気液分離器10に入り、気体の酸素と水とに分けられる。陽極側気液分離器10において分離された水は、戻りライン27を通ってポンプ5の吸込み側へ至り、ポンプ5により再び入口ライン57を通して水電解槽1に供給される。
【0009】
一方、分離された酸素(気体)は、出口ライン29、圧力制御弁34を順次通過して酸素ライン33に流出し、適宜な回収装置に向かう。尚、出口ライン29にも、圧力逃し弁35が設けられ、過大な圧力上昇を防止している。更に、出口ライン15a,29間の差圧を測定する差圧変換器37が設けられ、その差圧信号を用いて圧力制御弁34を操作し、水電解槽1内の陰極室3と陽極室2とを微少差圧に保持している。
【0010】
図3において、9は純水供給装置、7は純水供給ポンプ、50はイオン交換樹脂槽(または陽イオン交換樹脂槽)を示す。このイオン交換樹脂槽50を設ける意義について、以下に述べる。
【0011】
図3の構成において、純水供給装置9から純水供給ポンプ7を用いて陽極側気液分離器10内に供給された純水は、電解により分解され酸素と水素に変化する。この過程で水の中に含まれる微量の不純物は陽極室2内に残留するが、陽極室2内の水は陽極室2から引きぬかれ、ライン23および陽極側気液分離器10を経由して、イオン交換樹脂槽50の中を通り再び陽極室2に返送される。これにより、電解により消費された分の水からの不純物イオンは、イオン交換樹脂槽50により除去される。即ち、イオン交換樹脂槽50を設けることにより、陽極室2内に供給される電解用の水の中の不純物イオンの濃度が高くなるのが防止される。前記不純物イオンは、陽イオンが主であるため、50は、陽イオン交換樹脂槽の方が好ましい。
【0012】
前記不純物イオンの濃度が高くなると、電解電圧が上昇し、電解性能が低下するが、前述のように、純水の循環流路にあるイオン交換樹脂槽50に電解槽内の水を通し電解槽に返送することにより不純物イオンが除去され、固体高分子電解質膜に不純物イオンが蓄積して電解性能が低下するのを防止することができる。
【0013】
なお、前述のように、水素イオンが陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動するが、この水内に不純物イオンがあっても、固体高分子電解質膜に付着して除去される。従って、陰極側気液分離器11に貯液される水には、不純物イオンが含まれることはなく、そのため、図3に示すように、陰極側気液分離器11の水は、イオン交換樹脂糟50を経ずに、直接、陽極室2に還流することができる。
【0014】
上記のように、固体高分子電解質膜に陽イオンが蓄積し電解性能が低下するのを防止するために、図3の従来装置によれば、陽極室の直前に陽イオン交換樹脂を取付け供給水の中に含まれる陽イオンを除去するようにしているが、この陽イオン交換樹脂を用いる以外の方法として、陽イオンが固体高分子電解質膜に付着し電解性能が低下した場合に、水電解槽内部を酸により洗浄することによって、金属イオンを系外に排出し、性能の回復を図る方法が提案されている。
【0015】
特許文献4には、イオン交換膜を再生するための酸を供給する再生用薬品供給手段を備えた電解水製造装置を開示し、酸としては、塩酸,硝酸,硫酸等を用いることができることを記載している。また、特許文献5は、電解型オゾン水製造装置及びその再生方法に関する発明を開示するが、特許文献4と同様に、酸性溶液を電解槽に供給することにより、固体高分子電解質膜の再生処理を行なう方法を開示している。
【0016】
【特許文献1】
特開2000−54175号公報(第2−3頁、図2)
【特許文献2】
実開平2−51263号の全文明細書(第16−23頁、第1図)
【特許文献3】
実開平3−74670号の全文明細書
【特許文献4】
特開平10−235358号公報(第6−7頁、図1)
【特許文献5】
特開平10−130876号公報(第3−5頁、図1,2)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図3に示す従来の水電解装置の構成においては、下記のような問題がある。即ち、従来の水電解装置において用いるイオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂は、水電解装置の運転温度が、通常約80℃であるため、耐熱仕様の交換樹脂を使用する必要があり、高価である。また、一定時間継続使用すると、不純物イオンの除去性能が低下するので、水電解装置から取り外し、酸で洗浄した後、純水で洗浄する再生処理が必要となり、連続した水電解運転ができない問題がある。この再生処理の問題は、イオン交換樹脂を2台準備して交代して用いることでカバーできるが、前記耐熱仕様の交換樹脂を使用する場合、より一層コスト高となる。
【0018】
また、特許文献4ないし5に記載された、酸性溶液により固体高分子電解質膜の再生処理を行なう方法においては、再生処理を行なうための関連設備が必要であり、さらに洗浄に用いる酸により電解槽や関連装置が腐食しないように、高価な材料で装置を構成する必要があり、設備およびメンテナンスを含む運転コストが高くなる問題があった。
【0019】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、固体高分子電解質膜に不純物イオンの付着・蓄積が進行しないようにして、電解性能が安定して良好に維持され、かつ高価な耐熱性イオン交換樹脂や酸による再生処理設備等の特別な装置を使用せずに長期継続運転が可能な水電解装置の運転方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明は、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとする(請求項1の発明)。
