JP2004271555A - 写真用ロールフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】環境への負荷が少なく、耐久性に優れたスプールを用いて、巻き太りがなく遮光性のよい写真用ロールフィルムを提供すること。
【解決手段】少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる写真用ロールフィルムにおいて、前記スプールが5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及びポリオレフィン樹脂の混合物から作製されたことを特徴とする写真用ロールフィルム。
【解決手段】少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる写真用ロールフィルムにおいて、前記スプールが5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及びポリオレフィン樹脂の混合物から作製されたことを特徴とする写真用ロールフィルム。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、120型、220型等の写真用ロールフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真用ロールフィルムは、両端にフランジが形成されたスプールの軸部に遮光紙付きの写真フィルムを巻き付けたもので、120型と220型が知られている。120型の写真用ロールフィルムは、写真フィルムのベース面側に遮光紙を裏紙として固定し、この遮光紙ごとスプールの軸部に巻き付けたものである。また、220型の写真用ロールフィルムは、裏紙としての遮光紙は省略し、リーダーペーパー、トレーラーと称される遮光紙をその前後に固定し、120型より写真フィルムの長さを長くして撮影コマ数を多くしたものである。この120型、220型のいずれにおいても、遮光紙のサイド端とフランジの内壁との間の遮光性を良好にするため、遮光紙の幅はフランジ間の距離と同じかそれよりやや長くしてある。
【0003】
スプールは樹脂製であり、一般的にはポリスチレン樹脂が用いられている。しかし、樹脂製のスプールは、変形しやすいために耐久性に乏しく、再利用するのは困難であった。また、焼却カロリーが高いため、環境への負荷も大きい。
さらに、スプールは樹脂製であるから温度変化によって伸縮する。特にフランジ間の距離であるスプールインサイド寸法と温度との関係は、ポリスチレン樹脂の場合約4.5μm/℃〜5.0μm/℃の勾配を有する直線となる。すなわち、一般に撮影される温度範囲−20℃〜40℃で、スプールインサイド寸法は約0.26mm〜0.30mmの寸法変化を生じる。
【0004】
一方、遮光紙の幅は、温湿度によって変化する遮光紙の含水率によって大きく変化し、約80μm〜110μm/含水率(%)であるが、スプールに巻き付けられた状態で2時間放置した後の寸法変化は、温湿度変化によるスプールインサイド寸法の変化率に比べて極めて少ない。したがって、遮光紙の幅とスプールインサイド寸法との差(オーバーラップ量)は、温度によって変化する。
【0005】
温度が低温であると、スプールインサイド寸法は減少するため、オーバーラップ量が増加し、巻太りが発生する。また逆に高温ではスプールインサイド寸法が増加するため、オーバーラップ量が減少し、フランジの内壁と遮光紙のサイド縁との間に隙間が生じるために写真フィルムの縁に外光によるカブリ(縁Fog)が発生する。
【0006】
温度変化による遮光性の悪化や巻き太りの発生を改善するために、スプールのフランジの内壁に、フランジ軸の同心円状に溝を設けた写真用ロールフィルムが提案されている(特許文献1参照)。また、遮光紙の中央部の幅を両端部の幅よりも短くした120型写真ロールフィルムが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−288335号公報
【特許文献2】
特開2000−131810号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、環境への負荷が少なく、耐久性に優れたスプールを用いて、巻き太りがなく遮光性のよい写真用ロールフィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の(1)によって解決された。
(1)少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる写真用ロールフィルムにおいて、前記スプールが5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及びポリオレフィン樹脂の混合物から作製されたことを特徴とする写真用ロールフィルム。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の写真用ロールフィルムは、少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる。
【0011】
本発明に使用するスプールは、5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及び30質量%以上95質量%以下のポリオレフィン樹脂の混合物(以下、「紙樹脂」という。)から作製される。
本発明に用いる紙樹脂は、古紙等の再生木質パルプ5〜70質量%、ポリオレフィン樹脂30〜95質量%であるが、再生木質パルプ20〜70質量%、ポリオレフィン樹脂30〜80質量%であることが好ましく、再生木質パルプ51〜60質量%、ポリオレフィン樹脂49〜40質量%であることが更に好ましい。ポリオレフィン樹脂が30質量%よりも少ないと、紙樹脂の強度が不足する。ポリオレフィン樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0012】
ポリオレフィン樹脂としては、シャルピー衝撃強さが6.0KJ/m2以上、又は引長破壊呼び歪が200%以上のものを用いることが好ましく使用できる。本発明のロール支持部材に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。これら熱可塑性樹脂の市販品の代表例を以下に示す。
【0013】
(1)ポリプロピレン
日本ポリケム(株)製、BC8、BC4L、BC4LA
出光石油化学(株)製、J466HP、J762HP、J2021GR、J3021GR、
(2)高密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、HJ490、HJ580、HJ560、HJ360
(3)低密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、LE520H、LF660H、LF542M、LC522、LC500、LC621、LJ800
(4)直鎖状低密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、UJ960、UJ370、UJ580、UJ480、UJ990、UJ790
【0014】
本発明に使用する紙樹脂は、従来スプールに使用していたポリオレフィン樹脂と比較して、成形収縮率が約1/4であるため、スプールインサイド寸法の温度変化による伸縮が従来品と比べて約1/4となる。そのため、遮光紙とのオーバーラップ分の精度が向上する。その結果、遮光性が向上し、巻き太りを防止することができる。なお、オーバーラップ分は、遮光紙の幅とスプールインサイド寸法との差で表される。
【0015】
また、紙樹脂はポリオレフィン樹脂と比較して燃焼カロリーが少なく、灰がほとんど出ないため易焼却性を有する。たとえば、ポリエチレンの焼却カロリーは11,100kcal/kgであるが、再生木質パルプを51質量%含む紙樹脂の焼却カロリーは7,300〜7,800kcal/kgである。
さらに、紙樹脂は弾性率が30,000kgf/cm2(294,000N/cm2)と剛性が高いため、加重による変形が少ないという利点も有している。
【0016】
スプールは光によってカブリが生じる感光フィルムを遮光紙と共に光から保護しているため、当然遮光性が必要である。そのためにスプールに添加する遮光性物質の代表例を、以下に記載する。
【0017】
(1)無機化合物
A.酸化物:シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊維等。
B.水酸化物:水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等。
C.炭酸塩:炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーンナイト等。
D.(亜)硫酸塩:硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等。
E.ケイ酸塩:タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等
F.炭素:カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球等。
G.その他:鉄粉、銅粉、鉛粉、錫粉、ステンレス粉、バール顔料、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ゼオライト、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、アルミニウムペースト等。
これらの中でも、スプールに用いる遮光物質として、使用する上で写真感光材料に対し、カブリの発生が少なく、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きい点でカーボンブラックが好ましい。
【0018】
カーボンブラックの原料による分類例をあげると、ガスブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジタブルブラック等がある。本発明では遮光性確保、コスト、物性向上、写真特性に悪影響を及ぼさない等の目的でファーネスカーボンブラックが望ましく、高価ではあるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレンカーボンブラック、変則副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが望ましい。
【0019】
