JP2004276838A - 車両用伝達比可変操舵システム - Google Patents
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Abstract
【課題】正確な温度推定を行える車両用伝達比可変操舵システムを提供する。
【解決手段】本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、操舵ハンドル10側に連結されて操舵角の入力される入力軸20と、転舵輪FW側に連結されて転舵角の出力される出力軸40と、これら入力軸と出力軸との間に介在して駆動源である駆動モータ31によって操舵角に対する転舵角の伝達比を可変とする伝達比可変装置30と、この伝達比を車両の走行状態に応じて変更すべく駆動モータへの通電を制御する制御装置60とを備える車両用伝達比可変操舵システム100において、前記駆動モータは、ブラシレスモータであり、前記制御装置は、このブラシレスモータの相電流を検出する相電流検出手段(64、65)と、検出された相電流に基づき所定部位の温度推定を行う温度推定手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、操舵ハンドル10側に連結されて操舵角の入力される入力軸20と、転舵輪FW側に連結されて転舵角の出力される出力軸40と、これら入力軸と出力軸との間に介在して駆動源である駆動モータ31によって操舵角に対する転舵角の伝達比を可変とする伝達比可変装置30と、この伝達比を車両の走行状態に応じて変更すべく駆動モータへの通電を制御する制御装置60とを備える車両用伝達比可変操舵システム100において、前記駆動モータは、ブラシレスモータであり、前記制御装置は、このブラシレスモータの相電流を検出する相電流検出手段(64、65)と、検出された相電流に基づき所定部位の温度推定を行う温度推定手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルとパワーステアリング等の間に介在して、操舵ハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角を走行状態に応じて可変にできる車両用伝達比可変操舵システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
操舵ハンドル(以下、適宜「ハンドル」という。)の操作負担を軽減するために、最近では、油圧式または電動式のパワーステアリング装置が殆どの車両に設けられている。ところが、パワーステアリング装置を備えていても、車庫入れ等する場合にはハンドルを何度も大きく切り返したりしなければならず、その操作負担は依然大きい。
【0003】
そこで、車庫入れ等する場合、ハンドルの操作量が小さくても、転舵輪(前車輪)が大きく切れるようにして、ハンドルの操作負担をさらに軽減してスムーズな運転を可能とする車両用伝達比可変操舵システム(以下、適宜「可変操舵システム」という。)が採用されつつある。この可変操舵システムは、ハンドルとパワーステアリング装置等との間に介在して、ハンドルの操作量(操舵角)と転舵輪の転舵角との伝達比を可変とするものである。そして、低速運転中はその伝達比が大きく、高速運転中はその伝達比が小さく設定されている。この可変操舵システムは、下記特許文献1にもあるように、例えば、3相DCブラシレスモータ(以下、適宜、「モータ」という。)で駆動され、このモータの制御は、可変操舵システムの電子制御装置(ECU)によりなされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−287660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記モータやその周辺の過熱によるシステム故障等を未然に回避するために、可変操舵システムの温度把握が重要となる。その中でも、熱に対する最弱部位の温度把握が重要である。例えば、可変操舵システムの場合、モータに電力を供給するスパイラルケーブル等がその最弱部位となることが多い。
【0006】
このような最弱部位の温度を直接測定することは困難であるため、モータに流れる電流値から、最弱部位の温度推定をすることが考えられる。そこで、例えば、図5に示すように、モータ駆動回路全体へ流れる電流値をその上流側に設けた電流センサで一括して検出し、この検出された電流値から各相電流を推定する。そしてこの推定された相電流に基づき、最弱部位の温度推定を行うことが考えられる。この方法によって、その最弱部位の温度推定を精度良く行うには、その前提となる相電流の推定が正確であることが求められる。
【0007】
ところが、各相電流は、巻線のずれ、組付誤差等によって変化し、正確な推定は困難である。その結果、自ずと、その最弱部位の温度推定も精度の悪いものとなる。
また、モータの位置制御はなされるとしても、図5のモータ駆動回路では相電流の直接的な検出がなく、電流ループが設けられないため、可変操舵システム毎の性能バラツキも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ブラシレスモータの相電流を正確に検出して、所定部位の温度推定を高精度で行えると共にモータの制御性を向上させ得る車両用伝達比可変操舵システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、相電流を直接的に検出する相電流検出手段を設けることを思いつき、本発明を完成するに至った。
