JP2004277469A - 洗浄性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ又は皮脂成分を含む油脂汚れ及びそれらが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを除去することが可能な洗浄性組成物を提供する。
【解決手段】洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなることを特徴とする洗浄性組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は洗浄性組成物に関し、さらに詳しくは、台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ又は皮脂成分を含む油脂汚れ(以下「油汚れ等」という)及びそれらが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを除去することが可能な洗浄性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】被洗浄物の表面を洗浄する方法又は組成物はよく知られているところである。例えば、圧縮空気のような噴射剤と一般に粘土鉱物からなる研磨材のサスペンションを、被洗浄物としての機械部品(例えば、ドリルビット、ホブカッター、ピニオン、ピニオンギア及び歯板等)の表面に吹き付けて、こびり付いた汚れを機械的に除去する方法がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】また、被洗浄物としての床に均一に適用可能なエアゾール型のフォーム状洗浄性組成物も知られている(例えば、特許文献3参照)。この洗浄性組成物は、ベントナイトの粘土鉱物、研磨粒子及びアルコール等の液体成分を含み上記のような噴射剤を含まない。そして、この洗浄性組成物は清掃パッドに付けて被洗浄物を洗浄するが、頑固な油汚れ等の洗浄効果は低いという問題があった。
【0004】また、エアゾール型の洗浄性組成物には、ワックス及びポリシロキサンの組成物を含むタイプもあって、光沢をもった非吸着性の硬い表面の洗浄及び研磨に用いられる(例えば、特許文献4参照)。
【0005】さらに、例えば台所、浴室、トイレその他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ等に対しては、洗浄性溶剤としてのd−リモネンを含有する洗浄性組成物が最近使用されている。d−リモネンは、油汚れ等との親和性又は浸透性に優れ、油汚れ等に強力に作用して化学的に分解、除去をすることができるほか、柑橘類の油に含まれる天然成分であるため環境に大きな負荷をかけることはほとんどないからである。
【0006】一般に、この洗浄性組成物は洗浄性溶剤としてのd−リモネンのほか噴射剤をも含みエアゾールとなって使用される。また、エアゾール型の洗浄性組成物には研磨材が更に添加されることもあり、例えば油汚れ等が経時的に変質して被洗浄物に焦げ付いた汚れとなった場合にも、その研磨材の吹きつけによって被洗浄物から機械的に除去できる場合がある。例えば、被洗浄物がステンレスからなる金属製調理器具(ステンレス製鍋等)の場合がそうである。また、研磨材で完全に除去できなくても、その後、ウエスや紙等により焦げ付きの汚れを比較的容易に払拭することができる場合がある(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第92/10335号パンフレット
【特許文献2】
旧ソ連国発明者証第SU1553212号
【特許文献3】
米国特許第3650956号明細書
【特許文献4】
加国特許第1041686号明細書(開示の要約)
【特許文献5】
特開2001−187899号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】焦げ付きの汚れがひどくて被洗浄物に強固に付着している場合は、単に研磨材又はウエスを使用しただけでは、その汚れを除去及び/又は払拭することは容易でない。例えば、被洗浄物が焦げ付いたり、又は金属の錆により変色する場合がそうである。従って、ひどい焦げ付きの汚れが被洗浄物に強固に付着していても、被洗浄物を傷めることなく、かかる汚れを化学的方法及び機械的方法により被洗浄物から容易かつ効果的に除去できる洗浄性組成物が求められる。そこで本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ等及びそれらが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを除去することが可能な洗浄性組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によって以下の洗浄性組成物が提供される。
