JP2004270834A - オイルポンプの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減する。
【解決手段】オイル温度に基づいて必要ポンプ回転数NRを算出し、オイルポンプの実回転数Nが必要ポンプ回転数NRに達しているか否かを調べる。その結果、N<NRの場合には、クラッチ機構を直結状態とし、N≧NRの場合、クラッチ機構をスリップ制御してオイルポンプ回転数を目標吐出圧PRを与える回転数となるように制御する。これにより、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン回転数が必要ポンプ回転数NR以上に上昇しても、吐出圧を目標吐出圧PRに維持し、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減する。
【選択図】 図2
【解決手段】オイル温度に基づいて必要ポンプ回転数NRを算出し、オイルポンプの実回転数Nが必要ポンプ回転数NRに達しているか否かを調べる。その結果、N<NRの場合には、クラッチ機構を直結状態とし、N≧NRの場合、クラッチ機構をスリップ制御してオイルポンプ回転数を目標吐出圧PRを与える回転数となるように制御する。これにより、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン回転数が必要ポンプ回転数NR以上に上昇しても、吐出圧を目標吐出圧PRに維持し、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンによって駆動されるオイルポンプの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両においては、エンジンやトランスミッションに配置されるオイルポンプは、エンジンの動力によって駆動される型式のものが一般的であり、オイルポンプの回転数の変化はエンジン回転数の変化に連動している。
【0003】
従って、エンジンが高回転になると、オイルポンプの回転数が必要な圧力と流量を確保できる回転数を超えてしまい、無駄なオイル流量を吐出するばかりでなく、高回転時のエンジンの機械的損失(ポンプの駆動損失)の増大を招く。
【0004】
特に、トランスミッションに配置されて各機構部の制御油圧を生成するためのライン圧を供給するオイルポンプでは、オイルポンプから吐出される油圧を調圧バルブで調圧して一定のライン圧を維持するようにしているが、高回転時には、調圧バルブの調圧範囲を超えてしまい、必要油圧よりも大きい油圧が発生してしまうばかりでなく、調圧バルブの経時劣化や製造バラツキ、オイル温度の影響(粘性の影響)を受け、各制御油圧にバラツキが生じてしまう。
【0005】
このため、従来から、エンジン以外の動力でオイルポンプを駆動する技術が提案されており、例えば、特開昭61−291710号公報には、エンジンオイルを供給するオイルポンプをモータで駆動するように構成し、エンジンの運転状況に応じてコンピュータでオイル供給量を決定してモータを制御する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−291710号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、元々備えられているエンジンの駆動力を使用せずにオイルポンプをエンジン以外のモータ等の駆動源で駆動することは、エネルギーの有効利用の面からは不利であるばかりでなく、コスト、重量、設置スペースの増加を招く。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することのできるオイルポンプの制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンからの駆動力を断続するクラッチ機構を介して回転駆動されるオイルポンプと、上記クラッチ機構の締結状態を制御し、上記オイルポンプの回転数が目標吐出圧を与える回転数となるよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。このオイルポンプは、トランスミッションに配置されてライン圧を供給するオイルポンプ、或いは、エンジンに配置されて潤滑油を供給するオイルポンプとして適用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の一形態に係わり、図1はオイルポンプの制御システムを示す構成図、図2はポンプ回転数制御ルーチンのフローチャート、図3は必要ポンプ回転数テーブルの説明図、図4はエンジン回転数とポンプ吐出圧との関係を示す説明図である。
【0011】
図1において符号1は、自動車等の車両に搭載され、エンジンの動力で回転駆動されるオイルポンプであり、例えば、エンジンに配置されてエンジン各部に潤滑油を供給するためのオイルポンプとして、或いはトランスミッションに配置されて各機構部の制御圧を生成するためのライン圧を供給するためのオイルポンプとして用いられる。
