JP2004277772A - 処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】処理容器2にウェハWが収容され、所定の圧力下でシャワーヘッド12,22から処理ガスを供給しながら成膜処理が行われる。シャワーヘッド22は、処理ガスを供給するための複数の孔22aに対して個別に処理ガスを供給する細管24を有する。また、処理容器2内の空間において、シャワーヘッド32の孔32aが設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すための処理容器パージ機構を設けられる。更に、シャワーヘッド12内の空間において、孔12aが設けられた面に対して外周部にパージガスを流すためのシャワーヘッドパージ機構を設けてもよい。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は処理装置に係り、特に処理容器にガスを供給しながら処理容器内の基板に対して処理を行う処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ等の被処理基板上に薄膜を形成する装置として、化学気相反応(CVD)を用いて薄膜の形成を行う処理装置が知られている。CVD処理装置では、一般的に、表面に薄膜が形成される被処理基板を加熱しながら複数種類の処理ガスを被処理基板に供給し、処理容器内で処理ガスを化学反応させ、反応生成物として薄膜を被処理基板上に形成する。この際、被処理基板の上方に設けられたシャワーヘッドから処理ガスを処理容器内に供給することが一般的である。
【0003】
処理が終了した後の処理容器内の未反応の処理ガスや反応副生成物等は、処理容器の排気口から排気される。次の処理が行なわれる。この際、真空引きのみにより処理装置内を排気する場合もあるが、不活性ガス等を処理容器内に供給して強制的に処理ガスを追い出す、いわゆる不活性ガスパージを併用することが迅速な排気にとって効果的である。
【0004】
CVDとは異なる技術であるが、加熱した基板に減圧下で処理気体を供給して基板上に高品質な薄膜を形成する方法として、ALD(Atomic Layer Deposition)が近年注目されている。ALDにより形成した薄膜は、低不純物濃度であり、良好な面内均一性を有する。また、高ステップカバレージと称されるように、基板表面の形状(段差)に良好に追従した薄膜が得られることもALDの特徴である。さらに、ALDによれば、従来のCVDよりも低温で薄膜を形成することができ、且つ高精度の膜厚制御を達成することができる。
【0005】
ALDでは複数種類の原料ガスを交互に基板に対して供給して、基板上で反応させて反応生成物の非常に薄い膜を形成する。この際、原料ガスが基板上に到達する前に反応してしまわないように、複数種の原料ガスを切り替えながら一種類毎に供給する必要がある。すなわち、一つの種類のガスだけを基板に供給したら、そのガスを完全に排気し、次に異なる種類の原料ガスを供給する。この処理を繰り返してある程度の厚さの薄膜に成長させる。
【0006】
このような原料ガスを切り替えて供給する処理方法では、原料ガスの切り替えを高速に行なうことがスループット向上のために不可欠である。原料ガスの切り替えには、供給した一種類の原料ガスを処理容器から完全に排出してから次の種類の原料ガスを供給するという工程が行なわれる。したがって、原料ガスを処理容器から排出するには、原料ガスの供給を停止した際に処理容器内に残留する原料ガスを高速で排気あるいは不活性ガスによりパージすることが、処理の高速化にとって有効である。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−89873号公報
【0008】
【特許文献2】
米国特許出願公開第2003/0003730号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、処理容器内に処理ガスを供給した後、処理ガスを排気するための不活性ガスパージ(以下、単にパージと称する)は、処理ガスを供給するためのシャワーヘッドを通じて不活性ガスを処理容器内に供給する方法が一般的である。
【0010】
図1は処理容器の排気をパージにより行なう処理装置の一例としてリモートプラズマALD装置の全体構成を示す図である。図1に示すALD装置は、処理ガスとプラズマ化した他の種類の処理ガスとを交互に被処理基板であるウェハW上に供給しながら窒化チタン(TiN)膜を生成する装置である。
【0011】
被処理基板としてのウェハWは、処理容器2内に設けられた載置台4に載置される。載置台4はウェハWを例えば400℃程度に加熱するためのヒータ(図示せず)を有している。処理容器2の底部にはターボ分子ポンプ(TMP)6が接続され、処理容器内のガスを真空排気する。ターボ分子ポンプ6により排気されたガスは、ドライポンプ8及びトラップ10を介して外部に排気される。