本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、操舵ハンドル側に連結されて操舵角の入力される入力軸と、該転舵輪側に連結されて転舵角の出力される出力軸と、該入力軸と該出力軸との間に介在し、駆動源である駆動モータによって該操舵角に対する該転舵角の伝達比を可変とする伝達比可変装置と、該伝達比を車両の走行状態に応じて変更すべく該駆動モータへの通電を制御する制御装置とを備える車両用伝達比可変操舵システムにおいて、
前記駆動モータは、ブラシレスモータであり、前記制御装置は、該ブラシレスモータの相電流を検出する相電流検出手段と、該検出された相電流に基づき所定部位の温度推定を行う温度推定手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、発熱量に直接関連するブラシレスモータへ供給される相電流が、相電流検出手段によって直接的に検出される。この結果、制御装置は、この相電流に基づいて、所定部位の温度推定を精度良く行うことができる。勿論、相電流を推定ではなく直接的に検出しているため、フィードバック制御による電流ループも可能となり、上記モータの制御性が向上する。その結果、モータの安定駆動が図られ、各個体間のバラツキも容易に低減させ得る。
【0011】
ここでいうブラシレスモータは、その磁極数、相数、相コイルの結線方法等を問わない。また、相電流検出手段を設ける個数は、相コイルの数と同じである必要もない。例えば、N相の場合、(N−1)相分の電流が検出されると、残りの相電流を求めることができるからである。
上記モータを具体的にいうと、回転磁界を形成するY結線された3相コイルからなるブラシレスモータであり、前記相電流検出手段は、該3相コイル中のいずれか2相分の相電流を検出する電流センサである。上述したように、電流センサを設ける相数を3相中の2相としたのは、残りの1相分はその電流センサから検出された電流値より容易に求められるからである。電流センサの一例はシャント抵抗であり、その両端電圧を測定することで相電流を検出できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
本発明の車両用伝達比可変操舵システム100(以下、「可変操舵システム100」という。)の全体的な概要を図1に示す。
可変操舵システム100は、操舵ハンドル10(以下、「ハンドル10」という。)に一端側が固定されて一体的に回転する入力軸20と、この入力軸20の他端側が連結されて操舵角が入力れる伝達比可変操舵装置30と、伝達比可変操舵装置30に一端側が固定されて転舵角が出力される出力軸40と、伝達比可変操舵装置30を制御する電子制御装置(ECU)60とからなる。
【0013】
伝達比可変操舵装置30は、入力軸20と出力軸40とを相対回転可能に連結しており、ブラシレスモータ31によって変位駆動される。これによって、入力軸20と出力軸40との間で回転量の伝達比(転舵角/操舵角)が変化させられる。詳細を図示しないが、伝達比可変操舵装置30は、筒形状のハウジングの内周側に固定されたステータと、さらにその内側に中空シャフトと一体化したロータとが配置されてなり、これらのステータとロータとによってブラシレスモータ31(駆動モータ)が構成される。このブラシレスモータ31は、詳細は後述するが、図2に示すような、磁極数2の3相DCブラシレスモータである。
【0014】
ECU60は、入力軸20に設けられた操舵角センサ21および外部の車速センサ70から入力された各種信号に基づき、ブラシレスモータ31の回転量を制御している。操舵角センサ21は、入力軸20に設けられており、相対回転角を検出するロータリーエンコーダからなる。ここから2相のパルス信号がECU60に出力される。ECU60は、この2相のパルス信号の位相差を基に、ハンドル10の回転方向を検知すると共にパルス数をカウントし、ハンドル10の相対回転角(操舵角と転舵角との差)を検知する。なお、ECU60とブラシレスモータ31との間は、伝達比可変操舵装置30のハウジング(つまり、ブラシレスモータ31のステータ)自体が回転するため、渦巻帯状のスパイラルケーブル32によって接続されている。
また、出力軸40の他端側は、ラックアンドピニオン式の電動パワーステアリング装置50に連結されている。電動パワーステアリング装置50によって駆動されるラック軸51の両側には転舵輪FWが連結されている。
【0015】
次に、ブラシレスモータ31の三相コイルU、V、Wに回転磁界を生じさせるための駆動回路を図2に示す。この駆動回路(インバータ回路)は、ECU60内に設けられており、各相毎に1対設けられたスイッチング素子(FET)61a、61b、62a、62b、63a、63bのON/OFFによって電源(Vc)側から供給される直流(DC)がパルス状の交流に変換される。各FET61〜63のスイッチングは、マイコン等からなる制御部66によってPWM制御されている。
ここで、本実施形態の場合、三相コイルU、V、Wに流れる励磁電流iu、iv、iwの内、励磁電流iu、ivは、その回路上に設けた電流センサ64、65(相電流検出手段)によって直接検出される。検出された励磁電流iu、ivは、A/Dコンバータ等を経て入力され、制御部66は各相コイルに流れる電流値を把握する。
