JP2004274895A - Dc−dcコンバータおよびその駆動制御方法 - Google Patents

Dc−dcコンバータおよびその駆動制御方法 Download PDF

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孝義 吉田
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Abstract

【課題】コンバータに加わる一次側の電源電圧の変動に対応して、コンバータの駆動動作が適正に制御されるようになされたDC−DCコンバータを提供すること。
【解決手段】トランジスタQ2 は繰り返してオン動作がなされ、コンデンサC2 に充電されるA点電圧波形をコンパレータ18により検証することで、一次側の電源電圧であるバッテリーE1 の電圧が把握され、当該電圧に対応した継続期間を有するスッチング信号がコンパレータ18より出力される。一方、コンバータの出力電圧が、誤差増幅器12によりエラー信号として取り出され、このエラー信号のレベルに応じて、スイッチ16が開閉動作される。これにより、PSM動作が実行されコンバータ出力電圧が安定化される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンバータの出力電圧に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、出力電圧を所定の範囲に維持させるDC−DCコンバータに関し、特にコンバータに加わる一次側の電源電圧の変動にも対応して、コンバータの駆動動作が適正に制御されるようになされたDC−DCコンバータおよびその駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現状における携帯型の機器、例えば携帯用電話機などにおいては、そのほとんどが表示パネルとして液晶表示装置が用いられている。この液晶表示装置においては、バックライトやフロントライトを点灯させるための消費電力が非常に大きく、これに比較して液晶表示モジュール部分で消費される電力は僅かである。このために、前記した液晶表示装置においては、レギュレートされた電源からチャージポンプ方式により昇圧するなどした電源を、液晶表示モジュール部分に利用するようにしている。
【0003】
ところで、近年においては有機材料を発光層に利用した有機EL(エレクトロルミネセンス)素子の開発が進み、これをマトリクス状に配列した発光表示パネルが一部においてすでに実用化されている。この有機EL素子は自発光型であり、素子自体の消費電力が大きいため、前記したようなチャージポンプ方式の電源回路を利用することは難しい。また、効率面から考えると一次側電源であるバッテリーから直接昇圧する方式を採用した方が有利である。そこで、前記したEL素子を用いた表示パネルの駆動電源としては、チョッパー型のDC−DCコンバータを好適に利用することができる。
【0004】
チョッパー型のDC−DCコンバータは、周知のように一次側の直流電力を、スイッチング素子の動作により間欠的にコイルに供給することで、当該コイルに電磁エネルギーを蓄積させると共に、前記コイルから放出されるエネルギーを利用して、例えば昇圧された二次側出力(コンバータ出力)を得るようになされる。このDC−DCコンバータによる出力電圧は、あらかじめ定められた所定の電圧値に安定していることが望ましく、その出力電圧を安定した状態に保つための制御方式として、代表的には2つの方式が知られている。その1つはPWM(pulse width modulation=パルス幅変調)方式であり、他の1つはPFM(pulse frequency modulation=周波数変調)方式である。
【0005】
前者のPWM方式は、コンバータ出力電圧を制御するスイッチング素子のオンタイミングを常に一定にし、スイッチング素子のオン時間(デューティ)をコンバータ出力電圧に応じて制御するようになされる。また、後者のPFM方式は、コンバータ出力電圧を制御するスイッチング素子に与える駆動信号の周波数を、コンバータ出力電圧に応じて制御するようになされる。
【0006】
この場合、後者のPFM方式にはスイッチング素子に与える駆動信号の発生タイミングが、コンバータ出力電圧に応じて連続的に制御される純粋なPFM方式と、スイッチング素子に与える駆動信号の発生タイミング(基本周波数)は一定で、コンバータ出力電圧に応じてスイッチング素子に駆動信号を与えるか、与えずにスキップさせるように動作する疑似PFM方式とが知られている。なお疑似PFM方式は、その動作機能上からPSM(pulse skip modulation )方式と呼ばれることもある。
【0007】
