JP2004275970A - 海生生物付着制御方法とシステムおよび記録媒体 - Google Patents

海生生物付着制御方法とシステムおよび記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】各種生物付着防止剤の使用量を必要最小限に抑えつつ、十分な付着防止効果が得られる海生生物付着制御方法を提供すること。
【解決手段】海生生物付着制御方法は、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の定常供給に戻す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、海生生物付着制御方法とシステムおよび記録媒体に関し、より詳しくは、海水取水路内に付着する海生生物の付着制御方法とそれに用いられるシステム並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
この発明に関連する従来技術としては、海水冷却水系において海生生物の付着防止に用いられる過酸化水素を有効に利用するために、海生生物の生育し易い温度環境に応じて過酸化水素の供給量を調整する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この発明に関連する他の従来技術としては、海水冷却水系において海生生物の付着防止に用いられる過酸化水素を有効に利用するために、取水口近傍の海水のTOC値(海水中の全有機炭素量)を測定し、TOC値が7.0ppm以下となる水面下に過酸化水素を供給する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、この発明に関連するさらに他の従来技術としては、海水冷却水系におけるオベリア類の付着を防止するために、過酸化水素を供給した後、所定の時間を空けてから塩素ガス又は有効塩素発生剤を供給する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、この発明に関連するさらに他の従来技術としては、海水冷却水系における海生生物の付着を防止するために、過酸化水素を供給した後、界面活性剤を供給する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、この発明に関連するさらに他の従来技術としては、海水冷却水系におけるスライムの付着を防止するために、予め界面活性剤を供給した後、過酸化水素を所定の濃度で供給する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−70954号公報
【特許文献2】
特開2000−102791号公報
【特許文献3】
特開2002−248479号公報
【特許文献4】
特許第2685351号明細書
【特許文献5】
特開平10−277560号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
冷却水として海水を使用する発電所、製鉄所、石油化学プラントなどの多くは、波浪などを避けるために、内海や湾内に面した所に建設されている。
内海や湾内において海水を取水すると、海水中に生息するムラサキイガイ、フジツボ、コケムシ、ヒドロムシなどの海生生物が、海水取水路、配管や導管路、熱交換器や復水路などの内壁に付着する。
【0009】
これらの付着した海生生物は、成長して通水路を狭め、さらに内壁などの付着部から脱落し、配管や熱交換器内の通水を阻害して冷却効率を低下させたりする。
また、局部的な乱流や酸素濃淡電池を生じて金属の腐蝕障害などの様々な問題を引き起こす。
【0010】
これらの付着生物は、自然界において付着基盤を争奪しながら共生しており、ムラサキイガイやフジツボ、ヒドロムシ類はその繁殖力が強く、上記のような付着の問題を起こし易い。
【0011】
そこで、これらの付着生物を抑制する方法として、過酸化水素、塩素剤および界面活性剤などの生物付着防止剤を使用する方法が種々提案されている。過酸化水素は安全性の高い薬剤であるが、カタラーゼ活性を有する付着生物や微生物類が海水系に多数存在することや、海水冷却水の水質変化などが原因となり、過酸化水素の分解が促進され、有効濃度を維持することは困難であった。
そこで、過酸化水素と塩素剤、界面活性剤などを併用使用する方法が提案されてきたが、これらの使用量を効果的に抑制して環境に配慮し、かつ、経済性の高い生物付着制御方法が望まれてきた。
【0012】
この発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、各種生物付着防止剤の使用量を必要最小限に抑えつつ、十分な付着防止効果が得られる海生生物付着制御方法とシステムおよび記録媒体を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の定常供給に戻すことを特徴とする海生生物付着制御方法を提供するものである。
【0014】
つまり、この発明による海生生物付着制御方法では、海生生物やスライムの付着や海水冷却水の水質変化などが原因となり、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下となると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤との交互供給に切り替えるので、第1生物付着防止剤の濃度を早く回復させることができ、結果として、第1生物付着防止剤の濃度は常に有効範囲内に維持され、海水取水路において常に十分な付着防止効果が得られると共に、第1および第2生物付着防止剤の使用量が必要最小限に抑えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明による海生生物付着制御方法は、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の定常供給に戻すことを特徴とする。
