JP2004275150A - 汎用コンバイン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】刈取装置8の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置9のフィーダハウス10を連通し、該フィーダハウス10の後部に脱穀装置18のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウス10内に設けるコンベア11の後部とロータ(第一ロータ21)との間に補助搬送チェン50を配置した
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリュー型ロータを進行方向に対して直角方向に配置した汎用コンバインの構成に関する。詳細には穀稈の搬送構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に汎用コンバインにおいては、走行装置より前方に刈取装置を突出し、該刈取装置により刈り取った穀稈を、キャビン側方または下方に配置された搬送装置のフィーダハウスから後方の脱穀装置に搬送し、該脱穀装置に、機体左右水平方向に回転軸をもち前後に平行に配置される二つのロータ、または、機体前後方向を回転軸とするロータの回転によって脱穀を行う構成としている。
【0003】
前記搬送装置では、フィーダハウス内に収納されるコンベアの下方とフィーダハウスの下内面、即ち搬送面との間を穀稈の搬送経路としている。
このような搬送装置において、フィーダハウス後部と脱穀装置のロータとの間に、刈り取った穀稈を脱穀装置へ供給するためのビータを配置した技術が本出願人によって公知となっている(特許文献1参照。)。
また、メンテナンス性の向上のため、前記ビータを着脱自在に配設した技術も同出願人によって公知となっている(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−37124号公報
【特許文献2】
特開2001−16950号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したような、フィーダハウス後部と脱穀装置のロータとの間に設けられるビータは、左右水平方向に回転軸を有する円筒状のものであり、側面視において円をなすという形状のため、どうしてもこのビータによる非作用部、つまり非搬送作用部が生じ、穀稈のフィーダハウスから脱穀装置への円滑な供給の妨げとなることがあった。
また、前記搬送経路において、フィーダハウスの搬送面は平滑な面となっており、コンベアを構成するチェンの作用としては搬送作用のみを有しているに過ぎなかった。
そこで、本発明では、フィーダハウス後部と脱穀装置との搬送経路における非搬送作用部を少なくすることによって、穀稈の搬送装置から脱穀装置への円滑な供給を図ろうとするものである。さらに、搬送装置に穀稈の脱穀作用をもたせることによって脱穀装置における穀物の回収率の向上を図ろうとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウス内に設けるコンベアの後部とロータとの間に補助搬送チェンを配置したものである。
【0008】
請求項2においては、刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウスの搬送面に抵抗体を設けたものである。
【0009】
請求項3においては、前記抵抗体を突起状に構成して搬送方向に所定間隔をあけて配置し、該抵抗体のピッチと、前記フィーダハウス内に収納されるコンベアを構成するスラットの搬送方向のピッチとを異なる長さとしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るコンバインの全体的な構成を示す側面図、図2は同じく平面図、図3は本発明に係るコンバインの別実施例の全体的な構成を示す側面図、図4は搬送装置を示す側面図、図5はコンベアの前部を示す側面図、図6は同じく一部斜視図、図7はコンベアの一実施例を示す一部斜視図、図8は搬送装置後部を示す側面図、図9はコンベアの一実施例を示す一部斜視図、図10はフィーダハウスを示す斜視図、図11は刈取装置の一部を示す側面図、図12は掃除棒及び収納管を示す側面図、図13は掃除棒収納状態を示す側面図である。
【0011】
まず、本発明の実施例に係るコンバインの全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