【0016】
なお、本実施形態の場合、三相コイルU、V、WはY結線されたものであることから、励磁電流iwを直接検出する電流センサは設けていない。この励磁電流iwは、iw=−iu−ivとして求めた。なお、電流センサ64、65は、回路中に介在させたシャンク抵抗の両端電圧を測定するものである。
制御部66は、こうして得られた三相コイルの電流値に基づいて、FET61等のスイッチングの制御幅を調整して、各相コイルに流れる励磁電流値iu、iv、iwの値およびタイミング、周波数を制御する。こうして、各相コイル間のアンバランスや個体差が解消される。
さらに制御部66は、ブラシレスモータ31のスパイラルケーブル32の温度推定を行う。この温度推定には、上記励磁電流iu、iv、iwの電流値に基づいて、スパイラルケーブル32周囲の雰囲気温度等を加味して行われる(温度推定手段)。なお、温度推定を行う部位として、スパイラルケーブル32を選んだのはこの部分が熱に対する最弱部位だからである。
【0017】
この温度推定は、例えば、上記制御部66によって次のように処理される。
先ず、上記温度推定に先立ち、スパイラルケーブル32に流れるモータ電流Iが算出される。この演算処理を図3のフローチャートを用いて説明する。
すなわち、ステップS1で励磁電流iuが、ステップS2で励磁電流ivがそれぞれ検出される。これらの励磁電流iu、ivから、ステップS3で励磁電流iw(=−iu−iv)が算出される。ステップS4では、こうして得られた励磁電流iu、iv、iwから、上記モータ電流I(=(|iu|+|iv|+|iw|)/2)が算出される。ここで、各絶対値の和を2で割っているのは、モータ電流Iを実効値とするためである。そして、ステップS5でこのモータ電流Iをモータ電流I(n)とする。なお、モータ電流I(n)は、イグニッションON時等の起算点から順次カウントしたモータ電流Iのn番目を意味する。
【0018】
次に、上記モータ電流に基づいてなされる温度推定処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
すなわち、ステップS11で、上記モータ電流I(n)を読出す。ステップS12で、スパイラルケーブル32での発熱量に比例したモータ電流I(n)の2乗値I(n)2を算出する。ステップS13で、カウンタ値nに対応したなまし回数Nを読出す。さらに、ステップS14で、前回の演算結果であるA(n−1)を読出す。なお、A(n)は、このスパイラルケーブル32での発熱量を指標する発熱指標値である。ステップS15で、モータ電流の2乗値I(n)2、なまし回数Nおよび発熱指標値A(n−1)に基づいて、今回(n番目)の発熱指標値A(n)を算出する。このときの算出式は、A(n)={I(n)2+(N−1)*A(n−1)}/Nである。
【0019】
ステップS16で、温度変換係数Kを読出す。この温度変換係数Kは、発熱指標値A(n)からスパイラルケーブル32の温度上昇分を換算するものであり、試験的に求められる。ステップS17で、ブラシレスモータ31のモータ雰囲気温度θ0を算定する。このモータ雰囲気温度θ0は、ECU60の基板に設けられた温度検出センサの出力信号を、雰囲気温度マップを対応付けて温度推定したものである。ステップS18で、発熱指標値A(n)、温度変換係数Kおよびモータ雰囲気温度θ0に基づいて、スパイラルケーブル32のケーブル温度θを算出する。
そして、制御部66は、このケーブル温度θが基準温度θs以上と判定すると、変操舵システム100をフェールセーフモードに切替える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用伝達比可変操舵システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】その実施形態で使用されるモータ駆動回路を示す要部回路図である。
【図3】その実施形態でなされるモータ電流の算出処理を示すフローチャートである。
【図4】その実施形態でなされるスパイラルケーブルの温度推定処理を示すフローチャートである。
【図5】従来のモータ駆動回路を示す要部回路図である。
【符号の説明】
10 操舵ハンドル
20 入力軸
30 伝達比可変操舵装置
31 ブラシレスモータ
32 スパイラルケーブル
40 出力軸
60 ECU(制御装置)
FW 転舵輪
100 車両用伝達比可変操舵システム
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルとパワーステアリング等の間に介在して、操舵ハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角を走行状態に応じて可変にできる車両用伝達比可変操舵システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
操舵ハンドル(以下、適宜「ハンドル」という。)の操作負担を軽減するために、最近では、油圧式または電動式のパワーステアリング装置が殆どの車両に設けられている。ところが、パワーステアリング装置を備えていても、車庫入れ等する場合にはハンドルを何度も大きく切り返したりしなければならず、その操作負担は依然大きい。
【0003】