【0016】
ここで、海生生物は、海水中に生息し、壁面に付着する性質を有する生物全般を意味するが、そのような生物の例としては、例えば、ムラサキイガイ、フジツボ、コケムシ、ヒドロムシ、スライムなどが挙げられる。
【0017】
また、海水取水路は、海から取水された海水を通水させる通路の全般を意味するが、具体例としては、例えば、発電所、製鉄所または石油化学プラントなどにおける海水冷却水系が挙げられ、取水管、循環水管、復水器水管、放水管などを含むことができる。
また、海水取水路を構成する管の形状、材質、管長、直径などは特に問わないが、例えば、ステンレス、銅、鉄、ライニング鉄などからなる配管が挙げられる。
【0018】
また、定常供給は、第1生物付着防止剤の連続的な供給、または、一定の供給休止時間を挟んだ間欠的な供給を意味する。
すなわち、春から秋にかけては、海生生物が付着し易いため、24時間連続的に供給することが好ましいが、冬は海生生物が比較的付着しずらいため、必ずしも24時間連続的に供給する必要はなく、一定の供給休止時間を挟んで間欠的に供給してもよい。具体的には、冬には第1生物付着防止剤を1日あたり14時間以上供給すればよい。
【0019】
また、第1所定値は、第1生物付着防止剤の供給を開始した際の取水海水中における第1生物付着防止剤の濃度から約20〜30%低下した値とすることができる。具体的には、季節、海水温度、取水する海水の汚れ具合などを考慮して上記範囲内から適宜設定するとよい。
【0020】
また、交互供給は、第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を交互に供給することを意味し、第1生物付着防止剤と第2生物付着剤を時間的な間隔を空けることなく交互に供給してもよいし、第1生物付着防止剤の供給を止めたのち、所定時間経過してから、第2生物付着防止剤の供給を開始するようにしてもよい。
【0021】
また、第2所定値は、第1生物付着防止剤の供給を開始した際の取水海水中における第1生物付着防止剤の濃度から約0〜20%低下した値とすることができる。
【0022】
この発明による海生生物付着制御方法において、第1生物付着防止剤は過酸化水素からなり、第2生物付着防止剤は塩素剤からなっていてもよい。
ここで、具体的な過酸化水素としては、通常、工業用として市販されている濃度約30〜60%の過酸化水素水溶液や過酸化水素発生剤を用いることができる。
過酸化水素発生剤(以下、「過酸化水素剤」と称する)としては、過酸化水素を水中で放出しうる過ホウ酸、過炭酸、ペルオキシ硫酸などの無機過酸、過酢酸のような有機過酸およびこれらの塩類が挙げられる。
これらを海水取水路に供給するにあたっては、所望の濃度になるように過酸化水素および過酸化水素剤を海水や淡水で適宜希釈または溶解して用いてもよい。
【0023】
また、海水を含む用水中で発生させた過酸化水素を用いることもできる。過酸化水素を用水中で発生させる方法としては、水またはアルカリ溶液の電気化学的分解、紫外線や放射線などの高エネルギー線を水に照射する方法等が挙げられる。
【0024】
過酸化水素水溶液または過酸化水素剤を海水取水路に供給する際、海水量に対する供給量は、過酸化水素として0.1〜2mg/Lであることが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜1.0mg/Lである。
過酸化水素水溶液または過酸化水素剤の供給量が、過酸化水素として0.1mg/L未満の場合には、過酸化水素の濃度が有効範囲を下回り、海生生物に対する付着防止効果や成長抑制効果が不十分となるので好ましくない。
一方、過酸化水素水溶液または過酸化水素剤の供給量が、過酸化水素として2mg/Lを超えるとそれに見合うだけの付着防止効果が得られずコスト面からみて好ましくない。
【0025】
また、第2生物付着防止剤としては、塩素剤を用いることができ、具体的には、通常、工業用として市販されている塩素ガスや次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸塩などの海水中で有効塩素を発生する化合物が挙げられ、中でも次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
塩素剤を冷却用海水系に供給するにあたっては、所望の濃度になるように塩素剤を海水や淡水で適宜希釈または溶解して用いてもよい。また、海水などの塩化ナトリウムを含む溶液の電気分解によって得られた塩素ガスを用いることもできる。
【0026】
この発明による海生生物付着制御方法において、第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互供給する工程は、取水路の海水に混入された第2生物付着防止剤の濃度が所定範囲内となるように第2生物付着防止剤の供給量を調節しながら第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を所定時間ずつ交互に供給する工程であってもよい。
