JP2004274288A - 直交変調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直交変調回路4によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成する直交変調装置で、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する。
【解決手段】位相誤差検出回路11は、直交復調回路9により生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから(Ir2+Qr2)値を生成し、直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1、3象限に位置する場合と第2、4象限に位置する場合とで正負が反転した極性を(Ir2+Qr2)値に与え、この値を加算し、当該加算結果に所定の値Aを乗算して位相誤差情報を生成する。位相誤差補正回路2は、I情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報を補正後の一方の情報とし、一方の情報と位相誤差情報との乗算結果を他方の情報と加算した結果を補正後の他方の情報とする。
【選択図】 図1
【解決手段】位相誤差検出回路11は、直交復調回路9により生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから(Ir2+Qr2)値を生成し、直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1、3象限に位置する場合と第2、4象限に位置する場合とで正負が反転した極性を(Ir2+Qr2)値に与え、この値を加算し、当該加算結果に所定の値Aを乗算して位相誤差情報を生成する。位相誤差補正回路2は、I情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報を補正後の一方の情報とし、一方の情報と位相誤差情報との乗算結果を他方の情報と加算した結果を補正後の他方の情報とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成する直交変調装置に関し、特に、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する直交変調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、無線により信号を通信する無線通信装置では、送信対象となる情報から直交変調回路により直交変調信号を生成して送信することや、受信した直交変調信号から直交復調回路により元の情報を生成することが行われている。
このような直交変調や直交復調を行う方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式や、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などが用いられている。
【0003】
図6には、直交変調回路の一構成例を示してある。
直交変調の対象となる情報は、I相成分の情報(I情報)とQ相成分の情報(Q情報)から構成される。
同図に示した直交変調回路では、直交変調対象となる情報を構成するI情報の信号(I信号)が一方の周波数ミキサ83に入力されるとともに、当該直交変調対象となる情報を構成するQ情報の信号(Q信号)が他方の周波数ミキサ84に入力される。
【0004】
また、当該直交変調回路では、発振器81から発振される所定の信号が位相シフタ82により90°(度)の位相変化を受けて一方の周波数ミキサ83のローカルポートに入力されるとともに、当該所定の信号が位相シフタ82を介して位相の変化が0°で(つまり、位相が変化せずに)他方の周波数ミキサ84のローカルポートに入力される。ここで、所定の信号としては例えば正弦波sin(ω・t)から成る信号が用いられ、この場合、当該所定の信号が90°の位相変化を受けると余弦波cos(ω・t)=sin(ω・t+90°)から成る信号となる。
【0005】
また、当該直交変調回路では、I信号と90°移相された所定の信号とが一方の周波数ミキサ83により混合されるとともに、Q信号と所定の信号とが他方の周波数ミキサ84により混合される。
そして、当該直交変調回路では、一方の周波数ミキサ83による混合結果と他方の周波数ミキサ84による混合結果とが結合器85により合成され、当該合成結果が直交変調信号として出力される。
【0006】
しかしながら、上記のような直交変調回路では、I相成分に対応するローカル周波数信号の位相とQ相成分に対応するローカル周波数信号の位相との差を広帯域にわたって正確に90°にすることが困難であり、具体的には、上記図6に示した例では、発振器81から位相シフタ82を介して一方の周波数ミキサ83に入力される信号の位相と他方の周波数ミキサ84に入力される信号の位相との差を広帯域にわたって正確に90°にすることが困難である。
【0007】
そして、このような90°の位相差について誤差(位相誤差)が発生する場合には、直交変調回路により生成される直交変調信号においてI相成分とQ相成分との直交性が崩れてしまい、これにより、例えば、直交変調信号の精度が劣化してしまい、広帯域にわたって直交変調方式を精度よく使用することができないといった問題があった。このため、広帯域の周波数に対応した直交変調回路を実現することは困難なことであった。
【0008】
ここで、図7には、上記のような位相誤差が少ない場合における直交変調信号のスペクトラムの様子の一例を示してある。
同図に示されるように、上記のような位相誤差が少ない場合には、希望波信号についてのイメージ信号との比として30〜40dB程度得られて、良好である。
【0009】
一方、図8には、上記のような位相誤差が多い場合における直交変調信号のスペクトラムの様子の一例を示してある。
同図に示されるように、上記のような位相誤差が多い場合には、希望波信号についてのイメージ信号との比として10〜20dB程度しか得られず、直交変調信号の精度が悪いため、受信側では受信したときに軽減不可能なエラーが発生する。
なお、上記図7の例及び上記図8の例では、I相信号としては正弦波信号を入力しており、Q相信号としては余弦波信号を入力している。
【0010】
次に、上記のような直交変調における位相誤差を補正することに関して、従来技術の例を示す。
一例として、従来では、直交変調器により入力変調信号に対して直交変調を行うに際して、直交変調された信号を帰還させて直交復調し、直交復調された信号と入力変調信号とを比較して直交変調誤差を検出し、検出される直交変調誤差に基づいて入力変調信号に対して補正を行うことが為されていた(例えば、特許文献1参照。)。
他の例として、従来では、デジタル無線装置において、ベースバンド変調信号に対して直交変調を行うアナログ直交変調器における直交誤差を検出し、検出される直交誤差に基づいてベースバンド変調信号に対して直交誤差を打ち消すための補償を行うことが為されていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−339452号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例で示したように、従来の直交変調回路では、直交変調信号のI相成分とQ相成分との直交性(90°の位相差)について誤差(位相誤差)が発生してしまい、精度のよい直交変調を実現することができないといった問題があった。また、このような問題は、特に、高い無線周波数で、広帯域にわたって直交変調を行うような場合に、顕著であった。
【0013】
具体的には、一例として、ソフトウエア無線機などでは、例えば3GHz以上などの高い周波数帯である無線周波数帯を使用する無線機が用いられており、このような無線機では、直交変調誤差(位相誤差)が大きな問題となり、I相成分とQ相成分との直交性が崩れると、広帯域な直交変調が不可能となってしまう。
【0014】
なお、例えば、PDC(Personal Digital Cellular)やPHS(Personal Handyphone System)などにおいても直交変調が行われるところ、これらの周波数帯に関しては、既にIC(Integrated Circuit)が市販されており、直交変調誤差(位相誤差)が大きな問題となることは少ないと考えられるが、このようなシステムに後述する本発明が適用されても構わない。
【0015】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、直交変調信号における位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる直交変調装置を提供することを目的とする。
【0016】
なお、上記従来例に示したように、従来においても、上記のような位相誤差を補正することに関して検討が為されていたが、未だに十分な検討が完了したとは言えず、本発明では、上記のような位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正するための新たな構成を提供し、例えば、実用上で有効な構成により精度のよい直交変調を実現することに貢献する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る直交変調装置では、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成するに際して、次のような構成により、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する。
すなわち、本発明に係る直交変調装置では、位相誤差検出回路と、位相誤差補正回路を備える。
位相誤差検出回路は、直交変調回路により生成される直交変調信号に発生する位相誤差に関する情報を検出する。
位相誤差補正回路は、位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報に基づいて、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqに対して補正を行う。
【0018】
また、位相誤差検出回路は、2乗和値生成回路と、正負反転極性付与回路と、加算回路と、所定値乗算回路を用いて構成される。
2乗和値生成回路は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから、(Ir2+Qr2)値を生成する。
正負反転極性付与回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合と第2象限或いは第4象限に位置する場合とで、互いに正負(±)が反転した極性を、2乗和値生成回路により生成される(Ir2+Qr2)値に対して与える。
【0019】
加算回路は、正負反転極性付与回路により生成される値を加算する。なお、当該値は、例えば、+(Ir2+Qr2)又は−(Ir2+Qr2)や、この定数倍の値などとなる。
所定値乗算回路は、加算回路により生成される値に対して所定の値Aを乗算する。なお、加算回路により生成される値は、例えば、正負反転極性付与回路により生成される値を累積的に積分した結果となる。
そして、位相誤差検出回路は、所定値乗算回路により生成される値を、位相誤差に関する情報として検出する。
【0020】
また、位相誤差補正回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)を補正後の一方の情報(補正後のQ情報Dqc、又は、補正後のI情報Dic)とするとともに、一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算した結果を他方の情報(I情報Di、又は、Q情報Dq)と加算した結果を補正後の他方の情報(補正後のI情報Dic、又は、補正後のQ情報Dqc)とする。
【0021】
このような構成を有する本発明に係る直交変調装置では、直交変調信号に発生する位相誤差を補正することができる。
