JP2004269367A - 2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
2−ヒドロキシシクロヘキサノンの晶析法に関する。2−ヒドロキシシクロヘキサノンは、医薬、農薬の原料、或はセルロース誘導体等の可塑剤の原料として有用であることが知られている。(特許文献1及び特許文献2参照)
【0002】
【従来の技術】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は100℃付近では単量体として存在し、液体であるが、冷却すると二量化もしくはそれ以上の多量化が進行し、非常に固い塊状の固体となる性質を持つ。このため、反応容器からの取り出しが困難になるなど、保存及び取り扱い上の問題があった。固化を防ぐために、容器を100℃付近で保温する方法が考えられるが、温度制御等、操作が煩雑であり、長期保存においては、熱劣化が問題である。
【0003】
固体の形状を制御して目的化合物を得る方法としては、再結晶がある。
非特許文献1に、2−ヒドロキシシクロヘキサノンの固体を水/アルコール混合溶剤から再結晶させる2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の晶析法が開示されている。しかし、発明者が追試した結果、目的の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は微細結晶で得られるものの、晶析時間が非常に長い上に、取得収率が低いという問題があった。(比較例1参照)
【0004】
【非特許文献1】
Journal of American Chemical Society, 62, 1940, p.2933
【特許文献1】
特開平2−15068号公報
【特許文献2】
米国特許第2504135号明細書
【特許文献3】
特開昭57−4932号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を、取り扱いの容易な形状で、短時間に晶析させて、高い取得収率で得ることができる2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を含む溶液に、酸を添加し、晶析させて分離することを特徴とする2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法によって解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる前記式(1)で示される2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、例えば、特許文献3に記載されているように、カテコール化合物を触媒存在下、水素還元する方法に従って製造することができる。
【0008】
前記式(1)において、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは、0〜9の整数を表す。
【0009】
炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。
【0010】
炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。
【0011】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を含む溶液としては、2−ヒドロキシシクロヘキサノンの合成終了時の反応混合物をそのまま用いるか、反応溶媒を留去し、濃縮したものでも良いが、例えば、蒸留精製の直後に得られる液体状のもの、或はその液体状のものが冷却され、固化して得られる塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を溶媒に溶解したものが好ましい。
【0012】
ここで用いられる溶媒(晶析溶媒)としては、水、炭素原子数1〜4の脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、アミド類(ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど)、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、水が好ましい。
【0013】
前記溶媒の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、0.2〜20重量部が好ましく、更には、0.5〜5重量部が好ましい。
【0014】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、塊状の場合、溶媒添加後、80〜200℃で加熱することにより溶解される。溶媒として水を使用した場合、80〜100℃で加熱することにより溶解させることができる。
【0015】
本発明に用いる酸としては、無機酸、炭素原子数1〜6の脂肪族カルボン酸、有機スルホン酸などのプロトン酸が挙げられる。
【0016】
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸などが挙げられる。
【0017】
炭素原子数2〜6の脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、蓚酸などが挙げられる。
【0018】
有機スルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
【0019】
上記の酸のうちでは、無機酸が好ましく、更に好ましくは過塩素酸である。
【0020】
酸の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、好ましくは0.000005〜0.01重量部、更に好ましくは0.00001〜0.005重量部である。
【0021】
酸の添加温度は、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜40℃である。
塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析溶媒に加熱溶解した場合、上記温度範囲まで放冷した後、酸は添加される。
【0022】
本発明において、溶媒に水を用いた場合、上記の酸と共に炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類を添加することで、更に効率良く2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析させることができる。
【0023】
ここで、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類としては、鎖状又は環状のものが挙げられる。鎖状のものとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。環状のものとしては、シクロヘキサノールやジヒドロキシシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0024】
また、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、好ましくは0〜0.2重量部、更に好ましくは0〜0.1重量部である。
【0025】
酸及び炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類の添加温度は、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜40℃である。
塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析溶媒に加熱溶解した場合、上記温度範囲まで放冷した後、酸及び炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類は、添加される。
【0026】
酸が添加(溶媒が水の場合、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類が酸と共に添加される)された後の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の晶析操作は、攪拌しながら行うのが好ましい。晶析時間は、好ましくは0.1〜48時間、更に好ましくは0.5〜24時間である。晶析に用いられる温度は、好ましくは0〜60℃、更に好ましくは0〜40℃である。
