JP2004277389A - フッ素処理粉体及びそれを含有する皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有する化粧料粉体、及び、該粉体を含有する含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体、好ましくは、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンを炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で処理してなるフッ素化処理粉体を化粧料などの皮膚外用剤に含有させる。
【選択図】 なし
【解決手段】その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体、好ましくは、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンを炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で処理してなるフッ素化処理粉体を化粧料などの皮膚外用剤に含有させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線防護化粧料などの化粧料の原料として好適な被覆粉体及びそれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
起炎症反応、DNA切断反応、酸化的傷害の生成、発ガンの危険性等、紫外線の生体に対する傷害性の大きさは、今や誰もが認識するに至るほど遍く知られている。この為、近年の化粧品業界に於いては、より確実にこの傷害から生体を防護する為に、種々の新規紫外線防護粉体の開発が行われている。この様な粉体を例に挙げてみると、例えば、微粒子二酸化チタンに脂肪酸処理をしたものを紫外線防護剤とする技術(特開2001−207060)或いは微粒子二酸化チタンに珪酸、アルミン酸等を被覆し、それを更にアルギン酸で被覆した粉体を紫外線防護剤とする技術(特開2000−203835)などの微粒子二酸化チタンの表面を改質し、密着性を向上させ、隙間のない二酸化チタンの膜で皮膚をカバーする技術や、セリサイトなどの表面に鉄などをドープした二酸化チタンで被覆し、自然なカバー力を有し、紫外線AもBも吸収する素材(特開平11−43626)などが例示できる。これらの素材の紫外線吸収特性は、これまでの二酸化チタンや酸化亜鉛に比して格段に向上し、SPF値或いはPFA値も大きくなったが、紫外線吸収特性の向上の割には、防護効果そのもの、特に高光量照射時に於ける、炎症の重篤度の改善はあまり為されていないのが現状であった。即ち、SPF値或いはPFA値は向上し、炎症を起こさない紫外線量は大きく増大したが、一度炎症が起こると、その炎症は重篤なものになってしまう欠点があった。
【0003】
一方、粉体の表面処理法としてフッ素を置換基として有するアルキル基を導入し疎水性を高めることは既に行われており、かかるフッ化アルキル基の導入には、シリルカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリマーなどが使用されている。(特開2003−36346、特開平11−222411)しかしながらその表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体は全く知られていないし、かかる粉体が、優れた紫外線防護作用、取り分け、高光量照射時に於ける、炎症からの長時間にわたる保護作用に優れていることも全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有するフッ素化処理粉体、及び、該粉体を含有する含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有するフッ素化処理粉体を求め、鋭意研究努力を重ねた結果、その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。
(1)その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体。
(2)酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンを炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で処理してなることを特徴とする、(1)に記載のフッ素化処理粉体。
(3)前記酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンにおいて、粉体全量に対して、酸化アルミニウム水和物の含有量が1〜10重量%、ケイ酸の含有量が1〜10重量%、二酸化チタンの含有量が90〜98重量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフッ素化処理粉体。
(4)前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸が、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ノナデカフルオロトリデカニルアルコールリン酸及び3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸から選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(2)又は(3)に記載のフッ素化処理粉体。
(5)前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸の処理量が、粉体全量の1〜10重量%であることを特徴とする、(2)〜(4)何れか1項に記載のフッ素化処理粉体。
(6)(1)〜(5)何れか1項に記載のフッ素化処理粉体を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(7)粉体含有固形化粧料であることを特徴とする、(6)に記載の皮膚外用剤。
(8)水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形であることを特徴とする、(6)又は(7)に記載の皮膚外用剤。
(9)紫外線防護作用を有することを特徴とする、(6)〜(8)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)本発明のフッ素化処理粉体