従って、上記のような簡易で実用的な構成により、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる。また、本発明では、例えば高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、有効に、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正することができる。
【0022】
ここで、直交変調や直交復調の方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、QPSK方式や、16QAMや32QAMや64QAMなどのQAM方式などを用いることができる。
また、直交変調の対象となる情報としては、例えば、送信対象となる情報が用いられる。この場合、当該情報は、I相成分の情報(I情報)とQ相成分の情報(Q情報)から構成される。
【0023】
また、直交変調信号に発生する位相誤差としては、直交変調信号のI相成分とQ相成分との直交状態(位相差が90°である状態)からの位相のずれが発生する。
また、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標は、例えば、I情報の座標値>0且つQ情報の座標値>0である場合には第1象限に位置し、I情報の座標値<0且つQ情報の座標値<0である場合には第3象限に位置し、I情報の座標値<0且つQ情報の座標値>0である場合には第2象限に位置し、I情報の座標値>0且つQ情報の座標値<0である場合には第4象限に位置する。
【0024】
なお、例えば、I情報の座標値=0である場合や、Q情報の座標値=0である場合が発生するようなときには、このような場合における(I情報、Q情報)の座標がいずれの象限に位置するかについては、任意に設定されてもよい。
また、所定の値Aとしては、種々な値が用いられてもよく、例えば、固定的に設定される一定の値が用いられてもよく、或いは、可変に制御することが可能な値が用いられてもよい。
【0025】
また、直交変調装置としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、直交変調回路や、直交復調回路としては、種々な構成のものが用いられてもよく、例えば、直交変調回路と直交復調回路とは互いに対応するものが用いられる。
また、位相誤差検出回路や、位相誤差補正回路としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、2乗和値生成回路や、正負反転極性付与回路や、加算回路や、所定値乗算回路としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
【0026】
一構成例として、本発明に係る直交変調装置では、次のような構成とした。
すなわち、直交変調回路は、アナログの直交変調回路であり、また、直交復調回路は、デジタルの直交復調回路である。
また、位相誤差検出回路の2乗和値生成回路は、2つの乗算器(第1の乗算器、第2の乗算器)と、加算器(第1の加算器)から構成される。
第1の乗算器は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Irから(Ir2)値を生成する。
第2の乗算器は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のQ情報Qrから(Qr2)値を生成する。
第1の加算器は、第1の乗算器により生成される(Ir2)値と第2の乗算器により生成される(Qr2)値とを加算して、(Ir2+Qr2)値を生成する。
【0027】
位相誤差検出回路の正負反転極性付与回路は、XOR(Exclusive OR)と、値変換器と、乗算器(第3の乗算器)から構成される。
XORは、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqからXOR値(排他的論理和)を生成する。
値変換器は、XORにより生成されるXOR値が0値であるか或いは1値であるかに応じて、互いに正負が反転して絶対値が1である値を出力する。なお、当該値は、+1又は−1となる。
第3の乗算器は、値変換器から出力される値と2乗和値生成回路の第1の加算器により生成される(Ir2+Qr2)値とを乗算する。
【0028】
位相誤差検出回路の加算回路は、加算器(第2の加算器)と、フリップフロップから構成される。
第2の加算器は、正負反転極性付与回路の第3の乗算器により生成される値と外部からの入力値とを加算する。
フリップフロップは、第2の加算器により生成される値を、当該第2の加算器に対して当該外部からの入力値として、出力する。なお、フリップフロップは、例えば、第2の加算器による加算のタイミングを確保するために、第2の加算器により生成される値を、時間的に遅延させて、当該第2の加算器に対して出力する。
【0029】
位相誤差検出回路の所定値乗算回路は、乗算器(第4の乗算器)から構成される。
第4の乗算器は、加算回路のフリップフロップから出力される値に対して所定の値Aを乗算する。
【0030】
位相誤差補正回路は、乗算器(第5の乗算器)と、加算器(第3の加算器)から構成される。
第5の乗算器は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算する。
第3の加算器は、第5の乗算器により生成される値と他方の情報(I情報Di、又は、Q情報Dq)とを加算する。当該加算結果は、補正後の他方の情報(補正後のI情報Dic、又は、補正後のQ情報Dqc)となる。
また、補正後の一方の信号(補正後のQ情報Dqc、又は、補正後のI情報Dic)としては、一方の信号(Q情報Dq、又は、I情報Di)がそのまま用いられる。
【0031】
ここで、本構成例では、例えば、アナログの直交変調回路により直交変調を行う対象となるデジタル信号のI情報及びQ情報をアナログ信号へ変換するためのD/A(Digital to Analog)変換器が備えられる。
また、本構成例では、例えば、デジタルの直交復調回路により直交復調を行う対象となるアナログ信号の直交変調信号をデジタル信号のI情報及びQ情報へ変換するためのA/D(Analog to Digital)変換器が備えられる。
【0032】
また、XORは、一例として、I情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR値=0値を生成し、当該座標が第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR値=1値を生成する。又は、他の例として、XORは、I情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR値=1値を生成し、当該座標が第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR値=0値を生成する。
【0033】
なお、XORは、一般に、入力される2つの信号値がそれぞれハイ(H)状態とロウ(L)状態のいずれかとなるときを例とすると、入力される2つの信号値が(H、H)や(L、L)である場合にはXOR値=0値を出力し、入力される2つの信号値が(H、L)や(L、H)である場合にはXOR値=1値を出力する。
【0034】
また、値変換器は、一例として、XORにより生成されるXOR値が0値である場合には+1の値を出力し、当該XOR値が1値である場合には−1の値を出力する。又は、他の例として、値変換器は、XORにより生成されるXOR値が0値である場合には−1の値を出力し、当該XOR値が1値である場合には+1の値を出力する。
【0035】
また、本発明に係る直交変調装置は、例えば、有線或いは無線の通信装置や、送信機や、送受信機などに設けられ、送信対象となる情報に対して直交変調回路により直交変調を行い、これに際して、直交変調信号に発生する位相誤差に関する情報を位相誤差検出回路により検出して、当該位相誤差を位相誤差補正回路により補正する。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
本例では、本発明に係る直交変調装置を無線送信機に適用した場合を示し、高周波数である無線周波数(RF:Radio Frequency)帯の信号を広帯域にわたって直交変調する場合を示す。
【0037】
図1には、本例の直交変調装置の一構成例を示してある。
本例の直交変調装置には、直交信号発生回路1と、位相誤差補正回路2と、D/A変換器3と、アナログの直交変調回路4と、結合器5と、遅延補正回路6と、ダウンコンバート部7と、A/D変換器8と、デジタルの直交復調回路9と、サンプリング回路10と、位相誤差検出回路11が備えられている。
【0038】
直交信号発生回路1は、送信対象となる情報に応じて、システムにおいて使用されるQPSKなどの直交変調方式に適した信号として送信I情報Di及び送信Q情報Dqを生成し、生成した送信I情報Di及び送信Q情報Dqを位相誤差補正回路2及び遅延補正回路6へ出力する。
また、直交信号発生回路1は、送信I情報Di及び送信Q情報Dqについて、送信のタイミングを示す信号(送信タイミング信号)を遅延補正回路6へ出力する。
【0039】
位相誤差補正回路2は、位相誤差検出回路11から入力される直交変調信号における位相誤差に関する情報(位相誤差情報)に基づいて、直交信号発生回路1から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqに対して位相誤差の補正を行い、これにより得られる補正後の送信I情報Dic及び補正後の送信Q情報DqcをD/A変換器3へ出力する。
【0040】
D/A変換器3は、位相誤差補正回路2から入力される補正後の送信I情報Dic及び補正後の送信Q情報Dqcを、デジタル信号からアナログ信号へ変換して、直交変調回路4へ出力する。
直交変調回路4は、D/A変換器3から入力されるアナログ信号をアナログ直交変調し、これにより得られるアナログ直交変調信号を結合器5へ出力する。なお、本例では、無線周波数帯の信号に対してアナログ直交変調が行われる。
【0041】
結合器5は、直交変調回路4から出力されるアナログ直交変調信号の一部を取り出してダウンコンバート部7へ出力する。なお、当該アナログ直交変調信号の他の部分は、本例の直交変調装置から出力されて、例えば、アンテナ(図示せず)から無線により送信される。
【0042】
ダウンコンバート部7は、結合器5から入力されるアナログ直交変調信号を、無線周波数帯の信号からデジタル直交復調が可能な中間周波数(IF:Intermediate Frequency)帯の信号へ周波数変換して、A/D変換器8へ出力する。A/D変換器8は、ダウンコンバート部7から入力される中間周波数帯のアナログ直交変調信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して、直交復調回路9へ出力する。
【0043】
直交復調回路9は、A/D変換器8から入力されるデジタル信号をデジタル直交復調し、これにより得られる直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrをサンプリング回路10へ出力する。ここで、直交復調回路9では、デジタル直交復調が行われることから、位相誤差は発生せず、理想的な直交復調が実現される。
【0044】
遅延補正回路6は、直交信号発生回路1から入力される送信タイミング信号について、送信タイミングの時間ずれを補正する機能を有しており、当該補正後の送信タイミング信号をサンプリング回路10へ出力する。
また、遅延補正回路6は、例えば送信タイミング信号と同期したタイミングで、直交信号発生回路1から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqを位相誤差検出回路11へ出力する。
【0045】
