JP2004271221A - 立体形状評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料が複雑な立体形状を有する場合にも非破壊かつ迅速に形状評価が可能な立体形状評価装置を提供する。
【解決手段】立体形状評価装置はX線CTスキャナ装置で取得した複数の断面画像から試料の立体形状を示すデータを作成し、このデータとCAD等で作成した試料の立体形状を示すデータとを比較することにより試料の評価を行う。このデータ比較では基準面Pの断面画像を用いて各断面の設計画像に対する実測画像の画像ずれが算出され、実測データはこの算出結果を用いて画像ずれが補正される。X線CTスキャナ装置の回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の基準片Qを埋設し、この基準片Qの断面画像を基準面の断面画像とすることにより基準面Sを有しない複雑な立体形状の試料Pに対しても画像ずれの補正を可能にし、形状評価を好適に行えるようにした。
【選択図】 図6
【解決手段】立体形状評価装置はX線CTスキャナ装置で取得した複数の断面画像から試料の立体形状を示すデータを作成し、このデータとCAD等で作成した試料の立体形状を示すデータとを比較することにより試料の評価を行う。このデータ比較では基準面Pの断面画像を用いて各断面の設計画像に対する実測画像の画像ずれが算出され、実測データはこの算出結果を用いて画像ずれが補正される。X線CTスキャナ装置の回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の基準片Qを埋設し、この基準片Qの断面画像を基準面の断面画像とすることにより基準面Sを有しない複雑な立体形状の試料Pに対しても画像ずれの補正を可能にし、形状評価を好適に行えるようにした。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミダイカストなどの鋳造品の外形形状を非破壊で評価する装置に係り、特に鋳造品のCAD(Computer Aided Design)による設計上の三次元形状データ(以下、設計データという。)とX線CTスキャナ装置などによって取得した断面画像から再構築した鋳造品の実測による三次元形状データ(以下、実測データという。)とを比較し、実測による三次元形状データの設計上の三次元形状データに対する寸法誤差などに基づいて鋳造品の良否を評価する立体形状評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋳造品などの試料の外形形状の評価方法としては、従来、一般に三次元計測装置により試料の外形形状の寸法を測定し、その測定結果を設計データと比較することより試料の良否を判定する方法が知られている。
【0003】
この評価方法は、試料の外形形状の寸法を直接、測定器で測定するため、実測寸法の精度が高く、評価の信頼性が高いという利点はある。しかし、測定に時間を要するため評価コストが高い、内部に空洞がある試料では試料を切断しなければ、内部形状の寸法が実測できないなどの欠点があるため、例えば自動車のマニールド、シリンダヘッド、エンジンケースなどの複雑な立体形状を有する鋳造品などの評価方法としては採用し難く、近年は、産業用X線CTスキャナ装置を用いて試料の断面画像を取得し、その断面画像を用いて非破壊で試料の外形形状を評価する方法が開発されている。
【0004】
そして、産業用X線CTスキャナ装置による試料の断面画像を用いた外形形状の寸法測定技術としては、例えば特開平5−60539号公報や特開平7−243833号公報に示されるように、CT値で描画された断面画像から予め設定された閾値(CT値)を用いて断面形状の輪郭を示す点群を抽出することにより試料の断面形状の輪郭画像を生成し、この輪郭画像から評価すべき位置の寸法を算出する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−60539号公報
【特許文献2】
特開平7−243833号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の産業用X線CTスキャナ装置による試料の断面画像を用いた試料の外形形状の評価方法は、試料を非破壊で評価し得る点では三次元計測装置により試料の外形形状を実測する方法よりは優れるが、断面画像から試料の断面形状の輪郭画像を生成し、この輪郭画像に対して作業者が評価すべき位置を入力し、その評価位置の寸法を逐次算出させては作業者がその算出結果に基づいて試料の良否を評価するものであるため、評価作業に長時間を要し、試料の非破壊評価装置としては十分とは言えなかった。
【0007】
特に、複雑な立体形状を有する試料では、断面画像の枚数が多く、しかも各断面画像における評価位置も多数設定されるため、全ての評価点についての形状評価をしようとすると、作業者は膨大な評価位置について評価作業を繰り返さなければならず、必ずしも実用的とは言えなかった。
【0008】
そこで、評価作業の効率化を図る方法として、産業用X線CTスキャナ装置によって得られた試料の断面画像から、CADなどの設計支援装置によって作成された試料の三次元の形状データ(複数の断面形状を示す設計データ。以下、三次元設計データという。)と照合可能な当該試料の三次元の形状データ(複数の断面形状の輪郭を示すデータ。以下、三次元実測データという。)を作成し、三次元実測データを三次元設計データと比較することにより各断面の断面形状のずれに基づいて試料の良否を自動評価する方法が考えられる。
【0009】
しかし、この方法は、複数の断面形状について三次元実測データを三次元計測データと比較するため、両データの断面位置と各断面における座標系とが一致していなれければ、両断面形状のずれを正確に算出することができず、信頼性の高い評価結果が得られないという問題がある。
【0010】
三次元実測データは、産業用X線CTスキャナ装置によって撮影された試料の断面画像から作成されるため、試料の撮影時には少なくとも断面位置を三次元設計データの断面位置に合わせる必要がある。また、各断面における断面形状の比較は、断面形状の輪郭を示す点群の座標値を用いて行われるため、三次元実測データの各断面のx’y’座標系と三次元設計データの対応する断面のxy座標系とを合わせる必要がある。
【0011】
このため、通常、試料には所定の面やその面から設定した仮想的な面が基準面として設けられ、この基準面を基準にして三次元設計データが作成されるとともに、基準面を基準にして試料の各断面位置が決定されて断面画像が取得され、その断面画像から三次元実測データが作成されるようになっている。また、設計データには、少なくとも基準面に各断面の座標系を合わせるための座標変換用のデータを取得するための基準片の断面画像(例えば不等辺三角形)が設けられ、産業用X線CTスキャナ装置により試料の断面画像を取得する際には、試料とともに基準片の断面画像も写し込まれるようになっている。
【0012】
しかし、試料の形状が複雑なものでは基準面が全く設けられない場合や信頼性の低い基準面しか設けられない場合もあり、このような試料では対比すべき三次元実測データの断面画像と三次元設計データの断面画像との位置合わせが困難となるため、上述の自動評価方法を実現したとしてもこのような試料には適用できず、適用可能な試料が制限されることになる。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、試料の立体形状に関係なく非破壊で、しかも短時間に当該試料の立体形状を好適に評価をすることのできる立体形状評価装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定の断面形状を有する基準部材が特定の位置関係で配置された試料の、上記基準部材の所定の断面を基準面とした当該基準面と平行な複数の面で切断した際の各面の断面形状のデータと、各面の断面形状に予め設定された複数の評価点に関するデータとからなる上記試料の三次元設計データが記憶された記憶手段と、上記三次元設計データに含まれる複数の断面画像に対応する断面で、上記基準部材が上記特定の位置関係で配置された上記試料にX線を照射して断層像を取得し、その断層像から当該試料の各面における断面形状と当該基準部材の断面形状とからなる上記試料の三次元実測データを生成する三次元実測データ生成手段と、上記三次元実測データ生成手段で生成された上記基準部材の上記基準面における断面形状と上記三次元設計データにおける上記基準部材の上記基準面における断面形状とに基づいて、上記三次元実測データの各断面形状の上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正データを演算する演算手段と、各断面毎に、上記演算手段で算出された補正データに基づいて上記三次元実測データの各断面形状の、上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正手段と、各断面毎に、画像のずれが補正された上記三次元実測データの断面形状について、上記三次元設計データの対応する断面形状に設定された評価点に対応する点を抽出する評価点抽出手段と、各断面毎に、当該断面の設定された複数の評価点について、上記三次元設計データの断面形状と上記補正手段で補正された上記三次元実測データの断面形状とを比較し、その比較結果に基づいて上記試料の良否を評価する評価手段とを備えたものである(請求項1)。
【0015】
なお、上記立体形状評価装置において、上記評価手段による比較結果および評価結果を記録する記録手段をさらに備えるとよい(請求項2)。また、上記立体形状評価装置において、上記基準部材は、放射線を照射する際に上記試料を固定する固定部材の当該試料に対して特定の位置関係となる位置に設けるとよい(請求項3)。また、上記立体形状評価装置において、上記補正データには、少なくとも回転移動または平行移動により上記三次元実測データの断面画像の画像ずれを補正するデータが含むものである(請求項4)。また、上記立体形状評価装置において、上記評価手段は、各評価点毎に、上記三次元設計データの断面形状示す座標値と上記三次元実測データの断面形状示す座標値の誤差を算出し、その算出結果基づいて上記試料の良否を評価するとよい(請求項5)。また、上記立体形状評価装置において、上記評価手段は、さらに各評価点毎に上記三次元設計データの断面形状の評価点に対応する点が、上記三次元設計データの断面形状の当該評価点に対して外側に位置するか、内側に位置するかを判定し、その判定結果に基づいて上記試料の良否を評価するとよい(請求項6)。
【0016】
上記構成の立体形状評価システムによれば、試料の三次元設計データに含まれる複数の断面画像に対応する断面で、基準部材が特定の位置関係で配置された試料にX線などの放射線を照射して得られた投影像から当該試料の各断面における断面形状と当該基準部材の断面形状とからなる試料の三次元実測データが生成される。この後、三次元実測データの基準部材の断面形状と三次元設計データの基準部材の断面形状とに基づいて、三次元実測データの各断面形状の三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正データが演算される。具体的には、回転移動又は平行移動により三次元実測データの断面画像の画像ずれを補正する補正データ(例えばヘルマート変換により補正する場合は、ヘルマート変換式の係数)が演算される。そして、各断面毎に、この補正データに基づいて三次元実測データの各断面形状の、三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれが補正される。
【0017】
また、各断面毎に、三次元実測データの断面画像の画像ずれが補正された後、その断面形状について、三次元設計データの対応する断面形状に設定された評価点に対応する点が抽出される。
【0018】
そして、各断面毎に、当該断面の設定された複数の評価点について、三次元設計データの断面形状と画像ずれの補正された三次元実測データの断面形状とが比較され、その比較結果に基づいて試料の良否が評価される。具体的には、各評価点毎に、三次元設計データの断面形状を示す座標値と三次元実測データの断面形状を示す座標値との誤差が算出され、その誤差から試料の良否が評価される。あるいは各評価点毎に、三次元設計データの断面形状の評価点に対応する点が、三次元設計データの断面形状の当該評価点に対して外側に位置するか、内側に位置するかが判定され、その判定結果も加味して試料の良否が評価される。そして、その比較結果と評価結果はメモリに記録される。そして、その比較結果と評価結果はメモリに記録される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る立体形状評価装置の構成を示す図である。
【0020】