【0012】
処理容器2の上部には、ウェハWの処理面に対向するようにシャワーヘッド12が設けられる。シャワーヘッド12には、第1の処理ガスとしてTiCl4+N2が第1の処理ガス供給装置14から供給され、処理ガスは多数の孔12aから処理容器2内に導入される。また、第2の処理ガス供給装置(IGS)16から供給される第2の処理ガスNH3+H2及び第3の処理ガスSiH4+N2がリモートプラズマ源(RPS)18によりプラズマ化され、シャワーヘッド12に供給される。ここで、第1の処理ガスTiCl4+N2とプラズマ源18からのプラズマとは交互にシャワーヘッド12に供給される。
【0013】
ここで、シャワーヘッド12には、パージガス供給装置20が接続される。パージガス供給装置20からは、不活性ガスとして例えばN2がシャワーヘッド12に供給される。すなわち、TiCl4の供給とプラズマの供給との間において、N2がシャワーヘッド12を介して処理容器2にパージされ、N2により処理容器2内から残留ガス及び反応副生成物が追い出される。
【0014】
図1に示す従来の処理装置では、N2パージがシャワーヘッド12を介して行われるが、シャワーヘッド12の内部や処理容器2の内部でのガスの流れは一様ではなく、ガスの流れが滞る部分がある。特に、図1中で点線の円で示す部分のように空間の隅の部分ではガスの流れが滞るため、パージガスがうまく行き渡らずに、処理ガスが残留してしまうおそれがある。
【0015】
上述のように処理ガスが残留すると、処理ガスの排気のための真空引き(及びパージ)時間が長くなり、処理全体に要する時間が増大してしまうという問題がある。また、残留ガスの排気が不完全となり、所望の純度の高い薄膜を形成できないといった問題も発生する。
【0016】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、シャワーヘッド及び処理容器内の残留ガスの排気を効率的に短時間で行なうことのできる処理装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、該シャワーヘッドに処理ガスを供給するガス供給配管とを有する処理装置であって、前記シャワーヘッドは、前記複数の孔に対して個別に処理ガスを供給する細管を有しており、該細管の他端は一箇所でガス供給通路に接続されることを特徴とする処理装置が提供される。
【0018】
上述の発明において、前記細管の各々は、前記ガス供給配管と前記複数の孔の各々との間を滑らかな曲線を描きながら接続することが好ましい。また、前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間に前記ガス供給配管を介して前記シャワーヘッドにパージガスを供給して前記処理容器内のパージを行うことが好ましい。
【0019】
上述の発明によれば、細管により処理ガスおよびパージガスをシャワーヘッドの複数の孔に供給するため、シャワーヘッド内で処理ガスやパージが滞留する部分がなくなり、短時間で十分なパージを行なうことができる。
【0020】
また、本発明によれば、被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、前記処理容器内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すための処理容器パージ機構とを有する処理装置であって、前記処理容器パージ機構は、前記処理容器の側壁で前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられたパージガス供給口と、該パージガス供給口と反対側の前記処理容器の側壁に設けられたパージガス排気口とを有することを特徴とする処理装置が提供される。
【0021】
上述の発明による処理装置は、前記シャワーヘッド内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すためのシャワーヘッドパージ機構を更に有することが好ましい。また、前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間で前記処理ガスの供給が停止されている間に、前記処理容器パージ機構と前記シャワーヘッドパージ機構とのうちいずれか一方又は両方によりパージを行なうことが好ましい。
【0022】
上述の発明によれば、処理容器パージ機構により処理容器内の空間でガスが滞留しやすい部分を直接パージすることができる。また、シャワーヘッドパージ機構によりシャワーヘッド内の空間でガスが滞留しやすい部分を直接パージすることができる。これらのパージ機構によるパージは、従来のパージガスの流れとは異なる流れにより行なうため、十分な両のパージガスを短時間で流すことができ、効率のよいパージを行なうことができる。