カーボンブラックの中でもpH(JIS K 6221で測定)が6.0〜9.0、好ましくは6.5〜8.5、平均粒子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜120μm、特に12〜70μmのものが好ましく、これらの中でも特に揮発成分(JIS K 6221で測定)が3.5%以下、最も好ましくは1.5%以下、DBP吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測定)が50ml/100g以上、最も好ましくは70ml/100g以上のファーネスカーボンブラックである。チャンネルカーボンブラックは高価な上に、揮発成分が5.0%を超えるものが殆どで写真感光材料にカブリを発生させるものが多く好ましくない。ランプブラックもpHが5.0以下のものがほとんどで写真性に悪影響を及ぼすので、どうしても使用する必要がある場合でも写真性に及ぼす影響を調査して選択すべきである。また、ASTM D 1619−60の測定方法による硫黄成分は0.9%以下、好ましくは0.7%以下にしないと写真性に悪影響を及ぼす。特に遊離硫黄成分は0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下のものを選択することが好ましい。
【0020】
好ましいカーボンブラックの実際の製品としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#20(B)、#30(B)、#33(B)、#40(B)、44(B)、#45(B)、#50、#55、#100、#600、#2200(B)、#2400(B)、MA8、MA11、MA100等があげられる。海外の製品としては、例えばキャボット社のBlack Pearls 2、46、70、71、74、80、81、607等、Regal 300、330、400、660、991、SRF−S等、Vulcan3、6等、Sterling 10、SO、V、S、FT−FF、MT−FF等があげられる。さらに、アシュランド・ケミカル社のUniteelR、BB、15、102、3001、3004、3006、3007、3008、3009、3011、3012、XC−3016、XC−3017、3020等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
ファーネスカーボンブラックの添加量は、価格、スプールの物理強度確保、遮光性確保、写真的悪作用防止、射出成形性、外観等の点から、0.05〜3重量%が望ましい。ファーネスカーボンブラック添加量が0.05重量%未満では、スプールの肉厚を大きくしないと、遮光性の確保ができずに光カブリが発生する。肉厚を大きくして0.05重量%で遮光性を確保しようとすると成形サイクルが長くなり、ひけ等の成形故障が発生する上使用樹脂量が多くなりコストアップとなる。カーボン添加量が3重量%を超えると、高価になるだけでなくスプールの物理強度が低下しウエルドラインが発生する。また吸湿しやすくなって写真的悪作用が発生するだけでなく、スプールの外観不良(銀条、光沢ムラ、光沢低下)の発生、スプール表面の擦傷や磨耗も発生しやすくなる。さらに樹脂の流動性も悪化し射出成形性も低下する。
【0022】
遮光物質の分散剤としては、低分子量スチレン系重合体、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びこれらの誘導体類、エチレンビスアマイド類、及び、金属石鹸類から選ばれた1種または2種以上が用いられる。好ましくは、ステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸マグネシウムが用いられる。カーボンブラック含有マスターバッチペレットは、分散剤の添加による弊害が生じない程度に分散剤を含有できるがステアリン酸亜鉛の場合には最終の成形品で0.01〜0.3重量%が好ましく、最終の成形品で約0.3重量%を超えると最終成形品の光沢や成形時の金型につくスウェティング(発汗)を多くし成形品への異物付着故障を招く恐れがあり、またステアリン酸亜鉛が0.01重量%以下の場合にはその効果が十分発揮されない。
【0023】
また、スプールに滑剤を添加して、遮光紙側端との滑り性を良くし、巻太り防止効果を更に向上させてもよい。具体的な滑剤としては以下のものが例示される。
【0024】
(1)脂肪酸アミド系滑剤
(飽和脂肪酸アミド系滑剤)
1)ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本化成)等。
2)ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライオン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸アマミッドAP−1(日本化成)、アマイドS・アマイドT(日東化学)、ニュートロン−2(日本精化)等。
(ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤)
3)パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18(日本精化)、アマイドP(日東化学)等。
4)ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン・アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等。
【0025】
(不飽和脂肪酸アミド系滑剤)
1)エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)等。
2)オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ライオン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュートロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、ダイヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマイドO(花王)等。
【0026】
(ビス脂肪酸アミド系滑剤)
1)メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドNKビス(日本化成)等。
2)メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミッド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン・アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等。
3)メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO(日本化成)等。
4)エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモスリップEBS(ライオン・アクゾ)等。
5)ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アマイド65(川研ファインケミカル)等。
6)ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマイド60(川研ファインケミカル)等。
【0027】
(2)非イオン界面活性剤系滑剤;エレクトロストリッパーTS−2、エレクトロストリッパーTS−3(花王石鹸)等。
(3)炭酸水素系滑剤;流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、ポリエチレンワックス(分子量6000以下が好ましい)、ポリプロピレンワックス(分子量6000以下が好ましい)、塩素化炭化水素、フルオロカルボン等。
(4)脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12以上が好ましく、具体的にはカブロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ脂肪酸等。
(5)エステル系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル等。
【0028】
(6)アルコール系滑剤;多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール。
(7)金属石鹸;ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、乳酸、フタル酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、K、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cd等の金属との化合物があげられ、好ましいものはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等である。
(8)モンタン酸エステル部分鹸化物(9)シリコーン系滑剤;各種グレードのジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコーン、東レシリコーン)
好ましくは、オルガノポリシロキサン類の粘度が1000〜60000CSのジメチルポリシロキサン構造のものが0.05〜2.20重量%の範囲で添加されることが好ましい。
【0029】
スプールには、適宜各種添加剤を配合することができる。具体的には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、帯電防止剤、または、スプールの収縮率を下げるため、アルミナ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、酸化チタン、シリカ等等の充填剤やガラスロービング、金属繊維、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維等の補強剤を添加してもよい。
【0030】
遮光紙に用いられる紙支持体は特に限定されるものでなく、天然パルプを主原料とした紙支持体のほか、必要に応じて天然パルプと合成繊維もしくは合成パルプとを任意の比率に混合した紙支持体を用いることができる。また、最近公害対策としてリサイクルが推進されている再生パルプや故紙を適当量混合した紙支持体や再生パルプや故紙からなる紙層を天然パルプからなる紙層と抄き合わせた多層構成の紙支持体を用いることができる。
【0031】
天然パルプとしては、針葉樹、広葉樹、針葉樹広葉樹混合のクラフトパルプが好ましく、クラフトパルプに併用される天然パルプとしては、サルファイドパルプが望ましいが、SCP、CGP、TMP、RGP等の高収率パルプも適量併用することもできる。
