JP2004271031A - 熱交換器の製造方法および該熱交換器を用いた除湿機 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱交換率を低下させることなく、製造に係る歩留まりも向上できる熱交換器の製造方法および該熱交換器を用いた除湿機を提供する。
【解決手段】真空成形または圧空成形により、複数の第1仕切用凹条4Aを備えた樹脂製の第1パネル2Aと、第1仕切用凹条4Aに対応する第2仕切用凹条4Bを備えた第1パネル2Aと対称な樹脂製の第2パネル2Bとを設け、第1パネル2Aに流入口6を形成するとともに、第1パネル2Aまたは第2パネル2Bに流出口7を形成し、第1パネル2Aと第2パネル2Bとを各凹条4A,4Bの底が接触するように配置し、その凹条4A,4Bおよび各パネル2A,2Bの外周縁を貼り合わせ、各凹条4A,4Bを除く部位により流路5を形成し、貼り合わされた仕切用凹条4の底に通孔9を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】真空成形または圧空成形により、複数の第1仕切用凹条4Aを備えた樹脂製の第1パネル2Aと、第1仕切用凹条4Aに対応する第2仕切用凹条4Bを備えた第1パネル2Aと対称な樹脂製の第2パネル2Bとを設け、第1パネル2Aに流入口6を形成するとともに、第1パネル2Aまたは第2パネル2Bに流出口7を形成し、第1パネル2Aと第2パネル2Bとを各凹条4A,4Bの底が接触するように配置し、その凹条4A,4Bおよび各パネル2A,2Bの外周縁を貼り合わせ、各凹条4A,4Bを除く部位により流路5を形成し、貼り合わされた仕切用凹条4の底に通孔9を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度差のある2つの流体間で熱を授受させる熱交換器の製造方法、および、該熱交換器を用いた除湿機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の除湿機は、ケーシング内が除湿通路と再生通路とに区画され、これら通路に跨って円板状の除湿ロータが回転可能に配設されている。
【0003】
前記除湿通路には、室内の空気を吸気口から吸引し、排気口から室内に循環供給するための室内空気循環ファンが配設されている。前記再生通路には、該再生通路内の再生空気を循環させる再生空気循環ファンと、前記再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータとが配設されている。また、ケーシング内には、前記再生通路の一部を構成する熱交換器が配設されている。
【0004】
そして、前記除湿通路では、吸引した室内の空気を前記除湿ロータを通過することにより、吸引した空気に含有した水分が吸着され、乾燥した空気として排気口から室内に循環供給される。
【0005】
また、再生通路では、内部の再生空気が前記加熱ヒータで加熱され、この状態で前記除湿ロータを通過することにより、該除湿ロータが吸着した水分を放出する。そして、その再生空気が、熱交換器を通過する際に熱交換によって冷却されると、含有した水分が結露する。これにより、再生空気に含まれた水分は取り除かれ、結露した水はタンクに回収される。
【0006】
本発明の熱交換器に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−333239号公報
【0008】
この特許文献1に記載の熱交換器は、ブロー成形により一体成形した樹脂製のもので、略楕円形状をなす複数の流路が並設され、また、隣接する流路の間は開口した通孔をなすように構成されている。また、熱交換器には、流路の一端に流入口が形成されるとともに、他端に流出口が形成されている。さらに、熱交換器の下部には、ドレン部が形成されている。
【0009】
このように構成した熱交換器を前記除湿機に用いた場合には、吸引した室内の空気は、前記通孔を通過することにより暖められた後、除湿ロータを経て乾燥空気として室内に循環供給される。また、再生通路内の再生空気は、加熱ヒータおよび除湿ロータを経て、流入口から熱交換器内に流入し、流路を通って流出口から流出されるまでの間に、通孔を通過する空気により冷やされて含有した水分が取り除かれる。また、これにより結露した水は、ドレン部からタンクに回収される。
【0010】
前記熱交換器は樹脂製であるため、製造が容易で、かつ、軽量であるという効果を有する。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記熱交換器は、ブロー成形により製造しているため、その肉厚が厚く、熱交換率が悪いという問題がある。また、複雑な形状で形成することが困難であり、製造する製品の安定性(歩留まり)が悪いという問題がある。
【0012】
そこで、本発明では、熱交換率を低下させることなく、製造に係る歩留まりも向上できる熱交換器の製造方法および該熱交換器を用いた除湿機を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の熱交換器の製造方法は、真空成形または圧空成形により、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた前記第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを設け、前記第1パネルに流入口を形成するとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を形成し、前記第1パネルと第2パネルとを各凹条の底が接触するように配置し、その凹条および各パネルの外周縁を貼り合わせ、前記各凹条を除く部位により流路を形成し、貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成するようにしている。
【0014】
この製造方法によって製造した熱交換器は、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0015】