前記したPWM方式およびPFM方式を採用したチョッパー型のDC−DCコンバータについては、例えば次に示す特許文献1に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−89222号公報(段落0012〜0015、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したようにDC−DCコンバータにおける一次側電源として、バッテリーを利用するような例えば携帯型の機器等においては、一次側の電源電圧は、バッテリーの充電中、フル充電時、放電時においてそれぞれ変化する。特にチョッパー型のDC−DCコンバータにおいては、一次側の電源電圧が変化した場合、チョッパー動作を司るスイッチング素子のスイッチング時間が同一であっても、昇圧用のコイルや前記スイッチング素子に流れるピーク電流が大きくなるという状態が発生する。このために、コンバータに相当に余裕をもたせた回路設計が必要になり、これがこの種の装置のローコスト化の阻害要因にもなっている。
【0010】
一方、前記したコンバータにおけるPWMあるいはPFM制御等を行う回路部分はIC化が進み、このICに対する低消費電力、ローコストの要求も厳しく、このためにICのプロセスが微細化して、その耐圧も低くなされる傾向にある。したがって、バッテリーの電圧よりもICの耐圧が低い場合も発生し、昨今においてはこの様な対応についても考慮する必要が生じている。
【0011】
この発明は、前記した現状の問題点に着目してなされたものであり、例えばチョッパー型のDC−DCコンバータに加わる一次側電源電圧の変動に対応して、コンバータの駆動動作を適正に制御することができるDC−DCコンバータを提供することを目的とするものである。また、この発明はコンバータのスイッチング動作を制御するIC部分の耐圧にも効果的に対処することができるDC−DCコンバータを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされたこの発明にかかるDC−DCコンバータは、請求項1に記載のとおり、コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するDC−DCコンバータであって、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値を取得する一次側電源電圧取得手段と、前記一次側電源電圧取得手段により得られる電圧情報に基づいて、前記スイッチング素子の駆動動作期間を制御する駆動動作期間制御手段とを具備した点に特徴を有する。
【0013】
また、この発明にかかる第1態様のDC−DCコンバータの駆動制御方法は、請求項7に記載のとおり、コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するPFM方式またはPSM方式を採用したDC−DCコンバータの駆動制御方法であって、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値が高レベルの場合には、前記PFM方式またはPSM方式により生成される前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を短く、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値が低いレベルの場合には、前記PFM方式またはPSM方式により生成される前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を長くするように制御する点に特徴を有する。
【0014】
さらに、この発明にかかる第2態様のDC−DCコンバータの駆動制御方法は、請求項8に記載のとおり、コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するPWM方式を採用したDC−DCコンバータの駆動制御方法であって、前記PWM方式により生成される前記スイッチング素子の駆動信号と、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値に応じて継続期間が制御されるデューティ制限信号との論理積により、前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を制御する点に特徴を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるDC−DCコンバータについて、図に示す幾つかの好ましい実施の形態に基づいて説明する。図1はその第1の実施の形態を示したものである。なお、この図1に示した形態は、前記したPSM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用したものである。図1において符号E1 はコンバータの一次側電源として機能するバッテリーを示す。このバッテリーE1 の陰極側端子は基準電位点(アース)に接続され、その陽極側端子はコンバータの一次側電源入力端子Vinに接続されている。
【0016】
前記電源入力端子Vinには、昇圧用のコイルL1 の一端が接続されており、当該コイルL1 の他端には、スイッチング素子としてのn型MOSパワーFETQ1 のドレインが接続されている。そして、パワーFETQ1 のソースはアースに接続されると共に、当該パワーFETQ1 のドレイン・ソース間にはダイオードD1 が図に示す極性で接続されている。
【0017】