【0032】
紙支持体中には紙料スラリーの調整時に各種の添加剤を含有せしめることができる。特に、サイズ剤として、脂肪酸金属塩及び/又は脂肪酸、特公昭62−7534号公報に記載されたアルキルケテンダイマー乳化物もくしはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニル又はアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体;乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性、又は良性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉(例えば、特開平3−171042号公報)、植物性ガラクトマンナン等;潤滑紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等;充填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等;定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等;pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等、その他特開昭63−204251号公報、特開平1−266537号公報等に記載された着色顔料、着色染料、蛍光像白剤などを適宜組み合わせて含有せしめることが望ましい。
【0033】
紙支持体中には、更に、各種の水溶性ポリマー、ラテックス、エマルジョン及び帯電防止剤等の添加剤を各種の塗布方法、スプレーやタブサイズ、サイズプレス等によって含有せしめることができる。
【0034】
水溶性ポリマーとしては、特開平1−266537号公報に記載された澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルローズ系ポリマーなど;帯電防止剤としては、ポリオキシエチレングリコール類等に代表される非イオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩に代表される陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルキルアミン誘導体、脂肪酸誘導体、各種滑剤、カーボンブラック、グラファイト、金属表面被覆顔料、金属粉末、金属フレーム、炭素繊維、金属繊維、ウィスカー(チタン酸カリウム、窒化アルミナ、アルミナ)等の導電性物質があり、具体的化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤などが挙げられる。
【0035】
ラテックス、エマルジョン類として、石油樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸−ブタジェン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体等のラテックス;顔料としてクレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることが望ましい。
【0036】
また、紙支持体単独で完全遮光を、または、後工程にて遮光層を付与する場合でも、補助遮光層として黒紙を遮光紙支持体に使用してもよいが、平均粒子径が15μm〜80μmのファーネスカーボンブラック1重量%〜15重量%、平均粒子径0.1μm〜5μmの合成ゼオライト0.1重量%〜10重量%を含む黒色の紙支持体が好ましい。特に上記黒色の紙支持体中にさらにカチオン性水溶性高分子0.01重量%〜5重量%と黒色又は青色のカチオン染料(発色部に正電荷を持つジアリールメタン系、トリアリルメタン系、チアゾール系、メチン系、キサンチン系、オキサジン系、チアジン系、アゾ系、アントラキノン系等の染料)0.1重量%〜2重量%を含む黒色支持体を使用してもよい。
【0037】
次いで、内添薬品を添加した紙料スラリーについて、例えば、特開昭58−37642号公報、特開昭61−260240号公報、特開昭61−284762号公報等に記載されているような適切な抄紙方法を採用し、長網抄紙機、丸網抄紙機など通常用いられる抄紙機を用いて、均一な地合が得られるように抄造し、更に抄造後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いてカレンダー処理することにより、紙支持体としては、坪量は50g/m2〜100g/m2、好ましくは60g/m2〜90g/m2、厚みは45μm〜120μm、好ましくは60μm〜100μmの範囲で、又物理性能としては、感光材料に擦り傷や圧力カブリ等紙支持体表面の凹凸による悪影響を防止し、感光材料との隙間をなくし遮光性、防湿性を向上させるためにJISP−8119に規定されるベック平滑度は90秒以上の平滑度を有する原紙が好ましく、特に120秒以上で、透気度(JISP−8117)は500秒以上を有し、サイズ度は後工程、或いは遮光紙の耐水、耐湿性からステキヒドサイズ(JISP−8122)で10秒以上を有する支持体が好ましい。
【0038】
遮光層を紙支持体の裏面に加工する熱可塑性樹脂としては、USP−2646365、USP−2646366、USP−2751309、USP−2959492、FR−1449852、特公昭51−49205号、特開昭48−22020号、同50−67644号、同55−140835号、同58−17434号、同58−186744号、同59−68238号、同60−35728号、特開平6−51450号等に記載の低密度、中密度、高密度、線状低密度の各種ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、エチレン酢酸ビニル等のポリビニル系、エチレンエチルアクリレートやエチレンメチルアクリレート等のアクリル系、スチレン・ブタジェン等のゴム系、アイオノマ等の単体、グラフト重合体ポリアミド系、ポリエチレン・テレフタレート等のポリエステル系、等の単体、二種以上のブレンド、或いはコポリマー等が挙げられる。上記樹脂は二層以上の層として設けてもよい。
【0039】
樹脂に添加される遮光性物質としては、隠蔽力の優れた光吸収性遮光物質であるカーボンブラック、窒化チタンとグラファイトが好ましく、遮光性、コスト、物性向上の目的では、カーボンブラックがよい。特に、ファーネスカーボンブラックが一般的で好ましいが、チャンネル、サーマルいずれの方法によって製造されたものでもよい。特に帯電防止効果を有する遮光物質としてはアセチレンカーボンブラック、変性副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが望ましい。
【0040】
カーボンブラックの中でも特に、pH6.0〜9.0、平均粒子径10μm〜120μm、好ましくは15μm〜100μm、特に好ましくは20μm〜80μm、揮発成分が2.0%以下、好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下、吸油量が50ml/100g以上、好ましくは70ml/100g以上、特に好ましくは100ml/100g以上のファーネスカーボンブラックが好ましい。このようなカーボンブラックを用いると、遮光紙として使用する上でカブリの発生がなく、感光度の増減に影響を及ぼさず、遮光能力が大きく、樹脂に添加した場合でもブツやフィシュアイ等フィルム或いは皮膜中にピンホールが発生しにくい。また、遮光性向上と分散性向上、写真感光材料への悪影響が少なく物理特性低下の少ない点で好ましい。
実際の製品としては、スプールに添加するカーボンブラックと同様のものを挙げることができる。
【0041】
これらの遮光物質を4重量%〜30重量%含有した樹脂を紙支持体上に設ける手段として大きく3つの方法に分けられる。
その1つとしては、樹脂を有機溶剤もしくは水等に分散或いは溶解した液を紙上に塗布し嵌装させる方法である。塗布方式としては、例えばリバースワール法、ブレード法、エアナイフ法、ロッド法、カーテン法、エクストルージョン法或いはグラビア法によって塗布できるが、これに限定されるものではない。これらの方法によって得られる樹脂層の乾燥皮膜厚としては1μm〜25μmが適当である。
【0042】
2番目の方法としては、樹脂を熱溶融させてそれを紙支持体に設ける方法がある。塗布方法としては、エクストルージョン法が一般的であるが、他の塗布方法でも差し支えない。この方法で得られる樹脂層の乾燥皮膜厚としては、5μm〜60μmが適当である。
【0043】
3番目の方法としては、インフレーション法、Tダイ法、キャスト法、ロール法にて均一なフィルムを20μm〜40μmの皮膜厚で製膜し、巻取り後、ポリウレタン系、ポリエーテル系等の1〜3g/m2の接着剤にてドライラミし固着させる方式であるが、本発明に使用される遮光紙はどの方式で作成されても差し支えがない。
【0044】
遮光紙の表面に機能上必要な文字や記号、或いは、商品価値を高めるために印刷が施されているが、これらの印刷に使用されるインキとしては、感光材料に無害なものが一般に使用されている。代表的な合成樹脂は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリエステル、ポリアミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マレイン酸、エチレン酢ビ、ビニールエーテル、ウレタン酢ビ、塩酢ビウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性フェノール樹脂,アルカリ可溶型樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、ハイドロゾル型樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン樹脂、スチレンアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合体樹脂、メタクリル酸エステル共重合体樹脂)が挙げられる。
【0045】
UVインキ用の樹脂としてはアクリル系不飽和基を持つポリマーが一般的に使用されており、代表的な例としては、ポリエステル/アクリル酸エステル、ポリエステル/ウレタン樹脂/アクリル酸エステル、エポキシ樹脂/アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシエチルメタクレートが挙げられる。
【0046】
