JP2004270579A - 遠心ファンの羽根車 - Google Patents
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Abstract
【課題】羽根板間から流出する空気を確実に整流し、騒音の発生を抑制することができる遠心ファンの羽根車を提供すること。
【解決手段】周方向に互いに間隙をおいて環状に配設された多数の羽根板20を備えた遠心ファンの羽根車10であって、羽根板20の外周に臨む外端部23に、軸方向に所定間隔をおいて複数の凹部30を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】周方向に互いに間隙をおいて環状に配設された多数の羽根板20を備えた遠心ファンの羽根車10であって、羽根板20の外周に臨む外端部23に、軸方向に所定間隔をおいて複数の凹部30を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、周方向に配設された多数の羽根板を有する遠心ファンの羽根車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の遠心ファンの羽根車(以下、羽根車という)として、図4に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この羽根車1は、図4(a)(b)に示すように、中央に開口を有する第一円環板2と、この第一円環板2と同様に中央に開口を有すると共に同軸に配置された第二円環板3と、第一、第二円環板2、3の間に周方向に互いに間隙をおいて配設された多数の羽根板4・・・と、この多数の羽根板4の外周に臨む外端部4aに軸方向に並べられた多数の環状板5・・・とを備えている。
【0004】
この羽根板4は、内周に臨む内端部4bの一方の端部が第一円環板2の外周面2aに固着され、図4(a)に示すように他方の端部が第二円環板3に覆われて環状に配設されている。さらに、各羽根板4は、それぞれ周方向の一方に向かって湾曲している。
【0005】
環状板5は、図4(a)に示すように、極薄い薄板によって形成され、軸方向に互いに均等の間隔Dをおいて配設されている。なお、この間隔Dは、環状板5の厚みαよりも大きくされている。
【0006】
このような羽根車1では、第一円環板2が図示しないモータ等の回転駆動装置によって回転することにより、羽根車1の端面方向から羽根板4の回転中心に向かって空気が吸い込まれる。また、羽根車1が回転するときの遠心力によって羽根板4の内端部4bから外端部4aに向かう気流が発生する。そして、羽根板4の回転中心に吸い込まれた空気は、多数の羽根板4間を通ると共に、この羽根板4の外端部4aに設けられた多数の環状板5に接触しながら羽根車1の外周に放出される。
【0007】
【特許文献1】
特開平10―306795号公報(
【0005】、図1、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の羽根車1では、図4(a)に示すように、環状板5の互いの軸方に設けられた間隔D1が均等になっている。また、各環状板5の厚み及び径方向の大きさは同一であり、羽根板4の外端部4aからの突出幅D2が全て同一になっている。
【0009】
つまり、羽根板4の外端部4aの形状は、軸方向一端部から軸方向他端部にかけて同一の形状となっていた。
【0010】
また、各環状板5は羽根板4間に架け渡されており、羽根板4間の周方向の間隙を所定間隔ごとに覆うようになっていた。
【0011】
ここで、羽根板4間を通って羽根車1の外周から放出される空気の流速や流れ方向は、第一円環板2の回転速度等によって、軸方向において一定ではなく部分的に異なったものになっている。
【0012】
したがって、軸方向一端部から軸方向他端部にかけて同一の形状となっている羽根板4の外端部4aでは、軸方向に並んだ環状板5に接触して流れる空気を均等に整流することができなくなっている。そして、回転速度によっては羽根板4の軸方向の一部分で空気の乱流が発生したり、騒音が発生したりする問題が生じていた。
【0013】
また、空気が流れる羽根板4間の周方向の間隙が所定間隔D1ごとに環状板5によって覆われているため、さらに整流しにくく、騒音の発生が増加していた。
【0014】
この発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、羽根板間から流出する空気を確実に整流し、騒音の発生を抑制することができる遠心ファンの羽根車を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の遠心ファンは、周方向に互いに間隙をおいて環状に配設された多数の羽根板を備え、この羽根板は、外周に臨む外端部に、軸方向に凹部が設けられたことを特徴としている。
【0016】