【0010】
[1] 洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、前記洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなることを特徴とする洗浄性組成物。
【0011】
[2] 前記研磨砥粒が、粒径が0.1〜100μmの微粒子を主成分とするものである[1]に記載の洗浄性組成物。
【0012】
[3] 前記噴射剤が、液化石油ガス(LPG)、メチルエーテル(DME)又はこれらの混合物を含むものである[1]又は[2]に記載の洗浄性組成物。
【0013】
[4] 前記DMEの含有量に対するLPG含有量の質量比の値(LPG/DME)が、10/90〜90/10である[1]〜[3]のいずれかに記載の洗浄性組成物。
【0014】
[5] 前記希釈剤が水である[1]〜[4]のいずれかに記載の洗浄性組成物。
【0015】
[6] 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である[1]〜[5]のいずれかに記載の洗浄性組成物。
【0016】このように、洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、前記洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなる洗浄性組成物であるため、台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ等及びそれらが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを除去することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0018】本発明の洗浄性組成物は、洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなることを特徴とするものである。
【0019】研磨砥粒の平均粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることが更に好ましい。1μmより小さいと、研磨砥粒の添加による汚れ除去効果の向上がみられなくなり、20μmより大きいと対象物の傷付き度合いが激しく外観を損なう傾向がある。そして、本発明者は、研磨材が平均粒径1〜20μmの研磨砥粒からなると、洗浄性組成物のクリーニング性を高めることができることを見出した。すなわち、被洗浄物に強固に付着しているひどい焦げ付きの汚れも、本実施の形態の洗浄性組成物よると、被洗浄物に顕著な傷を付けることなく被洗浄物から容易に除去することができることを明らかにした。
【0020】また、研磨砥粒は、粒径が0.1〜100μmの微粒子を主成分とすることが好ましく、粒径が0.1〜50μmの微粒子を主成分とすることがより好ましい。0.1μmより小さいと、研磨砥粒の添加による汚れ除去効果の向上がみられなくなり、100μmより大きいと対象物の傷付き度合いが激しくなるため好ましくない。
【0021】研磨砥粒は、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、二酸化珪素、酸化セリウムからなる群から選択される少なくとも一種の微粒子であることが好ましい。なぜなら、被洗浄物に対して硬く、除去能力が高いからである。
【0022】研磨材の配合率は、洗浄性組成物の全体に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。0.1質量%より少ないと、研磨材の添加による汚れ除去効果の向上がみられなくなり、30質量%より多いと、スラリー濃度が高いため洗浄性組成物を噴射し難くなり、またフォームを形成し難くなる。
【0023】本実施の形態の洗浄性組成物は、このような平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材を含有しているため、対象物に噴射することにより、台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ等や、特に油汚れ等が焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを、被洗浄物に顕著な傷をつけることなく、効果的に除去することが可能になる。
【0024】洗浄性溶剤を構成するd−リモネンは、下記式(1)で示される化合物であり、本発明の洗浄性組成物の有する洗浄作用を担う物質である。d−リモネンの配合量は、油脂溶解力を利用して油性の汚れを除去するため、洗浄性組成物の全体に対して5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。d−リモネンの配合量が5質量%未満の場合には、十分な洗浄力が得られず、一方70質量%を超える場合にはそれ以上の洗浄力の向上はなく、コストが高くなる。
