JP2004275859A - 液状物質供給器 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質の高い液状物質供給を可能にすることを主な課題とし、吐出される液状物質中に気泡が含まれるのを防ぎ、液漏れし難い液体供給機構を提供すること。
【解決手段】1次側流路2と2次側流路6とを有するボディ1と、1次側流路2から2次側流路6へ流れる液状物質の流量を制御するバルブ部材3とを備え、ボディ1はそのテーパー面5とは反対側にあって、2次側流路6が延びる、一体的に形成された筒状突出部1aを有し、その筒状突出部から液状物質が吐出される液状物質供給器、又はバルブ部材3がテーパー面5と密接可能な円錐型のテーパー面tsをもつポペット部3aを備える液状物質供給器。
【選択図】 図1
【解決手段】1次側流路2と2次側流路6とを有するボディ1と、1次側流路2から2次側流路6へ流れる液状物質の流量を制御するバルブ部材3とを備え、ボディ1はそのテーパー面5とは反対側にあって、2次側流路6が延びる、一体的に形成された筒状突出部1aを有し、その筒状突出部から液状物質が吐出される液状物質供給器、又はバルブ部材3がテーパー面5と密接可能な円錐型のテーパー面tsをもつポペット部3aを備える液状物質供給器。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、コンパクトディスクやDVDのような情報媒体などからなる基体に溶剤を含む有機色素材料、あるいは液状塗料又は液状接着剤などを供給する高精度の液状物質供給器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に気圧の微細な調整によって精度の高い液体供給を行うエアオペレート型の液体供給器としては種々の構成のものが知られているが、特にコンパクトディスクに記録膜を形成する場合の溶剤を含む有機色素材料の供給、保護膜を形成するときの紫外線硬化塗料の供給、及びDVDの製造工程におけるディスク基板を貼り合わせるときの液状接着剤の供給などにおいては、所定量に高精度で制御する必要がある。
【0003】
例えば、コンパクトディスクのディスク基板にドーナツ状に溶剤型の紫外線硬化塗料を供給する例を示したものとして下記特許文献1があり、当該特許文献では液体供給ノズルを一定の低速度で回転させると共に、一定量の液体をノズル先端から吐出することにより、所定幅で所定高さのドーナツ状の液膜を形成することが開示されている。特許文献1には液体供給器の具体的な構造は開示されていないが、このような分野で用いられている従来のエアオペレート型の液状物質供給器400として図4に示すようなものがある。
【0004】
図4において、ボディ1内に形成された1次側流路2は、不図示の液体供給装置から供給される溶剤型の有機色素材料又は紫外線硬化型塗料のような液状物質を通流させるものであり、1次側流路2には不図示の継手によって液体供給パイプが接続される。バルブ部材3は液状物質の流量を調整するものであり、ポペット部3aと板バネ部3bとピン部3cとからなる。
【0005】
バルブ部材動作範囲設定機構4’はポペット部3aのストローク、つまり動作範囲を調整して液状物質の流量を調整するためのものであり、調整駆動部4’aと設定ブロック部4’bとからなる。1次側流路2から供給される液状物質の圧力の大きさによって板バネ部3bが上下に動くことにより、その流量の調整が行われる。なお、Sは空気が存在する気室である。
【0006】
ボディ1にはロート状、つまり円錐形状のテーパー面5が形成されており、その最下部からボディ1の中央を延びて液状物質を通流させる2次側流路6が形成されている。2次側流路6の下側部分には、その2次側流路6の径よりも直径の大きい大径部6aが形成されている。その大径部6aにはネジ山6bが形成されている。大径部6aのネジ山6bにはニードルアダプタ7のネジ山部7aが螺合されている。ニードルアダプタ7の中央には液状物質を通流させる2次側流路6の一部分を形成する流路が形成されており、その先端部7bにニードル8が固定されている。ニードル8は、2次側流路6に真っ直ぐにつながる液体吐出口8aを有する。
【0007】
次にこのような構造の液状物質供給器の動作を簡単に説明する。バルブ部材動作範囲設定機構4’は、調整駆動部4’aによって設定ブロック部4’bが時計方向又は反時計方向に回転して前進又は後退し、バルブ部材3のピン部3cと設定ブロック部4’bの先端面との間の間隔を調整する。1次側流路2から供給される液状物質の圧力によって、板バネ部3bは図面上方向に動き、ピン部3cが設定ブロック部4’bに当接したところで止まる。つまり、バルブ部材動作範囲設定機構4’は、ポペット部3aの動き、即ちストロークを決めることによって、ポペット部3aと円錐形状のテーパー面5の最下部である底部との間隔を調整し、1次側流路2から2次側流路6を通して液体吐出口8aに流れる液状物質(図示しない)の量を調整する。
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第2527804号(2頁、図1〜図3)
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構造の従来の液状物質供給器は下記のような問題点を有している。
【0010】
(1)2次側流路6は途中に大径部6aを有するので、その部分に液状物質が澱み、澱むことによって空気がトラップされるので、液状物質の吐出精度が悪くなり、さらにボディ1とニードルアダプタ7との当接面のごく微小な間隙を通して空気漏れが生ずることによって吐出される液状物質の中に気泡が混入される。この気泡の混入は情報記録媒体の製造上では、その品質を悪化させるので避けなければならない。
【0011】
(2)また、ボディ1とニードルアダプタ7との当接面のごく微小な間隙を通しての空気漏れは、2次側流路6を閉じた後も大径部6aに澱んだ液状物質をニードル8の液体吐出口8a側に流す作用を行い、吐出停止の切れを悪くする。
【0012】
(3)比較的高精度の液状物質供給器のポペット部3aは半径が1mm未満と非常に小さく、したがって傷が付き易いので、流路に異物が混入した状態で開閉を行っていると、バルブ頭部3aに傷がついて液漏れが発生し、頻繁に交換しなければならない場合もある。
【0013】
(4)有機溶剤又は有機溶剤を溶媒とする溶液の粘度が0.3〜30センチポイズ(cP)である場合、その溶剤又は溶液を0.05ml/秒以上の量で安定に吐出することはできない。
【0014】