【0021】
前記請求項1の発明の作用効果について、以下に述べる。前述のように、水素イオン(プロトン)が陽極室2から陰極室3へ移動する際に、電気浸透現象により、水も同時に陰極室3へ移動する。Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン等の陽イオンも陰極室へ移動するが、陽イオンはプロトンよりも移動しにくいため、陽イオンが付着した場合には電解電圧が高くなり、電解性能が低下する。
【0022】
そこで、定格以上の電流、例えば2倍以上の電流で電解した場合には、2倍以上のプロトンまたは陽イオンと多量の水が、固体高分子電解質膜を強制的に移動して、陽イオンは固体高分子電解質膜から排除される。この操作の後に、定格電流で電解を行った場合、プロトン移動の抵抗となっていた陽イオンが排除されているため、電解電圧が低下し電解性能が回復する。
【0023】
前記請求項1の発明の実施態様として、下記請求項2または3の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、電解電圧とする(請求項2の発明)。電解電圧は、水電解性能の指標として直接的で、かつ計測が簡便であり、最もリーズナブルな方法である。
【0024】
また、水電解性能の指標として、間接的な計測値を用いることもできる。この観点から、請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、陽極室からのブローダウン水または陽極側気液分離器からのブローダウン水の陽イオン濃度もしくは比抵抗、あるいは、予め前記陽イオン濃度との相関によって求めたpH値とすることもできる(請求項3の発明)。なお、上記水電解性能の指標としての計測値については、本件発明と同一出願人または関連会社名義により出願された特願2001−281127号,特願2001−324685号および特願2002−75371号等参照。
【0025】
さらに、前記定格電流と定格電流以上との交互運転モードは、下記請求項4の発明のようにすることもできる。即ち、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続する。
【0026】
また、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の運転方法において、前記定格電流以上の所定の電流は、定格電流の少なくとも1.5倍とする(請求項5の発明)。少なくとも1.5倍、好ましくは2倍以上とするのが望ましい。水電解装置の再生処理の観点からは、電流倍率は高い程好ましいが、電解槽や供給直流ケーブルにおける熱の発生の増大,電圧上昇による効率低下,圧力増加により陽極と陰極との差圧増大等が生ずるので、例えば5倍程度以下とする等、水電解装置の仕様に応じて、適当な電流倍率を選定することが望ましい。
【0027】
さらに、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の運転方法において、定格電流から前記定格電流以上の所定の電流に切り替える際には、陽極室から、または陽極側気液分離器から、水をブローダウンする(請求項6の発明)、もしくは、上記請求項6に記載の運転方法において、前記所定の電流に切り替える際の水のブローダウンに代えて、陽極側気液分離器内の水をイオン交換樹脂により純化した後に、陽極室に還流する(請求項7の発明)が好ましい。
【0028】
上記発明のように、定格以上の電流で電解を行う際に、電解槽にイオン交換樹脂などの純水製造装置で作られた純度の高い水を供給することにより、電解中の陽イオンの付着を防ぐことができる。即ち、電解槽から排出された水には固体高分子電解質膜から除去された陽イオンが含まれているため、系外に排出(ブローダウン)するか、またはイオン交換樹脂により陽イオンを除去した後に系内に戻すことにより、陽イオンの再付着を防ぐことができる。なお、イオン交換樹脂を用いる場合は、高価な耐熱仕様を避けるため、一旦、水をイオン交換樹脂に導入する前に冷却することが望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1および図2に基づき、この発明の実施例について以下に述べる。なお、図1に示す水電解装置おいて、図3に示す部材と同一機能を有する部材には、同一番号を付して詳細説明を省略する。また、図1においては、図3における水素ガスおよび酸素ガスの系統等は一部変更または省略して示す。
【0030】
まず、図1の水電解装置の実施例について述べる。図1の水電解装置の系統において示された部材で、図3と異なる部材は、陰極側循環ポンプ6、返送ポンプ8、陽極側ガス冷却器12、陰極側ガス冷却器13、酸素タンク14、水素タンク15、陽極側水位計25、陰極側水位計26、排水弁30、制御装置31等である。
【0031】
上記構成において、陽極室2に陽極側気液分離器10から循環ポンプ5によって純水を導入し、図示しない直流電源により電気を供給することにより、水が電気分解され酸素が発生する。一方、陰極室3に陰極側気液分離器11から循環ポンプ6によって純水を導入し、水が電気分解され水素が発生する。陽極室2で発生した酸素と純水の混合物は、陽極側気液分離器10に戻り純水と酸素とに分離する。酸素ガスは陽極側ガス冷却器12を通り水分が除去され、酸素タンク14に流入する。陰極室3で発生した水素と純水の混合物は、陰極側気液分離器11に戻り純水と水素とに分離する。水素ガスは陰極側ガス冷却器13を通り水分が除去され、水素タンク15に流入する。
【0032】