このような方法によれば、例えば、第2生物付着防止剤として塩素剤を用いる場合に、取水海水における塩素の残留濃度を所定の範囲内に保つことができ、海生生物に対する十分な付着防止効果が得られるとともに、トリハロメタンなどの有害生成物量を極力抑えることができる。
【0027】
ここで、例えば、第1および第2生物付着防止剤として上述の過酸化水素と塩素剤を用いる場合、過酸化水素の供給量と供給時間については、過酸化水素として0.1〜2mg/Lで1日あたり14〜23時間とすることができ、塩素剤の供給量と供給時間については、取水海水中における残留塩素が0.01〜0.5mg/Lとなるような供給量で1日あたり1〜10時間とすることができる。また、過酸化水素を供給した後、塩素剤の供給を開始するまでに3時間以下の間隔を空けてもよい。
塩素剤の供給量が、残留塩素として0.01mg/L未満の場合、また、その供給時間が1時間未満の場合には、海生生物に対する付着防止効果および成長抑制効果が不十分となるので好ましくない。
一方、塩素剤の供給量が、残留塩素として0.5mg/Lを超える場合、また、その供給時間が10時間を超える場合には、それに見合うだけの付着防止効果および成長抑制効果が得られず、さらにはトリハロメタンなどの有害生成物量が多くなるので好ましくない。
【0028】
この発明による海生生物付着制御方法は、海水取水路内における海生生物の付着具合を連続的又は間欠的に監視し、海生生物の付着が認められたときに第3生物付着防止剤を供給する工程を更に備えていてもよい。
このような方法によれば、第1および第2生物付着防止剤による付着防止制御を行っていたにも係わらず海生生物の付着が認められた場合に、第3生物付着防止剤を供給することにより、付着してしまった海生生物を海水取水路内から除去することができる。
【0029】
なお、第3生物付着防止剤の供給を開始する基準としては、上述の通り、海生生物の付着が認められたときとすることができるが、具体的には、海水取水路内において殻長3mm以上のムラサキイガイが認められたときとすることができる。
【0030】
また、第3生物付着防止剤としては、カチオン性界面活性剤を用いることができる。
カチオン性界面活性剤の代表化合物としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、ヤシアルキルトリメチルアンモニウム塩、牛脂アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、オクタデシルピリジニウム塩、ヤシアルキルピリジニウム塩、牛脂アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
【0031】
海水取水路内において殻長3mm以上のムラサキイガイが認められたときに、上記カチオン性界面活性剤を0.01〜0.1mg/Lの濃度となるように1日あたり15〜24時間供給すると、ムラサキイガイ等の二枚貝類の付着防止効果および成長抑制効果が顕著にあらわれる。
【0032】
また、この発明による海生生物付着制御方法は、第1生物付着防止剤の濃度を遠隔的に測定し、第1および第2生物付着防止剤の供給を遠隔的に操作してもよい。
このような方法によれば、海水取水路の管理者は、管理室などの海水取水路から離れた場所に留まったまま、第1生物付着防止剤の濃度変化を知ることができ、必要であれば定常供給と交互供給の切り替えを遠隔的に操作できる。これにより、管理者の負担が軽減されるとともに、より的確なタイミングで定常供給と交互供給を切り替えることができるようになる。
【0033】
また、この発明による海生生物付着制御方法は、海水取水路内における海生生物の付着具合を遠隔的に監視し、第3生物付着防止剤の供給を遠隔的に操作してもよい。
このような方法によれば、海水取水路の管理者は、管理室などの海水取水路から離れた場所に留まったまま、海生生物の付着状況を知ることができ、必要であれば第3生物付着防止剤の供給を遠隔的に操作できる。これにより、管理者の負担が軽減されるとともに、的確なタイミングで第3生物付着防止剤を供給できるようになる。
【0034】
この発明は別の観点からみると、海水取水路に取水される海水の流量を測定する取水流量測定部と、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する第1供給部と、海水取水路に第2生物付着防止剤を供給する第2供給部と、取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定する第1濃度測定部と、取水流量測定部、第1供給部、第2供給部および第1濃度測定部を制御する制御部を備え、制御部は、第1供給部に取水流量に応じた量の第1生物付着防止剤を供給させ、測定濃度が第1所定値以下となると第1および第2供給部に第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を交互に供給させ、測定濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1供給部に第1生物付着防止剤を供給させる海生生物付着制御システムを提供するものでもある。
【0035】
つまり、この発明による上記海生生物付着制御システムでは、制御部が取水流量に応じた量の第1生物付着防止剤を第1供給部に供給させるので、常に適切な量の第1生物付着防止剤を取水流量に応じて供給でき、不必要に多くの第1生物付着防止剤を供給してしまうことが防止される。
【0036】