(5)ボディ1とポペット部3aはいずれもフッ素樹脂又はポリアセタール樹脂からなるものが多いが、ボディ1の1次側流路2に流体物質を供給するための不図示の液体供給パイプをボディ1に接続する不図示の継手の着脱により、その着脱個所が破損し易く、そこから液漏れを起こすので、破損の度にボディ1を交換する必要がある。
【0015】
(6)従来のバルブ部材動作範囲設定機構4’は、バルブ部材3の動作ストロークを精密に調整することができないため、流量の微調整が困難であるばかりか、直接バルブ部材3を動かして液状物質の流量を制御するものでないので、例えば。液状物質の温度条件などに従って流量を制御することが難しかった。
【0016】
本発明は、品質の高い液状物質供給を可能にすることを主な目的とし、吐出される液状物質中に気泡が含まれるのを防ぎ、液漏れし難い液体供給機構を提供することを特徴としている。
【0017】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記問題点を解決するため、本願請求項1記載の発明は、円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部より液体吐出口まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、前記ボディはその長手方向において前記テーパー面とは反対側にあって、前記2次側流路が前記液体吐出口まで延びる一体成形された筒状突出部を有し、この筒状突出部の前記液体吐出口から前記液状物質が吐出されることを特徴とする液状物質供給器を提供するものである。
【0018】
このように構成した液状物質供給器においては、従来構造のように2次側通路に空気が漏れて入ることが無いから、吐出される液状物質中に気泡が含まれることが無くなり、また液状物質の吐出停止時の切れが良くなる。
【0019】
また本願請求項2は、請求1において、前記筒状突出部に形成された前記液体吐出口は、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下である液状物質供給器を提供するものである。
【0020】
このように構成した液状物質供給器においては、特に筒状突出部に形成された前記液体吐出口の径が小さいときには、請求項1で得られる効果の他に、別途ニードルを設けることなく、経済性に有利である。
【0021】
本願請求項3は、請求項1において、前記筒状突出部には、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下の直径の液体吐出口を備えるニードルが固定されている液状物質供給器を提供するものである。
【0022】
このように構成した液状物質供給器においては、ニードルを取りつけても請求項1の効果を損なうことが無く、所望の径の液体吐出口を有するニードルに簡単に交換できるので、融通性がある。
【0023】
本願請求項4は、円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部より液体吐出口まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、前記ポペット部は前記ボディの円錐形状の前記テーパー面と同じ形状で同じ傾斜のテーパー面を備え、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面とは密接し得るように構成されている液状物質供給器を提供するものである。
【0024】
このように構成した液状物質供給器においては、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面の当接面積は広く、密接に接触する構造となっているので、液状物質に異物が混入していた場合に、それらのテーパー面に傷が付いたとしても、液状物質が漏れることはなく、漏れる程度まで傷がつくまでには長期間がかかるので、大幅に寿命が長くなる。また、液状物質の吐出停止時の切れも向上する。
【0025】
本願請求項5は、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記1次側流路が前記ボディの前記テーパー面まで延びる位置は、前記ポペット部の円錐形状のテーパー面に対向する箇所にあり、その円錐形状のテーパー面が前記1次側流路を直接閉じることができるようにした液状物質供給器を提供するものである。
【0026】
このように構成した液状物質供給器においては、前記バルブ部材が1次側流路と2次側流路とを直接閉じる、特に1次側流路を直接閉じるので、より高精度の流量調整が可能となり、液状物質の吐出停止時の切れもさらに向上する。
【0027】
本願請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記ボディは超高分子ポリエチレン樹脂からなり、前記ポペット部はフッ素樹脂からなる液状物質供給器を提供するものである。
【0028】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ頭部に傷が付き難く、またボディは超高分子ポリエチレン樹脂からなるから、1次側流路に液体供給パイプを接続するための継手の着脱によってもボディが破損せず、したがってこの液状物質供給器の寿命を向上させることができる。
【0029】
本願請求項7は、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記ポペット部の円錐部分の最大半径が1mm以上で10mm以下である液状物質供給器を提供するものである。
【0030】
このように構成した液状物質供給器においては、異物などによって傷が付いても液漏れ難く、安定に液状物質を供給することができる。
【0031】
本願請求項8は、請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、前記液体吐出口は、0.2mmないし3mmの範囲の直径を有する液状物質供給器を提供するものである。
【0032】
このように構成した液状物質供給器においては、液体吐出口の直径がこのような範囲にあるので、吐出する液状物質の量を高精度かつ安定に制御することができる。
【0033】
本願請求項9は、請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、前記ポペット部を駆動するバルブ部材駆動機構を備え、該バルブ部材駆動機構は駆動部とこの駆動部によって僅かずつ前進又は後退して前記ポペット部が高い精度で液状物質の供給を調整できるようにする移動ブロック部とを具備するマイクロメータ機構からなる液状物質供給器を提供するものである。