一方、前記コイルL1 とパワーFETQ1 の接続点にはダイオードD2 のアノード側が接続され、このダイオードD2 のカソード側がコンバータの出力端子Vout を構成している。また、前記出力端子Vout とアースとの間には、電圧保持用のコンデンサC1 が接続されており、このコンデンサC1 によって保持されたコンバータの出力電圧が、出力端子Vout に接続される図示せぬ負荷に供給されるように構成されている。
【0018】
したがって、前記パワーFETQ1 がオンされると、前記コイルL1 には端子Vinより電流が流れてコイルL1 に電磁エネルギーが蓄積される。その後、パワーFETQ1 がオフされると、コイルL1 に蓄積されたエネルギーにより、コイルL1 に起電力が発生し、前記ダイオードD2 を介して電流が流れる。これにより出力端子Vout には、入力端子Vinよりも高い電圧が発生する昇圧型のDC−DCコンバータが実現される。
【0019】
前記出力端子Vout とアースとの間には、コンバータの出力電圧値を検出するための抵抗素子R1 およびR2 からなる分圧回路11が接続されており、この分圧回路11により生成される分圧電圧は、誤差増幅器12の一方の入力端子(反転入力端子)に供給されるように構成されている。また、誤差増幅器12の他方の入力端子(非反転入力端子)には、基準電圧源13からもたらされる基準電圧Vref1が供給され、これにより、誤差増幅器12よりコンバータ出力電圧の変動に伴う誤差出力、すなわち後述するエラー信号(c)が生成される。
【0020】
前記誤差増幅器12により生成されたエラー信号は、スイッチ制御回路14に供給される。このスイッチ制御回路14は、PSM基準クロック発生回路15から供給される後述するPSM基準クロック(b)の立上がりタイミングにおいて、前記エラー信号(c)が後述するPSM動作基準電圧(d)と比較され、その比較結果に基づいてスキップ制御信号を生成するか否かを決定する。そして、スイッチ制御回路14において、スキップ制御信号が生成される場合においては、前記パワーFETQ1 のゲート端子に接続されたスイッチ16を開放(オフ)制御するように動作する。
【0021】
一方、前記した電源入力端子Vinとアース間には、抵抗素子R3 とコンデンサC2 との直列回路が接続されている。そして、コンデンサC2 の両端にはシャントスイッチとして機能するバイポーラ型npnトランジスタQ2 のコレクタとエミッタが接続されている。前記トランジスタQ2 のベースには、スイッチオンタイミング信号生成回路17からもたらされる後述するスイッチオンタイミング信号(e)が供給されるように構成されている。
【0022】
このスイッチオンタイミング信号の到来により、トランジスタQ2 はオン動作され、これにより、前記コンデンサC2 の端子電圧、すなわちA点電圧はほぼゼロ電位に放電される。また、前記スイッチオンタイミング信号の供給が停止された場合には、前記コンデンサC2 の端子電圧(A点電圧)は、コンデンサC2 と前記抵抗素子R3 との時定数で決まる充電特性にしたがって、一次側電源であるバッテリーE1 より充電動作を受けるように機能する。
【0023】
前記コンデンサC2 の端子電圧(A点電圧)はコンパレータ18の一方の入力端子(反転入力端子)に供給されるように構成されており、また、コンパレータ18の他方の入力端子(非反転入力端子)には、基準電圧源19からもたらされる後述する基準電圧Vref2(g)が供給されるように構成されている。これにより、後で詳細に説明するようにコンパレータ18からは、基準電圧Vref2に対してA点電圧のレベルが低い場合において、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号が生成される。そして、この駆動信号は、スイッチ16を介して適宜パワーFETQ1 のゲートに供給されるように構成されている。
【0024】
なお、以上説明した図1に示す構成において、抵抗素子R3 、コンデンサC2 、トランジスタQ2 との組み合わせは、バッテリーE1 による電圧の立上がり特性を検証するように機能するものであり、したがってこれを便宜上、一次側電源電圧取得手段と呼ぶことができる。また、図1に示す構成において、コンパレータ18と基準電圧源19により、A点電圧に基づいてパワーFETQ1 の駆動動作期間(オン時間)を制御するように機能するものであり、したがってこれを便宜上、スイッチング素子の駆動動作期間制御手段と呼ぶことができる。
【0025】
図2は、図1に示すコンバータの動作を説明するものであり、これをタイミングチャートで示している。すなわち、(a)は全ての動作タイミングの基礎となる基準クロック信号を示しており、この基準クロック信号に基づいて前記した等間隔のPSM基準クロック(b)が生成される。一方、(c)は前記した誤差増幅器12からもたらされるエラー信号であり、これはコンバータ出力電圧に対応するものである。
【0026】
前記エラー信号(c)は、図1に示すスイッチ制御回路14において、PSM動作基準電圧(d)と比較される。この比較は前記したPSM基準クロック(b)の立上がり時点で実行される。この結果、エラー信号(c)のレベルがPSM動作基準電圧(d)に対して高ければ、図1に示すスイッチ制御回路14はスイッチ16を閉成(オン)させる制御を実行する。また、エラー信号(c)のレベルがPSM動作基準電圧(d)に対して低ければ、図1に示すスイッチ制御回路14はスイッチ16を開放(オフ)させる制御、すなわちスキップ制御を実行する。
