JP2004277808A - 水電解式水素酸素生成装置及びそれに用いる脱塩器 - Google Patents

水電解式水素酸素生成装置及びそれに用いる脱塩器 Download PDF

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Abstract

【課題】水電解反応のエネルギー効率を向上させるとともに、装置の小型化・簡略化・低価格化を実現し、且つ、長時間にわたり安定した水質を得られるようにする。
【解決手段】熱純水を供給する熱純水供給手段と、熱純水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する電気分解手段と、熱純水の温度を調整する温度調整手段と、一般式(1)で表される構成単位を有するアニオン交換樹脂、及び、架橋度8モル%以上のカチオン交換樹脂を用いて、熱純水中のイオンを除去することにより熱純水を精製する熱純水精製手段とをそなえて構成する。
Figure 2004277808

(一般式(1)中、Aは、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基にてベンゼン環に結合する炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数6以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱純水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する装置、及び、この装置に備えられて熱純水中のイオンを除去する手段に用いられる脱塩器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素ガス及び酸素ガスを製造する方法として、水電解法が注目されている。この方法は、固体高分子電解質膜を使用して純水を電気分解するもので、純度の高い水素ガス及び酸素ガスを高効率で得ることが可能である。
【0003】
図5は、固体高分子電解質膜を用いた水電解法に用いられる、電解セルの構造を示す模式図である。図5に示すように、電解セル30は、多数の固体高分子電解質膜ユニット31を並列に配置したものであり、両端に通電用の端部電極板32,32’を備えている。個々の固体高分子電解質膜ユニット31は主として、プロトン導電性の固体高分子電解質膜311と、その固体高分子電解質膜311の両面に添設される多孔質給電体312,312と、その多孔質給電体312,312の外側に配設される複極式電極板313,313とから構成される。固体高分子電解質膜311はプロトン導電性材料からなる高分子膜である。複極式電極板313は、通電により片面が陰極に、もう一方の面が陽極になるもので、個々の複極式電極板313に着目すると、それは左右両側の固体高分子電解質膜ユニット31,31に共通の構成部材となっている。
【0004】
図6は、図5に示す個々の固体高分子電解質膜ユニット31の分解断面図である。図6に示すように、固体高分子電解質膜311の両面には、白金族金属からなる多孔質の触媒層314,314が設けられており、さらにその外側には、この固体高分子電解質膜311と複極式電極板313,313と環状のガスケット315,315とに包囲された密閉空間(陰極室A及び陽極室B)が形成され、このそれぞれに多孔質給電体312,312が収容されている。
【0005】
このような構成において、図5に示すように、端部電極板32,32’に、図5中の左側が陽極、右側が陰極になるように電流を通電すると、各複極式電極板313は左側に陰極、右側に陽極を生じさせる。このため、個々の複極式電極板313は、その複極式電極板313の図中左側の固体高分子電解質膜ユニット31では陰極側の構成部材となり、図中右側の固体高分子電解質膜ユニット31では陽極側の構成部材となる。こうして、図6に示すように、個々の固体高分子電解質膜ユニット31には、固体高分子電解質膜311の右側の陰極室Aと、固体高分子電解質膜311の左側の陽極室Bとが形成される。
【0006】
水電解法による従来の水素酸素発生装置では、上述の電解セル30を利用し、以下の手順で水素ガス及び酸素ガスの生成が行なわれる。まず、純水タンクに貯留された純水が、純水供給経路を通じて電解セル30に送られ、個々の固体高分子電解質膜ユニット31の陽極室Bに供給される。陽極室Bでは、
2HO→O+4H+4e
という反応が起こり、酸素ガスとプロトンが発生する。プロトンは少量の水を伴って固体高分子電解質膜34内を移動し、同じ固体高分子電解質膜ユニット31の陰極室Aに到達する。このプロトンを用いて、陰極室Aでは
4H+4e→2H
という反応が起こり、水素ガスが発生する。個々の固体高分子電解質膜ユニット31の陰極室Aで発生した水素ガスと陽極室Bで発生した酸素ガスとは、互いに混じり合わないようにそれぞれ水素ライン及び酸素ラインに誘導される。水素ラインに誘導された水素ガスは、この状態では若干の水分や不純物を含んでいるので、水素分離タンクで水や不純物と分離された後、除湿器を経て採取される。同様に、酸素ラインに誘導された酸素ガスは、酸素分離タンクで水や不純物と分離された後、同様に除湿器を経て採取される。
【0007】
一方、酸素分離タンクで酸素ガスから分離された排水や、水素分離タンクで水素ガスから分離された排水は、ポンプにより駆動されて純水精製系へと導入される。そして、熱交換器により冷却された後、イオン交換樹脂を通じて排水中に溶存しているイオンが除去され、さらにフィルタにより不純物が除去されて、再び高純度の純水として再生される。再生された純水は純水タンクに貯留され、電解セル30で再度使用される。また、純水タンクには補給水ラインが接続され、電解セル30での電気分解により減少した分の純水が、外部の水源から随時補給されている。
【0008】
ところで、上述のような水電解反応は、所定の電圧下で所定の電流を通電することにより行われているが、水電解時の消費電力を低減するには、エネルギー効率(電圧効率×電流効率)を高くすることが好ましい。ここで、電流効率は温度とは無関係で、常に約90〜98%の範囲にある一方で、電圧効率は温度依存性があり、電解温度を比較的高めに維持しないと低下してしまう。電解セルの高性能化に伴って、従来は80%程度であった電圧効率が現在では96%程度まで向上しているが、そのような高い電圧効率を維持するには、電解温度を80〜120℃程度の高温に保つ必要がある。
【0009】
ところが、一般的なイオン交換樹脂、特にアニオン交換樹脂は、耐熱温度が通常55℃以下程度と比較的低いので、酸素分離タンクや水素分離タンクから排出される高温の純水(約70℃〜120℃)を直接導入して精製することは不可能である。
このため、従来の水電解装置は、例えば特許文献1や特許文献2に記載の様に、これらの熱純水を熱交換により常温程度まで冷却してから、イオン交換樹脂に導入して精製し、再び加熱して電解セルに供給するという構成を取っている。
【0010】
一方、熱純水を冷却・再加熱することなく高温のまま使用することにより、エネルギー効率の向上を図る技術も存在する。
例えば、特許文献3には、熱に比較的強いカチオン交換樹脂のみを使用して、高温の状態のまま純水を導入することにより、金属イオンのみを捕捉する技術が記載されている。
また、特許文献4には、イオン交換樹脂そのものを使用しない技術として、純度の低下した熱水の一部を装置外に排出し、代わりに高純度の熱純水を外部から補給して装置内の熱純水を希釈することにより、イオンや不純物の濃度を低下させて純度を高く保つという技術が記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−363782号公報
【特許文献2】
特開平8−193287号公報
【特許文献3】
特開2002−143852号公報
【特許文献4】
特開2001−152378号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された水電解装置では、高温の熱純水を精製前にいったん冷却し、精製後に再び加熱するという工程が存在するので、熱交換器や冷却用水等が必要になる。また、純水の熱エネルギーを充分に利用することができず、水電解反応におけるエネルギー効率が通常約70%〜85%程度と、極めて低くなってしまう。また、低温でのイオン交換時に純水中に繁殖した微生物の混入を防ぐために、紫外線照射等の殺菌処理やフィルタ等による除菌処理が必要となる。従って、これらの殺菌処理や除菌処理のための構成を設けなければならず、装置が大型化・複雑化・高価格化するという課題がある。
【0013】