また、これらのインキには一般的に知られている着色剤が併用される。使用される着色剤としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン2B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ(PY−1、−3)、ジスアゾイエロ(PY−12、−13、−14、−17、−83)、ピラゾロオレンジ(PO−B−34)、バルカンオレンジ(PO−16)、総合アゾ系;クロモフタルイエロ(PY−93、−95)、クロモフタルレッド(PR−144、−166))、多環式顔料(フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー(PB−15、−15−1、−15−3)、銅フタロシアニングリーン(PG−7)、シオキサジン系;シオキサジンバイオレット(PV−23)、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ(PY−109,−110)、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等が挙げられる。
【0047】
また、これらの顔料は遮光性物質として前述の樹脂層、紙層等に添加しても構わない。この他に油溶性染料、分散性染料等も使用される)。その他、インキを構成する原材料として必要に応じて各種溶剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、安定剤、架橋剤、ワックス、ドライヤー等の添加剤が使用される。
【0048】
また、表面の光沢及び表面印刷箇所の保護のために保護層(ラッカーコート層又はニスとも呼ばれる)を塗工しても構わない。この時用いる保護層の種類としては、アクリル樹脂、酢酸繊維素等のセルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマ樹脂、EEA樹脂、各種ポリエチレン樹脂(低密度、高密度、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン樹脂等適宜の樹脂が使用できる。又ワックス等も使用できる。
【0049】
また、遮光紙の特性の一つとしては剛性がある。カメラ装填時、スプールスリット部への挿入性等操作性からある程度の剛性が必要であるが、巻太り、巻取り後の巻弛みからは逆に柔軟性が要求される。したがって、剛性としては、ガーレー式柔軟度で100〜200mgf(0.98×10−3〜1.96×10−3N)、好ましくは120〜160mgf(1.18×10−3〜1.57×10−3N)が好ましい。
【0050】
本発明の一実施態様である120型の写真用ロールフィルム1は、図1に示すような外観をしている。写真用ロールフィルム1に用いられる120型の写真フィルム2は、図2に示すように、ベース面側に裏紙としての遮光紙3が接着テープ4で固定されている。遮光紙3の先端部3a、後端部3bは、それぞれ先端が幅狭に形成されている。
【0051】
スプール5は、図3に示すように、軸部6の両端部に遮光紙3の両サイド縁を規制する一対のフランジ7が形成され、また軸部6の中央部にスリット8が軸方向に長く形成されている。なお、スプール5の成形時には、フランジ7近傍の軸部6に肉盗みを実施して凹部6aを形成する。これにより、フランジ7の付け根部分の冷却遅れが防止され、フランジ円周上の収縮程度のバラツキがなくなるから、後述するスプールインサイド寸法がフランジ7の全周で均一になる。
【0052】
写真用ロールフィルム1は、遮光紙3の後端部3bが軸部6のスリット8に挿入され、軸部6の周りに遮光紙3付きの写真フィルム2が乳剤面を内側にして巻き付けられたもので、遮光紙3の先端部3aは所定の幅で折られて接着テープ9によって固定されている。なお、各フランジ7の中央部には、カメラのキー軸に係合されるチャッキング溝10(図1参照)が形成されている。このチャッキング溝10の形状としては、十字形としてもよいが、本実施形態ではスリット8の開口部の位置決めを容易にして自動装填を可能とするため、スリット8の長手方向と直角な方向に細長いI字形に形成してある。
【0053】
遮光紙3のサイド端とフランジ7の内壁面7aとの間に隙間があってはならないから、遮光紙3の幅D1は内壁面7a間の距離(スプールインサイド寸法)D2と等しいか、わずかに広くなっている。また、幅D1がスプールインサイド寸法D2より広過ぎると遮光紙3が巻き締まらず、巻径が大きくなる巻太りが発生しやすくなる。すなわち、常温(23℃)でD1=D2+(0.10〜0.30mm)とすることが好ましいことが分かった。
【0054】
本発明の一実施形態では、常温において、幅D1の長さは62.80mmであり、また、スプールインサイド寸法D2は62.70mm(フランジ外周端より1.0mm〜1.5mm内側で測定)である。なお、幅D1をスプールインサイド寸法D2より200μmを超えて広くした場合には、バックテンションをかけないフリーテンションで巻付け作業を行なうと、巻太り傾向になることが分かっている。
【0055】
フランジの内壁面7aは、平面であっても、軸部6の同心円状に溝を設けてあってもよい。
フランジの内壁面7aに溝を設ける場合、溝は、軸部6からフランジの幅方向の6/11〜9/11の位置、好ましくは6/11〜7/11の位置、すなわち遮光紙のみが巻かれた巻き始め部分と写真フィルムと遮光紙とが巻かれた部分とに相当する位置に設けることが好ましい。溝の断面形状は湾曲していること(円弧状であること)が、スプールを成型金型から取り出す際に、フランジに傷が付きにくいなど製造上の理由により好ましい。溝の最も深い部分と溝が設けられていない部分との段差(溝の深さ)は0.02〜0.3mmの範囲内が好ましく、0.1〜0.2mmの範囲内がより好ましい。溝を設けることで、巻き初め部分と写真フィルムと遮光紙とが巻かれた部分とはフランジとの間に隙間が広くなるので、遮光紙をスプールコアに巻きつける際に巻太りしにくくなる。一方、巻き終わり部分では、フランジの内側距離が短くなるので、遮光紙とフランジとの隙間ができにくくなる。巻き終わり部分では、そこでのフランジの内側距離に対して、遮光紙の幅が0.03〜0.6mmの範囲で広いことが好ましい。
【0056】
軸部6の軸径φ2は、従来のISO規格では11.2〜12.1mmとなっているが、これが細いと巻癖の問題が生じるおそれがあるから、11.8mm〜12.0mmとすることが好ましい。また、フランジ7の外径寸法φ3は、ISO規格は25.0〜25.3mmであるが25.2mm−0.2mm〜+0.1mmとすることが好ましい。
【0057】
本発明の別の実施態様である220型の写真用ロールフィルム22は、図4に示すように、リーダーペーパー、トレーラーと称される遮光紙24、25が前後に接着テープ26、27により接合されており、裏紙としての遮光紙は設けられていない。このため、写真フィルム22は120型の2倍の長さを有し、撮影可能なコマ数も2倍となっているが、軸部6に巻き付けた状態では、120型よりやや太くなるだけで、フランジ7の外径寸法φ3内に十分納まる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)
1.スプールの作製
再生木質パルプ分51質量%、ポリスチレン49質量%である紙樹脂(ザイ#0006、昭和丸筒製)100質量部にカーボンブラック(カーボン#950B、三菱化成(株)製)2質量部を混錬したペレットで、120型写真ロールフィルム用スプールを射出成形によって作製した。
【0059】
2.写真用ロールフィルムの作製
長尺状遮光紙(長さ145cm、幅62.75mm)を、含水率3重量%に調湿し、表面に長尺状写真フィルムを重ね合わせ、写真フィルムの端部を粘着テープで固定して、写真フィルムと遮光紙との積層体を作成した。次いで、その端部を作製したスプールのスリットに挿入し、写真フィルムが内側になるようにスプールの軸部に多重に巻き付けて、後端部をテープで固定し、120型写真用ロールフィルムを作製した。なお、写真用ロールフィルムの作製は温度23℃、湿度50%RHの部屋で行った。
【0060】
(比較例1)
実施例1において、紙樹脂100質量部をポリスチレン100質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
【0061】
(実施例2、3)
実施例1において、紙樹脂に含まれる再生木質パルプ分51質量%を、それぞれ20質量%、70質量%に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1において、紙樹脂に含まれる再生木質パルプ分51質量%を80質量%に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
【0062】
(評価方法)
(1)スプールインサイド寸法の変化
スプール及び遮光紙を以下の条件で保存した後、スプールインサイド寸法及び遮光紙の幅を測定した。
1)23℃、湿度50%RH、4日間(シーズニング)
2)−20℃、湿度0%RH、4日間
3)40℃、湿度40%RH、4日間
【0063】
(2)遮光性
23℃、湿度50%RH、10万Luxの明室に5分間放置した写真フィルムの縁Fogの大きさにより評価した。
実施例1及び比較例1については、−20℃、湿度0%RH及び40℃、湿度40%RHでも評価を行った。
【0064】
(3)巻き太り性
バックテンションをかけないフリーテンションでの巻き付け作業による巻き上がり寸法により評価した。評価は23℃、湿度50%RHで行った。
実施例1及び比較例1については、−20℃、湿度0%RH及び40℃、湿度40%RHでも評価を行った。
【0065】
(4)耐久性
スプールの破壊強度により評価した。評価は23℃、湿度50%RHで行った。
【0066】
(5)環境性
スプールの焼却カロリーにより評価した。
遮光性、巻き太り性、耐久性および環境性の測定結果を以下の3段階で示した。○及び△が実用範囲である。
○:目標品質を十分達成できる。
△:目標品質を何とか達成できる。
×:目標品質を達成できない。
【0067】
表1にスプールインサイド寸法の変化及び−20℃及び40℃における遮光性及び巻き太り性の評価結果を示す。
表2に、遮光性、巻き太り性、耐久性及び環境性の評価結果をまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、スプールの環境性や耐久性がよく、巻き太りが防止され、遮光性のよい写真用ロールフィルムを得ることができる。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真用ロールフィルムの外観の一例を示す斜視図である。
【図2】120型の遮光紙付き写真フィルムの一例を示す説明図である。
【図3】スプールの一例を示す側面図である。
【図4】220型の写真フィルムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 写真用ロールフィルム