本発明に係るコンバインには、クローラ式走行装置1上に機体フレーム13が配設され、該機体フレーム13上に脱穀装置18や選別装置19から成る脱穀・選別部を内装する筐体33が配置され、該筐体33の後部にエンジン26等を収納するエンジンルーム14等が配設されている。
筐体33の上には、穀粒を一時的に貯溜するグレンタンク30が配設され、該グレンタンク30よりその内部に貯溜された穀粒を排出するための排出オーガ40が機体後部から前方にかけて備えられている。
【0012】
前記筐体33の前方には刈取装置8が配置され、該刈取装置8の後端と筐体33前上部に設けられた脱穀装置18の前部入口が搬送装置9によって連通され、該搬送装置9は機体略中央に配設されている。
さらに、前記搬送装置9の上方には運転席15や操行ハンドル16等を収納したキャビン17が配設され、該キャビン17は機体左右略中央前方の上方に配置され、左右両側より乗降可能とされている。
【0013】
前記刈取装置8は、搬送装置9の構成部材であるフィーダハウス10の前部に連結されたプラットホーム2内部に横架され支承された横送りオーガ3と、該横送りオーガ3の前下部に備えられた刈刃4と、プラットホーム2上方に設けられた掻き込み用のリール5等で構成されている。
【0014】
前記横送りオーガ3は、進行方向と直交する方向に回転軸を有し、該横送りオーガ3には、その回転によってプラットホーム2の左右略中央後部に連結されたフィーダハウス10へ刈り取った穀稈が送られるように螺旋(スクリュー)が形成されている。また、プラットホーム2の左右両側の前端には、分草板7・7が設けられ、プラットホーム2の後部の左右両側にはリール5を横架した支持アーム6の後部が支持され、該支持アーム6の左右一側にはリール5回転駆動用のベルトやプーリ等からなる動力伝達機構が設けられている。該リール5は、支持アーム6とプラットホーム2との間に介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ29によって昇降される。
【0015】
前記搬送装置9は、フィーダハウス10と、該フィーダハウス10内に配設された無端状のコンベア11で構成されている。
前記フィーダハウス10の前端は、前記横送りオーガ3のスクリューの送り終端位置に合わせて、前記プラットホーム2の後部に連通され、後端は補助搬送チェン50を介して脱穀装置18への供給口12(図4)に連通されており、該供給口12の後方には進行方向に対し略直角方向に回転軸心を有する第一ロータ21が配設されている。つまり、フィーダハウス10後端と第一ロータ21との間には、本発明に係る補助搬送チェン50が配設されており、刈り取った穀稈は前記コンベア11によって搬送され、補助搬送チェン50によって強制的に脱穀装置18の第一ロータ21へ供給される。
【0016】
前記フィーダハウス10の後部は、脱穀・選別部を内装する筐体33の前部に挿入され、該筐体33に昇降回動自在に支持されており、フィーダハウス10と機体フレーム13との間にはアクチュエータとしての油圧シリンダ32が介装されている。そして、図4に示すように、この油圧シリンダ32の基部は機体フレーム13に支承され、フィーダハウス10下面に設けられた10aには、この油圧シリンダ32のピストンロッド32aの端部が支承されており、このピストンロッド32aの伸縮によってフィーダハウス10が昇降駆動され、刈取装置8を昇降可能としている。
【0017】
前記脱穀・選別部は筐体33内部に配設され、刈取装置8により刈り取られ、搬送装置9により搬送されてきた穀稈を第一ロータ21及び第二ロータ22によって脱穀する脱穀装置18と、該脱穀装置18により脱穀された穀粒を選別する選別装置19とで構成されている。
【0018】
このような構成において、フィーダハウス10から供給口12へ穀稈が搬送されると、この穀稈は第一ロータ21及び第二ロータ22の回転によって右方へ搬送されながら脱穀され、排出口24aより落下する。
【0019】
該排出口24a下部から後下方にはガイドプレート60が延出され、該ガイドプレート60後部の上方とエンジンルーム14底面との間の位置には、強制的に排稈を後方に送り出す排稈ビータ61が設けられている。該排稈ビータ61後方には、機体後端部に左右に全幅に渡ってチョッパー式のスプレッダー62が横架され、排出口24aより排出されて排稈ビータ61によってスプレッダー62まで搬送された排藁は、該スプレッダー62の複数の鉈状の刃によって切断され、機体後端部より圃場に排出される。
【0020】