サンプリング回路10は、遅延補正回路6から入力される送信タイミング信号に応じたタイミングで、この一例として遅延補正回路6から送信タイミング信号が入力されるタイミングと同一のタイミングで、直交復調回路9から入力される直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrをサンプリングして、当該サンプリング結果を位相誤差検出回路11へ出力する。
【0046】
位相誤差検出回路11は、サンプリング回路10からサンプリング結果として入力される直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrと、遅延補正回路6から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqに基づいて、直交変調信号における位相誤差に関する情報(位相誤差情報)を検出し、当該検出した位相誤差情報を位相誤差補正回路2へ出力する。
【0047】
次に、図5(a)、(b)、(c)を参照して、本例において直交変調回路4により生成される直交変調信号に発生する位相誤差を補正する処理の原理を説明する。
本例では、直交変調回路による処理を数式により表す場合における一般的な方法として、I相成分に対応するローカル周波数信号をcos(ω・t)で表し、Q相成分に対応するローカル周波数信号をsin(ω・t)で表す。
なお、ωは角周波数を表し、tは時刻を表す。
【0048】
まず、理想的な直交変調回路によりI情報Diの信号及びQ情報Dqの信号から直交変調波(直交変調信号)Sc(t)が生成される場合には、当該理想的な直交変調波Sc(t)は式1により表される。
【0049】
【数1】
【0050】
一方、図5(a)には、Q相成分のローカル周波数信号sin(ω・t)にΔθの位相誤差が発生する直交変調回路46の一例を示してある。
当該直交変調回路46では、発振器41から発振されるI相成分のローカル周波数信号cos(ω・t)とI情報Diの信号とがミキサ42により混合されるとともに、発振器41から発振されるI相成分のローカル周波数信号cos(ω・t)が位相シフタ43により(90°+Δθ)だけ移相されて生成されるQ相成分のローカル周波数信号sin(ω・t+Δθ)とQ情報Dqの信号とがミキサ44により混合され、これらの混合結果が加算器(結合器)45により合成されて、直交変調波S(t)が生成される。
【0051】
このような位相誤差が存在する場合における直交変調波S(t)は式2により表される。
【0052】
【数2】
【0053】
また、sin(ω・t+Δθ)=sin(ω・t)・cos(Δθ)+cos(ω・t)・sin(Δθ)となることから、上記式2は式3のように変形される。
【0054】
【数3】
【0055】
図5(b)には、上記図5(a)に示した回路と等価な回路として、理想的な直交変調回路59の一例と、上記図5(a)において直交変調信号に発生する位相誤差をベースバンドのものへ変換した位相誤差を発生する回路(位相誤差発生回路)60の一例を示してある。
ここで、当該直交変調回路59では、発振器54と2つのミキサ55、57と位相シフタ56と加算器58により、上記式1に示したのと同様に、理想的な直交変調が行われる。
【0056】
また、当該直交変調回路59の前段に位置する当該位相誤差発生回路60では、Q情報Dqの信号とsin(Δθ)の信号とを乗算器51により乗算して当該乗算結果とI情報Diの信号とを加算器52により加算した結果{Di+Dq・sin(Δθ)}が、位相誤差の成分が付与されたI情報Diiの信号として直交変調回路59へ出力され、また、Q情報Dqの信号とcos(Δθ)の信号とを乗算器53により乗算した結果{Dq・cos(Δθ)}が、位相誤差の成分が付与されたQ情報Dqqの信号として直交変調回路59へ出力される。この場合、直交変調回路59では、入力されるI情報Diiの信号及びQ情報Dqqの信号から、上記式3に示したのと同様な直交変調波S(t)が生成される。
【0057】
図5(c)には、上記図5(b)に示したのと同様に、理想的な直交変調回路73の一例と、ベースバンドに変換した位相誤差を発生する回路(位相誤差発生回路)74の一例を示してあるとともに、位相誤差を補正する回路(位相誤差補正回路)72の一例を示してある。
【0058】
ここで、当該直交変調回路73では、発振器67と2つのミキサ68、70と位相シフタ69と加算器71により、上記式1に示したのと同様に、理想的な直交変調が行われる。
また、当該位相誤差発生回路74では、2つの乗算器64、66と加算器65により、上記図5(b)に示した位相誤差発生回路60と同様に、位相誤差を発生する。
【0059】
また、当該位相誤差発生回路74の前段に位置する当該位相誤差補正回路72では、Q情報Dqの信号と{−sin(Δθ)/cos(Δθ)}の信号とを乗算器61により乗算して当該乗算結果とI情報Diの信号とを加算器62により加算した結果{Di−Dq・sin(Δθ)/cos(Δθ)}が、補正後のI情報Dicの信号として位相誤差発生回路74へ出力され、また、Q情報Dqの信号と{1/cos(Δθ)}の信号とを乗算器63により乗算した結果{Dq/cos(Δθ)}が、補正後のQ情報Dqcとして位相誤差発生回路74へ出力される。
【0060】
この場合、位相誤差発生回路74では、入力される補正後のI情報Dicの信号及び補正後のQ情報Dqcの信号から、補正後であって且つ位相誤差が発生したI情報Diiiの信号として元のI情報Diと等しい情報の信号が生成されて直交変調回路73へ出力されるとともに、補正後であって且つ位相誤差が発生したQ情報Dqqqの信号として元のQ情報Dqと等しい情報の信号が生成されて直交変調回路73へ出力される。
そして、直交変調回路73では、入力されるI情報Diiiの信号及びQ情報Dqqqの信号から、上記式1に示したのと同様に、位相誤差の無い理想的な直交変調波Sc(t)が生成される。
【0061】
また、ここでは、厳密な数式の計算に基づく理想的な位相誤差の補正処理を示したが、実用上では、例えば、位相のずれΔθの値が小さい場合には、cos(Δθ)はおよそ1となる(cos(Δθ)〜1)ため、位相誤差補正回路72による補正後のI情報Dic=Di−Dq・sin(Δθ)となるとともに、位相誤差補正回路72による補正後のQ情報Dqc=Dqとなるような回路構成を用いることも可能である。本例では、当該回路構成を用いて、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する。
【0062】
次に、位相誤差検出回路11及び位相誤差補正回路2について詳しく説明する。
まず、アナログの直交変調回路4により生成される直交変調波S(t)に発生する位相誤差が正確に補正されておらず、Δθの位相誤差が存在する場合には、送信I情報Di及び送信Q情報Dqに対して、上記式3に示したような直交変調波S(t)が生成される。そして、この場合には、当該直交変調波S(t)がデジタルの直交復調回路9により直交復調されると、直交復調後のI情報Ir=Di+Dq・sin(Δθ)及び直交復調後のQ情報Qr=Dq・cos(Δθ)が得られる。また、本例では、Δθの値が小さくcos(Δθ)〜1であるとして、直交復調後のQ情報Qr=Dqであるとみなす。
【0063】
図2には、位相誤差検出回路11の構成例を示してある。
本例の位相誤差検出回路11には、2つの乗算器(第1の乗算器、第2の乗算器)21、22と、加算器(第1の加算器)23と、XOR24と、値変換器25と、乗算器(第3の乗算器)26と、積分器30を構成する加算器(第2の加算器)27及びD型のフリップフロップ28と、乗算器(第4の乗算器)29が備えられている。
【0064】
また、本例の位相誤差検出回路11では、直交変調回路9による直交変調後のI情報Irの信号がサンプリング回路10を介して第1の乗算器21の2つの入力端に入力され、直交変調回路9による直交変調後のQ情報Qrの信号がサンプリング回路10を介して第2の乗算器22の2つの入力端に入力され、送信I情報Diの信号が直交信号発生回路1から遅延補正回路6を介してXOR24の一方の入力端に入力され、送信Q情報Dqの信号が直交信号発生回路1から遅延補正回路6を介してXOR24の他方の入力端に入力される。
【0065】
第1の乗算器21は、2つの入力端から入力されるI情報Irの信号を乗算し、当該乗算結果である(Ir2)値の信号を第1の加算器23へ出力する。
第2の乗算器22は、2つの入力端から入力されるQ情報Qrの信号を乗算し、当該乗算結果である(Qr2)値の信号を第1の加算器23へ出力する。
【0066】
第1の加算器23は、第1の乗算器21から入力される信号と第2の乗算器22から入力される信号とを加算し、当該加算結果である(Ir2+Qr2)値の信号を第3の乗算器26へ出力する。
ここで、当該(Ir2+Qr2)値は、I−Q平面において、直交復調後のシンボル点の座標(Ir、Qr)と原点(0、0)との距離の2乗値に相当する。
【0067】
XOR24は、2つの入力端の一方から送信I情報Diの信号を入力するとともに他方から送信Q情報Dqの信号を入力し、これら2つの入力信号の値Di、Dqに基づくXOR値である0値又は1値の信号を値変換器25へ出力する。一例として、XOR24は、送信I情報Di=+1であり且つ送信Q情報Dq=+1である場合や送信I情報Di=−1であり且つ送信Q情報Dq=−1である場合にXOR値として0値を出力し、送信I情報Di=−1であり且つ送信Q情報Dq=+1である場合や送信I情報Di=+1であり且つ送信Q情報Dq=−1である場合にXOR値として1値を出力する。
【0068】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR24から0値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR24から1値の信号が出力される。
【0069】
値変換器25は、XOR24から入力される信号の値が0値であるか或いは1値であるかに応じて、互いに正負(±)の極性が反転した信号を第3の乗算器26へ出力する。本例では、値変換器25は、XOR24から入力される信号の値が0値である場合には+1値の信号を第3の乗算器26へ出力し、XOR24から入力される信号の値が1値である場合には−1値の信号を第3の乗算器26へ出力する。
【0070】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合には値変換器25から+1値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合には値変換器25から−1値の信号が出力される。
【0071】
第3の乗算器26は、第1の加算器23から入力される(Ir2+Qr2)値の信号と、値変換器25から入力される+1値又は−1値の信号とを乗算し、当該乗算結果である+(Ir2+Qr2)値又は−(Ir2+Qr2)値の信号を第2の加算器27へ出力する。
【0072】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合には第3の加算器26から+(Ir2+Qr2)値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合には第3の加算器26から−(Ir2+Qr2)値の信号が出力される。
【0073】
ここで、図3を参照して、第3の乗算器26から出力される信号の値について説明する。
同図には、直交変調信号にΔθ=10°の位相誤差が存在する場合におけるコンステレーションの一例を示してある。
同図の例では、I−Q平面において、座標(Di、Dq)=(+1、+1)であってシンボル点が第1象限に位置する場合や座標(Di、Dq)=(−1、−1)であってシンボル点が第3象限に位置する場合には|Ir|の値が|Di|の値と比べて大きくなり、一方、座標(Di、Dq)=(−1、+1)であってシンボル点が第2象限に位置する場合や座標(Di、Dq)=(+1、−1)であってシンボル点が第4象限に位置する場合には|Ir|の値が|Di|の値と比べて小さくなる。
なお、|X|は、Xの絶対値を表す。
【0074】