また、この熱交換器を用いた除湿機は、内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、前記両通路に跨って駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、前記再生通路内に配設し、前記再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、前記再生通路内に配設し、再生空気を循環させる再生空気循環ファンと、前記除湿通路内に配設するとともに前記再生通路の一部を構成し、内部に流通する再生空気を外部に流通する空気により冷却して含有した水分を取り除く熱交換器と、前記熱交換器により取り除いた水分を貯留するタンクとを備えた除湿機において、前記熱交換器は、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを真空成形または圧空成形により形成し、これらの各凹条の底および外周縁を貼り合わせることにより前記各仕切用凹条を除く部位により流路を形成したもので、前記第1パネルに流入口を設けるとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を設け、貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成した構成としている。
【0016】
前記除湿機によれば、熱交換器が軽量であるため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。
【0017】
この除湿機では、前記流入口を、前記ヒータを収容したヒータケースと略同一形状とすることが好ましい。このようにすれば、再生空気を流動させる際の流体抵抗を大幅に低減できるため、除湿能力を更に向上できる。
【0018】
また、前記第2パネルにおける前記第1パネルの流入口と対向する位置に、遮光性を有する金属シートを配設することが好ましい。このようにすれば、加熱ヒータの光を外部から見えないように遮蔽できるうえ、輻射による他部材への影響を防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図4は、本発明の実施形態に係る熱交換器1を示し、図5から図9は該熱交換器1を用いた除湿機を示す。
【0020】
図1(A),(B)に示すように、前記熱交換器1は、樹脂シートを真空成形または圧空成形により形成した一対のパネル2A,2Bを溶着することにより形成した樹脂製のものである。各パネル2A,2Bは、外周縁3A,3Bの内部に互いに対称に位置する複数の仕切用凹条4A,4Bを備え、これら仕切用凹条4を除く部位により再生空気を通過させる複数の流路5が形成されている。言い換えれば、各パネル2A,2Bは、外周縁3A,3Bと仕切用凹条4A,4Bの形成位置とを除く部位を膨出させ、その膨出部位により連通した流路5を形成している。
【0021】
第1のパネル2Aには、後述する除湿機の加熱ヒータ48を収容するヒータケース49の形状と対応する扇形状の流入口6と、基枠13のダクト28と対応する円形状の流出口7と、結露水をタンク51に排水するためのドレン部8とが突設されている。さらに、貼り合わされた仕切用凹条4の底には、吸引した空気を流通させるための通孔9が設けられている。なお、前記流入口6の近傍に位置する2aは、位置決め用の孔である。
【0022】
なお、本実施形態では、略上下端にかけて延びる2つの仕切用凹条4A−1,4B−1,4A−2,4B−2により、3つの領域R1〜R3に区画し、流路5内を流動する流体(再生空気)の通過距離が長くなるように構成している。具体的には、流入口6と連通した第1領域R1は、流体を下向きに流動させるもので、前記仕切用凹条4A−1,4B−1により、その流路5の出口側の総合断面積が小さくなるように構成されている。また、第2領域R2は、仕切用凹条4A,4Bが設けられていない連通領域R4を介して領域R1と連通し、流体を上向きに流動させるもので、領域R1と同様に前記仕切用凹条4A−1,4B−1により、その流路5の出口側の総合断面積が小さくなるように構成されている。さらに、領域R3は、仕切用凹条4A,4Bが設けられていない連通領域R5を介して領域R2と連通し、流体を下向きに流動させて流出口7から排出させるもので、その総合断面積は広く形成されている。また、前記連通領域R4は、下流側である領域R3の側に向けて漸次が狭くなるように仕切用凹条4A,4Bの長さが設定され、流体抵抗により領域R2の各流路5に略均等に流体が流れ込むように構成されている。
【0023】
次に、前記熱交換器1の製造方法について具体的に説明する。
【0024】
図2(A),(B)に示すように、まず、真空成形または圧空成形により、複数の仕切用凹条4Aを備えた樹脂製の第1のパネル2Aを形成する。この状態では、前記流入口6、流出口7およびドレン部8の形成位置は膨出している。しかし、その外周縁3Aは所定形状に切断されていないうえ、前記流入口6、流出口7およびドレン部8も開口されていない。また、通孔9および位置決め用の孔2aも形成されていない。
【0025】
ついで、図2(C)に示すように、前記パネル2Aの外周縁3Aを所定形状に切断するとともに、前記流入口6、流出口7およびドレン部8を開口させる。
【0026】
同様に、図3(A),(B)に示すように、真空成形または圧空成形により、複数の仕切用凹条4Bを備えた樹脂製の第2のパネル2Bを形成する。この状態では、パネル2Aと同様に、その外周縁3Bは所定形状に切断されていない。また、通孔9および位置決め用の孔2aも形成されていない。
【0027】
ついで、図3(C)に示すように、前記パネル2Bの外周縁3Bを所定形状に切断する。
【0028】
次に、図4(A)に示すように、形成した一対のパネル2A,2Bを対称に位置させ、各仕切用凹条4A,4Bの底が接触するように重畳させ、その重畳した仕切用凹条4A,4Bおよび外周縁3A,3Bを超音波溶着または高周波溶着により貼り合わせる。これにより、前記外周縁3A,3Bおよび仕切用凹条4A,4Bを除く膨出した部位により前記流路5が形成される。
【0029】
ついで、図4(B)に示すように、貼り合わされた仕切用凹条4A,4Bの底および前記位置決め用の孔2aをプレスなどにより打ち抜くことにより、通孔9を備えた前記熱交換器1が完成する。
【0030】
このように製造した熱交換器1では、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。具体的には、従来の製法では、最小でも肉厚を1.0mmまでしかできなかったが、本発明の製法では、最小で0.4mmまですることが可能である。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0031】