本発明のフッ素化処理粉体は、その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなることを特徴とする。酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンとは、二酸化チタンの表面を、ケイ酸、アルミナで被覆処理したものであり、本発明のフッ素化処理粉体の基体となる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンとしては、基体となる粉体全量に対して、酸化アルミニウム水和物の含有量が1〜10重量%、更に好ましくは2〜8重量%、ケイ酸の含有量が1〜10重量%、更に好ましくは2〜8重量%、二酸化チタンの含有量が90〜98重量%、更に好ましくは92〜95重量%であることが好ましい。又、かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンの平均粒子径としては、0.1〜0,5ミクロンのものが好ましい。この様な酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンは、塩化アルミニウムの水溶液中に二酸化チタンを分散させ、これに水ガラスなどの水溶液を加え、しかる後にpHを調整し、二酸化チタン上に水酸化アルミニウム、シリカを順次積層被覆させた後、500〜1200℃で焼成することによって製造できる。尚、かかる被覆層において、酸化アルミニウム水和物と言う言葉は、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムを包含する言葉であり、シリカと言う言葉は、無水ケイ酸及びケイ酸水和物(部分的に水酸化珪素構造を有することを許容する)を包含する言葉である。かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンには既に市販されているものがあり、それを購入して使用することも出来る。かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンの市販品の内、好ましいものとしては、酸化チタンJR800(テイカ株式会社製)が例示できる。
【0007】
かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンにフッ化アルキル基を導入するは、例えば、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルのジエタノールアミン塩やフルオロアルコールリン酸をコートすることや、パーフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤で処理することにより為される。これらの内、特に好ましい手段は、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ノナデカフルオロトリデカニルアルコールリン酸或いは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸等の炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で表面を被覆する処置である。かかるフッ化アルキル基の導入においては、フッ化アルキル基を有する化合物を、粉体全量に対して1〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量%程度になるように被覆することが好ましい。処理は、通常の方法に従えば良く、例えば、100〜500℃で1〜48時間焼き付けを行うことや、遊星ボールミルやパルベライザー処理でメカノケミカルに被覆することが好ましく例示できる。
【0008】
かくして得られた、本発明のフッ素化処理粉体は、優れた紫外線防護作用を有し、取り分け、従来の紫外線防護用の粉体では重篤な炎症が生じる、極端な高光量の条件下でも無反応乃至は微弱な反応のみの誘起に抑える優れた作用を有する。特筆すべきは、水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形に応用した場合において、水ありで使用した場合でも、水無で使用した場合でも、長時間前記紫外線防護効果を有し続けることである。この作用を利用して、本発明のフッ素化処理粉体を化粧料に含有させて、紫外線防護化粧料を作成する場合には、該紫外線防護化粧料に於ける本発明のフッ素化処理粉体の好ましい含有量は、化粧料総量に対して、1〜60重量%が好ましく、更に好ましくは、5〜40重量%である。これは少なすぎると紫外線防護作用を発揮できない場合があり、多すぎると演色性など化粧仕上がりを阻害する場合があるからである。
【0009】
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記本発明のフッ素化処理粉体を含有することを特徴とする。皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定無く適用することが出来、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、消毒剤等に適用でき、特に好ましくは化粧料に適用できる。化粧料としては、通常知られている粉体含有化粧料であれば、特段の限定無く適用することが出来、例えば、ファンデーション、アンダーメークアップ、白粉、リップカラー、ネイルカラー、チークカラー、アイカラー、紫外線防護化粧料等が例示できる。この中では、前記の本発明の化粧料用の粉体の優れた紫外線防護作用を生かして、紫外線防護化粧料に適用することが好ましい。又、剤形としては二層分散剤形、乳化分散剤形、ルースパウダー剤形、オイルゲル剤形、固形白粉剤形(ツーウェイケーキを含む)等通常の粉体含有化粧料で使用されている剤形であれば特段の限定無く適用することが出来る。特に好ましいものは、固形白粉剤形である。更に、前記に示す効果から、水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形(所謂ツーウェイケーキ)に適用することが特に好ましい。本発明の化粧料に於いては、必須成分である、前記本発明の化粧料用の粉体以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。