【0025】
【化1】
Figure 2004277469
【0026】界面活性剤は、洗浄性溶剤としてのd−リモネン等を乳化させるとともに、拭き取り性を向上させる作用を有する。このような界面活性剤は、泡を均質に形成することができる限り特に限定されない。例えば、スルホネート系やホスフェート系などのアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0027】スルホネート系のアニオン系界面活性剤としては、例えば、長鎖(炭素数3〜22)アルキルスルホン酸塩など、ホスフェート系のアニオン系界面活性剤としては、例えば、長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキル(炭素数3〜22)リン酸塩等を挙げることができる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン長鎖アルキル(炭素数3〜22)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、アルキル酢酸ベタインなどのベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができる。さらに、カチオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩等が挙げられる。これらのうち、ノニオン系界面活性剤が、d−リモネンに対する乳化安定性、泡立ち性、洗浄後の拭き取り性に優れるため好ましい。
【0028】界面活性剤の配合率は、噴射時に安定な泡(フォーム)をより効果的に形成するために、洗浄性組成物の全体に対して0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。界面活性剤の配合量が0.5質量%を下回る場合にはd−リモネンが充分に乳化されず、一方10質量%を超えると、d−リモネンのそれ以上の乳化効果の向上が見られず、逆に拭き取り性能が低下する。
【0029】本実施の形態の洗浄性組成物には、上記した研磨材、d−リモネン及び界面活性剤の他に希釈剤を含むが、希釈剤としては水が好ましい。水の配合量は、洗浄性組成物の全体に対して10〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。水としては精製水、純水が好ましく用いられるが、これに限られるものではない。
【0030】本実施の形態の洗浄性組成物は、さらに噴射剤を含む。噴射剤を含むことにより、エアゾール型となり、被洗浄剤への均一な散布を可能にしている。洗浄性組成物における噴射剤の配合割合は、5〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。噴射剤の配合割合が45質量%を超えると、噴射物の勢いが強すぎて飛散量が多くなり実用的でない。一方、噴射剤の配合割合が5質量%を下回ると、噴射量が少なくなり、発泡性が低下する。またそれに伴ってスプレー噴射口部分がフォームで汚れやすくなり、好ましくない。
【0031】噴射剤の種類は、特に限定されるものではないが、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)又はこれらの混合物が好ましい。特に、エアゾール型の洗浄性組成物に、LPG及びDMEの混合物(LPG/DME混合物)を噴射剤として使用すると、エアゾール型の洗浄性組成物が噴射時に適切なフォーム状に形成され、かつミストをほとんど発生しない。また、エアゾール型の洗浄性組成物の噴射口への付着も効果的に防止できるようになる。従って、エアゾール型の洗浄性組成物が噴射口から液垂れすることはほとんどない。LPG/DME混合物におけるDMEの含有量に対するLPGの含有量の質量比の値としては、LPG/DME(質量比)が10/90〜90/10であることが好ましく、15/85〜85/15であることがさらに好ましい。10/90より小さいと液垂れの可能性があり、90/10より大きいとミストになり易く、また噴射口が汚れることがある。上記のように、LPGにDMEを所定範囲で混合したものを用いることにより、洗浄部分にフォーム状の噴射物を正確に一定量噴射することができる。また、スプレー時のミスト発生がほとんどないため、薬剤の吸い込みの危険性を極小にすることができる。さらに、スプレー液の液垂れがないため、余分な拭き取り作業を必要とせず、しかも、拭き取り時に仕上げの水拭きをする必要がない。さらに、エアゾールの噴射口部分にスプレーフォームの付着がないため、常に良好な状態でスプレーすることができる。