次に、前記構成の熱交換器1を適用する除湿機について説明する。この除湿機は、図5に示すように、大略、矩形状をなすケーシング10の内部を除湿通路11と再生通路12とに区画し、その内部に、除湿ロータ33と、室内空気循環ファン44A,44Bと、再生空気循環ファン46と、加熱ヒータ48と、前記熱交換器1とを水平に配設するとともに、下部にタンク51を配設したものである。
【0032】
前記ケーシング10は、図6(A),(B)に示すように、基枠13の前後に前カバー14と後カバー15とを配設したものである。前記前カバー14の上部にはルーバー16を備えた排気口17が形成されている。前記後カバー15には、垂直方向に延びる複数のスリットからなる吸気口18が形成されている。また、ケーシング10には、前記基枠13にカバー14,15を組み付けることにより、その下部にタンク収容室19が形成される。
【0033】
前記基枠13の前面側には、図7に示すように、一対のインボリュート通路を構成する壁20a,20bを備えるとともに開口された室内空気循環ファン配設部20A,20Bと、再生空気循環ファン配設部21と、該再生空気循環ファン配設部21から後述する加熱ヒータ配設部26にかけて延びるダクト部22とが設けられている。このダクト部22は、断面凹字形状の溝からなり、この溝に内嵌する逆凹字形状のダクトカバー23を配設することにより再生通路12の一部を構成する。また、本実施形態のダクトカバー23の上面には、前記室内空気循環ファン配設部20Aのインボリュート通路の一部を構成する壁部24が設けられている。さらに、前記室内空気循環ファン配設部20A,20Bの間には、除湿通路11の一部を構成する開口部25が設けられている。
【0034】
また、基枠13の後面側には、図8および図9に示すように、前側に加熱ヒータ配設部26と、除湿ロータ配設部27と、前記再生空気循環ファン配設部21に連通する円筒状のダクト28とが設けられている。前記加熱ヒータ配設部26は、前記ダクト部材と連通している。また、除湿ロータ配設部27は、図9に示すように、後述する除湿ロータ33の保持部材36の下端縁より肉厚の周壁29の上面に、ガイド用の凹溝30を設けたものである。前記ダクト28は、前記熱交換器1の流出口7と同一形状をなす。さらにまた、この基枠13の後面側下端には、図示しない制御基板に電力を供給するためのコードリール31を配設するためのコードリール配設部32が設けられている。
【0035】
なお、前記再生通路12は、再生空気循環ファン配設部21、該配設部21と連通したダクト部22、該ダクト部22と連通した加熱ヒータ配設部26、該配設部26と対応するように除湿ロータ33の反対側に配設したロータカバー、および、該ロータカバーに接続するとともに前記再生空気循環ファン配設部21に接続する前記熱交換器1により構成される。そして、この区画された再生通路12および前記タンク収容室19を除くケーシング10内が、前記除湿ロータ33を介して吸気口18と排気口17とを連通させる除湿通路11を構成する。
【0036】
前記除湿ロータ33は、その約3/4が除湿通路11内に位置し、約1/4が再生通路12内に位置するように、前記両通路11,12に跨って駆動モータ34により回転可能に配設した円板状のものである。具体的には、この除湿ロータ33は、図8および図9に示すように、ゼオライトまたはシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなるロータ本体35を、樹脂製の保持部材36によって保持させたものである。
【0037】
前記保持部材36は、ロータ本体35の中央に位置する軸受部37と、ロータ本体35の外周部に位置する外壁部38と、これらを加熱ヒータ48と反対に位置する熱交換器1の側で連結する連結枠39とからなる。前記外壁部38には、外方に突出するフランジ部40が設けられるとともに、駆動モータ34の出力軸に配設した歯車34aに噛み合う複数の凸状歯41が設けられている。
【0038】
なお、本実施形態では、前記除湿ロータ33は、除湿動作中には、約2分で1回転するように、前記駆動モータ34の回転数および歯車34aと凸状歯41とのギア比が設定されている。また、前記除湿ロータ33において、加熱ヒータ48を収容するヒータケース49との対応位置に反対面には、ローターカバー42が配設されている。このローターカバー42には、ヒータケース49と同一形状の接続部43が設けられ、この接続部43に前記熱交換器1の流入口6が接続される。
【0039】
前記室内空気循環ファン44A,44Bは、前記除湿通路11内において、室内空気循環ファン配設部20A,20Bに配設される一対のシロッコファンで構成され、それぞれモータ45A,45Bの駆動により回転する。これにより、図5に実線の矢印で示すように、後カバー15の吸気口18から室内の空気を吸引し、前記除湿ロータ33によって除湿した乾燥空気を前カバー14の排気口17から室内に循環供給するものである。
【0040】
前記再生空気循環ファン46は、前記再生通路12内において、前記再生空気循環ファン配設部21に配設され、モータ47の駆動により回転する。これにより、図5に破線の矢印で示すように、再生通路12内の再生空気を、ダクト部22を介して加熱ヒータ48のヒータケース49内に供給し、除湿ロータ33、および、熱交換器1の順で循環させるものである。
【0041】
前記加熱ヒータ48は、前記除湿ロータ33の前方に配設され、図示しない電源回路からの供給電力により発熱し、再生空気および除湿ロータ33を加熱するものである。この加熱ヒータ48は、連続した1巻きのコイルからなり、前記再生通路12を構成するヒータケース49を介して前記加熱ヒータ配設部26に配設される。
【0042】
前記熱交換器1は、前記除湿通路11内において、前記除湿ロータ33の背面側に配設され、前記再生通路12の一部を構成する。そして、本実施形態では、前記第2のパネル2Bにおける前記第1のパネル2Aの流入口6と対向する位置に、遮光性を有する金属シート50を配設する。これにより、加熱ヒータ48の光を外部から見えないように遮蔽するとともに、輻射によって後カバー15に影響が及ぶことなどを防止している。
【0043】
前記タンク51は、図6(B)および図8に示すように、上面開口の箱体形状をなし、その内部にはフロート部材52が回動可能に配設されている。このフロート部材52は、タンク51内の水位が上昇すると、下部のフロート部52aが浮き上がることにより全体が回動する。