一方、前記脱穀・選別部において、脱穀装置18の下方には選別装置19が配設されており、選別装置19は、流穀板25、揺動本体20、プレファン34、選別風を発生させる唐箕27、選別された一番物を左右方向に搬送する一番コンベア28、二番物を搬送する二番コンベア31等より構成され、脱穀装置18から落下した脱穀物を選別できるようにしている。
【0021】
以上説明した汎用コンバインは、脱穀・選別部において、軸心を左右水平方向に持ち、前後に平行に配置された第一ロータ21及び第二ロータ22の二つのロータを具備する脱穀装置18としているが、本発明に係るコンバインの別実施例として、図3に示す如く、前後方向を軸方向とする扱胴57を有する脱穀装置18を具備するコンバインでも本発明に係る搬送装置9は同様に適用可能であり、前実施例のコンバインと略同一の形態及び機能を有する部材や装置について同一符合を付して説明を省略する。
【0022】
続いて搬送装置9の構造の詳細について説明する。
図4に示す如く、搬送装置9はフィーダハウス10と該フィーダハウス10内に収納されるコンベア11とから構成されている。
前記フィーダハウス10の前部には刈取装置8の構成部材である前記プラットホーム2が連結され、フィーダハウス10内部とプラットホーム2出口が連通されている。そして、フィーダハウス10内において、前部に左右水平方向に回動可能に横架された従動軸35にはガイドローラ36が外嵌され、同じく後部に左右水平方向に回動可能に横架された駆動軸38にはガイドローラ39が外嵌され、これらガイドローラ36及び39にはコンベア11が巻回されている。そして、このコンベア11の下方と箱状に形成されたフィーダハウス10の下内面との間が穀稈の搬送経路となる。
なお、前記駆動軸38はコンベア11の駆動軸であり、また刈取装置8昇降駆動、即ちフィーダハウス10の回動支軸となっている。
【0023】
一方、フィーダハウス10後部は、筐体33に一部挿入された状態に配置され、該フィーダハウス10後端は供給板23を介して脱穀装置18の供給口12に連通されている。
供給板23は、筐体33内部に固定されたフィーダハウス10後端から第一ロータ21の前下方に亘って連続する板状部材であり、コンベア11によって搬送される穀稈はこの供給板23の上方を通過して第一ロータ21に導かれる。
そして、フィーダハウス10の後端と脱穀装置18の第一ロータ21との間、即ち前記供給板23の上方には、補助搬送チェン50が設けられている。
【0024】
補助搬送チェン50は、筐体33内に支持フレーム等を介して左右水平方向に支承された従動軸51及び駆動軸52と、該従動軸51及び駆動軸52にそれぞれ外嵌されたガイドローラ53及び54と、該ガイドローラ53及び54に巻回されたコンベア55とから構成されている。
この補助搬送チェン50の駆動軸52へは、前記第一ロータ21や第二ロータ22等とベルトやプーリー等を介して動力が伝達される。そしてこの動力を補助搬送チェン50の従動軸51と前記コンベア11の駆動軸38とをベルトまたはチェン等で連動させ、コンベア11を駆動するようにしている。
【0025】
従来は、前記補助搬送チェン50が設けられる位置には、左右水平方向に回転軸を有する円筒状のビータが設けられていた。しかし、このビータは円筒状という形状から側面視において円となり、この円の外径を調節したとしてもビータの非作用部が生じていた。つまり、穀稈の搬送経路において、コンベア11後端と第一ロータ21との間に非搬送作用部が生じていたのである。
【0026】
しかし本発明のように、前記ビータの代わりに補助搬送チェン50を配置することにより、前後のガイドローラ53・54の径は従来のビータの径よりも小さくすることができるので、上述のような非搬送作用部が少なくなり、フィーダハウス10内のコンベア11、補助搬送チェン50、第一ロータ21それぞれの間での受継ぎ性能の向上を図ることができる。つまり、搬送装置9から脱穀装置18への穀稈の供給がよりスムーズに行われるのである。そして、前後のガイドローラ53・54の径は、前記駆動軸38上に設けたガイドローラ39、及び第一ロータ21の径よりも小さく構成しているので、ガイドローラ39と第一ロータ21の二つの共通接線の間の空間内に補助搬送チェン50を配置することが可能となり、非搬送作用空間をできるだけ小さくすることができて、受継ぎ性能を向上することができるのである。
【0027】
また、補助搬送チェン50を採用することによって、従来はビータによって占められていたスペースが空くので、このスペースの分装置のコンパクト化を図ったり、キャビン17の内部の空間を大きくしたりすることが可能となる。さらに、補助搬送チェン50のガイドローラ53・54の大きさや前後方向の間隔を調節することによって、フィーダハウス10の形状や取付ける位置の自由度の向上が図れるのである。