2、22 写真フィルム
3、24、25 遮光紙
3a 先端部
3b 後端部
4、9、26、27 テープ
5 スプール
6 軸部
6a 凹部
7 フランジ
7a 内壁面
8 スリット
10 チャッキング溝
D1 遮光紙の幅
D2 スプールインサイド寸法
φ2 軸部の軸径
φ3 フランジの外径
【発明の属する技術分野】
本発明は、120型、220型等の写真用ロールフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真用ロールフィルムは、両端にフランジが形成されたスプールの軸部に遮光紙付きの写真フィルムを巻き付けたもので、120型と220型が知られている。120型の写真用ロールフィルムは、写真フィルムのベース面側に遮光紙を裏紙として固定し、この遮光紙ごとスプールの軸部に巻き付けたものである。また、220型の写真用ロールフィルムは、裏紙としての遮光紙は省略し、リーダーペーパー、トレーラーと称される遮光紙をその前後に固定し、120型より写真フィルムの長さを長くして撮影コマ数を多くしたものである。この120型、220型のいずれにおいても、遮光紙のサイド端とフランジの内壁との間の遮光性を良好にするため、遮光紙の幅はフランジ間の距離と同じかそれよりやや長くしてある。
【0003】
スプールは樹脂製であり、一般的にはポリスチレン樹脂が用いられている。しかし、樹脂製のスプールは、変形しやすいために耐久性に乏しく、再利用するのは困難であった。また、焼却カロリーが高いため、環境への負荷も大きい。
さらに、スプールは樹脂製であるから温度変化によって伸縮する。特にフランジ間の距離であるスプールインサイド寸法と温度との関係は、ポリスチレン樹脂の場合約4.5μm/℃〜5.0μm/℃の勾配を有する直線となる。すなわち、一般に撮影される温度範囲−20℃〜40℃で、スプールインサイド寸法は約0.26mm〜0.30mmの寸法変化を生じる。
【0004】
一方、遮光紙の幅は、温湿度によって変化する遮光紙の含水率によって大きく変化し、約80μm〜110μm/含水率(%)であるが、スプールに巻き付けられた状態で2時間放置した後の寸法変化は、温湿度変化によるスプールインサイド寸法の変化率に比べて極めて少ない。したがって、遮光紙の幅とスプールインサイド寸法との差(オーバーラップ量)は、温度によって変化する。
【0005】
温度が低温であると、スプールインサイド寸法は減少するため、オーバーラップ量が増加し、巻太りが発生する。また逆に高温ではスプールインサイド寸法が増加するため、オーバーラップ量が減少し、フランジの内壁と遮光紙のサイド縁との間に隙間が生じるために写真フィルムの縁に外光によるカブリ(縁Fog)が発生する。
【0006】
温度変化による遮光性の悪化や巻き太りの発生を改善するために、スプールのフランジの内壁に、フランジ軸の同心円状に溝を設けた写真用ロールフィルムが提案されている(特許文献1参照)。また、遮光紙の中央部の幅を両端部の幅よりも短くした120型写真ロールフィルムが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−288335号公報
【特許文献2】
特開2000−131810号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、環境への負荷が少なく、耐久性に優れたスプールを用いて、巻き太りがなく遮光性のよい写真用ロールフィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の(1)によって解決された。
(1)少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる写真用ロールフィルムにおいて、前記スプールが5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及びポリオレフィン樹脂の混合物から作製されたことを特徴とする写真用ロールフィルム。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の写真用ロールフィルムは、少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる。
【0011】
本発明に使用するスプールは、5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及び30質量%以上95質量%以下のポリオレフィン樹脂の混合物(以下、「紙樹脂」という。)から作製される。
本発明に用いる紙樹脂は、古紙等の再生木質パルプ5〜70質量%、ポリオレフィン樹脂30〜95質量%であるが、再生木質パルプ20〜70質量%、ポリオレフィン樹脂30〜80質量%であることが好ましく、再生木質パルプ51〜60質量%、ポリオレフィン樹脂49〜40質量%であることが更に好ましい。ポリオレフィン樹脂が30質量%よりも少ないと、紙樹脂の強度が不足する。ポリオレフィン樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0012】
ポリオレフィン樹脂としては、シャルピー衝撃強さが6.0KJ/m2以上、又は引長破壊呼び歪が200%以上のものを用いることが好ましく使用できる。本発明のロール支持部材に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。これら熱可塑性樹脂の市販品の代表例を以下に示す。
【0013】
(1)ポリプロピレン
日本ポリケム(株)製、BC8、BC4L、BC4LA
出光石油化学(株)製、J466HP、J762HP、J2021GR、J3021GR、
(2)高密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、HJ490、HJ580、HJ560、HJ360
(3)低密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、LE520H、LF660H、LF542M、LC522、LC500、LC621、LJ800
(4)直鎖状低密度ポリエチレン
日本ポリケム(株)製、UJ960、UJ370、UJ580、UJ480、UJ990、UJ790
【0014】
本発明に使用する紙樹脂は、従来スプールに使用していたポリオレフィン樹脂と比較して、成形収縮率が約1/4であるため、スプールインサイド寸法の温度変化による伸縮が従来品と比べて約1/4となる。そのため、遮光紙とのオーバーラップ分の精度が向上する。その結果、遮光性が向上し、巻き太りを防止することができる。なお、オーバーラップ分は、遮光紙の幅とスプールインサイド寸法との差で表される。
【0015】
また、紙樹脂はポリオレフィン樹脂と比較して燃焼カロリーが少なく、灰がほとんど出ないため易焼却性を有する。たとえば、ポリエチレンの焼却カロリーは11,100kcal/kgであるが、再生木質パルプを51質量%含む紙樹脂の焼却カロリーは7,300〜7,800kcal/kgである。
さらに、紙樹脂は弾性率が30,000kgf/cm2(294,000N/cm2)と剛性が高いため、加重による変形が少ないという利点も有している。
【0016】
スプールは光によってカブリが生じる感光フィルムを遮光紙と共に光から保護しているため、当然遮光性が必要である。そのためにスプールに添加する遮光性物質の代表例を、以下に記載する。
【0017】
(1)無機化合物
A.酸化物:シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊維等。
B.水酸化物:水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等。
C.炭酸塩:炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーンナイト等。
D.(亜)硫酸塩:硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等。
E.ケイ酸塩:タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等
F.炭素:カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球等。
G.その他:鉄粉、銅粉、鉛粉、錫粉、ステンレス粉、バール顔料、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ゼオライト、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、アルミニウムペースト等。
これらの中でも、スプールに用いる遮光物質として、使用する上で写真感光材料に対し、カブリの発生が少なく、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きい点でカーボンブラックが好ましい。
【0018】
カーボンブラックの原料による分類例をあげると、ガスブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジタブルブラック等がある。本発明では遮光性確保、コスト、物性向上、写真特性に悪影響を及ぼさない等の目的でファーネスカーボンブラックが望ましく、高価ではあるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレンカーボンブラック、変則副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが望ましい。
【0019】
カーボンブラックの中でもpH(JIS K 6221で測定)が6.0〜9.0、好ましくは6.5〜8.5、平均粒子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜120μm、特に12〜70μmのものが好ましく、これらの中でも特に揮発成分(JIS K 6221で測定)が3.5%以下、最も好ましくは1.5%以下、DBP吸油量(JIS K 6221の吸油量A法で測定)が50ml/100g以上、最も好ましくは70ml/100g以上のファーネスカーボンブラックである。チャンネルカーボンブラックは高価な上に、揮発成分が5.0%を超えるものが殆どで写真感光材料にカブリを発生させるものが多く好ましくない。ランプブラックもpHが5.0以下のものがほとんどで写真性に悪影響を及ぼすので、どうしても使用する必要がある場合でも写真性に及ぼす影響を調査して選択すべきである。また、ASTM D 1619−60の測定方法による硫黄成分は0.9%以下、好ましくは0.7%以下にしないと写真性に悪影響を及ぼす。特に遊離硫黄成分は0.1%以下、最も好ましくは0.05%以下のものを選択することが好ましい。
