JP2004270133A - 屋根用緑青色成形体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般的な塗装方法を用いて基材の表面に緑青の有する独特な色彩を施すことのできる屋根用緑青色成形体とその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の表面に合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末から成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布する。自然に発生する緑青らしい外観を呈し、耐透水性、耐凍害性及び耐候性に優れた製品を安価に大量に提供することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】基材の表面に合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末から成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布する。自然に発生する緑青らしい外観を呈し、耐透水性、耐凍害性及び耐候性に優れた製品を安価に大量に提供することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、屋根材などとして用いられる屋根用緑青色成形体とその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、銅葺きの屋根が大気中の酸素、水蒸気、炭酸ガス、硫化物、塩化物などの作用により変質し、その表面に緑青と呼ばれる被膜を生ずることは良く知られていることである。この被膜により、屋根は緑青色の独特の美観を呈する。また、この被膜は、防蝕機能、防藻機能を有する。
【0003】
ところで、銅以外のコンクリート系材料などの基材に緑青色を施すことができれば、コンクリート系材料などの基材でありながらあたかも銅製であるかのように見せかけることによって、基材の有する無機質な外観を大きく改善することができる。
【0004】
従来のコンクリート系材料などの屋根材の表面に彩色を施す方法としては、合成樹脂エマルジョンに所定の発色が可能な顔料を分散させた塗料を塗布する方法が一般的である。しかし、この方法だけでは、コンクリート製の屋根材の表面に緑青の有する独特な色彩を施すことは難しかった。
【0005】
なお、特殊な方法によればコンクリート系材料などに緑青色を施すことが可能であるかもしれないが、特殊な方法を用いた場合、新たな設備投資、製造技術等を要し、製造コストが高くなるという欠点が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、合成樹脂エマルジョンに所定の発色が可能な顔料を分散させた塗料を塗布する一般的な方法を用いて、コンクリート系材料などの表面に緑青の有する独特な色彩を施すことのできる、屋根用緑青色成形体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、銅を含有する金属微粉末を基材の表面に塗布し、その上に塩化アンモニウム水溶液を塗布した場合に緑青色の発色効果が優れることを見出し、本発明に想到したものである。
【0008】
また、従来の屋根材の製造工程内で工業的に実施できる方法を研究した結果、基材の表面に、銅を含有する金属微粉末と合成樹脂エマルジョンとからなる水性懸濁液を塗布し、表面を適度に乾燥させた後、適度な濃度の塩化アンモニウム水溶液を塗布すると、短時間で外観的に優れた緑青色を呈することを見出した。このようにして得られた緑青色屋根材は、強固な塗膜が形成されて耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れることが実証された。
【0009】
本発明の請求項1記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョンと、銅を70重量%以上含有する金属微粉末と無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布するものである。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1において前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるものである。
【0011】
また、本発明の請求項3記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1又は2において前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるものである。
【0012】
また、本発明の請求項4記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるものである。
【0013】
また、本発明の請求項5記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜4のいずれか1項において前記水性懸濁液に増粘剤を含むものである。
【0014】
また、本発明の請求項6記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において前記基材が屋根材であるものである。
【0015】
また、本発明の請求項7記載の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するものである。
【0016】
さらに、本発明の請求項8記載の屋根用緑青色成形体は、前記請求項7において、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるものである。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の屋根用緑青色成形体とその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