【0044】
なお、前記タンク収容室19には、上端開口の箱体形状をなすサブタンク53が配設されている。このサブタンク53には、水平方向に移動可能な弁動作部54が配設され、この弁動作部54に弁55が配設されている。この弁動作部54は、スプリングによって常閉状態を維持するように構成されており、タンク51を装着することにより前記フロート部材52の上端の押圧部52bが当接して開弁する。そして、タンク51内の水位が上昇してフロート部材52が回動することにより、押圧部52bによる弁動作部54の押圧が解除され、閉弁するように構成している。また、前記弁動作部54には、分岐したマイクロスイッチ動作部54aが設けられ、押圧部52bによる弁動作部54の押圧が解除されると、マイクロスイッチ56を介して満水状態を検出できるようにしている。
【0045】
前記除湿機に実装した図示しない制御手段は、電源スイッチがオン状態になり、ケーシング10の収容室にタンク51がセットされ、かつ、満水状態でない場合に、前記除湿ロータ33の駆動モータ34、室内空気循環ファン44A,44Bのモータ45A,45B、再生空気循環ファン46のモータ47、および、加熱ヒータ48に対して電力を通電して除湿動作を開始する。また、タンク51内が満水状態になると、前記各構成部品への通電を停止して除湿動作を停止するものである。
【0046】
次に、前記除湿機による除湿動作について具体的に説明する。
まず、除湿通路11では、前記室内空気循環ファン44A,44Bの駆動により、後カバー15の吸気口18から室内の空気が吸引される。そして、その吸引された空気は、熱交換器1の通孔9を通過する際に再生空気との熱交換によって加熱され、この状態で、除湿ロータ33を通過する際に、含有した水分が吸着される。これにより、乾燥した空気として前カバー14の排気口17から室内に循環供給される。
【0047】
一方、再生通路12では、再生空気循環ファン46の駆動により、内部の再生空気がダクト部22を通って加熱ヒータ48を収容したヒータケース49内に流入する。その後、その再生空気は、加熱ヒータ48で加熱された後、除湿ロータ33を通過する際に、該除湿ロータ33が吸着した水分を吸着する。ついで、再生空気は、熱交換器1に流入し、隔離された除湿通路11を流通する室内の空気との温度差による熱交換で冷却され、含有した水分が結露する。これにより、再生空気は、乾燥状態として再生空気循環ファン46により前記加熱ヒータ48の側に再び供給される。また、結露した水は、熱交換器1のドレン部8からサブタンク53を経てタンク51に回収される。
【0048】
この除湿機では、軽量の熱交換器1を搭載しているため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。また、本実施形態では、歩留まりを低下させることなく、複雑な形状で形成することができる。その結果、熱交換器1の流入口6をヒータを収容したヒータケース49と略同一形状とすることができる。これにより、再生空気を流動させる際の流体抵抗を大幅に低減できるため、除湿能力を更に向上できる。
【0049】
なお、本発明の熱交換器1の製造方法および該熱交換器1を用いた除湿機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、前記実施形態では、第1のパネル2Aに流入口6、流出口7およびドレン部8を全て設けたが、流出口7は第2のパネル2Bに設けてもよい。また、ドレン部を第2のパネル2Bに設けてもよい。さらに、流出口7とドレン部8の両方を第2のパネル2Bに設けてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の熱交換器の製造方法では、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0052】
また、この熱交換器を適用した除湿機では、熱交換器が軽量であるため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を示し、(A)は正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図である。
【図2】(A)は第1パネルを成形する際の第1工程を示す正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図、(C)は第1パネルを成形する際の第2工程を示す断面図である。
【図3】(A)は第2パネルを成形する際の第1工程を示す正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図、(C)は第2パネルを成形する際の第2工程を示す断面図である。
【図4】(A)は製造した各パネルを貼り合わせた状態を示す断面図、(B)は通孔を形成した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る除湿機を示す概略図である。
【図6】(A),(B)は除湿機の具体的構成を示す断面図である。
【図7】基枠の前面側の構成を示す分解斜視図である。
【図8】除湿機の後面側の構成を示す断面図である。
【図9】基枠と除湿ロータとの関係を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…熱交換器、2A,2B…パネル、3A,3B…外周縁、4A,4B…仕切用凹条、5…流路、6…流入口、7…流出口、8…ドレン部、9…通孔、10…ケーシング、11…除湿通路、12…再生通路、17…排気口、18…吸気口、33…除湿ロータ、44A,44B…室内空気循環ファン、46…再生空気循環ファン、48…加熱ヒータ、50…金属シート、51…タンク。
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度差のある2つの流体間で熱を授受させる熱交換器の製造方法、および、該熱交換器を用いた除湿機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の除湿機は、ケーシング内が除湿通路と再生通路とに区画され、これら通路に跨って円板状の除湿ロータが回転可能に配設されている。
【0003】
