JP2004269474A - ニトリル誘導体の製造方法 - Google Patents

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Hideo Muraoka
秀郎 村岡
Hideo Yoshihara
秀夫 吉原
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Abstract

【課題】高い選択性および収率でシアノカルボン酸塩を脱炭酸しニトリル誘導体を製造する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
Figure 2004269474

(RおよびRは、水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基を表し、それらの基は原子価の許容される範囲で任意の官能基で置換されていてもよい。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、nはMの酸化数に応じて1または2を表す。)で示されるシアノカルボン酸塩を酸で処理し、酸処理後の抽出または濃縮工程で金属触媒を接触せしめた後に金属触媒存在下で脱炭酸反応させ、一般式(2)
【化2】
Figure 2004269474

(RおよびRは前記に同じ。)で示されるニトリル誘導体を製造する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニトリル誘導体を製造する方法に関する。詳しくは、シアノカルボン酸塩から脱炭酸反応によりニトリル誘導体を製造する方法に関する。ニトリル誘導体は、種々の合成中間体として利用でき、有機化学分野において有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
α−シアノ酢酸誘導体を脱炭酸し、対応するニトリル誘導体を合成する手法としては、α−シアノ酢酸構造を有するフリーのカルボン酸を出発基質に用い、銅存在下200℃で加熱するもの(例えば、非特許文献1参照。)が知られている。
【0003】
【非特許文献1】
高田利宏,谷山雅一,「ポリアクリロニトリルおよびその共重合体の模型物質の合成」,高分子化学,高分子化学会,第16巻,第175号,1959年,p.693−698
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この系では出発基質のフリーのカルボン酸が不安定で、γ位シアノ基との反応によりイミド化が誘発してグルタロイミド体が副生するため、目的とするニトリル誘導体の選択性・収率が下がり、またそれらの分離も困難なことから、実用性に乏しい。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、シアノカルボン酸塩から高い選択性および収率でニトリル誘導体を製造する方法を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成からなる。すなわち本発明は、一般式(1)
【0007】
【化3】
Figure 2004269474
【0008】
(RおよびRは、水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基を表し、それらの基は原子価の許容される範囲で任意の官能基で置換されていてもよい。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、nはMの酸化数に応じて1または2を表す。)で示されるシアノカルボン酸塩を酸で処理した後に金属触媒存在下で脱炭酸反応させ、一般式(2)
【0009】
【化4】
Figure 2004269474
【0010】
(RおよびRは前記に同じ。)で示されるニトリル誘導体を製造する方法であって、酸処理後の抽出または濃縮工程で金属触媒を接触せしめた後に脱炭酸反応を行うことを特徴とするニトリル誘導体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詳細を記載する。
【0012】
本発明において反応させる出発基質のシアノカルボン酸塩は、一般式(1)
【0013】
【化5】
Figure 2004269474
【0014】
(RおよびRは、水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基を表し、それらの基は原子価の許容される範囲で任意の官能基で置換されていてもよい。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、nはMの酸化数に応じて1または2を表す。)で示される。
【0015】
出発基質のシアノカルボン酸塩の具体例としては、グルタロニトリル−2−カルボン酸塩、4−メチルグルタロニトリル−2−カルボン酸塩、1,3,5−トリシアノペンタン−3−カルボン酸塩、1,3,5−トリシアノヘキサン−3−カルボン酸塩、2,4,6−トリシアノヘプタン−4−カルボン酸塩などが挙げられ、好ましくは、グルタロニトリル−2−カルボン酸塩、4−メチルグルタロニトリル−2−カルボン酸塩、1,3,5−トリシアノペンタン−3−カルボン酸塩であり、さらに好ましくは、グルタロニトリル−2−カルボン酸塩、1,3,5−トリシアノペンタン−3−カルボン酸塩である。
【0016】
また、式中のMはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウムであり、さらに好ましくはナトリウム、カリウムである。
【0017】
本発明において用いられる酸の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられ、好ましくは、塩酸、硫酸、酢酸であり、さらに好ましくは、塩酸、硫酸である。また、使用量については、出発基質に対して1.0〜1.5モル当量を用いるのが好ましく、1.0〜1.2モル当量がさらに好ましい。1.0モル当量より低いと出発基質の転化率が低くなり、また多すぎると不経済である。この範囲において反応を効率良くかつ経済的に行うことができる。
【0018】
本発明において用いられる金属触媒は遷移金属元素であることが好ましい。金属触媒の具体例としては、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛などが挙げられ、好ましくは、鉄、銅、亜鉛であり、さらに好ましくは銅である。また、使用量については、出発基質に対して等モル未満の量で用いられるのが好ましく、出発基質1モルに対して0.1〜0.5モルがさらに好ましい。この範囲において反応を効率良くかつ経済的に行うことができる。金属触媒の形状は、特に限定されないが、粉末状が好ましい。