本発明における基材とは、コンクリート系材料,セラミックス系材料を含むが、屋根材として使用可能であればこれらに限定されない。コンクリート系材料としては、セメントと砂などの細骨材のモルタルを原料として成形したプレスセメントや、このプレスセメントよりも細骨材に対するセメントの割合が少ないコンクリートなどがある。セラミックス系材料としては、粘土をプレス成形して素焼きしたもの、さらにこれに釉薬を施して焼成したものや、焼成過程でいぶして表面に銀色の炭素膜を施したものなどが含まれる。さらに、玄昌石を材料にした天然スレートやセメントに繊維を混入して強化した薄い板状のスレートも本発明の基材として使用できる。
【0019】
本発明において合成樹脂エマルジョンとは、金属微粉末と無機化合物微粉末を懸濁させて水性懸濁液とし、これらを基材の表面に接着させるバインダーとして作用するものである。特に種類は限定されないが、金属微粉末と無機化合物微粉末への接着力、コンクリート成形品の表面への接着力がともに良好であり、屋外に暴露された条件で長期耐久性があり、かつ常温成膜性の良好なものが好ましい。一般的に入手できるものとしては、アクリルエマルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン等があり、これらの中から好適なものを選択することができる。
【0020】
銅を70重量%以上含有する金属微粉末とは、金属銅、黄銅、青銅のいずれの微粉末でも良い。なお、銅を70重量%以上含有するものであれば、これらに限らない。また、水性懸濁液とした際の懸濁安定性の観点から、粒径が45μm以下のものを85%以上含むことが望ましい。
【0021】
無機化合物微粉末とは、無機珪酸化合物微粉末、ガラス微粉末、珪石微粉末等のことであるが、特に種類は限定されない。これらはいずれも好適に用いられるが、特に水性懸濁液の懸濁安定性の観点から無機珪酸微粉末が望ましい。この無機化合物微粉末は、金属微粉末と共存させることにより基材の表面に好ましい緑青色の発色状態を付与する。
【0022】
すなわち、金属微粉末のみを水性懸濁液として塗布すると基材に平滑な金属色の表面が形成され、この表面に塩化アンモニウム水溶液を塗布すると、塩化アンモニウム水溶液が水玉状に偏在して斑模様になり、外観上、不完全な緑青色の発色状態となる。一方、適度な粒径の無機化合物微粉末を金属微粉末とともに水性懸濁液として塗布すると、基材の表面に適度な凹凸が形成されることによって、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態となる。
【0023】
無機化合物微粉末の平均粒径は、好ましい凹凸を付与する観点から、1〜30μmとするのが望ましい。平均粒径が1μm未満では塩化アンモニウム水溶液の液滴偏在が認められ、30μmを超えるとざらつき感が強すぎるとともに、摩擦によって無機化合物微粉末が剥離しやすくなり好ましくない。
【0024】
塩化アンモニウム水溶液の濃度は、発色性の観点から5〜15重量%とするのが望ましい。5重量%未満では、緑青色の鮮やかな深みに欠け、15重量%を超えると発色が濃くなりすぎて不自然な色合いを呈するため好ましくない。
【0025】
増粘剤とは、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保するように作用するものである。増粘剤を加えることによって、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。特に種類は限定されないが、メチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ポリビニールアルコール、グアガム、ポリアクリル酸ソーダ等が好適に用いられる。なお、これらの添加濃度は、水性懸濁液に適当な粘性を与えるように実験的に決定しなければならない。
【0026】
つぎに、上述したような合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末、無機化合物微粉末、塩化アンモニウム水溶液、増粘剤を用いた本発明の屋根用緑青色成形体の製造方法について説明する。
【0027】
まず、増粘剤の水溶液に合成樹脂エマルジョンを混合し、これに銅を70重量%以上含有する金属微粉末と無機化合物微粉末として無機珪酸化合物微粉末とを加え、これをサンドミルやボールミル等の混合細摩機能を有する装置に入れて装置を2〜4時間回転させることにより、懸濁安定性を十分に有する水性懸濁液を得る。なお、この水性懸濁液中の金属微粉末の粒径は45μm以下のものが85%以上を占め、無機珪酸化合物微粉末の平均粒径は1〜30μmとなっている。
【0028】
得られた水性懸濁液を、予め適度に加熱しておいた基材の表面にスプレー等の手段を用いて塗布し、乾燥する。その後、再度基材を適度に加熱し、水性懸濁液による塗布により形成された塗布膜の表面に濃度が5〜15重量%の塩化アンモニウム水溶液をスプレー等の手段を用いて塗布する。塩化アンモニウム水溶液の塗布後、数分で鮮やかな緑青色を呈する屋根用緑青色成形体が得られる。この屋根用緑青色成形体は、基材の表面に緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有する塗膜が施されたものとなっている。
【0029】
以上詳述したとおり、本発明の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョンと、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布する方法であるため、一般的な塗装方法を用いることができ、製造が容易である上に、新たな設備投資、製造技術等に要するコストを抑えることができるので、優れた製品を安価に提供することができる。また、発色が短時間で完了するので、大量生産にも適する。また、無機化合物微粉末によって基材の表面に適度な凹凸が形成され、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態とすることができる。さらに、強固な塗膜が形成されるので、耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れた製品を提供することができる。