同図に示す立体形状評価装置1は、パールナルコンピュータによって構成されている。パーソナルコンピュータは、演算処理および外部接続された周辺装置の動作制御を行う評価装置本体101、表示装置としてのLCD(liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)からなるディスプレイ102、入力装置としてのキーボード103およびマウス104で構成されている。ディスプレイ102、キーボード103およびマウス104は所定の接続ケーブルで評価装置本体101に接続されている。また、評価装置本体101内には主記憶装置としてハードディスク106が内蔵されるとともに、外部記憶装置としてのCD−ROM(CD−Read Only Memory)やMO(Magnet Optical disk)などの記録媒体からプログラムやデータなどの情報を本体内に読み込むためのドライバ105が内蔵されている。
【0021】
評価装置本位101のハードディスク106には、本発明に係る試料の立体形状評価処理、すなわち、X線CTスキャナ装置によって得られた試料(例えばマニホールドやシリンダヘッドの鋳造品など)の複数枚の断面画像(以下、CT画像という。)から各断面の断面形状を示すデータからなる試料の三次元形状データ(三次元実測データ)を生成し、この三次元実測データとCADなどの設計支援装置によって作成された当該試料の三次元画像のデータ(複数枚の断面形状を示すデータ。三次元設計データ)との対応する断面形状同士を比較して形状寸法のずれなどから試料の良否を評価する処理のプログラムが予め格納されている。
【0022】
また、この立体形状評価処理のプログラムを実行するために必要なCT画像のデータは、MOなどの記録媒体に記録され、ドライバ105により当該記録媒体から読み取ってハードディスク106に保存することで評価装置本体101に入力される。なお、後述するX線CTスキャナ装置とパーソナルコンピュータ1とを通信線で接続し、X線CTスキャナ装置で取得されたCT画像のデータをオンラインでパーソナルコンピュータ1に伝送し、評価装置本体101内のハードディスク106に保存するようにしても良い。
【0023】
ここで、CT画像を取得するためのX線CTスキャナ装置の一例について、図2を用いて簡単に説明する。
【0024】
X線CTスキャナ装置2は、主としてスキャナ本体21、高圧発生装置22、X線制御装置23およびPCワークステーション24で構成されている。スキャナ本体21は、試料PにX線を照射して断面画像のデータを取得する機能を果たす部分で、試料Pを載置する回転テーブル211、この回転テーブル211の回転動作を制御する回転制御装置212、回転テーブル211に載置された試料PにX線を照射するべく当該X線を発生するX線管213、X線管213から発生するX線をビームに絞るためのコリメータ214、回転テーブル211を挟んでX線管213と対向配置され、X線管213から発せられたX線を検出するX線検出器215、X線管213を上下動させるための昇降機216、昇降機216の昇降動作を制御する昇降制御装置217、X線検出器215で検出される検出値を試料PのCT画像のデータとして収集するデータ収集装置218を含んでいる。
【0025】
X線管213には、高圧発生装置22から所定の高圧電源が供給され、これによりX線が放射されるようになっている。X線管213からのX線の放射量(出力)は高圧発生装置22の出力を制御することにより制御される。また、X線管213からのX線放射のタイミング、水平面内(図2ではXY平面)におけるキスャン範囲、スキャン速度などはX線制御装置23により制御される。高圧発生装置22およびX線制御装置23は、PCワークステーション24からの制御信号に基づきX線管213の出力、スキャン範囲、スキャン速度、スキャンタイミング等を制御する。
【0026】
X線管213から放射されるX線はコリメータ214により細く絞られてビームとなる。そして、X線管213から放射されるX線の方向を水平面内で回転テーブル211に搭載された試料Pをカバーし得る所定の角度で変化させることによりファンビーム(細いビームを所定の角度範囲でスキャンさせたビーム)が生成され、このファンビームが回転テーブル211に搭載された試料Pに照射される。
【0027】
一方、回転テーブル211を挟んでX線管213に対向配置されたX線検出器215は、水平面内で所定ピッチで複数の検出器が扇状(X線管213と各検出器との距離が等距離となる線上)に配列されたもので、各検出器でX線管213からのファンビームを検出するようになっている。
【0028】
X線管213およびX線検出器215は、昇降機216により上下方向(図2において、紙面に垂直な方向)に移動可能になっている。昇降機216の昇降動作は昇降制御装置217により制御される。昇降制御装置217は、断面画像取得時には昇降機216を測定初期位置から所定のピッチ(たとえば1mmピッチ)で上昇させる。なお、昇降機216にはX線管213およびX線検出器215の上下方向の位置を検出するための位置検出装置(例えばエンコーダ。図示せず)が設けられ、この位置検出装置から出力される検出信号は昇降制御装置217に入力されるようになっている。昇降制御装置217はこの検出信号に基づき昇降機216の相対的な昇降位置を制御する。本実施形態では、昇降機216によりX線管213およびX線検出器215が回転テーブル211に対して上下動するようになっているが、X線管213およびX線検出器215を固定し、回転テーブル211を昇降させる構成であってもよい。
【0029】
また、本実施形態に係る立体形状評価装置1は、図3に示すように、三次元実測データの断面画像Goと三次元設計データの対応する断面画像Gdとを重ね合わせるように比較して各断面の形状を評価するため、X線CTスキャナ装置2によって取得される複数枚の断面画像の各画像は、CADなどで作成される試料の複数枚の断面画像の対応する画像と一致している必要がある。このため、通常、試料Pには、図4に例示するように基準面Sが設定されるとともに、この基準面Sを基準として当該基準面Sに垂直な方向に所定のピッチで複数の設計断面が設定され、CADでは各断面について試料Pの断面形状の図面が作成されている。なお、図4の例では、基準面Sは試料Pに存在する最上面を含む面として設定されているが、試料Pに存在する面に基づいて仮想的に設定した面であってもよい。
【0030】
なお、試料Pの断面画像を取得する際、基準面Sとこの基準面Sに対して所定のピッチで設定される断面位置を正確に調整すれば、三次元実測データと三次元設計データの各断面画像の対応関係は正確に一致させることができる。しかし、各断面画像においては、実測した断面画像Goのx’y’座標と設計した断面画像Gdのxy座標は必ずしも一致しているわけではないので、実測した断面画像Goのx’y’座標を設計した断面画像Gdのxy座標に一致させるように(図3の状態参照)、画像のずれを補正する必要がある。
【0031】
実測した断面画像の設計した断面画像に対する画像ずれは幾何学的な歪に相当し、例えばヘルマート変換による幾何補正によって補正することができる。ヘルマート変換は、2つの画像間の縮尺、回転、平行移動の3種類の歪を補正するものである。幾何補正前の座標を(x’,y’)、幾何補正後の座標を(x,y)とし、原点の平行移動量を(Δx,Δy)、原点を中心とした回転角をθ、原点を中心とした縮尺率をmとすると、ヘルマート変換式は、下記式▲1▼▲2▼で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
そして、この画像のずれを補正するための補正データ(ヘルマート変換式の係数a,b,c,d)を取得するために、三次元設計データの基準面Sの断面画像には、補正データ取得用の不等辺三角形の基準画像Gr(図4参照)が設けられている。
【0034】
しかし、試料Pの立体形状が複雑かつ曲線的で基準面Sが設けられない場合や、設けられたとしても信頼性が低い場合もあり、このような場合は、三次元設計データの各断面の画像に対応した三次元実測データを正確に取得することが困難となり、仮に所得し得たとしても十分な精度が得られないという問題が生じる。そこで、基準面Sを設けることが困難な試料Pに対しても測定可能にするため、本実施形態に係るX線CTスキャナ装置2では、基準面Sに相当する面を試料Pの外部に設定可能にし、この基準面Sの断面画像を用いて画像ずれの補正データを取得できるようにしている。
【0035】
具体的には、図5に示すように、回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の薄い角柱片からなる基準片Qを埋設している。基準片Qは、図6に示すように、上下面が回転テーブル211の上面211a(試料載置面211a)と平行になるように埋設されている。そして、基準面Sは、回転テーブル211の上面211aから所定の寸法dだけ下側の位置に設定され、試料Pの断面画像を取得する際、基準面Sの断面画像も取得されるようになっている。
【0036】
従って、基準面Sが設けられていない試料PのCT画像を取得する際は、図6に示す基準面Sの位置とこの基準面Sに対して所定のピッチで設定される複数の断面位置の情報が昇降制御装置217にPCワークステーション24から入力され、昇降制御装置217はこの情報に基づいて昇降機216の昇降動作を制御する。
【0037】
基準片Qの平面視形状を直角三角形としているのは、上述したように、基準面Sの断面画像を基準画像として画像ずれの補正データを取得できるようにするためである。本実施形態に係る立体形状評価装置1では、基準面Sが試料Pの外部に設定され、補正データ取得用の基準画像が当該基準面Sで取得されるようになっているので、試料Pには、図7に示すように、図6に示した実測条件で取得される基準面Sの断面画像に相当する断面図(直角三角形の図)が試料Pの三次元設計データに1枚追加されている。
【0038】
そして、図8に示すように、三次元実測データに含まれる基準面Sの断面画像Gor(基準片Qの直角三角形の断面画像。基準画像に相当)と三次元設計データに含まれる基準面Sの断面図Gr(直角三角形の図)とを比較して画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式の係数a,b,c,d)が算出される。
【0039】
画像ずれの補正データは、実測された基準面Sの断面画像Gorの3個の頂点c1’,c2’,c3’の座標(x1’,y1’),(x2’,y2’),(x3’,y3’)を算出し、これらの座標と設計された基準面Sの断面図Grの3個の頂点c1,c2,c3の座標(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)を上記▲1▼,▲2▼式に代入し、最小二乗法により最小の誤差となる係数a,b,c,dを算出することにより求められる。
【0040】
なお、画像ずれの補正データは、断面画像Goのx’y’座標を断面画像Gdのxy座標に変換するデータとして算出されるが、これは試料Pの各断面のCT画像がx’y’座標に対して所定の位置に配置されていることを前提としている。すなわち、三次元設計データは、各断面のx’y’座標上に試料Pの断面形状をプロットすることにより作成されているから、CT画像から作成される各断面の試料Pの輪郭形状のデータも、三次元設計データに対応するようにx’y’座標上にプロットされたものとなっている必要がある。
【0041】
そして、試料Pの各断面画像におけるx’y’座標は、基準面Sにおける基準片QのCT画像(直角三角形の画像)によって定義されるから、試料Pを回転テーブル211に載置する際、試料Pは、その断面形状が基準片Qの断面形状(直角三角形の形状)に対して特定の位置関係になるように位置決めが行われる必要がある。このため、本実施形態に係るX線CTスキャナ装置2の回転テーブル211の上面211aには、図6に示すように、試料Pを所定の位置に位置決めをして固定する固定部材211bが設けられている。なお、図6では、固定部材211bとして固定片が描かれているが、固定部材211bは、試料Pの形状に応じて適切な形状及び構造の部材が適宜、選択される。
【0042】
上記のように、基準片Qは、基準面Sを試料Pの外部に設定可能にするとともに、その基準面Sにおけるx’y’座標を定義して画像ずれの補正データを取得可能にするためのものであるから、これらの目的を達成するものであれば、その形状は平面視形状が直角三角形の薄い角柱片に限定されるものでない。例えば平面視形状は直角三角形が任意の寸法の三角形や正方形であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、基準片Qを回転テーブル211の内部に埋設しているが、基準面Sを試料Pの外部に設定することができれば、基準片Qは必ずしも回転テーブル211の内部に埋設する必要はない。例えば試料Pを固定する固定台を設け、この固定台の内部に基準片Qを埋設する構成であってもよい。多種多様な断面形状を有する試料PのCT画像の取得の容易性を考慮すると、回転テーブル211に基準片Qを埋設する方法は、試料毎に基準面Sのx’y’座標に対する位置決めをするための固定部材をテーブル上面211aに設けなければならず、テーブル上の固定部材211bが煩雑になるという不利があるが、試料毎に固定台を設ける方法は、そのような問題を解消するという利点がある。
【0044】