そこで、車庫入れ等する場合、ハンドルの操作量が小さくても、転舵輪(前車輪)が大きく切れるようにして、ハンドルの操作負担をさらに軽減してスムーズな運転を可能とする車両用伝達比可変操舵システム(以下、適宜「可変操舵システム」という。)が採用されつつある。この可変操舵システムは、ハンドルとパワーステアリング装置等との間に介在して、ハンドルの操作量(操舵角)と転舵輪の転舵角との伝達比を可変とするものである。そして、低速運転中はその伝達比が大きく、高速運転中はその伝達比が小さく設定されている。この可変操舵システムは、下記特許文献1にもあるように、例えば、3相DCブラシレスモータ(以下、適宜、「モータ」という。)で駆動され、このモータの制御は、可変操舵システムの電子制御装置(ECU)によりなされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−287660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記モータやその周辺の過熱によるシステム故障等を未然に回避するために、可変操舵システムの温度把握が重要となる。その中でも、熱に対する最弱部位の温度把握が重要である。例えば、可変操舵システムの場合、モータに電力を供給するスパイラルケーブル等がその最弱部位となることが多い。
【0006】
このような最弱部位の温度を直接測定することは困難であるため、モータに流れる電流値から、最弱部位の温度推定をすることが考えられる。そこで、例えば、図5に示すように、モータ駆動回路全体へ流れる電流値をその上流側に設けた電流センサで一括して検出し、この検出された電流値から各相電流を推定する。そしてこの推定された相電流に基づき、最弱部位の温度推定を行うことが考えられる。この方法によって、その最弱部位の温度推定を精度良く行うには、その前提となる相電流の推定が正確であることが求められる。
【0007】
ところが、各相電流は、巻線のずれ、組付誤差等によって変化し、正確な推定は困難である。その結果、自ずと、その最弱部位の温度推定も精度の悪いものとなる。
また、モータの位置制御はなされるとしても、図5のモータ駆動回路では相電流の直接的な検出がなく、電流ループが設けられないため、可変操舵システム毎の性能バラツキも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、ブラシレスモータの相電流を正確に検出して、所定部位の温度推定を高精度で行えると共にモータの制御性を向上させ得る車両用伝達比可変操舵システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、相電流を直接的に検出する相電流検出手段を設けることを思いつき、本発明を完成するに至った。
本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、操舵ハンドル側に連結されて操舵角の入力される入力軸と、該転舵輪側に連結されて転舵角の出力される出力軸と、該入力軸と該出力軸との間に介在し、駆動源である駆動モータによって該操舵角に対する該転舵角の伝達比を可変とする伝達比可変装置と、該伝達比を車両の走行状態に応じて変更すべく該駆動モータへの通電を制御する制御装置とを備える車両用伝達比可変操舵システムにおいて、
前記駆動モータは、ブラシレスモータであり、前記制御装置は、該ブラシレスモータの相電流を検出する相電流検出手段と、該検出された相電流に基づき所定部位の温度推定を行う温度推定手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の車両用伝達比可変操舵システムは、発熱量に直接関連するブラシレスモータへ供給される相電流が、相電流検出手段によって直接的に検出される。この結果、制御装置は、この相電流に基づいて、所定部位の温度推定を精度良く行うことができる。勿論、相電流を推定ではなく直接的に検出しているため、フィードバック制御による電流ループも可能となり、上記モータの制御性が向上する。その結果、モータの安定駆動が図られ、各個体間のバラツキも容易に低減させ得る。
【0011】
ここでいうブラシレスモータは、その磁極数、相数、相コイルの結線方法等を問わない。また、相電流検出手段を設ける個数は、相コイルの数と同じである必要もない。例えば、N相の場合、(N−1)相分の電流が検出されると、残りの相電流を求めることができるからである。
上記モータを具体的にいうと、回転磁界を形成するY結線された3相コイルからなるブラシレスモータであり、前記相電流検出手段は、該3相コイル中のいずれか2相分の相電流を検出する電流センサである。上述したように、電流センサを設ける相数を3相中の2相としたのは、残りの1相分はその電流センサから検出された電流値より容易に求められるからである。電流センサの一例はシャント抵抗であり、その両端電圧を測定することで相電流を検出できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
本発明の車両用伝達比可変操舵システム100(以下、「可変操舵システム100」という。)の全体的な概要を図1に示す。
可変操舵システム100は、操舵ハンドル10(以下、「ハンドル10」という。)に一端側が固定されて一体的に回転する入力軸20と、この入力軸20の他端側が連結されて操舵角が入力れる伝達比可変操舵装置30と、伝達比可変操舵装置30に一端側が固定されて転舵角が出力される出力軸40と、伝達比可変操舵装置30を制御する電子制御装置(ECU)60とからなる。