請求項1の発明によれば、羽根板の外端部に凹部が設けられているので、羽根板間の周方向の間隙を覆うことなく、この羽根板間から流れる空気を確実に整流することができる。そして、騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠心ファンの羽根車であって、前記凹部は、軸方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、羽根板の外端部に形成された凹部が所定間隔おいて複数設けられているので、羽根板間から流れる空気をより確実に整流することができる。また、羽根板の軸方向に沿って広い範囲で整流でき、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2に記載の遠心ファンの羽根車であって、複数の凹部は、互いに形状が異なっていることを特徴としている。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加え、羽根板の外端部に形成された複数の凹部の形状が互いに異なっているので、羽根板の外端部の形状を軸方向一方端から他方端にかけて異なった形状(不均等な形状)にすることができる。
【0021】
これにより、羽根車の外周から放出される空気の流速等に応じて、羽根板の外端部を適切な形状に形成することが可能となり、空気の整流を軸方向において均等にすることができる。そして、空気の乱流や騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の遠心ファンの羽根車において、凹部間の所定間隔が不均等であることを特徴としている。
【0023】
請求項4の発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、羽根板の外端部に設けられた凹部の間隔が不均等であるので、羽根板の外端部の形状を、羽根板間から流れる空気の流速等により適切に応じた形状に形成することができ、騒音等の発生をさらに抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。
【0025】
遠心ファンの羽根車10(以下、羽根車という)は、図1に示すように、第一円環板11と、この第一円環板11と同軸に配置された第二円環板12と、第一、第二円環板11、12の間に周方向に互いに間隙をおいて配設された多数の羽根板20・・・とを備えている。
【0026】
第一、第二円環板11、12は、それぞれ中心に円形の開口を有すると共に、環状に形成されており、直径の大きさよりも十分に小さい厚みの板状体によって形成されている。
【0027】
なお、この第一、第二円環板11、12及び羽根板20は、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂素材により構成されている。
【0028】
そして、第一、第二円環板11、12のどちらか一方には、図示しないモータ等の回転駆動源が接続され、羽根車10は、この回転駆動源から伝達される回転力によって回転可能にされている。
【0029】
羽根板20は、矢印Yで示す軸方向の両端部21、22(図3参照)がそれぞれ第一、第二円環板11、12に固着され、これらの第一、第二円環板11、12と一体にされている。また、各羽根板20の外端部23は、第一、第二円環板11、12のそれぞれの外周縁と一致している。
【0030】
なお、この羽根板20は、図1及び図2に示すように第一、第二円環板11、12の径方向幅R1よりも長い径方向幅R2を有している。そのため、内端面24が第一、第二円環板11、12に形成されたそれぞれの開口の内側に臨むように突出している。
【0031】
また、この羽根板20は、一方の周方向に向かって湾曲しており、断面が円弧状になるように形成されている。ここで、回転方向が矢印X(図2参照)で示す方向であるので、各羽根板20は回転方向Xに対して鋭角、すなわち前進翼となっている。
【0032】
さらに、この羽根板20は、図3に示すように、羽根車10の外周に臨む外端部23に、軸方向に所定間隔をおいて複数の凹部30が設けられている。
【0033】
ここでは、第二円環板12側から順に第一凹部31、第二凹部32、第三凹部33、第四凹部34、第五凹部35の5つの凹部30が設けられている。
【0034】
これらの第一〜第五凹部31〜35は、それぞれ互いに形状が異なっており、ここでは、第一凹部31が側面視三角形、第二凹部32が側面視長方形、第三凹部33が側面視楕円形、第四凹部35が側面視三角形、第五凹部36が側面視半円形となっている。なお、第一凹部31と第四凹部35とは大きさの異なる三角形状の凹部である。
【0035】