【0023】
また、パージガスを流さずに前記処理容器パージ機構と前記シャワーヘッドパージ機構のうちからいずれか一方又は両方で排気側のみ開放し、短時間で排気・真空引きを行なうことができる。
【0024】
また、本発明によれば、被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、前記シャワーヘッド内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すためのシャワーヘッドパージ機構と
を有する処理装置であって、前記シャワーヘッドパージ機構は、前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられたパージガス供給口と、該パージガス供給口と反対側の側壁に設けられたパージガス排気口とを有することを特徴とする処理装置が提供される。
【0025】
上述の発明において、前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間で前記処理ガスの供給が停止されている間に、前記シャワーヘッドパージ機構によりパージを行なうことが好ましい。
【0026】
上述の発明によれば、シャワーヘッドパージ機構によりシャワーヘッド内の空間でガスが滞留しやすい部分を直接パージすることができる。シャワーヘッドパージ機構によるパージは、従来のパージガスの流れとは異なる流れにより行なうため、十分な両のパージガスを短時間で流すことができ、効率のよいパージを行なうことができる。
【0027】
また、本発明によれば、被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、前記処理容器内であって、前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられ、前記処理容器の内壁に沿ってパージガスを流すための外周パージ機構とを有する処理装置であって、前記外周パージ機構は、前記処理容器の内壁に沿って形成された環状のノズル部を有し、該ノズル部に設けられた複数のノズルからパージガスを処理容器内に供給することを特徴とする処理装置が提供される。
【0028】
上述の発明において、前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給と同時に連続して前記外周パージ機構によりパージを行なうことが好ましい。
【0029】
上述の発明によれば、外周パージ機構により処理容器内の空間の隅に発生するガスが滞留しやすい部分に常時パージガスを流すことができ、ガスの滞留が少ないため、十分なパージを短時間で行なうことができる。また、処理容器の壁面が常時パージガスで覆われるため、壁面への処理ガス等の吸着を防止することができる。
【発明の実施の形態】
まず、本発明の第1実施例について図2を参照しながら説明する。図2は本発明の第1実施例による処理装置に設けられるシャワーヘッドの構成を示す図である。なお、本発明の第1実施例による処理装置は、シャワーヘッドを除いて図1に示す従来の処理装置と同様な構成であり、その説明は省略する。
【0030】
図2に示すシャワーヘッド22は、載置台4に載置された被処理基板としてのウェハWの被処理面に対向した状態で処理容器2の上部に設けられる。シャワーヘッド22には、多数の小さな孔22aが設けられ、孔22aを通じて処理ガスが処理容器2内に供給される。また、パージガスとしてのN2もシャワーヘッド22の孔22aから処理容器2に供給される。
【0031】
本実施例では、シャワーヘッド22に接続される部分が、多数の細管24により形成されている。細管24の一端はシャワーヘッド22の孔22aの各々に接続され、他端は一箇所に集められて処理ガス供給配管26に接続されている。したがって、処理ガス供給配管26を通じて供給される処理ガス及びパージガスN2は、処理ガス供給配管26から細管24に分かれてシャワーヘッド22の各孔22aに到達し、処理容器2内へと供給される。細管24は処理ガス供給配管26とシャワーヘッド22の各孔22aとをなるべく滑らかな曲線で繋ぐように形成されている。
【0032】
以上のように、シャワーヘッド22には、従来のシャワーヘッドのように孔22aの手前に大きな空間がなく、ガスが淀んで滞留する部位(デッドスペース)が存在しない。すなわち、シャワーヘッド22内のガス通路は小さな径の細管(通路)24に分けられて各々独立してガスが流れるようになっているため、ガスが淀むような空間が形成されることがなく、細管24に流入したガスは連続して流入してくるガスにより押し出されるような状態(プラグフロー)でシャワーヘッド22から処理容器2内に供給される。
【0033】
したがって、シャワーヘッド22内で処理ガスが滞留することがなく、また、シャワーヘッド22内の空間の容積も小さいので、シャワーヘッド22内の残留処理ガスがパージガスN2により置換される時間が短くなる。