【0028】
また、図4に示すように、フィーダハウス10の穀稈の搬送経路となる下側内面には、脱穀装置18での穀物の回収率を上げるための抵抗体46・46・・・が所定間隔(ピッチをP1)をあけて設けられている。
この抵抗体46・46・・・は、フィーダハウス10に溶接またはボルト締結などによって一体的に固設されており、フィーダハウス10左右方向に亘る側面視山型の突起である。該抵抗体46・46・・・は、その左右方向の長さを少なくともコンベア11に架設されているスラット11b・11b・・・よりも長く形成されている。
【0029】
このように、フィーダハウス10の搬送面に抵抗体46・46・・・を設けることによって、刈取装置8によって刈り取られた穀稈が、フィーダハウス10内の搬送経路をコンベア11によって搬送される際、この抵抗体46・46・・・によって搬送が妨げられ、コンベア11の搬送速度と搬送される穀稈との間に相対速度が生じる。そして、コンベア11のスラット11b・11b・・・と抵抗体46・46・・・とによって穀稈が挟まれてその衝撃で脱穀作用が生じ、この脱穀作用を受けた穀稈は脱粒とともに脱穀装置18へと供給されるのである。
このように、フィーダハウス10に穀稈の脱穀作用を持たせることによって、搬送装置9が脱穀作業の補助的な機能を果たすことができ、脱穀ロスの低減及び脱穀装置18内での穀物の回収率の向上が図れる。
【0030】
また、前記抵抗体46・46・・・は、その設けられる間隔(ピッチをP1)を、コンベア11のチェン11a・11aに架設されるスラット11b・11b・・・の前後方向の間隔(ピッチをP2)と異なる(P1≠P2)長さとしている。つまり、ピッチP1はピッチP2よりも長く或いは短くし、整数倍とならない長さとする。本実施例ではピッチP1はピッチP2よりも若干長く構成している。このようにすることによって、フィーダハウス10内の穀稈の搬送経路において、該抵抗体46・46・・・とスラット11b・11b・・・との間に穀稈が挟まれることによって生じる抵抗がそれぞれの抵抗体46・46・・・にて同時に発生することを避けているのである。つまり、この抵抗体46・46・・・全体からコンベア11が受ける抵抗力が、穀稈搬送中は略一定となるように、抵抗体46・46・・・とスラット11b・11b・・・との位相をズラした間隔に配設することが好ましい。そうすることにより、コンベア11の不要な動力消費を抑えることができる。
【0031】
ここで、前記コンベア11及び補助搬送チェン50を構成するコンベア55に共通するコンベアの構造について、コンベア11を例に図4乃至図6を用いて説明する。
コンベア11は、前記従動軸35上のガイドローラ36と、駆動軸38上のガイドローラ39に亘って、巻回された左右のチェン11a・11aと、左右のチェン11a・11a間に架設されたスラット11b・11b・・・とで構成されている。
【0032】
前記スラット11bは、図5及び図6に示す如く、チェン11a・11aを構成するチェンプレート11c・11c・・・の内側に固設されたL字状のアタッチメントプレート37・37を介して、コンベア11の回転方向に対して等間隔に架設されている。該スラット11bは、その左右両側を、前記アタッチメントプレート37・37のチェン11a・11a間の内側に向けて突出した部分にボルト41・41によって締結して固定されている。
【0033】
そして、スラット11bの左右両端は、チェン11a・11aそれぞれの内側面よりも内側になるように配置されている。すなわち、平面視においてこのスラット11bの左右両端部がチェン11a・11aと重ならないようにしている。このように、スラット11bをチェン11a・11aの内側に配置し、該スラット11bの左右両端部がチェン11a・11aと重ならないようにすることで、コンベア11において、該チェン11a・11aの内周側及び外周側のどちら側からでも、スプロケットやローラを設けることが可能となり、フィーダハウス10の形状やコンベア11のライン形状の自由度が増すのである。
【0034】
また、コンベア11の別実施例として、以下に説明するような構成とすることもできる。
図7に示すように、チェン11a・11aに架設されたスラット11bの左右両側に、ローラやベアリング等の転がり装置42・42を設ける。図7ではこの転がり装置42・42としてベアリング採用した場合を示している。