【0034】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ部材の動作を極めて微細に調整できるので、吐出する液状物質の量をより高精度に制御することができる。
【0035】
本願請求項10は、請求項11ないし請求項8のいずれかにおいて、前記バルブ部材駆動機構はマイクロメータ機構からなり、0.01mm以下の分解能で前記ポペット部の動作又は動作範囲を調整できる液状物質供給器を提供するものである。
【0036】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ部材の動作をきわめて微細に調整できるので、吐出する液状物質の量をより高精度に制御することができる。
【0037】
【本発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係る液状物質供給器の構造を説明するための断面図である。図1において、図4に示した記号と同一の記号は相当する部材を示すものとする。この液状物質供給器100が図4に示した従来の液状物質供給器400と異なる主な点は、ボディ1の長手方向における円錐状テーパー面5の反対側に2次側流路6を有し、ボディ1と一体的に形成され、液体吐出口6cをもつ筒状突出部1aを備えることと、バルブ部材3のポペット部3aが円錐形状をしており、ボディ1の円錐状テーパー面5と対面する面が同一傾斜のテーパー面tsになっていることと、バルブ部材駆動機構4を用いて直接バルブ部材3と円錐状テーパー面5との間の間隔を制御していることの3点であり、図4に示した部材と同じ部材については説明を省略する。
【0038】
円錐状テーパー面5の底位置からボディ1を真っ直ぐに延びる2次側流路6の一部分を分担するように、円錐状テーパー面5とは反対側のボディ1面から突出する筒状突出部1aが備えられる。この筒状突出部1aは、ボディ1と一体成形され、超高分子ポリエチレン材料からなる。筒状突出部1aは、図1に示すように、実際の使い勝手の良さなどからボディ1本体の外径よりもかなり小さいが、吐出停止時の液状物質の回り込みがないように先端部が細く加工されていれば、外径や長さが制限されるものではない。このような構造にしたことにより、従来に比べて吐出された液状物質中に気泡が混入する量を少なくすることができ、またボディ1に傷が付き難くなる。
【0039】
このバルブ部材3のポペット部3aはフッ素樹脂からなって、円錐形状に形成されており、その円錐形状の最大半径は、1mm以上で10mm以下の大きさである。ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsは、ボディ1の円錐状テーパー面5によって形成される円錐形状の凹所Xに位置し、テーパー面tsとボディ1の円錐状テーパー面5との間の距離がバルブ部材駆動機構4によって高精度に制御される。このようにすることにより、ボディ1の円錐状のテーパー面5と当接する面積が従来のものに比べて格段に大きくなり、溶剤や溶剤の入った有機色素溶液などからなる液状物質の中に硬い異物が混入したことにより、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsとボディ1の円錐形状のテーパー面5に傷が付いたとしても、液状物質が短期間で漏れるようなことはない。
【0040】
2次側流路6の長さは、筒状突出部1aの分も含めて50mm以下であって、ボディ1に形成された2次側流路6の半径は0.2mm以上で3mm以下の範囲にあることが好ましい。ボディ本体部の外径よりも外径の小さな筒状突出部1aはボディ1と一体的に形成されており、その液体吐出口6cは、図示していないが、前記範囲内でボディ1中の2次側流路6の径以下であってもよい。液体吐出口6cがこのような直径による断面積を持つので、粘度が0.3〜30cPの有機溶剤又は有機溶剤を溶媒とする溶液を、0.05ml/秒以上で安定に吐出することができるが、前記範囲外では安定に液状物質の供給、供給停止を行うことができなくなる。
【0041】
さらに、この実施例ではバルブ部材駆動機構4を用い、直接的にバルブ部材3を微量ずつ前進又は後退させて、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsと円錐形状のテーパー面5との間隔を制御し、液状物質の吐出量を高精度で制御する。バルブ部材駆動機構4として、高精度の微量変位量の位置出しやその調整を確実、かつ安定的に行えるエアマイクロメータ機構を用いている。このマイクロメータ機構は0.01mm以下の分解能でバルブ部材3の動作を微調整することができる。
【0042】
バルブ部材駆動機構4の駆動部4aは、図示しない制御部からの制御信号に基づいて制御される空気圧により、移動ブロック部4bを高い精度で微量ずつ前進又は後退させることができ、これによりバルブ部材3のポペット部3aを高精度で微量変位させることができるようにしたものである。このように、バルブ部材駆動機構4によって直接的にバルブ部材3のポペット部3aを高精度で微量調整できるので、液状物質の吐出量を精密に調整でき、また再現性の確保が容易である。
【0043】
なお、バルブ部材駆動機構4を従来装置のようにバルブ部材動作範囲設定機構4’と同じ使い方をしても、勿論よい。
【0044】
また、この実施例ではポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsが、1次側流路2がボディ1の円錐状のテーパー面5まで延びる位置にかかるように、つまり円錐状のテーパー面5に対向する箇所に1次側流路2が形成されているから、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsは1次側流路2と2次側流路6を直接開閉することになる。したがって、その応答性が早いだけでなく、安定して開閉、つまり液体物質の供給、供給停止を行うことができる。
【0045】
次に、図2により本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明する。この実施例が図1に示した第1の実施例と主に異なる点は、1次側流路1がボディ1に形成されたテーパー面5まで延びる位置がポペット部3aから外れていることと、ボディ1の筒状突出部1aに液体吐出口8aを有するニードル8が固定されていることと、気室Sの気圧を調整することによってバルブ部材3の動作を調整することの3点である。
【0046】
ニードル8は、ボディ1の底面及び筒状突出部1aに接着剤などで密接に固定されている。ニードル8の液体吐出口8aはボディ1中の2次側流路6の半径以下であり、その半径は0.2mm以上で3mm以下の範囲にある。また、ニードル8の液体吐出口8aを含む2次側流路6の長さは50mm以下である。