【0034】
なお、本実施例ではパージガスとしてN2を用いているが、ArやHe等の他の不活性ガスを用いてもよい。
【0035】
次に、本発明の第2実施例について、図3を参照しながら説明する。図3は本発明の第2実施例による処理装置を示す構成図である。図3に示す処理装置は、全体の構成は図1に示す処理装置と同様であるが、シャワーヘッドと処理容器に対してパージガスを処理容器側壁面から供給し排気する構成が追加された点が異なる。
【0036】
図3に示す処理装置は、処理容器2A内に設けられた載置台4上にウェハWを載置し、処理容器2A内で処理を施す。処理容器2Aの底部にはターボ分子ポンプ6が接続され、処理容器2A内を排気する。ターボ分子ポンプ6により排気されたガスは、ドライポンプ8及びトラップ10を介して外部に排気される。
【0037】
処理容器2Aの上部には、ウェハWの処理面に対向するようにシャワーヘッド32が設けられる。シャワーヘッド32には、第1の処理ガスとしてTiCl4+N2が第1の処理ガス供給装置14(図1参照)から供給され、処理ガスは多数の孔32aから処理容器2A内に導入される。また、第2の処理ガス供給装置(IGS)16(図1参照)から供給される第2の処理ガスNH3+H2及び第3の処理ガスSiH4+N2がリモートプラズマ源(RPS)18(図1参照)によりプラズマ化され、シャワーヘッド32に供給される。ここで、第1の処理ガスTiCl4+N2とプラズマ源18からのプラズマとは、ガス供給配管26を通じて交互にシャワーヘッド32に供給される。
【0038】
シャワーヘッド32には、パージガス供給装置20が接続される。パージガス供給装置20からは、不活性ガスとして例えばN2がガス供給配管26を介してシャワーヘッド32に供給される。すなわち、TiCl4の供給とNH3のプラズマの供給との間において、N2がシャワーヘッド32を介して処理容器2Aにパージされ、N2により処理容器2内から残留ガス及び反応副生成物が追い出される。
【0039】
本実施例では、上述のパージ機構に加え、載置台4とシャワーヘッド32との間の空間を水平方向にパージする処理容器パージ機構と、シャワーヘッド32の内部の空間を水平方向にパージするシャワーヘッドパージ機構が設けられる。
【0040】
処理容器パージ機構は、載置台4とシャワーヘッド32との間において、処理容器2Aの壁面に設けられたパージガス供給口34Aと、パージガス供給口34Aの水平方向反対側の壁面に設けられたパージガス排気口34Bとを有する。パージガス供給口34Aには、パージガス供給装置36が接続される。また、パージガス排気口34Bは、排気配管38を介してターボ分子ポンプ6の吸入口に接続される。
【0041】
パージガス供給口34Aには、パージガス供給装置36からパージガスとしてN2が供給され、N2は処理容器2A内を水平方向に流れるように処理容器の壁面から供給される。したがって、パージガス供給口34Aから供給されたN2は、載置台4とシャワーヘッド32との間の空間を水平方向に流れ、パージガス排気口34Bに流入し、排気配管38を流れてターボ分子ポンプ6により排気される。ここで、上述の水平方向とは、シャワーヘッド32の孔32aからガスが吐出する方向を垂直とした場合の水平方向という意味であり、シャワーヘッドの孔32aが形成された面に対して実質的に平行な方向ということもできる。
【0042】
したがって、図1に示す従来の処理装置の隅において点線で示すようなガスの滞留しやすい空間に対して、水平方向にパージガスが流れるため、滞留している処理ガスのパージを効率よく行なうことができる。
【0043】
また、処理容器パージ機構は処理ガスを供給するためのシャワーヘッド32とは分離した別個のパージ専用のガス供給機構であり、処理ガスを均一に供給する等の制約がないため、パージガスに対するコンダクタンスを大きくとることができる。このため、多量のパージガスを迅速に流して排気することができ、パージに要する時間が短縮される。
【0044】
図4は、上述の処理容器パージ機構において処理容器2Aの壁面に設けられたパージガス供給口34Aと、パージガス供給口34Aの水平方向反対側の壁面に設けられたパージガス排気口34Bとを示す平面図である。図4中には、シャワーヘッド32(孔32aを含む)と、処理容器2A内の載置台4に載置されたウェハWとが透視した状態で描かれている。
【0045】
図4に示すように、パージガス供給口34Aからパージガスが供給され、パージガスは処理容器2A内を水平方向に流れる。したがって、パージガス供給口34Aから供給されたパージガスは、載置台4上のウェハWとシャワーヘッド32との間の空間を水平方向に流れ、パージガス排気口34Bに流入する。この際、載置台4上のウェハWとシャワーヘッド32との間の空間に滞留している残留処理ガスや反応副生成物がパージガスにより押し出され、パージガス排気孔34Bに流れ込む。