また、特許文献3記載の技術では、アニオン交換樹脂を使用しないので、純水中のアニオン成分を捕捉することができず、得られる熱水は酸性となってしまい、精製が不十分である。また、アニオン交換樹脂を単独で用いるためその劣化が激しく、安定した水質を得ることができないという課題がある。
更に、特許文献4記載の技術では、補給用の熱純水を用意するために精製処理や加熱処理の構成が必要となり、装置が大型化・複雑化する上に、装置内の熱純水を高純度に保つためには相当量の熱純水を補給しなければならず、費用がかかるという課題がある。
【0014】
加えて、イオン交換樹脂を使用する特許文献1,2,3の技術では、以下の様な課題も存在する。
酸素分離タンクや水素分離タンクから得られた排水は、酸素ガスや水素ガスと可能な限り分離されてはいるものの、それでも一部の気体が残存している。排水中に溶存するこれらの気体はイオン交換樹脂に影響を与えることが知られており、特に溶存酸素はカチオン交換樹脂の劣化の原因となる。
【0015】
カチオン交換樹脂の劣化は、カチオン交換樹脂そのものの交換容量の低下につながるばかりでなく、特許文献1や特許文献2の技術の様にアニオン交換樹脂を併用している場合には、カチオン交換樹脂の分解物(カチオン交換樹脂を構成するポリスチレンスルホン酸及び/又はその対カチオン塩と言われている。)が溶出してアニオン交換樹脂を汚染してしまうため、アニオン交換樹脂の交換容量の低下をも引き起こす。その結果、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂の双方の脱塩性能が低下し、水質の劣化が生じてしまうために、長期間安定して良好な水質を得ることは困難であった。
【0016】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、水電解反応のエネルギー効率を向上させるとともに、装置の小型化・簡略化・低価格化を実現し、且つ、カチオン交換樹脂の劣化とそれに伴う分解物の溶出を防止して、長時間にわたり安定した水質を得られるようにした水電解式水素酸素生成装置、及びそれに用いる脱塩器を提供することに存する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、電気分解に使用される熱純水を精製する手段として、耐熱性のアニオン交換樹脂と高架橋度のカチオン交換樹脂とを併用することによって、熱純水を高温のままイオン交換することが可能となり、水電解反応のエネルギー効率の向上と殺菌処理や熱交換処理等の工程の削減とを達成できるとともに、カチオン交換樹脂の劣化とそれに伴う分解物の溶出を防止することが可能となるので、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂双方の脱塩性能の低下を抑制でき、ひいては上記目的が効果的に達せられることを見出して、本発明を完成した。
【0018】
即ち、本発明の要旨は、熱純水を供給する熱純水供給手段と、該熱純水供給手段により供給される前記熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成する電気分解手段と、該電気分解手段で電気分解される前記熱純水の温度を調整する温度調整手段と、下記一般式(1)で表される構成単位を有するアニオン交換樹脂、及び、架橋度8モル%以上のカチオン交換樹脂を用いて、該電気分解手段で電気分解される前記熱純水中のイオンを除去することにより、前記熱純水を精製する熱純水精製手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、水電解式水素酸素生成装置に存する。
【0019】
【化4】
Figure 2004277808
(上記一般式(1)中、Aは、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基にてベンゼン環に結合する炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数6以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
【0020】
また、本発明の別の要旨は、熱純水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する水電解式水素酸素生成装置に備えられ、前記熱純水中のイオンを除去することにより前記熱純水を精製する手段に用いられる脱塩器であって、上記一般式(1)で表される構成単位を有するアニオン交換樹脂、及び、架橋度8モル%以上のカチオン交換樹脂を含むことを特徴とする脱塩器に存する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔I〕 水電解式水素酸素生成装置:
本発明の水電解式水素酸素生成装置は、熱純水を供給する熱純水供給手段と、熱純水供給手段により供給される熱純水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する電気分解手段と、電気分解手段で電気分解される熱純水の温度を調整する温度調整手段と、電気分解手段で電気分解される熱純水中のイオンをイオン交換樹脂を用いて除去することにより熱純水を精製する熱純水精製手段とをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0022】
そして、本発明の実施の形態としては、熱純水供給手段が、電気分解手段に供給される熱純水を貯留する純水タンクをそなえるとともに、電気分解手段が、純水タンクに貯留された熱純水の電気分解を行なう電解セルをそなえて構成される場合(第1実施形態)や、電気分解手段が、電気分解に使用される熱純水を貯留する電解タンクと、電解タンクに貯留された熱純水に浸漬されて前記熱純水の電気分解を行なう電解セルとをそなえて構成される場合(第2実施形態)が挙げられる。
【0023】
〔I−1〕 第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態の水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1は、熱純水供給手段2と、電気分解手段3と、温度調整手段4と、熱純水精製手段5とをそなえている。
【0024】
熱純水供給手段2は、電気分解の対象となる熱純水を供給するもので、ポンプ21、脱塩器22、フィルタ23、純水タンク24、ポンプ25をそなえている。このうち、ポンプ21、脱塩器22、フィルタ23は、上流側からこの順に通水管を介して互いに接続されるとともに、フィルタ23が通水管を介して(又は直接)純水タンク24と接続されることにより、純水タンク24へと連通する水補給ラインを形成している。
【0025】
ポンプ21は、通水管を介して装置外部の図示しない水源(水道、水槽、水タンク等)と接続され、外部水源から適宜供給される水(精製の有無を問わず、不純物を含んでいても構わない。以下、「補給水」と呼ぶ。補給水と精製後の純水とを区別しないときは、単に「水」と呼ぶ。)を、外部水源側から脱塩器22側に向けて吐出するものである。このポンプ21としては、流体である水を吐出可能であるとともに、高温の熱水を扱い得る耐熱性のポンプであれば、種々のものを選択して使用できる。
【0026】
脱塩器22は、後述するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を用いて、ポンプ21側から誘導された水に対してイオン交換を行ない、この水の中に溶解又は分散しているイオン等を除去するものである。この耐熱性カラム内にポンプ21からの水を誘導して通過させることにより、イオン交換を行なう。なお、脱塩器22の詳細については、後に章を改めて詳述する。
【0027】
フィルタ23は、脱塩器22側から誘導された水を濾過することにより、この水の中に存在する微生物や有機物等の不純物を除去するものである。このフィルタ23としては、耐熱性をそなえたものであれば、予想される不純物の種類や量を勘案して、種々のものを適宜選択して使用できる。また、このフィルタ23は取り外し可能に構成されており、本装置の運用に伴ってフィルタ23に不純物が蓄積した場合やフィルタ23が劣化した場合には、フィルタ23を取り外して清掃や不純物の除去、再生処理を行なったり、新たなフィルタ23と交換したりできるようになっている。なお、このフィルタ23は、脱塩器22と一体に構成しても良く、脱塩器22に着脱可能に取り付けても良い。
【0028】