前記転がり装置42は、チェン11a・11aのそれぞれ内側に設けられた前記アタッチメントプレート37・37が固設されているチェンプレート11cに相対する外側のチェンプレート11d側から設けられている。すなわち、このチェンプレート11dの中央部から支持軸11eを突出させ、該支持軸11eに転がり装置42を固定している。
また、この転がり装置42・42は、その外径をスラット11bによる穀稈の搬送作用を妨げない大きさとしている。
【0035】
このように、スラット11bの左右両端に転がり装置42・42を設けることによっても、コンベア11のチェン11a・11aの外側からガイドローラを沿わせることが可能となり、フィーダハウス10内におけるコンベア11の支持形態や、フィーダハウス10自体の形状の自由度の向上を図ることができる。
さらに、この転がり装置42・42を設けることによって、スラット11bの左右両端部を該転がり装置42・42に干渉しない程度まで延設することができスラット11bによる搬送作用部が広がるので、搬送装置9におけるより確実な穀稈の搬送が可能となる。
【0036】
このようなコンベア11を用いた搬送装置9の一実施例を図8に示す。
本実施例では、第一ロータ21の直前にコンベア11の駆動軸43を支承し、該駆動軸43にガイドローラ44を設け、コンベア11をこのガイドローラ44と前記ガイドローラ36及び39に巻回することによって一つのコンベア11で第一ロータ21の直前まで穀稈の搬送作用を持たせている。つまり、フィーダハウス10の回動支点軸を支軸38’とし、コンベア11の駆動軸を駆動軸43とすることによってフィーダハウス10の回動支点軸とコンベア11の駆動軸を分けている。
【0037】
このように3箇所のガイドローラにコンベア11を巻回する場合において、フィーダハウス10を、前記支軸38’を中心に上方に回動した際、該支軸38’に外嵌されたガイドローラ39の上方部分にコンベア11を常に沿わせ、該コンベア11の張力を一定に保つために前記転がり装置42・42・・・のガイド45・45を設けている。
このガイド45・45は、筐体33の一端部、若しくはフィーダハウス10の両側面に固設されており、ガイドローラ39の上方から、該ガイドローラ39後方のガイドローラ44の上方に向けて導かれるようにコンベア11の左右両端に設けられている。言い換えると、ガイドローラ39とガイドローラ44との間におけるコンベア11の上側をガイドすることによってコンベア11を常にガイドローラ39に沿わせるようにしている。つまり、このガイド45・45内をスラット11bの左右両端に設けられた転がり装置42・42が転がりながら通過していくようになっている。
【0038】
このようなガイドを必要に応じてフィーダハウス10内の左右側面または筐体33の任意の場所に設ければ、スラット11bの両端に転がり装置42・42を設けたコンベアを用いることによって、別途テンションローラ等を設けたり、ガイドローラを設ける位置を変えたりすることによっても、コンベア11の軌道を制限することができるので、コンベア11の緊張状態がフィーダハウス10の回動によって受ける影響を低減でき、コンベア11にかかる余分な負担を減らすことが可能となる。つまり、フィーダハウス10の形状やコンベア11のライン形状の自由度が増すのである。
【0039】
また、図6などに示したスラット11b・11b・・・をチェン11a・11aの内側に配置し、該スラット11bの左右両端部がチェン11a・11aと重ならないようにした場合のコンベア11においても、該チェン11a・11aを構成する部材であるローラを大型にすることによって、前記転がり装置42・42と同様に、コンベア11をガイド45・45に沿わせることができる。つまり図9に示すように、チェン11a・11aを構成するローラ11f・11f・・・の外径を側面視でこのローラ11f・11f・・・の上端及び下端がチェンプレート11dよりも外側になるようにしている。このように、チェン11a・11aのローラの外径を大きくすることによって、上述したフィーダハウス10に設けられるガイド45・45にチェン11a・11aを沿わせることができ、前記転がり装置42・42・・・を設けた場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0040】
このように、コンベア11の左右両側を、筐体33またはフィーダハウス10内に設けたガイドに沿わせる構造とし、一つのコンベア11で第一ロータ21の直前まで穀稈の搬送作用を持たせることによって、前記補助搬送チェン50を設けた場合の効果に加え、搬送経路における穀稈の受継ぎ箇所が減るので、搬送装置9から脱穀装置18への供給がよりスムーズに行えるのである。