【0046】
なお、パージガス供給口34A及びパージガス排気口34Bには夫々開閉弁40A,40Bが設けられる。開閉弁40A,40Bは、処理ガスが供給されている間は閉じており、パージの時にのみ開くように制御される。開閉弁40Aを閉じたまま開閉弁40Bを開ければ、排気のみを行なうこともできる。
【0047】
シャワーヘッドパージ機構は、シャワーヘッド32の空間に対してパージガスを供給するように設けられる。シャワーヘッドパージ機構は上述の処理容器パージ機構と同様な構成を有する。すなわち、シャワーヘッドパージ機構は、シャワーヘッド32を構成する壁面に設けられたパージガス供給口42Aと、パージガス供給口42Aの水平方向反対側の壁面に設けられたパージガス排気口42Bとを有する。パージガス供給口42Aには、パージガス供給装置36が接続される。また、パージガス排気口42Bは、排気配管44を介してターボ分子ポンプ6の吸入口に接続される。
【0048】
パージガス供給口42Aには、パージガス供給装置36からパージガスとしてN2が供給され、N2はシャワーヘッド32内を水平方向に流れるようにシャワーヘッド32の壁面から供給される。したがって、パージガス供給口42Aから供給されたN2は、シャワーヘッド32内の空間を水平方向に流れ、パージガス排気口42Bに流入し、排気配管44を流れてターボ分子ポンプ6により排気される。
【0049】
したがって、図1に示す従来のシャワーヘッドの隅において点線で示すようなガスの滞留しやすい空間に対して、水平方向にパージガスが流れるため、滞留している処理ガスのパージを効率よく行なうことができる。
【0050】
また、シャワーヘッドパージ機構は処理ガスを供給するためのシャワーヘッド32とは分離した別個のパージ専用のガス供給機構であり、パージガスに対するコンダクタンスを大きくとることができる。このため、多量のパージガスを迅速に流して排気することができ、パージに要する時間が短縮される。
【0051】
なお、シャワーヘッドパージ機構においても、処理容器パージ機構と同様に、パージガス供給口42A及びパージガス排気口42Bには夫々開閉弁46A,46Bが設けられる。開閉弁46A,46Bは、処理ガスが供給されている間は閉じており、パージの時にのみ開くように制御される。
【0052】
ここで、本実施例による処理装置におけるガス供給動作について、図5を参照しながら説明する。図5は図3に示す処理装置におけるガス供給及びパージ動作のタイムチャートである。
【0053】
まず、図5(a)に示すように、シャワーヘッド32を介して原料ガスとしてTiCl4が処理容器2Aに供給される。所定量の原料ガスが供給されると、原料ガスの供給は停止され、ガス供給配管26からパージガスとしてN2がシャワーヘッド32に供給される。したがって、図5(b)に示すように、シャワーヘッド32の孔32aから処理容器2A内にパージガスが供給される。これと同時に、図5(d)、(e)に示すように、処理容器パージ機構及びシャワーヘッドパージ機構によりパージガスが処理容器2A及びシャワーヘッド32に供給される。したがって、シャワーヘッド32を介した従来の処理ガスの流路に沿ったパージに加えて、処理容器2Aとシャワーヘッド32内をパージガスが水平に流れるようにパージが行なわれる。
【0054】
パージが終了すると、次に図5(c)に示すように、反応ガスとしてリモートプラズマ源8から所定のガスのプラズマが、ガス供給配管26を介してシャワーヘッド32に供給される。シャワーヘッド32に供給されたプラズマは、シャワーヘッド32の孔32aを通じて処理容器2A内に供給され、ウェハW上に吸着された処理ガスと反応する。
【0055】
所定量のプラズマが供給されると、プラズマの供給は停止され、図5(b),(d),(e)に示すように再度パージが行なわれる。このときのパージも上述の処理ガスのパージと同様に、通常のシャワーヘッド32からのパージガスの流れに加えて、処理容器パージ機構及びシャワーヘッドパージ機構による水平方向のパージが行なわれる。
【0056】
パージが終了すると、再び処理ガスが処理容器2Aに供給され、以上の動作が繰り返し行われる。
【0057】
以上のように、本実施例による処理装置では、通常のパージに加えて処理容器パージ機構及びシャワーヘッドパージ機構により、処理容器2A及びシャワーヘッド32内の空間を水平方向にパージするので、処理ガスや反応ガスの滞留がなくなり、パージ時間を短縮することができる。したがって、高品質の薄膜を短時間で生成することができるという利点を有する。
【0058】
なお、上述の処理容器パージ機構及びシャワーヘッドパージ機構は、必ずしも両方設ける必要はなく、いずれか一方だけであっても、デッドスペースでの処理ガスの滞留を防止し、パージ時間を短縮するという効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施例ではパージガスとしてN2を用いているが、ArやHe等の他の不活性ガスを用いてもよく、パージガスを使わない排気のみの真空引きでもよい。
