JP2004275832A - 脱塩システム - Google Patents
脱塩システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004275832A JP2004275832A JP2003068296A JP2003068296A JP2004275832A JP 2004275832 A JP2004275832 A JP 2004275832A JP 2003068296 A JP2003068296 A JP 2003068296A JP 2003068296 A JP2003068296 A JP 2003068296A JP 2004275832 A JP2004275832 A JP 2004275832A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- treated
- chamber
- manganese
- supplied
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
Landscapes
- Removal Of Specific Substances (AREA)
- Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Physical Water Treatments (AREA)
Abstract
【課題】電気透析装置46におけるトリハロメタンの発生を抑制する。
【解決手段】電気透析装置46の処理水室110に導入する被処理水について紫外線照射装置50により紫外線を照射し、残留塩素を除去する。これによって、電気透析装置46内においてトリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】電気透析装置46の処理水室110に導入する被処理水について紫外線照射装置50により紫外線を照射し、残留塩素を除去する。これによって、電気透析装置46内においてトリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄水処理や工業用水処理あるいは排水処理等において、電気透析法により脱塩処理を行う脱塩装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道用浄水施設においては、通常、凝集沈殿、砂ろ過などの処理が行われるが、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン(THM)前駆物質、塩類等を多く含む水(特に生活雑排水に汚染された汽水など)を原水とする場合には、さらに処理設備を付加する必要がある。
【0003】
例えば、凝集沈殿、ろ過後に、さらに粒状活性炭処理、塩素添加(中塩素)、除マンガンろ過、電気透析(ED)、塩素添加(後塩素)等を行うことが考えられる。特に、中塩素処理により、除マンガンろ過器出口での残留塩素濃度が0.5mg/l以上となるように塩素を注入することによって除マンガンろ過を十分なものにでき、かつ電気透析装置へ供給する被処理水中に残留塩素が十分残留するようにして電気透析装置内部のイオン交換膜上への生物の繁殖を防止することができる。
【0004】
なお、電気透析装置と、凝集沈殿装置を組み合わせる処理については、特許文献1などに示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−066572号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような処理において、処理水中におけるトリハロメタン濃度が非常に高くなるという問題が発生した。
【0007】
本発明は、トリハロメタン濃度を低く抑制できる電気透析法による脱塩処理装置に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、処理水中のトリハロメタン濃度が高くなる原因について、検討した。この結果、被処理水中にフミン酸等のトリハロメタン前駆物質が多く含まれる場合に電気透析装置への供給水中の残留塩素濃度を高く保つと、電気透析装置内でトリハロメタンの生成が促進されることが分かった。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、電気透析装置を有し、被処理水を脱塩処理する脱塩システムであって、前記電気透析装置に供給する被処理水は、残留塩素を含み、かつ、この前記電気透析装置に供給する被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置を有することを特徴とする。
【0010】
紫外線を照射することで被処理水中の残留塩素を減少することができ、電気透析装置において、トリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【0011】