純水タンク24は、耐水性及び耐熱性をそなえた素材からなる壁部によって構成されるとともに、この壁部によって取り囲まれた貯水空間を有し、後述する電気分解手段3での電気分解に使用される熱純水を内部に貯留できるようになっている。そして、フィルタ23との接続部分には図示しない制御弁が設けられ、水補給ライン(ポンプ21、脱塩器22、フィルタ23)を通じて適宜、熱純水を補給されるようになっている。
【0029】
ポンプ25は、通水管を介して(又は直接)純水タンク24と接続されるとともに、同じく通水管を介して後述する電解セル30と接続される。さらに、純水タンク24との接続部分には図示しない制御弁が設けられ、純水タンク24から適宜供給される熱純水を、純水タンク24側から電解セル30側に向けて吐出するようになっている。このポンプ25についても、流体である水を吐出可能であるとともに、高温の熱水を扱い得る耐熱性のポンプであれば、種々のものを選択して使用できる。
【0030】
電気分解手段3は、熱純水供給手段2により供給される熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成するもので、電解セル30、酸素分離タンク33、水素分離タンク34、除湿器35,35’をそなえている。
【0031】
電解セル30は、熱純水供給手段2の純水タンク24からポンプ25を介して供給される熱純水を電気分解し、酸素ガスと水素ガスを発生させるもので、固体高分子電解質膜を用いた一般的な電解セルが用いられる。具体的には、電解セル30は、図5及び図6を用いて前述したように、多数の固体高分子電解質膜ユニット31と端部電極板32,32’とからなり、図示しない電圧印加手段を用いて端部電極板32,32’間に電圧を印加することにより、各固体高分子電解質膜ユニット31内に誘導された熱純水を電気分解して、酸素ガスと水素ガスを発生させることができるようになっている。
【0032】
酸素分離タンク33及び水素分離タンク34は、通気管を介して電解セル30と接続され、電解セル30において発生した酸素ガス及び水素ガスが互いに混じり合わないように、各タンク33,34内に導入されるようになっている。また、電解セル30からの通気管との接続部及び後述する除湿器35,35’への通気管との接続部には、図示しない制御弁が設けられ、電解セル30からの酸素ガス及び水素ガスの流入と、除湿器35,35’への酸素ガス及び水素ガスの流出を、各々独立に制御することにより、各タンク33,34内の圧力を調整することが可能となっている。
【0033】
前述したように、電解セル30において発生した酸素ガス及び水素ガスは、そのままの状態では若干の水分や不純物を含んでいるが、これらを各々、酸素分離タンク33及び水素分離タンク34の内部に充填して高圧にすることにより、酸素ガス及び水素ガスから水や不純物を分離することができるようになっている。この酸素分離タンク33及び水素分離タンク34としては、耐圧性かつ耐熱性をそなえた公知の気密性タンクであって、酸素ガス及び水素ガスとの反応性が低い素材からなるものであれば、種々のものを選択して使用できる。
【0034】
除湿器35,35’は、酸素分離タンク33及び水素分離タンク34と各々通気管を介して接続され、各タンク33,34で水分や不純物と分離された酸素ガス及び水素ガスを各々導入されて、これらのガス中に残っている僅かな水分を除去するものである。また、各タンク33,34で水分を除去された酸素ガス及び水素ガスは、通気管を通じて各々、外部から採取できるようになっている。
【0035】
温度調整手段4は、電気分解手段3で電気分解される熱純水の温度を調整するもので、温度調整器40,40’をそなえている。これらの温度調整器40,40’は各々、温度調整の対象となる水に浸漬するように配置されたヒータ41,41’と、温度センサ42,42’と、コントローラ43,43’とをそなえ、温度センサ42,42’にて検知された水の温度に基づいて、コントローラ43,43’が適宜ヒータ41,41’を動作させて水を加熱することにより、水温を所望の温度に調整できるようになっている。
【0036】
温度調整器40は、水補給ラインを構成するポンプ21と脱塩器22との間の通水管に設けられ、ヒータ41及び温度センサ42が通水管中を通過する補給水に浸漬されて、ポンプ21から脱塩器22へ送られる補給水の温度を調整できるようになっている。また、温度調整器40’は、純水タンク24に設けられ、ヒータ41’及び温度センサ42’が純水タンク24内に貯留された熱純水に浸漬されて、純水タンク24中の熱純水の温度を調整できるようになっている。
【0037】
熱純水精製手段5は、電気分解手段3で電気分解される熱純水中のイオンを除去することにより熱純水を精製するもので、ポンプ51と、脱塩器52と、フィルタ53とをそなえている。そして、これらの構成要素が通水管を介して上流側からこの順に互いに接続されるとともに、ポンプ51が通水管を介して酸素分離タンク33及び水素分離タンク34と接続され、さらに、フィルタ53が通水管を介して(あるいは直接)純水タンク24と接続されることにより、酸素分離タンク33や水素分離タンク34からの排水が、ポンプ51、脱塩器52、フィルタ53を巡って純水タンク24に戻るという、純水精製系を形成している。
【0038】
ポンプ51は、酸素分離タンク33及び水素分離タンク34にて酸素ガスや水素ガスから分離された不純物を含む水を導入され、この水を各タンク33,34側から脱塩器52側に向けて吐出するものである。このポンプ51についても、流体である水を吐出可能であるとともに、高温の熱水を扱い得る耐熱性のポンプであれば、種々のものを選択して使用できる。
【0039】
脱塩器52は、後述するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を用いて、ポンプ51側から誘導された水に対してイオン交換を行ない、この水の中に溶解又は分散しているイオン等を除去するもので、その基本的な構成は脱塩器22と同様である。脱塩器52の詳細についても、後に章を改めて詳述する。
【0040】
フィルタ53は、脱塩器52側から誘導された水を濾過することにより、この水の中に存在する微生物や有機物等の不純物を除去するもので、その基本的な構成はフィルタ23と同様である。なお、このフィルタ53は、脱塩器52と一体に構成しても良く、脱塩器52に着脱可能に取り付けても良い。
【0041】
上記の構成をそなえた本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1では、熱純水供給手段2により、電気分解の対象となる熱純水が適宜供給される。具体的には、まず、図示しない外部水源からの補給水が水補給ラインへと導入され、ポンプ21によって駆動される。次に、温度調整器40が、この補給水を加熱して所望の温度の熱水にした後、脱塩器22及びフィルタ23が、加熱された高温の補給水中に溶解又は浮遊しているイオンや不純物を除去し、精製して熱純水とする。この熱純水は純水タンク24に送られて貯留され、適宜ポンプ25により駆動されて、電解セル30に送られる。
【0042】
一方、電気分解手段3は、熱純水供給手段2により供給される熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成する。具体的には、電解セル30が、純水タンク24からポンプ25を介して供給される熱純水を用いて電気分解を行ない、水分を含む高温の酸素ガスと水素ガスを発生させる。発生した高温の酸素ガスは酸素分離タンク33へと誘導され、ここで水や不純物と分離されて純化されてから、除湿器35を経て採取される。また、電解セル30で発生した高温の水素ガスは水素分離タンク34へと誘導され、ここで同様に水や不純物と分離されて純化されてから、除湿器35’を経て採取される。
【0043】
また、熱純水精製手段5では、電気分解手段3で電気分解される熱純水の精製が行なわれる。具体的には、酸素分離タンク33や水素分離タンク34で酸素ガスや水素ガスから分離された、不純物を含む高温の排水が、ポンプ51により駆動されて純水精製系へと導入され、高温のまま排水の精製が行なわれる。具体的には、脱塩器52を通じて排水中に溶存しているイオンが除去され、さらにフィルタ53により排水中の不純物が除去されて、再び高純度の純水として再生される。再生された高温の純水は、純水タンク24に送られて貯留され、電解セル30で再度使用されることになる。
【0044】
本装置1−1の運用中、純水タンク24に貯留された熱純水の温度は、温度調整器40’によって所望の高温に維持される。また、電気分解による熱純水の減少分は、水補給ラインを介して純水タンク24に随時補給される。
【0045】