【0027】
一方、図2に(e)で示すスイッチオンタイミング信号は、この実施の形態においては、その出力タイミングは、前記したPSM基準クロック(b)と同一になされている。したがって、この実施の形態においては、図1に示したPSM基準クロック発生回路15およびスイッチオンタイミング信号生成回路17は、いずれか1つで共用することができる。
【0028】
前記スイッチオンタイミング信号(e)の発生により図1に基づいてすでに説明したとおり、トランジスタQ2 はオン動作され、コンデンサC2 の端子電圧、すなわちA点電圧はゼロ電位となるように放電される。また、前記スイッチオンタイミング信号の供給が停止された状態で、前記コンデンサC2 の端子電圧(A点電圧)は、コンデンサC2 と前記抵抗素子R3 との時定数で決まる充電特性にしたがって上昇する。
【0029】
この場合、前記A点の電圧波形は図2に(f)として示すような立上がり特性となる。しかもこの場合の立上がり特性は、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧に応じて変化し、バッテリーE1 の出力電圧が大きくなる程、立上がり特性も急峻になる。なお、図2(f)には、バッテリーE1 の出力電圧が高い場合と低い場合の2つの立上がり特性が示されている。そして、前記A点電圧は先に説明したようにコンパレータ18に供給され、コンパレータ18からは、結果として図2に(h)として示すパワーFETQ1 の駆動信号が生成される。なお、前記コンパレータ18からは、図2(e)に示すスイッチオンタイミング信号の立下がり時点から、(h)として示すパワーFETQ1 の駆動信号が生成されるようになされている。
【0030】
このパワーFETQ1 の駆動信号としては、バッテリーE1 の出力電圧が高い場合には、図2(h)にダブルハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図2(h)にTon高として示した期間において出力が発生する。また、バッテリーE1 の出力電圧が低い場合には、図2(h)にダブルハッチングとこれに続く通常のハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図2(h)にTon低として示した期間において出力が発生する。
【0031】
この実施の形態によると、前記したように一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号の出力期間、すなわち駆動動作期間が制御される。一方、図2(h)に示すパワーFETQ1 の駆動信号は、前記エラー信号(c)がPSM動作基準電圧よりも高い場合、すなわちコンバータ出力電圧が所定値よりも低い場合において、スイッチ制御回路14によってスイッチ16がオンされ、そのままパワーFETQ1 のスイッチング動作を実行する。
【0032】
また、前記エラー信号(c)がPSM動作基準電圧よりも低い場合、すなわちコンバータ出力電圧が所定値よりも高い場合においては、スイッチ制御回路14はスキップ制御によりスイッチ16をオフするために、そのままパワーFETQ1 への駆動信号の供給は停止される。
【0033】
このようにパワーFETQ1 への駆動信号の間欠的な供給作用により、前記バッテリーE1 より昇圧用コイルL1に蓄積させる電磁エネルギーが制御され、パワーFETQ1 がターンオフした場合におけるコイルL1 に誘起する起電力が調整される。これにより、結果としてコンバータの出力電圧を所定の範囲に維持させるようになされる。
【0034】
また、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧の高低に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動動作期間を制御するようにしているので、前記昇圧用コイルL1およびスイッチング素子としてのパワーFETQ1 に流れるピーク電流を効果的に抑制させることができる。
【0035】
なお、以上説明した第1の実施の形態は、PSM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用しているが、例えばPFM制御を採用した場合においては、図2(c)に示すエラー信号のレベルによって、スイッチオンタイミング信号(e)が周波数変調され、これに基づいて(h)として示すパワーFETQ1 の駆動信号も周波数変調された状態で生成される。
【0036】
この場合においても波形(g)で示すように、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧の高低に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動動作期間(Ton高〜Ton低の期間)を制御するようになされる。したがって、PFM制御を採用した場合においても、図1および図2に基づいて説明した実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
【0037】