かかる任意成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィンなどの炭化水素類、ジメチコン、フェメチコン、シクロメチコン、アモジメチコン、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン類、ホホバ油、カルナウバワックス、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ、オレイン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、ネオペンチルグリコールジイソステアレート、リンゴ酸ジイソステアレートなどのエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの脂肪酸類、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール類、ヒマシ油、椰子油、水添椰子油、椿油、小麦胚芽油、イソステアリン酸トリグリセライド、イソオクタン酸トリグリセライド、オリーブオイル等のトリグリセライド類、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、イソプレングリコールなどの多価アルコール、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリエキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ソジウムラウリルステアレート、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホコハク酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、4級アルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、アルキルベタイン等の両性界面活性剤類、結晶セルロースや架橋型メチルポリシロキサン、ポリエチレン粉末、アクリル樹脂粉体等の有機粉体類、タルク、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、紺青、群青、チタンマイカ、チタンセリサイト、シリカ等の、表面処理されていても良い、本発明の化粧料用の粉体以外の粉体類、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー及び/又はその塩、カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩、キサンタンガムやヒドロキシプロピルセルロースなどの増粘剤、レチノール、レチノイン酸、トコフェロール、リボフラビン、ピリドキシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル塩などのビタミンやグリチルリチン酸塩、グリチルレチン、ウルソール酸、オレアノール酸などのテルペン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストリオールなどのステロイド類などの有効成分、フェノキシエタノール、パラベン類、ヒビテングルコネート、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤、ジメチルアミノ安息香酸エステル類、桂皮酸エステル類、ベンゾフェノン類などの紫外線吸収剤などが好ましく例示できる。本発明の化粧料は、これら必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造できる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0011】
<参考例1>
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコール10重量部とリン酸10重量部を攪拌下100℃で24時間加熱し、室温まで放冷後、これに酢酸エチル200重量部と水200重量部を加え、液液抽出し、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤;ベンゼン:酢酸エチル:メタノール=100:0:0〜0:100:0〜0:80:20)で精製し、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸(化合物1)4重量部を得た。
【0012】
<参考例2>
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールを3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールに変えて、同様に処理し、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸(化合物2)を得た。
【0013】
<実施例1>
95重量部の「酸化チタンJR800」(テイカ株式会社製;平均粒子径0.2ミクロン、酸化アルミニウム水和物2.8重量%、ケイ酸4.7重量%、二酸化チタン92.5重量%;実測値)に5重量部の化合物1を加え、遊星ボールミルで24時間処理した後、150℃で6時間加熱し、本発明のフッ素化処理粉体1を得た。
【0014】
<実施例2>
実施例1の化合物1を化合物2に置換して、同様に処理して本発明のフッ素化処理粉体2を得た。
【0015】
<実施例3>
「酸化チタンJR800」の95重量部に、5重量部のジメチルメトキシ(−1,1,1,2,2−ペンタフルオロブチル)シランをジイソプロピルエーテル95重量%に溶かしコートした後。溶剤を減圧溜去し、150℃で48時間処理して、パーフロロアルキル(1,1,1,2,2−ペンタフルオロブチル)基を表面に有する本発明のフッ素化処理粉体3を得た。
【0016】
<実施例4〜6>
下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、紫外線防護化粧料(固形白粉タイプ)を作成した。即ち、イの成分をヘンシェルミキサーで混合した後、0.1mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーに戻した後、混合しながらロの成分を噴霧、コートし、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金皿に充填し、加圧成型して紫外線防護化粧料を得た。同時に、本発明のフッ素化処理粉体を無処理の「酸化チタンJR800」に置換した比較例1の化粧料、「酸化チタンJR800」に5%のハイドロジェンメチルポリシロキサンをコートして180℃で12時間焼き付け処理を行った粉体に置換した比較例2も同様に作成した。これらの化粧料をヒトの下腕内側部を用いた紫外線防護テストによって、紫外線防護効果をテストした。検体は1cm×3cmの部位に0.2g塗布し、直後の群は直後に、化粧持ち群は塗布後3時間湿度70%、40℃の部屋に滞在した後、紫外線照射を行った。紫外線は50MEDを照射した。(線源BLBランプ:SEランプ=1:1)その24時間後に皮膚反応をドレーズの基準(++:浮腫を伴う反応、+:明らかな紅斑を伴う反応、±:微弱な紅斑を伴う反応、−:無反応)で判定した。尚、被験者は5名であった。結果を表1に示す。これより本発明の化粧料用の粉体を含有する本発明の化粧料が優れた紫外線防護効果を奏していることがわかる。