【0020】
好ましいカーボンブラックの実際の製品としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#20(B)、#30(B)、#33(B)、#40(B)、44(B)、#45(B)、#50、#55、#100、#600、#2200(B)、#2400(B)、MA8、MA11、MA100等があげられる。海外の製品としては、例えばキャボット社のBlack Pearls 2、46、70、71、74、80、81、607等、Regal 300、330、400、660、991、SRF−S等、Vulcan3、6等、Sterling 10、SO、V、S、FT−FF、MT−FF等があげられる。さらに、アシュランド・ケミカル社のUniteelR、BB、15、102、3001、3004、3006、3007、3008、3009、3011、3012、XC−3016、XC−3017、3020等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
ファーネスカーボンブラックの添加量は、価格、スプールの物理強度確保、遮光性確保、写真的悪作用防止、射出成形性、外観等の点から、0.05〜3重量%が望ましい。ファーネスカーボンブラック添加量が0.05重量%未満では、スプールの肉厚を大きくしないと、遮光性の確保ができずに光カブリが発生する。肉厚を大きくして0.05重量%で遮光性を確保しようとすると成形サイクルが長くなり、ひけ等の成形故障が発生する上使用樹脂量が多くなりコストアップとなる。カーボン添加量が3重量%を超えると、高価になるだけでなくスプールの物理強度が低下しウエルドラインが発生する。また吸湿しやすくなって写真的悪作用が発生するだけでなく、スプールの外観不良(銀条、光沢ムラ、光沢低下)の発生、スプール表面の擦傷や磨耗も発生しやすくなる。さらに樹脂の流動性も悪化し射出成形性も低下する。
【0022】
遮光物質の分散剤としては、低分子量スチレン系重合体、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びこれらの誘導体類、エチレンビスアマイド類、及び、金属石鹸類から選ばれた1種または2種以上が用いられる。好ましくは、ステアリン酸亜鉛あるいはステアリン酸マグネシウムが用いられる。カーボンブラック含有マスターバッチペレットは、分散剤の添加による弊害が生じない程度に分散剤を含有できるがステアリン酸亜鉛の場合には最終の成形品で0.01〜0.3重量%が好ましく、最終の成形品で約0.3重量%を超えると最終成形品の光沢や成形時の金型につくスウェティング(発汗)を多くし成形品への異物付着故障を招く恐れがあり、またステアリン酸亜鉛が0.01重量%以下の場合にはその効果が十分発揮されない。
【0023】
また、スプールに滑剤を添加して、遮光紙側端との滑り性を良くし、巻太り防止効果を更に向上させてもよい。具体的な滑剤としては以下のものが例示される。
【0024】
(1)脂肪酸アミド系滑剤
(飽和脂肪酸アミド系滑剤)
1)ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本化成)等。
2)ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライオン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸アマミッドAP−1(日本化成)、アマイドS・アマイドT(日東化学)、ニュートロン−2(日本精化)等。
(ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤)
3)パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18(日本精化)、アマイドP(日東化学)等。
4)ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン・アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等。
【0025】
(不飽和脂肪酸アミド系滑剤)
1)エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)等。
2)オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ライオン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュートロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、ダイヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマイドO(花王)等。
【0026】
(ビス脂肪酸アミド系滑剤)
1)メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドNKビス(日本化成)等。
2)メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミッド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン・アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等。
3)メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO(日本化成)等。
4)エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモスリップEBS(ライオン・アクゾ)等。
5)ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アマイド65(川研ファインケミカル)等。
6)ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマイド60(川研ファインケミカル)等。
【0027】
(2)非イオン界面活性剤系滑剤;エレクトロストリッパーTS−2、エレクトロストリッパーTS−3(花王石鹸)等。
(3)炭酸水素系滑剤;流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、ポリエチレンワックス(分子量6000以下が好ましい)、ポリプロピレンワックス(分子量6000以下が好ましい)、塩素化炭化水素、フルオロカルボン等。
(4)脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12以上が好ましく、具体的にはカブロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ脂肪酸等。
(5)エステル系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル等。
【0028】
(6)アルコール系滑剤;多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール。
(7)金属石鹸;ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、乳酸、フタル酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、K、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cd等の金属との化合物があげられ、好ましいものはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等である。
(8)モンタン酸エステル部分鹸化物(9)シリコーン系滑剤;各種グレードのジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコーン、東レシリコーン)
好ましくは、オルガノポリシロキサン類の粘度が1000〜60000CSのジメチルポリシロキサン構造のものが0.05〜2.20重量%の範囲で添加されることが好ましい。
【0029】
スプールには、適宜各種添加剤を配合することができる。具体的には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、帯電防止剤、または、スプールの収縮率を下げるため、アルミナ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、酸化チタン、シリカ等等の充填剤やガラスロービング、金属繊維、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維等の補強剤を添加してもよい。
【0030】
遮光紙に用いられる紙支持体は特に限定されるものでなく、天然パルプを主原料とした紙支持体のほか、必要に応じて天然パルプと合成繊維もしくは合成パルプとを任意の比率に混合した紙支持体を用いることができる。また、最近公害対策としてリサイクルが推進されている再生パルプや故紙を適当量混合した紙支持体や再生パルプや故紙からなる紙層を天然パルプからなる紙層と抄き合わせた多層構成の紙支持体を用いることができる。
【0031】
天然パルプとしては、針葉樹、広葉樹、針葉樹広葉樹混合のクラフトパルプが好ましく、クラフトパルプに併用される天然パルプとしては、サルファイドパルプが望ましいが、SCP、CGP、TMP、RGP等の高収率パルプも適量併用することもできる。
【0032】
紙支持体中には紙料スラリーの調整時に各種の添加剤を含有せしめることができる。特に、サイズ剤として、脂肪酸金属塩及び/又は脂肪酸、特公昭62−7534号公報に記載されたアルキルケテンダイマー乳化物もくしはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニル又はアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体;乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性、又は良性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉(例えば、特開平3−171042号公報)、植物性ガラクトマンナン等;潤滑紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等;充填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等;定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等;pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等、その他特開昭63−204251号公報、特開平1−266537号公報等に記載された着色顔料、着色染料、蛍光像白剤などを適宜組み合わせて含有せしめることが望ましい。