【0060】
次に、本発明の第3実施例について、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は本発明の第3実施例による処理装置の処理容器を示す断面図であり、図7は図6のVII−VII線に沿った断面図である。本発明の第3実施例による処理装置は、シャワーヘッドの外周部分に設けられた外周パージ機構を除いて、図1に示す処理装置と同様な構成であり、外周パージ機構以外の詳細な説明は省略する。
【0061】
図6に示すように、外周パージ機構はノズル部50とノズル部50に接続されたパージガス供給装置52とを有する。パージガス供給装置52は、パージガス供給通路54を介してノズル部50にN2等のパージガスを供給する。パージガス供給通路54にはパージガスの供給・停止を制御する開閉弁56が設けられる。
【0062】
図7に示すように、ノズル部50はシャワーヘッド12の外周に沿った環状の通路を形成する部材であり、円周方向に沿って複数のノズル孔50aが設けられる。ノズル孔50aは、シャワーヘッド12の外周部から処理容器2の壁面に沿って下向きにパージガスが供給されるように配置される。ノズル孔50aから噴出したパージガスは、処理容器2の底部に設けられたターボ分子ポンプ6(図1参照)により排気される。
【0063】
以上のような構成の外周パージ機構によれば、図1に点線で示すような処理容器2の隅にパージガスを直接流すので、処理容器内で処理ガス等が滞留するようなデッドスペースの発生を防止することができる。
【0064】
なお、外周パージ機構によるパージは、シャワーヘッド12を介した従来のパージと同時に行うことでもよいが、シャワーヘッド12から処理ガスを供給している間も連続的に行なうこととしてもよい。
【0065】
すなわち、ノズル孔50aから連続的にパージガスを処理容器2の側壁に沿って流し、処理容器2の底部からターボ分子ポンプにより排気する。これにより、処理容器の壁面がパージガスの流れにより常時覆われ、処理ガスが処理容器の壁面と接触し難くなる。したがって、処理ガスが処理容器の壁面に吸着されることが防止される。処理容器の壁面に吸着された処理ガスは、完全に排出するのに時間がかかるため、処理ガスの吸着を防止することは、処理容器内を短時間で十分な排気状態とすることに大きく寄与する。
【0066】
ここで、本実施例による処理装置におけるガス供給動作について、図8を参照しながら説明する。図8は図6に示す処理装置におけるガス供給及びパージ動作のタイムチャートである。
【0067】
ウェハWの処理を始めるには、まず処理容器2内を所定の真空状態としてから、図8(d)に示すように外周パージ機構によりノズル孔50aからN2等のパージガスが処理容器2の内面に沿って供給される。
【0068】
次に、図8(a)に示すように、シャワーヘッド12を介して原料ガスとしてTiCl4が処理容器2に供給される。この際、外周パージ機構によるパージは連続して行なわれている。所定量の原料ガスが供給されると、原料ガスの供給は停止され、ガス供給配管26からパージガスとしてN2がシャワーヘッド12に供給される。したがって、図8(b)に示すように、シャワーヘッド12の孔12aから処理容器2内にパージガスが供給される。
【0069】
シャワーヘッド12を介したパージが終了すると、次に図8(c)に示すように、反応ガスとしてリモートプラズマ源8から所定のガスのプラズマが、ガス供給配管26を介してシャワーヘッド12に供給される。シャワーヘッド12に供給されたプラズマは、シャワーヘッド12の孔12aを通じて処理容器2内に供給され、ウェハW上に吸着された処理ガスと反応する。このときにも、外周パージ機構によるパージは連続して行なわれている。
【0070】
所定量のプラズマが供給されると、プラズマの供給は停止され、図8(b)に示すようにシャワーヘッド12を介したパージが行なわれ、未反応のプラズマ及び反応副生成物が処理容器2から排出される。このときにも、外周パージ機構によるパージは連続して行なわれている。
【0071】
パージが終了すると、再び処理ガスが処理容器2に供給され、以上の動作が繰り返し行われる。
【0072】
以上のように、本実施例による処理装置では、通常のパージに加えて外周パージ機構により、処理容器2の内壁面に沿った空間を連続的にパージするので、原料ガスや反応ガスの滞留がなくなり、パージ時間を短縮することができる。したがって、高品質の薄膜を短時間で生成することができるという利点を有する。また、原料ガスや反応ガスが処理容器2の壁面へ吸着されることを防止するので、短時間で十分な排気を行なうことができるという効果もある。
【0073】
なお、本実施例ではパージガスとしてN2を用いているが、ArやHe等の他の不活性ガスを用いてもよい。