【0013】
伝達比可変操舵装置30は、入力軸20と出力軸40とを相対回転可能に連結しており、ブラシレスモータ31によって変位駆動される。これによって、入力軸20と出力軸40との間で回転量の伝達比(転舵角/操舵角)が変化させられる。詳細を図示しないが、伝達比可変操舵装置30は、筒形状のハウジングの内周側に固定されたステータと、さらにその内側に中空シャフトと一体化したロータとが配置されてなり、これらのステータとロータとによってブラシレスモータ31(駆動モータ)が構成される。このブラシレスモータ31は、詳細は後述するが、図2に示すような、磁極数2の3相DCブラシレスモータである。
【0014】
ECU60は、入力軸20に設けられた操舵角センサ21および外部の車速センサ70から入力された各種信号に基づき、ブラシレスモータ31の回転量を制御している。操舵角センサ21は、入力軸20に設けられており、相対回転角を検出するロータリーエンコーダからなる。ここから2相のパルス信号がECU60に出力される。ECU60は、この2相のパルス信号の位相差を基に、ハンドル10の回転方向を検知すると共にパルス数をカウントし、ハンドル10の相対回転角(操舵角と転舵角との差)を検知する。なお、ECU60とブラシレスモータ31との間は、伝達比可変操舵装置30のハウジング(つまり、ブラシレスモータ31のステータ)自体が回転するため、渦巻帯状のスパイラルケーブル32によって接続されている。
また、出力軸40の他端側は、ラックアンドピニオン式の電動パワーステアリング装置50に連結されている。電動パワーステアリング装置50によって駆動されるラック軸51の両側には転舵輪FWが連結されている。
【0015】
次に、ブラシレスモータ31の三相コイルU、V、Wに回転磁界を生じさせるための駆動回路を図2に示す。この駆動回路(インバータ回路)は、ECU60内に設けられており、各相毎に1対設けられたスイッチング素子(FET)61a、61b、62a、62b、63a、63bのON/OFFによって電源(Vc)側から供給される直流(DC)がパルス状の交流に変換される。各FET61〜63のスイッチングは、マイコン等からなる制御部66によってPWM制御されている。
ここで、本実施形態の場合、三相コイルU、V、Wに流れる励磁電流iu、iv、iwの内、励磁電流iu、ivは、その回路上に設けた電流センサ64、65(相電流検出手段)によって直接検出される。検出された励磁電流iu、ivは、A/Dコンバータ等を経て入力され、制御部66は各相コイルに流れる電流値を把握する。
【0016】
なお、本実施形態の場合、三相コイルU、V、WはY結線されたものであることから、励磁電流iwを直接検出する電流センサは設けていない。この励磁電流iwは、iw=−iu−ivとして求めた。なお、電流センサ64、65は、回路中に介在させたシャンク抵抗の両端電圧を測定するものである。
制御部66は、こうして得られた三相コイルの電流値に基づいて、FET61等のスイッチングの制御幅を調整して、各相コイルに流れる励磁電流値iu、iv、iwの値およびタイミング、周波数を制御する。こうして、各相コイル間のアンバランスや個体差が解消される。
さらに制御部66は、ブラシレスモータ31のスパイラルケーブル32の温度推定を行う。この温度推定には、上記励磁電流iu、iv、iwの電流値に基づいて、スパイラルケーブル32周囲の雰囲気温度等を加味して行われる(温度推定手段)。なお、温度推定を行う部位として、スパイラルケーブル32を選んだのはこの部分が熱に対する最弱部位だからである。
【0017】
この温度推定は、例えば、上記制御部66によって次のように処理される。
先ず、上記温度推定に先立ち、スパイラルケーブル32に流れるモータ電流Iが算出される。この演算処理を図3のフローチャートを用いて説明する。
すなわち、ステップS1で励磁電流iuが、ステップS2で励磁電流ivがそれぞれ検出される。これらの励磁電流iu、ivから、ステップS3で励磁電流iw(=−iu−iv)が算出される。ステップS4では、こうして得られた励磁電流iu、iv、iwから、上記モータ電流I(=(|iu|+|iv|+|iw|)/2)が算出される。ここで、各絶対値の和を2で割っているのは、モータ電流Iを実効値とするためである。そして、ステップS5でこのモータ電流Iをモータ電流I(n)とする。なお、モータ電流I(n)は、イグニッションON時等の起算点から順次カウントしたモータ電流Iのn番目を意味する。
【0018】
次に、上記モータ電流に基づいてなされる温度推定処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
すなわち、ステップS11で、上記モータ電流I(n)を読出す。ステップS12で、スパイラルケーブル32での発熱量に比例したモータ電流I(n)の2乗値I(n)2を算出する。ステップS13で、カウンタ値nに対応したなまし回数Nを読出す。さらに、ステップS14で、前回の演算結果であるA(n−1)を読出す。なお、A(n)は、このスパイラルケーブル32での発熱量を指標する発熱指標値である。ステップS15で、モータ電流の2乗値I(n)2、なまし回数Nおよび発熱指標値A(n−1)に基づいて、今回(n番目)の発熱指標値A(n)を算出する。このときの算出式は、A(n)={I(n)2+(N−1)*A(n−1)}/Nである。
【0019】