【0047】
この実施例では、従来の液状物質供給器400と同じく、バルブ部材動作範囲設定機構4’を用い、バルブ部材3の制御は気室Sに空気を供給する気体供給量調整弁9と気体排気量調整弁10とで行っている。気体排気量調整弁10を閉じ、気体供給量調整弁9を開くことにより、気室S内の気圧が高くなるので、ポペット部3aは押し下げられ、ポペット部3aのテーパー面tsと円錐状テーパー面5との間隔が狭まり、ニードル8の液体吐出口8aから吐出される液状物質の量は少なくなる。他方、気体排気量調整弁10を開き、気体供給量調整弁9を閉じることにより、気室S内の気圧が下がるので、ポペット部3aは板バネ部3bの働きで上がるので、ポペット部3aのテーパー面tsと円錐状テーパー面5との間隔が広くなり、ニードル8の液体吐出口8aから吐出される液状物質の量は多くなる。
【0048】
この実施例でもポペット部3aのテーパー面は従来のものに比べて面積がかなり大きくなっており、しかも1次側流路2がボディ1に形成されたテーパー面5に交わる位置がポペット部3aから外れているので、硬い異物が液状物質に含まれていても1次側流路1がテーパー面5に交わる箇所に傷が付き難く、寿命を大幅に向上させることができる。また、任意の直径の液体吐出口をもつニードルを用意しておくことにより、種々の用途に対応することができる。
【0049】
なお、この実施例でもバルブ部材動作範囲設定機構4’として0.01mm以下の分解能を有するマイクロメータ機構を用いることにより、バルブ部材3の動作ストローク、つまり動作範囲を高い精度で調整することができる。
【0050】
次に、図3により第3の実施例の液状物質供給器300について説明する。この実施例では、1次側流路1がボディ1に形成されたテーパー面5に交わる位置がポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsにかかる位置にあることと、従来のものと同様に気室Sの気圧を制御せずに、液状物質の供給路に液状物質供給量調整弁11を設けてその供給量を変え、ポペット部3aを上下に動かすこととが図2のものとは異なる。
【0051】
この実施例では、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsが1次側流路1と2次側流路とを直接開閉するので、応答性が頗る良好である。
【0052】
本発明に係る液状物質供給器は以上述べたような特徴を有するので、コンパクトディスクやDVDなどの追記型光ディスクに記録膜となる有機色素層を形成するとき、有機溶剤を溶媒とする色素液をディスク上に所定量だけ正確に吐出するのに有効であり、また、DVDなどの光ディスクの貼り合せ工程で接着層を形成する際に、1000cP以下の粘度を有する紫外線硬化型の接着剤をディスク上に高い精度で所定量吐出するのに有効である。
【0053】
また、本発明に係る液状物質供給器は、コンパクトディスクやDVDなどの光ディスク、あるいはMOやMDのような光磁気ディスクのデータ読み取り面の保護を目的とするハードコート層を形成する際、1000cP以下の粘度を有する紫外線硬化型の液状物質をディスク上に高い精度で所定量吐出するのに有効である。さらに、コンパクトディスクやDVDのような光ディスクのエッジに付着した液状物質を除去する洗浄工程において、洗浄液である1000cP以下の粘度を有する有機溶剤を繰り返し高い精度で所定量吐出するのにも有効である。
【0054】
なお、以上の実施例では好ましい構造について述べたが、前記それぞれのテーパー面は支障ない程度に同一方向に弧状になっていても、前述と同様な効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によれば、従来構造のように2次側通路に空気が漏れて入ることが無いから、吐出される液状物質中に気泡が含まれることが無くなり、また液状物質の吐出停止時の切れが良くなる。また、直接ポペット部を調整しているので、液状物質の吐出量を高い精度で調整することができる。
【0056】
本発明の請求項4によれば、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面の当接面積は広く、密接に接触する構造となっているので、液状物質に異物が混入していた場合に、それらのテーパー面に傷が付いたとしても、漏れる程度まで傷がつくまでには長期間がかかるので、大幅に寿命が長くなる。また、液状物質の吐出停止時の切れも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液状物質供給器の一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明するための図である。
【図3】本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明するための図である。
【図4】従来の液状物質供給器の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ボディ
1a…ボディ1の筒状突出部
2…2次側流路
3…バルブ部材
3a…ポペット部
3b…板バネ部
4…バルブ部材駆動機構
4a…駆動部
4b…移動ブロック部
4’…バルブ部材動作範囲設定機構
5…ボディ1のテーパー面
6…2次側流路
6a…液体吐出口
8…ニードル
8a…ニードル8の液体吐出口
9…気体供給量調整弁
10…気体排気量調整弁
11…液状物質流量調整弁
X…ボディ1の円錐形状の凹所
ts…ポペット部3aのテーパー面
S…気室
【産業上の利用分野】
この発明は、コンパクトディスクやDVDのような情報媒体などからなる基体に溶剤を含む有機色素材料、あるいは液状塗料又は液状接着剤などを供給する高精度の液状物質供給器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に気圧の微細な調整によって精度の高い液体供給を行うエアオペレート型の液体供給器としては種々の構成のものが知られているが、特にコンパクトディスクに記録膜を形成する場合の溶剤を含む有機色素材料の供給、保護膜を形成するときの紫外線硬化塗料の供給、及びDVDの製造工程におけるディスク基板を貼り合わせるときの液状接着剤の供給などにおいては、所定量に高精度で制御する必要がある。
【0003】