このように、直交変調信号に位相誤差が存在する場合には、直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrのコンステレーションの形状はひし形となり、一方、直交変調信号に位相誤差が存在しない場合には、当該形状は正方形となる。
そこで、本例では、上記図3に示されるような四角形の2つの対角線の長さが異なり、これら2つの対角線の長さの比が1ではない場合には、位相誤差が存在すると判定し、一方、これら2つの対角線の長さが等しく、これら2つの対角線の長さの比が1である場合には、位相誤差が無いと判定する。
【0075】
具体的には、例えば、上記図3に示されるような四角形について、第1象限に存在する頂点と第3象限に存在する頂点とを結んだ線の長さと、第2象限に存在する頂点と第4象限に存在する頂点とを結んだ線の長さとを比較すればよく、この場合には(Ir2+Qr2)値の平方根を計算することになるが、本例では、2つの対角線の長さが同一であるか否かを判定することができればよいため、(Ir2+Qr2)値に正負(±)の極性を付与した値を第3の乗算器26により生成している。
【0076】
本例では、直交復調後のI情報Ir=Di+Dq・sin(Δθ)であり、直交復調後のQ情報Qr=Dqであることから、例えば、シンボル点が第1象限に位置する場合には+[{1+1・sin(Δθ)}2+(1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第2象限に位置する場合には−[{−1+1・sin(Δθ)}2+(1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第3象限に位置する場合には+[{−1+(−1)・sin(Δθ)}2+(−1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第4象限に位置する場合には−[{1+(−1)・sin(Δθ)}2+(−1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力される。
【0077】
第2の加算器27は、第3の乗算器26から入力される信号と、フリップフロップ28から入力される信号とを加算し、当該加算結果をフリップフロップ28へ出力する。
フリップフロップ28は、第2の加算器27から入力される信号を、例えば第2の加算器27における加算のタイミングを確保するために遅延させて、第2の加算器27及び第4の乗算器29へ出力する。
【0078】
これにより、積分器30では、第3の乗算器26から入力される信号が第2の加算器27により累積的に加算されていく。
例えば、第1象限に位置するシンボル点、第2象限に位置するシンボル点、第3象限に位置するシンボル点、第4象限に位置するシンボル点がそれぞれ1回ずつ送信される場合には、8・sin(Δθ)の値の信号が積分器30のフリップフロップ28から第4の乗算器29へ出力される。
【0079】
また、通常は、送信I情報Di及び送信Q情報Dqはランダムに送信されるとみなすことができるため、十分に長いシンボル数であるN個のシンボルを送信したときに積分器30から出力される信号の値は、8・sin(Δθ)・(N/4)となる。
【0080】
第4の乗算器29は、積分器30のフリップフロップ28から入力される信号と、例えば予め設定された定数Aの値の信号とを乗算し、当該乗算結果の信号を位相誤差情報の信号として位相誤差補正回路2へ出力する。
ここで、十分に長いシンボル数であるN個のシンボルを送信したときには、第4の乗算器29から、8・sin(Δθ)・(N/4)・Aの値の信号が位相誤差情報の信号として出力される。
そして、本例では、8・(N/4)・A=−1となったときに、つまりN=−1/(2A)となったときに、位相誤差情報の信号の値が−sin(Δθ)となり、位相誤差補正回路2において直交変調信号に発生する位相誤差が補正される。
【0081】
なお、本例では、上記図3に示されるような四角形の2つの対角線の長さが同一となる(長さの比が1となる)ように制御するフィードバック方式を用いている。また、このようなフィードバック制御の時定数を決定する位相誤差補正制御時定数である定数Aとしては、例えば、絶対値が1と比べて非常に小さく(|A|<<1)且つ負(−)である定数値が用いられる。
【0082】
当該定数Aは、例えば、システムで要求される仕様に基づいて、シミュレーション等を行いながら、1より小さい負の値に決定される。通常は、当該定数Aの値を大きく設定すると、制御の収束は速くなるが制御が粗くなり、一方、当該定数Aの値を小さく設定すると、制御の収束は遅くなるが細かい制御が可能である。本例では、通常は、当該定数Aとして、0.0001などのように非常に小さい値が設定される。
【0083】
図4には、位相誤差補正回路2の構成例を示してある。
本例の位相誤差補正回路2には、乗算器(第5の乗算器)31と、加算器(第3の加算器)32が備えられている。
また、本例の位相誤差補正回路2では、送信I情報Diの信号が直交信号発生回路1から第3の加算器32に入力され、送信Q情報Dqの信号が直交信号発生回路1から第1の乗算器31に入力される。
また、本例の位相誤差補正回路2では、直交信号発生回路1から入力される送信Q情報Dqの信号を、そのまま、補正後のQ情報Dqcの信号としてD/A変換器3へ出力する。
【0084】
第5の乗算器31は、直交信号回路1から入力される送信Q情報Dqの信号と、位相誤差検出回路11から入力される位相誤差情報の信号とを乗算し、当該乗算結果の信号を第3の加算器32へ出力する。
第3の加算器32は、直交変調回路1から入力される送信I情報Diの信号と、第5の乗算器31から入力される信号とを加算し、当該加算結果の信号を補正後のI情報Dicの信号としてD/A変換器3へ出力する。
【0085】
ここで、位相誤差検出回路11から第5の乗算器31に入力される位相誤差情報の信号の値が−sin(Δθ)となった場合には、補正後のI情報Dic=Di−Dq・sin(Δθ)となり、補正後のQ情報Dqc=Dqとなる。そして、この場合には、上記図5(c)を参照して説明したように、直交変調回路4により直交変調信号が生成されるに際して発生する位相誤差が、位相誤差補正回路2により予め与えられた補正により打ち消されて、無くなる。これにより、直交変調回路4からは、理想的な直交変調波Sc(t)が出力される。
【0086】
以上のように、本例の直交変調装置では、送信I情報Di及び送信Q情報Dqについて送信部の直交変調回路4によりアナログ直交変調を行うに際して、アナログ直交変調により得られるアナログ直交変調信号の一部を分配してダウンコンバートした後にデジタル直交復調し、当該デジタル直交復調により得られるI情報Ir及びQ情報Qrと送信I情報Di及び送信Q情報Dqに基づいて位相誤差検出回路11により位相誤差情報を検出し、当該位相誤差情報を送信部へフィードバックして、当該位相誤差情報に基づいて位相誤差補正回路2により送信I情報Di及び送信Q情報Dqをアナログ直交変調の前段において補正することにより、アナログ直交変調信号に発生する位相誤差を自動的に補正することが行われる。
【0087】
従って、本例の直交変調装置では、例えばQPSK方式やQAM方式などの直交変調回路4により送信信号に対して直交変調を行うに際して、当該直交変調で発生する位相誤差を打ち消すことにより低減することができ、これにより、送信信号に発生する歪みを低減して、信号通信の品質や効率を向上させることができる。また、本例の直交変調装置では、例えば広帯域の信号に対して直交変調を行うような場合においても、広帯域にわたって位相誤差が精度よく補正されるため、非常に精度のよい直交変調を実現することができる。
【0088】
なお、本例の位相誤差検出回路では、第1の乗算器21と第2の乗算器22と第1の加算器23から2乗和値生成回路が構成されており、XOR24と値変換器25から正負反転極性付与回路が構成されており、第2の加算器27とフリップフロップ28から加算回路が構成されており、第4の乗算器29から所定値乗算回路が構成されている。
【0089】
ここで、本発明に係る直交変調装置や通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0090】
また、本発明に係る直交変調装置や通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る直交変調装置によると、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成するに際して、位相誤差検出回路では、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから(Ir2+Qr2)値を生成し、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合と第2象限或いは第4象限に位置する場合とで互いに正負が反転した極性を当該(Ir2+Qr2)値に対して与え、これにより生成される値を例えば累積的に加算し、当該加算結果の値に対して所定の値Aを乗算して、当該乗算結果の値を位相誤差情報として検出し、位相誤差補正回路では、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報を補正後の一方の情報とするとともに、一方の情報と位相誤差検出回路により検出される位相誤差情報とを乗算した結果を他方の情報と加算した結果を補正後の他方の情報とするようにしたため、例えば、高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、簡易で実用的な構成により、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る直交変調装置の一例を示す図である。
【図2】位相誤差検出回路の一例を示す図である。
【図3】位相誤差がある場合におけるコンステレーションの一例を示す図である。
【図4】位相誤差補正回路の一例を示す図である。
【図5】直交変調回路において発生する位相誤差を補正する処理の原理を説明するための図である。
【図6】直交変調回路の一例を示す図である。
【図7】位相誤差が少ない場合における直交変調信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図8】位相誤差が多い場合における直交変調信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・直交信号発生回路、 2、72・・位相誤差補正回路、
3・・D/A変換器、 4、46、59、73・・直交変調回路、
5・・結合器、 6・・遅延補正回路、 7・・ダウンコンバート部、
8・・A/D変換器、 9・・直交復調回路、 10・・サンプリング回路、
11・・位相誤差検出回路、
21、22、26、29、31、51、53、61、63、64、66・・乗算器、
23、27、32、45、52、58、62、65、71・・加算器、
24・・XOR、 25・・値変換器、 28・・フリップフロップ、
30・・ 積分器、 41、54、67、81・・発振器、
42、44、55、57、68、70,83,84・・ミキサ、
43、56、69、82・・位相シフタ、 60、74・・位相誤差発生回路、
85・・結合器、
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成する直交変調装置に関し、特に、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する直交変調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、無線により信号を通信する無線通信装置では、送信対象となる情報から直交変調回路により直交変調信号を生成して送信することや、受信した直交変調信号から直交復調回路により元の情報を生成することが行われている。
