JP2004269702A - 導電性組成物、導電膜、樹脂複合材料 - Google Patents
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Abstract
【手段】導電性組成物は、導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとを含む。導電性組成物は、10〜98重量%の導電性酸化物粒子と2〜90重量%の導電性ポリマーとを含み、導電性酸化物粒子の平均粒径が80nm以下である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性組成物、及びこれを用いた透明導電膜等の導電膜、並びにこれを含有する樹脂複合材料に関する。より詳しくは、帯電防止膜、電磁波シールド、ポリマーバッテリー用電極、コンデンサー固体電解質などとして使用可能な可とう性を有する塗布膜、シートが形成可能な導電性組成物及びこれを用いた導電膜、樹脂複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性組成物としては、有機系及び無機系の多くの化合物が知られている。無機化合物としては、ITO(酸化インジウム−酸化錫,Indium Tin Oxide)などに代表される酸化物導電体があり、これらの材料は、各種手法により、基体表面に膜状に形成され透明導電膜として使用されている(例えば、非特許文献1参照)。また、酸化物導電体は、これらの微粒子を樹脂中へ粉体として添加することにより、樹脂の体積抵抗値を低下させるのに有効である。これらの用途では、金属微粒子やカーボンフィラーなども使用されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
一方、有機系の化合物としては、ポリアセチレン(特許文献1、非特許文献3)、ポリアニリン誘導体(特許文献2,非特許文献4)やポリピロール誘導体(特許文献3、特許文献4、特許文献5、非特許文献5)などに代表される一連の導電性ポリマーが知られている。
【0004】
【特許文献1】特公平3−49938号公報
【特許文献2】特開2002−275261号公報
【特許文献3】特公平3−79371号公報
【特許文献4】特開平5−287088号公報
【特許文献5】特開平8−157574号公報
【非特許文献1】
榎浩利、「酸化物透明電極材料」まてりあ、第34巻、第3号、p344〜351(2002)
【非特許文献2】
インターネット<http://www.m−kagaku.co.jp/business/library/ketjen−bl.htm>
【非特許文献3】
赤城和夫、「導電性ポリマーの開発動向」工業材料、第50巻、第6号、p18〜21(2002)
【非特許文献4】
小長谷重次、「導電性高分子複合PETフィルム・シート」工業材料、第50巻、第6号、p52〜55(2002)
【非特許文献5】
川島英一、西島正敬、「ポリピロール被覆のデバイス容器」工業材料、第50巻、第6号、p56〜59(2002)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のITOなどに代表される酸化物導電体は、スパッタリング法などの真空プロセスやゾル−ゲル法などの液相法により基体表面に透明導電膜を形成する。スパッタリング法などの真空プロセスで透明導電膜を形成するには、高価な設備が必要である。一方、液相法では、500℃以上の高温処理が必要である。
【0006】
安価なプロセスとして、導電性酸化物微粒子の分散液を作成し、基体表面に塗布し乾燥する事も可能であるが、得られる透明導電膜のシート抵抗は、数1000Ω/□以上と低抵抗化が非常に難しく、その応用範囲が限定されている。
【0007】
また、上記のようなITO、金属微粒子やカーボンフィラー等を用いた無機膜は、可とう性に劣るため、柔らかなシート面へ形成するとクラックの発生や導電膜の剥離などが進行し、実用的な膜を形成することが難しい。
【0008】
非特許文献3に示された導電性酸化物微粒子を導電性フィラーとして使用する場合、その添加量が数10重量%必要となる。また、透明性の低下、摩擦による粉の発生などの問題を有する。
【0009】
一方、導電性ポリマーは、一部の例外を除き不溶性、不融性であるため、加工性に欠ける。従って、表面処理剤のような塗布や練り混みによる複合化が難しい。
【0010】
この様な導電性ポリマーの問題点を解決するため、非特許文献4では、ポリアニリンをスルホン化することにより、塗布成膜可能な塗布液を得ている。しかし、成膜するためには、高分子バインダーの使用が必須であり、得られた膜のシート抵抗値は、107Ω/□であり、本来ポリアニリンが有する導電特性より大幅に低下している。
【0011】
特許文献4、特許文献5では、ポリピロールの3位にエステル基を導入することにより、有機溶剤に可溶化することが可能となり、成膜用バインダーを使用せずに膜が形成可能であることが示されている。しかし、有機溶剤への溶解性を向上させるためのエステル基導入により、その導電率が、107〜108Ω/□に低下する。
【0012】
非特許文献5では、ポリピロールを担体表面で重合させることにより、ポリピロールが本来有する導電性を損なわずに、103〜108Ω/□の塗布膜を形成することが可能であることが示されている。しかし、この手法では、汎用的に各種担体上に成膜することが難しく、その適用範囲が大きく限定されるという問題点がある。