前記除湿通路には、室内の空気を吸気口から吸引し、排気口から室内に循環供給するための室内空気循環ファンが配設されている。前記再生通路には、該再生通路内の再生空気を循環させる再生空気循環ファンと、前記再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータとが配設されている。また、ケーシング内には、前記再生通路の一部を構成する熱交換器が配設されている。
【0004】
そして、前記除湿通路では、吸引した室内の空気を前記除湿ロータを通過することにより、吸引した空気に含有した水分が吸着され、乾燥した空気として排気口から室内に循環供給される。
【0005】
また、再生通路では、内部の再生空気が前記加熱ヒータで加熱され、この状態で前記除湿ロータを通過することにより、該除湿ロータが吸着した水分を放出する。そして、その再生空気が、熱交換器を通過する際に熱交換によって冷却されると、含有した水分が結露する。これにより、再生空気に含まれた水分は取り除かれ、結露した水はタンクに回収される。
【0006】
本発明の熱交換器に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−333239号公報
【0008】
この特許文献1に記載の熱交換器は、ブロー成形により一体成形した樹脂製のもので、略楕円形状をなす複数の流路が並設され、また、隣接する流路の間は開口した通孔をなすように構成されている。また、熱交換器には、流路の一端に流入口が形成されるとともに、他端に流出口が形成されている。さらに、熱交換器の下部には、ドレン部が形成されている。
【0009】
このように構成した熱交換器を前記除湿機に用いた場合には、吸引した室内の空気は、前記通孔を通過することにより暖められた後、除湿ロータを経て乾燥空気として室内に循環供給される。また、再生通路内の再生空気は、加熱ヒータおよび除湿ロータを経て、流入口から熱交換器内に流入し、流路を通って流出口から流出されるまでの間に、通孔を通過する空気により冷やされて含有した水分が取り除かれる。また、これにより結露した水は、ドレン部からタンクに回収される。
【0010】
前記熱交換器は樹脂製であるため、製造が容易で、かつ、軽量であるという効果を有する。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記熱交換器は、ブロー成形により製造しているため、その肉厚が厚く、熱交換率が悪いという問題がある。また、複雑な形状で形成することが困難であり、製造する製品の安定性(歩留まり)が悪いという問題がある。
【0012】
そこで、本発明では、熱交換率を低下させることなく、製造に係る歩留まりも向上できる熱交換器の製造方法および該熱交換器を用いた除湿機を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の熱交換器の製造方法は、真空成形または圧空成形により、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた前記第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを設け、前記第1パネルに流入口を形成するとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を形成し、前記第1パネルと第2パネルとを各凹条の底が接触するように配置し、その凹条および各パネルの外周縁を貼り合わせ、前記各凹条を除く部位により流路を形成し、貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成するようにしている。
【0014】
この製造方法によって製造した熱交換器は、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0015】
また、この熱交換器を用いた除湿機は、内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、前記両通路に跨って駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、前記再生通路内に配設し、前記再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、前記再生通路内に配設し、再生空気を循環させる再生空気循環ファンと、前記除湿通路内に配設するとともに前記再生通路の一部を構成し、内部に流通する再生空気を外部に流通する空気により冷却して含有した水分を取り除く熱交換器と、前記熱交換器により取り除いた水分を貯留するタンクとを備えた除湿機において、前記熱交換器は、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを真空成形または圧空成形により形成し、これらの各凹条の底および外周縁を貼り合わせることにより前記各仕切用凹条を除く部位により流路を形成したもので、前記第1パネルに流入口を設けるとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を設け、貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成した構成としている。
【0016】
前記除湿機によれば、熱交換器が軽量であるため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。
【0017】
この除湿機では、前記流入口を、前記ヒータを収容したヒータケースと略同一形状とすることが好ましい。このようにすれば、再生空気を流動させる際の流体抵抗を大幅に低減できるため、除湿能力を更に向上できる。
【0018】
また、前記第2パネルにおける前記第1パネルの流入口と対向する位置に、遮光性を有する金属シートを配設することが好ましい。このようにすれば、加熱ヒータの光を外部から見えないように遮蔽できるうえ、輻射による他部材への影響を防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図4は、本発明の実施形態に係る熱交換器1を示し、図5から図9は該熱交換器1を用いた除湿機を示す。
【0020】
図1(A),(B)に示すように、前記熱交換器1は、樹脂シートを真空成形または圧空成形により形成した一対のパネル2A,2Bを溶着することにより形成した樹脂製のものである。各パネル2A,2Bは、外周縁3A,3Bの内部に互いに対称に位置する複数の仕切用凹条4A,4Bを備え、これら仕切用凹条4を除く部位により再生空気を通過させる複数の流路5が形成されている。言い換えれば、各パネル2A,2Bは、外周縁3A,3Bと仕切用凹条4A,4Bの形成位置とを除く部位を膨出させ、その膨出部位により連通した流路5を形成している。