【0012】
オイルポンプ1は、例えばベーンポンプ等からなり、吸入ポート及び吐出ポートが形成されるポンプハウジング2にロータ3が収納され、このロータ3に、ロータ3と一体回転する中空のシリンダ4が連設されている。シリンダ4の後端側には、エンジンによって回転駆動される入力軸5が挿入され、シリンダ4に内蔵されるクラッチ機構6を介して入力軸5の回転がシリンダ4に伝達される。
【0013】
シリンダ4内のクラッチ機構6は、シリンダ4内に設けられたボス部4aから突出する入力軸5の軸端にスプライン結合されるクラッチ板7、シリンダ4内に軸方向摺動自在に内設されてクラッチ板6を押圧するためのピストン8とを主として構成される。
【0014】
ピストン8は、一端が開口された肉厚の円筒形状に形成され、ボス部4a外周に摺動自在に嵌合されて底部側がクラッチ板7に対向するように配設されている。そして、ピストン8の開口端側の端面とボス部4aの基部周囲のシリンダ壁面とにより、クラッチ機構6を作動させるためのクラッチ油圧室9が形成され、ピストン8の背面側(ロータ3側)に、ピストン8をクラッチ板7に押圧する方向に付勢するスプリング10を収納するスプリング室11が形成されている。
【0015】
本形態においては、クラッチ油圧室9とスプリング室11との双方が差圧制御弁12に接続されており、コントローラ20により駆動されるデューティソレノイド弁13を介して差圧制御弁12を制御することで、クラッチ機構6の締結状態を制御する。具体的には、オイルポンプ1から各油圧回路へ吐出される元圧ラインが分岐され、この元圧ラインからの油圧がデューティソレノイド弁13で調圧されて差圧制御弁12の作動が制御され、クラッチ機構6の締結状態が、直結(完全締結)、スリップ、開放の各状態に制御される。
【0016】
すなわち、差圧制御弁12を介してクラッチ油圧室9の油圧が開放されてスプリング室11に油圧が供給されると、スプリング10の付勢力とスプリング室11の油圧による力とがピストン8に作用してクラッチ板7をシリンダ4の内壁に押圧して入力軸5とシリンダ4とが直結され、入力軸5からシリンダ4に駆動力が伝達される。このクラッチ直結状態では、ロータ3が入力軸5の回転数で回転してオイルポンプ1が通常のポンプ動作を行う。
【0017】
また、クラッチ油圧室9とスプリング室11との双方に油圧が供給され、スプリング10の付勢力とスプリング室11の油圧による力との合力がクラッチ油圧室9の油圧による力よりも若干大きい状態では、クラッチ板7がシリンダ4の内壁面にスリップ状態で押圧され、クラッチ機構6がスリップ状態となる。このクラッチスリップ状態では、入力軸5の回転数よりも低い回転数でシリンダ4が回転してオイルポンプ1のポンプ動作が行われる。
【0018】
一方、スプリング室11の油圧が開放されてクラッチ油圧室9に油圧が供給され、クラッチ油圧室9の油圧による力がスプリング10の付勢力よりも大きくなると、ピストン8がスプリング10の付勢力に抗してクラッチ板7をシリンダ4壁面から離間する方向に移動し、入力軸5が空転してクラッチ機構6が開放状態となる。これにより、入力軸5からシリンダ4への回転駆動力の伝達が遮断され、オイルポンプ1が停止状態となる。
【0019】
デューティソレノイド弁13を駆動制御するコントローラ20は、例えば、エンジンやトランスミッション制御用の電子制御ユニット、或いは専用の制御ユニットとして構成することができる。コントローラ20は、各種センサ類21から入力されるパラメータに基づいてデューティソレノイド弁13を駆動制御し、クラッチ機構6の締結・スリップ・開放を制御することで、入力軸5の回転数(エンジン回転数)が必要回転数以上に上昇しても、オイルポンプ回転数を一定に維持し、吐出圧が不必要に上昇することを防止する。
【0020】
尚、本形態においては、スプリング室11にも油圧を供給することで、この油圧による力をスプリング10の付勢力に加え、確実に且つ応答性良くクラッチが締結されるようしている。このため、差圧制御弁12を用いてクラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を制御するようにしているが、必ずしもこれに限定されるものはなく、スプリング室11には油圧を供給せず、クラッチ油圧室9を直接デューティソレノイド弁13に接続してクラッチ機構6を制御するようにしても良い。
【0021】
次に、コントローラ20によるオイルポンプ1の回転数制御について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0022】
図2のポンプ回転数制御ルーチンがスタートすると、先ず、ステップS1で、エンジン回転数、オイルポンプ回転数、吐出油圧、オイル温度等の各種パラメータを読込み、ステップS2で、オイル温度Toilに基づいて必要ポンプ回転数NRを算出する。
【0023】