また、前記電気透析装置は、イオン交換膜で仕切られた処理水室と、濃縮室とを有し、前記被処理水は、処理水室および濃縮室の両方に供給され、処理水室から塩分が除去された処理水が排出され、濃縮室から塩分が濃縮された濃縮排水が排出され、前記紫外線照射装置は、処理水室に供給される被処理水にのみ紫外線を照射することが好適である。
【0012】
このように、処理水室に供給される被処理水のみに紫外線を照射することで、より効率的な処理を行うことができる。また、濃縮室側には、残留塩素を含む被処理水が供給されるため、透析膜への微生物の繁殖を抑制することも可能となる。
【0013】
また、前記被処理水は、マンガンを含むとともに、前記被処理水に塩素注入してマンガンを除去する除マンガン装置をさらに有し、除マンガン装置の処理水であって、残留塩素を含有する水を前記紫外線照射装置を介し、電気透析装置に供給することが好適である。
【0014】
これによって、マンガンの除去も効果的に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本脱塩システムを含む浄水処理施設の全体構成を示す図である。
【0016】
取水井10には、原水が一旦貯められる。この原水は、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン(THM)前駆物質、塩類等を多く含む生活雑排水に汚染された汽水である。
【0017】
取水井10の原水は、ポンプ12によって混和槽14に供給される。ここで、混和槽14に送られる配管には、原水濁度計16が設けられており、原水の濁度が計測される。
【0018】
混和槽14には、撹拌機18が配置されていると共に、無機凝集剤貯槽20からポンプ22を介し無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム:PAC)が供給され、更に、次亜塩素酸ナトリウム貯槽24からポンプ26を介し次亜塩素酸ナトリウムが供給される。そこで、この混和槽14においては、原水にPACが混合され、凝集フロックが形成されると共に、塩素による微生物の消毒や有機物の酸化処理(前塩素処理)がなされる。
【0019】
混和槽14の混和処理水は、粗ろ過装置28に供給される。この粗ろ過装置28は、内部に長繊維束が多数充填されたものであり、被処理水中の固形物をろ過除去する。すなわち、粗ろ過装置28の下部には、上面に多数の長繊維束の一端が固定された多孔板が配置され、長繊維束が上方に向けて伸びている。被処理水は、この長繊維の間を下降流で通過する際に、長繊維によって固形物が除去される。この粗ろ過装置28は、通常の砂ろ過装置などに比べ、ろ過速度を速くできるというメリットがある。
【0020】
粗ろ過装置28の粗ろ過処理水は、活性炭吸着塔30に供給され、ここで有機物が吸着除去されると共に、塩素が除去される。活性炭吸着塔30の活性炭処理水は、活性炭処理水槽32に一旦蓄えられ、ポンプ34により、除マンガンろ過器36に供給される。ここで、この除マンガンろ過器36に供給される活性炭処理水には、次亜塩素酸ナトリウム貯槽38内の次亜塩素酸ナトリウムがポンプ40によって注入され、中塩素処理される。除マンガンろ過器36は、その内部に、砂の表面に二酸化マンガン等のマンガン化合物をコーティングしたマンガン砂が充填されており、塩素により酸化された活性炭処理水中のマンガンがマンガン砂表面に析出し、除去される。また、この除マンガンろ過器36は、砂ろ過器と同様の固液分離機能も有しており、活性炭処理水中に残留する固形物をろ過除去する。
【0021】
除マンガンろ過器36からの除マンガン処理水は、多くの残留塩素を含んでいるが、この除マンガン処理水は、一旦除マンガン処理水槽42に貯留された後、ポンプ44によって電気透析装置46に供給される。
【0022】
ここで、電気透析装置46は、図2に示すように、両端に直流電圧が印加されるプラス電極102と、マイナス電極104の一対の電極を有している。そして、この電極間が複数のイオン交換膜106によって複数の部屋に仕切られている。図2においては、プラス電極102に隣接してアニオン交換膜106aが配置され、プラス電極室108が形成され、次にカチオン交換膜106kが配置され処理水室110が形成され、次にアニオン交換膜106aが配置され、濃縮室112が形成され、次にカチオン交換膜106kが配置され処理水室110が形成され、このカチオン交換膜とマイナス電極104の間がマイナス電極室114となっている。なお、図2に示した装置においては処理水室110が2個、濃縮室112が1個しか示されていないが、実際の装置では、プラス電極室108とマイナス電極室114との間にアニオン交換膜とカチオン交換膜が交互に所定数配置され、濃縮室と処理水室が交互に複数形成されている。
【0023】
そして、除マンガンろ過器36からの除マンガン処理水は、処理水室と濃縮水室の両方に分岐して供給されるが、処理水室110に供給されるラインには、途中に紫外線照射装置50が配置されたバイパス管48が接続されており、除マンガン処理水の一部が紫外線照射装置50に供給されるようになっている。なお、この例では、紫外線照射装置50の前後にバルブを設け、紫外線照射装置50への除マンガン処理水の供給をオンオフできるようにしてある。また、この例では、処理水室110に供給する除マンガン処理水の一部を紫外線照射装置50に供給できるようにしたが、処理水室110に至るラインにもバルブを設け、処理水室110に供給する除マンガン処理水の全量が紫外線照射装置50に供給されるようにすることも好適である。