【0021】
第1のパネル2Aには、後述する除湿機の加熱ヒータ48を収容するヒータケース49の形状と対応する扇形状の流入口6と、基枠13のダクト28と対応する円形状の流出口7と、結露水をタンク51に排水するためのドレン部8とが突設されている。さらに、貼り合わされた仕切用凹条4の底には、吸引した空気を流通させるための通孔9が設けられている。なお、前記流入口6の近傍に位置する2aは、位置決め用の孔である。
【0022】
なお、本実施形態では、略上下端にかけて延びる2つの仕切用凹条4A−1,4B−1,4A−2,4B−2により、3つの領域R1〜R3に区画し、流路5内を流動する流体(再生空気)の通過距離が長くなるように構成している。具体的には、流入口6と連通した第1領域R1は、流体を下向きに流動させるもので、前記仕切用凹条4A−1,4B−1により、その流路5の出口側の総合断面積が小さくなるように構成されている。また、第2領域R2は、仕切用凹条4A,4Bが設けられていない連通領域R4を介して領域R1と連通し、流体を上向きに流動させるもので、領域R1と同様に前記仕切用凹条4A−1,4B−1により、その流路5の出口側の総合断面積が小さくなるように構成されている。さらに、領域R3は、仕切用凹条4A,4Bが設けられていない連通領域R5を介して領域R2と連通し、流体を下向きに流動させて流出口7から排出させるもので、その総合断面積は広く形成されている。また、前記連通領域R4は、下流側である領域R3の側に向けて漸次が狭くなるように仕切用凹条4A,4Bの長さが設定され、流体抵抗により領域R2の各流路5に略均等に流体が流れ込むように構成されている。
【0023】
次に、前記熱交換器1の製造方法について具体的に説明する。
【0024】
図2(A),(B)に示すように、まず、真空成形または圧空成形により、複数の仕切用凹条4Aを備えた樹脂製の第1のパネル2Aを形成する。この状態では、前記流入口6、流出口7およびドレン部8の形成位置は膨出している。しかし、その外周縁3Aは所定形状に切断されていないうえ、前記流入口6、流出口7およびドレン部8も開口されていない。また、通孔9および位置決め用の孔2aも形成されていない。
【0025】
ついで、図2(C)に示すように、前記パネル2Aの外周縁3Aを所定形状に切断するとともに、前記流入口6、流出口7およびドレン部8を開口させる。
【0026】
同様に、図3(A),(B)に示すように、真空成形または圧空成形により、複数の仕切用凹条4Bを備えた樹脂製の第2のパネル2Bを形成する。この状態では、パネル2Aと同様に、その外周縁3Bは所定形状に切断されていない。また、通孔9および位置決め用の孔2aも形成されていない。
【0027】
ついで、図3(C)に示すように、前記パネル2Bの外周縁3Bを所定形状に切断する。
【0028】
次に、図4(A)に示すように、形成した一対のパネル2A,2Bを対称に位置させ、各仕切用凹条4A,4Bの底が接触するように重畳させ、その重畳した仕切用凹条4A,4Bおよび外周縁3A,3Bを超音波溶着または高周波溶着により貼り合わせる。これにより、前記外周縁3A,3Bおよび仕切用凹条4A,4Bを除く膨出した部位により前記流路5が形成される。
【0029】
ついで、図4(B)に示すように、貼り合わされた仕切用凹条4A,4Bの底および前記位置決め用の孔2aをプレスなどにより打ち抜くことにより、通孔9を備えた前記熱交換器1が完成する。
【0030】
このように製造した熱交換器1では、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。具体的には、従来の製法では、最小でも肉厚を1.0mmまでしかできなかったが、本発明の製法では、最小で0.4mmまですることが可能である。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0031】
次に、前記構成の熱交換器1を適用する除湿機について説明する。この除湿機は、図5に示すように、大略、矩形状をなすケーシング10の内部を除湿通路11と再生通路12とに区画し、その内部に、除湿ロータ33と、室内空気循環ファン44A,44Bと、再生空気循環ファン46と、加熱ヒータ48と、前記熱交換器1とを水平に配設するとともに、下部にタンク51を配設したものである。
【0032】
前記ケーシング10は、図6(A),(B)に示すように、基枠13の前後に前カバー14と後カバー15とを配設したものである。前記前カバー14の上部にはルーバー16を備えた排気口17が形成されている。前記後カバー15には、垂直方向に延びる複数のスリットからなる吸気口18が形成されている。また、ケーシング10には、前記基枠13にカバー14,15を組み付けることにより、その下部にタンク収容室19が形成される。
【0033】
前記基枠13の前面側には、図7に示すように、一対のインボリュート通路を構成する壁20a,20bを備えるとともに開口された室内空気循環ファン配設部20A,20Bと、再生空気循環ファン配設部21と、該再生空気循環ファン配設部21から後述する加熱ヒータ配設部26にかけて延びるダクト部22とが設けられている。このダクト部22は、断面凹字形状の溝からなり、この溝に内嵌する逆凹字形状のダクトカバー23を配設することにより再生通路12の一部を構成する。また、本実施形態のダクトカバー23の上面には、前記室内空気循環ファン配設部20Aのインボリュート通路の一部を構成する壁部24が設けられている。さらに、前記室内空気循環ファン配設部20A,20Bの間には、除湿通路11の一部を構成する開口部25が設けられている。
【0034】
また、基枠13の後面側には、図8および図9に示すように、前側に加熱ヒータ配設部26と、除湿ロータ配設部27と、前記再生空気循環ファン配設部21に連通する円筒状のダクト28とが設けられている。前記加熱ヒータ配設部26は、前記ダクト部材と連通している。また、除湿ロータ配設部27は、図9に示すように、後述する除湿ロータ33の保持部材36の下端縁より肉厚の周壁29の上面に、ガイド用の凹溝30を設けたものである。前記ダクト28は、前記熱交換器1の流出口7と同一形状をなす。さらにまた、この基枠13の後面側下端には、図示しない制御基板に電力を供給するためのコードリール31を配設するためのコードリール配設部32が設けられている。