図2に戻り、回転テーブル211は、図略の駆動モータにより回転可能になっている。回転テーブル211の回転動作は回転制御装置212により制御される。回転制御装置212は、断面画像取得時にはPCワークステーション24からの制御データに基づき回転テーブル211を回転初期位置から一定の角度(例えば30度)単位で回転させ、例えば時計回りに半回転もしくは一回転させる。従って、試料PのX線吸収量は、回転テーブル211が各回転位置に停止される毎に測定される。
【0045】
ある高さ位置の試料PのCT画像は、昇降機216によりX線管213およびX線検出器215をその高さ位置に設定した後、X線管213からファンビームを試料に照射させながら、回転テーブル211を一回転または半回転させる(すなわち、試料Pを水平面内に一回転または半回転させる)ことにより取得される。
【0046】
従って、試料Pを高さ方向に所望のピッチで複数回スライスし、各スライス面でCT画像を取得することにより試料の一部又は全ての面の断面形状の画像が取得される。各高さ位置で試料Pにファンビームを照射し、当該試料Pを透過したX線はX線検出器215により検出され、その検出データはデータ収集装置218に入力される。データ収集装置218では、各高さ位置で取得されたX線の検出量から試料PでのX線吸収量(減弱計数=CT値)を求め、CT画像のデータを作成する。このCT画像は、(n×n)個の画素を有するエリアセンサで断面を撮影した画像に相当し、CT画像のデータは各画素の出力レベルがCT値で表された濃淡データである。このCT画像のデータは、試料PのCT画像取得動作の終了後、PCワークステーション24に転送される。
【0047】
PCワークステーション24は、試料PのCT画像取得動作を統括制御するための装置である。PCワークステーション24は、パーソナルコンピュータ241、モニタ242およびキーボード/マウス243で構成されている。パーソナルコンピュータ241にはX線CXスキャナ装置2により試料Pの断面画像を取得するための専用の処理プログラムが内蔵され、起動すると、その処理プログラムに従って試料の断面画像の取得動作を行う。なお、ユーザは、X線CTスキャナ装置2の動作開始前にキーボード/マウス243によって所要の条件(例えばスキャン範囲、高さ方向のスライスピッチ、スキャン速度等の条件)を設定する。
【0048】
このX線CTスキャナ装置2では、図9に示すように、試料Pを高さ方向に所定のピッチでスライスした複数枚のCT画像が取得され、これらのCT画像のデータは、PCワークステーション24内のハードディスクなどの記憶装置に保存される。そして、PCワークステーション24がオンラインで立体形状評価装置1に接続されている場合は、取得されたCT画像のデータは通信により立体形状評価装置1に転送され、立体形状評価装置1に接続されていない場合は、取得されたCT画像のデータは、図略のドライバでMOなどの記録媒体に一旦記録され、このMOを介して立体形状評価装置1に入力される。
【0049】
図10は、立体形状評価装置1の評価装置本体101が本発明に係る形状評価処理を行う場合の処理動作を機能ブロックで示したものである。
【0050】
本実施形態に係る立体形状評価装置1は、上述したように、X線CTスキャナ装置2によって得られた複数枚の試料PのCT画像から各断面における試料Pの断面形状の輪郭を構成する点群を抽出し、これらの各断面の輪郭形状(実測形状)とCADなどで作成された試料Pの各断面の輪郭形状(設計形状)とを比較して当該試料Pの立体的な形状の良否を評価する機能を有する。機能ブロックは、断面形状抽出部3、画像ずれ補正データ演算部4、実測断面形状補正部5、画像比較部6、形状評価部7からなる。なお、三次元設計データ記憶部8は、CADなどで作成された複数枚の試料Pの断面形状データからなる三次元設計データを記憶するもので、評価装置本体101内のハードディスク106がその機能を果たしている。
【0051】
図11は、基準面Sを有する試料Pの基準面Sにおける三次元設計データの一例を示す図である。試料Pの三次元設計データは、複数枚の断面形状の設計データからなる。各面には、例えば画面中央にxy座標の座標原点oが設定され、断面形状の輪郭Rを示すデータは、輪郭Rを構成する点群の各点pの座標原点oを基準にしたxy座標p(x,y)で構成されている。
【0052】
また、各面の断面形状には複数の評価点Hpが設定されている。評価点Hpは、実際に製造された試料Pの断面形状の寸法などを適当な抽出点で自動的に評価するために当該断面形状に設定される評価用の抽出点である。三次元設計データには、評価点Hpに関する所要のデータがテーブル化されて含まれている。
【0053】
評価点Hpに関するデータとは、評価点No.、評価点の座標値、評価点Hpにおける法線ベクトルのデータである。評価点No.は、複数の評価点Hpを識別するための各評価点Hpに付される番号もしくは符合である。評価点の座標値とは、評価点Hpの設定された断面形状の輪郭を構成する点のxy座標である。例えば図11の輪郭点p(x,y)にNo.Mの評価点Hpが設定されると、そのxy座標(x,y)がNo.Mの評価点Hpの評価点座標となる。
【0054】
また、評価点Hpにおける法線ベクトルのデータとは、図12に示すように試料Pの評価点Hpを含む外形側面Sの当該評価点Hpにおける法線方向であって試料Pに対して外方の向きを示すベクトルのデータである。外形側面Sが試料Pの外側にある場合は(図12の外形側面S1参照)、外形側面S上の評価点Hpの法線ベクトルの向きは試料Pから外方に向かう向きとなり、外形側面Sが試料Pの内側にある場合は(図12の外形側面S2参照)、外形側面S上の評価点Hpの法線ベクトルの向きは試料Pから内方に向かう向きとなる。
【0055】
図13は、評価点Hpに関するデータの一例を示す図である。同図に示す「No.」は、評価点No.であり、「座標」は、No.の評価点のxy座標値であり、「法線ベクトル」は、No.の評価点の法線ベクトルのuv座標値である。
【0056】
図10に戻り、断面形状抽出部3は、X線CTスキャナ装置2により取得された試料Pの複数枚の断面画像から各断面毎に断面形状を抽出し、輪郭画像Go(三次元実測データ)を生成する処理を行うものである。断面形状抽出部3は、予め設定された所定の閾値Th(CT値)(例えば、Th=0)を用いて各断面画像について試料Pの断面形状の輪郭を構成する点群を抽出する。
【0057】
CT画像が、(n×n)個の画素からなるエリアセンサで試料の断面形状を撮影した画像に相当するとすると、断面形状抽出部3は、CT画像を構成する画素G(i,j)(i行j列目の画素、i=1,2,…n、j=1,2,…n)をラスタ走査方向にスキャンしながら、各画素G(i,j)について、当該画素G(i,j)のCT値CT(i,j)を予め設定された所定の閾値Th(CT値)(例えば「0」)と比較する。そして、CT(i,j)=Thであれば、そのCT値を有する画素の画素位置を点Eの位置とする。例えばTh=CT(i,j)であれば、画素G(i,j)の位置X(i,j)が点Eの位置Xeとなる。
【0058】
一方、CT(i,j)>Thであれば、当該画素G(i,j)は試料の断面部分を撮影した画素であるとして、隣接する4個のG(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)のCT値G(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)を所定の閾値Th(CT値)と比較し、所定の閾値Thより小さいCT値を有する画素(すなわち、試料の空間部分を撮影した画像)があるかどうかを判別する。所定の閾値Thより小さいCT値を有する画素がある場合は、当該画素G(i,j)とその画素との間に所定の閾値Thと同一のCT値を有する位置が存在するから、補間演算によりその位置を算出し、その位置を試料の断面形状の輪郭を構成す点Eの位置Xeとする。なお、補間方法としては、例えば画素間のCT値の変化を直線と見なして比例計算によりXeの位置を算出する方法を適用することができる。
【0059】
例えば図14に示すように、画素G(i,j−1)のCT値CT(i,j−1)がCT(i,j−1)<Thであれば、断面形状抽出部3は、Th−CT(i,j−1):CT(i,j)−CT(i,j−1)=Xe−X(i,j−1):X(i,j)−X(i,j−1)であるから、Xe=[[Th−CT(i,j−1)]・{X(i,j)−X(i,j−1)}]/{CT(i,j)−CT(i,j−1)}+X(i,j−1)により点Eの位置を算出する。
【0060】
また、CT(i,j)<Thであれば、当該画素G(i,j)は試料の空間部分を撮影した画素であるとして、隣接する4個のG(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)のCT値G(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)を所定の閾値Th(CT値)と比較し、所定の閾値Thより大きいCT値を有する画素(すなわち、試料の断面部分を撮影した画像)があるかどうかを判別する。所定の閾値Thより大きいCT値を有する画素がある場合は、当該画素G(i,j)とその画素との間に所定の閾値Thと同一のCT値を有する位置が存在するから、上述した補間演算によりその位置を算出し、その位置を試料の断面形状の輪郭を構成す点Eの位置Xeとする。
【0061】
例えば画素G(i+1,j)のCT値CT(i+1,j)がCT(i+1,j)>Thであれば、断面形状抽出部3は、Th−CT(i,j):CT(i+1,j)−CT(i,j)=Xe−X(i,j):X(i+1,j)−X(i,j)であるから、Xe=[[Th−CT(i,j)]・{X(i+1,j)−X(i,j)}]/{CT(i+1,j)−CT(i,j)}+X(i,j)により点Eの位置を算出する。
【0062】
図10に戻り、画像ずれ補正データ演算部4は、断面形状抽出部3によって得られた各断面の輪郭画像Goの三次元設計データの対応する断面の断面画像に対する画像ずれを補正するための補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)を演算するものである。
【0063】
画像ずれ補正データ演算部4は、基準面Sの輪郭画像Goから基準片Qの断面形状(三角形)を構成する点群を抽出し、その点群を三角形の各辺を構成する3つのグループに分類する。続いて、各辺を構成する点群の座標から各辺に最も近似する直線を最小二乗法により決定し、3本の直線の互いに交差する点c1’,c2’,c3’(図8(b)参照)の座標(x1’,y1’),(x2’,y2’),(x3’,y3’)を算出する。続いて、画像ずれ補正データ演算部4は、これらの座標c1’(x1’,y1’),c2’(x2’,y2’),c3’(x3’,y3’)と三次元設計データに含まれる基準画像Grの三角形の頂点の座標c1(x1,y1),c2(x2,y2),c3(x3,y3)(図8(a)参照)を上記▲1▼,▲2▼式に代入して、下記式▲3▼〜▲5▼の3個の等式を作成し、これらの等式を満たす係数a,b,c,dを最小二乗法により決定する。決定された係数a〜dのデータはRAMに一次保存される。
【0064】
【数2】
【0065】
実測断面形状補正部5は、画像ずれ補正データ演算部4で演算された補正データ(a,b,c,d)と上記▲1▼,▲2▼のヘルマート変換式を用いて輪郭画像Goの画像ずれを補正する処理を行うものである。すなわち、実測断面形状補正部6は、輪郭画像Goを構成する各点の座標(x’,y’)を上記▲1▼,▲2▼のヘルマート変換式を用いてxy座標系の座標(x,y)に変換する。これにより、変換後の輪郭画像Go’は、xy座標系の画像となり、図3に示したように、三次元設計データの対応する断面の断面画像Gdとを重ね合わせた状態で両画像のずれ具合をみるような比較が可能となる。
【0066】
画像比較部6は、画像ずれが補正された輪郭画像Go’と三次元設計データの対応する断面画像Gd(以下、比較対象となる断面画像Gdを設計断面画像Gdという。)とを全ての評価点Hpについて比較し、各評価点Hpにおける寸法の誤差、法線方向のずれなどを演算する処理を行うものである。
【0067】
画像比較部6は、まず、輪郭画像Go’の評価点Hpに対応する点を算出する。この評価点Hpの対応点Hp’の算出は、図15に示すように、輪郭画像Go’上に評価点Hpの座標(x,y)を設定し、この点(x,y)に最も近い輪郭画像Go’を構成する点(x’,y’)を抽出することにより行われる。すなわち、評価点Hpの座標(x,y)を有する点が存在すれば、その点と評価点Hpとの距離dはゼロとなるから、その点が評価点Hpの対応点Hp’となる。また、評価点Hpの座標(x,y)を有する点が存在しなければ、評価点Hpの位置で輪郭画像Go’と設計断面画像Gdとはずれが生じていることになるが、そのずれは極めて小さいと推定されるから、評価点Hpからの距離dが最も小さい点を評価点Hpの対応点とするものである。そして、そのときの両点の距離d(=√((x−x’)2+(y−y’)2)は評価点Hpにおける設計値と実測値との間の誤差となる。
【0068】