【0027】
晶析した2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、反応液から濾過、遠心分離、デカンテーション等で容易に取り出すことができる。濾液等の晶析母液は溶媒として再使用することができる。
【0028】
得られた2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の結晶は、水洗を行い、次いで揮発性溶媒で洗浄される。このことにより、結晶中の晶析溶媒、酸及び前記アルコール類が除去され、乾燥工程における2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物と晶析溶媒および水の同伴飛散を防ぐことができる。ここで、洗浄液は洗浄水又は晶析に用いる溶媒として再利用することができる。
【0029】
前記揮発性溶媒としては、沸点が35〜85℃の有機溶媒が挙げられる。この溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、アセトンなどが挙げられるが、アセトンを使用するのが好ましい。
【0030】
前記揮発性溶媒での洗浄後、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は乾燥される。乾燥条件は、温度は20〜50℃、減圧度は5〜30mmHgが好ましい。
【0031】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
参考例1
内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに、カテコール200g(1.81mol)、酢酸エチル400g(4.55mol)、5wt%Pd/活性炭15gを加え、窒素で置換した。125℃まで加熱した後、水素を導入し、水素圧0.3MPa、150℃の条件で2時間反応を行った。反応液の分析はガスクロマトグラフィーで行った。その結果、2−ヒドロキシシクロヘキサノン131g(1.15mol、カテコール基準収率:63.3%)、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン24.8g(0.214mol)、シクロヘキサノール1.2g(0.012mol)が得られた。蒸留により、液体状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン128g(1.12mol)が得られた。
【0032】
実施例1
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た蒸留直後の液体状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、25℃まで冷却し、5%過塩素酸0.30gとイソプロピルアルコール0.15gを添加した。液温を25℃に保ったまま、6時間攪拌を行った。その後、濾過を行った後、水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン11.2g(収率:74.7%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0033】
実施例2
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノン(蒸留後、放冷により固化し塊状となったもの)15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、25℃まで冷却し、5%過塩素酸0.30gとイソプロピルアルコール0.15gを添加した。液温を25℃に保ったまま、6時間攪拌した。その後、濾過を行って晶析母液32.6gを除去した後、水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン11.0g(収率:73.4%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0034】
実施例3
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノン(蒸留後、放冷により固化し塊状となったもの)15gと実施例2で得た晶析母液32.6gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。その後の操作は、5%過塩素酸の添加量が0.06gであること以外は、実施例2と同様の方法で行った。その結果、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン13.9g(本実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノン基準収率:92.7%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0035】
実施例4
実施例3で得た晶析母液を仕込み、過塩素酸とイソプロピルアルコールの添加量を表1のように変えたこと以外は、実施例3と同様の方法で行った。結果は表1に示した。
【0036】
実施例5
実施例4で得た晶析母液を仕込み、過塩素酸とイソプロピルアルコールの添加量を下表1のように変えたこと以外は、実施例4と同様の方法で行った。結果は表1に示した。
【0037】
【表1】
注:過塩素酸とイソプロパノールの添加量[wt%]は、各実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノンの重量を基準とした。
【0038】
実施例6〜8
過塩素酸添加量を下表2のように変更し、熟成温度を5℃に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。結果は表2に示した。
【0039】
【表2】
注:過塩素酸の添加量[wt%]は、各実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノンの重量を基準とした。
【0040】
比較例1
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノンの液体15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、5℃まで冷却し、液温を5℃に保ったまま、6時間攪拌を行った。結晶の析出が見られないため、更に同温度で57時間攪拌を行い、析出した結晶を濾過した。水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶の2−ヒドロキシシクロヘキサノン6.0g(収率:40.0%)を得た。
【0041】
【発明の効果】
本発明により、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を、取り扱いの容易な形状で、短時間に晶析させて、高い取得収率で得ることができる製造法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
2−ヒドロキシシクロヘキサノンの晶析法に関する。2−ヒドロキシシクロヘキサノンは、医薬、農薬の原料、或はセルロース誘導体等の可塑剤の原料として有用であることが知られている。(特許文献1及び特許文献2参照)
【0002】
【従来の技術】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は100℃付近では単量体として存在し、液体であるが、冷却すると二量化もしくはそれ以上の多量化が進行し、非常に固い塊状の固体となる性質を持つ。このため、反応容器からの取り出しが困難になるなど、保存及び取り扱い上の問題があった。固化を防ぐために、容器を100℃付近で保温する方法が考えられるが、温度制御等、操作が煩雑であり、長期保存においては、熱劣化が問題である。
【0003】
固体の形状を制御して目的化合物を得る方法としては、再結晶がある。