【0030】
また、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるため、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0031】
また、前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるから、適度な緑青色の発色が得られ、自然な色合いを呈することができる。
【0032】
また、前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるから、水性懸濁液の懸濁安定性を向上させることができる。
【0033】
また、前記水性懸濁液に増粘剤を含むから、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保することができる。また、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。
【0034】
さらに、前記基材が耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れるとともに、緑青の独特な色彩を有する屋根材を提供することができる。
【0035】
また、本発明の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するので、基材の種類にかかわらず自然な緑青色を呈する製品を提供することができる。
【0036】
さらに、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるので、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0037】
【実施例】
以下の具体的実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
0.5重量%メチルセルローズ水溶液30gに、アクリルエマルジョン30gを混合し、これに銅を85重量%以上含有する金属微粉末40gと珪石微粉末30gとを加え、攪拌後、小型磁性ボールミルで3時間混合、細摩し、水性懸濁液としての塗工液を得た。
【0039】
基材として、屋根瓦として成形されたコンクリート成形体を用いた。コンクリート成形体の表面温度を予め65℃に加熱しておき、このコンクリート成形体にハンドスプレーを用いて前記塗工液を吹き付けて塗布した。このとき塗工液の塗布後の厚みは80μmであり、コンクリート成形体の表面は金色を呈していた。
【0040】
塗工液の塗布後、コンクリート成形体を再び恒温槽で65℃に加熱し、塩化アンモニウムの10重量%水溶液を塗布すると、厚形スレートにスプレーの表面は2分ほどで金色から鮮やかな緑青色に変化した。
【0041】
このようにして得られた緑青色コンクリート成形体に、サンシャインウェザーメータを用いた2000時間の照射試験を行ったところ、変色は全く見られなかった。また、凍結温度を−10度、融解温度を15℃に設定して凍結融解試験を300サイクル実施したが、塗膜の剥離や膨れは見られなかった。したがって、緑青色コンクリート成形体は、耐候性、耐凍害性に優れることが確認された。
【0042】
[実施例2]
実施例1で用いた金属微粉末の代わりに銅72重量%、亜鉛28重量%を含有する黄銅の微粉末を用いた。これ以外は全て実施例1と同じ材料を用い、実施例1と同じ要領で屋根瓦を処理した。その結果、実施例1よりもくすんだ緑青色を呈する屋根瓦が得られた。
【0043】
[実施例3]
実施例1で用いた珪石微粉末の代わりにガラス微粉末を用いた。これ以外は全て実施例1と同じ材料を用いた。そして、実施例1と同じ要領で、中型ボールミルを用いて表1に示す配合量の塗工液を調合した。
【0044】
【表1】
つぎに、コンベアスピードが0.5m/分の工場塗装ラインを用いて60枚の瓦用に成形したコンクリート成形体を処理した。ここで、塗工液の噴射圧力を塗布後の塗膜の厚みが70〜80μmになるように調整し、加熱システムをコンクリート成形体の表面温度が75±5℃となるように設定した。そして、塗装ライン上でコンクリート成形体を加熱し、その表面に1段目のスプレーノズルを用いて塗工液を塗布し、その後、1段目のスプレーノズルから5m離れた2段目のスプレーノズルを用いて、8重量%塩化アンモニウム水溶液を塗布した。塗装ラインから送り出されてきた60枚のコンクリート成形体は、鮮やかな緑青色を呈する美観に優れる製品であった。
【0045】
[実施例4]
日本石材協会制定のNSK規格「浸透性吸水防止材」による試験方法に準拠して、実施例2において塩化アンモニウム水溶液を用いて緑青色化処理を行う前の金色コンクリート成形体と、実施例2で得られた緑青色コンクリート成形体の透水性を評価した。そして、表2に示す結果が得られた。この結果から明らかなように、緑青色コンクリート成形体の方が、塩化アンモニウム水溶液で処理を行っていない金色コンクリート成形体よりも耐透水性が良好であった。
【0046】
【表2】
この試験に用いたコンクリート成形体の切片の表面及び断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図1〜図4に示す。図1は金色コンクリート成形体の表面、図2は緑青色コンクリート成形体の表面、図3は金色コンクリート成形体の断面、図4は緑青色コンクリート成形体の断面を観察したものである。
【0047】
これらの図から明らかなように、緑青色コンクリート成形体の方は、銅の粒子の表面を緑青色生成物が覆っている。そして、緑青色生成物の組織が銅や無機化合物の粒子よりも緻密になっている。この緑青色生成物の組織の緻密さによって、緑青色コンクリート成形体の耐透水性が向上したものと考えられる。