輪郭画像Go’の評価点Hpに対応する点が算出されると、画像比較部6は、さらに評価点Hpと対応点Hp’とを結ぶ方向と評価点Hpの法線方向とを比較して対応点Hp’が設計上の輪郭線の外側に位置するのか、内側に位置するのかを判定する。評価点Hpの法線方向は、評価点Hpの法線ベクトルの座標(u,v)よりその傾きv/uで表される。一方、評価点Hpと対応点Hp’とを結ぶ方向は、評価点Hpの座標(x,y)、対応点Hp’の座標(x’,y’)から(y−y’)/x−x’)で表される。画像比較部6は、(v/u)−〔(y−y’)/x−x’)〕を演算し、その演算結果が予め設定された閾値以下であれば、対応点Hp’は外側に位置していると判断し、閾値よりも大きければ、対応点Hp’は内側に位置していると判断する。
【0069】
次に、画像比較部6は、評価点Hpを通る法線と輪郭画像Go’の輪郭線との交点(図15のh点参照)を算出し、この交点hと評価点Hpとの距離dhを法線方向のずれとして算出する。この場合、輪郭画像Go’に交点hに相当する対応点pが存在する場合は、その点pの座標(xp’,yp’)と評価点Hpの座標(x,y)との距離√((x−xp’)2+(y−yp’)2)が距離dhとなる。一方、輪郭画像Go’に交点hに相当する対応点pが存在しない場合、輪郭画像Go’の評価点Hpを通る法線を挟む2つの点p1,p2の座標から両点を結ぶ直線を算出し、この直線と評価点Hpを通る法線とから交点hの座標(xh’,yh’)を算出して距離dh=√((x−xh’)2+(y−yh’)2)が算出される。
【0070】
形状評価部7は、画像比較部6により算出される各評価点Hpの寸法の誤差(距離d)、法線方向のずれ(距離dh)などから実測された試料の合否判定を行なうものである。形状評価部7は、各評価点毎に予め設定された寸法誤差や法線方向のずれの評価基準(閾値)と算出された寸法誤差や法線方向のずれとを比較し、誤差やずれが評価基準を超えている場合は「不良」と判定し、評価基準を満たしている場合は、「合格」の判定を行なう。そして、全ての評価点について合否判定を行なうと、この判定結果を画像比較部6で算出された寸法誤差や法線方向のずれとともにテーブル化して評価データを作成し、ハードディスク106に記憶する。この評価データは、例えば実測された試料(鋳物品)自体の検討や試料(鋳物品)を製造するための金型や鋳物製造装置の検討を行なうために利用される。
【0071】
次に、立体形状評価装置1の試料の評価処理手順について、図16のフローチャートを用いて説明する。X線CTスキャナ装置2によって取得されたM枚のCT画像のデータは画像処理装置1内のハードディスク内に記憶されているとする。
【0072】
まず、基準面SにおけるCT画像がハードディスクの記憶領域からワークエリアに読み出される(S1)。続いて、断面形状抽出部3によりCT画像から試料Pの基準面Sにおける断面形状(基準片Qの断面形状で、直角三角形の形状)の輪郭を構成する点群が抽出され(S2、基準画像Gorの作成)、基準画像Gorが作成されると、画像ずれ補正データ演算部4によりこの基準画像Gorと三次元設計データに含まれる基準面Sにおける基準片Qの断面形状の画像Grとから画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)が演算される(S3,補正データの算出)。
【0073】
続いて、CT画像の枚数をカウントするカウンタのカウント値iが「1」にセットされ(S4)、i段目のCT画像データがハードディスクの記憶領域からワークエリアに読み出される(S5)。続いて、断面形状抽出部3によりCT画像から試料Pのi段目の断面形状の輪郭を構成する点群が抽出され(S6、輪郭画像Goの作成)、輪郭画像Goが作成されると、実測断面形状補正部5により、ステップS3で算出された画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)を用いて輪郭画像Goの画像ずれが補正される(S7、輪郭画像のずれ補正)。
【0074】
続いて、画像比較部6により補正後の輪郭画像Go’と設計断面画像Gdとを比較し、当該設計断面画像Gdに設定された複数の評価点Hpについて、それぞれ寸法の誤差と法線方向のずれが演算される(S8、誤差の演算)。そして、形状評価部7により各評価点Hpごとに寸法誤差と法線方向のずれの演算結果を用いて合否判定が行なわれ、全ての評価点Hpについて判定処理が終了すると、図17に示すような評価データを作成し、その評価データはハードディスク106に一次保存される(S9,評価データの作成)。
【0075】
なお、図17において、寸法誤差d1,d2,…di,…は、No.iの評価点Hpの寸法誤差で、その評価点Hp(xi,yi)とその評価点Hpに最も近い輪郭画像Go’上の対応点Hp(xi’,yi’)との距離√((xi−xi’)2+(yi−yi’)2)である。また、法線方向のずれdh1,dh2,…dhi,…は、No.iの評価点Hpにおける法線方向のずれで、その評価点Hp(xi,yi)と、その評価点Hpから延びる法線と輪郭画像Go’上の輪郭線との交点h(xhi,yhi)との距離√((xi−xhi’)2+(yi−yhi’)2)である。また、判定結果の「良」、「不良」は、例えば「良」=「1」、「不良」=「0」の2値データで表される。
【0076】
続いて、カウント値iが1だけインクリメントされた後、そのカウント値iが総CT画像数Mを越えたか否かが判別される(S10,S11)。カウント値iがM以上であれば(S11:NO)、次のCT画像について、上述と同様の処理をするべくステップS25に戻る。そして、全てのCT画像について上述の評価データの作成処理が終了すると(S11:YES)、ハードディスク106に一次保存された各断面の評価データが一つのファイルに纏められてハードディスク106の所定の記憶領域に記憶され(S12)、評価処理は終了する。
【0077】
なお、立体形状評価装置1の画像処理プログラムをX線CTスキャン装置2のPCワークステーション24のパーソナルコンピュータ241に組み込んで当該パーソナルコンピュータ241を画像処理装置1として機能させても良い。
【0078】
上記のように、本実施形態に係る立体形状評価装置1によれば、X線CTスキャナ装置2により取得した試料の複数の断面画像から複数の輪郭画像を作成し、各輪郭画像と対応する設計断面画像とを比較し、予め設定された複数の評価点について寸法誤差などを算出し、その算出結果を用いて試料の良否を自動的に判定するようにしているので、非破壊で短時間に試料の立体形状の良否を判定することができる。
【0079】
特に、試料が複雑な外形形状を有している場合でもCADにより設計する段階で所要の評価点と評価基準を設定しておけば、X線CTスキャナ装置2で試料の断面画像のデータを取得した後は自動的に評価処理を行うことができるので、高い精度で良否評価をすることができるとともに、その評価作業の効率も大幅に向上させることができる。
【0080】
また、X線CTスキャナ装置2の回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の基準片Qを埋設し、基準面を設けることが困難な試料に対しては、この基準片Qの断面画像を基準面の断面画像とするようにしたので、基準片Qの断面画像を用いて三次元実測データの三次元設計データに対する画像ずれの補正を適切に行なうことができ、複雑な立体形状の場合でも試料の評価を好適に行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数枚の断面形状の寸法データからなる試料の設計上の立体形状データ(三次元設計データ)と、放射線照射によって得られた断面画像から再構築された試料の実測による立体形状データ(三次元実測データ)とを画像処理により仮想空間上で重ね合わせ、予め設定された評価点について設計上の立体形状と実測による立体形状との寸法誤差などを演算処理により自動評価する立体形状評価装置において、試料と特定の位置関係に基準部材を配置した状態の三次元設計データを用意する一方、試料と特定の位置関係に基準部材を配置した状態でX線照射により断面画像を取得してその断面画像から試料の三次元実測データを生成し、この三次元実測データと三次元設計データとを比較するようにしたので、試料に適切な基準面がない場合や基準面があってもその基準面の信頼性が低い場合でも三次元実測データの断面形状と三次元設計データの断面形状との位置合わせを好適に行うことができ、試料の立体形状に関係なく非破壊で、しかも短時間に当該試料の立体形状を好適に評価可能な立体形状評価装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る立体形状評価装置の構成を示す図である。
【図2】X線CTスキャナ装置の概略構成を示す図である。
【図3】試料の三次元形状の評価方法を説明するための図である。
【図4】試料に設定される基準面の一例を示す図である。
【図5】基準片が埋設された回転テーブルを示す要部斜視図である。
【図6】回転テーブル内の基準片の埋設位置を説明するための側面図である。
【図7】基準面が設けられていない試料の三次元設計データの一例を示す図である。
【図8】補正データの取得方法を説明するための図で、(a)は三次元設計データに含まれる基準画像を示す図、(b)は三次元実測データに含まれる基準画像を示す図である。
【図9】X線CTスキャナ装置で取得される、基準面を有しない試料の断面画像の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る立体形状評価処理機能を果たすために評価処理装置本体が行う処理動作を機能ブロックで表した図である。
【図11】試料の三次元設計データの一例を示す図である。
【図12】評価点の法線方向のデータの内容を説明するための図である。
【図13】評価点に関するデータの一例を示す図である。
【図14】断面画像において、空間部分の画素と試料の断面部分の画素との間に当該試料の断面形状の輪郭を構成する点が存在する場合のその点の位置の補間演算を説明するための図である。
【図15】画像ずれを補正した輪郭画像(実測画像)と三次元設計データにおける断面画像(設計画像)との関係を示す図である。
【図16】本発明に係る立体形状評価装置の試料の評価処理手順を示すフローチャートである。
【図17】評価データの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 立体形状評価装置(マイクロコンピュータ)
101 評価装置本体
102 ディスプレイ
103 キーボード
104 マウス
105 ドライバ
106 ハードディスク
2 X線CTスキャナ装置
21 スキャナ本体
211 回転テーブル
211a 上面
211b 固定部材
212 回転制御装置
213 X線管
214 コリメータ
215 X線検出器
216 昇降機
217 昇降制御装置
218 データ収集装置
22 高圧発生装置
23 X線制御装置
24 PCワークステーション
3 断面形状抽出部
4 画像ずれ補正データ演算部
5 実測断面形状補正部
6 画像比較部部
7 形状評価部
8 三次元設計データ記憶部
P 試料
Q 基準片(基準部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミダイカストなどの鋳造品の外形形状を非破壊で評価する装置に係り、特に鋳造品のCAD(Computer Aided Design)による設計上の三次元形状データ(以下、設計データという。)とX線CTスキャナ装置などによって取得した断面画像から再構築した鋳造品の実測による三次元形状データ(以下、実測データという。)とを比較し、実測による三次元形状データの設計上の三次元形状データに対する寸法誤差などに基づいて鋳造品の良否を評価する立体形状評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋳造品などの試料の外形形状の評価方法としては、従来、一般に三次元計測装置により試料の外形形状の寸法を測定し、その測定結果を設計データと比較することより試料の良否を判定する方法が知られている。
【0003】
この評価方法は、試料の外形形状の寸法を直接、測定器で測定するため、実測寸法の精度が高く、評価の信頼性が高いという利点はある。しかし、測定に時間を要するため評価コストが高い、内部に空洞がある試料では試料を切断しなければ、内部形状の寸法が実測できないなどの欠点があるため、例えば自動車のマニールド、シリンダヘッド、エンジンケースなどの複雑な立体形状を有する鋳造品などの評価方法としては採用し難く、近年は、産業用X線CTスキャナ装置を用いて試料の断面画像を取得し、その断面画像を用いて非破壊で試料の外形形状を評価する方法が開発されている。
【0004】
そして、産業用X線CTスキャナ装置による試料の断面画像を用いた外形形状の寸法測定技術としては、例えば特開平5−60539号公報や特開平7−243833号公報に示されるように、CT値で描画された断面画像から予め設定された閾値(CT値)を用いて断面形状の輪郭を示す点群を抽出することにより試料の断面形状の輪郭画像を生成し、この輪郭画像から評価すべき位置の寸法を算出する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−60539号公報