【0074】
次に、上述の実施例による処理装置を用いて効率的に行なうことができる成膜処理例について以下に記す。
【0075】
1)TiN膜の生成
a)原料ガス: TiCl4、TiF4,TiBr4,TiI4,Ti[N(C2H5CH3)]4(TEMAT),Ti[N(CH3)2]4(TDMAT),Ti[N(C2H5)2)]4(TDEAT))
b)反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
2)TiSiN膜の生成
a)原料ガス: TiCl4、TiF4,TiBr4,TiI4,Ti[N(C2H5CH3)]4(TEMAT),Ti[N(CH3)2]4(TDMAT),Ti[N(C2H5)2)]4(TDEAT))
b)第1の反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
c)第2の反応ガス: SiH4,Si2H6,SiH2Cl2,SiCl4
3)TaN膜の生成
a)原料ガス: TaF5、TaCl5,TaBr5,TaI5,Ta[N(C2H5CH3)]5(PEMAT),Ta[N(CH3)2]5(PDEAT),Ta(NC(CH3)3)N(C2H5)2)3(TBTDET)
b)反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
4)TaSiN膜の生成
a)原料ガス: TaF5、TaCl5,TaBr5,TaI5,Ta[N(C2H5CH3)]5(PEMAT),Ta[N(CH3)2]5(PDEAT),Ta(NC(CH3)3)N(C2H5)2)3(TBTDET)
b)第1の反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
c)第2の反応ガス: SiH4,Si2H6,SiH2Cl2,SiCl4
5)WN膜の生成
a)原料ガス: WF6,W(CO)6
b)反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
6)WSiN膜の生成
a)原料ガス: WF6,W(CO)6
b)第1の反応ガス: NH3,N2H4,NH(CH3)2,N2H3CH3
c)第2の反応ガス: SiH4,Si2H6,SiH2Cl2,SiCl4
7)Ti膜の生成
a)原料ガス: TiCl4、TiF4,TiBr4,TiI4,Ti[N(C2H5CH3)]4(TEMAT),Ti[N(CH3)2]4(TDMAT),Ti[N(C2H5)2)]4(TDEAT))
b)反応ガス: H*
8)Ta膜の生成
a)原料ガス: TaF5、TaCl5,TaBr5,TaI5,Ta[N(C2H5CH3)]5(PEMAT),Ta[N(CH3)2]5(PDEAT),Ta(NC(CH3)3)N(C2H5)2)3(TBTDET)
b)反応ガス: H*
9)W膜の生成
a)原料ガス: WF6,W(CO)6
b)反応ガス: H*
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、シャワーヘッド及び処理容器内の残留ガスの排気を効率的に短時間で行なうことのできる処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の処理装置の一例としてリモートプラズマALD装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例による処理装置に設けられるシャワーヘッドの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例による処理装置を示す構成図である。
【図4】図3に示すパージ機構において処理容器壁面に設けられたパージガス供給口とパージガス排気口とを示す平面図である。
【図5】図3に示す処理装置におけるガス供給及びパージ動作のタイムチャートである。
【図6】本発明の第3実施例による処理装置の処理容器を示す断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図6に示す処理装置におけるガス供給及びパージ動作のタイムチャートである。
【符号の説明】
2 処理容器
4 載置台
6 ターボ分子ポンプ
8 ドライポンプ
10 トラップ
12 シャワーヘッド
14 第1の処理ガス供給装置
16 第2の処理ガス供給装置(IGS)
18 リモートプラズマ源(RPS)
20 パージガス供給装置20
22,32 シャワーヘッド
22a 孔
24 細管
26 処理ガス供給配管
34A,42A パージガス供給口
34B,42B パージガス排気口
36 パージガス供給装置
38,44 排気配管
40A,46A パージガス供給バルブ
40B,46B パージガス排気バルブ
50 ノズル部
50a ノズル孔
52 パージガス供給装置
54 パージガス供給通路