次に図3は、この発明にかかるコンバータの第2の実施の形態を示したものであり、前記したPWM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用した例を示すものである。なお、図3においては、すでに説明した図1の構成と同様の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は省略する。
【0038】
この図3に示す実施の形態においては、すでに説明した誤差増幅器12により得られるエラー信号(c)が、PWM回路20に供給されるように構成されている。PWM回路20は、前記エラー信号に基づいてパルス幅変調を実行し、これにより生成される後述するデューティ信号(k)を、ANDゲート21の一方の入力端に供給するように作用する。
【0039】
前記ANDゲート21は、コンパレータ18とパワーFETQ1 のゲートとの間に介在されており、コンパレータ18からもたらされる後述するデューティ制限信号(m)と前記デューティ信号(k)との論理積(AND条件)により得られる駆動信号(h)が、パワーFETQ1 のゲートに供給されるように構成されている。
【0040】
図4は、図3に示すコンバータの動作を説明するものであり、これをタイミングチャートで示している。なお、図4においてはすでに図2に基づいて説明した各信号波形と実質的に同一のものは、同一の符号および名称で示しており、したがってその詳細な説明は省略する。この実施の形態においては、図4に(j)として示すPWM用三角波が利用される。このPWM用三角波(j)は、すでに説明したスイッチオンタイミング信号(e)に同期して生成されるようになされている。
【0041】
そして、PWM用三角波(j)は前記したPWM回路20内において、エラー信号(c)とクロスする時点において立ち上がるデューティ信号(k)を生成するように作用する。なお、このデューティ信号(k)は、次のスイッチオンタイミング信号(e)の発生時点において立ち下がるように制御される。これによりデューティ信号(k)は、結果として、エラー信号(c)のレベルに応じてパルス幅変調を受けた信号波形として生成される。
【0042】
一方、図4に示すデューティ制限信号(m)は、図3に示したコンパレータ18により得られるものであり、これはすでに説明した基準電圧(g)とA点電圧(f)との比較により生成される。ただし、この実施の形態においては、基準電圧(g)のレベルは、図2に示した基準電圧(g)のレベルと若干異なる。要するに、このデューティ制限信号(m)の信号幅は、バッテリーE1 の出力電圧のレベルに応じて制御される。
【0043】
例えば、バッテリーE1 の出力電圧が高い場合には、図4(m)にダブルハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図4(m)にTon高として示した期間において出力が発生する。また、バッテリーE1 の出力電圧が低い場合には、図4(m)にダブルハッチングとこれに続く通常のハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図4(m)にTon低として示した期間において出力が発生する。
【0044】
前記した図4(m)に示すデューティ制限信号と、前記デューティ信号(k)とは、図3に示したANDゲート21において論理積がとられ、その出力が図4(h)に示したようにパワーFETQ1 の駆動信号になされる。すなわち、FETQ1 の駆動信号は、バッテリーE1 の出力電圧が高い場合には、図4(h)にダブルハッチングで示したような出力が得られる。換言すれば、図4(h)にTon高として示した期間において駆動信号が発生し、パワーFETQ1 をオン状態にする。また、バッテリーE1 の出力電圧が低い場合には、図4(h)にダブルハッチングとこれに続く通常のハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図4(h)にTon低として示した期間において駆動信号が発生し、パワーFETQ1 をオン状態にする。
【0045】
以上説明した図3に示す実施の形態においても、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号の出力期間、すなわち駆動動作期間が制御される。これに加えて、コンバータの出力電圧はPWM作用によるフィードバック動作により安定化が図られる。したがって、図3および図4に基づく実施の形態においても、先に説明した図1に示す実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
図5は、この発明にかかるコンバータの第3の実施の形態を示したものであり、PSM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用したものである。なお、図5においては、すでに説明した図1の構成と同様の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は省略する。
【0047】