【特許文献2】
特開平7−243833号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の産業用X線CTスキャナ装置による試料の断面画像を用いた試料の外形形状の評価方法は、試料を非破壊で評価し得る点では三次元計測装置により試料の外形形状を実測する方法よりは優れるが、断面画像から試料の断面形状の輪郭画像を生成し、この輪郭画像に対して作業者が評価すべき位置を入力し、その評価位置の寸法を逐次算出させては作業者がその算出結果に基づいて試料の良否を評価するものであるため、評価作業に長時間を要し、試料の非破壊評価装置としては十分とは言えなかった。
【0007】
特に、複雑な立体形状を有する試料では、断面画像の枚数が多く、しかも各断面画像における評価位置も多数設定されるため、全ての評価点についての形状評価をしようとすると、作業者は膨大な評価位置について評価作業を繰り返さなければならず、必ずしも実用的とは言えなかった。
【0008】
そこで、評価作業の効率化を図る方法として、産業用X線CTスキャナ装置によって得られた試料の断面画像から、CADなどの設計支援装置によって作成された試料の三次元の形状データ(複数の断面形状を示す設計データ。以下、三次元設計データという。)と照合可能な当該試料の三次元の形状データ(複数の断面形状の輪郭を示すデータ。以下、三次元実測データという。)を作成し、三次元実測データを三次元設計データと比較することにより各断面の断面形状のずれに基づいて試料の良否を自動評価する方法が考えられる。
【0009】
しかし、この方法は、複数の断面形状について三次元実測データを三次元計測データと比較するため、両データの断面位置と各断面における座標系とが一致していなれければ、両断面形状のずれを正確に算出することができず、信頼性の高い評価結果が得られないという問題がある。
【0010】
三次元実測データは、産業用X線CTスキャナ装置によって撮影された試料の断面画像から作成されるため、試料の撮影時には少なくとも断面位置を三次元設計データの断面位置に合わせる必要がある。また、各断面における断面形状の比較は、断面形状の輪郭を示す点群の座標値を用いて行われるため、三次元実測データの各断面のx’y’座標系と三次元設計データの対応する断面のxy座標系とを合わせる必要がある。
【0011】
このため、通常、試料には所定の面やその面から設定した仮想的な面が基準面として設けられ、この基準面を基準にして三次元設計データが作成されるとともに、基準面を基準にして試料の各断面位置が決定されて断面画像が取得され、その断面画像から三次元実測データが作成されるようになっている。また、設計データには、少なくとも基準面に各断面の座標系を合わせるための座標変換用のデータを取得するための基準片の断面画像(例えば不等辺三角形)が設けられ、産業用X線CTスキャナ装置により試料の断面画像を取得する際には、試料とともに基準片の断面画像も写し込まれるようになっている。
【0012】
しかし、試料の形状が複雑なものでは基準面が全く設けられない場合や信頼性の低い基準面しか設けられない場合もあり、このような試料では対比すべき三次元実測データの断面画像と三次元設計データの断面画像との位置合わせが困難となるため、上述の自動評価方法を実現したとしてもこのような試料には適用できず、適用可能な試料が制限されることになる。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、試料の立体形状に関係なく非破壊で、しかも短時間に当該試料の立体形状を好適に評価をすることのできる立体形状評価装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定の断面形状を有する基準部材が特定の位置関係で配置された試料の、上記基準部材の所定の断面を基準面とした当該基準面と平行な複数の面で切断した際の各面の断面形状のデータと、各面の断面形状に予め設定された複数の評価点に関するデータとからなる上記試料の三次元設計データが記憶された記憶手段と、上記三次元設計データに含まれる複数の断面画像に対応する断面で、上記基準部材が上記特定の位置関係で配置された上記試料にX線を照射して断層像を取得し、その断層像から当該試料の各面における断面形状と当該基準部材の断面形状とからなる上記試料の三次元実測データを生成する三次元実測データ生成手段と、上記三次元実測データ生成手段で生成された上記基準部材の上記基準面における断面形状と上記三次元設計データにおける上記基準部材の上記基準面における断面形状とに基づいて、上記三次元実測データの各断面形状の上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正データを演算する演算手段と、各断面毎に、上記演算手段で算出された補正データに基づいて上記三次元実測データの各断面形状の、上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正手段と、各断面毎に、画像のずれが補正された上記三次元実測データの断面形状について、上記三次元設計データの対応する断面形状に設定された評価点に対応する点を抽出する評価点抽出手段と、各断面毎に、当該断面の設定された複数の評価点について、上記三次元設計データの断面形状と上記補正手段で補正された上記三次元実測データの断面形状とを比較し、その比較結果に基づいて上記試料の良否を評価する評価手段とを備えたものである(請求項1)。
【0015】
なお、上記立体形状評価装置において、上記評価手段による比較結果および評価結果を記録する記録手段をさらに備えるとよい(請求項2)。また、上記立体形状評価装置において、上記基準部材は、放射線を照射する際に上記試料を固定する固定部材の当該試料に対して特定の位置関係となる位置に設けるとよい(請求項3)。また、上記立体形状評価装置において、上記補正データには、少なくとも回転移動または平行移動により上記三次元実測データの断面画像の画像ずれを補正するデータが含むものである(請求項4)。また、上記立体形状評価装置において、上記評価手段は、各評価点毎に、上記三次元設計データの断面形状示す座標値と上記三次元実測データの断面形状示す座標値の誤差を算出し、その算出結果基づいて上記試料の良否を評価するとよい(請求項5)。また、上記立体形状評価装置において、上記評価手段は、さらに各評価点毎に上記三次元設計データの断面形状の評価点に対応する点が、上記三次元設計データの断面形状の当該評価点に対して外側に位置するか、内側に位置するかを判定し、その判定結果に基づいて上記試料の良否を評価するとよい(請求項6)。
【0016】
上記構成の立体形状評価システムによれば、試料の三次元設計データに含まれる複数の断面画像に対応する断面で、基準部材が特定の位置関係で配置された試料にX線などの放射線を照射して得られた投影像から当該試料の各断面における断面形状と当該基準部材の断面形状とからなる試料の三次元実測データが生成される。この後、三次元実測データの基準部材の断面形状と三次元設計データの基準部材の断面形状とに基づいて、三次元実測データの各断面形状の三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正データが演算される。具体的には、回転移動又は平行移動により三次元実測データの断面画像の画像ずれを補正する補正データ(例えばヘルマート変換により補正する場合は、ヘルマート変換式の係数)が演算される。そして、各断面毎に、この補正データに基づいて三次元実測データの各断面形状の、三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれが補正される。
【0017】
また、各断面毎に、三次元実測データの断面画像の画像ずれが補正された後、その断面形状について、三次元設計データの対応する断面形状に設定された評価点に対応する点が抽出される。
【0018】
そして、各断面毎に、当該断面の設定された複数の評価点について、三次元設計データの断面形状と画像ずれの補正された三次元実測データの断面形状とが比較され、その比較結果に基づいて試料の良否が評価される。具体的には、各評価点毎に、三次元設計データの断面形状を示す座標値と三次元実測データの断面形状を示す座標値との誤差が算出され、その誤差から試料の良否が評価される。あるいは各評価点毎に、三次元設計データの断面形状の評価点に対応する点が、三次元設計データの断面形状の当該評価点に対して外側に位置するか、内側に位置するかが判定され、その判定結果も加味して試料の良否が評価される。そして、その比較結果と評価結果はメモリに記録される。そして、その比較結果と評価結果はメモリに記録される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る立体形状評価装置の構成を示す図である。
【0020】
同図に示す立体形状評価装置1は、パールナルコンピュータによって構成されている。パーソナルコンピュータは、演算処理および外部接続された周辺装置の動作制御を行う評価装置本体101、表示装置としてのLCD(liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)からなるディスプレイ102、入力装置としてのキーボード103およびマウス104で構成されている。ディスプレイ102、キーボード103およびマウス104は所定の接続ケーブルで評価装置本体101に接続されている。また、評価装置本体101内には主記憶装置としてハードディスク106が内蔵されるとともに、外部記憶装置としてのCD−ROM(CD−Read Only Memory)やMO(Magnet Optical disk)などの記録媒体からプログラムやデータなどの情報を本体内に読み込むためのドライバ105が内蔵されている。
【0021】
評価装置本位101のハードディスク106には、本発明に係る試料の立体形状評価処理、すなわち、X線CTスキャナ装置によって得られた試料(例えばマニホールドやシリンダヘッドの鋳造品など)の複数枚の断面画像(以下、CT画像という。)から各断面の断面形状を示すデータからなる試料の三次元形状データ(三次元実測データ)を生成し、この三次元実測データとCADなどの設計支援装置によって作成された当該試料の三次元画像のデータ(複数枚の断面形状を示すデータ。三次元設計データ)との対応する断面形状同士を比較して形状寸法のずれなどから試料の良否を評価する処理のプログラムが予め格納されている。
【0022】
また、この立体形状評価処理のプログラムを実行するために必要なCT画像のデータは、MOなどの記録媒体に記録され、ドライバ105により当該記録媒体から読み取ってハードディスク106に保存することで評価装置本体101に入力される。なお、後述するX線CTスキャナ装置とパーソナルコンピュータ1とを通信線で接続し、X線CTスキャナ装置で取得されたCT画像のデータをオンラインでパーソナルコンピュータ1に伝送し、評価装置本体101内のハードディスク106に保存するようにしても良い。
【0023】
ここで、CT画像を取得するためのX線CTスキャナ装置の一例について、図2を用いて簡単に説明する。
【0024】
X線CTスキャナ装置2は、主としてスキャナ本体21、高圧発生装置22、X線制御装置23およびPCワークステーション24で構成されている。スキャナ本体21は、試料PにX線を照射して断面画像のデータを取得する機能を果たす部分で、試料Pを載置する回転テーブル211、この回転テーブル211の回転動作を制御する回転制御装置212、回転テーブル211に載置された試料PにX線を照射するべく当該X線を発生するX線管213、X線管213から発生するX線をビームに絞るためのコリメータ214、回転テーブル211を挟んでX線管213と対向配置され、X線管213から発せられたX線を検出するX線検出器215、X線管213を上下動させるための昇降機216、昇降機216の昇降動作を制御する昇降制御装置217、X線検出器215で検出される検出値を試料PのCT画像のデータとして収集するデータ収集装置218を含んでいる。
【0025】
X線管213には、高圧発生装置22から所定の高圧電源が供給され、これによりX線が放射されるようになっている。X線管213からのX線の放射量(出力)は高圧発生装置22の出力を制御することにより制御される。また、X線管213からのX線放射のタイミング、水平面内(図2ではXY平面)におけるキスャン範囲、スキャン速度などはX線制御装置23により制御される。高圧発生装置22およびX線制御装置23は、PCワークステーション24からの制御信号に基づきX線管213の出力、スキャン範囲、スキャン速度、スキャンタイミング等を制御する。
【0026】
X線管213から放射されるX線はコリメータ214により細く絞られてビームとなる。そして、X線管213から放射されるX線の方向を水平面内で回転テーブル211に搭載された試料Pをカバーし得る所定の角度で変化させることによりファンビーム(細いビームを所定の角度範囲でスキャンさせたビーム)が生成され、このファンビームが回転テーブル211に搭載された試料Pに照射される。