例えば、コンパクトディスクのディスク基板にドーナツ状に溶剤型の紫外線硬化塗料を供給する例を示したものとして下記特許文献1があり、当該特許文献では液体供給ノズルを一定の低速度で回転させると共に、一定量の液体をノズル先端から吐出することにより、所定幅で所定高さのドーナツ状の液膜を形成することが開示されている。特許文献1には液体供給器の具体的な構造は開示されていないが、このような分野で用いられている従来のエアオペレート型の液状物質供給器400として図4に示すようなものがある。
【0004】
図4において、ボディ1内に形成された1次側流路2は、不図示の液体供給装置から供給される溶剤型の有機色素材料又は紫外線硬化型塗料のような液状物質を通流させるものであり、1次側流路2には不図示の継手によって液体供給パイプが接続される。バルブ部材3は液状物質の流量を調整するものであり、ポペット部3aと板バネ部3bとピン部3cとからなる。
【0005】
バルブ部材動作範囲設定機構4’はポペット部3aのストローク、つまり動作範囲を調整して液状物質の流量を調整するためのものであり、調整駆動部4’aと設定ブロック部4’bとからなる。1次側流路2から供給される液状物質の圧力の大きさによって板バネ部3bが上下に動くことにより、その流量の調整が行われる。なお、Sは空気が存在する気室である。
【0006】
ボディ1にはロート状、つまり円錐形状のテーパー面5が形成されており、その最下部からボディ1の中央を延びて液状物質を通流させる2次側流路6が形成されている。2次側流路6の下側部分には、その2次側流路6の径よりも直径の大きい大径部6aが形成されている。その大径部6aにはネジ山6bが形成されている。大径部6aのネジ山6bにはニードルアダプタ7のネジ山部7aが螺合されている。ニードルアダプタ7の中央には液状物質を通流させる2次側流路6の一部分を形成する流路が形成されており、その先端部7bにニードル8が固定されている。ニードル8は、2次側流路6に真っ直ぐにつながる液体吐出口8aを有する。
【0007】
次にこのような構造の液状物質供給器の動作を簡単に説明する。バルブ部材動作範囲設定機構4’は、調整駆動部4’aによって設定ブロック部4’bが時計方向又は反時計方向に回転して前進又は後退し、バルブ部材3のピン部3cと設定ブロック部4’bの先端面との間の間隔を調整する。1次側流路2から供給される液状物質の圧力によって、板バネ部3bは図面上方向に動き、ピン部3cが設定ブロック部4’bに当接したところで止まる。つまり、バルブ部材動作範囲設定機構4’は、ポペット部3aの動き、即ちストロークを決めることによって、ポペット部3aと円錐形状のテーパー面5の最下部である底部との間隔を調整し、1次側流路2から2次側流路6を通して液体吐出口8aに流れる液状物質(図示しない)の量を調整する。
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第2527804号(2頁、図1〜図3)
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構造の従来の液状物質供給器は下記のような問題点を有している。
【0010】
(1)2次側流路6は途中に大径部6aを有するので、その部分に液状物質が澱み、澱むことによって空気がトラップされるので、液状物質の吐出精度が悪くなり、さらにボディ1とニードルアダプタ7との当接面のごく微小な間隙を通して空気漏れが生ずることによって吐出される液状物質の中に気泡が混入される。この気泡の混入は情報記録媒体の製造上では、その品質を悪化させるので避けなければならない。
【0011】
(2)また、ボディ1とニードルアダプタ7との当接面のごく微小な間隙を通しての空気漏れは、2次側流路6を閉じた後も大径部6aに澱んだ液状物質をニードル8の液体吐出口8a側に流す作用を行い、吐出停止の切れを悪くする。
【0012】
(3)比較的高精度の液状物質供給器のポペット部3aは半径が1mm未満と非常に小さく、したがって傷が付き易いので、流路に異物が混入した状態で開閉を行っていると、バルブ頭部3aに傷がついて液漏れが発生し、頻繁に交換しなければならない場合もある。
【0013】
(4)有機溶剤又は有機溶剤を溶媒とする溶液の粘度が0.3〜30センチポイズ(cP)である場合、その溶剤又は溶液を0.05ml/秒以上の量で安定に吐出することはできない。
【0014】
(5)ボディ1とポペット部3aはいずれもフッ素樹脂又はポリアセタール樹脂からなるものが多いが、ボディ1の1次側流路2に流体物質を供給するための不図示の液体供給パイプをボディ1に接続する不図示の継手の着脱により、その着脱個所が破損し易く、そこから液漏れを起こすので、破損の度にボディ1を交換する必要がある。
【0015】
(6)従来のバルブ部材動作範囲設定機構4’は、バルブ部材3の動作ストロークを精密に調整することができないため、流量の微調整が困難であるばかりか、直接バルブ部材3を動かして液状物質の流量を制御するものでないので、例えば。液状物質の温度条件などに従って流量を制御することが難しかった。
【0016】
本発明は、品質の高い液状物質供給を可能にすることを主な目的とし、吐出される液状物質中に気泡が含まれるのを防ぎ、液漏れし難い液体供給機構を提供することを特徴としている。
【0017】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記問題点を解決するため、本願請求項1記載の発明は、円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部より液体吐出口まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、前記ボディはその長手方向において前記テーパー面とは反対側にあって、前記2次側流路が前記液体吐出口まで延びる一体成形された筒状突出部を有し、この筒状突出部の前記液体吐出口から前記液状物質が吐出されることを特徴とする液状物質供給器を提供するものである。
【0018】
このように構成した液状物質供給器においては、従来構造のように2次側通路に空気が漏れて入ることが無いから、吐出される液状物質中に気泡が含まれることが無くなり、また液状物質の吐出停止時の切れが良くなる。
【0019】
また本願請求項2は、請求1において、前記筒状突出部に形成された前記液体吐出口は、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下である液状物質供給器を提供するものである。
【0020】
このように構成した液状物質供給器においては、特に筒状突出部に形成された前記液体吐出口の径が小さいときには、請求項1で得られる効果の他に、別途ニードルを設けることなく、経済性に有利である。
【0021】