【0048】
また、この金色コンクリート成形体と緑青色コンクリート成形体を1年間屋外に暴露した後、表面硬度をビッカース硬度計で測定した結果、金色コンクリート成形体は33kgf/mm2であり、緑青色コンクリート成形体は115kgf/mm2であった。なお、銅板の表面硬度は、81kgf/mm2であった。したがって、緑青色コンクリート成形体は、強度的にも優れることが確認された。
【0049】
[実施例5]
実施例3で得られた緑青色コンクリート成形体をダイヤモンドカッターで10cm平方の大きさに切り出し、緑青色の塗膜の面を除く5つの面をシリコン封止剤で塗り固め、等量の硫酸と硝酸とを加えて混合して調製したpH2の酸性水溶液に1月間浸漬した。比較のため、同じ面積の銅板も浸漬した。
【0050】
浸漬後に表面を目視観察した結果、緑青色コンクリート成形体の塗膜には目立った変化はなく、浸漬前の状態を保持していた。一方、銅板は表面全体に白色状物質が生成するとともに、この白色状物質が剥離し、薄くなっていた。したがって、緑青色コンクリート成形体を葺いた屋根は、銅葺き屋根よりも酸性雨に対する抵抗性に優れ、耐候性に優れることが確認された。
【0051】
[実施例6]
粘土をプレス成形して素焼きした瓦材を基材として実施した場合においても、上記実施例1〜5と同様の結果が得られ、基材の種類によらず実施できることが確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布するから、基材の表面に緑青の有する独特な色彩を施すことができる。また、一般的な塗装方法を用いるので製造が容易である上に、新たな設備投資、製造技術等に要するコストを抑えることができるので、優れた製品を安価に提供することができる。また、発色が短時間で完了するので、大量生産にも適する。また、無機化合物微粉末によって基材の表面に適度な凹凸が形成され、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態とすることができる。さらに、強固な塗膜が形成されるので、耐透水性、耐凍害性、および耐候性に優れた製品を提供することができる。
【0053】
本発明の請求項2記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1において前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるため、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0054】
本発明の請求項3記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1又は2において前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるから、適度な緑青色の発色が得られ、自然な色合いを呈することができる。
【0055】
本発明の請求項4記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるから、水性懸濁液の懸濁安定性を向上させることができる。
【0056】
本発明の請求項5記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜4のいずれか1項において、前記水性懸濁液に増粘剤を含むから、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保することができる。また、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。
【0057】
本発明の請求項6記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において、前記基材が屋根材であるから、耐透水性、耐凍害性、および耐候性に優れるとともに、緑青の独特な色彩を有する屋根材を提供することができる。
【0058】
本発明の請求項7記載の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するので、基材の種類にかかわらず自然な緑青色を呈する製品を提供することができる。
【0059】
本発明の請求項8記載の屋根用緑青色成形体は、前記請求項7において、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるので、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行う前の、コンクリート成形体の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図2】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行った後の、コンクリート成形体の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図3】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行う前の、コンクリート成形体の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図4】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行った後の、コンクリート成形体の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【産業上の利用分野】
本発明は、屋根材などとして用いられる屋根用緑青色成形体とその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、銅葺きの屋根が大気中の酸素、水蒸気、炭酸ガス、硫化物、塩化物などの作用により変質し、その表面に緑青と呼ばれる被膜を生ずることは良く知られていることである。この被膜により、屋根は緑青色の独特の美観を呈する。また、この被膜は、防蝕機能、防藻機能を有する。