【0035】
なお、前記再生通路12は、再生空気循環ファン配設部21、該配設部21と連通したダクト部22、該ダクト部22と連通した加熱ヒータ配設部26、該配設部26と対応するように除湿ロータ33の反対側に配設したロータカバー、および、該ロータカバーに接続するとともに前記再生空気循環ファン配設部21に接続する前記熱交換器1により構成される。そして、この区画された再生通路12および前記タンク収容室19を除くケーシング10内が、前記除湿ロータ33を介して吸気口18と排気口17とを連通させる除湿通路11を構成する。
【0036】
前記除湿ロータ33は、その約3/4が除湿通路11内に位置し、約1/4が再生通路12内に位置するように、前記両通路11,12に跨って駆動モータ34により回転可能に配設した円板状のものである。具体的には、この除湿ロータ33は、図8および図9に示すように、ゼオライトまたはシリカゲルを結合させたメッシュ状のセラミックハニカムからなるロータ本体35を、樹脂製の保持部材36によって保持させたものである。
【0037】
前記保持部材36は、ロータ本体35の中央に位置する軸受部37と、ロータ本体35の外周部に位置する外壁部38と、これらを加熱ヒータ48と反対に位置する熱交換器1の側で連結する連結枠39とからなる。前記外壁部38には、外方に突出するフランジ部40が設けられるとともに、駆動モータ34の出力軸に配設した歯車34aに噛み合う複数の凸状歯41が設けられている。
【0038】
なお、本実施形態では、前記除湿ロータ33は、除湿動作中には、約2分で1回転するように、前記駆動モータ34の回転数および歯車34aと凸状歯41とのギア比が設定されている。また、前記除湿ロータ33において、加熱ヒータ48を収容するヒータケース49との対応位置に反対面には、ローターカバー42が配設されている。このローターカバー42には、ヒータケース49と同一形状の接続部43が設けられ、この接続部43に前記熱交換器1の流入口6が接続される。
【0039】
前記室内空気循環ファン44A,44Bは、前記除湿通路11内において、室内空気循環ファン配設部20A,20Bに配設される一対のシロッコファンで構成され、それぞれモータ45A,45Bの駆動により回転する。これにより、図5に実線の矢印で示すように、後カバー15の吸気口18から室内の空気を吸引し、前記除湿ロータ33によって除湿した乾燥空気を前カバー14の排気口17から室内に循環供給するものである。
【0040】
前記再生空気循環ファン46は、前記再生通路12内において、前記再生空気循環ファン配設部21に配設され、モータ47の駆動により回転する。これにより、図5に破線の矢印で示すように、再生通路12内の再生空気を、ダクト部22を介して加熱ヒータ48のヒータケース49内に供給し、除湿ロータ33、および、熱交換器1の順で循環させるものである。
【0041】
前記加熱ヒータ48は、前記除湿ロータ33の前方に配設され、図示しない電源回路からの供給電力により発熱し、再生空気および除湿ロータ33を加熱するものである。この加熱ヒータ48は、連続した1巻きのコイルからなり、前記再生通路12を構成するヒータケース49を介して前記加熱ヒータ配設部26に配設される。
【0042】
前記熱交換器1は、前記除湿通路11内において、前記除湿ロータ33の背面側に配設され、前記再生通路12の一部を構成する。そして、本実施形態では、前記第2のパネル2Bにおける前記第1のパネル2Aの流入口6と対向する位置に、遮光性を有する金属シート50を配設する。これにより、加熱ヒータ48の光を外部から見えないように遮蔽するとともに、輻射によって後カバー15に影響が及ぶことなどを防止している。
【0043】
前記タンク51は、図6(B)および図8に示すように、上面開口の箱体形状をなし、その内部にはフロート部材52が回動可能に配設されている。このフロート部材52は、タンク51内の水位が上昇すると、下部のフロート部52aが浮き上がることにより全体が回動する。
【0044】
なお、前記タンク収容室19には、上端開口の箱体形状をなすサブタンク53が配設されている。このサブタンク53には、水平方向に移動可能な弁動作部54が配設され、この弁動作部54に弁55が配設されている。この弁動作部54は、スプリングによって常閉状態を維持するように構成されており、タンク51を装着することにより前記フロート部材52の上端の押圧部52bが当接して開弁する。そして、タンク51内の水位が上昇してフロート部材52が回動することにより、押圧部52bによる弁動作部54の押圧が解除され、閉弁するように構成している。また、前記弁動作部54には、分岐したマイクロスイッチ動作部54aが設けられ、押圧部52bによる弁動作部54の押圧が解除されると、マイクロスイッチ56を介して満水状態を検出できるようにしている。
【0045】
前記除湿機に実装した図示しない制御手段は、電源スイッチがオン状態になり、ケーシング10の収容室にタンク51がセットされ、かつ、満水状態でない場合に、前記除湿ロータ33の駆動モータ34、室内空気循環ファン44A,44Bのモータ45A,45B、再生空気循環ファン46のモータ47、および、加熱ヒータ48に対して電力を通電して除湿動作を開始する。また、タンク51内が満水状態になると、前記各構成部品への通電を停止して除湿動作を停止するものである。
【0046】
次に、前記除湿機による除湿動作について具体的に説明する。
まず、除湿通路11では、前記室内空気循環ファン44A,44Bの駆動により、後カバー15の吸気口18から室内の空気が吸引される。そして、その吸引された空気は、熱交換器1の通孔9を通過する際に再生空気との熱交換によって加熱され、この状態で、除湿ロータ33を通過する際に、含有した水分が吸着される。これにより、乾燥した空気として前カバー14の排気口17から室内に循環供給される。
【0047】
一方、再生通路12では、再生空気循環ファン46の駆動により、内部の再生空気がダクト部22を通って加熱ヒータ48を収容したヒータケース49内に流入する。その後、その再生空気は、加熱ヒータ48で加熱された後、除湿ロータ33を通過する際に、該除湿ロータ33が吸着した水分を吸着する。ついで、再生空気は、熱交換器1に流入し、隔離された除湿通路11を流通する室内の空気との温度差による熱交換で冷却され、含有した水分が結露する。これにより、再生空気は、乾燥状態として再生空気循環ファン46により前記加熱ヒータ48の側に再び供給される。また、結露した水は、熱交換器1のドレン部8からサブタンク53を経てタンク51に回収される。