以上、本発明の第1実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1によれば、熱純水の精製に耐熱性イオン交換樹脂を使用し、熱水を高温のまま導入してイオン交換することにより、装置内で熱純水を再生しながら循環使用する際に、高温の状態を維持しながら熱純水を扱うことが可能となるので、電解セルによる水電解反応のエネルギー効率が向上する。また、補給水の精製や電解セルからの排水の再生を行なう際に、殺菌処理や熱交換処理の工程を削減することが可能となるので、装置の小型化・簡略化、価格の削減を実現できる。
【0046】
なお、上述の水電解式水素酸素生成装置1−1の構成において、水補給ラインの脱塩器22又は温度調整手段40を省略し、電気分解による熱純水の減少分を補給するときに、装置の外部で精製又は加熱した純水を外部水源からポンプ21で導入する構成としても良い。これによって、装置の構成をより簡素化することができる。
【0047】
また、熱純水供給手段2と熱純水精製手段5の構成の一部を共有化することにより、装置の構成を簡素化することも可能である。
図2は、本発明の第1実施形態の変形例としての水電解式水素酸素生成装置について、基本的な構成を示す模式図である。なお、図2において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付している。図2に示すように、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1’は、第1実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1とほぼ同様の構成を有しているが、脱塩器52とフィルタ53は省略されている。そして、ポンプ51は通水管を介して、ポンプ21と脱塩器22との間の通水管に合流するよう接続され、酸素分離タンク33や水素分離タンク34からの高温の排水は、脱塩器22側に向けて駆動されるようになっている。これによって、水補給ラインの構成要素である脱塩器22及びフィルタ23は、酸素分離タンク33や水素分離タンク34からポンプ51を介して純水タンク24に到る純水精製系の一部としても機能することになる。
【0048】
上記の構成をそなえた本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1’では、酸素分離タンク33や水素分離タンク34で酸素ガスや水素ガスから分離された高温の排水が、ポンプ51により駆動されて、水補給ラインを通過する補給水と合流し、脱塩器22に誘導される。ここで排水中に溶存しているイオンが除去され、さらにフィルタ23により排水中の不純物が除去されて、熱純水として精製され、純水タンク24に貯留されることになる。
【0049】
以上、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−1’によれば、電解セル30での電気分解による熱純水の減少分を補給する水補給ラインと、電解セル30からの排水を再生する純水精製系との間で、脱塩器22及びフィルタ23を共有化して使用することにより、装置の更なる小型化・簡略化、価格の削減を実現できる。
【0050】
〔I−2〕 第2実施形態:
図3は、本発明の第2実施形態としての水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。なお、図3において、図1と同様の構成要素については、同一の符号を付している。図3に示すように、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2は、第1実施形態とほぼ同様の温度調整手段4及び熱純水精製手段5に加え、第1実施形態の熱純水供給手段2及び電気分解手段3に代えて熱純水供給手段2’及び電気分解手段3’をそなえている。
【0051】
熱純水供給手段2’は、第1実施形態と同様、電気分解の対象となる熱純水を供給するもので、第1実施形態と同様のポンプ21、脱塩器22、フィルタ23をそなえているが、第1実施形態の純水タンク24及びポンプ25は省略されている。そして、フィルタ23が通水管を介して(又は直接)後述する電解タンク36と接続されることにより、ポンプ21、脱塩器22、フィルタ23で構成される水補給ラインは、電解タンク36へと連通するようになっている。
【0052】
電気分解手段3は、第1実施形態と同様、熱純水供給手段2により供給される熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成するもので、第1実施形態と同様の電解セル30、水素分離タンク34、除湿器35,35’をそなえるとともに、第1実施形態の酸素分離タンク33に代えて電解タンク36をそなえている。
【0053】
電解タンク36は、耐水性及び耐熱性をそなえた気密性素材からなるともに、この気密性素材によって取り囲まれた内部空間を有し、電気分解に使用される熱純水を貯留できるようになっている。そして、フィルタ23との接続部分には図示しない制御弁が設けられ、水補給ライン(ポンプ21、脱塩器22、フィルタ23)を通じて適宜、熱純水を補給されるようになっている。
【0054】
また、電解タンク36内の熱純水中に浸漬するように、電解セル30が配置される。電解セル30はこの熱純水を取り込んで電気分解を行ない、酸素ガスと水素ガスを発生させる。発生した酸素ガスと水素ガスは、互いに混じり合わないように分離して集められ、各々が通気管に誘導される。酸素ガスが誘導される通気管は電解タンク36内に開口し、酸素ガスは電解タンク36の熱純水が貯留される内部空間に放出されるようになっている。一方、水素ガスが誘導される通気管は電解タンク36外に通じ、水素分離タンク34へと接続されている。さらに、電解タンク36は通気管を介して除湿器35と接続されるとともに、通気管との接続部には図示しない制御弁が設けられ、除湿器35,35’への酸素ガスの流出を制御することにより、電解タンク36内の圧力を調整することが可能となっている。
【0055】
電解セル30により発生した酸素ガスを、電解タンク36内の空隙に充填されて高圧とすることにより、酸素ガスに含まれる水や不純物は電解タンク36内の熱純水中へと移動し、酸素ガスから分離されるようになっている。すなわち、この電解タンク36は、第1実施形態における純水タンク24及び酸素分離タンク34の機能を兼ね備えたものといえる。よって、この電解タンク36としては、耐圧性かつ耐熱性をそなえた公知の気密性タンクであって、酸素ガス及び水素ガスとの反応性が低い素材からなるものであれば、種々のものを選択して使用できる。
【0056】
さらに、温度調整手段4及び熱純水精製手段5の構成は第1実施形態とほぼ同様であるが、温度調整器40’は電解タンク36に設けられ、ヒータ41’及び温度センサ42’が電解タンク36内に貯留された熱純水に浸漬されて、電解タンク36内の温度を制御できるようになっている。また、ポンプ51は通水管を介して、第1実施形態の酸素分離タンク33に代えて電解タンク36と接続されており、電解タンク36からの排水も純水精製系に誘導されるように構成されている。
【0057】
上記の構成をそなえた本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2では、熱純水供給手段2’により、電気分解の対象となる熱純水が適宜供給される。具体的には、まず、図示しない外部水源からの補給水が水補給ラインへと導入され、ポンプ21によって駆動される。次に、温度調整器40が、この補給水を加熱して所望の温度の熱水にした後、脱塩器22及びフィルタ23が、加熱された高温の補給水中に溶解又は浮遊しているイオンや不純物を除去し、精製して熱純水とする。こうして作成された熱純水は、電解タンク36に供給される。
【0058】
一方、電気分解手段3’は、熱純水供給手段2’により供給される熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成する。具体的には、まず、水補給ラインから供給された熱純水が、電解タンク36内部に貯留される。この熱純水に浸漬された電解セル30が、周囲の熱純水を用いて電気分解を行ない、水分を含む高温の酸素ガスと水素ガスを発生させる。発生した高温の酸素ガスは電解タンク36内部へ放出され、ここで水や不純物と分離されて純化されてから、除湿器35を経て採取される。また、電解セル30で発生した高温の水素ガスは水素分離タンク34へと誘導され、ここで同様に水や不純物と分離されて純化されてから、除湿器35’を経て採取される。
【0059】