必要ポンプ回転数NRは、必要とされるオイルポンプ1の吐出圧(目標吐出圧)PRを与える回転数であり、同一回転数でもオイル温度Toilすなわちオイルの粘性によって吐出圧が変化することから、例えば、オイル温度Toilをパラメータとして予め実験或いはシミュレーション等によって求めた適正値をテーブル化しておき、このテーブルを補間計算付きで参照して必要ポンプ回転数NRを求める。図3は、必要ポンプ回転数テーブルの一例を示すものであり、オイル温度Toil=50°Cのときの必要ポンプ回転数NR=2000rpmを基準として、オイル温度Toilが基準値より低いときには必要ポンプ回転数NRも基準値より低く、オイル温度Toilが基準値よりも高いときには、必要ポンプ回転数NRも基準値より高くなる。
【0024】
次に、ステップS2からステップS3へ進み、オイルポンプ1の実回転数Nが必要ポンプ回転数NRに達しているか否かを調べる。その結果、N<NRの場合には、ステップS3からステップS4へ進んでクラッチ機構6を直結(締結)状態に制御し、ルーチンを抜ける。このクラッチ直結の制御は、エンジン始動時は、スプリング室11のスプリング10により入力軸5のクラッチ板7がシリンダ4壁面に押圧される直結状態になっているため、特に制御は行わず、エンジン始動後、スプリング室11に油圧を供給して必要なクラッチ締結力を与え、確実且つ迅速にクラッチ板7をシリンダ4壁面に押圧してクラッチ直結状態とする。
【0025】
一方、ステップS3において、N≧NRの場合には、ステップS3からステップS5へ進み、オイルポンプ1の実回転数Nを所定の制御幅内に収めるべくクラッチ機構6をスリップ制御し、ルーチンを抜ける。このクラッチスリップ制御においては、オイルポンプ1の実回転数Nと必要ポンプ回転数NRとの偏差Δが目標制御幅に入るよう、デューティソレノイド弁13の駆動デューティ比を制御し、差圧制御弁12を介してクラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を調整する。
【0026】
この場合、デューティソレノイド弁13の駆動デューティ比は、例えば、オイルポンプ1の実回転数Nと必要ポンプ回転数NRとの偏差Δに基づいてPID制御等により変化させ、クラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を調整してクラッチ締結力を増減することで、スリップ制御を行う。
【0027】
すなわち、従来、図4の一点鎖線で示すように、エンジン回転数の上昇に応じて直線的にオイルポンプの吐出圧が上昇し、また、2点鎖線で示すように、調圧バルブを用いても目標吐出圧PRに対して吐出圧が無駄に上昇してしまい、制御圧のバラツキを招く原因となっていたが、本発明では、クラッチ機構6の締結状態を制御してオイルポンプ1の回転数を目標吐出圧PRを与える回転数となるように制御するので、図4に実線で示すように、オイルポンプ1の入力軸回転数であるエンジン回転数が必要ポンプ回転数NR以上に上昇しても、オイルポンプ1の吐出圧を目標吐出圧PRに維持することができる。
【0028】
これにより、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することができ、エネルギーの利用効率を向上することができるばかりでなく、各種油圧制御における精度の向上、エンジンの燃費低減や排気エミッションの向上に貢献することができる。
【0029】
尚、本形態においては、オイルポンプ1の実回転数Nを検出してクラッチ機構6の締結状態を制御する例について説明したが、オイルポンプ1の吐出圧Pを検出する場合には、ステップS2の必要ポンプ回転数NRを算出する処理は不要であり、ステップS3で、吐出圧Pが目標吐出圧PRに達しているか否かを判断し、N<NRの場合にはクラッチ直結とし、N≧NRの場合、クラッチスリップ制御を行うようにする。また、本形態では、クラッチスリップ制御を行っているが、簡易的には、クラッチの締結と開放とのON,OFF制御としても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オイルポンプの制御システムを示す構成図
【図2】ポンプ回転数制御ルーチンのフローチャート
【図3】必要ポンプ回転数テーブルの説明図
【図4】エンジン回転数とポンプ吐出圧との関係を示す説明図
【符号の説明】
1 オイルポンプ
5 入力軸
6 クラッチ機構
N オイルポンプの実回転数
NR 必要ポンプ回転数
P オイルポンプの吐出圧
PR 目標吐出圧
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンによって駆動されるオイルポンプの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両においては、エンジンやトランスミッションに配置されるオイルポンプは、エンジンの動力によって駆動される型式のものが一般的であり、オイルポンプの回転数の変化はエンジン回転数の変化に連動している。
【0003】