水電解によって水が消費され、かつ陽極室2から陰極室3へ電気浸透現象で移動することにより、陽極側と陰極側の気液分離器の水位は変動する。水位を一定に保つため、陽極側水位計25と陰極側水位計26によって純水供給装置9から純水を補給し、陽極側気液分離器11から返送ポンプ8で陰極側気液分離器10に純水を返送、または排水弁30を経て純水を排出する。
【0033】
定格以上の電流で電解を行った場合、陽イオン交換膜としての固体高分子電解質膜4に付着した陽イオンは、陰極室3に強制的に排出される。水は陽極室2から陽イオン交換膜4を通り陰極室3に、定格の電解時よりも多量に移動していく。陰極室3に排出された陽イオンは、排水弁30を経て純水とともに排出される。
【0034】
図1における制御装置31は、例えば、図示しない電解電圧計測装置の計測信号を入力し、所定の電解電流制御、前記排水弁30の開閉制御、純水供給ポンプ7および陽極側循環ポンプ5の制御等を行う。電解電流制御は、例えば、電解電圧が定格電圧の105%に上昇した際に、電解電流を定格電流の2倍として運転し、その後、電解性能の回復により、電解電圧が、定格電圧の102%に低下した際に、電解電流を再度定格電流に戻して継続運転する。なお、上記制御を目的とした電解電圧の計測は、一旦定格電流に戻して計測する。電解電流を変えると電解電圧も変化し、電解性能の変化を直接検出できないからである。
【0035】
次に、図2について説明する。図2は、本発明の効果を確認するために行なった電解電圧の変化の実験結果の一例を示す図で、定格電流1A/cm2の電解槽を、この発明を適用して、定格以上の電流3A/cm2で電解した場合の電解電圧の変化を示す。図2によれば、定格電流1A/cm2の電解電圧▲1▼(1.7158V)は、定格以上の電流(3A/cm2)で4時間電解▲2▼を行った後に、定格電流1A/cm2に戻して、その電解電圧を計測した結果、図示▲3▼(1.6544V)となり、電解電圧は1セル当たり約60mV低下し、電解性能の回復が可能であることが確認された。
【0036】
【発明の効果】
前述のように、この発明によれば、固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することとし、もしくは、予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続することとしたので、
固体高分子電解質膜に不純物イオンの付着・蓄積が進行しないようにして、電解性能が安定して良好に維持され、かつ高価な耐熱性イオン交換樹脂や酸による再生処理設備等の特別な装置を使用せずに長期継続運転が可能な水電解装置の運転方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の運転方法に関わる水電解装置の実施例の系統図
【図2】この発明の効果を確認するために行なった電解電圧の変化の実験結果の一例を示す図
【図3】従来の水電解装置の構成の一例を示す系統図
【符号の説明】
1:水電解槽、2:陽極室、3:陰極室、4:固体高分子電解質膜、5:陽極側循環ポンプ、6:陰極側循環ポンプ、7:純水供給ポンプ、8:返送ポンプ、9:純水供給装置、10:陽極側気液分離器、11:陰極側気液分離器、12:陽極側ガス冷却器、13:陰極側ガス冷却器、14:酸素タンク、15:水素タンク、25:陽極側水位計、26:陰極側水位計、30:排水弁、31:制御装置。
Claims (7)
- 固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、
予め水電解性能と相関を有しその指標となる計測対象を定め、この計測値が水電解性能の所定の下限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、その後の水電解性能の回復により、前記計測値が水電解性能の所定の上限値に相応する所定値に到達した際に、定格電流に戻して運転を継続することを特徴とする水電解装置の運転方法。 - 請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、電解電圧とすることを特徴とする水電解装置の運転方法。
- 請求項1に記載の運転方法において、前記計測値は、陽極室からのブローダウン水または陽極側気液分離器からのブローダウン水の陽イオン濃度もしくは比抵抗、あるいは、予め前記陽イオン濃度との相関によって求めたpH値とすることを特徴とする水電解装置の運転方法。
- 固体高分子電解質膜によって内部が陽極室と陰極室とに区画された水電解槽と、陽極側気液分離器および陰極側気液分離器と、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する直流電源とを備えた水電解装置の運転方法において、
予め定めた運転時間経過後に、定格電流以上の所定の電流で電解を行い、所定時間経過後に、再度定格電流に戻して運転を継続することを特徴とする水電解装置の運転方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の運転方法において、前記定格電流以上の所定の電流は、定格電流の少なくとも1.5倍とすることを特徴とする水電解装置の運転方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の運転方法において、定格電流から前記定格電流以上の所定の電流に切り替える際には、陽極室から、または陽極側気液分離器から、水をブローダウンすることを特徴とする水電解装置の運転方法。
- 請求項6に記載の運転方法において、前記所定の電流に切り替える際の水のブローダウンに代えて、陽極側気液分離器内の水をイオン交換樹脂により純化した後に、陽極室に還流することを特徴とする水電解装置の運転方法。
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