一方、熱純水精製手段5では、電気分解手段3で電気分解される熱純水の精製が行なわれる。具体的には、電解タンク36や水素分離タンク34で酸素ガスや水素ガスから分離された、不純物を含む高温の排水が、ポンプ51により駆動されて純水精製系へと導入され、第1実施形態と同様に脱塩器52とフィルタ53を通じて、高純度の純水として再生される。再生された高温の純水は、電解タンク36に送られて貯留され、電解セル30で再度使用されることになる。
【0060】
本装置1−2の運用中、電解タンク36に貯留された熱純水の温度は、温度調整器40’によって所望の高温に維持される。また、電気分解による熱純水の減少分は、水補給ラインを介して電解タンク36に随時補給される。
【0061】
以上、本発明の第2実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2によれば、第1実施形態と同様に、純水を高温の状態で扱うことによる水電解反応のエネルギー効率の向上や、殺菌処理や熱交換処理の工程削減による装置の小型化・簡略化等、各種の効果を得ることができる。加えて、第1実施形態の純水タンク24と酸素分離タンク33の各機能を電解タンク36として統一化することにより、構成の更なる簡素化を図ることが可能となるとともに、電解セル30内部で発生した酸素ガスが電解セル30外部(電解タンク36内)に充満することにより、電解セル30の外圧と内圧がほぼ等しくなるために、電解セル30にそれほど高い耐圧性能が要求されず、装置の更なる低価格化に寄与する。
【0062】
なお、第1実施形態と同様、上述の第2実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2においても、水補給ラインの脱塩器22又は温度調整手段40を省略し、電気分解による熱純水の減少分を補給するときに、装置の外部で精製又は加熱した純水を外部水源からポンプ21で導入する構成としても良い。これによって、装置の構成をより簡素化することができる。
【0063】
また、これも第1実施形態と同様、熱純水供給手段2’と熱純水精製手段5の構成の一部を共有化することにより、装置の構成を簡素化することも可能である。
図4は、本発明の第2実施形態の変形例としての水電解式水素酸素生成装置について、基本的な構成を示す模式図である。なお、図4において、図2と同様の構成要素については同一の符号を付している。図4に示すように、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2’は、第2実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2とほぼ同様の構成を有しているが、脱塩器52とフィルタ53は省略されている。そして、ポンプ51は通水管を介して、ポンプ21と脱塩器22との間の通水管に合流するよう接続され、電解タンク36や水素分離タンク34からの高温の排水は、脱塩器22側に向けて駆動されるようになっている。これによって、水補給ラインの構成要素である脱塩器22及びフィルタ23は、電解タンク36や水素分離タンク34からポンプ51を介して電解タンク36に到る純水精製系の一部としても機能することになる。
【0064】
上記の構成をそなえた本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2’では、水素分離タンク34で水素ガスから分離された高温の排水や、電解タンク36で酸素ガスから分離された排水を含む高温の熱純水が、ポンプ51により駆動されて、水補給ラインを通過する補給水と合流し、脱塩器22に誘導される。ここで排水中に溶存しているイオンが除去され、さらにフィルタ23により排水中の不純物が除去されて、熱純水として精製され、電解タンク36に貯留されることになる。
【0065】
以上、本実施形態の水電解式水素酸素生成装置1−2’によれば、電解セル30での電気分解による熱純水の減少分を補給する水補給ラインと、電解セル30からの排水を再生する純水精製系との間で、脱塩器22及びフィルタ23を共有化して使用することにより、装置の更なる小型化・簡略化、価格の削減を実現できる。
【0066】
〔II〕 脱塩器:
本発明の水電解式水素酸素生成装置1−1,1−1’,1−2,1−2’に用いられる脱塩器22,52は、以下に説明するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を含んで構成される。
【0067】
〔II−1〕 アニオン交換樹脂:
脱塩器22,52に用いられるアニオン交換樹脂は、下記一般式(1)で表される構成単位を有する、強塩基性のアニオン交換樹脂である。
【化5】
Figure 2004277808
【0068】
上記一般式(1)において、Aは、架橋共重合体の主鎖とアニオン交換基とを連結する二価の連結基(スペーサ)である。ベンゼン環に対するAの結合位置は特に制限されず任意であるが、通常はメタ位又はパラ位に結合している。
具体的に、Aは、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基においてベンゼン環に結合する炭素数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレンオキシメチレン基を表す。Aの炭素数が2以下の場合、十分な耐熱性を得ることができず、また、Aの炭素数が9以上の場合、架橋共重合体の構成単位の分子量が大きくなり、樹脂の交換容量が低下してしまうため、何れも好ましくない。炭素数3〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基の例としては、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。また、炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレンオキシメチレン基の例としては、プロピレンオキシメチレン基、ブチレンオキシメチレン基、ペンチレンオキシメチレン基、ヘキシレンオキシメチレン基、ヘプチレンオキシメチレン基等が挙げられる。なお、上記例示基のうち構造異性基が存在するものについては、全ての構造異性基が例として含まれるものとする。
【0069】
また、上記一般式(1)において{−N(R)(R)(R)}で表わされる基が、アニオン交換基として機能することになる。
具体的に、R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。炭素数が7以上の場合、樹脂の交換容量が低下すると共に、樹脂の有機汚染、熱安定性の低下にもつながるので好ましくない。炭素数6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数6以下の直鎖状又は分岐状のヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。なお、上記例示基のうち構造異性基が存在するものについては、全ての構造異性基が例として含まれるものとする。
【0070】
なお、{−N(R)(R)(R)}で表わされる基(アニオン交換基)の好ましい具体例としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基等が挙げられる。中でもトリメチルアンモニウム基又はジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基が好ましい。
【0071】
は、上記アニオン交換基の対アニオンを表す。その種類は特に制限されないが、例としては、水酸イオン、Cl、Br、I、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、蟻酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。中でも水酸イオンが好ましい。対カチオンが水酸イオン以外のものである場合には、本アニオン交換樹脂を水処理に用いる前に予め水酸イオンに転換しておくことが必要である。その際、アニオン交換基の交換容量を有効に利用するために、OH形への塩形変換率はできるだけ高い値とすることが好ましく、具体的には、通常90%以上、中でも95%以上、特に98%以上とすることが好ましい。
【0072】
上記の強塩基性アニオン交換樹脂は、上記一般式(1)で表される構成単位の他に、架橋基を構成する構成単位(架橋構成単位)を含んで構成されている。架橋構成単位の種類は特に制限されないが、具体的にはジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、アルキルビニルベンゼン、ジアルキルジビニルベンゼン等が挙げられる。中でもジビニルベンゼンが好ましい。
【0073】