従って、エンジンが高回転になると、オイルポンプの回転数が必要な圧力と流量を確保できる回転数を超えてしまい、無駄なオイル流量を吐出するばかりでなく、高回転時のエンジンの機械的損失(ポンプの駆動損失)の増大を招く。
【0004】
特に、トランスミッションに配置されて各機構部の制御油圧を生成するためのライン圧を供給するオイルポンプでは、オイルポンプから吐出される油圧を調圧バルブで調圧して一定のライン圧を維持するようにしているが、高回転時には、調圧バルブの調圧範囲を超えてしまい、必要油圧よりも大きい油圧が発生してしまうばかりでなく、調圧バルブの経時劣化や製造バラツキ、オイル温度の影響(粘性の影響)を受け、各制御油圧にバラツキが生じてしまう。
【0005】
このため、従来から、エンジン以外の動力でオイルポンプを駆動する技術が提案されており、例えば、特開昭61−291710号公報には、エンジンオイルを供給するオイルポンプをモータで駆動するように構成し、エンジンの運転状況に応じてコンピュータでオイル供給量を決定してモータを制御する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−291710号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、元々備えられているエンジンの駆動力を使用せずにオイルポンプをエンジン以外のモータ等の駆動源で駆動することは、エネルギーの有効利用の面からは不利であるばかりでなく、コスト、重量、設置スペースの増加を招く。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することのできるオイルポンプの制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンからの駆動力を断続するクラッチ機構を介して回転駆動されるオイルポンプと、上記クラッチ機構の締結状態を制御し、上記オイルポンプの回転数が目標吐出圧を与える回転数となるよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。このオイルポンプは、トランスミッションに配置されてライン圧を供給するオイルポンプ、或いは、エンジンに配置されて潤滑油を供給するオイルポンプとして適用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の一形態に係わり、図1はオイルポンプの制御システムを示す構成図、図2はポンプ回転数制御ルーチンのフローチャート、図3は必要ポンプ回転数テーブルの説明図、図4はエンジン回転数とポンプ吐出圧との関係を示す説明図である。
【0011】
図1において符号1は、自動車等の車両に搭載され、エンジンの動力で回転駆動されるオイルポンプであり、例えば、エンジンに配置されてエンジン各部に潤滑油を供給するためのオイルポンプとして、或いはトランスミッションに配置されて各機構部の制御圧を生成するためのライン圧を供給するためのオイルポンプとして用いられる。
【0012】
オイルポンプ1は、例えばベーンポンプ等からなり、吸入ポート及び吐出ポートが形成されるポンプハウジング2にロータ3が収納され、このロータ3に、ロータ3と一体回転する中空のシリンダ4が連設されている。シリンダ4の後端側には、エンジンによって回転駆動される入力軸5が挿入され、シリンダ4に内蔵されるクラッチ機構6を介して入力軸5の回転がシリンダ4に伝達される。
【0013】
シリンダ4内のクラッチ機構6は、シリンダ4内に設けられたボス部4aから突出する入力軸5の軸端にスプライン結合されるクラッチ板7、シリンダ4内に軸方向摺動自在に内設されてクラッチ板6を押圧するためのピストン8とを主として構成される。
【0014】
ピストン8は、一端が開口された肉厚の円筒形状に形成され、ボス部4a外周に摺動自在に嵌合されて底部側がクラッチ板7に対向するように配設されている。そして、ピストン8の開口端側の端面とボス部4aの基部周囲のシリンダ壁面とにより、クラッチ機構6を作動させるためのクラッチ油圧室9が形成され、ピストン8の背面側(ロータ3側)に、ピストン8をクラッチ板7に押圧する方向に付勢するスプリング10を収納するスプリング室11が形成されている。
【0015】
本形態においては、クラッチ油圧室9とスプリング室11との双方が差圧制御弁12に接続されており、コントローラ20により駆動されるデューティソレノイド弁13を介して差圧制御弁12を制御することで、クラッチ機構6の締結状態を制御する。具体的には、オイルポンプ1から各油圧回路へ吐出される元圧ラインが分岐され、この元圧ラインからの油圧がデューティソレノイド弁13で調圧されて差圧制御弁12の作動が制御され、クラッチ機構6の締結状態が、直結(完全締結)、スリップ、開放の各状態に制御される。
【0016】