【0013】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性、可とう性に優れ、塗布成膜やシート化が可能であり、また、練り混みなどの加工性に優れた導電性組成物を提供することにある。また、その導電性組成物を用いることにより、透明導電膜、導電性シートや導電性を有する樹脂複合材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、平均粒径が所定範囲内である導電性酸化物粒子と、導電性ポリマーとを所定の割合で用いることにより、導電性に優れ、塗布成膜やシート化が可能であり、また、練り混みなどの加工性に優れた導電性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
請求項1の導電性組成物は、上記の課題を解決するために、導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとを含むことを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、各導電性粒子間に導電性ポリマーが架橋することで、導電性粒子が高分散に存在し、個々の導電性粒子の接触が無くとも(導電性粒子の凝集によるストラクチャの形成が無くとも)導電性ポリマーを導電パスとする事が出来るため導電性を向上させることができるので、導電性、可とう性に優れると同時に透明性や機械特性、練り混みなどの加工性に優れた導電性組成物を提供することができる。
【0017】
請求項2の導電性組成物は、上記の課題を解決するために、10〜98重量%の導電性酸化物粒子と2〜90重量%の導電性ポリマーとを含み、導電性酸化物粒子の平均粒径が80nm以下であることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとを上記範囲内で含むことにより、さらに優れた導電性を得ることができる。また、導電性酸化物粒子の平均粒径が上記範囲内であることで、さらに透過性、機械特性に優れた導電性組成物を提供できる。
【0019】
請求項3の導電性組成物は、上記の課題を解決するために、導電性酸化物粒子が、酸化インジウム−酸化錫、IIIb族元素がドープされた酸化亜鉛、Vb族元素がドープされた酸化錫、フッ素がドープされた酸化錫からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種の導電性酸化物粒子であることを特徴としている。
【0020】
請求項4の導電性組成物は、上記の課題を解決するために、導電性ポリマーが、ポリピロールであることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、ポリピロールを用いることで、ハロゲン含有物質であるドーパントを用いることなく優れた導電性を発現することができる。
【0022】
請求項5の導電膜は、上記の課題を解決するために、 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物を用いて形成されたことを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、導電膜が上記導電性組成物を用いて形成されていることで、導電性に優れ、かつ、透明性を有する導電膜を提供できる。また、ハロンゲン系のドーパントを用いることなく導電膜の成膜がなされるので、環境を害することが少ない。さらには、バインダー成分を用いることなく導電性塗布膜が形成可能であり、バインダー成分の添加による導電性の低下を回避でき、優れた導電性を発現できる。
【0024】
請求項6の樹脂複合材料は、上記の課題を解決するために、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物を含むことを特徴としている
上記の構成によれば、樹脂複合材料が上記導電性組成物を用いて形成されていることで、導電性に優れ、かつ、透明性を有する樹脂複合材料を提供できる。また、ハロンゲン系のドーパントを用いることなく導電膜の成膜がなされるので、環境を害することが少ない。さらには、バインダー成分を用いることなく導電性塗布膜が形成可能であり、バインダー成分の添加による導電性の低下を回避でき、優れた導電性を発現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性組成物は、10〜98重量%の導電性酸化物粒子と2〜95重量%の導電性ポリマーとを含み、導電性酸化物粒子の平均粒径が80nm以下である。
【0026】
導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとは各々の欠点を補完し合うために併用される。導電性酸化物粒子単独であれば、導電性を発現するために、凝集による各構成粒子間のネットワークの形成が必須である。しかし、この様な凝集形態を形成することにより、導電性は向上するが透明性や機械特性などの他の特性が低下する。本発明の導電性組成物は、図1に示したような擬似的な構造を形成し、導電性ポリマーが各導電性酸化物粒子間に架橋することで、導電性酸化物粒子の凝集によるネットワーク形成なしで、導電性の向上に寄与すると考えられる。
【0027】
本発明の導電性組成物における導電性酸化物量及び導電性ポリマー量は、形成される導電膜や複合材料の用途に応じて適宜定めればよく特に限定されないが、導電性酸化物粒子量が10重量%未満であると抵抗値が低下するおそれがある。一方、98重量%を超えると可とう性が低下するおそれがある。より好ましくは、導電性酸化物粒子量が、50〜95重量%である。