イ
シリコーン処理二酸化チタン 10 重量部
シリコーン処理酸化亜鉛 3 重量部
シリコーン処理酸化鉄 2 重量部
表1に記載の粉体 40 重量部
メチルシロキサン網状重合体 15 重量部
シリコーン処理マイカ 15 重量部
ロ
ジメチルポリシロキサン 10 重量部
高粘度ジメチルポリシロキサン 5 重量部
【0017】
【表1】
【0018】
<実施例7>
下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、固形白粉(ツーウェイケーキタイプ)を作成した。即ち、イの成分をヘンシェルミキサーで混合した後、0.1mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーに戻した後、混合しながらロの成分を噴霧、コートし、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金皿に充填し、加圧成型して固形白粉を得た。このものの50MEDの紫外線照射(線源BLBランプ:SEランプ=1:1)に対する、上記条件と同じ条件での5名のパネラーの皮膚反応は、直後、化粧崩れ条件、塗布時の水使用、水無何れの条件でも何れも−(無反応)であり、優れた紫外線防護作用を有することがわかった。
イ
シリコーン処理鉄ドープ二酸化チタン 10 重量部
シリコーン処理酸化亜鉛 3 重量部
シリコーン処理酸化鉄 7 重量部
本発明のフッ素化処理粉体2(実施例2) 30 重量部
シリコーン処理チタンマイカ 15 重量部
シリコーン処理マイカ 15 重量部
ロ
ジメチルポリシロキサン 10 重量部
高粘度ジメチルポリシロキサン 10 重量部
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有する化粧料粉体、及び、該粉体を含有する含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供することがわかる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線防護化粧料などの化粧料の原料として好適な被覆粉体及びそれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
起炎症反応、DNA切断反応、酸化的傷害の生成、発ガンの危険性等、紫外線の生体に対する傷害性の大きさは、今や誰もが認識するに至るほど遍く知られている。この為、近年の化粧品業界に於いては、より確実にこの傷害から生体を防護する為に、種々の新規紫外線防護粉体の開発が行われている。この様な粉体を例に挙げてみると、例えば、微粒子二酸化チタンに脂肪酸処理をしたものを紫外線防護剤とする技術(特開2001−207060)或いは微粒子二酸化チタンに珪酸、アルミン酸等を被覆し、それを更にアルギン酸で被覆した粉体を紫外線防護剤とする技術(特開2000−203835)などの微粒子二酸化チタンの表面を改質し、密着性を向上させ、隙間のない二酸化チタンの膜で皮膚をカバーする技術や、セリサイトなどの表面に鉄などをドープした二酸化チタンで被覆し、自然なカバー力を有し、紫外線AもBも吸収する素材(特開平11−43626)などが例示できる。これらの素材の紫外線吸収特性は、これまでの二酸化チタンや酸化亜鉛に比して格段に向上し、SPF値或いはPFA値も大きくなったが、紫外線吸収特性の向上の割には、防護効果そのもの、特に高光量照射時に於ける、炎症の重篤度の改善はあまり為されていないのが現状であった。即ち、SPF値或いはPFA値は向上し、炎症を起こさない紫外線量は大きく増大したが、一度炎症が起こると、その炎症は重篤なものになってしまう欠点があった。
【0003】
一方、粉体の表面処理法としてフッ素を置換基として有するアルキル基を導入し疎水性を高めることは既に行われており、かかるフッ化アルキル基の導入には、シリルカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリマーなどが使用されている。(特開2003−36346、特開平11−222411)しかしながらその表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体は全く知られていないし、かかる粉体が、優れた紫外線防護作用、取り分け、高光量照射時に於ける、炎症からの長時間にわたる保護作用に優れていることも全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有するフッ素化処理粉体、及び、該粉体を含有する含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有するフッ素化処理粉体を求め、鋭意研究努力を重ねた結果、その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。
(1)その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体。
(2)酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンを炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で処理してなることを特徴とする、(1)に記載のフッ素化処理粉体。
(3)前記酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンにおいて、粉体全量に対して、酸化アルミニウム水和物の含有量が1〜10重量%、ケイ酸の含有量が1〜10重量%、二酸化チタンの含有量が90〜98重量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフッ素化処理粉体。