【0041】
一方、前記フィーダハウス10の搬送面である下面は、フィーダハウス10内の掃除などのメンテナンス時や詰まった穀稈を取り除くために、開口できる構造となっている。つまり、図10に示すように、フィーダハウス10の下面を開閉可能な開口蓋10bとしており、該開口蓋10bの左右一側に前後方向に設けた蝶番47・47等によって回動支点とし、左右他側を固定部として、フィーダハウス10の側面に固定部材48・48を設け、該固定部材48・48に対応する係止部49・49を開口蓋10bの先端部に形成された折り曲げ部に固設している。
【0042】
このように、フィーダハウス10の下面に開口部を設け、開閉可能な開口蓋10bを一体的に回動支持することで、開口蓋が別体の固定式である場合と比較して、容易にフィーダハウス10の底部を開口することができ、掃除などのメンテナンスや、フィーダハウス10内に滞留した穀稈の除去などの作業能率の向上が図れる。また、フィーダハウス10の側方から該開口蓋10bの開閉が行えるので、該フィーダハウス10の下に入り込んで作業する必要がなくなり、安全性の向上も図れるのである。
【0043】
なお、本実施例の汎用コンバインは、フィーダハウス10をキャビン17の下方であって機体略中央に配置されているため、前記開口蓋10bを開く方向は左右どちらからでもよいが、例えばフィーダハウス10をキャビン17の左側方に配置するような機体においては、刈取の作業手順上フィーダハウス10の左側方に未刈の作物があることが多く、開口蓋10bをフィーダハウス10の右側方から開くようにして作業性や安全性の向上を図るなど、開閉構造を考慮することが可能となる。また、開口蓋10bの上部を枢支して、下部に固定部を設けて、後部を中心として開口蓋10bを前後方向に開閉可能に構成することもできる。
さらに、前記開口蓋10bをリンクや電動モータ等を介することによって、キャビン17内から開閉操作を可能とし、収穫作業中でもこの開口蓋10bの開閉を行えるような構成として作業能率の向上を図ることもできる。
【0044】
また、このような開口蓋を刈取装置8の前記プラットホーム2においても採用することができる。
図11に示すように、前記プラットホーム2の刈取フレーム2a内の底板2bを下方に向けて回動可能とし、該プラットホーム2を開閉可能としている。
該底板2bは、その回動支点軸2cを刈取フレーム2aの前端部付近に有しており、底板2b全体に亘って開口できるようにしている。
【0045】
そして、前記底板2bは、その後端部の左右両端に鉤状の係止部2d・2dを有し、刈取フレーム2aの左右両側に設けられた開閉装置56・56によって開閉可能な構造としている。
このように、プラットホーム2の底板2bを開閉可能な構造とすることで、刈取作業中に泥をすくってしまった場合など、手やはけ等でその泥を掻き出す必要がなくなり、確実に泥を落せるため泥が固まって泥粒になることを防止できるので作業能率が上がる。また、上述したフィーダハウス10の開閉構造と同様に、リンクや電動モータ等を介することによって、キャビン17内から開閉操作を可能とすることで、刈取作業中でも底板2bの開閉を行えさらに作業能率の向上を図ることもできる。このようにキャビン17内から底板2bの開閉を行う場合、回動支点を刈取フレーム2aの前端部に設けているので、刈取装置8を上昇させたとき泥が落ちやすいようになっている。
さらに、開閉装置56・56を設ける刈取装置8後方に設けることによって底板2bの開閉作業を容易に行うことができ、作業効率や安全性の向上が図れるのである。
【0046】
ところで、このようなフィーダハウス10やプラットホーム2に設けられた開口部から該フィーダハウス10内に溜まった土や泥や詰まった穀稈などを掃除する際や、脱穀装置18内に残留している穀稈などを掃除する際に、手では直接届きにくいところを掃除するために図12に示すような掃除棒70を使用する。この掃除棒70は、機体フレーム13や筐体33等の一端部に固設された中空パイプ状の収納管71に収納されている。
【0047】
前記掃除棒70は、適度な硬度を有する合成樹脂性または金属性の棒状の部材を折り曲げて形成されたものであり、該掃除棒70の一端部を両手でも把持できる長さ分略直角に屈曲点70bから折り曲げて把持部70aが形成されている。
【0048】