【0003】
ところで、銅以外のコンクリート系材料などの基材に緑青色を施すことができれば、コンクリート系材料などの基材でありながらあたかも銅製であるかのように見せかけることによって、基材の有する無機質な外観を大きく改善することができる。
【0004】
従来のコンクリート系材料などの屋根材の表面に彩色を施す方法としては、合成樹脂エマルジョンに所定の発色が可能な顔料を分散させた塗料を塗布する方法が一般的である。しかし、この方法だけでは、コンクリート製の屋根材の表面に緑青の有する独特な色彩を施すことは難しかった。
【0005】
なお、特殊な方法によればコンクリート系材料などに緑青色を施すことが可能であるかもしれないが、特殊な方法を用いた場合、新たな設備投資、製造技術等を要し、製造コストが高くなるという欠点が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、合成樹脂エマルジョンに所定の発色が可能な顔料を分散させた塗料を塗布する一般的な方法を用いて、コンクリート系材料などの表面に緑青の有する独特な色彩を施すことのできる、屋根用緑青色成形体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、銅を含有する金属微粉末を基材の表面に塗布し、その上に塩化アンモニウム水溶液を塗布した場合に緑青色の発色効果が優れることを見出し、本発明に想到したものである。
【0008】
また、従来の屋根材の製造工程内で工業的に実施できる方法を研究した結果、基材の表面に、銅を含有する金属微粉末と合成樹脂エマルジョンとからなる水性懸濁液を塗布し、表面を適度に乾燥させた後、適度な濃度の塩化アンモニウム水溶液を塗布すると、短時間で外観的に優れた緑青色を呈することを見出した。このようにして得られた緑青色屋根材は、強固な塗膜が形成されて耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れることが実証された。
【0009】
本発明の請求項1記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョンと、銅を70重量%以上含有する金属微粉末と無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布するものである。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1において前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるものである。
【0011】
また、本発明の請求項3記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1又は2において前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるものである。
【0012】
また、本発明の請求項4記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において、前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるものである。
【0013】
また、本発明の請求項5記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜4のいずれか1項において前記水性懸濁液に増粘剤を含むものである。
【0014】
また、本発明の請求項6記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において前記基材が屋根材であるものである。
【0015】
また、本発明の請求項7記載の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するものである。
【0016】
さらに、本発明の請求項8記載の屋根用緑青色成形体は、前記請求項7において、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるものである。
【0017】
【発明の実施形態】
以下、本発明の屋根用緑青色成形体とその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
本発明における基材とは、コンクリート系材料,セラミックス系材料を含むが、屋根材として使用可能であればこれらに限定されない。コンクリート系材料としては、セメントと砂などの細骨材のモルタルを原料として成形したプレスセメントや、このプレスセメントよりも細骨材に対するセメントの割合が少ないコンクリートなどがある。セラミックス系材料としては、粘土をプレス成形して素焼きしたもの、さらにこれに釉薬を施して焼成したものや、焼成過程でいぶして表面に銀色の炭素膜を施したものなどが含まれる。さらに、玄昌石を材料にした天然スレートやセメントに繊維を混入して強化した薄い板状のスレートも本発明の基材として使用できる。
【0019】
本発明において合成樹脂エマルジョンとは、金属微粉末と無機化合物微粉末を懸濁させて水性懸濁液とし、これらを基材の表面に接着させるバインダーとして作用するものである。特に種類は限定されないが、金属微粉末と無機化合物微粉末への接着力、コンクリート成形品の表面への接着力がともに良好であり、屋外に暴露された条件で長期耐久性があり、かつ常温成膜性の良好なものが好ましい。一般的に入手できるものとしては、アクリルエマルジョン、シリコンアクリルエマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン等があり、これらの中から好適なものを選択することができる。
【0020】
銅を70重量%以上含有する金属微粉末とは、金属銅、黄銅、青銅のいずれの微粉末でも良い。なお、銅を70重量%以上含有するものであれば、これらに限らない。また、水性懸濁液とした際の懸濁安定性の観点から、粒径が45μm以下のものを85%以上含むことが望ましい。