上記一般式(1)の構成単位の含有率は特に制限されないが、アニオン交換容量を大きくするためには、ある程度高くすることが好ましい。具体的には、上記の強塩基性アニオン交換樹脂を構成する全構成単位に対する、上記一般式(1)の構成単位の含有率を、通常1モル%以上、中でも50モル%以上、特に75モル%以上の範囲とする。上限は、後述する架橋構成単位の含有率との関係上、通常99モル%以下、中でも98モル%以下、特に97モル%以下とする。
【0074】
また、架橋構成単位の含有率も特に制限されないが、樹脂の耐性を高める観点からは、ある程度高くすることが望ましい。具体的には、上記の強塩基性アニオン交換樹脂の全構成単位に対する架橋構成単位の含有率を、通常1モル%以上、中でも2モル%以上、更には3モル%以上の範囲とすることが好ましい。但し、架橋度が高過ぎると、アニオン交換基の反応速度が低下し、イオン交換や樹脂内部へのイオン拡散が妨げられてしまうので、その上限は通常50モル%以下、中でも25モル%以下、更には20モル%以下とすることが好ましい。
【0075】
また、上記の強塩基性アニオン交換樹脂は、上記一般式(1)の構成単位及び架橋構成単位に加えて、更に他の一又は二以上の構成単位を含んでいても良い。その種類は特に制限されないが、具体例としてはスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。また、これらの構成単位を含む場合には、上記の強塩基性アニオン交換樹脂の全構成単位に対するその含有率を、好ましくは30モル%以下、更に好ましくは10モル%以下の範囲とする。
【0076】
上記の強塩基性アニオン交換樹脂の重量当たりの交換容量(中性塩分解容量)は、OH形の状態で、通常0.1meq/g以上、好ましくは0.7meq/g以上、更に好ましくは2.5meq/g以上、特に好ましくは3.2meq/g以上の範囲である。上限は特に制限は無いが、通常は5.0meq/g以下、中でも4.5meq/g以下の範囲である。なお、本明細書においてmeq/gとは、乾燥樹脂重量当たりの交換容量を表す。
【0077】
上記の強塩基性アニオン交換樹脂の体積当たりの交換容量は、樹脂の水分含有率や樹脂の形態(ゲル状、ポーラス状等)により異なるが、OH形の状態で、通常0.1meq/mL以上、好ましくは0.3meq/mL以上、更に好ましくは0.5meq/mL以上の範囲である。上限は特に制限は無いが、通常は1.5meq/mL以下の範囲である。なお、本明細書においてmeq/mLとは、含水樹脂体積当たりの交換容量を表す。
【0078】
上記の強塩基性アニオン交換樹脂の具体例としては、例えば特開平4−349941号及び特開平7−289921号各公報に記載されている樹脂が挙げられる。また、特開平10−245416号及び特開平10−245417号各公報には、上記一般式(1)の構成単位を有する多孔性アニオン交換樹脂が記載されているが、本発明ではこれらの多孔性アニオン交換樹脂も用いることができる。
【0079】
上記の強塩基性アニオン交換樹脂は、上記各文献記載の方法を含め、各種の公知の方法により製造が可能である。目的とする樹脂の構造に応じて、これらの方法の中から適切な方法を選択して製造すれば良い。
【0080】
本発明では、上記の強塩基性アニオン交換樹脂を単独で用いることもでき、また、他のイオン交換樹脂と併用することもできる。併用する樹脂としては、例えば、弱塩基性アニオン交換樹脂が挙げられる。弱塩基性アニオン交換樹脂を併用する場合、上記の強塩基性アニオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂全体の合計体積に対して通常10%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上の割合で使用する。
【0081】
アニオン交換樹脂の形態は特に制限されず、ポーラス型であってもゲル型であってもよいが、カチオン交換樹脂の分解物によって表面が被覆されてしまうのを防ぐとともに、これらの分解物をできるだけ捕捉し易くするために、ポーラス型とすることが好ましい。ポーラス型の場合、樹脂内に細孔構造を有するため、重量当たりの交換容量はゲル型の場合と変わらないが、体積当たりの交換容量はゲル型の場合と比べて少なくなる。また、樹脂の形状も特に制限されないが、一般的には0.3mm以上、1.0mm以下程度の平均粒子径を有する球状体粒子の形状が好ましく使用される。
【0082】
〔II−2〕 カチオン交換樹脂:
脱塩器22,52の精製対象となる水は、たとえ気液分離器等の手段によって酸素や水素を除去した場合でも、多少の酸素ガスや水素ガスが溶存しており、しかも高温であることから、イオン交換樹脂に好ましからぬ影響を与える。特にカチオン交換樹脂は、水中の溶存酸素により酸化を受け易く、分解し易い傾向がある。溶存酸素により生じたカチオン交換樹脂の分解物は、水中に溶出して水質を悪化させてしまう。分解物の成分は、主にカチオン交換樹脂のポリマー成分であるポリスチレンスルホン酸、又はその対カチオン塩であると考えられており、その分子量は、カチオン交換樹脂の架橋度により異なるが、一般に百〜数千の範囲である。これらのカチオン交換樹脂の分解物は、併用するアニオン交換樹脂である程度捕捉することが可能であるが、分解物の量が多いとアニオン交換樹脂の表面が分解物で被覆され、アニオン交換樹脂のイオン交換能が損なわれてしまう。
【0083】
そこで、溶存酸素によるカチオン交換樹脂の酸化を抑制するために、本発明では、通常のイオン交換樹脂よりも架橋度が高いカチオン交換樹脂、具体的には、架橋度が8重量%以上、好ましくは12重量%以上の範囲に存在するカチオン交換樹脂を用いる。なお、本明細書において架橋度とは、樹脂の全構成単位に対する、架橋基を構成する構成単位(架橋構成単位)の含有率をいう。この値は、樹脂の製造時に用いる全単量体に対する、架橋構成単位となる単量体(架橋剤)の使用率によって決定される。架橋度が上記範囲よりも低い場合、カチオン交換樹脂の酸化に対する耐性が低くなり、溶存酸素により酸化を受けて分解し易くなってしまう。但し、架橋度が高過ぎるとカチオン交換基の反応速度が低下し、イオン交換や樹脂内部へのイオンの拡散が妨げられてしまうので、通常は20重量%以下、中でも16重量%以下が好ましい。
【0084】
なお、架橋構成単位の種類は特に制限されないが、具体的にはジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、アルキルビニルベンゼン、ジアルキルジビニルベンゼン等が挙げられる。中でもジビニルベンゼンが好ましい。
【0085】
本発明で用いられるカチオン交換樹脂は、その架橋度が上記範囲に存在するものであれば、その構造は特に制限されないが、好ましくは、下記一般式(2)で表される構成単位を有する、強酸性のカチオン交換樹脂である。
【0086】
【化6】
Figure 2004277808
【0087】
上記一般式(2)において、スルホン酸基がカチオン交換基として機能する。ベンゼン環に対するスルホン酸基の結合位置は特に制限されず任意であるが、通常はメタ位又はパラ位に結合している。Yは、スルホン酸基に配位した対カチオンを表す。その種類は特に制限されないが、例としては水素イオン、Liイオン、Naイオン、Caイオン、Baイオン、アンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。対カチオンが水素イオン以外である場合には、樹脂の使用前に予め対カチオンを水素イオンに転換しておく必要がある。
【0088】
上記の強酸性カチオン交換樹脂における、上記一般式(2)の構成単位の含有率は、特に制限されないが、カチオン交換容量を大きくするためには、ある程度高くすることが好ましい。具体的には、上記の強酸性カチオン交換樹脂の全構成単位に対する、上記一般式(2)の構成単位の含有率を、通常1重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上の範囲とする。一方、その上限は、上記の架橋度との関係から、通常92重量%以下、好ましくは88重量%以下の範囲とする。
【0089】
また、上記の強酸性のカチオン交換樹脂は、上記一般式(2)の構成単位及び架橋構成単位に加えて、更に他の一又は二以上の構成単位を含んでいても良い。その種類は特に制限されないが、具体例としてはスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。また、これらの構成単位を含む場合には、上記の強酸性カチオン交換樹脂の全構成単位に対するその含有率を、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の範囲とする。