そして、これらの第一〜第五凹部31〜35の互いの間に設けられた所定間隔は、不均等になっている。ここでは、羽根板20の一方の端部22から第一凹部31の中心までの距離がh/6、羽根板20の一方の端部22から第二凹部32の中心までの距離がh/5、羽根板20の一方の端部22から第3凹部33の中心までの距離がh/4、羽根板20の一方の端部22から第四凹部34の中心までの距離がh/3、羽根板20の一方の端部22から第五凹部35の中心までの距離がh/2となるように形成されている。そのため、隣接する凹部間の所定間隔は、下記に示す表1のようになっている。
【0036】
【表1】
なお、この「h」は、羽根板20の一方の端部22から他方の端部23までの距離を示す。
【0037】
次に、この羽根車10の作用について説明する。
【0038】
この羽根車10は、給気孔と排気孔とを有する図示しないハウジング(ケーシング)内に回転自在に配設され、モータ等の回転駆動源(図示せず)によって回転させられるものであり、いわゆる、遠心ファンに使用される。
【0039】
この遠心ファンは、シロッコファン、ターボファン、ラジアルファン等に分類されるものであり、比較的簡単な構造で大量の風を発生させることができる。そのため、送風を必要とする家庭用又は業務用の電気製品等において広く使用されている。
【0040】
なお、これらの遠心ファンのハウジングに形成された給気孔と排気孔とは、一体にされていてもよい。
【0041】
そして、図示しない回転駆動源によって第一円環板11又は第二円環板12のどちらか一方が回転させられると、この羽根車10の回転によって、ハウジングの給気孔から吸い込まれた空気が羽根車10の回転中心に向かって流れていく。
【0042】
さらに、この羽根車10の回転中心に向かって流れた空気は、遠心力によって羽根車10の中心から径方向に向かう気流となり、多数の羽根板20間に設けられた間隙を通って羽根車10の外周から放出される。
【0043】
このとき、羽根板20間を通って羽根車10の外周から放出される空気の流速や流れ方向は、第一円環板11又は第二円環板12の回転速度等によって、軸方向において一定ではなく部分的に異なったものになっている。
【0044】
したがって、この羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布は、軸方向に沿って粗密が生じることとなる。
【0045】
一方、この羽根車10の外周から放出される空気は羽根板20に沿って流れるが、羽根車10から放出される際に、羽根板20の外端部23に接触する。
【0046】
ここで、この羽根板20の外端部23には、凹部30が軸方向に設けられているので、隣接する羽根板20間の周方向に設けられた間隙を覆うことなく、この羽根板20の間から流出する空気を確実に整流することができる。
【0047】
なお、この凹部30は、軸方向に所定間隔をおいて複数設けられているので、羽根板20の間から流出する空気をさらに確実に整流することができ、羽根板20の外端部23が空気に接触した際に生じる風切音等の騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0048】
また、羽根板20の外端部23に形成された複数の凹部30の形状は、図3に示すように、互いに異なっている。そのため、羽根板20の外端部23の形状を、羽根板20の軸方向の一方の端部22から他方の端部21にかけて異なった形状(不均等な形状)にすることができる。
【0049】
これにより、羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布等の粗密に応じて、羽根板20の外端部23を適切な形状に形成することが可能となる。そして、空気の整流を軸方向において均等にすることができ、空気の乱流や騒音の発生を抑制することができる。
【0050】
なお、ここで、第一〜第五凹部31〜35は、それぞれ側面視三角形、長方形、楕円形、半円形に形成されているが、これらの形状に限られない。これらの凹部30の形状は、ハウジング形状、羽根板20の枚数、羽根車10の回転数(回転速度)等に応じて、例えば側面視台形や多角形等に変更してもよい。
【0051】
また、各凹部31〜35の切り込みの深さ、つまり外端部23から内端面24に向かう距離もそれぞれ異なるように形成されていてもよい。
【0052】
さらに、各凹部31〜35の形状は、全て互いに異なる形状になるように形成されているが、一部同一形状になっていてもよい。
【0053】
そして、これらの凹部31〜35の互いの間に設けられた所定間隔は、不均等になるように形成されているので、この羽根板20の外端部23の形状を、羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布等の粗密に対して、さらに適切に応じた形状にすることができる。これにより、騒音等の発生をさらに抑制することができる。
【0054】
また、ここでは、この凹部31〜35間の間隙が、羽根板20の一方の端部22から他方の端部21に向かうにつれて、次第に広がるように形成されているが、そのような形状に限られない。
【0055】