このような直交変調や直交復調を行う方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式や、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などが用いられている。
【0003】
図6には、直交変調回路の一構成例を示してある。
直交変調の対象となる情報は、I相成分の情報(I情報)とQ相成分の情報(Q情報)から構成される。
同図に示した直交変調回路では、直交変調対象となる情報を構成するI情報の信号(I信号)が一方の周波数ミキサ83に入力されるとともに、当該直交変調対象となる情報を構成するQ情報の信号(Q信号)が他方の周波数ミキサ84に入力される。
【0004】
また、当該直交変調回路では、発振器81から発振される所定の信号が位相シフタ82により90°(度)の位相変化を受けて一方の周波数ミキサ83のローカルポートに入力されるとともに、当該所定の信号が位相シフタ82を介して位相の変化が0°で(つまり、位相が変化せずに)他方の周波数ミキサ84のローカルポートに入力される。ここで、所定の信号としては例えば正弦波sin(ω・t)から成る信号が用いられ、この場合、当該所定の信号が90°の位相変化を受けると余弦波cos(ω・t)=sin(ω・t+90°)から成る信号となる。
【0005】
また、当該直交変調回路では、I信号と90°移相された所定の信号とが一方の周波数ミキサ83により混合されるとともに、Q信号と所定の信号とが他方の周波数ミキサ84により混合される。
そして、当該直交変調回路では、一方の周波数ミキサ83による混合結果と他方の周波数ミキサ84による混合結果とが結合器85により合成され、当該合成結果が直交変調信号として出力される。
【0006】
しかしながら、上記のような直交変調回路では、I相成分に対応するローカル周波数信号の位相とQ相成分に対応するローカル周波数信号の位相との差を広帯域にわたって正確に90°にすることが困難であり、具体的には、上記図6に示した例では、発振器81から位相シフタ82を介して一方の周波数ミキサ83に入力される信号の位相と他方の周波数ミキサ84に入力される信号の位相との差を広帯域にわたって正確に90°にすることが困難である。
【0007】
そして、このような90°の位相差について誤差(位相誤差)が発生する場合には、直交変調回路により生成される直交変調信号においてI相成分とQ相成分との直交性が崩れてしまい、これにより、例えば、直交変調信号の精度が劣化してしまい、広帯域にわたって直交変調方式を精度よく使用することができないといった問題があった。このため、広帯域の周波数に対応した直交変調回路を実現することは困難なことであった。
【0008】
ここで、図7には、上記のような位相誤差が少ない場合における直交変調信号のスペクトラムの様子の一例を示してある。
同図に示されるように、上記のような位相誤差が少ない場合には、希望波信号についてのイメージ信号との比として30〜40dB程度得られて、良好である。
【0009】
一方、図8には、上記のような位相誤差が多い場合における直交変調信号のスペクトラムの様子の一例を示してある。
同図に示されるように、上記のような位相誤差が多い場合には、希望波信号についてのイメージ信号との比として10〜20dB程度しか得られず、直交変調信号の精度が悪いため、受信側では受信したときに軽減不可能なエラーが発生する。
なお、上記図7の例及び上記図8の例では、I相信号としては正弦波信号を入力しており、Q相信号としては余弦波信号を入力している。
【0010】
次に、上記のような直交変調における位相誤差を補正することに関して、従来技術の例を示す。
一例として、従来では、直交変調器により入力変調信号に対して直交変調を行うに際して、直交変調された信号を帰還させて直交復調し、直交復調された信号と入力変調信号とを比較して直交変調誤差を検出し、検出される直交変調誤差に基づいて入力変調信号に対して補正を行うことが為されていた(例えば、特許文献1参照。)。
他の例として、従来では、デジタル無線装置において、ベースバンド変調信号に対して直交変調を行うアナログ直交変調器における直交誤差を検出し、検出される直交誤差に基づいてベースバンド変調信号に対して直交誤差を打ち消すための補償を行うことが為されていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−339452号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例で示したように、従来の直交変調回路では、直交変調信号のI相成分とQ相成分との直交性(90°の位相差)について誤差(位相誤差)が発生してしまい、精度のよい直交変調を実現することができないといった問題があった。また、このような問題は、特に、高い無線周波数で、広帯域にわたって直交変調を行うような場合に、顕著であった。
【0013】
具体的には、一例として、ソフトウエア無線機などでは、例えば3GHz以上などの高い周波数帯である無線周波数帯を使用する無線機が用いられており、このような無線機では、直交変調誤差(位相誤差)が大きな問題となり、I相成分とQ相成分との直交性が崩れると、広帯域な直交変調が不可能となってしまう。
【0014】
なお、例えば、PDC(Personal Digital Cellular)やPHS(Personal Handyphone System)などにおいても直交変調が行われるところ、これらの周波数帯に関しては、既にIC(Integrated Circuit)が市販されており、直交変調誤差(位相誤差)が大きな問題となることは少ないと考えられるが、このようなシステムに後述する本発明が適用されても構わない。
【0015】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、直交変調信号における位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる直交変調装置を提供することを目的とする。
【0016】
なお、上記従来例に示したように、従来においても、上記のような位相誤差を補正することに関して検討が為されていたが、未だに十分な検討が完了したとは言えず、本発明では、上記のような位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正するための新たな構成を提供し、例えば、実用上で有効な構成により精度のよい直交変調を実現することに貢献する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る直交変調装置では、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成するに際して、次のような構成により、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する。
すなわち、本発明に係る直交変調装置では、位相誤差検出回路と、位相誤差補正回路を備える。
位相誤差検出回路は、直交変調回路により生成される直交変調信号に発生する位相誤差に関する情報を検出する。
位相誤差補正回路は、位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報に基づいて、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqに対して補正を行う。
【0018】
また、位相誤差検出回路は、2乗和値生成回路と、正負反転極性付与回路と、加算回路と、所定値乗算回路を用いて構成される。
2乗和値生成回路は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから、(Ir2+Qr2)値を生成する。
正負反転極性付与回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合と第2象限或いは第4象限に位置する場合とで、互いに正負(±)が反転した極性を、2乗和値生成回路により生成される(Ir2+Qr2)値に対して与える。
【0019】
加算回路は、正負反転極性付与回路により生成される値を加算する。なお、当該値は、例えば、+(Ir2+Qr2)又は−(Ir2+Qr2)や、この定数倍の値などとなる。
所定値乗算回路は、加算回路により生成される値に対して所定の値Aを乗算する。なお、加算回路により生成される値は、例えば、正負反転極性付与回路により生成される値を累積的に積分した結果となる。
そして、位相誤差検出回路は、所定値乗算回路により生成される値を、位相誤差に関する情報として検出する。
【0020】
また、位相誤差補正回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)を補正後の一方の情報(補正後のQ情報Dqc、又は、補正後のI情報Dic)とするとともに、一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算した結果を他方の情報(I情報Di、又は、Q情報Dq)と加算した結果を補正後の他方の情報(補正後のI情報Dic、又は、補正後のQ情報Dqc)とする。
【0021】
このような構成を有する本発明に係る直交変調装置では、直交変調信号に発生する位相誤差を補正することができる。
従って、上記のような簡易で実用的な構成により、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる。また、本発明では、例えば高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、有効に、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正することができる。
【0022】
ここで、直交変調や直交復調の方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、QPSK方式や、16QAMや32QAMや64QAMなどのQAM方式などを用いることができる。
また、直交変調の対象となる情報としては、例えば、送信対象となる情報が用いられる。この場合、当該情報は、I相成分の情報(I情報)とQ相成分の情報(Q情報)から構成される。
【0023】
また、直交変調信号に発生する位相誤差としては、直交変調信号のI相成分とQ相成分との直交状態(位相差が90°である状態)からの位相のずれが発生する。
また、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標は、例えば、I情報の座標値>0且つQ情報の座標値>0である場合には第1象限に位置し、I情報の座標値<0且つQ情報の座標値<0である場合には第3象限に位置し、I情報の座標値<0且つQ情報の座標値>0である場合には第2象限に位置し、I情報の座標値>0且つQ情報の座標値<0である場合には第4象限に位置する。
【0024】
なお、例えば、I情報の座標値=0である場合や、Q情報の座標値=0である場合が発生するようなときには、このような場合における(I情報、Q情報)の座標がいずれの象限に位置するかについては、任意に設定されてもよい。
また、所定の値Aとしては、種々な値が用いられてもよく、例えば、固定的に設定される一定の値が用いられてもよく、或いは、可変に制御することが可能な値が用いられてもよい。
【0025】
また、直交変調装置としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、直交変調回路や、直交復調回路としては、種々な構成のものが用いられてもよく、例えば、直交変調回路と直交復調回路とは互いに対応するものが用いられる。
また、位相誤差検出回路や、位相誤差補正回路としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
また、2乗和値生成回路や、正負反転極性付与回路や、加算回路や、所定値乗算回路としては、種々な構成のものが用いられてもよい。
【0026】
一構成例として、本発明に係る直交変調装置では、次のような構成とした。
すなわち、直交変調回路は、アナログの直交変調回路であり、また、直交復調回路は、デジタルの直交復調回路である。