非特許文献1に、2−ヒドロキシシクロヘキサノンの固体を水/アルコール混合溶剤から再結晶させる2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の晶析法が開示されている。しかし、発明者が追試した結果、目的の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は微細結晶で得られるものの、晶析時間が非常に長い上に、取得収率が低いという問題があった。(比較例1参照)
【0004】
【非特許文献1】
Journal of American Chemical Society, 62, 1940, p.2933
【特許文献1】
特開平2−15068号公報
【特許文献2】
米国特許第2504135号明細書
【特許文献3】
特開昭57−4932号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を、取り扱いの容易な形状で、短時間に晶析させて、高い取得収率で得ることができる2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を含む溶液に、酸を添加し、晶析させて分離することを特徴とする2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法によって解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる前記式(1)で示される2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、例えば、特許文献3に記載されているように、カテコール化合物を触媒存在下、水素還元する方法に従って製造することができる。
【0008】
前記式(1)において、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは、0〜9の整数を表す。
【0009】
炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。
【0010】
炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。
【0011】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を含む溶液としては、2−ヒドロキシシクロヘキサノンの合成終了時の反応混合物をそのまま用いるか、反応溶媒を留去し、濃縮したものでも良いが、例えば、蒸留精製の直後に得られる液体状のもの、或はその液体状のものが冷却され、固化して得られる塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を溶媒に溶解したものが好ましい。
【0012】
ここで用いられる溶媒(晶析溶媒)としては、水、炭素原子数1〜4の脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、アミド類(ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど)、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、水が好ましい。
【0013】
前記溶媒の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、0.2〜20重量部が好ましく、更には、0.5〜5重量部が好ましい。
【0014】
2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、塊状の場合、溶媒添加後、80〜200℃で加熱することにより溶解される。溶媒として水を使用した場合、80〜100℃で加熱することにより溶解させることができる。
【0015】
本発明に用いる酸としては、無機酸、炭素原子数1〜6の脂肪族カルボン酸、有機スルホン酸などのプロトン酸が挙げられる。
【0016】
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸などが挙げられる。
【0017】
炭素原子数2〜6の脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、蓚酸などが挙げられる。
【0018】
有機スルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
【0019】
上記の酸のうちでは、無機酸が好ましく、更に好ましくは過塩素酸である。
【0020】
酸の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、好ましくは0.000005〜0.01重量部、更に好ましくは0.00001〜0.005重量部である。
【0021】
酸の添加温度は、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜40℃である。
塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析溶媒に加熱溶解した場合、上記温度範囲まで放冷した後、酸は添加される。
【0022】
本発明において、溶媒に水を用いた場合、上記の酸と共に炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類を添加することで、更に効率良く2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析させることができる。
【0023】
ここで、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類としては、鎖状又は環状のものが挙げられる。鎖状のものとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどが挙げられる。なお、これらは異性体を含む。環状のものとしては、シクロヘキサノールやジヒドロキシシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0024】
また、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類の使用量は、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物1重量部に対して、好ましくは0〜0.2重量部、更に好ましくは0〜0.1重量部である。
【0025】
酸及び炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類の添加温度は、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜40℃である。
塊状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を晶析溶媒に加熱溶解した場合、上記温度範囲まで放冷した後、酸及び炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類は、添加される。
【0026】
酸が添加(溶媒が水の場合、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコール類が酸と共に添加される)された後の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の晶析操作は、攪拌しながら行うのが好ましい。晶析時間は、好ましくは0.1〜48時間、更に好ましくは0.5〜24時間である。晶析に用いられる温度は、好ましくは0〜60℃、更に好ましくは0〜40℃である。
【0027】
晶析した2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は、反応液から濾過、遠心分離、デカンテーション等で容易に取り出すことができる。濾液等の晶析母液は溶媒として再使用することができる。
【0028】
得られた2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の結晶は、水洗を行い、次いで揮発性溶媒で洗浄される。このことにより、結晶中の晶析溶媒、酸及び前記アルコール類が除去され、乾燥工程における2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物と晶析溶媒および水の同伴飛散を防ぐことができる。ここで、洗浄液は洗浄水又は晶析に用いる溶媒として再利用することができる。