すなわち、差圧制御弁12を介してクラッチ油圧室9の油圧が開放されてスプリング室11に油圧が供給されると、スプリング10の付勢力とスプリング室11の油圧による力とがピストン8に作用してクラッチ板7をシリンダ4の内壁に押圧して入力軸5とシリンダ4とが直結され、入力軸5からシリンダ4に駆動力が伝達される。このクラッチ直結状態では、ロータ3が入力軸5の回転数で回転してオイルポンプ1が通常のポンプ動作を行う。
【0017】
また、クラッチ油圧室9とスプリング室11との双方に油圧が供給され、スプリング10の付勢力とスプリング室11の油圧による力との合力がクラッチ油圧室9の油圧による力よりも若干大きい状態では、クラッチ板7がシリンダ4の内壁面にスリップ状態で押圧され、クラッチ機構6がスリップ状態となる。このクラッチスリップ状態では、入力軸5の回転数よりも低い回転数でシリンダ4が回転してオイルポンプ1のポンプ動作が行われる。
【0018】
一方、スプリング室11の油圧が開放されてクラッチ油圧室9に油圧が供給され、クラッチ油圧室9の油圧による力がスプリング10の付勢力よりも大きくなると、ピストン8がスプリング10の付勢力に抗してクラッチ板7をシリンダ4壁面から離間する方向に移動し、入力軸5が空転してクラッチ機構6が開放状態となる。これにより、入力軸5からシリンダ4への回転駆動力の伝達が遮断され、オイルポンプ1が停止状態となる。
【0019】
デューティソレノイド弁13を駆動制御するコントローラ20は、例えば、エンジンやトランスミッション制御用の電子制御ユニット、或いは専用の制御ユニットとして構成することができる。コントローラ20は、各種センサ類21から入力されるパラメータに基づいてデューティソレノイド弁13を駆動制御し、クラッチ機構6の締結・スリップ・開放を制御することで、入力軸5の回転数(エンジン回転数)が必要回転数以上に上昇しても、オイルポンプ回転数を一定に維持し、吐出圧が不必要に上昇することを防止する。
【0020】
尚、本形態においては、スプリング室11にも油圧を供給することで、この油圧による力をスプリング10の付勢力に加え、確実に且つ応答性良くクラッチが締結されるようしている。このため、差圧制御弁12を用いてクラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を制御するようにしているが、必ずしもこれに限定されるものはなく、スプリング室11には油圧を供給せず、クラッチ油圧室9を直接デューティソレノイド弁13に接続してクラッチ機構6を制御するようにしても良い。
【0021】
次に、コントローラ20によるオイルポンプ1の回転数制御について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0022】
図2のポンプ回転数制御ルーチンがスタートすると、先ず、ステップS1で、エンジン回転数、オイルポンプ回転数、吐出油圧、オイル温度等の各種パラメータを読込み、ステップS2で、オイル温度Toilに基づいて必要ポンプ回転数NRを算出する。
【0023】
必要ポンプ回転数NRは、必要とされるオイルポンプ1の吐出圧(目標吐出圧)PRを与える回転数であり、同一回転数でもオイル温度Toilすなわちオイルの粘性によって吐出圧が変化することから、例えば、オイル温度Toilをパラメータとして予め実験或いはシミュレーション等によって求めた適正値をテーブル化しておき、このテーブルを補間計算付きで参照して必要ポンプ回転数NRを求める。図3は、必要ポンプ回転数テーブルの一例を示すものであり、オイル温度Toil=50°Cのときの必要ポンプ回転数NR=2000rpmを基準として、オイル温度Toilが基準値より低いときには必要ポンプ回転数NRも基準値より低く、オイル温度Toilが基準値よりも高いときには、必要ポンプ回転数NRも基準値より高くなる。
【0024】
次に、ステップS2からステップS3へ進み、オイルポンプ1の実回転数Nが必要ポンプ回転数NRに達しているか否かを調べる。その結果、N<NRの場合には、ステップS3からステップS4へ進んでクラッチ機構6を直結(締結)状態に制御し、ルーチンを抜ける。このクラッチ直結の制御は、エンジン始動時は、スプリング室11のスプリング10により入力軸5のクラッチ板7がシリンダ4壁面に押圧される直結状態になっているため、特に制御は行わず、エンジン始動後、スプリング室11に油圧を供給して必要なクラッチ締結力を与え、確実且つ迅速にクラッチ板7をシリンダ4壁面に押圧してクラッチ直結状態とする。
【0025】
一方、ステップS3において、N≧NRの場合には、ステップS3からステップS5へ進み、オイルポンプ1の実回転数Nを所定の制御幅内に収めるべくクラッチ機構6をスリップ制御し、ルーチンを抜ける。このクラッチスリップ制御においては、オイルポンプ1の実回転数Nと必要ポンプ回転数NRとの偏差Δが目標制御幅に入るよう、デューティソレノイド弁13の駆動デューティ比を制御し、差圧制御弁12を介してクラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を調整する。
【0026】