また、この発明による海生生物付着制御システムでは、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下となると、制御部が第1および第2供給部に第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を交互に供給させるので、第1生物付着防止剤の濃度を早く回復させることができ、結果として、第1生物付着防止剤の濃度は常に有効範囲内に維持され、海水取水路において常に十分な付着防止効果が得られると共に、第1および第2生物付着防止剤の使用量が必要最小限に抑えられる。
【0037】
ここで、第1生物付着防止剤および第2生物付着防止剤としては、上述の海生生物付着制御方法で用いるものと同じものを用いることができる。
また、第1所定値および第2所定値についても上述の海生生物付着制御方法と同様の値とすることができる。
また、海生生物、海水取水路の意味するところについても、上述の海生生物付着制御方法と同様である。
【0038】
また、制御部は、例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oポートなどからなるマイクロコンピュータで一体的に構成できる。制御部は遠隔操作装置と有線又は無線によって通信可能に構成されていてもよい。
【0039】
また、取水流量測定部としては、海水取水路内を流れる海水の流量を測定して測定結果を電子データとして出力できるものであればどのようなものであってもよいが、例えば、配管の上流側と下流側から斜めに超音波パルスを伝搬させ、流れにより生ずる時間差に基づいて流量を測定し、測定結果を電子データとして出力する超音波流量計を用いることができる。超音波流量計の測定結果は信号ケーブルなどを介して制御部のI/Oポートへ送信される。
【0040】
また、第1、第2供給部は、例えば、第1および第2生物付着防止剤を収容する薬剤タンクと、薬剤タンクから所望量を送出するポンプと、ポンプの動作を制御するポンプ制御部とから構成できる。ポンプ制御部は、上述の制御部のI/Oポートと信号ケーブルなどを介して接続され、制御部からの指示を受けてポンプを作動させる。
また、薬剤タンクは、収容した薬剤の量を感知するセンサーを備え、所定値まで薬剤が減少したときにポンプ制御部を介して制御部へ警報を発するように構成されていてもよい。
【0041】
また、第1濃度測定部は、第1生物付着防止剤の濃度を測定して測定結果を電子データとして出力できるものであればどのようなものであってもよいが、第1生物付着防止剤が過酸化水素からなる場合には、例えば、取水海水から採取した試料中の過酸化水素を分解する分解器と、試料に電圧を印加して流れる電流を測定する測定器とを備え、分解器を経た試料に流れる電流と、分解器を経てない試料に流れる電流との差から過酸化水素の濃度を算出し、算出結果を電子データとして出力する過酸化水素濃度分析計を用いることができる。過酸化水素濃度分析計の測定結果は信号ケーブルなどを介して制御部のI/Oポートへ送信される。
【0042】
この発明による上記海生生物付着制御システムにおいて、第2供給部は、取水海水における第2生物付着防止剤の濃度を測定する第2濃度測定部を備え、制御部は取水海水における第2生物付着防止剤の濃度が所定範囲内となるように測定濃度に基づいて第2供給部を制御してもよい。
このような構成によれば、例えば、第2生物付着防止剤として塩素剤を用いる場合に、取水海水における塩素の残留濃度を所定の範囲内に保つことができ、海生生物に対する十分な付着防止効果が得られるとともに、トリハロメタンなどの有害生成物量を極力抑えることができる。
【0043】
なお、第2濃度測定部は、第2生物付着防止剤の濃度を測定して測定結果を電子データとして出力できるものであればどのようなものであってもよいが、第2生物付着防止剤が塩素剤からなる場合には、例えば、N,N‐Diethyl‐p‐phenylenediamine(DPD)指示薬と緩衝液によるDPD比色法により残留塩素濃度を測定し、測定結果を電子データとして出力する残留塩素分析計を用いることができる。残留塩素分析計の測定結果は信号ケーブルなどを介して制御部のI/Oポートへ送信される。制御部は残留塩素分析計の測定結果に基づいて、取水海水中の残留塩素濃度が所定範囲内となるように第2供給部からの供給量を調節する。
【0044】
また、この発明による上記海生生物付着制御システムは、海水取水路内における海生生物の付着具合を連続的又は間欠的に監視するための監視部と、海水取水路に第3生物付着防止剤を供給するための第3供給部を更に備えてもよい。
このような構成によれば、第1および第2生物付着防止剤による付着防止制御を行っていたにも係わらず海生生物の付着が認められた場合に、第3生物付着防止剤を供給することにより、付着してしまった海生生物を海水取水路内から除去できるようになる。
【0045】
ここで、第3供給部としては、上述の第1および第2供給部と同様の構成とすることができる。
【0046】
また、監視部としては、例えば、金属製配管と接続可能なフランジを両端に有するアクリル樹脂製筒体と、アクリル樹脂製筒体の長手方向に沿って移動可能に設けられた移動ステージと、移動ステージ上に設置されたCCDカメラとから構成され、CCDカメラに撮影された画像を電子データとして出力する撮影ユニットを用いることができる。撮影ユニットにより撮影された画像は通信ケーブルなどを介して制御部のI/Oへ伝達され、さらに制御部から遠隔制御装置のモニターへ送信されてもよい。なお、制御部と遠隔制御装置は、有線で接続されていてもよいし、無線方式で情報を授受するように構成されていてもよい。