【0019】
本発明において使用される溶媒は、出発基質を溶解し得るものならいずれの溶媒を用いてもよいが、中でも無溶媒が好ましい。
【0020】
本発明における酸処理時の温度は、0℃から40℃の間、中でも10℃から30℃の間が好ましい。
【0021】
本発明においては、酸処理後の抽出または濃縮工程で金属触媒を接触せしめた後に脱炭酸反応を行う。酸処理により生成したシアノカルボン酸を単離することなく、引き続き脱炭酸反応を行う。具体的には、たとえば、出発基質を酸処理した後、抽出溶媒で抽出し、その抽出溶媒層に金属触媒を投入して濃縮し、その後加熱して脱炭酸反応を開始すればよい。抽出溶媒は、シアノカルボン酸塩よりもシアノカルボン酸の溶解度が大きいものであれば、特に限定されないが、たとえばジエチルエーテルなどの有機溶媒を使用することができる。なお、酸処理時に溶媒を使用する場合において、酸処理後に処理液が2層分離し得るような溶媒を使用するときは、その溶媒をそのまま抽出溶媒として使用することもできる。
【0022】
本発明における脱炭酸反応時の反応温度は、加熱条件下で行われることが好ましく、80℃から180℃の間、中でも100℃から150℃の間が好ましい。この範囲の温度において効率よくかつ良好な結果を与える。
【0023】
本発明における目的物単離操作については、抽出・蒸留などのような簡便な手法を介するのみでよい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。なお、ここで用いた試薬類のメーカーグレードは、いずれも1級レベルに相当するものである。
【0025】
実施例1
1,3,5−トリシアノペンタン−3−カルボン酸ナトリウム21.32g(0.1mol)、水100mLを反応容器に投入して溶解した後、続いてジエチルエーテル100mL(関東化学社製)を投入し、溶液が2層分離した状態で氷浴中4〜5℃前後に冷却・攪拌した。そこへ35%塩酸水10.42g(0.1mol;関東化学社製)(1.0eq)を攪拌しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷浴をはずして室温付近まで昇温させ、そのまま1時間攪拌・熟成させた。次に溶液を静置し、層分離・抽出してジエチルエーテル層を取り出した後、銅粉末1.64g(25mmol;東京化成社製)(0.25eq)を投入した。反応液を濃縮した後、続いて120℃条件下で脱炭酸反応させた。途中、炭酸ガスの気泡が溶液表面から発生し、1時間ほどで治まった。さらに200℃まで昇温して減圧蒸留することにより1,3,5−トリシアノペンタンを8.85g(収率61.03%)得た。
【0026】
実施例2
1,3,5−トリシアノペンタン−3−カルボン酸ナトリウムの代わりに、グルタロニトリル−2−カルボン酸ナトリウム16.02g(0.1mol)を用い、実施例1と同様に反応・処理を行ったところ、グルタロニトリルを7.46g(収率79.24%)得た。
【0027】
実施例3
銅粉末を6.40g(0.1mol;東京化成社製)(1.0eq)に増やし、実施例1と同様に反応・処理を行ったところ、脱炭酸反応は約15分ほどで終了し、1,3,5−トリシアノペンタンが8.87g(収率61.18%)得られた。
【0028】
実施例4
脱炭酸反応時の温度を150℃にして、実施例1と同様に反応・処理を行ったところ、反応は約15分ほどで終了し、1,3,5−トリシアノペンタンが8.67g(収率59.78%)得られた。
【0029】
比較例1
銅粉末を入れずに実施例1と同様に反応・処理を行ったところ、3−シアノ−3−(β−シアノエチル)グルタロイミドが11.29g(収率91.82%)得られ、1,3,5−トリシアノペンタンの生成はほとんど見られなかった。
【0030】
比較例2
実施例1において、酸処理後の反応液を層分離・抽出してジエチルエーテル層を取り出した後、濃縮し、続いて銅粉末1.64g(25mmol;東京化成社製)(0.25eq)を投入し、120℃条件下で脱炭酸反応させた以外は、実施例1と同様に行ったところ、1,3,5−トリシアノペンタンを5.49g(収率37.84%)、3−シアノ−3−(β−シアノエチル)グルタロイミドを4.17g(収率21.82%)得た。
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、シアノカルボン酸塩から高い選択性および収率でニトリル誘導体を製造することができる。また、得られるニトリル誘導体は種々の合成中間体として利用でき、有機化学分野において有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004269474
    (RおよびRは、水素、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基を表し、それらの基は原子価の許容される範囲で任意の官能基で置換されていてもよい。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、nはMの酸化数に応じて1または2を表す。)で示されるシアノカルボン酸塩を酸で処理した後に金属触媒存在下で脱炭酸反応させ、一般式(2)
    Figure 2004269474
    (RおよびRは前記に同じ。)で示されるニトリル誘導体を製造する方法であって、酸処理後の抽出または濃縮工程で金属触媒を接触せしめた後に脱炭酸反応を行うことを特徴とするニトリル誘導体の製造方法。
  2. 金属触媒が遷移金属元素であることを特徴とする請求項1記載のニトリル誘導体の製造方法。
  3. 金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、および亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属であることを特徴とする請求項1記載のニトリル誘導体の製造方法。
  4. 金属触媒が、鉄、銅、および亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属であることを特徴とする請求項3記載のニトリル誘導体の製造方法。
  5. 金属触媒がシアノカルボン酸塩に対して等モル未満の量で用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項記載のニトリル誘導体の製造方法。
  6. 脱炭酸反応が無溶媒で行われることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項記載のニトリル誘導体の製造方法。
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