この場合、デューティソレノイド弁13の駆動デューティ比は、例えば、オイルポンプ1の実回転数Nと必要ポンプ回転数NRとの偏差Δに基づいてPID制御等により変化させ、クラッチ油圧室9及びスプリング室11の油圧を調整してクラッチ締結力を増減することで、スリップ制御を行う。
【0027】
すなわち、従来、図4の一点鎖線で示すように、エンジン回転数の上昇に応じて直線的にオイルポンプの吐出圧が上昇し、また、2点鎖線で示すように、調圧バルブを用いても目標吐出圧PRに対して吐出圧が無駄に上昇してしまい、制御圧のバラツキを招く原因となっていたが、本発明では、クラッチ機構6の締結状態を制御してオイルポンプ1の回転数を目標吐出圧PRを与える回転数となるように制御するので、図4に実線で示すように、オイルポンプ1の入力軸回転数であるエンジン回転数が必要ポンプ回転数NR以上に上昇しても、オイルポンプ1の吐出圧を目標吐出圧PRに維持することができる。
【0028】
これにより、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することができ、エネルギーの利用効率を向上することができるばかりでなく、各種油圧制御における精度の向上、エンジンの燃費低減や排気エミッションの向上に貢献することができる。
【0029】
尚、本形態においては、オイルポンプ1の実回転数Nを検出してクラッチ機構6の締結状態を制御する例について説明したが、オイルポンプ1の吐出圧Pを検出する場合には、ステップS2の必要ポンプ回転数NRを算出する処理は不要であり、ステップS3で、吐出圧Pが目標吐出圧PRに達しているか否かを判断し、N<NRの場合にはクラッチ直結とし、N≧NRの場合、クラッチスリップ制御を行うようにする。また、本形態では、クラッチスリップ制御を行っているが、簡易的には、クラッチの締結と開放とのON,OFF制御としても良い。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エンジンによって駆動されるオイルポンプとしてコスト、重量、設置スペースの増加を防止しつつ、エンジン高回転時のポンプ駆動損失や吐出油圧のバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オイルポンプの制御システムを示す構成図
【図2】ポンプ回転数制御ルーチンのフローチャート
【図3】必要ポンプ回転数テーブルの説明図
【図4】エンジン回転数とポンプ吐出圧との関係を示す説明図
【符号の説明】
1 オイルポンプ
5 入力軸
6 クラッチ機構
N オイルポンプの実回転数
NR 必要ポンプ回転数
P オイルポンプの吐出圧
PR 目標吐出圧
Claims (3)
- エンジンからの駆動力を断続するクラッチ機構を介して回転駆動されるオイルポンプと、
上記クラッチ機構の締結状態を制御し、上記オイルポンプの回転数が目標吐出圧を与える回転数となるよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とするオイルポンプの制御装置。 - 上記オイルポンプは、トランスミッションに配置されてライン圧を供給することを特徴とする請求項1記載のオイルポンプの制御装置。
- 上記オイルポンプは、エンジンに配置されて潤滑油を供給することを特徴とする請求項1記載のオイルポンプの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003063664A JP2004270834A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | オイルポンプの制御装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009197583A (ja) * | 2008-02-19 | 2009-09-03 | Honda Motor Co Ltd | 補機駆動用伝動装置を備える内燃機関 |
KR100985021B1 (ko) * | 2008-09-01 | 2010-10-04 | (주)모토닉 | 하이브리드 차량용 오일펌프 제어장치 및 제어방법 |
KR101173049B1 (ko) | 2009-12-04 | 2012-08-13 | 기아자동차주식회사 | 전동식 오일펌프의 구동 제어 방법 |
CN115075907A (zh) * | 2022-06-27 | 2022-09-20 | 山西柴油机工业有限责任公司 | 一种自适应转速的柴油机润滑油油位调节系统 |
CN115234339A (zh) * | 2022-08-22 | 2022-10-25 | 潍柴动力股份有限公司 | 发动机的机油泵组件、发动机和发动机的机油泵转速控制方法 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063664A patent/JP2004270834A/ja active Pending
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