【0047】
この場合、管理者はモニター上で殻長3mm以上のムラサキイガイの有無を判断し、殻長3mm以上のムラサキイガイの存在が確認された場合には、第3供給部から第3生物付着防止剤の供給を開始させる指示を制御部へ送信する。制御部は管理者からの指示を受けて第3供給部に第3生物付着防止剤を供給させる。
なお、監視部としては、生物調査板を備えるモニターカラムなどが用いられてもよい。
【0048】
また、この発明は更に別の観点からみると、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の定常供給に戻すことにより、海生生物の海水取水路内への付着を制御するプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を提供するものでもある。
【0049】
【実施例】
以下にこの発明の実施例について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する複数の実施例において、同じ部材には同じ符号を用いて説明する。
【0050】
実施例1
図1はこの発明の実施例1による海生生物付着制御システムの構成を概略的に示す説明図である。
図1に示されるように、この発明の実施例による海生生物付着制御システム100は、海水取水路1に取水される海水の流量を測定する流量測定器2と、海水取水路1に過酸化水素水溶液を供給する第1供給部3と、海水取水路1に塩素剤として次亜塩素酸ソーダ水溶液を供給する第2供給部4と、海水取水路1の海水に混入された過酸化水素の濃度を測定する過酸化水素濃度分析計5と、流量測定器2、第1供給部3、第2供給部4および過酸化水素濃度分析計5を制御する制御部6を備えている。
制御部6は、第1供給部3に取水流量に応じた量の過酸化水素を供給させ、測定濃度が注入開始時の測定濃度より25%低い値となると第1および第2供給部3,4に過酸化水素と次亜塩素酸ソーダを交互に供給させ、測定濃度が注入開始時の測定濃度と同じ値まで回復すると再び第1供給部3に過酸化水素を供給させるように構成されている。
【0051】
ここで、海水取水路1は、主に、取水管1a、循環水管1b、放水管1cとから構成されている。
取水管1aは、バースクリーン7とロータリスクリーン8によって塵芥が取り除かれた海水を取水するための管で循環水管1bとの接続部に取水ポンプ9が設けられている。
また、循環水管1bは取水管1aから送出されてくる海水を復水器10へ供給するための管である。
【0052】
復水器10は、ボイラー11で発生し負荷装置12と接続されたタービン13で仕事を終えた蒸気を循環水管1bから送り込まれる海水で冷却し水に戻す。復水器10で冷却された水はポンプ14によって再びボイラー11へ送られ、冷却に用いられた海水は放水管1cによって海へ放水される。
【0053】
また、循環水管1bは、薬剤を希釈するための希釈海水ライン1dと、付着生物を監視するための付着生物監視ライン1eが上流側から順に分岐している。
希釈海水ライン1dは循環水管1bの最も上流側から分岐し、その途中にポンプ15と、第1、第2および第3供給部3,4,16が接続され、取水管1aの先端近傍に接続されている。
なお、第3供給部16は、海水取水路1内に多くの海生生物が付着した場合に、避難的措置としてカチオン性界面活性剤を供給するためのものである。
【0054】
第1、第2および第3供給部3,4,16は、第1、第2および第3薬剤タンク3a,4a,16aと、第1、第2、第3ポンプ3b,4b,16bとからそれぞれ構成され、いずれも制御部6からの指示によって所望量の薬剤を希釈海水ライン1dへ送出する。第1、第2および第3供給部3,4,16から供給された薬剤は、希釈海水ライン1dを流れる海水によって希釈されたうえで取水管1aに送出される。
【0055】
一方、付着生物監視ライン1eは途中に管内の付着状況を撮影し、撮影した画像データを通信ケーブルを介して制御部6へ送信する撮影ユニット17が設けられている。
制御部6へ送信された画像データは通信ケーブル18を介して遠隔制御装置19のモニターに表示される。
管理者はモニターに映し出された海生生物の付着状況を確認し、必要であれば、遠隔制御装置19から制御部6へ第3供給部16を作動させる指示を送信することにより、所望量のカチオン性界面活性剤水溶液を希釈海水ライン1dへ供給できる。
【0056】
また、循環水管1bには上流側から下流側へ向かって流量測定器2、残留塩素分析計20、過酸化水素濃度分析計5が順に設けられている。
流量測定器2、残留塩素分析計20、過酸化水素濃度分析計5はいずれも信号ケーブルを介して制御部6と接続されており、測定結果を電子データとして制御部6へ送信する。
なお、残留塩素分析計20、過酸化水素濃度分析計5は、撮影ユニット17と共に測定・監視部21を構成し、実施例2で後述するように、復水器10より下流側に設けられても構わない。
【0057】
ここで、制御部6は、流量測定器2によって測定された取水流量に基づいて、供給すべき過酸化水素水溶液の量を計算し、その計算結果に応じて第1ポンプ3aを駆動させ、取水流量に応じた量の過酸化水素水溶液を希釈海水ライン1dへ送出させる。なお、この実施例では、35%の過酸化水素水溶液を3mg/Lで送出するように設定されている。
【0058】