【0021】
無機化合物微粉末とは、無機珪酸化合物微粉末、ガラス微粉末、珪石微粉末等のことであるが、特に種類は限定されない。これらはいずれも好適に用いられるが、特に水性懸濁液の懸濁安定性の観点から無機珪酸微粉末が望ましい。この無機化合物微粉末は、金属微粉末と共存させることにより基材の表面に好ましい緑青色の発色状態を付与する。
【0022】
すなわち、金属微粉末のみを水性懸濁液として塗布すると基材に平滑な金属色の表面が形成され、この表面に塩化アンモニウム水溶液を塗布すると、塩化アンモニウム水溶液が水玉状に偏在して斑模様になり、外観上、不完全な緑青色の発色状態となる。一方、適度な粒径の無機化合物微粉末を金属微粉末とともに水性懸濁液として塗布すると、基材の表面に適度な凹凸が形成されることによって、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態となる。
【0023】
無機化合物微粉末の平均粒径は、好ましい凹凸を付与する観点から、1〜30μmとするのが望ましい。平均粒径が1μm未満では塩化アンモニウム水溶液の液滴偏在が認められ、30μmを超えるとざらつき感が強すぎるとともに、摩擦によって無機化合物微粉末が剥離しやすくなり好ましくない。
【0024】
塩化アンモニウム水溶液の濃度は、発色性の観点から5〜15重量%とするのが望ましい。5重量%未満では、緑青色の鮮やかな深みに欠け、15重量%を超えると発色が濃くなりすぎて不自然な色合いを呈するため好ましくない。
【0025】
増粘剤とは、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保するように作用するものである。増粘剤を加えることによって、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。特に種類は限定されないが、メチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ポリビニールアルコール、グアガム、ポリアクリル酸ソーダ等が好適に用いられる。なお、これらの添加濃度は、水性懸濁液に適当な粘性を与えるように実験的に決定しなければならない。
【0026】
つぎに、上述したような合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末、無機化合物微粉末、塩化アンモニウム水溶液、増粘剤を用いた本発明の屋根用緑青色成形体の製造方法について説明する。
【0027】
まず、増粘剤の水溶液に合成樹脂エマルジョンを混合し、これに銅を70重量%以上含有する金属微粉末と無機化合物微粉末として無機珪酸化合物微粉末とを加え、これをサンドミルやボールミル等の混合細摩機能を有する装置に入れて装置を2〜4時間回転させることにより、懸濁安定性を十分に有する水性懸濁液を得る。なお、この水性懸濁液中の金属微粉末の粒径は45μm以下のものが85%以上を占め、無機珪酸化合物微粉末の平均粒径は1〜30μmとなっている。
【0028】
得られた水性懸濁液を、予め適度に加熱しておいた基材の表面にスプレー等の手段を用いて塗布し、乾燥する。その後、再度基材を適度に加熱し、水性懸濁液による塗布により形成された塗布膜の表面に濃度が5〜15重量%の塩化アンモニウム水溶液をスプレー等の手段を用いて塗布する。塩化アンモニウム水溶液の塗布後、数分で鮮やかな緑青色を呈する屋根用緑青色成形体が得られる。この屋根用緑青色成形体は、基材の表面に緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有する塗膜が施されたものとなっている。
【0029】
以上詳述したとおり、本発明の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョンと、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布する方法であるため、一般的な塗装方法を用いることができ、製造が容易である上に、新たな設備投資、製造技術等に要するコストを抑えることができるので、優れた製品を安価に提供することができる。また、発色が短時間で完了するので、大量生産にも適する。また、無機化合物微粉末によって基材の表面に適度な凹凸が形成され、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態とすることができる。さらに、強固な塗膜が形成されるので、耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れた製品を提供することができる。
【0030】
また、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるため、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0031】
また、前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるから、適度な緑青色の発色が得られ、自然な色合いを呈することができる。
【0032】
また、前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるから、水性懸濁液の懸濁安定性を向上させることができる。
【0033】
また、前記水性懸濁液に増粘剤を含むから、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保することができる。また、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。
【0034】
さらに、前記基材が耐透水性、耐凍害性および耐候性に優れるとともに、緑青の独特な色彩を有する屋根材を提供することができる。
【0035】
また、本発明の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するので、基材の種類にかかわらず自然な緑青色を呈する製品を提供することができる。