本願請求項3は、請求項1において、前記筒状突出部には、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下の直径の液体吐出口を備えるニードルが固定されている液状物質供給器を提供するものである。
【0022】
このように構成した液状物質供給器においては、ニードルを取りつけても請求項1の効果を損なうことが無く、所望の径の液体吐出口を有するニードルに簡単に交換できるので、融通性がある。
【0023】
本願請求項4は、円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部より液体吐出口まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、前記ポペット部は前記ボディの円錐形状の前記テーパー面と同じ形状で同じ傾斜のテーパー面を備え、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面とは密接し得るように構成されている液状物質供給器を提供するものである。
【0024】
このように構成した液状物質供給器においては、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面の当接面積は広く、密接に接触する構造となっているので、液状物質に異物が混入していた場合に、それらのテーパー面に傷が付いたとしても、液状物質が漏れることはなく、漏れる程度まで傷がつくまでには長期間がかかるので、大幅に寿命が長くなる。また、液状物質の吐出停止時の切れも向上する。
【0025】
本願請求項5は、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記1次側流路が前記ボディの前記テーパー面まで延びる位置は、前記ポペット部の円錐形状のテーパー面に対向する箇所にあり、その円錐形状のテーパー面が前記1次側流路を直接閉じることができるようにした液状物質供給器を提供するものである。
【0026】
このように構成した液状物質供給器においては、前記バルブ部材が1次側流路と2次側流路とを直接閉じる、特に1次側流路を直接閉じるので、より高精度の流量調整が可能となり、液状物質の吐出停止時の切れもさらに向上する。
【0027】
本願請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記ボディは超高分子ポリエチレン樹脂からなり、前記ポペット部はフッ素樹脂からなる液状物質供給器を提供するものである。
【0028】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ頭部に傷が付き難く、またボディは超高分子ポリエチレン樹脂からなるから、1次側流路に液体供給パイプを接続するための継手の着脱によってもボディが破損せず、したがってこの液状物質供給器の寿命を向上させることができる。
【0029】
本願請求項7は、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記ポペット部の円錐部分の最大半径が1mm以上で10mm以下である液状物質供給器を提供するものである。
【0030】
このように構成した液状物質供給器においては、異物などによって傷が付いても液漏れ難く、安定に液状物質を供給することができる。
【0031】
本願請求項8は、請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、前記液体吐出口は、0.2mmないし3mmの範囲の直径を有する液状物質供給器を提供するものである。
【0032】
このように構成した液状物質供給器においては、液体吐出口の直径がこのような範囲にあるので、吐出する液状物質の量を高精度かつ安定に制御することができる。
【0033】
本願請求項9は、請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、前記ポペット部を駆動するバルブ部材駆動機構を備え、該バルブ部材駆動機構は駆動部とこの駆動部によって僅かずつ前進又は後退して前記ポペット部が高い精度で液状物質の供給を調整できるようにする移動ブロック部とを具備するマイクロメータ機構からなる液状物質供給器を提供するものである。
【0034】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ部材の動作を極めて微細に調整できるので、吐出する液状物質の量をより高精度に制御することができる。
【0035】
本願請求項10は、請求項11ないし請求項8のいずれかにおいて、前記バルブ部材駆動機構はマイクロメータ機構からなり、0.01mm以下の分解能で前記ポペット部の動作又は動作範囲を調整できる液状物質供給器を提供するものである。
【0036】
このように構成した液状物質供給器においては、バルブ部材の動作をきわめて微細に調整できるので、吐出する液状物質の量をより高精度に制御することができる。
【0037】
【本発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係る液状物質供給器の構造を説明するための断面図である。図1において、図4に示した記号と同一の記号は相当する部材を示すものとする。この液状物質供給器100が図4に示した従来の液状物質供給器400と異なる主な点は、ボディ1の長手方向における円錐状テーパー面5の反対側に2次側流路6を有し、ボディ1と一体的に形成され、液体吐出口6cをもつ筒状突出部1aを備えることと、バルブ部材3のポペット部3aが円錐形状をしており、ボディ1の円錐状テーパー面5と対面する面が同一傾斜のテーパー面tsになっていることと、バルブ部材駆動機構4を用いて直接バルブ部材3と円錐状テーパー面5との間の間隔を制御していることの3点であり、図4に示した部材と同じ部材については説明を省略する。
【0038】
円錐状テーパー面5の底位置からボディ1を真っ直ぐに延びる2次側流路6の一部分を分担するように、円錐状テーパー面5とは反対側のボディ1面から突出する筒状突出部1aが備えられる。この筒状突出部1aは、ボディ1と一体成形され、超高分子ポリエチレン材料からなる。筒状突出部1aは、図1に示すように、実際の使い勝手の良さなどからボディ1本体の外径よりもかなり小さいが、吐出停止時の液状物質の回り込みがないように先端部が細く加工されていれば、外径や長さが制限されるものではない。このような構造にしたことにより、従来に比べて吐出された液状物質中に気泡が混入する量を少なくすることができ、またボディ1に傷が付き難くなる。
【0039】