また、位相誤差検出回路の2乗和値生成回路は、2つの乗算器(第1の乗算器、第2の乗算器)と、加算器(第1の加算器)から構成される。
第1の乗算器は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Irから(Ir2)値を生成する。
第2の乗算器は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のQ情報Qrから(Qr2)値を生成する。
第1の加算器は、第1の乗算器により生成される(Ir2)値と第2の乗算器により生成される(Qr2)値とを加算して、(Ir2+Qr2)値を生成する。
【0027】
位相誤差検出回路の正負反転極性付与回路は、XOR(Exclusive OR)と、値変換器と、乗算器(第3の乗算器)から構成される。
XORは、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqからXOR値(排他的論理和)を生成する。
値変換器は、XORにより生成されるXOR値が0値であるか或いは1値であるかに応じて、互いに正負が反転して絶対値が1である値を出力する。なお、当該値は、+1又は−1となる。
第3の乗算器は、値変換器から出力される値と2乗和値生成回路の第1の加算器により生成される(Ir2+Qr2)値とを乗算する。
【0028】
位相誤差検出回路の加算回路は、加算器(第2の加算器)と、フリップフロップから構成される。
第2の加算器は、正負反転極性付与回路の第3の乗算器により生成される値と外部からの入力値とを加算する。
フリップフロップは、第2の加算器により生成される値を、当該第2の加算器に対して当該外部からの入力値として、出力する。なお、フリップフロップは、例えば、第2の加算器による加算のタイミングを確保するために、第2の加算器により生成される値を、時間的に遅延させて、当該第2の加算器に対して出力する。
【0029】
位相誤差検出回路の所定値乗算回路は、乗算器(第4の乗算器)から構成される。
第4の乗算器は、加算回路のフリップフロップから出力される値に対して所定の値Aを乗算する。
【0030】
位相誤差補正回路は、乗算器(第5の乗算器)と、加算器(第3の加算器)から構成される。
第5の乗算器は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報(Q情報Dq、又は、I情報Di)と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算する。
第3の加算器は、第5の乗算器により生成される値と他方の情報(I情報Di、又は、Q情報Dq)とを加算する。当該加算結果は、補正後の他方の情報(補正後のI情報Dic、又は、補正後のQ情報Dqc)となる。
また、補正後の一方の信号(補正後のQ情報Dqc、又は、補正後のI情報Dic)としては、一方の信号(Q情報Dq、又は、I情報Di)がそのまま用いられる。
【0031】
ここで、本構成例では、例えば、アナログの直交変調回路により直交変調を行う対象となるデジタル信号のI情報及びQ情報をアナログ信号へ変換するためのD/A(Digital to Analog)変換器が備えられる。
また、本構成例では、例えば、デジタルの直交復調回路により直交復調を行う対象となるアナログ信号の直交変調信号をデジタル信号のI情報及びQ情報へ変換するためのA/D(Analog to Digital)変換器が備えられる。
【0032】
また、XORは、一例として、I情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR値=0値を生成し、当該座標が第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR値=1値を生成する。又は、他の例として、XORは、I情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR値=1値を生成し、当該座標が第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR値=0値を生成する。
【0033】
なお、XORは、一般に、入力される2つの信号値がそれぞれハイ(H)状態とロウ(L)状態のいずれかとなるときを例とすると、入力される2つの信号値が(H、H)や(L、L)である場合にはXOR値=0値を出力し、入力される2つの信号値が(H、L)や(L、H)である場合にはXOR値=1値を出力する。
【0034】
また、値変換器は、一例として、XORにより生成されるXOR値が0値である場合には+1の値を出力し、当該XOR値が1値である場合には−1の値を出力する。又は、他の例として、値変換器は、XORにより生成されるXOR値が0値である場合には−1の値を出力し、当該XOR値が1値である場合には+1の値を出力する。
【0035】
また、本発明に係る直交変調装置は、例えば、有線或いは無線の通信装置や、送信機や、送受信機などに設けられ、送信対象となる情報に対して直交変調回路により直交変調を行い、これに際して、直交変調信号に発生する位相誤差に関する情報を位相誤差検出回路により検出して、当該位相誤差を位相誤差補正回路により補正する。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
本例では、本発明に係る直交変調装置を無線送信機に適用した場合を示し、高周波数である無線周波数(RF:Radio Frequency)帯の信号を広帯域にわたって直交変調する場合を示す。
【0037】
図1には、本例の直交変調装置の一構成例を示してある。
本例の直交変調装置には、直交信号発生回路1と、位相誤差補正回路2と、D/A変換器3と、アナログの直交変調回路4と、結合器5と、遅延補正回路6と、ダウンコンバート部7と、A/D変換器8と、デジタルの直交復調回路9と、サンプリング回路10と、位相誤差検出回路11が備えられている。
【0038】
直交信号発生回路1は、送信対象となる情報に応じて、システムにおいて使用されるQPSKなどの直交変調方式に適した信号として送信I情報Di及び送信Q情報Dqを生成し、生成した送信I情報Di及び送信Q情報Dqを位相誤差補正回路2及び遅延補正回路6へ出力する。
また、直交信号発生回路1は、送信I情報Di及び送信Q情報Dqについて、送信のタイミングを示す信号(送信タイミング信号)を遅延補正回路6へ出力する。
【0039】
位相誤差補正回路2は、位相誤差検出回路11から入力される直交変調信号における位相誤差に関する情報(位相誤差情報)に基づいて、直交信号発生回路1から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqに対して位相誤差の補正を行い、これにより得られる補正後の送信I情報Dic及び補正後の送信Q情報DqcをD/A変換器3へ出力する。
【0040】
D/A変換器3は、位相誤差補正回路2から入力される補正後の送信I情報Dic及び補正後の送信Q情報Dqcを、デジタル信号からアナログ信号へ変換して、直交変調回路4へ出力する。
直交変調回路4は、D/A変換器3から入力されるアナログ信号をアナログ直交変調し、これにより得られるアナログ直交変調信号を結合器5へ出力する。なお、本例では、無線周波数帯の信号に対してアナログ直交変調が行われる。
【0041】
結合器5は、直交変調回路4から出力されるアナログ直交変調信号の一部を取り出してダウンコンバート部7へ出力する。なお、当該アナログ直交変調信号の他の部分は、本例の直交変調装置から出力されて、例えば、アンテナ(図示せず)から無線により送信される。
【0042】
ダウンコンバート部7は、結合器5から入力されるアナログ直交変調信号を、無線周波数帯の信号からデジタル直交復調が可能な中間周波数(IF:Intermediate Frequency)帯の信号へ周波数変換して、A/D変換器8へ出力する。A/D変換器8は、ダウンコンバート部7から入力される中間周波数帯のアナログ直交変調信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して、直交復調回路9へ出力する。
【0043】
直交復調回路9は、A/D変換器8から入力されるデジタル信号をデジタル直交復調し、これにより得られる直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrをサンプリング回路10へ出力する。ここで、直交復調回路9では、デジタル直交復調が行われることから、位相誤差は発生せず、理想的な直交復調が実現される。
【0044】
遅延補正回路6は、直交信号発生回路1から入力される送信タイミング信号について、送信タイミングの時間ずれを補正する機能を有しており、当該補正後の送信タイミング信号をサンプリング回路10へ出力する。
また、遅延補正回路6は、例えば送信タイミング信号と同期したタイミングで、直交信号発生回路1から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqを位相誤差検出回路11へ出力する。
【0045】
サンプリング回路10は、遅延補正回路6から入力される送信タイミング信号に応じたタイミングで、この一例として遅延補正回路6から送信タイミング信号が入力されるタイミングと同一のタイミングで、直交復調回路9から入力される直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrをサンプリングして、当該サンプリング結果を位相誤差検出回路11へ出力する。
【0046】
位相誤差検出回路11は、サンプリング回路10からサンプリング結果として入力される直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrと、遅延補正回路6から入力される送信I情報Di及び送信Q情報Dqに基づいて、直交変調信号における位相誤差に関する情報(位相誤差情報)を検出し、当該検出した位相誤差情報を位相誤差補正回路2へ出力する。
【0047】
次に、図5(a)、(b)、(c)を参照して、本例において直交変調回路4により生成される直交変調信号に発生する位相誤差を補正する処理の原理を説明する。
本例では、直交変調回路による処理を数式により表す場合における一般的な方法として、I相成分に対応するローカル周波数信号をcos(ω・t)で表し、Q相成分に対応するローカル周波数信号をsin(ω・t)で表す。
なお、ωは角周波数を表し、tは時刻を表す。
【0048】
まず、理想的な直交変調回路によりI情報Diの信号及びQ情報Dqの信号から直交変調波(直交変調信号)Sc(t)が生成される場合には、当該理想的な直交変調波Sc(t)は式1により表される。
【0049】
【数1】
【0050】
一方、図5(a)には、Q相成分のローカル周波数信号sin(ω・t)にΔθの位相誤差が発生する直交変調回路46の一例を示してある。
当該直交変調回路46では、発振器41から発振されるI相成分のローカル周波数信号cos(ω・t)とI情報Diの信号とがミキサ42により混合されるとともに、発振器41から発振されるI相成分のローカル周波数信号cos(ω・t)が位相シフタ43により(90°+Δθ)だけ移相されて生成されるQ相成分のローカル周波数信号sin(ω・t+Δθ)とQ情報Dqの信号とがミキサ44により混合され、これらの混合結果が加算器(結合器)45により合成されて、直交変調波S(t)が生成される。
【0051】
このような位相誤差が存在する場合における直交変調波S(t)は式2により表される。
【0052】
【数2】
【0053】
また、sin(ω・t+Δθ)=sin(ω・t)・cos(Δθ)+cos(ω・t)・sin(Δθ)となることから、上記式2は式3のように変形される。
【0054】
【数3】
【0055】
図5(b)には、上記図5(a)に示した回路と等価な回路として、理想的な直交変調回路59の一例と、上記図5(a)において直交変調信号に発生する位相誤差をベースバンドのものへ変換した位相誤差を発生する回路(位相誤差発生回路)60の一例を示してある。