【0024】
電気透析装置46内においては、直流電界と、イオン交換膜の作用によって、処理水室110内を流れる被処理水中のイオンが濃縮室112へ移動し、処理水室110の出口から脱塩された処理水が得られ、これが電気透析処理水として排出される。この電気透析処理水には、次亜塩素酸ナトリウム貯槽52から次亜塩素酸ナトリウムが注入され、後塩素処理される。一方、電気透析装置46の濃縮室112から排出された濃縮排水は、別途処理される。なお、濃縮排水や、電気透析処理水は、濃縮室112、処理水室110に一部循環してもよい。
【0025】
このように、本実施形態によれば、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水に対し、紫外線照射装置50により紫外線を照射する。この紫外線の照射によって、除マンガン処理水中の残留塩素が分解する。従って、電気透析装置46内の処理水室110において電気透析処理が行われているときに、そこには基本的に残留塩素が存在しない。そこで、電気透析装置46内におけるトリハロメタンの生成を効果的に防止することができる。また、紫外線照射は、クリプトスポリジウムのオーシストについて、その繁殖能力を減退させて失活できることが知られている。本実施形態においては、処理水室110に供給する除マンガン処理水に紫外線を照射することで効果的にクリプトスポリジウムのオーシストの失活を行うことができ、安全な処理水を得ることができる。
【0026】
また、電気透析装置46として、プラス電極102と、マイナス電極104の極性を定期的に反転させる極性反転方式のもの(EDR)を採用することが好適である。このように、電極の極性を反転した場合、イオン交換膜は変わらないため、処理水室110と、濃縮室112も反転することになる。そこで、処理水および濃縮排水の取り出しを極性の反転に応じて変更する必要がある。
【0027】
そして、このような極性反転方式を採用することで、処理水室110と、濃縮室112が定期的に反転される。濃縮室112に供給される除マンガン処理水は、残留塩素を含んでおり、この残留塩素含有除マンガン処理水によって、濃縮室112を仕切っているイオン交換膜を滅菌することができ、ここにおける微生物の繁殖を防止することができる。そして、極性切り替え方式を採用することによって、濃縮室として機能しているときに膜表面の滅菌処理を行うことができ、膜表面への微生物の繁殖を効果的に防止することができる。従って、定期的な滅菌洗浄が不要となるという利点が得られる。
【0028】
なお、後塩素処理は、クロラミンの添加によることも好適である。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を説明する。
【0030】
原水水質および装置仕様などの処理条件を以下に示す。
▲1▼原水;かん水、塩化物イオン濃度2,200mg−Cl/L(電気導電率6,600μS/cm)
▲2▼処理水量;360m3/d
▲3▼処理フロー;図1に示す通りである。
(凝集剤、前塩素)粗ろ過装置(通水速度480m/d)→活性炭吸着塔(SV10h−1)→(中塩素)除マンガンろ過装置(ろ過速度150m/d)→紫外線照射装置(処理水側入り口のみ照射:低圧紫外線ランプ、最大出力800W (100Wランプ8本))→電気透析装置→(後塩素)浄水
▲4▼電気透析装置仕様;
膜サイズ:80cm×70cm(膜面積0.56m2)
膜対数:100セルペアー(電極室2、処理水室49、濃縮室48)/槽(膜面積56m2/槽)
槽数:6槽
性能:最大処理水量216m3/日、水回収率85%、脱塩率95%
▲5▼目標水質;塩化物イオン濃度200mg−Cl/L(電気導電率600μS/cm)以下
なお、凝集剤(PAC)は、原水濁度に対し、比例注入とした。また、前塩素処理は、有効塩素として1.0mg/Lの一定注入とした。年間を通じて粗ろ過処理水中での残留塩素は無かった。
【0031】
また、中塩素処理は、除マンガンろ過器出口での残留塩素濃度を測定し、0.5mg/L以上となるように次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この時の残留塩素濃度は0.45〜0.85mg/Lと変動した。一方、紫外線照射後の除マンガン処理水の残留塩素は、0.05mg/L未満に減少した。
【0032】
さらに、電気透析装置46により、塩化物イオン濃度を180mg−Cl/L以下に処理し、これに後塩素処理で塩素を加え浄水とした。
【0033】
各処理工程での主な水質は表1に示す通りである。
【表1】
【0034】
比較のために、紫外線照射を行わなかった場合の電気透析処理水のトリハロメタン濃度についても測定を行ったところ0.105mg/Lであった。表1の紫外線を照射した場合の0.064mg/Lに対して、1.6倍以上の値となっている。これより、紫外線照射がトリハロメタンの生成抑制に効果的であることが確認された。