【0028】
導電性酸化物粒子の平均粒径が、80nmより大きくなると、可視光の透過性や機械特性が低下するおそれがある。より好ましくは、50nm以下である。
【0029】
上記平均粒径は、例えば、比表面積径の平均値等として測定・算出される。
【0030】
導電性酸化物粒子は、粒子に導電性を有するものであれば特に限定されないが、比較的低い比抵抗値を有する酸化インジウム−酸化錫(ITO)、IIIb族元素がドープされた酸化亜鉛、Vb族元素又はフッ素がドープされた酸化錫等が、好ましく用いられる。
【0031】
酸化亜鉛にドープされるIIIb族元素としては、硼素又はアルミニウムが好ましく用いられる。酸化錫にドープされるVb族元素としてはアンチモンが好ましく用いられる。
【0032】
導電性ポリマーの種類は、特に限定されないが、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−3,4−エチレンジエチレンジオキシチオフェン、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリアセンなどが用いられる。
【0033】
導電性ポリマーは、可溶性であることが好ましい。可溶性導電性ポリマーとしては、下記化学式(1)、(2)、(3)、(4)で示される化合物などが用いられる。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】
【化4】
導電性ポリマーの種類としては、好ましくは、ポリピロールであり、更には、上記化学式で示される可溶性ポリピロールであることがより好ましい。
【0038】
導電性ポリマーの導電性発現のためには、ドーパントを用いることが多いが、本発明の導電性組成物では、ドーパントを必要としない。特に、上記例示の導電性ポリマーのうち、ポリピロールを用いた場合は、ドーパントを用いることなく優れた導電性を発現できる。
【0039】
理由は明確ではないが、導電性酸化物粒子とポリピロールとの間に、ドーパントを添加した場合と類似の相互作用が存在すると考えられる。通常導電性ポリマー間の導電性発現のために用いられるドーパントは、ハロゲンを多く含んでおり、ドーパントを含まない本発明の導電性組成物は、環境に対しても非常に優しい材料となる。
【0040】
また、本発明の導電性組成物は、成膜などの成形性を付与するためのバインダー成分種の添加が不要であり、バインダー成分の添加による導電性の低下を回避することが可能である。
【0041】
本発明の導電性組成物は、導電性酸化物粒子の分散液中での導電性ポリマーの重合反応による複合化や導電性酸化物粒子の分散液への可溶性導電性ポリマーの添加により製造される。
【0042】
導電性酸化物粒子は、分散剤などを併用する事により、導電性ポリマーの重合反応に用いられる、又は、可溶な溶剤中にあらかじめ分散される。この時、分散液中の導電性酸化物粒子の平均粒度分布(平均凝集粒径)が、80nm以下であることが好ましい。また、可溶性導電性ポリマーを用いる場合は、可溶性導電性ポリマーの共存下で導電性酸化物粒子の分散処理を行うことも可能である。
【0043】
本発明の導電性組成物を基体に塗布することにより、導電膜が形成される。成膜方法は、基体の種類や形状により随時選択される物であり、特に限定されない。例えば、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、バーコートなどが用いられる。
【0044】
導電性組成物の組成や導電膜の膜厚は、目的とする抵抗値や透過率により随時選定され、特に限定されない。
【0045】
本発明の導電性組成物を樹脂材料に添加する事で導電性が付与された樹脂複合材料が得られる。用いられる樹脂成分は、導電性ポリマーと相溶化可能な物であれば特に限定されない。
【0046】
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、 (メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、チオウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、セルロイド、ポリオキサゾリン、ポリピロリドン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂などが用いられる。
【0047】
導電性組成物と樹脂成分の混合方法は、特に限定される物ではなく、樹脂成分の組成、用途や形状により随時選定される。各成分を直接混合する事により、樹脂複合材料が製造される。また、樹脂成分のモノマー原料と導電性成分をあらかじめ混合した後、樹脂成分の重合処理により、樹脂複合材料が製造される。
【0048】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
【0049】
〔実施例1〜6〕
下記式(5)に示されたポリピロール(日本曹達株式会社製、商品名;SSPY)の10重量%ジメチルホルムアミド溶液に、所定量のITO粒子(平均比表面積径:12nm)を加えた後(ITO粒子の添加量:95、90、85、80、60、50重量%)、0.5mmのジルコニアボールを用い、24時間ボールミル混合を行った。得られた分散液をコロナ処理されたPET基板上にスピンコート(2000rpmで20秒)した後、80℃で1時間乾燥した。この操作を3回繰り返し、塗布膜を得た。
【0050】
【化5】
【0051】