ここで、当該直交変調回路59では、発振器54と2つのミキサ55、57と位相シフタ56と加算器58により、上記式1に示したのと同様に、理想的な直交変調が行われる。
【0056】
また、当該直交変調回路59の前段に位置する当該位相誤差発生回路60では、Q情報Dqの信号とsin(Δθ)の信号とを乗算器51により乗算して当該乗算結果とI情報Diの信号とを加算器52により加算した結果{Di+Dq・sin(Δθ)}が、位相誤差の成分が付与されたI情報Diiの信号として直交変調回路59へ出力され、また、Q情報Dqの信号とcos(Δθ)の信号とを乗算器53により乗算した結果{Dq・cos(Δθ)}が、位相誤差の成分が付与されたQ情報Dqqの信号として直交変調回路59へ出力される。この場合、直交変調回路59では、入力されるI情報Diiの信号及びQ情報Dqqの信号から、上記式3に示したのと同様な直交変調波S(t)が生成される。
【0057】
図5(c)には、上記図5(b)に示したのと同様に、理想的な直交変調回路73の一例と、ベースバンドに変換した位相誤差を発生する回路(位相誤差発生回路)74の一例を示してあるとともに、位相誤差を補正する回路(位相誤差補正回路)72の一例を示してある。
【0058】
ここで、当該直交変調回路73では、発振器67と2つのミキサ68、70と位相シフタ69と加算器71により、上記式1に示したのと同様に、理想的な直交変調が行われる。
また、当該位相誤差発生回路74では、2つの乗算器64、66と加算器65により、上記図5(b)に示した位相誤差発生回路60と同様に、位相誤差を発生する。
【0059】
また、当該位相誤差発生回路74の前段に位置する当該位相誤差補正回路72では、Q情報Dqの信号と{−sin(Δθ)/cos(Δθ)}の信号とを乗算器61により乗算して当該乗算結果とI情報Diの信号とを加算器62により加算した結果{Di−Dq・sin(Δθ)/cos(Δθ)}が、補正後のI情報Dicの信号として位相誤差発生回路74へ出力され、また、Q情報Dqの信号と{1/cos(Δθ)}の信号とを乗算器63により乗算した結果{Dq/cos(Δθ)}が、補正後のQ情報Dqcとして位相誤差発生回路74へ出力される。
【0060】
この場合、位相誤差発生回路74では、入力される補正後のI情報Dicの信号及び補正後のQ情報Dqcの信号から、補正後であって且つ位相誤差が発生したI情報Diiiの信号として元のI情報Diと等しい情報の信号が生成されて直交変調回路73へ出力されるとともに、補正後であって且つ位相誤差が発生したQ情報Dqqqの信号として元のQ情報Dqと等しい情報の信号が生成されて直交変調回路73へ出力される。
そして、直交変調回路73では、入力されるI情報Diiiの信号及びQ情報Dqqqの信号から、上記式1に示したのと同様に、位相誤差の無い理想的な直交変調波Sc(t)が生成される。
【0061】
また、ここでは、厳密な数式の計算に基づく理想的な位相誤差の補正処理を示したが、実用上では、例えば、位相のずれΔθの値が小さい場合には、cos(Δθ)はおよそ1となる(cos(Δθ)〜1)ため、位相誤差補正回路72による補正後のI情報Dic=Di−Dq・sin(Δθ)となるとともに、位相誤差補正回路72による補正後のQ情報Dqc=Dqとなるような回路構成を用いることも可能である。本例では、当該回路構成を用いて、直交変調信号に発生する位相誤差を補正する。
【0062】
次に、位相誤差検出回路11及び位相誤差補正回路2について詳しく説明する。
まず、アナログの直交変調回路4により生成される直交変調波S(t)に発生する位相誤差が正確に補正されておらず、Δθの位相誤差が存在する場合には、送信I情報Di及び送信Q情報Dqに対して、上記式3に示したような直交変調波S(t)が生成される。そして、この場合には、当該直交変調波S(t)がデジタルの直交復調回路9により直交復調されると、直交復調後のI情報Ir=Di+Dq・sin(Δθ)及び直交復調後のQ情報Qr=Dq・cos(Δθ)が得られる。また、本例では、Δθの値が小さくcos(Δθ)〜1であるとして、直交復調後のQ情報Qr=Dqであるとみなす。
【0063】
図2には、位相誤差検出回路11の構成例を示してある。
本例の位相誤差検出回路11には、2つの乗算器(第1の乗算器、第2の乗算器)21、22と、加算器(第1の加算器)23と、XOR24と、値変換器25と、乗算器(第3の乗算器)26と、積分器30を構成する加算器(第2の加算器)27及びD型のフリップフロップ28と、乗算器(第4の乗算器)29が備えられている。
【0064】
また、本例の位相誤差検出回路11では、直交変調回路9による直交変調後のI情報Irの信号がサンプリング回路10を介して第1の乗算器21の2つの入力端に入力され、直交変調回路9による直交変調後のQ情報Qrの信号がサンプリング回路10を介して第2の乗算器22の2つの入力端に入力され、送信I情報Diの信号が直交信号発生回路1から遅延補正回路6を介してXOR24の一方の入力端に入力され、送信Q情報Dqの信号が直交信号発生回路1から遅延補正回路6を介してXOR24の他方の入力端に入力される。
【0065】
第1の乗算器21は、2つの入力端から入力されるI情報Irの信号を乗算し、当該乗算結果である(Ir2)値の信号を第1の加算器23へ出力する。
第2の乗算器22は、2つの入力端から入力されるQ情報Qrの信号を乗算し、当該乗算結果である(Qr2)値の信号を第1の加算器23へ出力する。
【0066】
第1の加算器23は、第1の乗算器21から入力される信号と第2の乗算器22から入力される信号とを加算し、当該加算結果である(Ir2+Qr2)値の信号を第3の乗算器26へ出力する。
ここで、当該(Ir2+Qr2)値は、I−Q平面において、直交復調後のシンボル点の座標(Ir、Qr)と原点(0、0)との距離の2乗値に相当する。
【0067】
XOR24は、2つの入力端の一方から送信I情報Diの信号を入力するとともに他方から送信Q情報Dqの信号を入力し、これら2つの入力信号の値Di、Dqに基づくXOR値である0値又は1値の信号を値変換器25へ出力する。一例として、XOR24は、送信I情報Di=+1であり且つ送信Q情報Dq=+1である場合や送信I情報Di=−1であり且つ送信Q情報Dq=−1である場合にXOR値として0値を出力し、送信I情報Di=−1であり且つ送信Q情報Dq=+1である場合や送信I情報Di=+1であり且つ送信Q情報Dq=−1である場合にXOR値として1値を出力する。
【0068】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合にはXOR24から0値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合にはXOR24から1値の信号が出力される。
【0069】
値変換器25は、XOR24から入力される信号の値が0値であるか或いは1値であるかに応じて、互いに正負(±)の極性が反転した信号を第3の乗算器26へ出力する。本例では、値変換器25は、XOR24から入力される信号の値が0値である場合には+1値の信号を第3の乗算器26へ出力し、XOR24から入力される信号の値が1値である場合には−1値の信号を第3の乗算器26へ出力する。
【0070】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合には値変換器25から+1値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合には値変換器25から−1値の信号が出力される。
【0071】
第3の乗算器26は、第1の加算器23から入力される(Ir2+Qr2)値の信号と、値変換器25から入力される+1値又は−1値の信号とを乗算し、当該乗算結果である+(Ir2+Qr2)値又は−(Ir2+Qr2)値の信号を第2の加算器27へ出力する。
【0072】
これにより、本例では、I−Q平面において、直交変調前のシンボル点の座標(Di、Dq)が第1象限或いは第3象限に位置する場合には第3の加算器26から+(Ir2+Qr2)値の信号が出力され、第2象限或いは第4象限に位置する場合には第3の加算器26から−(Ir2+Qr2)値の信号が出力される。
【0073】
ここで、図3を参照して、第3の乗算器26から出力される信号の値について説明する。
同図には、直交変調信号にΔθ=10°の位相誤差が存在する場合におけるコンステレーションの一例を示してある。
同図の例では、I−Q平面において、座標(Di、Dq)=(+1、+1)であってシンボル点が第1象限に位置する場合や座標(Di、Dq)=(−1、−1)であってシンボル点が第3象限に位置する場合には|Ir|の値が|Di|の値と比べて大きくなり、一方、座標(Di、Dq)=(−1、+1)であってシンボル点が第2象限に位置する場合や座標(Di、Dq)=(+1、−1)であってシンボル点が第4象限に位置する場合には|Ir|の値が|Di|の値と比べて小さくなる。
なお、|X|は、Xの絶対値を表す。
【0074】
このように、直交変調信号に位相誤差が存在する場合には、直交復調後のI情報Ir及び直交復調後のQ情報Qrのコンステレーションの形状はひし形となり、一方、直交変調信号に位相誤差が存在しない場合には、当該形状は正方形となる。
そこで、本例では、上記図3に示されるような四角形の2つの対角線の長さが異なり、これら2つの対角線の長さの比が1ではない場合には、位相誤差が存在すると判定し、一方、これら2つの対角線の長さが等しく、これら2つの対角線の長さの比が1である場合には、位相誤差が無いと判定する。
【0075】
具体的には、例えば、上記図3に示されるような四角形について、第1象限に存在する頂点と第3象限に存在する頂点とを結んだ線の長さと、第2象限に存在する頂点と第4象限に存在する頂点とを結んだ線の長さとを比較すればよく、この場合には(Ir2+Qr2)値の平方根を計算することになるが、本例では、2つの対角線の長さが同一であるか否かを判定することができればよいため、(Ir2+Qr2)値に正負(±)の極性を付与した値を第3の乗算器26により生成している。
【0076】
本例では、直交復調後のI情報Ir=Di+Dq・sin(Δθ)であり、直交復調後のQ情報Qr=Dqであることから、例えば、シンボル点が第1象限に位置する場合には+[{1+1・sin(Δθ)}2+(1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第2象限に位置する場合には−[{−1+1・sin(Δθ)}2+(1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第3象限に位置する場合には+[{−1+(−1)・sin(Δθ)}2+(−1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力され、シンボル点が第4象限に位置する場合には−[{1+(−1)・sin(Δθ)}2+(−1)2]値の信号が第3の乗算器26から出力される。
【0077】
第2の加算器27は、第3の乗算器26から入力される信号と、フリップフロップ28から入力される信号とを加算し、当該加算結果をフリップフロップ28へ出力する。
フリップフロップ28は、第2の加算器27から入力される信号を、例えば第2の加算器27における加算のタイミングを確保するために遅延させて、第2の加算器27及び第4の乗算器29へ出力する。
【0078】
これにより、積分器30では、第3の乗算器26から入力される信号が第2の加算器27により累積的に加算されていく。
例えば、第1象限に位置するシンボル点、第2象限に位置するシンボル点、第3象限に位置するシンボル点、第4象限に位置するシンボル点がそれぞれ1回ずつ送信される場合には、8・sin(Δθ)の値の信号が積分器30のフリップフロップ28から第4の乗算器29へ出力される。
【0079】
また、通常は、送信I情報Di及び送信Q情報Dqはランダムに送信されるとみなすことができるため、十分に長いシンボル数であるN個のシンボルを送信したときに積分器30から出力される信号の値は、8・sin(Δθ)・(N/4)となる。