【0035】
このように、本実施形態によれば、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン前駆物質、塩類を多く含む原水(特に生活雑排水に汚染された汽水など)を用いて浄水を生成する処理において、トリハロメタンの生成を抑制することができた。また、濃縮排水のみ塩素を残留させ、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水には塩素を残留させないで、トリハロメタンの生成を抑えつつ電気透析装置46内の殺菌も行うことができる。さらに、紫外線により、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水のみ耐塩素性のクリプトスポリジウムのオーシストなどの原虫等も不活化でき、電気透析装置46の処理水におけるクリプトスポリジウムのオーシストなどの失活を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、紫外線を照射することで被処理水中の残留塩素を減少することができ、電気透析装置において、トリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【0037】
また、電気透析装置の処理水室に供給される被処理水のみに紫外線を照射することで、より効率的な処理を行うことができる。また、濃縮室側には、残留塩素を含む被処理水が供給されるため、透析膜への微生物の繁殖を抑制することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本脱塩システムを含む浄水処理施設の全体構成を示す図である。
【図2】電気透析装置46の前後の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 取水井、12,22,26,34,40,44,54 ポンプ、14 混和槽、16 原水濁度計、18 撹拌機、20 無機凝集剤貯槽、24,38,52 次亜塩素酸ナトリウム貯槽、28 粗ろ過装置、30 活性炭吸着塔、32 活性炭処理水槽、36 除マンガンろ過器、42 除マンガン処理水槽、46 電気透析装置、48 バイパス管、50 紫外線照射装置、102 プラス電極、104 マイナス電極、106 イオン交換膜、106a アニオン交換膜、106k カチオン交換膜、108 プラス電極室、110 処理水室、112 濃縮室、114 マイナス電極室。
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄水処理や工業用水処理あるいは排水処理等において、電気透析法により脱塩処理を行う脱塩装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道用浄水施設においては、通常、凝集沈殿、砂ろ過などの処理が行われるが、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン(THM)前駆物質、塩類等を多く含む水(特に生活雑排水に汚染された汽水など)を原水とする場合には、さらに処理設備を付加する必要がある。
【0003】
例えば、凝集沈殿、ろ過後に、さらに粒状活性炭処理、塩素添加(中塩素)、除マンガンろ過、電気透析(ED)、塩素添加(後塩素)等を行うことが考えられる。特に、中塩素処理により、除マンガンろ過器出口での残留塩素濃度が0.5mg/l以上となるように塩素を注入することによって除マンガンろ過を十分なものにでき、かつ電気透析装置へ供給する被処理水中に残留塩素が十分残留するようにして電気透析装置内部のイオン交換膜上への生物の繁殖を防止することができる。
【0004】
なお、電気透析装置と、凝集沈殿装置を組み合わせる処理については、特許文献1などに示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−066572号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような処理において、処理水中におけるトリハロメタン濃度が非常に高くなるという問題が発生した。
【0007】
本発明は、トリハロメタン濃度を低く抑制できる電気透析法による脱塩処理装置に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、処理水中のトリハロメタン濃度が高くなる原因について、検討した。この結果、被処理水中にフミン酸等のトリハロメタン前駆物質が多く含まれる場合に電気透析装置への供給水中の残留塩素濃度を高く保つと、電気透析装置内でトリハロメタンの生成が促進されることが分かった。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、電気透析装置を有し、被処理水を脱塩処理する脱塩システムであって、前記電気透析装置に供給する被処理水は、残留塩素を含み、かつ、この前記電気透析装置に供給する被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置を有することを特徴とする。