【0036】
さらに、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるので、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0037】
【実施例】
以下の具体的実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
0.5重量%メチルセルローズ水溶液30gに、アクリルエマルジョン30gを混合し、これに銅を85重量%以上含有する金属微粉末40gと珪石微粉末30gとを加え、攪拌後、小型磁性ボールミルで3時間混合、細摩し、水性懸濁液としての塗工液を得た。
【0039】
基材として、屋根瓦として成形されたコンクリート成形体を用いた。コンクリート成形体の表面温度を予め65℃に加熱しておき、このコンクリート成形体にハンドスプレーを用いて前記塗工液を吹き付けて塗布した。このとき塗工液の塗布後の厚みは80μmであり、コンクリート成形体の表面は金色を呈していた。
【0040】
塗工液の塗布後、コンクリート成形体を再び恒温槽で65℃に加熱し、塩化アンモニウムの10重量%水溶液を塗布すると、厚形スレートにスプレーの表面は2分ほどで金色から鮮やかな緑青色に変化した。
【0041】
このようにして得られた緑青色コンクリート成形体に、サンシャインウェザーメータを用いた2000時間の照射試験を行ったところ、変色は全く見られなかった。また、凍結温度を−10度、融解温度を15℃に設定して凍結融解試験を300サイクル実施したが、塗膜の剥離や膨れは見られなかった。したがって、緑青色コンクリート成形体は、耐候性、耐凍害性に優れることが確認された。
【0042】
[実施例2]
実施例1で用いた金属微粉末の代わりに銅72重量%、亜鉛28重量%を含有する黄銅の微粉末を用いた。これ以外は全て実施例1と同じ材料を用い、実施例1と同じ要領で屋根瓦を処理した。その結果、実施例1よりもくすんだ緑青色を呈する屋根瓦が得られた。
【0043】
[実施例3]
実施例1で用いた珪石微粉末の代わりにガラス微粉末を用いた。これ以外は全て実施例1と同じ材料を用いた。そして、実施例1と同じ要領で、中型ボールミルを用いて表1に示す配合量の塗工液を調合した。
【0044】
【表1】
つぎに、コンベアスピードが0.5m/分の工場塗装ラインを用いて60枚の瓦用に成形したコンクリート成形体を処理した。ここで、塗工液の噴射圧力を塗布後の塗膜の厚みが70〜80μmになるように調整し、加熱システムをコンクリート成形体の表面温度が75±5℃となるように設定した。そして、塗装ライン上でコンクリート成形体を加熱し、その表面に1段目のスプレーノズルを用いて塗工液を塗布し、その後、1段目のスプレーノズルから5m離れた2段目のスプレーノズルを用いて、8重量%塩化アンモニウム水溶液を塗布した。塗装ラインから送り出されてきた60枚のコンクリート成形体は、鮮やかな緑青色を呈する美観に優れる製品であった。
【0045】
[実施例4]
日本石材協会制定のNSK規格「浸透性吸水防止材」による試験方法に準拠して、実施例2において塩化アンモニウム水溶液を用いて緑青色化処理を行う前の金色コンクリート成形体と、実施例2で得られた緑青色コンクリート成形体の透水性を評価した。そして、表2に示す結果が得られた。この結果から明らかなように、緑青色コンクリート成形体の方が、塩化アンモニウム水溶液で処理を行っていない金色コンクリート成形体よりも耐透水性が良好であった。
【0046】
【表2】
この試験に用いたコンクリート成形体の切片の表面及び断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図1〜図4に示す。図1は金色コンクリート成形体の表面、図2は緑青色コンクリート成形体の表面、図3は金色コンクリート成形体の断面、図4は緑青色コンクリート成形体の断面を観察したものである。
【0047】
これらの図から明らかなように、緑青色コンクリート成形体の方は、銅の粒子の表面を緑青色生成物が覆っている。そして、緑青色生成物の組織が銅や無機化合物の粒子よりも緻密になっている。この緑青色生成物の組織の緻密さによって、緑青色コンクリート成形体の耐透水性が向上したものと考えられる。
【0048】
また、この金色コンクリート成形体と緑青色コンクリート成形体を1年間屋外に暴露した後、表面硬度をビッカース硬度計で測定した結果、金色コンクリート成形体は33kgf/mm2であり、緑青色コンクリート成形体は115kgf/mm2であった。なお、銅板の表面硬度は、81kgf/mm2であった。したがって、緑青色コンクリート成形体は、強度的にも優れることが確認された。
【0049】
[実施例5]
実施例3で得られた緑青色コンクリート成形体をダイヤモンドカッターで10cm平方の大きさに切り出し、緑青色の塗膜の面を除く5つの面をシリコン封止剤で塗り固め、等量の硫酸と硝酸とを加えて混合して調製したpH2の酸性水溶液に1月間浸漬した。比較のため、同じ面積の銅板も浸漬した。
【0050】
浸漬後に表面を目視観察した結果、緑青色コンクリート成形体の塗膜には目立った変化はなく、浸漬前の状態を保持していた。一方、銅板は表面全体に白色状物質が生成するとともに、この白色状物質が剥離し、薄くなっていた。したがって、緑青色コンクリート成形体を葺いた屋根は、銅葺き屋根よりも酸性雨に対する抵抗性に優れ、耐候性に優れることが確認された。
【0051】
[実施例6]
粘土をプレス成形して素焼きした瓦材を基材として実施した場合においても、上記実施例1〜5と同様の結果が得られ、基材の種類によらず実施できることが確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、基材の表面に、合成樹脂エマルジョン、銅を70重量%以上含有する金属微粉末及び無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布するから、基材の表面に緑青の有する独特な色彩を施すことができる。また、一般的な塗装方法を用いるので製造が容易である上に、新たな設備投資、製造技術等に要するコストを抑えることができるので、優れた製品を安価に提供することができる。また、発色が短時間で完了するので、大量生産にも適する。また、無機化合物微粉末によって基材の表面に適度な凹凸が形成され、自然に発生する緑青らしい外観を呈し、好適な発色状態とすることができる。さらに、強固な塗膜が形成されるので、耐透水性、耐凍害性、および耐候性に優れた製品を提供することができる。