また、制御部6は、過酸化水素濃度分析計5によって測定された過酸化水素濃度に基づいて過酸化水素水溶液のみの定常供給とするか、あるいは、過酸化水素水溶液と次亜塩素酸ソーダ水溶液との交互供給とするかを判断し、第1および第2供給部3,4をそれぞれ制御する。なお、この実施例では、過酸化水素濃度分析計5が設置された地点における過酸化水素の濃度が、注入開始時の濃度よりも25%低下したときに交互供給に切り替え、前記濃度が注入開始時の濃度と同じ値まで回復したときに定常供給に戻すように設定されている。
【0059】
また、制御部6は、交互供給とするべく第2供給部4を制御する際に、残留塩素分析計20によって測定された残留塩素濃度に基づいて、供給すべき次亜塩素酸ソーダ水溶液の量を計算し、その計算結果に基づいて第2ポンプ4bを駆動させ供給すべき量の次亜塩素酸ソーダ水溶液を希釈海水ライン1dへ送出させる。なお、この実施例では、残留塩素分析計20が設置された地点における残留塩素濃度が、残留塩素として0.2mg/Lとなる供給量を計算するように設定されている。
【0060】
このような構成からなる海生生物付着制御システム100において、制御部6は図2に示されるようなフローチャートにて第1および第2供給部3,4を制御する。
制御部6は、まずステップS101で流量に応じた量の過酸化水素を第1供給部3から定常供給させる。
その後、ステップS102へ進んで過酸化水素の濃度を測定し測定された濃度を初期濃度として記憶する。
【0061】
その後、ステップS103へ進んで再び過酸化水素の濃度を測定し、さらにステップS104へ進んで測定された濃度が初期濃度より25%以上低下しているか否かを判断し、25%以上低下していると判断するまでステップS103〜ステップS104を繰り返す。
測定された濃度が初期濃度より25%以上低下していると判断すると、ステップS105へ進んで過酸化水素と塩素剤を第1および第2供給部3,4から交互に供給させる。
【0062】
その後、ステップS106へ進んで過酸化水素の濃度を測定し、さらにステップS107へ進んで測定された濃度が初期濃度と同じ値まで回復したか否かを判断し、初期濃度と同じ値まで回復したと判断するまでステップS106〜ステップS107を繰り返す。
測定された濃度が初期濃度と同じ値まで回復したと判断すると、ステップS108へ進んで過酸化水素のみの定常供給に切り替える。
【0063】
その後、ステップS109へ進んで薬剤供給終了の指示がなされているか否かを判断し、薬剤供給終了の指示がなされていない場合はステップS103へ戻って付着制御処理を続行し、薬剤供給終了の指示がなされている場合はステップS110へ進んで付着制御処理を終了する。
【0064】
実施例2
この発明の実施例2による海生生物付着制御システムについて図3に基づいて説明する。図3は、この発明の実施例2による海生生物付着制御システムの構成を概略的に示す説明図である。
図3に示されるように、実施例2による海生生物付着制御システム200は、測定・監視部21が、復水器10より下流側に設けられている。その他の構成については、上述の実施例1と同じである。
このように、復水器10より下流側に測定・監視部21を設けても、実施例1と同等の機能を果たすことができる。
【0065】
試験例
某化学工場において2系路(A系路、B系路)の海水取水路を使用して試験を行った。A系路およびB系路共に海水取水路の配管はほぼ共通であり、試験開始時の取水海水量は3000m/時であった。
また、A系路およびB系路共に試験開始時において海水取水路内に海生生物の付着は認められなかった。
【0066】
A系路には、上述の実施例1による海生生物付着制御システム100(図1参照)を設置し、比較例となるB系路は従来通りの構成とした。
すなわち、B系路では、過酸化水素、次亜塩素酸ソーダ、カチオン性界面活性剤を各定量ポンプで注入できるようにし、実施例の撮影ユニットに該当する部分に生物調査板を具備したモニターカラムを取り付けた。
但し、B系路では、実施例のような制御システムを用いないため、各付着防止剤の注入・注入停止、並びに、注入量の決定は管理者の判断により行われる。
【0067】
まず、A系路では、35%の過酸化水素水溶液を3mg/Lで注入開始した。注入開始時における過酸化水素濃度(初期濃度)は、過酸化水素濃度分析計が設置された地点で、過酸化水素として0.85mg/Lであった。
このような過酸化水素水溶液の連続供給を継続したところ、45日目で過酸化水素濃度が、過酸化水素として0.65mg/Lとなり初期濃度から約25%の低下となった。
なお、この間、過酸化水素水溶液の供給量は、海水取水量に対して3mg/Lとなるように自動調整された。
【0068】
過酸化水素の濃度が初期濃度から約25%低下したため、1日あたり21時間、過酸化水素水溶液を海水取水量に対して3mg/Lで注入し、1日あたり3時間、12%の次亜塩素酸ソーダ水溶液を注入する交互供給に自動的に切り替えられた。
この間、次亜塩素酸ソーダの注入量は、残留塩素分析計が設置された地点で、残留塩素濃度が、残留塩素として0.2mg/Lを示すように自動調整された。このような交互供給を継続したところ、75日目で過酸化水素濃度は、過酸化水素として0.85mg/Lとなり、初期濃度と同じ値にまで回復した。
【0069】
このため、過酸化水素水溶液を海水取水量に対して3mg/Lで注入する連続供給に再び戻された。
その後、試験開始から90日目で試験を終了したが、試験終了時における過酸化水素濃度は、過酸化水素として0.8mg/Lであった。
【0070】
以上ような90日にわたるA系路での試験期間中に、過酸化水素および残留塩素の濃度が変化した様子を図4のグラフ図に示す。また、試験期間中にA系路内に付着した海生生物の付着状況の変化を以下の表1に示す。