つまり、この凹部31〜35間の間隙は、ハウジング形状等に応じて適宜変更してもよく、この間隙がランダムであってもよいし、羽根板20の一方の端部22から他方の端部21に向かうにつれて次第に狭まってもよい。また、一部等間隔になるように形成されていてもよい。
【0056】
さらに、上述の実施の形態では、羽根板20の外端部23に形成された複数の凹部30は第一〜第五凹部31〜35の五個であるが、これらの凹部30の数はハウジング形状等に応じて適宜変更してもよい。
【0057】
【発明の効果】
この発明は、羽根板間から流出する空気を確実に整流し、騒音の発生を抑制することができる遠心ファンの羽根車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る遠心ファンの羽根車を示す斜視図である。
【図2】図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【図3】図1における遠心ファンの羽根車の縦断面のうち、一枚の羽根板を示す要部拡大断面図である。
【図4】(a)従来の遠心ファンの羽根車の縦断面を簡略して示した断面図である。
(b)図4(a)におけるA−A線に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 遠心ファンの羽根車
20 羽根板
23 外端部
30 凹部
【発明の属する技術分野】
この発明は、周方向に配設された多数の羽根板を有する遠心ファンの羽根車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の遠心ファンの羽根車(以下、羽根車という)として、図4に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この羽根車1は、図4(a)(b)に示すように、中央に開口を有する第一円環板2と、この第一円環板2と同様に中央に開口を有すると共に同軸に配置された第二円環板3と、第一、第二円環板2、3の間に周方向に互いに間隙をおいて配設された多数の羽根板4・・・と、この多数の羽根板4の外周に臨む外端部4aに軸方向に並べられた多数の環状板5・・・とを備えている。
【0004】
この羽根板4は、内周に臨む内端部4bの一方の端部が第一円環板2の外周面2aに固着され、図4(a)に示すように他方の端部が第二円環板3に覆われて環状に配設されている。さらに、各羽根板4は、それぞれ周方向の一方に向かって湾曲している。
【0005】
環状板5は、図4(a)に示すように、極薄い薄板によって形成され、軸方向に互いに均等の間隔Dをおいて配設されている。なお、この間隔Dは、環状板5の厚みαよりも大きくされている。
【0006】
このような羽根車1では、第一円環板2が図示しないモータ等の回転駆動装置によって回転することにより、羽根車1の端面方向から羽根板4の回転中心に向かって空気が吸い込まれる。また、羽根車1が回転するときの遠心力によって羽根板4の内端部4bから外端部4aに向かう気流が発生する。そして、羽根板4の回転中心に吸い込まれた空気は、多数の羽根板4間を通ると共に、この羽根板4の外端部4aに設けられた多数の環状板5に接触しながら羽根車1の外周に放出される。
【0007】
【特許文献1】
特開平10―306795号公報(
【0005】、図1、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の羽根車1では、図4(a)に示すように、環状板5の互いの軸方に設けられた間隔D1が均等になっている。また、各環状板5の厚み及び径方向の大きさは同一であり、羽根板4の外端部4aからの突出幅D2が全て同一になっている。
【0009】
つまり、羽根板4の外端部4aの形状は、軸方向一端部から軸方向他端部にかけて同一の形状となっていた。
【0010】
また、各環状板5は羽根板4間に架け渡されており、羽根板4間の周方向の間隙を所定間隔ごとに覆うようになっていた。
【0011】
ここで、羽根板4間を通って羽根車1の外周から放出される空気の流速や流れ方向は、第一円環板2の回転速度等によって、軸方向において一定ではなく部分的に異なったものになっている。
【0012】
したがって、軸方向一端部から軸方向他端部にかけて同一の形状となっている羽根板4の外端部4aでは、軸方向に並んだ環状板5に接触して流れる空気を均等に整流することができなくなっている。そして、回転速度によっては羽根板4の軸方向の一部分で空気の乱流が発生したり、騒音が発生したりする問題が生じていた。
【0013】
また、空気が流れる羽根板4間の周方向の間隙が所定間隔D1ごとに環状板5によって覆われているため、さらに整流しにくく、騒音の発生が増加していた。
【0014】
この発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、羽根板間から流出する空気を確実に整流し、騒音の発生を抑制することができる遠心ファンの羽根車を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の遠心ファンは、周方向に互いに間隙をおいて環状に配設された多数の羽根板を備え、この羽根板は、外周に臨む外端部に、軸方向に凹部が設けられたことを特徴としている。