【0033】
紙支持体中には、更に、各種の水溶性ポリマー、ラテックス、エマルジョン及び帯電防止剤等の添加剤を各種の塗布方法、スプレーやタブサイズ、サイズプレス等によって含有せしめることができる。
【0034】
水溶性ポリマーとしては、特開平1−266537号公報に記載された澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルローズ系ポリマーなど;帯電防止剤としては、ポリオキシエチレングリコール類等に代表される非イオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩に代表される陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルキルアミン誘導体、脂肪酸誘導体、各種滑剤、カーボンブラック、グラファイト、金属表面被覆顔料、金属粉末、金属フレーム、炭素繊維、金属繊維、ウィスカー(チタン酸カリウム、窒化アルミナ、アルミナ)等の導電性物質があり、具体的化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤などが挙げられる。
【0035】
ラテックス、エマルジョン類として、石油樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸−ブタジェン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸エステル共重合体等のラテックス;顔料としてクレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることが望ましい。
【0036】
また、紙支持体単独で完全遮光を、または、後工程にて遮光層を付与する場合でも、補助遮光層として黒紙を遮光紙支持体に使用してもよいが、平均粒子径が15μm〜80μmのファーネスカーボンブラック1重量%〜15重量%、平均粒子径0.1μm〜5μmの合成ゼオライト0.1重量%〜10重量%を含む黒色の紙支持体が好ましい。特に上記黒色の紙支持体中にさらにカチオン性水溶性高分子0.01重量%〜5重量%と黒色又は青色のカチオン染料(発色部に正電荷を持つジアリールメタン系、トリアリルメタン系、チアゾール系、メチン系、キサンチン系、オキサジン系、チアジン系、アゾ系、アントラキノン系等の染料)0.1重量%〜2重量%を含む黒色支持体を使用してもよい。
【0037】
次いで、内添薬品を添加した紙料スラリーについて、例えば、特開昭58−37642号公報、特開昭61−260240号公報、特開昭61−284762号公報等に記載されているような適切な抄紙方法を採用し、長網抄紙機、丸網抄紙機など通常用いられる抄紙機を用いて、均一な地合が得られるように抄造し、更に抄造後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いてカレンダー処理することにより、紙支持体としては、坪量は50g/m2〜100g/m2、好ましくは60g/m2〜90g/m2、厚みは45μm〜120μm、好ましくは60μm〜100μmの範囲で、又物理性能としては、感光材料に擦り傷や圧力カブリ等紙支持体表面の凹凸による悪影響を防止し、感光材料との隙間をなくし遮光性、防湿性を向上させるためにJISP−8119に規定されるベック平滑度は90秒以上の平滑度を有する原紙が好ましく、特に120秒以上で、透気度(JISP−8117)は500秒以上を有し、サイズ度は後工程、或いは遮光紙の耐水、耐湿性からステキヒドサイズ(JISP−8122)で10秒以上を有する支持体が好ましい。
【0038】
遮光層を紙支持体の裏面に加工する熱可塑性樹脂としては、USP−2646365、USP−2646366、USP−2751309、USP−2959492、FR−1449852、特公昭51−49205号、特開昭48−22020号、同50−67644号、同55−140835号、同58−17434号、同58−186744号、同59−68238号、同60−35728号、特開平6−51450号等に記載の低密度、中密度、高密度、線状低密度の各種ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、エチレン酢酸ビニル等のポリビニル系、エチレンエチルアクリレートやエチレンメチルアクリレート等のアクリル系、スチレン・ブタジェン等のゴム系、アイオノマ等の単体、グラフト重合体ポリアミド系、ポリエチレン・テレフタレート等のポリエステル系、等の単体、二種以上のブレンド、或いはコポリマー等が挙げられる。上記樹脂は二層以上の層として設けてもよい。
【0039】
樹脂に添加される遮光性物質としては、隠蔽力の優れた光吸収性遮光物質であるカーボンブラック、窒化チタンとグラファイトが好ましく、遮光性、コスト、物性向上の目的では、カーボンブラックがよい。特に、ファーネスカーボンブラックが一般的で好ましいが、チャンネル、サーマルいずれの方法によって製造されたものでもよい。特に帯電防止効果を有する遮光物質としてはアセチレンカーボンブラック、変性副生カーボンブラックであるケッチェンカーボンブラックが望ましい。
【0040】
カーボンブラックの中でも特に、pH6.0〜9.0、平均粒子径10μm〜120μm、好ましくは15μm〜100μm、特に好ましくは20μm〜80μm、揮発成分が2.0%以下、好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下、吸油量が50ml/100g以上、好ましくは70ml/100g以上、特に好ましくは100ml/100g以上のファーネスカーボンブラックが好ましい。このようなカーボンブラックを用いると、遮光紙として使用する上でカブリの発生がなく、感光度の増減に影響を及ぼさず、遮光能力が大きく、樹脂に添加した場合でもブツやフィシュアイ等フィルム或いは皮膜中にピンホールが発生しにくい。また、遮光性向上と分散性向上、写真感光材料への悪影響が少なく物理特性低下の少ない点で好ましい。
実際の製品としては、スプールに添加するカーボンブラックと同様のものを挙げることができる。
【0041】
これらの遮光物質を4重量%〜30重量%含有した樹脂を紙支持体上に設ける手段として大きく3つの方法に分けられる。
その1つとしては、樹脂を有機溶剤もしくは水等に分散或いは溶解した液を紙上に塗布し嵌装させる方法である。塗布方式としては、例えばリバースワール法、ブレード法、エアナイフ法、ロッド法、カーテン法、エクストルージョン法或いはグラビア法によって塗布できるが、これに限定されるものではない。これらの方法によって得られる樹脂層の乾燥皮膜厚としては1μm〜25μmが適当である。
【0042】
2番目の方法としては、樹脂を熱溶融させてそれを紙支持体に設ける方法がある。塗布方法としては、エクストルージョン法が一般的であるが、他の塗布方法でも差し支えない。この方法で得られる樹脂層の乾燥皮膜厚としては、5μm〜60μmが適当である。
【0043】
3番目の方法としては、インフレーション法、Tダイ法、キャスト法、ロール法にて均一なフィルムを20μm〜40μmの皮膜厚で製膜し、巻取り後、ポリウレタン系、ポリエーテル系等の1〜3g/m2の接着剤にてドライラミし固着させる方式であるが、本発明に使用される遮光紙はどの方式で作成されても差し支えがない。
【0044】
遮光紙の表面に機能上必要な文字や記号、或いは、商品価値を高めるために印刷が施されているが、これらの印刷に使用されるインキとしては、感光材料に無害なものが一般に使用されている。代表的な合成樹脂は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリエステル、ポリアミドウレタン、ポリアクリル、ロジン変性マレイン酸、エチレン酢ビ、ビニールエーテル、ウレタン酢ビ、塩酢ビウレタン樹脂、変性アルキッド樹脂、変性フェノール樹脂,アルカリ可溶型樹脂(ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、ハイドロゾル型樹脂(スチレンマレイン酸樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、α−メチルスチレンアクリル酸樹脂、アクリル酸エステルアクリル酸樹脂、メタクリル酸エステルアクリル酸樹脂)、エマルジョン型樹脂(スチレン樹脂、スチレンアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合体樹脂、メタクリル酸エステル共重合体樹脂)が挙げられる。
【0045】
UVインキ用の樹脂としてはアクリル系不飽和基を持つポリマーが一般的に使用されており、代表的な例としては、ポリエステル/アクリル酸エステル、ポリエステル/ウレタン樹脂/アクリル酸エステル、エポキシ樹脂/アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシエチルメタクレートが挙げられる。
【0046】
また、これらのインキには一般的に知られている着色剤が併用される。使用される着色剤としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン2B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ(PY−1、−3)、ジスアゾイエロ(PY−12、−13、−14、−17、−83)、ピラゾロオレンジ(PO−B−34)、バルカンオレンジ(PO−16)、総合アゾ系;クロモフタルイエロ(PY−93、−95)、クロモフタルレッド(PR−144、−166))、多環式顔料(フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー(PB−15、−15−1、−15−3)、銅フタロシアニングリーン(PG−7)、シオキサジン系;シオキサジンバイオレット(PV−23)、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ(PY−109,−110)、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等が挙げられる。
【0047】