【0010】
紫外線を照射することで被処理水中の残留塩素を減少することができ、電気透析装置において、トリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【0011】
また、前記電気透析装置は、イオン交換膜で仕切られた処理水室と、濃縮室とを有し、前記被処理水は、処理水室および濃縮室の両方に供給され、処理水室から塩分が除去された処理水が排出され、濃縮室から塩分が濃縮された濃縮排水が排出され、前記紫外線照射装置は、処理水室に供給される被処理水にのみ紫外線を照射することが好適である。
【0012】
このように、処理水室に供給される被処理水のみに紫外線を照射することで、より効率的な処理を行うことができる。また、濃縮室側には、残留塩素を含む被処理水が供給されるため、透析膜への微生物の繁殖を抑制することも可能となる。
【0013】
また、前記被処理水は、マンガンを含むとともに、前記被処理水に塩素注入してマンガンを除去する除マンガン装置をさらに有し、除マンガン装置の処理水であって、残留塩素を含有する水を前記紫外線照射装置を介し、電気透析装置に供給することが好適である。
【0014】
これによって、マンガンの除去も効果的に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本脱塩システムを含む浄水処理施設の全体構成を示す図である。
【0016】
取水井10には、原水が一旦貯められる。この原水は、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン(THM)前駆物質、塩類等を多く含む生活雑排水に汚染された汽水である。
【0017】
取水井10の原水は、ポンプ12によって混和槽14に供給される。ここで、混和槽14に送られる配管には、原水濁度計16が設けられており、原水の濁度が計測される。
【0018】
混和槽14には、撹拌機18が配置されていると共に、無機凝集剤貯槽20からポンプ22を介し無機凝集剤(ポリ塩化アルミニウム:PAC)が供給され、更に、次亜塩素酸ナトリウム貯槽24からポンプ26を介し次亜塩素酸ナトリウムが供給される。そこで、この混和槽14においては、原水にPACが混合され、凝集フロックが形成されると共に、塩素による微生物の消毒や有機物の酸化処理(前塩素処理)がなされる。
【0019】
混和槽14の混和処理水は、粗ろ過装置28に供給される。この粗ろ過装置28は、内部に長繊維束が多数充填されたものであり、被処理水中の固形物をろ過除去する。すなわち、粗ろ過装置28の下部には、上面に多数の長繊維束の一端が固定された多孔板が配置され、長繊維束が上方に向けて伸びている。被処理水は、この長繊維の間を下降流で通過する際に、長繊維によって固形物が除去される。この粗ろ過装置28は、通常の砂ろ過装置などに比べ、ろ過速度を速くできるというメリットがある。
【0020】
粗ろ過装置28の粗ろ過処理水は、活性炭吸着塔30に供給され、ここで有機物が吸着除去されると共に、塩素が除去される。活性炭吸着塔30の活性炭処理水は、活性炭処理水槽32に一旦蓄えられ、ポンプ34により、除マンガンろ過器36に供給される。ここで、この除マンガンろ過器36に供給される活性炭処理水には、次亜塩素酸ナトリウム貯槽38内の次亜塩素酸ナトリウムがポンプ40によって注入され、中塩素処理される。除マンガンろ過器36は、その内部に、砂の表面に二酸化マンガン等のマンガン化合物をコーティングしたマンガン砂が充填されており、塩素により酸化された活性炭処理水中のマンガンがマンガン砂表面に析出し、除去される。また、この除マンガンろ過器36は、砂ろ過器と同様の固液分離機能も有しており、活性炭処理水中に残留する固形物をろ過除去する。
【0021】
除マンガンろ過器36からの除マンガン処理水は、多くの残留塩素を含んでいるが、この除マンガン処理水は、一旦除マンガン処理水槽42に貯留された後、ポンプ44によって電気透析装置46に供給される。
【0022】
ここで、電気透析装置46は、図2に示すように、両端に直流電圧が印加されるプラス電極102と、マイナス電極104の一対の電極を有している。そして、この電極間が複数のイオン交換膜106によって複数の部屋に仕切られている。図2においては、プラス電極102に隣接してアニオン交換膜106aが配置され、プラス電極室108が形成され、次にカチオン交換膜106kが配置され処理水室110が形成され、次にアニオン交換膜106aが配置され、濃縮室112が形成され、次にカチオン交換膜106kが配置され処理水室110が形成され、このカチオン交換膜とマイナス電極104の間がマイナス電極室114となっている。なお、図2に示した装置においては処理水室110が2個、濃縮室112が1個しか示されていないが、実際の装置では、プラス電極室108とマイナス電極室114との間にアニオン交換膜とカチオン交換膜が交互に所定数配置され、濃縮室と処理水室が交互に複数形成されている。
【0023】