【0048】
この除湿機では、軽量の熱交換器1を搭載しているため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。また、本実施形態では、歩留まりを低下させることなく、複雑な形状で形成することができる。その結果、熱交換器1の流入口6をヒータを収容したヒータケース49と略同一形状とすることができる。これにより、再生空気を流動させる際の流体抵抗を大幅に低減できるため、除湿能力を更に向上できる。
【0049】
なお、本発明の熱交換器1の製造方法および該熱交換器1を用いた除湿機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、前記実施形態では、第1のパネル2Aに流入口6、流出口7およびドレン部8を全て設けたが、流出口7は第2のパネル2Bに設けてもよい。また、ドレン部を第2のパネル2Bに設けてもよい。さらに、流出口7とドレン部8の両方を第2のパネル2Bに設けてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の熱交換器の製造方法では、金属製の熱交換器と比較して製造が容易であるうえ、軽量化を図ることができる。また、錆が発生することはないうえ、耐腐食性に優れるとともに、抗菌剤などの添加も容易である。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、その肉厚を薄くすることができる。そのため、温度差を有する2つの流体間での熱交換効率を大幅に向上することができる。また、複雑な形状で形成することが可能であり、このようにしても製造する製品の歩留まりが低下することはない。
【0052】
また、この熱交換器を適用した除湿機では、熱交換器が軽量であるため、機器全体の軽量化を図ることができる。しかも、ブロー成形により製造した従来の樹脂製熱交換器と比較すると、熱交換効率を大幅に向上できるため、除湿能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を示し、(A)は正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図である。
【図2】(A)は第1パネルを成形する際の第1工程を示す正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図、(C)は第1パネルを成形する際の第2工程を示す断面図である。
【図3】(A)は第2パネルを成形する際の第1工程を示す正面図、(B)は(A)の要部拡大断面図、(C)は第2パネルを成形する際の第2工程を示す断面図である。
【図4】(A)は製造した各パネルを貼り合わせた状態を示す断面図、(B)は通孔を形成した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る除湿機を示す概略図である。
【図6】(A),(B)は除湿機の具体的構成を示す断面図である。
【図7】基枠の前面側の構成を示す分解斜視図である。
【図8】除湿機の後面側の構成を示す断面図である。
【図9】基枠と除湿ロータとの関係を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…熱交換器、2A,2B…パネル、3A,3B…外周縁、4A,4B…仕切用凹条、5…流路、6…流入口、7…流出口、8…ドレン部、9…通孔、10…ケーシング、11…除湿通路、12…再生通路、17…排気口、18…吸気口、33…除湿ロータ、44A,44B…室内空気循環ファン、46…再生空気循環ファン、48…加熱ヒータ、50…金属シート、51…タンク。
Claims (4)
- 真空成形または圧空成形により、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた前記第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを設け、
前記第1パネルに流入口を形成するとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を形成し、
前記第1パネルと第2パネルとを各凹条の底が接触するように配置し、その凹条および各パネルの外周縁を貼り合わせ、前記各凹条を除く部位により流路を形成し、
貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 内部を除湿通路と再生通路とに区画したケーシングと、
前記両通路に跨って駆動手段により回転可能に配設した除湿ロータと、
前記再生通路内に配設し、前記再生空気および除湿ロータを加熱する加熱ヒータと、
前記除湿通路内に配設し、室内の空気を吸引して前記除湿ロータによって除湿した乾燥空気を室内に循環供給する室内空気循環ファンと、
前記再生通路内に配設し、再生空気を循環させる再生空気循環ファンと、
前記除湿通路内に配設するとともに前記再生通路の一部を構成し、内部に流通する再生空気を外部に流通する空気により冷却して含有した水分を取り除く熱交換器と、
前記熱交換器により取り除いた水分を貯留するタンクとを備えた除湿機において、
前記熱交換器は、複数の第1仕切用凹条を備えた樹脂製の第1パネルと、前記第1仕切用凹条に対応する第2仕切用凹条を備えた第1パネルと対称な樹脂製の第2パネルとを真空成形または圧空成形により形成し、これらの各凹条の底および外周縁を貼り合わせることにより前記各仕切用凹条を除く部位により流路を形成したもので、
前記第1パネルに流入口を設けるとともに、前記第1パネルまたは第2パネルに流出口を設け、貼り合わされた前記仕切用凹条の底に通孔を形成したことを特徴とする除湿機。 - 前記流入口を、前記ヒータを収容したヒータケースと略同一形状としたことを特徴とする請求項2に記載の除湿機。
- 前記第2パネルにおける前記第1パネルの流入口と対向する位置に、遮光性を有する金属シートを配設したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の除湿機。
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