(4)前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸が、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ノナデカフルオロトリデカニルアルコールリン酸及び3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸から選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(2)又は(3)に記載のフッ素化処理粉体。
(5)前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸の処理量が、粉体全量の1〜10重量%であることを特徴とする、(2)〜(4)何れか1項に記載のフッ素化処理粉体。
(6)(1)〜(5)何れか1項に記載のフッ素化処理粉体を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(7)粉体含有固形化粧料であることを特徴とする、(6)に記載の皮膚外用剤。
(8)水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形であることを特徴とする、(6)又は(7)に記載の皮膚外用剤。
(9)紫外線防護作用を有することを特徴とする、(6)〜(8)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)本発明のフッ素化処理粉体
本発明のフッ素化処理粉体は、その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなることを特徴とする。酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンとは、二酸化チタンの表面を、ケイ酸、アルミナで被覆処理したものであり、本発明のフッ素化処理粉体の基体となる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンとしては、基体となる粉体全量に対して、酸化アルミニウム水和物の含有量が1〜10重量%、更に好ましくは2〜8重量%、ケイ酸の含有量が1〜10重量%、更に好ましくは2〜8重量%、二酸化チタンの含有量が90〜98重量%、更に好ましくは92〜95重量%であることが好ましい。又、かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンの平均粒子径としては、0.1〜0,5ミクロンのものが好ましい。この様な酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンは、塩化アルミニウムの水溶液中に二酸化チタンを分散させ、これに水ガラスなどの水溶液を加え、しかる後にpHを調整し、二酸化チタン上に水酸化アルミニウム、シリカを順次積層被覆させた後、500〜1200℃で焼成することによって製造できる。尚、かかる被覆層において、酸化アルミニウム水和物と言う言葉は、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムを包含する言葉であり、シリカと言う言葉は、無水ケイ酸及びケイ酸水和物(部分的に水酸化珪素構造を有することを許容する)を包含する言葉である。かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンには既に市販されているものがあり、それを購入して使用することも出来る。かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンの市販品の内、好ましいものとしては、酸化チタンJR800(テイカ株式会社製)が例示できる。
【0007】
かかる酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンにフッ化アルキル基を導入するは、例えば、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルのジエタノールアミン塩やフルオロアルコールリン酸をコートすることや、パーフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤で処理することにより為される。これらの内、特に好ましい手段は、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ノナデカフルオロトリデカニルアルコールリン酸或いは3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸等の炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で表面を被覆する処置である。かかるフッ化アルキル基の導入においては、フッ化アルキル基を有する化合物を、粉体全量に対して1〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量%程度になるように被覆することが好ましい。処理は、通常の方法に従えば良く、例えば、100〜500℃で1〜48時間焼き付けを行うことや、遊星ボールミルやパルベライザー処理でメカノケミカルに被覆することが好ましく例示できる。
【0008】
かくして得られた、本発明のフッ素化処理粉体は、優れた紫外線防護作用を有し、取り分け、従来の紫外線防護用の粉体では重篤な炎症が生じる、極端な高光量の条件下でも無反応乃至は微弱な反応のみの誘起に抑える優れた作用を有する。特筆すべきは、水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形に応用した場合において、水ありで使用した場合でも、水無で使用した場合でも、長時間前記紫外線防護効果を有し続けることである。この作用を利用して、本発明のフッ素化処理粉体を化粧料に含有させて、紫外線防護化粧料を作成する場合には、該紫外線防護化粧料に於ける本発明のフッ素化処理粉体の好ましい含有量は、化粧料総量に対して、1〜60重量%が好ましく、更に好ましくは、5〜40重量%である。これは少なすぎると紫外線防護作用を発揮できない場合があり、多すぎると演色性など化粧仕上がりを阻害する場合があるからである。
【0009】