【0016】
請求項1の発明によれば、羽根板の外端部に凹部が設けられているので、羽根板間の周方向の間隙を覆うことなく、この羽根板間から流れる空気を確実に整流することができる。そして、騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠心ファンの羽根車であって、前記凹部は、軸方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、羽根板の外端部に形成された凹部が所定間隔おいて複数設けられているので、羽根板間から流れる空気をより確実に整流することができる。また、羽根板の軸方向に沿って広い範囲で整流でき、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2に記載の遠心ファンの羽根車であって、複数の凹部は、互いに形状が異なっていることを特徴としている。
【0020】
請求項3の発明によれば、請求項2の効果に加え、羽根板の外端部に形成された複数の凹部の形状が互いに異なっているので、羽根板の外端部の形状を軸方向一方端から他方端にかけて異なった形状(不均等な形状)にすることができる。
【0021】
これにより、羽根車の外周から放出される空気の流速等に応じて、羽根板の外端部を適切な形状に形成することが可能となり、空気の整流を軸方向において均等にすることができる。そして、空気の乱流や騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の遠心ファンの羽根車において、凹部間の所定間隔が不均等であることを特徴としている。
【0023】
請求項4の発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、羽根板の外端部に設けられた凹部の間隔が不均等であるので、羽根板の外端部の形状を、羽根板間から流れる空気の流速等により適切に応じた形状に形成することができ、騒音等の発生をさらに抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。
【0025】
遠心ファンの羽根車10(以下、羽根車という)は、図1に示すように、第一円環板11と、この第一円環板11と同軸に配置された第二円環板12と、第一、第二円環板11、12の間に周方向に互いに間隙をおいて配設された多数の羽根板20・・・とを備えている。
【0026】
第一、第二円環板11、12は、それぞれ中心に円形の開口を有すると共に、環状に形成されており、直径の大きさよりも十分に小さい厚みの板状体によって形成されている。
【0027】
なお、この第一、第二円環板11、12及び羽根板20は、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂素材により構成されている。
【0028】
そして、第一、第二円環板11、12のどちらか一方には、図示しないモータ等の回転駆動源が接続され、羽根車10は、この回転駆動源から伝達される回転力によって回転可能にされている。
【0029】
羽根板20は、矢印Yで示す軸方向の両端部21、22(図3参照)がそれぞれ第一、第二円環板11、12に固着され、これらの第一、第二円環板11、12と一体にされている。また、各羽根板20の外端部23は、第一、第二円環板11、12のそれぞれの外周縁と一致している。
【0030】
なお、この羽根板20は、図1及び図2に示すように第一、第二円環板11、12の径方向幅R1よりも長い径方向幅R2を有している。そのため、内端面24が第一、第二円環板11、12に形成されたそれぞれの開口の内側に臨むように突出している。
【0031】
また、この羽根板20は、一方の周方向に向かって湾曲しており、断面が円弧状になるように形成されている。ここで、回転方向が矢印X(図2参照)で示す方向であるので、各羽根板20は回転方向Xに対して鋭角、すなわち前進翼となっている。
【0032】
さらに、この羽根板20は、図3に示すように、羽根車10の外周に臨む外端部23に、軸方向に所定間隔をおいて複数の凹部30が設けられている。
【0033】
ここでは、第二円環板12側から順に第一凹部31、第二凹部32、第三凹部33、第四凹部34、第五凹部35の5つの凹部30が設けられている。
【0034】
これらの第一〜第五凹部31〜35は、それぞれ互いに形状が異なっており、ここでは、第一凹部31が側面視三角形、第二凹部32が側面視長方形、第三凹部33が側面視楕円形、第四凹部35が側面視三角形、第五凹部36が側面視半円形となっている。なお、第一凹部31と第四凹部35とは大きさの異なる三角形状の凹部である。
【0035】