【0027】
一方、回転テーブル211を挟んでX線管213に対向配置されたX線検出器215は、水平面内で所定ピッチで複数の検出器が扇状(X線管213と各検出器との距離が等距離となる線上)に配列されたもので、各検出器でX線管213からのファンビームを検出するようになっている。
【0028】
X線管213およびX線検出器215は、昇降機216により上下方向(図2において、紙面に垂直な方向)に移動可能になっている。昇降機216の昇降動作は昇降制御装置217により制御される。昇降制御装置217は、断面画像取得時には昇降機216を測定初期位置から所定のピッチ(たとえば1mmピッチ)で上昇させる。なお、昇降機216にはX線管213およびX線検出器215の上下方向の位置を検出するための位置検出装置(例えばエンコーダ。図示せず)が設けられ、この位置検出装置から出力される検出信号は昇降制御装置217に入力されるようになっている。昇降制御装置217はこの検出信号に基づき昇降機216の相対的な昇降位置を制御する。本実施形態では、昇降機216によりX線管213およびX線検出器215が回転テーブル211に対して上下動するようになっているが、X線管213およびX線検出器215を固定し、回転テーブル211を昇降させる構成であってもよい。
【0029】
また、本実施形態に係る立体形状評価装置1は、図3に示すように、三次元実測データの断面画像Goと三次元設計データの対応する断面画像Gdとを重ね合わせるように比較して各断面の形状を評価するため、X線CTスキャナ装置2によって取得される複数枚の断面画像の各画像は、CADなどで作成される試料の複数枚の断面画像の対応する画像と一致している必要がある。このため、通常、試料Pには、図4に例示するように基準面Sが設定されるとともに、この基準面Sを基準として当該基準面Sに垂直な方向に所定のピッチで複数の設計断面が設定され、CADでは各断面について試料Pの断面形状の図面が作成されている。なお、図4の例では、基準面Sは試料Pに存在する最上面を含む面として設定されているが、試料Pに存在する面に基づいて仮想的に設定した面であってもよい。
【0030】
なお、試料Pの断面画像を取得する際、基準面Sとこの基準面Sに対して所定のピッチで設定される断面位置を正確に調整すれば、三次元実測データと三次元設計データの各断面画像の対応関係は正確に一致させることができる。しかし、各断面画像においては、実測した断面画像Goのx’y’座標と設計した断面画像Gdのxy座標は必ずしも一致しているわけではないので、実測した断面画像Goのx’y’座標を設計した断面画像Gdのxy座標に一致させるように(図3の状態参照)、画像のずれを補正する必要がある。
【0031】
実測した断面画像の設計した断面画像に対する画像ずれは幾何学的な歪に相当し、例えばヘルマート変換による幾何補正によって補正することができる。ヘルマート変換は、2つの画像間の縮尺、回転、平行移動の3種類の歪を補正するものである。幾何補正前の座標を(x’,y’)、幾何補正後の座標を(x,y)とし、原点の平行移動量を(Δx,Δy)、原点を中心とした回転角をθ、原点を中心とした縮尺率をmとすると、ヘルマート変換式は、下記式▲1▼▲2▼で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
そして、この画像のずれを補正するための補正データ(ヘルマート変換式の係数a,b,c,d)を取得するために、三次元設計データの基準面Sの断面画像には、補正データ取得用の不等辺三角形の基準画像Gr(図4参照)が設けられている。
【0034】
しかし、試料Pの立体形状が複雑かつ曲線的で基準面Sが設けられない場合や、設けられたとしても信頼性が低い場合もあり、このような場合は、三次元設計データの各断面の画像に対応した三次元実測データを正確に取得することが困難となり、仮に所得し得たとしても十分な精度が得られないという問題が生じる。そこで、基準面Sを設けることが困難な試料Pに対しても測定可能にするため、本実施形態に係るX線CTスキャナ装置2では、基準面Sに相当する面を試料Pの外部に設定可能にし、この基準面Sの断面画像を用いて画像ずれの補正データを取得できるようにしている。
【0035】
具体的には、図5に示すように、回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の薄い角柱片からなる基準片Qを埋設している。基準片Qは、図6に示すように、上下面が回転テーブル211の上面211a(試料載置面211a)と平行になるように埋設されている。そして、基準面Sは、回転テーブル211の上面211aから所定の寸法dだけ下側の位置に設定され、試料Pの断面画像を取得する際、基準面Sの断面画像も取得されるようになっている。
【0036】
従って、基準面Sが設けられていない試料PのCT画像を取得する際は、図6に示す基準面Sの位置とこの基準面Sに対して所定のピッチで設定される複数の断面位置の情報が昇降制御装置217にPCワークステーション24から入力され、昇降制御装置217はこの情報に基づいて昇降機216の昇降動作を制御する。
【0037】
基準片Qの平面視形状を直角三角形としているのは、上述したように、基準面Sの断面画像を基準画像として画像ずれの補正データを取得できるようにするためである。本実施形態に係る立体形状評価装置1では、基準面Sが試料Pの外部に設定され、補正データ取得用の基準画像が当該基準面Sで取得されるようになっているので、試料Pには、図7に示すように、図6に示した実測条件で取得される基準面Sの断面画像に相当する断面図(直角三角形の図)が試料Pの三次元設計データに1枚追加されている。
【0038】
そして、図8に示すように、三次元実測データに含まれる基準面Sの断面画像Gor(基準片Qの直角三角形の断面画像。基準画像に相当)と三次元設計データに含まれる基準面Sの断面図Gr(直角三角形の図)とを比較して画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式の係数a,b,c,d)が算出される。
【0039】
画像ずれの補正データは、実測された基準面Sの断面画像Gorの3個の頂点c1’,c2’,c3’の座標(x1’,y1’),(x2’,y2’),(x3’,y3’)を算出し、これらの座標と設計された基準面Sの断面図Grの3個の頂点c1,c2,c3の座標(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)を上記▲1▼,▲2▼式に代入し、最小二乗法により最小の誤差となる係数a,b,c,dを算出することにより求められる。
【0040】
なお、画像ずれの補正データは、断面画像Goのx’y’座標を断面画像Gdのxy座標に変換するデータとして算出されるが、これは試料Pの各断面のCT画像がx’y’座標に対して所定の位置に配置されていることを前提としている。すなわち、三次元設計データは、各断面のx’y’座標上に試料Pの断面形状をプロットすることにより作成されているから、CT画像から作成される各断面の試料Pの輪郭形状のデータも、三次元設計データに対応するようにx’y’座標上にプロットされたものとなっている必要がある。
【0041】
そして、試料Pの各断面画像におけるx’y’座標は、基準面Sにおける基準片QのCT画像(直角三角形の画像)によって定義されるから、試料Pを回転テーブル211に載置する際、試料Pは、その断面形状が基準片Qの断面形状(直角三角形の形状)に対して特定の位置関係になるように位置決めが行われる必要がある。このため、本実施形態に係るX線CTスキャナ装置2の回転テーブル211の上面211aには、図6に示すように、試料Pを所定の位置に位置決めをして固定する固定部材211bが設けられている。なお、図6では、固定部材211bとして固定片が描かれているが、固定部材211bは、試料Pの形状に応じて適切な形状及び構造の部材が適宜、選択される。
【0042】
上記のように、基準片Qは、基準面Sを試料Pの外部に設定可能にするとともに、その基準面Sにおけるx’y’座標を定義して画像ずれの補正データを取得可能にするためのものであるから、これらの目的を達成するものであれば、その形状は平面視形状が直角三角形の薄い角柱片に限定されるものでない。例えば平面視形状は直角三角形が任意の寸法の三角形や正方形であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、基準片Qを回転テーブル211の内部に埋設しているが、基準面Sを試料Pの外部に設定することができれば、基準片Qは必ずしも回転テーブル211の内部に埋設する必要はない。例えば試料Pを固定する固定台を設け、この固定台の内部に基準片Qを埋設する構成であってもよい。多種多様な断面形状を有する試料PのCT画像の取得の容易性を考慮すると、回転テーブル211に基準片Qを埋設する方法は、試料毎に基準面Sのx’y’座標に対する位置決めをするための固定部材をテーブル上面211aに設けなければならず、テーブル上の固定部材211bが煩雑になるという不利があるが、試料毎に固定台を設ける方法は、そのような問題を解消するという利点がある。
【0044】
図2に戻り、回転テーブル211は、図略の駆動モータにより回転可能になっている。回転テーブル211の回転動作は回転制御装置212により制御される。回転制御装置212は、断面画像取得時にはPCワークステーション24からの制御データに基づき回転テーブル211を回転初期位置から一定の角度(例えば30度)単位で回転させ、例えば時計回りに半回転もしくは一回転させる。従って、試料PのX線吸収量は、回転テーブル211が各回転位置に停止される毎に測定される。
【0045】
ある高さ位置の試料PのCT画像は、昇降機216によりX線管213およびX線検出器215をその高さ位置に設定した後、X線管213からファンビームを試料に照射させながら、回転テーブル211を一回転または半回転させる(すなわち、試料Pを水平面内に一回転または半回転させる)ことにより取得される。
【0046】
従って、試料Pを高さ方向に所望のピッチで複数回スライスし、各スライス面でCT画像を取得することにより試料の一部又は全ての面の断面形状の画像が取得される。各高さ位置で試料Pにファンビームを照射し、当該試料Pを透過したX線はX線検出器215により検出され、その検出データはデータ収集装置218に入力される。データ収集装置218では、各高さ位置で取得されたX線の検出量から試料PでのX線吸収量(減弱計数=CT値)を求め、CT画像のデータを作成する。このCT画像は、(n×n)個の画素を有するエリアセンサで断面を撮影した画像に相当し、CT画像のデータは各画素の出力レベルがCT値で表された濃淡データである。このCT画像のデータは、試料PのCT画像取得動作の終了後、PCワークステーション24に転送される。
【0047】
PCワークステーション24は、試料PのCT画像取得動作を統括制御するための装置である。PCワークステーション24は、パーソナルコンピュータ241、モニタ242およびキーボード/マウス243で構成されている。パーソナルコンピュータ241にはX線CXスキャナ装置2により試料Pの断面画像を取得するための専用の処理プログラムが内蔵され、起動すると、その処理プログラムに従って試料の断面画像の取得動作を行う。なお、ユーザは、X線CTスキャナ装置2の動作開始前にキーボード/マウス243によって所要の条件(例えばスキャン範囲、高さ方向のスライスピッチ、スキャン速度等の条件)を設定する。
【0048】
このX線CTスキャナ装置2では、図9に示すように、試料Pを高さ方向に所定のピッチでスライスした複数枚のCT画像が取得され、これらのCT画像のデータは、PCワークステーション24内のハードディスクなどの記憶装置に保存される。そして、PCワークステーション24がオンラインで立体形状評価装置1に接続されている場合は、取得されたCT画像のデータは通信により立体形状評価装置1に転送され、立体形状評価装置1に接続されていない場合は、取得されたCT画像のデータは、図略のドライバでMOなどの記録媒体に一旦記録され、このMOを介して立体形状評価装置1に入力される。
【0049】
図10は、立体形状評価装置1の評価装置本体101が本発明に係る形状評価処理を行う場合の処理動作を機能ブロックで示したものである。
【0050】
本実施形態に係る立体形状評価装置1は、上述したように、X線CTスキャナ装置2によって得られた複数枚の試料PのCT画像から各断面における試料Pの断面形状の輪郭を構成する点群を抽出し、これらの各断面の輪郭形状(実測形状)とCADなどで作成された試料Pの各断面の輪郭形状(設計形状)とを比較して当該試料Pの立体的な形状の良否を評価する機能を有する。機能ブロックは、断面形状抽出部3、画像ずれ補正データ演算部4、実測断面形状補正部5、画像比較部6、形状評価部7からなる。なお、三次元設計データ記憶部8は、CADなどで作成された複数枚の試料Pの断面形状データからなる三次元設計データを記憶するもので、評価装置本体101内のハードディスク106がその機能を果たしている。