このバルブ部材3のポペット部3aはフッ素樹脂からなって、円錐形状に形成されており、その円錐形状の最大半径は、1mm以上で10mm以下の大きさである。ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsは、ボディ1の円錐状テーパー面5によって形成される円錐形状の凹所Xに位置し、テーパー面tsとボディ1の円錐状テーパー面5との間の距離がバルブ部材駆動機構4によって高精度に制御される。このようにすることにより、ボディ1の円錐状のテーパー面5と当接する面積が従来のものに比べて格段に大きくなり、溶剤や溶剤の入った有機色素溶液などからなる液状物質の中に硬い異物が混入したことにより、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsとボディ1の円錐形状のテーパー面5に傷が付いたとしても、液状物質が短期間で漏れるようなことはない。
【0040】
2次側流路6の長さは、筒状突出部1aの分も含めて50mm以下であって、ボディ1に形成された2次側流路6の半径は0.2mm以上で3mm以下の範囲にあることが好ましい。ボディ本体部の外径よりも外径の小さな筒状突出部1aはボディ1と一体的に形成されており、その液体吐出口6cは、図示していないが、前記範囲内でボディ1中の2次側流路6の径以下であってもよい。液体吐出口6cがこのような直径による断面積を持つので、粘度が0.3〜30cPの有機溶剤又は有機溶剤を溶媒とする溶液を、0.05ml/秒以上で安定に吐出することができるが、前記範囲外では安定に液状物質の供給、供給停止を行うことができなくなる。
【0041】
さらに、この実施例ではバルブ部材駆動機構4を用い、直接的にバルブ部材3を微量ずつ前進又は後退させて、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsと円錐形状のテーパー面5との間隔を制御し、液状物質の吐出量を高精度で制御する。バルブ部材駆動機構4として、高精度の微量変位量の位置出しやその調整を確実、かつ安定的に行えるエアマイクロメータ機構を用いている。このマイクロメータ機構は0.01mm以下の分解能でバルブ部材3の動作を微調整することができる。
【0042】
バルブ部材駆動機構4の駆動部4aは、図示しない制御部からの制御信号に基づいて制御される空気圧により、移動ブロック部4bを高い精度で微量ずつ前進又は後退させることができ、これによりバルブ部材3のポペット部3aを高精度で微量変位させることができるようにしたものである。このように、バルブ部材駆動機構4によって直接的にバルブ部材3のポペット部3aを高精度で微量調整できるので、液状物質の吐出量を精密に調整でき、また再現性の確保が容易である。
【0043】
なお、バルブ部材駆動機構4を従来装置のようにバルブ部材動作範囲設定機構4’と同じ使い方をしても、勿論よい。
【0044】
また、この実施例ではポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsが、1次側流路2がボディ1の円錐状のテーパー面5まで延びる位置にかかるように、つまり円錐状のテーパー面5に対向する箇所に1次側流路2が形成されているから、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsは1次側流路2と2次側流路6を直接開閉することになる。したがって、その応答性が早いだけでなく、安定して開閉、つまり液体物質の供給、供給停止を行うことができる。
【0045】
次に、図2により本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明する。この実施例が図1に示した第1の実施例と主に異なる点は、1次側流路1がボディ1に形成されたテーパー面5まで延びる位置がポペット部3aから外れていることと、ボディ1の筒状突出部1aに液体吐出口8aを有するニードル8が固定されていることと、気室Sの気圧を調整することによってバルブ部材3の動作を調整することの3点である。
【0046】
ニードル8は、ボディ1の底面及び筒状突出部1aに接着剤などで密接に固定されている。ニードル8の液体吐出口8aはボディ1中の2次側流路6の半径以下であり、その半径は0.2mm以上で3mm以下の範囲にある。また、ニードル8の液体吐出口8aを含む2次側流路6の長さは50mm以下である。
【0047】
この実施例では、従来の液状物質供給器400と同じく、バルブ部材動作範囲設定機構4’を用い、バルブ部材3の制御は気室Sに空気を供給する気体供給量調整弁9と気体排気量調整弁10とで行っている。気体排気量調整弁10を閉じ、気体供給量調整弁9を開くことにより、気室S内の気圧が高くなるので、ポペット部3aは押し下げられ、ポペット部3aのテーパー面tsと円錐状テーパー面5との間隔が狭まり、ニードル8の液体吐出口8aから吐出される液状物質の量は少なくなる。他方、気体排気量調整弁10を開き、気体供給量調整弁9を閉じることにより、気室S内の気圧が下がるので、ポペット部3aは板バネ部3bの働きで上がるので、ポペット部3aのテーパー面tsと円錐状テーパー面5との間隔が広くなり、ニードル8の液体吐出口8aから吐出される液状物質の量は多くなる。
【0048】
この実施例でもポペット部3aのテーパー面は従来のものに比べて面積がかなり大きくなっており、しかも1次側流路2がボディ1に形成されたテーパー面5に交わる位置がポペット部3aから外れているので、硬い異物が液状物質に含まれていても1次側流路1がテーパー面5に交わる箇所に傷が付き難く、寿命を大幅に向上させることができる。また、任意の直径の液体吐出口をもつニードルを用意しておくことにより、種々の用途に対応することができる。
【0049】
なお、この実施例でもバルブ部材動作範囲設定機構4’として0.01mm以下の分解能を有するマイクロメータ機構を用いることにより、バルブ部材3の動作ストローク、つまり動作範囲を高い精度で調整することができる。
【0050】
次に、図3により第3の実施例の液状物質供給器300について説明する。この実施例では、1次側流路1がボディ1に形成されたテーパー面5に交わる位置がポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsにかかる位置にあることと、従来のものと同様に気室Sの気圧を制御せずに、液状物質の供給路に液状物質供給量調整弁11を設けてその供給量を変え、ポペット部3aを上下に動かすこととが図2のものとは異なる。
【0051】
この実施例では、ポペット部3aの円錐形状のテーパー面tsが1次側流路1と2次側流路とを直接開閉するので、応答性が頗る良好である。
【0052】