そして、除マンガンろ過器36からの除マンガン処理水は、処理水室と濃縮水室の両方に分岐して供給されるが、処理水室110に供給されるラインには、途中に紫外線照射装置50が配置されたバイパス管48が接続されており、除マンガン処理水の一部が紫外線照射装置50に供給されるようになっている。なお、この例では、紫外線照射装置50の前後にバルブを設け、紫外線照射装置50への除マンガン処理水の供給をオンオフできるようにしてある。また、この例では、処理水室110に供給する除マンガン処理水の一部を紫外線照射装置50に供給できるようにしたが、処理水室110に至るラインにもバルブを設け、処理水室110に供給する除マンガン処理水の全量が紫外線照射装置50に供給されるようにすることも好適である。
【0024】
電気透析装置46内においては、直流電界と、イオン交換膜の作用によって、処理水室110内を流れる被処理水中のイオンが濃縮室112へ移動し、処理水室110の出口から脱塩された処理水が得られ、これが電気透析処理水として排出される。この電気透析処理水には、次亜塩素酸ナトリウム貯槽52から次亜塩素酸ナトリウムが注入され、後塩素処理される。一方、電気透析装置46の濃縮室112から排出された濃縮排水は、別途処理される。なお、濃縮排水や、電気透析処理水は、濃縮室112、処理水室110に一部循環してもよい。
【0025】
このように、本実施形態によれば、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水に対し、紫外線照射装置50により紫外線を照射する。この紫外線の照射によって、除マンガン処理水中の残留塩素が分解する。従って、電気透析装置46内の処理水室110において電気透析処理が行われているときに、そこには基本的に残留塩素が存在しない。そこで、電気透析装置46内におけるトリハロメタンの生成を効果的に防止することができる。また、紫外線照射は、クリプトスポリジウムのオーシストについて、その繁殖能力を減退させて失活できることが知られている。本実施形態においては、処理水室110に供給する除マンガン処理水に紫外線を照射することで効果的にクリプトスポリジウムのオーシストの失活を行うことができ、安全な処理水を得ることができる。
【0026】
また、電気透析装置46として、プラス電極102と、マイナス電極104の極性を定期的に反転させる極性反転方式のもの(EDR)を採用することが好適である。このように、電極の極性を反転した場合、イオン交換膜は変わらないため、処理水室110と、濃縮室112も反転することになる。そこで、処理水および濃縮排水の取り出しを極性の反転に応じて変更する必要がある。
【0027】
そして、このような極性反転方式を採用することで、処理水室110と、濃縮室112が定期的に反転される。濃縮室112に供給される除マンガン処理水は、残留塩素を含んでおり、この残留塩素含有除マンガン処理水によって、濃縮室112を仕切っているイオン交換膜を滅菌することができ、ここにおける微生物の繁殖を防止することができる。そして、極性切り替え方式を採用することによって、濃縮室として機能しているときに膜表面の滅菌処理を行うことができ、膜表面への微生物の繁殖を効果的に防止することができる。従って、定期的な滅菌洗浄が不要となるという利点が得られる。
【0028】
なお、後塩素処理は、クロラミンの添加によることも好適である。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を説明する。
【0030】
原水水質および装置仕様などの処理条件を以下に示す。
▲1▼原水;かん水、塩化物イオン濃度2,200mg−Cl/L(電気導電率6,600μS/cm)
▲2▼処理水量;360m3/d
▲3▼処理フロー;図1に示す通りである。
(凝集剤、前塩素)粗ろ過装置(通水速度480m/d)→活性炭吸着塔(SV10h−1)→(中塩素)除マンガンろ過装置(ろ過速度150m/d)→紫外線照射装置(処理水側入り口のみ照射:低圧紫外線ランプ、最大出力800W (100Wランプ8本))→電気透析装置→(後塩素)浄水
▲4▼電気透析装置仕様;
膜サイズ:80cm×70cm(膜面積0.56m2)
膜対数:100セルペアー(電極室2、処理水室49、濃縮室48)/槽(膜面積56m2/槽)
槽数:6槽
性能:最大処理水量216m3/日、水回収率85%、脱塩率95%
▲5▼目標水質;塩化物イオン濃度200mg−Cl/L(電気導電率600μS/cm)以下
なお、凝集剤(PAC)は、原水濁度に対し、比例注入とした。また、前塩素処理は、有効塩素として1.0mg/Lの一定注入とした。年間を通じて粗ろ過処理水中での残留塩素は無かった。
【0031】
また、中塩素処理は、除マンガンろ過器出口での残留塩素濃度を測定し、0.5mg/L以上となるように次亜塩素酸ナトリウムを添加した。この時の残留塩素濃度は0.45〜0.85mg/Lと変動した。一方、紫外線照射後の除マンガン処理水の残留塩素は、0.05mg/L未満に減少した。
【0032】
さらに、電気透析装置46により、塩化物イオン濃度を180mg−Cl/L以下に処理し、これに後塩素処理で塩素を加え浄水とした。
【0033】
各処理工程での主な水質は表1に示す通りである。
【表1】
【0034】