また、これらの顔料は遮光性物質として前述の樹脂層、紙層等に添加しても構わない。この他に油溶性染料、分散性染料等も使用される)。その他、インキを構成する原材料として必要に応じて各種溶剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、安定剤、架橋剤、ワックス、ドライヤー等の添加剤が使用される。
【0048】
また、表面の光沢及び表面印刷箇所の保護のために保護層(ラッカーコート層又はニスとも呼ばれる)を塗工しても構わない。この時用いる保護層の種類としては、アクリル樹脂、酢酸繊維素等のセルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマ樹脂、EEA樹脂、各種ポリエチレン樹脂(低密度、高密度、線状低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン樹脂等適宜の樹脂が使用できる。又ワックス等も使用できる。
【0049】
また、遮光紙の特性の一つとしては剛性がある。カメラ装填時、スプールスリット部への挿入性等操作性からある程度の剛性が必要であるが、巻太り、巻取り後の巻弛みからは逆に柔軟性が要求される。したがって、剛性としては、ガーレー式柔軟度で100〜200mgf(0.98×10−3〜1.96×10−3N)、好ましくは120〜160mgf(1.18×10−3〜1.57×10−3N)が好ましい。
【0050】
本発明の一実施態様である120型の写真用ロールフィルム1は、図1に示すような外観をしている。写真用ロールフィルム1に用いられる120型の写真フィルム2は、図2に示すように、ベース面側に裏紙としての遮光紙3が接着テープ4で固定されている。遮光紙3の先端部3a、後端部3bは、それぞれ先端が幅狭に形成されている。
【0051】
スプール5は、図3に示すように、軸部6の両端部に遮光紙3の両サイド縁を規制する一対のフランジ7が形成され、また軸部6の中央部にスリット8が軸方向に長く形成されている。なお、スプール5の成形時には、フランジ7近傍の軸部6に肉盗みを実施して凹部6aを形成する。これにより、フランジ7の付け根部分の冷却遅れが防止され、フランジ円周上の収縮程度のバラツキがなくなるから、後述するスプールインサイド寸法がフランジ7の全周で均一になる。
【0052】
写真用ロールフィルム1は、遮光紙3の後端部3bが軸部6のスリット8に挿入され、軸部6の周りに遮光紙3付きの写真フィルム2が乳剤面を内側にして巻き付けられたもので、遮光紙3の先端部3aは所定の幅で折られて接着テープ9によって固定されている。なお、各フランジ7の中央部には、カメラのキー軸に係合されるチャッキング溝10(図1参照)が形成されている。このチャッキング溝10の形状としては、十字形としてもよいが、本実施形態ではスリット8の開口部の位置決めを容易にして自動装填を可能とするため、スリット8の長手方向と直角な方向に細長いI字形に形成してある。
【0053】
遮光紙3のサイド端とフランジ7の内壁面7aとの間に隙間があってはならないから、遮光紙3の幅D1は内壁面7a間の距離(スプールインサイド寸法)D2と等しいか、わずかに広くなっている。また、幅D1がスプールインサイド寸法D2より広過ぎると遮光紙3が巻き締まらず、巻径が大きくなる巻太りが発生しやすくなる。すなわち、常温(23℃)でD1=D2+(0.10〜0.30mm)とすることが好ましいことが分かった。
【0054】
本発明の一実施形態では、常温において、幅D1の長さは62.80mmであり、また、スプールインサイド寸法D2は62.70mm(フランジ外周端より1.0mm〜1.5mm内側で測定)である。なお、幅D1をスプールインサイド寸法D2より200μmを超えて広くした場合には、バックテンションをかけないフリーテンションで巻付け作業を行なうと、巻太り傾向になることが分かっている。
【0055】
フランジの内壁面7aは、平面であっても、軸部6の同心円状に溝を設けてあってもよい。
フランジの内壁面7aに溝を設ける場合、溝は、軸部6からフランジの幅方向の6/11〜9/11の位置、好ましくは6/11〜7/11の位置、すなわち遮光紙のみが巻かれた巻き始め部分と写真フィルムと遮光紙とが巻かれた部分とに相当する位置に設けることが好ましい。溝の断面形状は湾曲していること(円弧状であること)が、スプールを成型金型から取り出す際に、フランジに傷が付きにくいなど製造上の理由により好ましい。溝の最も深い部分と溝が設けられていない部分との段差(溝の深さ)は0.02〜0.3mmの範囲内が好ましく、0.1〜0.2mmの範囲内がより好ましい。溝を設けることで、巻き初め部分と写真フィルムと遮光紙とが巻かれた部分とはフランジとの間に隙間が広くなるので、遮光紙をスプールコアに巻きつける際に巻太りしにくくなる。一方、巻き終わり部分では、フランジの内側距離が短くなるので、遮光紙とフランジとの隙間ができにくくなる。巻き終わり部分では、そこでのフランジの内側距離に対して、遮光紙の幅が0.03〜0.6mmの範囲で広いことが好ましい。
【0056】
軸部6の軸径φ2は、従来のISO規格では11.2〜12.1mmとなっているが、これが細いと巻癖の問題が生じるおそれがあるから、11.8mm〜12.0mmとすることが好ましい。また、フランジ7の外径寸法φ3は、ISO規格は25.0〜25.3mmであるが25.2mm−0.2mm〜+0.1mmとすることが好ましい。
【0057】
本発明の別の実施態様である220型の写真用ロールフィルム22は、図4に示すように、リーダーペーパー、トレーラーと称される遮光紙24、25が前後に接着テープ26、27により接合されており、裏紙としての遮光紙は設けられていない。このため、写真フィルム22は120型の2倍の長さを有し、撮影可能なコマ数も2倍となっているが、軸部6に巻き付けた状態では、120型よりやや太くなるだけで、フランジ7の外径寸法φ3内に十分納まる。
【0058】
【実施例】
(実施例1)
1.スプールの作製
再生木質パルプ分51質量%、ポリスチレン49質量%である紙樹脂(ザイ#0006、昭和丸筒製)100質量部にカーボンブラック(カーボン#950B、三菱化成(株)製)2質量部を混錬したペレットで、120型写真ロールフィルム用スプールを射出成形によって作製した。
【0059】
2.写真用ロールフィルムの作製
長尺状遮光紙(長さ145cm、幅62.75mm)を、含水率3重量%に調湿し、表面に長尺状写真フィルムを重ね合わせ、写真フィルムの端部を粘着テープで固定して、写真フィルムと遮光紙との積層体を作成した。次いで、その端部を作製したスプールのスリットに挿入し、写真フィルムが内側になるようにスプールの軸部に多重に巻き付けて、後端部をテープで固定し、120型写真用ロールフィルムを作製した。なお、写真用ロールフィルムの作製は温度23℃、湿度50%RHの部屋で行った。
【0060】
(比較例1)
実施例1において、紙樹脂100質量部をポリスチレン100質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
【0061】
(実施例2、3)
実施例1において、紙樹脂に含まれる再生木質パルプ分51質量%を、それぞれ20質量%、70質量%に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1において、紙樹脂に含まれる再生木質パルプ分51質量%を80質量%に代えた以外は実施例1と同様にしてスプール及び写真用ロールフィルムを作製した。
【0062】
(評価方法)
(1)スプールインサイド寸法の変化
スプール及び遮光紙を以下の条件で保存した後、スプールインサイド寸法及び遮光紙の幅を測定した。
1)23℃、湿度50%RH、4日間(シーズニング)
2)−20℃、湿度0%RH、4日間
3)40℃、湿度40%RH、4日間
【0063】
(2)遮光性
23℃、湿度50%RH、10万Luxの明室に5分間放置した写真フィルムの縁Fogの大きさにより評価した。
実施例1及び比較例1については、−20℃、湿度0%RH及び40℃、湿度40%RHでも評価を行った。
【0064】
(3)巻き太り性
バックテンションをかけないフリーテンションでの巻き付け作業による巻き上がり寸法により評価した。評価は23℃、湿度50%RHで行った。
実施例1及び比較例1については、−20℃、湿度0%RH及び40℃、湿度40%RHでも評価を行った。
【0065】
(4)耐久性
スプールの破壊強度により評価した。評価は23℃、湿度50%RHで行った。
【0066】
(5)環境性
スプールの焼却カロリーにより評価した。
遮光性、巻き太り性、耐久性および環境性の測定結果を以下の3段階で示した。○及び△が実用範囲である。
○:目標品質を十分達成できる。
△:目標品質を何とか達成できる。
×:目標品質を達成できない。
【0067】
表1にスプールインサイド寸法の変化及び−20℃及び40℃における遮光性及び巻き太り性の評価結果を示す。
表2に、遮光性、巻き太り性、耐久性及び環境性の評価結果をまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、スプールの環境性や耐久性がよく、巻き太りが防止され、遮光性のよい写真用ロールフィルムを得ることができる。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真用ロールフィルムの外観の一例を示す斜視図である。
【図2】120型の遮光紙付き写真フィルムの一例を示す説明図である。
【図3】スプールの一例を示す側面図である。
【図4】220型の写真フィルムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 写真用ロールフィルム
2、22 写真フィルム
3、24、25 遮光紙
3a 先端部
3b 後端部
4、9、26、27 テープ
5 スプール
6 軸部
6a 凹部
7 フランジ
7a 内壁面
8 スリット
10 チャッキング溝
D1 遮光紙の幅
D2 スプールインサイド寸法
φ2 軸部の軸径
φ3 フランジの外径
Claims (1)
- 少なくとも先端部に遮光紙が固定された帯状の写真フィルムと、この写真フィルムがロール状に巻き付けられる巻軸の両端に遮光紙のサイド縁を規制するフランジを形成したスプールとからなる写真用ロールフィルムにおいて、前記スプールが5質量%以上70質量%以下の再生木質パルプ及びポリオレフィン樹脂の混合物から作製されたことを特徴とする写真用ロールフィルム。
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2003
- 2003-03-05 JP JP2003057973A patent/JP2004271555A/ja active Pending
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