【0029】
前記揮発性溶媒としては、沸点が35〜85℃の有機溶媒が挙げられる。この溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、アセトンなどが挙げられるが、アセトンを使用するのが好ましい。
【0030】
前記揮発性溶媒での洗浄後、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物は乾燥される。乾燥条件は、温度は20〜50℃、減圧度は5〜30mmHgが好ましい。
【0031】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
参考例1
内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに、カテコール200g(1.81mol)、酢酸エチル400g(4.55mol)、5wt%Pd/活性炭15gを加え、窒素で置換した。125℃まで加熱した後、水素を導入し、水素圧0.3MPa、150℃の条件で2時間反応を行った。反応液の分析はガスクロマトグラフィーで行った。その結果、2−ヒドロキシシクロヘキサノン131g(1.15mol、カテコール基準収率:63.3%)、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン24.8g(0.214mol)、シクロヘキサノール1.2g(0.012mol)が得られた。蒸留により、液体状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン128g(1.12mol)が得られた。
【0032】
実施例1
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た蒸留直後の液体状の2−ヒドロキシシクロヘキサノン15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、25℃まで冷却し、5%過塩素酸0.30gとイソプロピルアルコール0.15gを添加した。液温を25℃に保ったまま、6時間攪拌を行った。その後、濾過を行った後、水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン11.2g(収率:74.7%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0033】
実施例2
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノン(蒸留後、放冷により固化し塊状となったもの)15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、25℃まで冷却し、5%過塩素酸0.30gとイソプロピルアルコール0.15gを添加した。液温を25℃に保ったまま、6時間攪拌した。その後、濾過を行って晶析母液32.6gを除去した後、水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン11.0g(収率:73.4%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0034】
実施例3
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノン(蒸留後、放冷により固化し塊状となったもの)15gと実施例2で得た晶析母液32.6gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。その後の操作は、5%過塩素酸の添加量が0.06gであること以外は、実施例2と同様の方法で行った。その結果、無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノン13.9g(本実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノン基準収率:92.7%)を得た。
得られた無色、微細結晶である2−ヒドロキシシクロヘキサノンの純度は、ガスクロマトグラフィーでの定量分析により100%であった。
【0035】
実施例4
実施例3で得た晶析母液を仕込み、過塩素酸とイソプロピルアルコールの添加量を表1のように変えたこと以外は、実施例3と同様の方法で行った。結果は表1に示した。
【0036】
実施例5
実施例4で得た晶析母液を仕込み、過塩素酸とイソプロピルアルコールの添加量を下表1のように変えたこと以外は、実施例4と同様の方法で行った。結果は表1に示した。
【0037】
【表1】
注:過塩素酸とイソプロパノールの添加量[wt%]は、各実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノンの重量を基準とした。
【0038】
実施例6〜8
過塩素酸添加量を下表2のように変更し、熟成温度を5℃に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。結果は表2に示した。
【0039】
【表2】
注:過塩素酸の添加量[wt%]は、各実施例で仕込んだ2−ヒドロキシシクロヘキサノンの重量を基準とした。
【0040】
比較例1
冷却管および窒素導入管を備え付けた内容積100mLの四口フラスコに、参考例1で得た2−ヒドロキシシクロヘキサノンの液体15gと純水30gを加え、窒素雰囲気下、100℃まで加熱した。2−ヒドロキシシクロヘキサノンを純水に溶解させた後、5℃まで冷却し、液温を5℃に保ったまま、6時間攪拌を行った。結晶の析出が見られないため、更に同温度で57時間攪拌を行い、析出した結晶を濾過した。水30gとアセトン15gで得られた結晶を洗浄し、35℃、5mmHgで乾燥を行った後、無色、微細結晶の2−ヒドロキシシクロヘキサノン6.0g(収率:40.0%)を得た。
【0041】
【発明の効果】
本発明により、2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を、取り扱いの容易な形状で、短時間に晶析させて、高い取得収率で得ることができる製造法を提供することができる。
Claims (5)
- 酸がプロトン酸である請求項1記載の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法。
- プロトン酸が過塩素酸である請求項2記載の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法。
- 前記式(1)で示される2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物を含む溶液が水溶液であり、これに酸と共にアルコールを添加することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法。
- アルコールが、炭素原子数1〜6の脂肪族アルコールである請求項4記載の2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法。
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JP2003058062A JP2004269367A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 2−ヒドロキシシクロヘキサノン化合物の製造法 |
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JP2007099738A (ja) * | 2005-10-07 | 2007-04-19 | Asahi Kasei Chemicals Corp | アルキルスズアルコキシドの製造方法 |
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2003
- 2003-03-05 JP JP2003058062A patent/JP2004269367A/ja active Pending
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