なお、図4において、ライン(a)は過酸化水素の濃度変化を示し、ライン(b)は残留塩素の濃度変化を示している。
また、表1において、ムラサキイガイは殻長2mm以上の個体数を、フジツボは基底長径2mm以上の個体数を、それぞれ「m」換算して示している。
また、ヒドロムシ、他の付着生物およびスライムについては、管内に対する被覆度をパーセントで表示している。
【0071】
【表1】
Figure 2004275970
【0072】
図3および表1に示されるように、A系路では過酸化水素の濃度が0.65mg/Lまで低下した45日目においてスライムの増殖が若干みられるものの、交互供給が開始されてから15日経過した60日目ではスライムの増殖も収まっている。
また、ムラサキイガイ、フジツボ、ヒドロムシおよび他の付着生物については、90日間にわたってそれらの付着がほとんどみられず、良好な付着防止効果が得られている。
【0073】
一方、B系路では、試験開始時の海水取水量3000m/時に対し35%の過酸化水素水溶液を3mg/L、すなわち9000g/時で注入開始した。注入開始時における過酸化水素濃度(初期濃度)は、過酸化水素濃度分析計が設置された地点で、過酸化水素として0.85mg/Lであった。
なお、B系路では、海水取水量の変動に対して供給量の調整は行われず、注入開始時の供給量9000g/時のまま連続供給が行われた。
このような過酸化水素水溶液の連続供給を継続したところ、45日目で過酸化水素濃度が、過酸化水素として0.5mg/Lまで低下し、海生生物の付着が著しいことが判明した。
【0074】
このため、1日あたり21時間、過酸化水素水溶液を9000g/時で注入し、1日あたり3時間、12%の次亜塩素酸ソーダ水溶液を15000g/時で注入する交互供給に管理者の判断によって切り替えられた。
次亜塩素酸ソーダ水溶液の注入に関しても、過酸化水素水溶液と同様に、海水取水量の変動に対して供給量の調整は行われず、15000g/時のまま供給がなされた。
しかし、このような交互供給に切り替えても、海生生物の付着状況に改善がみられなかったため、60日目からは、前記交互供給を継続するとともに、10%カチオン性界面活性剤水溶液を1500g/時で24時間連続供給した。
【0075】
過酸化水素水溶液と次亜塩素酸ソーダ水溶液の交互供給、並びに、カチオン性界面活性剤の連続供給を、試験終了となる90日目まで継続したが、過酸化水素濃度は、過酸化水素として0.7mg/Lまでしか回復せず、また、残留塩素濃度は、残留塩素として0mg/Lまで低下していた。
【0076】
以上ような90日にわたるB系路での試験期間中に、過酸化水素および残留塩素の濃度が変化した様子を図5のグラフ図に示す。また、試験期間中にB系路内に付着した海生生物の付着状況の変化を以下の表2に示す。
なお、図5において、ライン(c)は過酸化水素の濃度変化を示し、ライン(d)は残留塩素の濃度変化を示している。上述の通り、B系路では、60日目から試験終了時までカチオン性界面活性剤水溶液も供給したが、カチオン性界面活性剤については濃度測定を行わなかったため、グラフとしての図示は省略する。また、表2において、ムラサキイガイは殻長2mm以上の個体数を、フジツボは基底長径2mm以上の個体数を、それぞれ「m」換算して示している。
また、ヒドロムシ、他の付着生物およびスライムについては、管内に対する被覆度をパーセントで表示している。
【0077】
【表2】
Figure 2004275970
【0078】
図5および表2に示されるように、B系路では過酸化水素の濃度が0.65mg/Lまで低下した30日目においてムラサキイガイ、ヒドロムシおよび他の付着生物の付着が始まり、また、スライムの増殖も始まっている。
そして、過酸化水素の濃度が0.5mg/Lまで低下した45日目では、ムラサキイガイ、フジツボ、ヒドロムシおよび他の付着生物の付着が著しく増加し、また、スライムの増殖も著しい。
【0079】
カチオン性界面活性剤の供給が開始された60日目において、フジツボの付着はみられなくなったものの、ムラサキイガイ、ヒドロムシおよび他の付着生物については相変わらず付着が著しく、また、スライムの増殖も収まっていない。
カチオン性界面活性剤の供給開始から15日経過した75日目では、各生物について付着および増殖の減少傾向がみられ、過酸化水素濃度が0.7mg/Lまで回復した90日目ではムラサキイガイおよびヒドロムシについて付着減少傾向がみられる。
【0080】
また、試験が行われた90日間にA系路で使用された薬品の量とB系路で使用された薬品の量を表3に示す。
【0081】
【表3】
Figure 2004275970
【0082】
表3に示されるように、A系路で使用された薬品の量と、B系路で使用された薬品の量を比較すると、A系路では、上述のとおりB系路より良好な付着防止効果が得られたにも係わらず、いずれの薬品についてもB系路より使用量が削減されており、効率よく薬品が使用されたことが分かる。
【0083】
【発明の効果】
この発明によれば、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下となると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤との交互供給に切り替えるので、第1生物付着防止剤の濃度を早く回復させることができ、結果として、第1生物付着防止剤の濃度は常に有効範囲内に維持され、海水取水路において常に十分な付着防止効果が得られると共に、第1および第2生物付着防止剤の使用量が必要最小限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による海生生物付着制御システムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】図1に示される海生生物付着制御システムの制御部が第1および第2供給部を制御する際の制御動作を示すフローチャート図である。