そして、これらの第一〜第五凹部31〜35の互いの間に設けられた所定間隔は、不均等になっている。ここでは、羽根板20の一方の端部22から第一凹部31の中心までの距離がh/6、羽根板20の一方の端部22から第二凹部32の中心までの距離がh/5、羽根板20の一方の端部22から第3凹部33の中心までの距離がh/4、羽根板20の一方の端部22から第四凹部34の中心までの距離がh/3、羽根板20の一方の端部22から第五凹部35の中心までの距離がh/2となるように形成されている。そのため、隣接する凹部間の所定間隔は、下記に示す表1のようになっている。
【0036】
【表1】
なお、この「h」は、羽根板20の一方の端部22から他方の端部23までの距離を示す。
【0037】
次に、この羽根車10の作用について説明する。
【0038】
この羽根車10は、給気孔と排気孔とを有する図示しないハウジング(ケーシング)内に回転自在に配設され、モータ等の回転駆動源(図示せず)によって回転させられるものであり、いわゆる、遠心ファンに使用される。
【0039】
この遠心ファンは、シロッコファン、ターボファン、ラジアルファン等に分類されるものであり、比較的簡単な構造で大量の風を発生させることができる。そのため、送風を必要とする家庭用又は業務用の電気製品等において広く使用されている。
【0040】
なお、これらの遠心ファンのハウジングに形成された給気孔と排気孔とは、一体にされていてもよい。
【0041】
そして、図示しない回転駆動源によって第一円環板11又は第二円環板12のどちらか一方が回転させられると、この羽根車10の回転によって、ハウジングの給気孔から吸い込まれた空気が羽根車10の回転中心に向かって流れていく。
【0042】
さらに、この羽根車10の回転中心に向かって流れた空気は、遠心力によって羽根車10の中心から径方向に向かう気流となり、多数の羽根板20間に設けられた間隙を通って羽根車10の外周から放出される。
【0043】
このとき、羽根板20間を通って羽根車10の外周から放出される空気の流速や流れ方向は、第一円環板11又は第二円環板12の回転速度等によって、軸方向において一定ではなく部分的に異なったものになっている。
【0044】
したがって、この羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布は、軸方向に沿って粗密が生じることとなる。
【0045】
一方、この羽根車10の外周から放出される空気は羽根板20に沿って流れるが、羽根車10から放出される際に、羽根板20の外端部23に接触する。
【0046】
ここで、この羽根板20の外端部23には、凹部30が軸方向に設けられているので、隣接する羽根板20間の周方向に設けられた間隙を覆うことなく、この羽根板20の間から流出する空気を確実に整流することができる。
【0047】
なお、この凹部30は、軸方向に所定間隔をおいて複数設けられているので、羽根板20の間から流出する空気をさらに確実に整流することができ、羽根板20の外端部23が空気に接触した際に生じる風切音等の騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0048】
また、羽根板20の外端部23に形成された複数の凹部30の形状は、図3に示すように、互いに異なっている。そのため、羽根板20の外端部23の形状を、羽根板20の軸方向の一方の端部22から他方の端部21にかけて異なった形状(不均等な形状)にすることができる。
【0049】
これにより、羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布等の粗密に応じて、羽根板20の外端部23を適切な形状に形成することが可能となる。そして、空気の整流を軸方向において均等にすることができ、空気の乱流や騒音の発生を抑制することができる。
【0050】
なお、ここで、第一〜第五凹部31〜35は、それぞれ側面視三角形、長方形、楕円形、半円形に形成されているが、これらの形状に限られない。これらの凹部30の形状は、ハウジング形状、羽根板20の枚数、羽根車10の回転数(回転速度)等に応じて、例えば側面視台形や多角形等に変更してもよい。
【0051】
また、各凹部31〜35の切り込みの深さ、つまり外端部23から内端面24に向かう距離もそれぞれ異なるように形成されていてもよい。
【0052】
さらに、各凹部31〜35の形状は、全て互いに異なる形状になるように形成されているが、一部同一形状になっていてもよい。
【0053】
そして、これらの凹部31〜35の互いの間に設けられた所定間隔は、不均等になるように形成されているので、この羽根板20の外端部23の形状を、羽根車10の外周から放出される空気の流速分布や風量分布等の粗密に対して、さらに適切に応じた形状にすることができる。これにより、騒音等の発生をさらに抑制することができる。
【0054】