【0032】本実施の形態の洗浄性組成物には、さらに任意の成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、低級アルコール、酸化防止剤(例えばBHT:ジブチルヒドロキシトルエン)、殺菌剤(例えばモルホリン)、防腐剤、粘度調節剤、色素、香料などが挙げられる。
【0033】上述したエアゾール型の洗浄性組成物は、例えば次のように調製することができる。
【0034】まず、噴射剤以外の成分を上記組成に従って混合して被噴射物としての原液を調製する。その後、噴射剤と原液の双方を所定の質量比でエアゾール缶に混合、充填し、所望のエアゾール型の洗浄性組成物にする。
【0035】このような洗浄性組成物をエアゾール缶から被洗浄物の油汚れ及び油汚れが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れ(油汚れ及び焦げ付き汚れ)に向けて噴射させると、その油汚れ及び焦げ付き汚れは、被噴射物である原液によって迅速に覆われる。特に、被噴射物である原液が界面活性剤を含んでいる場合は、その乳化作用によりフォームになって油汚れ及び焦げ付き汚れを均一に覆うことができるようになる。また、噴射剤が上記のように所定割合でLPGとDMEとを含んでいる場合には、フォームがより均一となり、液垂れが無く、原液が噴射時にほとんどミストにならない。従って、原液が周囲にほとんど飛散することなく油汚れ及び焦げ付き汚れを一定量で正確に覆うことができる。さらに、エアゾール缶の噴射口への原液の付着及びその液垂れも低減し、その液垂れによるウエス等での余分な清掃作業を軽減することができる。従って、エアゾール缶の取り扱いも容易となる。
【0036】上記のように、原液の洗浄性溶剤はd−リモネンを含んでおり、従って、油汚れ及び焦げ付き汚れのうち、特に油汚れに強力に作用して溶解、除去をすることができる。
【0037】また、油汚れ及び焦げ付き汚れは、原液の研磨材とも作用する。研磨材は比較的高圧で油汚れ及び焦げ付き汚れに衝撃を与え、油汚れ及び焦げ付きの汚れを機械的に剥ぎ取る。特に、本発明によれば、被洗浄物に強固に付着する焦げ付き汚れを、被洗浄物にほとんど損傷を与えることなく、効果的に除去することができる。これは、上述のように、研磨材を構成する研磨砥粒が比較的小さい(平均粒径1〜20μm)うえ、洗浄性組成物の希釈剤(溶媒)の水が緩衝材となるからである。すなわち、この水は上記汚れの破片を被洗浄物に残すことなく効果的にすすぐことができる。従って、このような洗浄性組成物の使用により、被洗浄物が本来の清浄な表面を回復することもできるようになる。
【0038】なお、必要に応じ、洗浄性組成物の噴射後にウエス等で被洗浄物を払拭して、上記の研磨材や水だけでは剥ぎ取ることができない油汚れ及び焦げ付き汚れを除去してもよい。
【0039】本発明によれば、被洗浄物は、一般にレンジ、グリル又は金属製調理器具のほか、一般の金属製品である。これらは油汚れだけでなく焦げ付き汚れを付着させ易いほか、当初の外観をできるだけ維持することを求められるからである。また、本発明の洗浄性組成物は上述の汚れのほか、手垢、皮脂汚れからなるしみ汚れの除去にも有効である。さらに、被洗浄物からカルシウム塩等の汚れ、錆又は変色も取り除いてその修復(メンテナンス)を図ることができるようになる。そこで、本発明の洗浄性組成物は、また、水洗トイレの手洗い水受け部分、ステンレスや銅からなる金属製調理器具や自転車、建材等の金属製品のような被洗浄物にも使用可能となる。
【0040】
【実際例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
1.洗浄性組成物の調製
下記組成に従い、原液(被噴射物)を調製した後、エアゾール缶に噴射剤を0.3Paの圧力となるように混合充填し、洗浄性組成物にした。
【0042】
(原液の調製)
洗浄性溶剤(d−リモネン、ノニオン系界面活性剤)…28.5質量%
界面活性剤(イソステアリン酸)…0.8質量%
防錆剤(モルホリン)…0.5質量%
研磨材(シリコンカーバイド:#6000,平均粒径5μm)…5.0質量%
希釈剤(精製水)…65.2質量%
上記において、ノニオン系界面活性剤としては、エマレックスSEL−80(商標)(日本エマルジョン製)を用いた。そして、d−リモネンの洗浄性溶剤に対する質量比率を、95質量%とした。また、シリコンカーバイドを研磨材として使用した。
【0043】
(噴射剤の調製)
DMEとLPGを混合物して、LPG/DME混合物として、噴射剤とした。DMEの含有量に対するLPG含有量の質量比の値(LPG/DME)を70/30とした。
【0044】
(洗浄性組成物の調製)
上記原液と噴射剤とを、配合割合(原液/噴射剤)を81.9/18.1として混合し、洗浄性組成物を調製した。
【0045】
(比較例1)
研磨材として平均粒径0.5μmの酸化アルミニウムを使用した以外は、上記実施例1と同様にして原液を調製し、原液と噴射剤とを混合して洗浄性組成物を調製した。