【0051】
図11は、基準面Sを有する試料Pの基準面Sにおける三次元設計データの一例を示す図である。試料Pの三次元設計データは、複数枚の断面形状の設計データからなる。各面には、例えば画面中央にxy座標の座標原点oが設定され、断面形状の輪郭Rを示すデータは、輪郭Rを構成する点群の各点pの座標原点oを基準にしたxy座標p(x,y)で構成されている。
【0052】
また、各面の断面形状には複数の評価点Hpが設定されている。評価点Hpは、実際に製造された試料Pの断面形状の寸法などを適当な抽出点で自動的に評価するために当該断面形状に設定される評価用の抽出点である。三次元設計データには、評価点Hpに関する所要のデータがテーブル化されて含まれている。
【0053】
評価点Hpに関するデータとは、評価点No.、評価点の座標値、評価点Hpにおける法線ベクトルのデータである。評価点No.は、複数の評価点Hpを識別するための各評価点Hpに付される番号もしくは符合である。評価点の座標値とは、評価点Hpの設定された断面形状の輪郭を構成する点のxy座標である。例えば図11の輪郭点p(x,y)にNo.Mの評価点Hpが設定されると、そのxy座標(x,y)がNo.Mの評価点Hpの評価点座標となる。
【0054】
また、評価点Hpにおける法線ベクトルのデータとは、図12に示すように試料Pの評価点Hpを含む外形側面Sの当該評価点Hpにおける法線方向であって試料Pに対して外方の向きを示すベクトルのデータである。外形側面Sが試料Pの外側にある場合は(図12の外形側面S1参照)、外形側面S上の評価点Hpの法線ベクトルの向きは試料Pから外方に向かう向きとなり、外形側面Sが試料Pの内側にある場合は(図12の外形側面S2参照)、外形側面S上の評価点Hpの法線ベクトルの向きは試料Pから内方に向かう向きとなる。
【0055】
図13は、評価点Hpに関するデータの一例を示す図である。同図に示す「No.」は、評価点No.であり、「座標」は、No.の評価点のxy座標値であり、「法線ベクトル」は、No.の評価点の法線ベクトルのuv座標値である。
【0056】
図10に戻り、断面形状抽出部3は、X線CTスキャナ装置2により取得された試料Pの複数枚の断面画像から各断面毎に断面形状を抽出し、輪郭画像Go(三次元実測データ)を生成する処理を行うものである。断面形状抽出部3は、予め設定された所定の閾値Th(CT値)(例えば、Th=0)を用いて各断面画像について試料Pの断面形状の輪郭を構成する点群を抽出する。
【0057】
CT画像が、(n×n)個の画素からなるエリアセンサで試料の断面形状を撮影した画像に相当するとすると、断面形状抽出部3は、CT画像を構成する画素G(i,j)(i行j列目の画素、i=1,2,…n、j=1,2,…n)をラスタ走査方向にスキャンしながら、各画素G(i,j)について、当該画素G(i,j)のCT値CT(i,j)を予め設定された所定の閾値Th(CT値)(例えば「0」)と比較する。そして、CT(i,j)=Thであれば、そのCT値を有する画素の画素位置を点Eの位置とする。例えばTh=CT(i,j)であれば、画素G(i,j)の位置X(i,j)が点Eの位置Xeとなる。
【0058】
一方、CT(i,j)>Thであれば、当該画素G(i,j)は試料の断面部分を撮影した画素であるとして、隣接する4個のG(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)のCT値G(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)を所定の閾値Th(CT値)と比較し、所定の閾値Thより小さいCT値を有する画素(すなわち、試料の空間部分を撮影した画像)があるかどうかを判別する。所定の閾値Thより小さいCT値を有する画素がある場合は、当該画素G(i,j)とその画素との間に所定の閾値Thと同一のCT値を有する位置が存在するから、補間演算によりその位置を算出し、その位置を試料の断面形状の輪郭を構成す点Eの位置Xeとする。なお、補間方法としては、例えば画素間のCT値の変化を直線と見なして比例計算によりXeの位置を算出する方法を適用することができる。
【0059】
例えば図14に示すように、画素G(i,j−1)のCT値CT(i,j−1)がCT(i,j−1)<Thであれば、断面形状抽出部3は、Th−CT(i,j−1):CT(i,j)−CT(i,j−1)=Xe−X(i,j−1):X(i,j)−X(i,j−1)であるから、Xe=[[Th−CT(i,j−1)]・{X(i,j)−X(i,j−1)}]/{CT(i,j)−CT(i,j−1)}+X(i,j−1)により点Eの位置を算出する。
【0060】
また、CT(i,j)<Thであれば、当該画素G(i,j)は試料の空間部分を撮影した画素であるとして、隣接する4個のG(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)のCT値G(i−1,j),G(i+1,j),G(i−1,j),G(i,j+1)を所定の閾値Th(CT値)と比較し、所定の閾値Thより大きいCT値を有する画素(すなわち、試料の断面部分を撮影した画像)があるかどうかを判別する。所定の閾値Thより大きいCT値を有する画素がある場合は、当該画素G(i,j)とその画素との間に所定の閾値Thと同一のCT値を有する位置が存在するから、上述した補間演算によりその位置を算出し、その位置を試料の断面形状の輪郭を構成す点Eの位置Xeとする。
【0061】
例えば画素G(i+1,j)のCT値CT(i+1,j)がCT(i+1,j)>Thであれば、断面形状抽出部3は、Th−CT(i,j):CT(i+1,j)−CT(i,j)=Xe−X(i,j):X(i+1,j)−X(i,j)であるから、Xe=[[Th−CT(i,j)]・{X(i+1,j)−X(i,j)}]/{CT(i+1,j)−CT(i,j)}+X(i,j)により点Eの位置を算出する。
【0062】
図10に戻り、画像ずれ補正データ演算部4は、断面形状抽出部3によって得られた各断面の輪郭画像Goの三次元設計データの対応する断面の断面画像に対する画像ずれを補正するための補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)を演算するものである。
【0063】
画像ずれ補正データ演算部4は、基準面Sの輪郭画像Goから基準片Qの断面形状(三角形)を構成する点群を抽出し、その点群を三角形の各辺を構成する3つのグループに分類する。続いて、各辺を構成する点群の座標から各辺に最も近似する直線を最小二乗法により決定し、3本の直線の互いに交差する点c1’,c2’,c3’(図8(b)参照)の座標(x1’,y1’),(x2’,y2’),(x3’,y3’)を算出する。続いて、画像ずれ補正データ演算部4は、これらの座標c1’(x1’,y1’),c2’(x2’,y2’),c3’(x3’,y3’)と三次元設計データに含まれる基準画像Grの三角形の頂点の座標c1(x1,y1),c2(x2,y2),c3(x3,y3)(図8(a)参照)を上記▲1▼,▲2▼式に代入して、下記式▲3▼〜▲5▼の3個の等式を作成し、これらの等式を満たす係数a,b,c,dを最小二乗法により決定する。決定された係数a〜dのデータはRAMに一次保存される。
【0064】
【数2】
【0065】
実測断面形状補正部5は、画像ずれ補正データ演算部4で演算された補正データ(a,b,c,d)と上記▲1▼,▲2▼のヘルマート変換式を用いて輪郭画像Goの画像ずれを補正する処理を行うものである。すなわち、実測断面形状補正部6は、輪郭画像Goを構成する各点の座標(x’,y’)を上記▲1▼,▲2▼のヘルマート変換式を用いてxy座標系の座標(x,y)に変換する。これにより、変換後の輪郭画像Go’は、xy座標系の画像となり、図3に示したように、三次元設計データの対応する断面の断面画像Gdとを重ね合わせた状態で両画像のずれ具合をみるような比較が可能となる。
【0066】
画像比較部6は、画像ずれが補正された輪郭画像Go’と三次元設計データの対応する断面画像Gd(以下、比較対象となる断面画像Gdを設計断面画像Gdという。)とを全ての評価点Hpについて比較し、各評価点Hpにおける寸法の誤差、法線方向のずれなどを演算する処理を行うものである。
【0067】
画像比較部6は、まず、輪郭画像Go’の評価点Hpに対応する点を算出する。この評価点Hpの対応点Hp’の算出は、図15に示すように、輪郭画像Go’上に評価点Hpの座標(x,y)を設定し、この点(x,y)に最も近い輪郭画像Go’を構成する点(x’,y’)を抽出することにより行われる。すなわち、評価点Hpの座標(x,y)を有する点が存在すれば、その点と評価点Hpとの距離dはゼロとなるから、その点が評価点Hpの対応点Hp’となる。また、評価点Hpの座標(x,y)を有する点が存在しなければ、評価点Hpの位置で輪郭画像Go’と設計断面画像Gdとはずれが生じていることになるが、そのずれは極めて小さいと推定されるから、評価点Hpからの距離dが最も小さい点を評価点Hpの対応点とするものである。そして、そのときの両点の距離d(=√((x−x’)2+(y−y’)2)は評価点Hpにおける設計値と実測値との間の誤差となる。
【0068】
輪郭画像Go’の評価点Hpに対応する点が算出されると、画像比較部6は、さらに評価点Hpと対応点Hp’とを結ぶ方向と評価点Hpの法線方向とを比較して対応点Hp’が設計上の輪郭線の外側に位置するのか、内側に位置するのかを判定する。評価点Hpの法線方向は、評価点Hpの法線ベクトルの座標(u,v)よりその傾きv/uで表される。一方、評価点Hpと対応点Hp’とを結ぶ方向は、評価点Hpの座標(x,y)、対応点Hp’の座標(x’,y’)から(y−y’)/x−x’)で表される。画像比較部6は、(v/u)−〔(y−y’)/x−x’)〕を演算し、その演算結果が予め設定された閾値以下であれば、対応点Hp’は外側に位置していると判断し、閾値よりも大きければ、対応点Hp’は内側に位置していると判断する。
【0069】
次に、画像比較部6は、評価点Hpを通る法線と輪郭画像Go’の輪郭線との交点(図15のh点参照)を算出し、この交点hと評価点Hpとの距離dhを法線方向のずれとして算出する。この場合、輪郭画像Go’に交点hに相当する対応点pが存在する場合は、その点pの座標(xp’,yp’)と評価点Hpの座標(x,y)との距離√((x−xp’)2+(y−yp’)2)が距離dhとなる。一方、輪郭画像Go’に交点hに相当する対応点pが存在しない場合、輪郭画像Go’の評価点Hpを通る法線を挟む2つの点p1,p2の座標から両点を結ぶ直線を算出し、この直線と評価点Hpを通る法線とから交点hの座標(xh’,yh’)を算出して距離dh=√((x−xh’)2+(y−yh’)2)が算出される。
【0070】
形状評価部7は、画像比較部6により算出される各評価点Hpの寸法の誤差(距離d)、法線方向のずれ(距離dh)などから実測された試料の合否判定を行なうものである。形状評価部7は、各評価点毎に予め設定された寸法誤差や法線方向のずれの評価基準(閾値)と算出された寸法誤差や法線方向のずれとを比較し、誤差やずれが評価基準を超えている場合は「不良」と判定し、評価基準を満たしている場合は、「合格」の判定を行なう。そして、全ての評価点について合否判定を行なうと、この判定結果を画像比較部6で算出された寸法誤差や法線方向のずれとともにテーブル化して評価データを作成し、ハードディスク106に記憶する。この評価データは、例えば実測された試料(鋳物品)自体の検討や試料(鋳物品)を製造するための金型や鋳物製造装置の検討を行なうために利用される。
【0071】
次に、立体形状評価装置1の試料の評価処理手順について、図16のフローチャートを用いて説明する。X線CTスキャナ装置2によって取得されたM枚のCT画像のデータは画像処理装置1内のハードディスク内に記憶されているとする。
【0072】
まず、基準面SにおけるCT画像がハードディスクの記憶領域からワークエリアに読み出される(S1)。続いて、断面形状抽出部3によりCT画像から試料Pの基準面Sにおける断面形状(基準片Qの断面形状で、直角三角形の形状)の輪郭を構成する点群が抽出され(S2、基準画像Gorの作成)、基準画像Gorが作成されると、画像ずれ補正データ演算部4によりこの基準画像Gorと三次元設計データに含まれる基準面Sにおける基準片Qの断面形状の画像Grとから画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)が演算される(S3,補正データの算出)。
【0073】
続いて、CT画像の枚数をカウントするカウンタのカウント値iが「1」にセットされ(S4)、i段目のCT画像データがハードディスクの記憶領域からワークエリアに読み出される(S5)。続いて、断面形状抽出部3によりCT画像から試料Pのi段目の断面形状の輪郭を構成する点群が抽出され(S6、輪郭画像Goの作成)、輪郭画像Goが作成されると、実測断面形状補正部5により、ステップS3で算出された画像ずれの補正データ(ヘルマート変換式における係数a,b,c,d)を用いて輪郭画像Goの画像ずれが補正される(S7、輪郭画像のずれ補正)。