比較のために、紫外線照射を行わなかった場合の電気透析処理水のトリハロメタン濃度についても測定を行ったところ0.105mg/Lであった。表1の紫外線を照射した場合の0.064mg/Lに対して、1.6倍以上の値となっている。これより、紫外線照射がトリハロメタンの生成抑制に効果的であることが確認された。
【0035】
このように、本実施形態によれば、マンガン、原虫類や病原性微生物、トリハロメタン前駆物質、塩類を多く含む原水(特に生活雑排水に汚染された汽水など)を用いて浄水を生成する処理において、トリハロメタンの生成を抑制することができた。また、濃縮排水のみ塩素を残留させ、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水には塩素を残留させないで、トリハロメタンの生成を抑えつつ電気透析装置46内の殺菌も行うことができる。さらに、紫外線により、電気透析装置46の処理水室110に供給する除マンガン処理水のみ耐塩素性のクリプトスポリジウムのオーシストなどの原虫等も不活化でき、電気透析装置46の処理水におけるクリプトスポリジウムのオーシストなどの失活を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、紫外線を照射することで被処理水中の残留塩素を減少することができ、電気透析装置において、トリハロメタンが生成されることを抑制することができる。
【0037】
また、電気透析装置の処理水室に供給される被処理水のみに紫外線を照射することで、より効率的な処理を行うことができる。また、濃縮室側には、残留塩素を含む被処理水が供給されるため、透析膜への微生物の繁殖を抑制することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本脱塩システムを含む浄水処理施設の全体構成を示す図である。
【図2】電気透析装置46の前後の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 取水井、12,22,26,34,40,44,54 ポンプ、14 混和槽、16 原水濁度計、18 撹拌機、20 無機凝集剤貯槽、24,38,52 次亜塩素酸ナトリウム貯槽、28 粗ろ過装置、30 活性炭吸着塔、32 活性炭処理水槽、36 除マンガンろ過器、42 除マンガン処理水槽、46 電気透析装置、48 バイパス管、50 紫外線照射装置、102 プラス電極、104 マイナス電極、106 イオン交換膜、106a アニオン交換膜、106k カチオン交換膜、108 プラス電極室、110 処理水室、112 濃縮室、114 マイナス電極室。
Claims (3)
- 電気透析装置を有し、被処理水を脱塩処理する脱塩システムであって、
前記電気透析装置に供給する被処理水は、残留塩素を含み、
かつ、この前記電気透析装置に供給する被処理水に紫外線を照射する紫外線照射装置を有することを特徴とする脱塩システム。 - 請求項1に記載のシステムにおいて、
前記電気透析装置は、イオン交換膜で仕切られた処理水室と、濃縮室とを有し、
前記被処理水は、処理水室および濃縮室の両方に供給され、処理水室から塩分が除去された処理水が排出され、濃縮室から塩分が濃縮された濃縮排水が排出され、
前記紫外線照射装置は、処理水室に供給される被処理水にのみ紫外線を照射することを特徴とする脱塩システム。 - 請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記被処理水は、マンガンを含むとともに、
前記被処理水に塩素注入してマンガンを除去する除マンガン装置をさらに有し、
除マンガン装置の処理水であって、残留塩素を含有する水を前記紫外線照射装置を介し、電気透析装置に供給することを特徴とする脱塩システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068296A JP2004275832A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 脱塩システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068296A JP2004275832A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 脱塩システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004275832A true JP2004275832A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33285681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003068296A Pending JP2004275832A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 脱塩システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004275832A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014087787A (ja) * | 2012-10-06 | 2014-05-15 | Swing Corp | マンガン含有水の処理方法および処理装置 |