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記本発明のフッ素化処理粉体を含有することを特徴とする。皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定無く適用することが出来、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、消毒剤等に適用でき、特に好ましくは化粧料に適用できる。化粧料としては、通常知られている粉体含有化粧料であれば、特段の限定無く適用することが出来、例えば、ファンデーション、アンダーメークアップ、白粉、リップカラー、ネイルカラー、チークカラー、アイカラー、紫外線防護化粧料等が例示できる。この中では、前記の本発明の化粧料用の粉体の優れた紫外線防護作用を生かして、紫外線防護化粧料に適用することが好ましい。又、剤形としては二層分散剤形、乳化分散剤形、ルースパウダー剤形、オイルゲル剤形、固形白粉剤形(ツーウェイケーキを含む)等通常の粉体含有化粧料で使用されている剤形であれば特段の限定無く適用することが出来る。特に好ましいものは、固形白粉剤形である。更に、前記に示す効果から、水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形(所謂ツーウェイケーキ)に適用することが特に好ましい。本発明の化粧料に於いては、必須成分である、前記本発明の化粧料用の粉体以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。かかる任意成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィンなどの炭化水素類、ジメチコン、フェメチコン、シクロメチコン、アモジメチコン、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン類、ホホバ油、カルナウバワックス、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ、オレイン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、ネオペンチルグリコールジイソステアレート、リンゴ酸ジイソステアレートなどのエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの脂肪酸類、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール類、ヒマシ油、椰子油、水添椰子油、椿油、小麦胚芽油、イソステアリン酸トリグリセライド、イソオクタン酸トリグリセライド、オリーブオイル等のトリグリセライド類、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、イソプレングリコールなどの多価アルコール、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリエキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ソジウムラウリルステアレート、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホコハク酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、4級アルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、アルキルベタイン等の両性界面活性剤類、結晶セルロースや架橋型メチルポリシロキサン、ポリエチレン粉末、アクリル樹脂粉体等の有機粉体類、タルク、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、紺青、群青、チタンマイカ、チタンセリサイト、シリカ等の、表面処理されていても良い、本発明の化粧料用の粉体以外の粉体類、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー及び/又はその塩、カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩、キサンタンガムやヒドロキシプロピルセルロースなどの増粘剤、レチノール、レチノイン酸、トコフェロール、リボフラビン、ピリドキシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル塩などのビタミンやグリチルリチン酸塩、グリチルレチン、ウルソール酸、オレアノール酸などのテルペン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストリオールなどのステロイド類などの有効成分、フェノキシエタノール、パラベン類、ヒビテングルコネート、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤、ジメチルアミノ安息香酸エステル類、桂皮酸エステル類、ベンゾフェノン類などの紫外線吸収剤などが好ましく例示できる。本発明の化粧料は、これら必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造できる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0011】
<参考例1>
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコール10重量部とリン酸10重量部を攪拌下100℃で24時間加熱し、室温まで放冷後、これに酢酸エチル200重量部と水200重量部を加え、液液抽出し、酢酸エチル相をとり、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤;ベンゼン:酢酸エチル:メタノール=100:0:0〜0:100:0〜0:80:20)で精製し、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸(化合物1)4重量部を得た。
【0012】
<参考例2>
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールを3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールに変えて、同様に処理し、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸(化合物2)を得た。
【0013】
<実施例1>
95重量部の「酸化チタンJR800」(テイカ株式会社製;平均粒子径0.2ミクロン、酸化アルミニウム水和物2.8重量%、ケイ酸4.7重量%、二酸化チタン92.5重量%;実測値)に5重量部の化合物1を加え、遊星ボールミルで24時間処理した後、150℃で6時間加熱し、本発明のフッ素化処理粉体1を得た。
【0014】
<実施例2>
実施例1の化合物1を化合物2に置換して、同様に処理して本発明のフッ素化処理粉体2を得た。
【0015】
<実施例3>