【0046】
(比較例2)
研磨材として平均粒径30μmの酸化アルミニウムを使用した以外は、上記実施例1と同様にして原液を調製し、原液と噴射剤とを混合して洗浄性組成物を調製した。
【0047】
2.クリーニング性試験
上記洗浄性組成物のクリーニング性試験を、焦げ付きの汚れを底部に有するステンレス製鍋(被洗浄物)に対して、次のように行った。
【0048】まず、ステンレス製鍋の底部に、しょう油20mLを入れ、30分間、家庭用のガスコンロで直火で加熱することにより、焦げ付きの汚れを形成した。その後、上記洗浄性組成物(実施例1、比較例1,2)を、エアゾール缶からその汚れに噴射した。次に、ステンレス製鍋の底部を、湿らせたウエスを用いて指で擦り落とすようにして拭き取った。それから、ステンレス製鍋の底部からその汚れが除去されているか否か、また、ステンレス製鍋の底部に傷があるか否かを目視で確認した。表1にその目視確認の結果を示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004277469
【0050】表1において、「◎」は、ウエスでの拭き取りにおいて、10往復以内で汚れが除去できたことを示し、「×」は、ウエスでの拭き取りにおいて、30往復してもほとんど汚れを除去できなかったことを示す。
【0051】表1より、実施例1の洗浄性組成物によれば、鍋底を傷つけることなく焦げ付き汚れを効果的に除去できていることが分かる。それに対し、比較例1では、研磨材の平均粒径が0.5μmと小さすぎるため、焦げ付き汚れが除去できないことが分かる。また、比較例2では、研磨材の平均粒径が30μmと大きすぎるため、焦げ付き汚れを除去すると共に鍋底までも削り取り、鍋底を傷付けてしまっていることがわかる。つまり、当初の外観をできるだけ維持することを求められる鍋等の被洗浄物には、比較例2のような洗浄性組成物を使用することは適当でないことがわかる。
【0052】
3.金属磨き試験
上記洗浄性組成物(実施例1、比較例1,2)の金属磨き試験を、変色した純銅製の中古調理道具に対して、次のように行った。
【0053】まず、中古調理道具に洗浄性組成物を噴射した後、その中古調理道具をウエスで拭き取り、その金属光沢の回復の有無(金属光沢の回復状態)を目視確認した。表2にその結果を示す。
【0054】
【表2】
Figure 2004277469
【0055】表2において、金属光沢の回復状態として、完全に回復したものを「◎」、回復しなかったものを「×」とした。
【0056】表2より、実施例1の洗浄性組成物によれば、金属光沢を完全に回復することができていることが分かる。それに対し、比較例1では、研磨材の平均粒径が0.5μmと小さすぎるため、金属光沢を回復する効果を得られなかったことが分かる。また、比較例2では、研磨材の平均粒径が30μmと大き過ぎるため、更に表面を傷つけ、金属光沢を回復させることができなかったことがわかる。
【0057】
【発明の効果】上述したように、本発明の洗浄性組成物によれば、洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、前記洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなる洗浄性組成物であるため、台所、浴室、トイレ、その他家屋の被洗浄物に付着した油汚れ等及びそれらが焼け焦げて転化した焦げ付きの汚れを除去することが可能となる。

Claims (6)

  1. 洗浄性成分、希釈剤、界面活性剤、及び噴射剤を含有する洗浄性組成物であって、
    前記洗浄性成分が、d−リモネンを主成分とする洗浄性溶剤、及び平均粒径が1〜20μmの研磨砥粒を含む研磨材から構成されてなることを特徴とする洗浄性組成物。
  2. 前記研磨砥粒が、粒径が0.1〜100μmの微粒子を主成分とするものである請求項1に記載の洗浄性組成物。
  3. 前記噴射剤が、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)又はこれらの混合物を含むものである請求項1又は2に記載の洗浄性組成物。
  4. 前記DMEの含有量に対するLPG含有量の質量比の値(LPG/DME)が、10/90〜90/10である請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄性組成物。
  5. 前記希釈剤が水である請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄性組成物。
  6. 前記界面活性剤がノニオン系界面活性剤である請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄性組成物。
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