【0053】
本発明の請求項2記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1において前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるため、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【0054】
本発明の請求項3記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1又は2において前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であるから、適度な緑青色の発色が得られ、自然な色合いを呈することができる。
【0055】
本発明の請求項4記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜3のいずれか1項において前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であるから、水性懸濁液の懸濁安定性を向上させることができる。
【0056】
本発明の請求項5記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜4のいずれか1項において、前記水性懸濁液に増粘剤を含むから、水性懸濁液に適度な粘性を与えて懸濁安定性を十分に確保することができる。また、金属微粉末、無機化合物微粉末の粒径のバラツキによる懸濁安定性の低下を防止することができる。
【0057】
本発明の請求項6記載の屋根用緑青色成形体の製造方法は、前記請求項1〜5のいずれか1項において、前記基材が屋根材であるから、耐透水性、耐凍害性、および耐候性に優れるとともに、緑青の独特な色彩を有する屋根材を提供することができる。
【0058】
本発明の請求項7記載の屋根用緑青色成形体は、基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有するので、基材の種類にかかわらず自然な緑青色を呈する製品を提供することができる。
【0059】
本発明の請求項8記載の屋根用緑青色成形体は、前記請求項7において、前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであるので、選択できる基材の種類が多く、需要に合わせた製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行う前の、コンクリート成形体の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図2】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行った後の、コンクリート成形体の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図3】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行う前の、コンクリート成形体の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
【図4】本実施例の塩化アンモニウム水溶液で処理を行った後の、コンクリート成形体の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す模式図である。
Claims (8)
- 基材の表面に、合成樹脂エマルジョンと、銅を70重量%以上含有する金属微粉末と、無機化合物微粉末とから成る水性懸濁液を塗布し乾燥させた後、塩化アンモニウム水溶液を塗布することを特徴とする屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 前記塩化アンモニウム水溶液の濃度が5〜15重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 前記無機化合物微粉末が無機珪酸化合物微粉末であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 前記水性懸濁液に増粘剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 前記基材が屋根材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の屋根用緑青色成形体の製造方法。
- 基材と、この基材の表面に設けられた塗膜とからなり、この塗膜は緑青の微粉末と無機化合物微粉末を含有することを特徴とする屋根用緑青色成形体。
- 前記基材は、コンクリート系材料,セラミックス系材料のいずれかであることを特徴とする請求項7記載の屋根用緑青色成形体。
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JP6421892B1 (ja) * | 2017-10-26 | 2018-11-14 | 住友化学株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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2003
- 2003-03-04 JP JP2003057745A patent/JP2004270133A/ja active Pending
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