「酸化チタンJR800」の95重量部に、5重量部のジメチルメトキシ(−1,1,1,2,2−ペンタフルオロブチル)シランをジイソプロピルエーテル95重量%に溶かしコートした後。溶剤を減圧溜去し、150℃で48時間処理して、パーフロロアルキル(1,1,1,2,2−ペンタフルオロブチル)基を表面に有する本発明のフッ素化処理粉体3を得た。
【0016】
<実施例4〜6>
下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、紫外線防護化粧料(固形白粉タイプ)を作成した。即ち、イの成分をヘンシェルミキサーで混合した後、0.1mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーに戻した後、混合しながらロの成分を噴霧、コートし、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金皿に充填し、加圧成型して紫外線防護化粧料を得た。同時に、本発明のフッ素化処理粉体を無処理の「酸化チタンJR800」に置換した比較例1の化粧料、「酸化チタンJR800」に5%のハイドロジェンメチルポリシロキサンをコートして180℃で12時間焼き付け処理を行った粉体に置換した比較例2も同様に作成した。これらの化粧料をヒトの下腕内側部を用いた紫外線防護テストによって、紫外線防護効果をテストした。検体は1cm×3cmの部位に0.2g塗布し、直後の群は直後に、化粧持ち群は塗布後3時間湿度70%、40℃の部屋に滞在した後、紫外線照射を行った。紫外線は50MEDを照射した。(線源BLBランプ:SEランプ=1:1)その24時間後に皮膚反応をドレーズの基準(++:浮腫を伴う反応、+:明らかな紅斑を伴う反応、±:微弱な紅斑を伴う反応、−:無反応)で判定した。尚、被験者は5名であった。結果を表1に示す。これより本発明の化粧料用の粉体を含有する本発明の化粧料が優れた紫外線防護効果を奏していることがわかる。
イ
シリコーン処理二酸化チタン 10 重量部
シリコーン処理酸化亜鉛 3 重量部
シリコーン処理酸化鉄 2 重量部
表1に記載の粉体 40 重量部
メチルシロキサン網状重合体 15 重量部
シリコーン処理マイカ 15 重量部
ロ
ジメチルポリシロキサン 10 重量部
高粘度ジメチルポリシロキサン 5 重量部
【0017】
【表1】
【0018】
<実施例7>
下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、固形白粉(ツーウェイケーキタイプ)を作成した。即ち、イの成分をヘンシェルミキサーで混合した後、0.1mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーに戻した後、混合しながらロの成分を噴霧、コートし、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金皿に充填し、加圧成型して固形白粉を得た。このものの50MEDの紫外線照射(線源BLBランプ:SEランプ=1:1)に対する、上記条件と同じ条件での5名のパネラーの皮膚反応は、直後、化粧崩れ条件、塗布時の水使用、水無何れの条件でも何れも−(無反応)であり、優れた紫外線防護作用を有することがわかった。
イ
シリコーン処理鉄ドープ二酸化チタン 10 重量部
シリコーン処理酸化亜鉛 3 重量部
シリコーン処理酸化鉄 7 重量部
本発明のフッ素化処理粉体2(実施例2) 30 重量部
シリコーン処理チタンマイカ 15 重量部
シリコーン処理マイカ 15 重量部
ロ
ジメチルポリシロキサン 10 重量部
高粘度ジメチルポリシロキサン 10 重量部
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた紫外線防護効果、高光量照射時に於ける炎症抑制効果を有する化粧料粉体、及び、該粉体を含有する含有する化粧料等の皮膚外用剤を提供することがわかる。
Claims (9)
- その表面にフッ化アルキル基を導入されたことを特徴とする、酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンからなるフッ素化処理粉体。
- 酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンを炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸で処理してなることを特徴とする、請求項1に記載のフッ素化処理粉体。
- 前記酸化アルミニウム水和物・ケイ酸処理酸化チタンにおいて、粉体全量に対して、酸化アルミニウム水和物の含有量が1〜10重量%、ケイ酸の含有量が1〜10重量%、二酸化チタンの含有量が90〜98重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフッ素化処理粉体。
- 前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸が、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロノニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカニルアルコールリン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ノナデカフルオロトリデカニルアルコールリン酸及び3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15−ヘンイコサフルオロペンタデカニルアルコールリン酸から選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のフッ素化処理粉体。
- 前記炭素数9〜15のフルオロアルコールリン酸の処理量が、粉体全量の1〜10重量%であることを特徴とする、請求項2〜4何れか1項に記載のフッ素化処理粉体。
- 請求項1〜5何れか1項に記載のフッ素化処理粉体を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
- 粉体含有固形化粧料であることを特徴とする、請求項6に記載の皮膚外用剤。
- 水を使用する条件下でも、水を使用しない条件下でもパフを用いて塗布することが出来る剤形であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の皮膚外用剤。
- 紫外線防護作用を有することを特徴とする、請求項6〜8何れか1項に記載の皮膚外用剤。
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