掃除棒70は、前記収納管71に収納時に自らの形状によって固定支持されるように長手方向略中央部の屈曲点70cから屈曲した形状となっている。つまり、側面視において該屈曲点70cは、前記屈曲点70bで把持部70aを形成するために折り曲げた方向と略反対方向に折り曲げられている。そして、屈曲点70cより先端側を水平(図12に示す状態)にしたときに、側面視において、屈曲点70cより先端側の下端と、前記屈曲点70bの上端との幅L1が、前記収納管71の内径L2よりも大きくなるように掃除棒70は屈曲点70cにおいて適度に屈曲されている。
【0049】
すなわち、この掃除棒70を収納管71に収納する際は、該掃除棒70の先端部を収納管71の開口部から挿入し、図13に示す収納状態において、屈曲点70bの上端X、屈曲点70cの下端Y及び掃除棒70の先端上端部Zの3点によって支持固定されるのである。また、収納管71は、その左右両端部に開口部を有しており、左右どちらからでも掃除棒70の収納が可能となっている。
【0050】
このように、掃除棒70自体の形状によって収納管71内に支持固定されるように該掃除棒70の中間部の屈曲点70cにおいて適度に曲げを形成することによって、この掃除棒70を機体に支持固定するために別途ステーを設けてボルト締結等をする必要がなく、部品点数の削減が図れる。
また、掃除棒70使用時は把持部70aをもってそのまま引き出せばよく、収納時も把持部70aをもって収納管71に挿入するだけで支持固定されるので、片手で取出し及び収納が行え作業性に優れるのである。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0052】
即ち、請求項1に示す如く、刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウス内に設けるコンベアの後部とロータとの間に補助搬送チェンを配置したので、非搬送作用部が少なくなり、フィーダハウス内のコンベア、搬送チェン、第一ロータそれぞれの間での受継ぎ性能の向上を図ることができる。つまり、搬送装置から脱穀装置への穀稈の供給がよりスムーズに行われるのである。
【0053】
請求項2に示す如く、刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウスの搬送面に抵抗体を設けたので、搬送装置が脱穀作業の補助的な機能を果たすことができ、脱穀ロスの低減及び脱穀装置内での穀物の回収率の向上を図ることができる。
【0054】
請求項3に示す如く、前記抵抗体を突起状に構成して搬送方向に所定間隔をあけて配置し、該抵抗体のピッチと、前記フィーダハウス内に収納されるコンベアを構成するスラットの搬送方向のピッチとを異なる長さとしたので、該抵抗体とスラットとの間に穀稈が挟まれることによって生じる抵抗が、それぞれの抵抗体において同時に発生することを防止でき、コンベアの不要な動力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンバインの全体的な構成を示す側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】本発明に係るコンバインの別実施例の全体的な構成を示す側面図。
【図4】搬送装置を示す側面図。
【図5】コンベアの前部を示す側面図。
【図6】同じく一部斜視図。
【図7】コンベアの一実施例を示す一部斜視図。
【図8】搬送装置後部を示す側面図。
【図9】コンベアの一実施例を示す一部斜視図。
【図10】フィーダハウスを示す斜視図。
【図11】刈取装置の一部を示す側面図。
【図12】掃除棒及び収納管を示す側面図。
【図13】掃除棒収納状態を示す側面図。
【符号の説明】
8 刈取装置
9 搬送装置
10 フィーダハウス
11 コンベア
21 第一ロータ
46 抵抗体
50 補助搬送チェン
Claims (3)
- 刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウス内に設けるコンベアの後部とロータとの間に補助搬送チェンを配置したことを特徴とする汎用コンバイン。
- 刈取装置の後部に穀稈の搬送を行う搬送装置のフィーダハウスを連通し、該フィーダハウスの後部に脱穀装置のロータを有する汎用コンバインにおいて、前記フィーダハウスの搬送面に抵抗体を設けたことを特徴とする汎用コンバイン。
- 前記抵抗体を突起状に構成して搬送方向に所定間隔をあけて配置し、該抵抗体のピッチと、前記フィーダハウス内に収納されるコンベアを構成するスラットの搬送方向のピッチとを異なる長さとしたことを特徴とする請求項2記載の汎用コンバイン。
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