本発明に係る液状物質供給器は以上述べたような特徴を有するので、コンパクトディスクやDVDなどの追記型光ディスクに記録膜となる有機色素層を形成するとき、有機溶剤を溶媒とする色素液をディスク上に所定量だけ正確に吐出するのに有効であり、また、DVDなどの光ディスクの貼り合せ工程で接着層を形成する際に、1000cP以下の粘度を有する紫外線硬化型の接着剤をディスク上に高い精度で所定量吐出するのに有効である。
【0053】
また、本発明に係る液状物質供給器は、コンパクトディスクやDVDなどの光ディスク、あるいはMOやMDのような光磁気ディスクのデータ読み取り面の保護を目的とするハードコート層を形成する際、1000cP以下の粘度を有する紫外線硬化型の液状物質をディスク上に高い精度で所定量吐出するのに有効である。さらに、コンパクトディスクやDVDのような光ディスクのエッジに付着した液状物質を除去する洗浄工程において、洗浄液である1000cP以下の粘度を有する有機溶剤を繰り返し高い精度で所定量吐出するのにも有効である。
【0054】
なお、以上の実施例では好ましい構造について述べたが、前記それぞれのテーパー面は支障ない程度に同一方向に弧状になっていても、前述と同様な効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によれば、従来構造のように2次側通路に空気が漏れて入ることが無いから、吐出される液状物質中に気泡が含まれることが無くなり、また液状物質の吐出停止時の切れが良くなる。また、直接ポペット部を調整しているので、液状物質の吐出量を高い精度で調整することができる。
【0056】
本発明の請求項4によれば、前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記円錐形状のテーパー面の当接面積は広く、密接に接触する構造となっているので、液状物質に異物が混入していた場合に、それらのテーパー面に傷が付いたとしても、漏れる程度まで傷がつくまでには長期間がかかるので、大幅に寿命が長くなる。また、液状物質の吐出停止時の切れも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液状物質供給器の一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明するための図である。
【図3】本発明に係る液状物質供給器の他の一実施例を説明するための図である。
【図4】従来の液状物質供給器の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ボディ
1a…ボディ1の筒状突出部
2…2次側流路
3…バルブ部材
3a…ポペット部
3b…板バネ部
4…バルブ部材駆動機構
4a…駆動部
4b…移動ブロック部
4’…バルブ部材動作範囲設定機構
5…ボディ1のテーパー面
6…2次側流路
6a…液体吐出口
8…ニードル
8a…ニードル8の液体吐出口
9…気体供給量調整弁
10…気体排気量調整弁
11…液状物質流量調整弁
X…ボディ1の円錐形状の凹所
ts…ポペット部3aのテーパー面
S…気室
Claims (10)
- 円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部から液体吐出口まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、
前記ボディはその長手方向において前記テーパー面とは反対側にあって、前記2次側流路が前記液体吐出口まで延びる一体成形された筒状突出部を有し、
該筒状突出部の前記液体吐出口から前記液状物質が吐出されることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求1において、
前記筒状突出部に形成された前記液体吐出口は、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下であることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求1において、
前記筒状突出部には、前記ボディに形成された前記2次側流路の直径と同等以下の直径の液体吐出口を備えるニードルが固定されていることを特徴とする液状物質供給器。 - 円錐状のテーパー面によって形成される凹所と外部からその凹所まで延びる1次側流路と前記凹所の底部から外部まで延びる2次側流路とを有するボディと、前記凹所を通って前記1次側流路から2次側流路へ流れる液状物質の流量を制御するポペット部をもつバルブ部材とを備える液状物質供給器において、
前記ポペット部は、前記ボディの円錐形状の前記テーパー面と同じ形状と傾斜とを具備するテーパー面を備え、
前記ボディの前記テーパー面と前記ポペット部の前記テーパー面とは密接し得るように構成されていることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、
前記1次側流路が前記ボディの前記テーパー面まで延びる位置は、前記ポペット部の円錐形状のテーパー面と対向する箇所にあり、その円錐形状のテーパー面が直接前記1次側流路を閉じることができるようにしたことを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記ボディは超高分子ポリエチレン樹脂からなり、前記ポペット部はフッ素樹脂からなることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記ポペット部の円錐形状部分の最大半径が1mm以上で10mm以下であることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、
前記液体吐出口は、0.2mmないし3mmの範囲の直径を有することを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
前記ポペット部を駆動するバルブ部材駆動機構を備え、該バルブ部材駆動機構は駆動部とこの駆動部によって僅かずつ前進又は後退して前記ポペット部が高い精度で液状物質の供給を調整できるようにする移動ブロック部とを具備するマイクロメータ機構からなることを特徴とする液状物質供給器。 - 請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
0.01mm以下の分解能で前記ポペット部の動作又は動作範囲を調整できるマイクロメータ機構からなるバルブ部材駆動機構を具備することを特徴とする液状物質供給器。
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