【0074】
続いて、画像比較部6により補正後の輪郭画像Go’と設計断面画像Gdとを比較し、当該設計断面画像Gdに設定された複数の評価点Hpについて、それぞれ寸法の誤差と法線方向のずれが演算される(S8、誤差の演算)。そして、形状評価部7により各評価点Hpごとに寸法誤差と法線方向のずれの演算結果を用いて合否判定が行なわれ、全ての評価点Hpについて判定処理が終了すると、図17に示すような評価データを作成し、その評価データはハードディスク106に一次保存される(S9,評価データの作成)。
【0075】
なお、図17において、寸法誤差d1,d2,…di,…は、No.iの評価点Hpの寸法誤差で、その評価点Hp(xi,yi)とその評価点Hpに最も近い輪郭画像Go’上の対応点Hp(xi’,yi’)との距離√((xi−xi’)2+(yi−yi’)2)である。また、法線方向のずれdh1,dh2,…dhi,…は、No.iの評価点Hpにおける法線方向のずれで、その評価点Hp(xi,yi)と、その評価点Hpから延びる法線と輪郭画像Go’上の輪郭線との交点h(xhi,yhi)との距離√((xi−xhi’)2+(yi−yhi’)2)である。また、判定結果の「良」、「不良」は、例えば「良」=「1」、「不良」=「0」の2値データで表される。
【0076】
続いて、カウント値iが1だけインクリメントされた後、そのカウント値iが総CT画像数Mを越えたか否かが判別される(S10,S11)。カウント値iがM以上であれば(S11:NO)、次のCT画像について、上述と同様の処理をするべくステップS25に戻る。そして、全てのCT画像について上述の評価データの作成処理が終了すると(S11:YES)、ハードディスク106に一次保存された各断面の評価データが一つのファイルに纏められてハードディスク106の所定の記憶領域に記憶され(S12)、評価処理は終了する。
【0077】
なお、立体形状評価装置1の画像処理プログラムをX線CTスキャン装置2のPCワークステーション24のパーソナルコンピュータ241に組み込んで当該パーソナルコンピュータ241を画像処理装置1として機能させても良い。
【0078】
上記のように、本実施形態に係る立体形状評価装置1によれば、X線CTスキャナ装置2により取得した試料の複数の断面画像から複数の輪郭画像を作成し、各輪郭画像と対応する設計断面画像とを比較し、予め設定された複数の評価点について寸法誤差などを算出し、その算出結果を用いて試料の良否を自動的に判定するようにしているので、非破壊で短時間に試料の立体形状の良否を判定することができる。
【0079】
特に、試料が複雑な外形形状を有している場合でもCADにより設計する段階で所要の評価点と評価基準を設定しておけば、X線CTスキャナ装置2で試料の断面画像のデータを取得した後は自動的に評価処理を行うことができるので、高い精度で良否評価をすることができるとともに、その評価作業の効率も大幅に向上させることができる。
【0080】
また、X線CTスキャナ装置2の回転テーブル211の内部に平面視形状が直角三角形の基準片Qを埋設し、基準面を設けることが困難な試料に対しては、この基準片Qの断面画像を基準面の断面画像とするようにしたので、基準片Qの断面画像を用いて三次元実測データの三次元設計データに対する画像ずれの補正を適切に行なうことができ、複雑な立体形状の場合でも試料の評価を好適に行うことができる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数枚の断面形状の寸法データからなる試料の設計上の立体形状データ(三次元設計データ)と、放射線照射によって得られた断面画像から再構築された試料の実測による立体形状データ(三次元実測データ)とを画像処理により仮想空間上で重ね合わせ、予め設定された評価点について設計上の立体形状と実測による立体形状との寸法誤差などを演算処理により自動評価する立体形状評価装置において、試料と特定の位置関係に基準部材を配置した状態の三次元設計データを用意する一方、試料と特定の位置関係に基準部材を配置した状態でX線照射により断面画像を取得してその断面画像から試料の三次元実測データを生成し、この三次元実測データと三次元設計データとを比較するようにしたので、試料に適切な基準面がない場合や基準面があってもその基準面の信頼性が低い場合でも三次元実測データの断面形状と三次元設計データの断面形状との位置合わせを好適に行うことができ、試料の立体形状に関係なく非破壊で、しかも短時間に当該試料の立体形状を好適に評価可能な立体形状評価装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る立体形状評価装置の構成を示す図である。
【図2】X線CTスキャナ装置の概略構成を示す図である。
【図3】試料の三次元形状の評価方法を説明するための図である。
【図4】試料に設定される基準面の一例を示す図である。
【図5】基準片が埋設された回転テーブルを示す要部斜視図である。
【図6】回転テーブル内の基準片の埋設位置を説明するための側面図である。
【図7】基準面が設けられていない試料の三次元設計データの一例を示す図である。
【図8】補正データの取得方法を説明するための図で、(a)は三次元設計データに含まれる基準画像を示す図、(b)は三次元実測データに含まれる基準画像を示す図である。
【図9】X線CTスキャナ装置で取得される、基準面を有しない試料の断面画像の一例を示す図である。
【図10】本発明に係る立体形状評価処理機能を果たすために評価処理装置本体が行う処理動作を機能ブロックで表した図である。
【図11】試料の三次元設計データの一例を示す図である。
【図12】評価点の法線方向のデータの内容を説明するための図である。
【図13】評価点に関するデータの一例を示す図である。
【図14】断面画像において、空間部分の画素と試料の断面部分の画素との間に当該試料の断面形状の輪郭を構成する点が存在する場合のその点の位置の補間演算を説明するための図である。
【図15】画像ずれを補正した輪郭画像(実測画像)と三次元設計データにおける断面画像(設計画像)との関係を示す図である。
【図16】本発明に係る立体形状評価装置の試料の評価処理手順を示すフローチャートである。
【図17】評価データの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 立体形状評価装置(マイクロコンピュータ)
101 評価装置本体
102 ディスプレイ
103 キーボード
104 マウス
105 ドライバ
106 ハードディスク
2 X線CTスキャナ装置
21 スキャナ本体
211 回転テーブル
211a 上面
211b 固定部材
212 回転制御装置
213 X線管
214 コリメータ
215 X線検出器
216 昇降機
217 昇降制御装置
218 データ収集装置
22 高圧発生装置
23 X線制御装置
24 PCワークステーション
3 断面形状抽出部
4 画像ずれ補正データ演算部
5 実測断面形状補正部
6 画像比較部部
7 形状評価部
8 三次元設計データ記憶部
P 試料
Q 基準片(基準部材)
Claims (6)
- 所定の断面形状を有する基準部材が特定の位置関係で配置された試料の、上記基準部材の所定の断面を基準面とした当該基準面と平行な複数の面で切断した際の各面の断面形状のデータと、各面の断面形状に予め設定された複数の評価点に関するデータとからなる上記試料の三次元設計データが記憶された記憶手段と、
上記三次元設計データに含まれる複数の断面画像に対応する断面で、上記基準部材が上記特定の位置関係で配置された上記試料にX線を照射して断層像を取得し、その断層像から当該試料の各面における断面形状と当該基準部材の断面形状とからなる上記試料の三次元実測データを生成する三次元実測データ生成手段と、
上記三次元実測データ生成手段で生成された上記基準部材の上記基準面における断面形状と上記三次元設計データにおける上記基準部材の上記基準面における断面形状とに基づいて、上記三次元実測データの各断面形状の上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正データを演算する演算手段と、
各断面毎に、上記演算手段で算出された補正データに基づいて上記三次元実測データの各断面形状の、上記三次元設計データの対応する断面形状に対する画像のずれを補正する補正手段と、
各断面毎に、画像のずれが補正された上記三次元実測データの断面形状について、上記三次元設計データの対応する断面形状に設定された評価点に対応する点を抽出する評価点抽出手段と、
各断面毎に、当該断面の設定された複数の評価点について、上記三次元設計データの断面形状と上記補正手段で補正された上記三次元実測データの断面形状とを比較し、その比較結果に基づいて上記試料の良否を評価する評価手段と、
を備えたことを特徴とする立体形状評価装置。 - 請求項1記載の立体形状評価装置において、
上記評価手段による比較結果および評価結果を記録する記録手段をさらに備えたことを特徴とする立体形状評価装置。 - 上記基準部材は、X線を照射する際に上記試料を固定する固定部材の当該試料に対して特定の位置関係となる位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の立体形状評価装置。
- 上記補正データには、少なくとも回転移動または平行移動により上記三次元実測データの断面画像の画像ずれを補正するデータが含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の立体形状評価装置。
- 上記評価手段は、各評価点毎に、上記三次元設計データの断面形状に示す座標値と上記三次元実測データの断面形状の示す座標値の誤差を算出し、その算出結果に基づいて上記試料の良否を評価することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体形状評価装置。
- 上記評価手段は、さらに各評価点毎に、上記三次元実測データの断面形状の評価点に対応する点が、上記三次元設計データの断面形状の当該評価点に対して外側に位置するか、内側に位置するかを判定し、その判定結果に基づいて上記試料の良否を評価することを特徴とする請求項5記載の立体形状評価装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003058686A JP2004271221A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 立体形状評価装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003058686A JP2004271221A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 立体形状評価装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004271221A true JP2004271221A (ja) | 2004-09-30 |
Family
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Family Applications (1)
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JP2003058686A Pending JP2004271221A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 立体形状評価装置 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008185359A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | Shimadzu Corp | X線ct装置 |
JP2011516870A (ja) * | 2008-04-07 | 2011-05-26 | カール ザイス インダストリエル メステクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 機械的ワークを断層撮影法によって測定するための方法 |
-
2003
- 2003-03-05 JP JP2003058686A patent/JP2004271221A/ja active Pending
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JP2011516870A (ja) * | 2008-04-07 | 2011-05-26 | カール ザイス インダストリエル メステクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 機械的ワークを断層撮影法によって測定するための方法 |
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