【図3】この発明の実施例2による海生生物付着制御システムの構成を概略的に示す説明図である。
【図4】実施例による海生生物付着制御システムを設置したA系路において、90日間の試験中に、過酸化水素および残留塩素の濃度が変化した様子を示すグラフ図である。
【図5】比較例となるB系路において、90日間の試験中に、過酸化水素および残留塩素の濃度が変化した様子を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1・・・海水取水路
1a・・・取水管
1b・・・循環水管
1c・・・放水管
1d・・・希釈海水ライン
1e・・・付着生物監視ライン
2・・・流量測定器
3・・・第1供給部
3a・・・第1薬剤タンク
3b・・・第1ポンプ
4・・・第2供給部
4a・・・第2薬剤タンク
4b・・・第2ポンプ
5・・・過酸化水素濃度分析計
6・・・制御部
7・・・バースクリーン
8・・・ロータリスクリーン
9・・・取水ポンプ
10・・・復水器
11・・・ボイラー
12・・・負荷装置
13・・・タービン
14,15・・・ポンプ
16・・・第3供給部
16a・・・第3薬剤タンク
16b・・・第3ポンプ
17・・・撮影ユニット
18・・・通信ケーブル
19・・・遠隔制御装置
20・・・残留塩素分析計
100,200・・・海生生物付着制御システム

Claims (11)

  1. 海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の前記定常供給に戻すことを特徴とする海生生物付着制御方法。
  2. 第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互供給する工程は、取水路の海水に混入された第2生物付着防止剤の濃度が所定範囲内となるように第2生物付着防止剤の供給量を調節しながら第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を所定時間ずつ交互に供給する工程である請求項1に記載の方法。
  3. 第1生物付着防止剤が過酸化水素からなり、第2生物付着防止剤が塩素剤からなる請求項1に記載の方法。
  4. 海水取水路内における海生生物の付着具合を監視し、海生生物の付着が認められたときに第3生物付着防止剤を供給する工程を更に備える請求項1に記載の方法。
  5. 第3生物付着防止剤がカチオン性界面活性剤からなる請求項4に記載の方法。
  6. 第1生物付着防止剤の濃度を遠隔的に観測し、第1および第2生物付着防止剤の供給を遠隔的に操作する請求項1に記載の方法。
  7. 海水取水路内における海生生物の付着具合を遠隔的に監視し、第3生物付着防止剤の供給を遠隔的に操作する請求項4に記載の方法。
  8. 海水取水路に取水される海水の流量を測定する取水流量測定部と、海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する第1供給部と、海水取水路に第2生物付着防止剤を供給する第2供給部と、取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定する第1濃度測定部と、取水流量測定部、第1供給部、第2供給部および第1濃度測定部を制御する制御部を備え、制御部は、第1供給部に取水流量に応じた量の第1生物付着防止剤を供給させ、測定濃度が第1所定値以下となると第1および第2供給部に第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤を交互に供給させ、測定濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1供給部に第1生物付着防止剤を供給させる海生生物付着制御システム。
  9. 第2供給部は、取水海水における第2生物付着防止剤の濃度を測定する第2濃度測定部を備え、制御部は取水海水における第2生物付着防止剤の濃度が所定範囲内となるように測定濃度に基づいて第2供給部を制御する請求項8に記載のシステム。
  10. 海水取水路内における海生生物の付着具合を連続的又は間欠的に監視するための監視部と、付着具合に応じて海水取水路に第3生物付着防止剤を供給するための第3供給部を更に備える請求項8に記載のシステム。
  11. 海水取水路に第1生物付着防止剤を供給する定常供給を行いながら取水路の海水に混入された第1生物付着防止剤の濃度を測定し、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値以下になると第1生物付着防止剤と第2生物付着防止剤とを交互に供給する交互供給に切り替え、第1生物付着防止剤の濃度が第1所定値よりも高い第2所定値まで回復すると第1生物付着防止剤の定常供給に戻すことにより、海生生物の海水取水路内への付着を制御するプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体。
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