この図5に示す実施の形態においては、バッテリーE1 の出力電圧を計測する手段として、抵抗素子R3 とR4 による分圧回路が利用されている。すなわち、抵抗素子R3 とR4 による分圧回路により得られる分圧電圧(B点電圧)が、コンパレータ18の一方の入力端子(反転入力端子)に供給されるように構成されている。また、コンパレータ18の他方の入力端子(非反転入力端子)には、基準波形発生回路23より、後で詳細に説明する基準波形としての三角波(p)が供給されるように構成されている。そして、図5における他の構成においては、すでに説明した図1に示す構成とほぼ同様になされている。
【0048】
図5に示した構成によると、前記コンパレータ18はB点電圧に対して、基準波形発生回路23からもたらされる基準三角波(p)のレベルが高い場合において、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号(h)を出力するように作用する。それ故、図5に示す抵抗素子R3 ,R4 とコンパレータ18により、バッテリーE1 の電圧を検証するように機能するものであり、これを便宜上、一次側電源電圧取得手段と呼ぶことができる。また、コンパレータ18と基準波形発生回路23により、B点電圧に基づいてパワーFETQ1 の駆動動作期間(オン時間)を制御するように機能するものであり、これを便宜上、スイッチング素子の駆動動作期間制御手段と呼ぶことができる。
【0049】
図6は、図5に示すコンバータの動作を説明するものであり、これをタイミングチャートで示している。なお、図6においてはすでに図2に基づいて説明した各信号波形と実質的に同一のものは、同一の符号および名称で示しており、したがってその詳細な説明は省略する。この実施の形態においては、すでに説明したとおり、基準クロック(a)に基づいて生成されるPSM基準クロック(b)に同期する基準三角波(p)が利用される。すなわち、前記基準三角波(p)はこの実施の形態においては、PSM基準クロック(b)の立下がり時点において立ち上がり、次のPSM基準クロックの立ち上がり時点に至るまで、出力レベルが除々に低下するようにスイープされる。
【0050】
一方、図6に示す(n)は前記したB点電圧の二つのレベルを示しており、BH はバッテリーE1 の出力電圧が高い場合のレベルを、またBL はバッテリーE1 の出力電圧が低い場合のレベルを示している。したがって、前記コンパレータ18からは、バッテリーE1 の出力電圧に応じた幅のパワーFETQ1 の駆動信号(h)が生成される。
【0051】
この駆動信号(h)は、図2に基づいて説明した例と同様に、バッテリーE1 の出力電圧が高い場合には、図6(h)にダブルハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図6(h)にTon高として示した期間において出力が発生する。また、バッテリーE1 の出力電圧が低い場合には、図6(h)にダブルハッチングとこれに続く通常のハッチングで示したような出力が得られる。すなわち、図6(h)にTon低として示した期間において出力が発生する。
【0052】
したがって、この実施の形態においても、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号の出力期間、すなわち駆動動作期間が制御される。また、すでに説明したPSM動作により、パワーFETQ1 への駆動信号の間欠的な供給作用が実行され、結果としてコンバータの出力電圧を所定の範囲に維持させるようになされる。それ故、図5に示した実施の形態においても、先に説明した各実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
加えて、この実施の形態によると、バッテリーE1 の出力電圧を抵抗素子R3 およびR4 によって分圧した状態でコンパレータ18に取り込むようになされている。したがって、コンパレータ18を含む主要制御回路がたとえIC化され、その耐圧がバッテリーの電圧よりも低い場合であっても、当該IC回路を破壊するなどの問題の発生を防止することができる。
【0054】
なお、以上説明した図5に示す実施の形態も、図1に示す形態と同様にPSM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用しているが、これをPFM制御に変えても、前記と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
図7は、この発明にかかるコンバータの第4の実施の形態を示したものであり、PWM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用したものである。なお、図7においては、すでに説明した図3および図5に示す構成において同様の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがって、その詳細な説明は省略する。
【0056】
この図7に示す実施の形態においては、バッテリーE1 の出力電圧を計測する手段として、図5に示す例と同様に抵抗素子R3 とR4 による分圧回路が利用されている。すなわち、抵抗素子R3 とR4 による分圧回路により得られる分圧電圧(B点電圧)が、コンパレータ18の一方の入力端子(反転入力端子)に供給されるように構成されている。また、コンパレータ18の他方の入力端子(非反転入力端子)には、基準波形発生回路25より、後で詳細に説明する基準波形としてのデューティ制限用三角波(q)が供給されるように構成されている。