JP2014198292A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 栗田工業株式会社 | 医薬用水製造向け精製水製造方法及び装置 |
JP2022075903A (ja) * | 2018-07-09 | 2022-05-18 | 栗田工業株式会社 | 上水の製造方法及び製造装置 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068296A patent/JP2004275832A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014087787A (ja) * | 2012-10-06 | 2014-05-15 | Swing Corp | マンガン含有水の処理方法および処理装置 |
JP2014198292A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 栗田工業株式会社 | 医薬用水製造向け精製水製造方法及び装置 |
JP2022075903A (ja) * | 2018-07-09 | 2022-05-18 | 栗田工業株式会社 | 上水の製造方法及び製造装置 |
JP7380732B2 (ja) | 2018-07-09 | 2023-11-15 | 栗田工業株式会社 | 上水の製造方法及び製造装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5873771B2 (ja) | 有機性廃水の処理方法及び処理装置 | |
US8734645B2 (en) | Media-free system for the production of high purity water and methods of use | |
JP5567468B2 (ja) | 有機性廃水の処理方法及び装置 | |
EP2421798A2 (en) | Water treatment | |
CN113003846B (zh) | 高含盐量和高cod的污水的零排放处理工艺和系统 | |
GB2249307A (en) | Process for purifying water by means of a combination of electrodialysis and reverse osmosis | |
CN105800846A (zh) | 一种用于反渗透浓水处理与零排放的方法与装置 | |
CN103787525B (zh) | 一种城市污水二级生化出水深度处理的方法 | |
JP2002011498A (ja) | 浸出水の処理装置 | |
Illueca-Muñoz et al. | Study of different alternatives of tertiary treatments for wastewater reclamation to optimize the water quality for irrigation reuse | |
JPH10272495A (ja) | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法 | |
JP3800449B2 (ja) | 高濃度の塩類を含有する有機性廃水の処理方法及び装置 | |
AU2009200113A1 (en) | Water purification | |
KR101795694B1 (ko) | 도장폐수를 정수하는 알오 플랜트 수처리 장치 및 방법 | |
US8518235B2 (en) | All-electric coagulant generation system | |
KR102179427B1 (ko) | 분자파괴장치 및 융합 탈이온을 적용한 농축수 패키지의 무방류 처리 시스템 | |
CN206437968U (zh) | 一种高盐废水处理回用的系统 | |
CN113003845B (zh) | 高硫酸盐含量和高cod的污水的零排放处理工艺和系统 | |
JP2003305343A (ja) | 脱塩処理方法および脱塩処理システム | |
RU2207987C2 (ru) | Способ очистки дренажных вод полигонов твердых бытовых отходов | |
Reddy et al. | Water treatment process in pharma industry-A review | |
KR20030089219A (ko) | 방류수 수처리 방법 | |
JP2004275832A (ja) | 脱塩システム | |
JP2002096068A (ja) | 脱塩排水の処理方法及び装置 | |
CN209974491U (zh) | 一种纯化水制备系统 |