【0090】
上記の強酸性カチオン交換樹脂の重量当たりの交換容量(中性塩分解容量)は、H形の状態で、通常3.0meq/g以上、好ましくは3.5meq/g以上、更に好ましくは4.0meq/g以上、特に好ましくは4.5meq/g以上の範囲である。また、上限は特に制限は無いが、通常は5.5meq/g以下の範囲である。
【0091】
上記の強酸性カチオン交換樹脂の体積当たりの交換容量(中性塩分解容量)は、樹脂の水分含有率により異なるが、H形の状態で、通常1.0meq/mL以上、好ましくは1.5meq/mL以上、更に好ましくは1.8meq/mL以上、特に好ましくは2.0meq/mL以上の範囲である。上限は特に制限は無いが、通常3.0meq/mL以下の範囲である。
【0092】
上記の強酸性カチオン交換樹脂の具体例としては、各種のものが公知であり、本発明ではこれらを適宜選択して用いることができる。また、特開平10−245416号及び特開平10−245417号各公報には、上記一般式(2)で表される構成単位を有する多孔性カチオン交換樹脂が記載されているが、本発明ではこれらの多孔性カチオン交換樹脂も用いることができる。
【0093】
上記の強酸性カチオン交換樹脂は、各種の公知の製造方法を用いて製造することができる。特に、架橋構成単位となる単量体(架橋剤)の使用比率を適宜調整することにより、得られる樹脂の架橋度を上記範囲内とすることが可能である。
【0094】
本発明では、上記の強酸性カチオン交換樹脂を単独で用いることもでき、また、他のカチオン交換樹脂と併用することもできる。併用する樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有する弱酸性のカチオン交換樹脂が挙げられる。弱酸性カチオン交換樹脂を併用する場合、上記の強酸性カチオン交換樹脂は、カチオン交換樹脂全体の合計体積に対して通常20%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上の割合で使用する。
【0095】
なお、カチオン交換樹脂の形態としてはゲル型、ポーラス型が一般的に知られているが、耐酸化性の効果を発現するためには、ゲル型の構造が好ましい。樹脂の形状も特に制限されないが、一般的には0.3mm以上、1.0mm以下程度の平均粒子径を有する球状体粒子の形状が好ましく使用される。
【0096】
〔II−3〕 脱塩器の構成:
脱塩器22,52は、上記のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を含んでいれば、その構造は特に制限されないが、通常は、純水の流入口及び流出口を備えた一般的なカラム等の容器に、上記のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を充填して構成される。
【0097】
上記のアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とは、同一の容器に混合して充填して混床として用いてもよく、別個の容器に分けて充填して別床として用いても良い。別床として用いる場合、これらを直列に配置しても良く、並列に連結して配置しても良い。直列に配置する場合、どちらを前段に配置しても良い。但し、一般的には、装置の簡略化・小型化、精製効率の向上のために、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混床として使用することが好ましい。
【0098】
アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混床として使用する場合、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合比は、各イオン交換樹脂の交換容量、配管の材質、水中に存在する捕捉対象のイオン種等により異なるが、アニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂の交換容量比を、通常0.1以上、中でも0.5以上、また、通常10以下、中でも5以下の範囲とすることが好ましい。
【0099】
なお、強塩基性アニオン交換樹脂と弱塩基性アニオン交換樹脂とを組み合わせて用いる場合や、強酸性カチオン交換樹脂と弱酸性カチオン交換樹脂とを組み合わせて用いる場合にも、これらを同一の容器に混合して充填して混床として用いてもよく、別個の容器に分けて充填して別床として用いても良い。別床として用いる場合、これらは直列に配置することが好ましく、弱塩基性アニオン交換樹脂を強塩基性アニオン交換樹脂の前段に、弱酸性カチオン交換樹脂を強酸性カチオン交換樹脂の前段に、それぞれ配置することが好ましい。
【0100】
本発明では、純水の熱エネルギーを充分に利用するために、純水を高温のまま循環させて、電解セル30での電気分解及び脱塩器22,52でのイオン交換処理に供することを特徴とする。具体的に、脱塩器22,52に通過させる熱純水の温度は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上の範囲とする。但し、あまりに高温だとイオン交換樹脂に対する負担が大きく、圧力も急激に上昇するので、通常150℃以下、好ましくは125℃以下、特に好ましくは120℃以下、特に好ましくは99℃以下の範囲とする。
【0101】
イオン交換樹脂に対する熱純水の通過速度は、その熱純水中に存在する不純物の組成、イオン交換樹脂の形態(ゲル型、ポーラス型等)、熱純水の温度等により異なるが、通常SV0.5以上、好ましくはSV2以上、更に好ましくはSV5以上、また、通常SV200以下、好ましくはSV100以下、更に好ましくはSV40以下の範囲とする。なお、本明細書においてSVとは、単位空間当たりの通気速度又は通液速度を表わす。
【0102】
なお、脱塩器52については、電解セル30からの排水の全てを脱塩器52に通水させてもよいが、脱塩器52に並行するバイパス用の配管を設けて、排水の一部のみを脱塩器52に通水しても良い。脱塩器52へ通水させる排水の割合は、希望する気体の純度や排水の水質により適宜調整する。具体的には、脱塩器52通過後の純水の電気電導度が、通常10μS/cm以下、好ましくは5μS/cm以下の範囲となるように、脱塩器52へ通水させる排水の割合を調整することが望ましい。
【0103】
〔III〕 その他:
本発明の水電解式水素酸素生成装置は、水(特に純水)を高温のままイオン交換して精製することを趣旨としているため、上述の各機能要素にも、その趣旨に応じた程度の耐熱性が要求される。従って、上記の記載にて「耐熱性」とは、通常は70℃以上程度、好ましくは80℃以上程度、特に好ましくは85℃以上程度の温度の水に耐え得ることを指すものとする。熱純水や排水を扱う各機能要素をこの程度の高温に耐え得る設計とすることにより、装置内で純水を充分な高温に保ったまま扱うことが可能となり、水電解反応のエネルギー効率を向上させることができる。
【0104】
なお、上述の各実施形態において示した各機能要素の組み合わせは、勿論、上述のものに限られる訳ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて自由に、同様の機能を有する他の機能要素と交換したり、一部の機能要素を削除したり、他の機能要素を追加したりすることが可能であり、また、各機能要素の接続関係や順序についても、適宜変更することが可能である。特に、フィルタ23,53、ポンプ21,25,51、除湿器35,35’等の機能要素は、装置の設計上の要請や使用目的等に応じて適宜、追加・削除・移動が可能であり、また、各機能要素を接続する通水管や通気管についても、同様の要請や目的等に応じて適宜、追加・省略・分岐が可能である。
【0105】
以上、本発明につき実施形態を挙げて具体的に説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種々の形態で実施することが可能である。
【0106】
【実施例】
・脱塩器の作成:
〔実施例1〕
カチオン交換樹脂50mLとアニオン交換樹脂50mLとを、混床状態となるようにカラムに充填して脱塩器を作成した。カチオン交換樹脂としては、ダイヤイオンSK116(架橋度16モル%)を、4000g/L−樹脂の2N塩酸で再生してから用いた。また、アニオン交換樹脂としては、下記式(1)で表される構成単位を有するダイヤイオンTSA1200を用いた。
【0107】
【化7】
Figure 2004277808
上記式(1)のイオン形はOH形で示している。
【0108】
〔比較例1〕
カチオン交換樹脂としてダイヤイオンSK104(三菱化学)(架橋度4モル%)を用いた他は同様の条件で脱塩器を作成した。