ステップS16で、温度変換係数Kを読出す。この温度変換係数Kは、発熱指標値A(n)からスパイラルケーブル32の温度上昇分を換算するものであり、試験的に求められる。ステップS17で、ブラシレスモータ31のモータ雰囲気温度θ0を算定する。このモータ雰囲気温度θ0は、ECU60の基板に設けられた温度検出センサの出力信号を、雰囲気温度マップを対応付けて温度推定したものである。ステップS18で、発熱指標値A(n)、温度変換係数Kおよびモータ雰囲気温度θ0に基づいて、スパイラルケーブル32のケーブル温度θを算出する。
そして、制御部66は、このケーブル温度θが基準温度θs以上と判定すると、変操舵システム100をフェールセーフモードに切替える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両用伝達比可変操舵システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】その実施形態で使用されるモータ駆動回路を示す要部回路図である。
【図3】その実施形態でなされるモータ電流の算出処理を示すフローチャートである。
【図4】その実施形態でなされるスパイラルケーブルの温度推定処理を示すフローチャートである。
【図5】従来のモータ駆動回路を示す要部回路図である。
【符号の説明】
10 操舵ハンドル
20 入力軸
30 伝達比可変操舵装置
31 ブラシレスモータ
32 スパイラルケーブル
40 出力軸
60 ECU(制御装置)
FW 転舵輪
100 車両用伝達比可変操舵システム
Claims (2)
- 操舵ハンドル側に連結されて操舵角の入力される入力軸と、
該転舵輪側に連結されて転舵角の出力される出力軸と、
該入力軸と該出力軸との間に介在し、駆動源である駆動モータによって該操舵角に対する該転舵角の伝達比を可変とする伝達比可変装置と、
該伝達比を車両の走行状態に応じて変更すべく該駆動モータへの通電を制御する制御装置とを備える車両用伝達比可変操舵システムにおいて、
前記駆動モータは、ブラシレスモータであり、
前記制御装置は、該ブラシレスモータの相電流を検出する相電流検出手段と、該検出された相電流に基づき所定部位の温度推定を行う温度推定手段とを備えることを特徴とする車両用伝達比可変操舵システム。 - 前記ブラシレスモータは、回転磁界を形成するY結線された3相コイルを有し、
前記相電流検出手段は、該3相コイル中のいずれか2相分の相電流を検出する電流センサを備えてなる請求項1に記載の車両用伝達比可変操舵システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003073642A JP2004276838A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 車両用伝達比可変操舵システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003073642A JP2004276838A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 車両用伝達比可変操舵システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004276838A true JP2004276838A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33289490
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003073642A Pending JP2004276838A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 車両用伝達比可変操舵システム |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004276838A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015091147A (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-11 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | モータ制御装置 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003073642A patent/JP2004276838A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015091147A (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-11 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | モータ制御装置 |
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---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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