56 開閉弁
Claims (11)
- 被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、
該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、
該シャワーヘッドに処理ガスを供給するガス供給配管とを有する処理装置であって、
前記シャワーヘッドは、前記複数の孔に対して個別に処理ガスを供給する細管を有しており、該細管の他端は一箇所でガス供給通路に接続されることを特徴とする処理装置。 - 請求項1記載の処理装置であって、
前記細管の各々は、前記ガス供給配管と前記複数の孔の各々との間を滑らかな曲線を描きながら接続することを特徴とする処理装置。 - 請求項1又は2記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間に前記ガス供給配管を介して前記シャワーヘッドにパージガスを供給して前記処理容器内のパージを行うことを特徴とする処理装置。 - 被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、
該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、
前記処理容器内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すための処理容器パージ機構とを有する処理装置であって、
前記処理容器パージ機構は、前記処理容器の側壁で前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられたパージガス供給口と、該パージガス供給口と反対側の前記処理容器の側壁に設けられたパージガス排気口とを有することを特徴とする処理装置。 - 請求項4記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッド内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すためのシャワーヘッドパージ機構を更に有することを特徴とする処理装置。 - 請求項4または5記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間で前記処理ガスの供給が停止されている間に、前記処理容器パージ機構と前記シャワーヘッドパージ機構とのうちいずれか一方又は両方によりパージを行なうことを特徴とする処理装置。 - 請求項4または5記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間で前記処理ガスの供給が停止されている間に、前記処理容器パージ機構と前記シャワーヘッドパージ機構とのうちいずれか一方又は両方により前記処理ガスの排気を行なうことを特徴とする処理装置。 - 被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、
該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッド内の空間において、前記シャワーヘッドの前記孔が設けられた面に対して実質的に平行な方向にパージガスを流すためのシャワーヘッドパージ機構とを有する処理装置であって、
前記シャワーヘッドパージ機構は、前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられたパージガス供給口と、該パージガス供給口と反対側の側壁に設けられたパージガス排気口とを有することを特徴とする処理装置。 - 請求項8記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給の間で前記処理ガスの供給が停止されている間に、前記シャワーヘッドパージ機構によりパージを行なうことを特徴とする処理装置。 - 被処理基板が収容され、処理が施される処理容器と、
該処理容器に設けられ、該被処理基板の被処理面に対向した面に設けられた複数の孔から処理ガスを前記処理容器内に供給するシャワーヘッドと、
前記処理容器内であって、前記シャワーヘッドの外周部に近接して設けられ、前記処理容器の内壁に沿ってパージガスを流すための外周パージ機構とを有する処理装置であって、
前記外周パージ機構は、前記処理容器の内壁に沿って形成された環状のノズル部を有し、該ノズル部に設けられた複数のノズルからパージガスを処理容器内に供給することを特徴とする処理装置。 - 請求項8又は10記載の処理装置であって、
前記シャワーヘッドから複数種類の処理ガスを交互に前記処理容器内に供給し、前記処理ガスの交互供給と同時に連続して前記外周パージ機構によりパージを行なうことを特徴とする処理装置。
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