【0109】
・評価1(カチオン交換樹脂の交換性能の酸素に対する安定性の評価):
実施例1及び比較例1の脱塩器に、溶存酸素濃度が1ppm±0.5ppmとなるように調製した80℃の熱純水を、SV30で30日間、上向流で連続通液した。通液された純水は再使用せず、1回のみの通液とした。通液前のカチオン交換樹脂と、通液後の脱塩器から回収したカチオン交換樹脂について、Na形における単位湿潤体積当たりの交換容量(meq/mL)を測定した。通液前の交換容量に対する通液後の交換容量の残存率を求めることにより、溶存酸素に対する交換性能の安定性を評価した。結果を下の表1に示す。
【0110】
【表1】
Figure 2004277808
【0111】
表1の結果より、架橋度が高い実施例1のカチオン交換樹脂は、架橋度が低い比較例1のカチオン交換樹脂に比べて、通液後の交換容量の残存率が高く、溶存酸素の存在下でも交換性能の劣化が少ないことが判る。
【0112】
・評価2(カチオン交換樹脂の酸素に対する化学的安定性の評価):
実施例1及び比較例1の脱塩器に用いたカチオン交換樹脂について、酸素に対する化学的安定性を加速試験で評価した。カチオン交換樹脂10mlに0.1%過酸化水素水400mlを加え、40℃で11ヶ月間振とうした。試験後、実施例1のカチオン交換樹脂について、樹脂の分解溶出物に起因する上澄み液のTOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)を測定し、溶存酸素に対する化学的安定性を評価した。結果を下の表2に示す。
【0113】
【表2】
Figure 2004277808
【0114】
比較例1においては、樹脂の分解物が上澄み液中に溶出しているのが目視で確認され、酸化分解を受けているのが明らかだったので、TOCの測定は行なわなかった。表2の結果より、架橋度が高い実施例1のカチオン交換樹脂は、架橋度が低い比較例1のカチオン交換樹脂に比べて、樹脂の分解・溶出が明らかに少ないことから、酸素条件下で酸化分解を受け難く、劣化し難いことが判る。
【0115】
・評価3(カチオン交換樹脂のアニオン交換樹脂に対する汚染性の評価):
評価1の終了後、実施例1及び比較例1の脱塩器からそれぞれ600μmのイオン交換樹脂を取り出した。得られたアニオン交換樹脂を1N水酸化ナトリウム水溶液で再生した。再生後のアニオン交換樹脂10mlを取り出して水分を除いた後、0.05N塩酸水溶液150ml及び塩化ナトリウム2.0gを入れた300mlビーカーに、25℃で攪拌しながら投入し、pH4.0に達するまでの時間を測定した。結果を下の表3に示す。
【0116】
【表3】
Figure 2004277808
【0117】
pH4.0に達するまでの時間が長いほど、アニオン交換樹脂の反応性が低下し、汚染が進行していると判断される。表3の結果より、架橋度が高いカチオン交換樹脂と混合した実施例1のアニオン交換樹脂は、架橋度が低いカチオン交換樹脂と混合した比較例1のアニオン交換樹脂に比べて、アニオン交換樹脂の反応性の低下が少なく、汚染が少ないことが判る。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、熱純水を精製する手段として、耐熱性のアニオン交換樹脂と高架橋度のカチオン交換樹脂とを併用することによって、熱純水を高温のままイオン交換することが可能となるので、水電解反応のエネルギー効率が向上する。また、殺菌処理や熱交換処理の工程を削減できるので、熱純水の精製に必要な構成を簡素化でき、本装置(水電解式水素酸素生成装置)の小型化・簡略化・低価格化を実現できる。さらに、カチオン交換樹脂の劣化とそれに伴う分解物の溶出を防止できるので、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂双方の脱塩性能の低下を抑えることができ、長時間にわたり安定した水質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態の変形例としての水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第2実施形態としての水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態の変形例としての水電解式水素酸素生成装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図5】従来及び本発明の水電解式水素酸素生成装置に使用される電解セルの基本的な構成を模式的に示す側面図である。
【図6】図5の電解セルが有する固体高分子電解質膜ユニットの基本的な構成を模式的に示す分解側断面図である。
【符号の説明】
1−1,1−1’,1−2,1−2’ 水電解式水素酸素生成装置
2,2’ 熱純水供給手段
21 ポンプ
22 脱塩器
23 フィルタ
24 純水タンク
25,25’ ポンプ
3,3’ 電気分解手段
30 電解セル
31 固体高分子電解質膜ユニット
311 固体高分子電解質膜
312 多孔質給電体
313 複極式電極板
314 触媒層
315 ガスケット
32,32’ 端部電極板
33 酸素分離タンク
34 水素分離タンク
35,35’ 除湿器
36 電解タンク
4 温度調整手段
40,40’ 温度調整器
41,41’ ヒータ
42,42’ 温度センサ
43,43’ コントローラ
5 熱純水精製手段
51 ポンプ
52 脱塩器
53 フィルタ

Claims (4)

  1. 熱純水を供給する熱純水供給手段と、
    該熱純水供給手段により供給される熱純水を電気分解して、水素ガスと酸素ガスとを生成する電気分解手段と、
    該電気分解手段で電気分解される熱純水の温度を調整する温度調整手段と、
    下記一般式(1)で表される構成単位を有するアニオン交換樹脂、及び、架橋度8モル%以上のカチオン交換樹脂を用いて、該電気分解手段で電気分解される熱純水中のイオンを除去することにより、前記熱純水を精製する熱純水精製手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、水電解式水素酸素生成装置。
    Figure 2004277808
    (上記一般式(1)中、Aは、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基にてベンゼン環に結合する炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数6以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
  2. 該カチオン交換樹脂が、下記一般式(2)で表される構成単位を有することを特徴とする、請求項1記載の水電解式水素酸素生成装置。
    Figure 2004277808
    (上記一般式(2)中、Yは、対カチオンを表わす。)
  3. 該カチオン交換樹脂の架橋度が12モル%以上、20モル%以下であることを特徴とする、請求項2記載の水電解式水素酸素生成装置。
  4. 熱純水を電気分解して水素ガスと酸素ガスとを生成する水電解式水素酸素生成装置に備えられ、熱純水中のイオンを除去することにより前記熱純水を精製する手段に用いられる脱塩器であって、
    下記一般式(1)で表される構成単位を有するアニオン交換樹脂、及び、架橋度8モル%以上のカチオン交換樹脂を含むことを特徴とする脱塩器。
    Figure 2004277808
    (上記一般式(1)中、Aは、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基にてベンゼン環に結合する炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、炭素数6以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006116086A (ja) * 2004-10-21 2006-05-11 Tokuyama Corp イオントフォレーシス装置用作用極構造体及びイオントフォレーシス装置
EP3396024A3 (de) * 2017-04-20 2019-03-13 H-TEC Systems GmbH Elektrochemievorrichtung und verfahren zum betrieb einer elektrochemievorrichtung

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