また、ここでは、この凹部31〜35間の間隙が、羽根板20の一方の端部22から他方の端部21に向かうにつれて、次第に広がるように形成されているが、そのような形状に限られない。
【0055】
つまり、この凹部31〜35間の間隙は、ハウジング形状等に応じて適宜変更してもよく、この間隙がランダムであってもよいし、羽根板20の一方の端部22から他方の端部21に向かうにつれて次第に狭まってもよい。また、一部等間隔になるように形成されていてもよい。
【0056】
さらに、上述の実施の形態では、羽根板20の外端部23に形成された複数の凹部30は第一〜第五凹部31〜35の五個であるが、これらの凹部30の数はハウジング形状等に応じて適宜変更してもよい。
【0057】
【発明の効果】
この発明は、羽根板間から流出する空気を確実に整流し、騒音の発生を抑制することができる遠心ファンの羽根車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る遠心ファンの羽根車を示す斜視図である。
【図2】図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【図3】図1における遠心ファンの羽根車の縦断面のうち、一枚の羽根板を示す要部拡大断面図である。
【図4】(a)従来の遠心ファンの羽根車の縦断面を簡略して示した断面図である。
(b)図4(a)におけるA−A線に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 遠心ファンの羽根車
20 羽根板
23 外端部
30 凹部
Claims (4)
- 周方向に互いに間隙をおいて環状に配設された多数の羽根板を備えた遠心ファンの羽根車であって、
前記羽根板は、外周に臨む外端部に、軸方向に凹部が設けられたことを特徴とする遠心ファンの羽根車。 - 請求項1に記載の遠心ファンの羽根車であって、前記凹部は、軸方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする遠心ファンの羽根車。
- 請求項2に記載の遠心ファンの羽根車であって、前記複数の凹部は、互いに形状が異なっていることを特徴とする遠心ファンの羽根車。
- 請求項2又は3に記載の遠心ファンの羽根車であって、前記所定間隔は、不均等であることを特徴とする遠心ファンの羽根車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063496A JP2004270579A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 遠心ファンの羽根車 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003063496A JP2004270579A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 遠心ファンの羽根車 |
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ID=33125060
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004270579A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008223760A (ja) * | 2007-02-13 | 2008-09-25 | Daikin Ind Ltd | 送風機の羽根車 |
US8167562B2 (en) | 2007-06-29 | 2012-05-01 | Denso Corporation | Centrifugal fan and blower having the same |
WO2018008390A1 (ja) * | 2016-07-05 | 2018-01-11 | 日本電産株式会社 | 鋸歯状ファンブレードおよび当該ファンブレードを備える軸流ファンならびに遠心ファン |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063496A patent/JP2004270579A/ja not_active Withdrawn
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US8167562B2 (en) | 2007-06-29 | 2012-05-01 | Denso Corporation | Centrifugal fan and blower having the same |
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Effective date: 20050621 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070322 |