【0057】
一方、コンパレータ18から後に続く回路構成においては、すでに説明した図3に示す構成と同様になされ、PWM制御による出力電圧の安定化手段を採用している。
【0058】
図8は、図7に示すコンバータの動作を説明するものであり、これをタイミングチャートで示している。なお、図8においてはすでに図4に基づいて説明した各信号波形と実質的に同一のものは、同一の符号および名称で示しており、したがってその詳細な説明は省略する。この実施の形態においては、コンパレータ18の非反転入力端子に、基準波形発生回路25よりデューティ制限用三角波(q)が供給される。このデューティ制限用三角波(q)は、PWM用三角波(j)と同様のものであり、したがって、この実施の形態においては、両者を共用することもできる。
【0059】
前記デューティ制限用三角波(q)は、図6において説明した基準三角波(p)と同様の作用をもたらすために利用されるものである。すなわち、このデューティ制限用三角波(q)は、図7に示すコンパレータ18の一方の入力端子に供給されて、バッテリーE1 の出力電圧に対応するB点電圧と比較される。その結果、コンパレータ18よりデューティ制限信号(m)を得ることができる。これは、すでに説明した図4に示すデューティ制限信号(m)と同様のものである。
【0060】
そして、図7に示す実施の形態においても、図3に示す例と同様にANDゲート21により、デューティ制限信号(m)とデューティ信号(k)との論理積がとられ、図8(h)に示すようなパワーFET駆動信号が生成される。
【0061】
したがって、この実施の形態においても、一次側電源であるバッテリーE1 の出力電圧に応じて、パワーFETQ1 をオン動作させる駆動信号の出力期間、すなわち駆動動作期間が制御される。また、すでに説明したPWM動作により、パワーFETQ1 への駆動信号の継続時間が調整され、結果としてコンバータの出力電圧を所定の範囲に維持させるようになされる。それ故、図7に示した実施の形態においても、先に説明した各実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
加えて、図7に示した実施の形態においても、バッテリーE1 の出力電圧を抵抗素子R3 およびR4 によって分圧した状態でコンパレータ18に取り込むようになされるので、コンパレータ18を含む主要制御回路がたとえIC化され、その耐圧がバッテリーの電圧よりも低い場合であっても、当該IC回路を破壊するなどの問題の発生を防止することができる。
【0063】
次に図9は、前記したコンパレータ18を含む主要制御回路がIC化され、その耐圧がバッテリーの電圧よりも低い場合において利用される他の回路例を示すものである。すなわち、図9に示す例は、たとえば図1および図3に示す実施の形態において、その一部を図9に示す構成に入れ替えることにより好適に採用することができる。
【0064】
この図9に示す構成によると、バッテリーE1 の出力電圧は、例えばツェナーダイオードで代表される定電圧素子ZD1、抵抗素子R3 、コンデンサC2 からなる直列回路に印加される。そして、コンデンサC2 の端子電圧であるA点電圧の立上がり波形を利用して、バッテリーE1 の出力電圧値を測定するようになされる。
【0065】
図9に示す構成によると、ツェナーダイオードで代表される定電圧素子ZD1による所定の電圧降下分により、たとえトランジスタQ2 が開放(オフ)状態になされても、コンデンサC2 の端子電圧であるA点電圧は、一定の電圧以上に上昇することはない。したがって、コンパレータ18を含む主要回路に、これらの耐圧を超えるバッテリーからの電圧が印加されるのを未然に防ぐことができる。
【0066】
なお、以上説明した実施の形態においては、PSM(PFM)およびPWM制御によるチョッパー型昇圧形式を採用したコンバータを例示しているが、降圧型、反転型、さらにはスイッチング素子がオフ状態でエネルギーが伝達されるフライバック方式のDC−DCコンバータにも、この発明を採用することができる。
【0067】
加えて、前記した実施の形態においては、コイルによる出力をダイオードを介して出力端子に導出するようにしているが、ダイオードに代えてトランジスタなどのスイッチング素子を用い、スイッチング素子によりオン・オフのタイミングを制御するいわゆる同期整流方式に、この発明を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるDC−DCコンバータの第1の実施の形態を示したブロック図である。
【図2】図1に示すコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】同じく第2の実施の形態を示したブロック図である。
【図4】図3に示すコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】同じく第3の実施の形態を示したブロック図である。