【0080】
第4の乗算器29は、積分器30のフリップフロップ28から入力される信号と、例えば予め設定された定数Aの値の信号とを乗算し、当該乗算結果の信号を位相誤差情報の信号として位相誤差補正回路2へ出力する。
ここで、十分に長いシンボル数であるN個のシンボルを送信したときには、第4の乗算器29から、8・sin(Δθ)・(N/4)・Aの値の信号が位相誤差情報の信号として出力される。
そして、本例では、8・(N/4)・A=−1となったときに、つまりN=−1/(2A)となったときに、位相誤差情報の信号の値が−sin(Δθ)となり、位相誤差補正回路2において直交変調信号に発生する位相誤差が補正される。
【0081】
なお、本例では、上記図3に示されるような四角形の2つの対角線の長さが同一となる(長さの比が1となる)ように制御するフィードバック方式を用いている。また、このようなフィードバック制御の時定数を決定する位相誤差補正制御時定数である定数Aとしては、例えば、絶対値が1と比べて非常に小さく(|A|<<1)且つ負(−)である定数値が用いられる。
【0082】
当該定数Aは、例えば、システムで要求される仕様に基づいて、シミュレーション等を行いながら、1より小さい負の値に決定される。通常は、当該定数Aの値を大きく設定すると、制御の収束は速くなるが制御が粗くなり、一方、当該定数Aの値を小さく設定すると、制御の収束は遅くなるが細かい制御が可能である。本例では、通常は、当該定数Aとして、0.0001などのように非常に小さい値が設定される。
【0083】
図4には、位相誤差補正回路2の構成例を示してある。
本例の位相誤差補正回路2には、乗算器(第5の乗算器)31と、加算器(第3の加算器)32が備えられている。
また、本例の位相誤差補正回路2では、送信I情報Diの信号が直交信号発生回路1から第3の加算器32に入力され、送信Q情報Dqの信号が直交信号発生回路1から第1の乗算器31に入力される。
また、本例の位相誤差補正回路2では、直交信号発生回路1から入力される送信Q情報Dqの信号を、そのまま、補正後のQ情報Dqcの信号としてD/A変換器3へ出力する。
【0084】
第5の乗算器31は、直交信号回路1から入力される送信Q情報Dqの信号と、位相誤差検出回路11から入力される位相誤差情報の信号とを乗算し、当該乗算結果の信号を第3の加算器32へ出力する。
第3の加算器32は、直交変調回路1から入力される送信I情報Diの信号と、第5の乗算器31から入力される信号とを加算し、当該加算結果の信号を補正後のI情報Dicの信号としてD/A変換器3へ出力する。
【0085】
ここで、位相誤差検出回路11から第5の乗算器31に入力される位相誤差情報の信号の値が−sin(Δθ)となった場合には、補正後のI情報Dic=Di−Dq・sin(Δθ)となり、補正後のQ情報Dqc=Dqとなる。そして、この場合には、上記図5(c)を参照して説明したように、直交変調回路4により直交変調信号が生成されるに際して発生する位相誤差が、位相誤差補正回路2により予め与えられた補正により打ち消されて、無くなる。これにより、直交変調回路4からは、理想的な直交変調波Sc(t)が出力される。
【0086】
以上のように、本例の直交変調装置では、送信I情報Di及び送信Q情報Dqについて送信部の直交変調回路4によりアナログ直交変調を行うに際して、アナログ直交変調により得られるアナログ直交変調信号の一部を分配してダウンコンバートした後にデジタル直交復調し、当該デジタル直交復調により得られるI情報Ir及びQ情報Qrと送信I情報Di及び送信Q情報Dqに基づいて位相誤差検出回路11により位相誤差情報を検出し、当該位相誤差情報を送信部へフィードバックして、当該位相誤差情報に基づいて位相誤差補正回路2により送信I情報Di及び送信Q情報Dqをアナログ直交変調の前段において補正することにより、アナログ直交変調信号に発生する位相誤差を自動的に補正することが行われる。
【0087】
従って、本例の直交変調装置では、例えばQPSK方式やQAM方式などの直交変調回路4により送信信号に対して直交変調を行うに際して、当該直交変調で発生する位相誤差を打ち消すことにより低減することができ、これにより、送信信号に発生する歪みを低減して、信号通信の品質や効率を向上させることができる。また、本例の直交変調装置では、例えば広帯域の信号に対して直交変調を行うような場合においても、広帯域にわたって位相誤差が精度よく補正されるため、非常に精度のよい直交変調を実現することができる。
【0088】
なお、本例の位相誤差検出回路では、第1の乗算器21と第2の乗算器22と第1の加算器23から2乗和値生成回路が構成されており、XOR24と値変換器25から正負反転極性付与回路が構成されており、第2の加算器27とフリップフロップ28から加算回路が構成されており、第4の乗算器29から所定値乗算回路が構成されている。
【0089】
ここで、本発明に係る直交変調装置や通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0090】
また、本発明に係る直交変調装置や通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る直交変調装置によると、直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成するに際して、位相誤差検出回路では、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから(Ir2+Qr2)値を生成し、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合と第2象限或いは第4象限に位置する場合とで互いに正負が反転した極性を当該(Ir2+Qr2)値に対して与え、これにより生成される値を例えば累積的に加算し、当該加算結果の値に対して所定の値Aを乗算して、当該乗算結果の値を位相誤差情報として検出し、位相誤差補正回路では、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報を補正後の一方の情報とするとともに、一方の情報と位相誤差検出回路により検出される位相誤差情報とを乗算した結果を他方の情報と加算した結果を補正後の他方の情報とするようにしたため、例えば、高い周波数で広帯域にわたって直交変調を行うような場合においても、簡易で実用的な構成により、直交変調信号における位相誤差に関する情報を検出して当該位相誤差を補正して、精度のよい直交変調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る直交変調装置の一例を示す図である。
【図2】位相誤差検出回路の一例を示す図である。
【図3】位相誤差がある場合におけるコンステレーションの一例を示す図である。
【図4】位相誤差補正回路の一例を示す図である。
【図5】直交変調回路において発生する位相誤差を補正する処理の原理を説明するための図である。
【図6】直交変調回路の一例を示す図である。
【図7】位相誤差が少ない場合における直交変調信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【図8】位相誤差が多い場合における直交変調信号のスペクトラムの一例を示す図である。
【符号の説明】
1・・直交信号発生回路、 2、72・・位相誤差補正回路、
3・・D/A変換器、 4、46、59、73・・直交変調回路、
5・・結合器、 6・・遅延補正回路、 7・・ダウンコンバート部、
8・・A/D変換器、 9・・直交復調回路、 10・・サンプリング回路、
11・・位相誤差検出回路、
21、22、26、29、31、51、53、61、63、64、66・・乗算器、
23、27、32、45、52、58、62、65、71・・加算器、
24・・XOR、 25・・値変換器、 28・・フリップフロップ、
30・・ 積分器、 41、54、67、81・・発振器、
42、44、55、57、68、70,83,84・・ミキサ、
43、56、69、82・・位相シフタ、 60、74・・位相誤差発生回路、
85・・結合器、
Claims (2)
- 直交変調回路によりI情報及びQ情報から直交変調信号を生成する直交変調装置において、
直交変調回路により生成される直交変調信号に発生する位相誤差に関する情報を検出する位相誤差検出回路と、位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報に基づいて直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqに対して補正を行う位相誤差補正回路とを備え、
位相誤差検出回路は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Ir及びQ情報Qrから(Ir2+Qr2)値を生成する2乗和値生成回路と、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqのI−Q平面上における座標が第1象限或いは第3象限に位置する場合と第2象限或いは第4象限に位置する場合とで互いに正負が反転した極性を2乗和値生成回路により生成される(Ir2+Qr2)値に対して与える正負反転極性付与回路と、正負反転極性付与回路により生成される値を加算する加算回路と、加算回路により生成される値に対して所定の値Aを乗算する所定値乗算回路とを用いて構成され、所定値乗算回路により生成される値を位相誤差に関する情報として検出し、
位相誤差補正回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報を補正後の一方の情報とするとともに、一方の情報と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算した結果を他方の情報と加算した結果を補正後の他方の情報とする、
ことを特徴とする直交変調装置。 - 請求項1に記載の直交変調装置において、
直交変調回路は、アナログの直交変調回路であり、
直交復調回路は、デジタルの直交復調回路であり、
位相誤差検出回路の2乗和値生成回路は、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のI情報Irから(Ir2)値を生成する第1の乗算器と、直交復調回路により直交変調信号から生成される直交復調信号のQ情報Qrから(Qr2)値を生成する第2の乗算器と、第1の乗算器により生成される(Ir2)値と第2の乗算器により生成される(Qr2)値とを加算して(Ir2+Qr2)値を生成する第1の加算器から構成され、
位相誤差検出回路の正負反転極性付与回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報DqからXOR値を生成するXORと、XORにより生成されるXOR値が0値であるか或いは1値であるかに応じて互いに正負が反転して絶対値が1である値を出力する値変換器と、値変換器から出力される値と2乗和値生成回路の第1の加算器により生成される(Ir2+Qr2)値とを乗算する第3の乗算器から構成され、
位相誤差検出回路の加算回路は、正負反転極性付与回路の第3の乗算器により生成される値と外部からの入力値とを加算する第2の加算器と、第2の加算器により生成される値を当該第2の加算器に対して当該外部からの入力値として出力するフリップフロップから構成され、
位相誤差検出回路の所定値乗算回路は、加算回路のフリップフロップから出力される値に対して所定の値Aを乗算する第4の乗算器から構成され、
位相誤差補正回路は、直交変調回路による直交変調前のI情報Di及びQ情報Dqのうちの一方の情報と位相誤差検出回路により検出される位相誤差に関する情報とを乗算する第5の乗算器と、第5の乗算器により生成される値と他方の情報とを加算する第3の加算器から構成された、
ことを特徴とする直交変調装置。
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