得られた塗布膜の抵抗値を二端子法により、温度24℃、相対湿度38%の環境下で500V印加により測定した。ITO添加量と得られた塗布膜のシート抵抗値の関係を図2にポリピロール系として示す。ITO含有量が85重量%で最小抵抗値(7.6x105Ω/□)となり、50重量%でも3.2x107Ω/□の抵抗値を維持していた。
【0052】
また、印加電圧を25〜500Vに変化させ、シート抵抗値の電圧依存性を測定した。本発明の実施例1〜6のサンプルでは、明確な電圧依存性が認められないことが確認された。実施例1、3、5の印加電圧とシート抵抗値との関係を図3に示す。
【0053】
さらに、相対湿度43%の室内に一日放置した後のシート抵抗値の測定を行ったが、測定値に大きな変化は認められず、湿度依存性がないことがわかった。
【0054】
〔実施例7〜12〕
実施例1〜6の塗工液を用い、シリコーン処理したPET上にバーコートにより成膜した後、80℃で1時間乾燥した。全てのサンプルで可とう性を有するシートが得られた。
【0055】
〔実施例13〕
実施例3の塗布液を、導電性組成物/ポリメタクリル酸メチルの固形分比率が10/90となるように、ポリメタクリル酸メチルの10重量%ジメチルホルムアミド溶液と混合した。混合液をガラス容器中にキャストし後、溶剤を除去し、樹脂複合材料を得た。得られた樹脂複合材料の表面抵抗値は、3.4x108Ω/□であった。
【0056】
〔比較例1〕
実施例1の方法でITO粒子のみを用い塗布膜の作成を行った。得られた塗布膜の比抵抗値の測定を行った。実施例と同レベルの3.6x106Ω/□のシート抵抗値を有する塗布膜を得ることが出来た。実施例と同様に、相対湿度43%の室内に一日放置した後のシート抵抗値の測定を行うと、そのシート抵抗値は、9.8x105Ω/□となり、吸湿によるシート抵抗値の変化が確認された。また、比較例1では、可とう性が低いためフリーの膜を得ることは出来なかった。
【0057】
〔比較例2〕
上記化学式5に示されたポリピロールとドーパントとしてのTCNA(商品名)(日本曹達株式会社製)を、ポリピロール/TCNAの重量比を3/1として塗布液を作成した。得られた塗布液を用い、実施例1と同様の条件で、塗布膜を作成した。得られた塗布膜のシート抵抗値は9.8x107Ω/□と本発明の実施例と比べ高い値となった。
【0058】
〔比較例3〜10〕
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の10重量%ジメチルホルムアミド溶液とITO粒子を用い、実施例1と同様の条件で塗布膜の作成を行った。得られた塗布膜のシート抵抗値を測定した。ITO添加量と得られた塗布膜のシート抵抗値の関係を図1に「PMMA」系として示す。ITO含有量の低下と伴にシート抵抗値は増加し、ITO含有量85重量%以下となると急激にシート抵抗値は増加し、1011Ω/□を超える値となった。
【0059】
以上の実施例に示したように、本発明によれば、(1)ハロンゲン系のドーパントを用いることなく導電性組成物の製造が可能となる。また、(2)バインダー成分を用いることなく導電性塗布膜が形成可能であり、その抵抗値に、(3)電圧依存性や(4)湿度などの環境依存性が認められない。
【0060】
【発明の効果】
本発明の導電性組成物は、以上のように、導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとを含む構成である。これにより、帯電防止膜、電磁波シールド、ポリマーバッテリー用電極、コンデンサー固体電解質などとして使用可能な、導電性、可とう性に優れると同時に透明性や機械特性、練り込みなどの加工性に優れた導電性組成物を提供することができる。また、導電性を低下させることなく可とう性、透過性を有する導電性フィルムやシート等の導電膜を提供できる。また、樹脂成分と組み合わせることにより、導電性を付与された樹脂複合材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性組成物の概略構成を示した説明図である。
【図2】ITO添加量と得られた塗布膜のシート抵抗値の関係を示すグラフである。
【図3】実施例1、3、5の印加電圧とシート抵抗値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性組成物
2 導電性ポリマー
3 導電性酸化物粒子
Claims (6)
- 導電性酸化物粒子と導電性ポリマーとを含むことを特徴とする導電性組成物。
- 10〜98重量%の導電性酸化物粒子と2〜90重量%の導電性ポリマーとを含み、導電性酸化物粒子の平均粒径が80nm以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
- 導電性酸化物粒子が、酸化インジウム−酸化錫、IIIb族元素がドープされた酸化亜鉛、Vb族元素がドープされた酸化錫、フッ素がドープされた酸化錫からなる群より選ばれる少なくともいずれか1種の導電性酸化物粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性組成物。
- 導電性ポリマーが、ポリピロールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物を用いて形成されたことを特徴とする導電膜。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物を含むことを特徴とする樹脂複合材料
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