【図6】図5に示すコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】同じく第4の実施の形態を示したブロック図である。
【図8】図7に示すコンバータの動作を説明するタイミングチャートである。
【図9】この発明にかかるDC−DCコンバータに好適に採用し得る構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
11 分圧回路
12 誤差増幅器
13 基準電圧源
14 スイッチ制御回路
15 PSM基準クロック発生回路
16 スイッチ
17 スイッチオンタイミング信号生成回路
18 コンパレータ
19 基準電圧源
20 PWM回路
21 ANDゲート
23,25 基準波形発生回路
C1 ,C2 コンデンサ
D1 ,D2 ダイオード
E1 バッテリー(一次側電源)
L1 昇圧用コイル
Q1 スイッチング素子
R1 〜R4 抵抗素子
Vin 電源入力端子
Vout 出力端子

Claims (9)

  1. コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するDC−DCコンバータであって、
    前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値を取得する一次側電源電圧取得手段と、前記一次側電源電圧取得手段により得られる電圧情報に基づいて、前記スイッチング素子の駆動動作期間を制御する駆動動作期間制御手段とを具備したことを特徴とするDC−DCコンバータ。
  2. 前記一次側電源電圧取得手段には、一次側電源に対して直列接続された抵抗素子とコンデンサを含み、前記抵抗素子を介してコンデンサに充電される充電電圧に基づいて、一次側電源の電圧情報を得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  3. 前記一次側電源電圧取得手段には、一次側電源に対して直列接続された定電圧素子と抵抗素子とコンデンサを含み、前記定電圧素子と抵抗素子を介してコンデンサに充電される充電電圧に基づいて、一次側電源の電圧情報を得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  4. 前記一次側電源電圧取得手段には、前記コンデンサの両端を周期的に短絡するシャントスイッチが具備され、前記シャントスイッチの開放後からコンデンサに充電される充電電圧が所定の値に達するまでの時間に応じて、一次側電源の電圧情報を得るように構成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のDC−DCコンバータ。
  5. 前記一次側電源電圧取得手段には、一次側電源に対して直列接続された少なくとも2つ以上の抵抗素子を含み、前記抵抗素子による分圧出力に基づいて、一次側電源の電圧情報を得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  6. 前記一次側電源電圧取得手段は、前記抵抗素子による分圧出力と、動作クロック信号に同期して生成される基準波形の電位とを比較することで、一次側電源の電圧情報を得るように構成したことを特徴とする請求項5に記載のDC−DCコンバータ。
  7. コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するPFM方式またはPSM方式を採用したDC−DCコンバータの駆動制御方法であって、
    前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値が高レベルの場合には、前記PFM方式またはPSM方式により生成される前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を短く、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値が低いレベルの場合には、前記PFM方式またはPSM方式により生成される前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を長くするように制御することを特徴とするDC−DCコンバータの駆動制御方法。
  8. コンバータの出力電圧値を取得して、当該出力電圧値に基づいてスイッチング素子のスイッチング動作を制御し、前記出力電圧値を所定の範囲に制御するPWM方式を採用したDC−DCコンバータの駆動制御方法であって、
    前記PWM方式により生成される前記スイッチング素子の駆動信号と、前記コンバータに加わる一次側電源の電圧値に応じて継続期間が制御されるデューティ制限信号との論理積により、前記スイッチング素子に与える駆動信号の動作期間を制御することを特徴とするDC−DCコンバータの駆動制御方法。
  9. 前記デューティ制限信号の継続期間が、前記一次側電源の電圧値が高レベルの場合には短く、前記一次側電源の電圧値が低レベルの場合には長くなるように制御されることを特徴とする請求項8に記載のDC−DCコンバータの駆動制御方法。
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